(仮訳) 生物多様性条約第 10 回締約国会議 COP10 ― 名古屋 2010 年 10 月 28 日 シャンタル・ シャンタル・ジュアノ・ アノ・エコロジー担当大臣 エコロジー担当大臣の 担当大臣の演説 ご列席の皆さま 私たちが長い間待っていた交渉です。 生物多様性に対する考え方に一転機を画すべき交渉です。生物多様性を開発と明確に結びつけるべ く生活環境の争点から切り離すことです。この名古屋の交渉は、貧困対策の取り決めです。 森林保全の遅れを取り戻すべき交渉です。明確にしましょう。森林保全のために生物多様性を犠牲 にするのは論外です。2 つの取り決めの関係を明確に築くべきです。 率直に申し上げましょう。交渉は成功する義務を負っています。コペンハーゲンの後、名古屋の失 敗は許されません。失敗は政治日程における環境問題の長く苦しい後退を告げることになります。最 貧国の国民にとって極めて苦しい後退であり、私たちの子どもたちにとっても極めて苦しい後退です。 とはいえ、私は楽観的です。 私は楽観的です。というのも、私たちは素晴らしい歓迎を受けているからです。私はすべての出席 者と同じように、日本に感謝の意を表したいと思います。どうしたらここで成功しないと言えるので しょうか? 私は楽観的です。というのも、私たちは自らの誤りから学んだからです。私たちは危機によって、 自然から借りたものは決して返せないことを思い知らされています。私たちのすべての苦悩は環境問 題です。汚水が最も多くの人命を犠牲にしていることは、悲劇的にも知られていません。気候が不公 平を加速しています。海洋資源は略奪され、生物多様性は崩壊しています。 (発言内容のみ正文) 1 私は楽観的です。というのも、私たちは危機によって、この経済社会モデルが完全ではないこと、 完全とは程遠いことを学んだからです。この条約は簡潔な考えに基づいています。それは生物多様性 のおかげで得られる利益は生物多様性の保全に使われるべきだという考えです。 私は楽観的です。というのも、合意を見出すことがこの会場に列席するすべての国々に利益をもた らすからです。ここで合意形成に失敗すれば、生物多様性の喪失阻止を約束する必要もなくなります。 遺伝資源の公正かつ衡平な配分に関する政治的議論は、何年も何年も行われなくなるでしょう。 私は楽観的です。というのも、私たちは全員、同じ目標を共有しているからです。それは生物多様 性の喪失を阻止することです。私はガボンのリーブルヴィルで開催された生物多様性に関する汎アフ リカ会議に出席しました。そこで素晴らしいメッセージが発出されました。私たち全員がこのメッ セージを共有しています。 フランスに関して、我が国の約束は明快です。 私たちが望んでいるのは、今後 2020 年までに生物多様性衰退の終えんに向けて歩み始めるべく、と りわけ陸域 20%、海域 15%に当たる保護区を創設する目標を掲げた明確な戦略プランです。海洋の 保護、なかでも公海の保護が、私たちの新しい境界となるでしょう。 私たちが望んでいるのは、気候変動に関する政府間パネルと同じ役割を有する生物多様性に関する 国際科学プラットフォームの創設です。私たちの政策を刺激し、警告を発し、明確なコンセンサスを 形成する役割です。私たちは年内できるだけ早い時期に創設されることを望んでいます。フランスは この懸案の実現を促すために全力を尽くします。同じ目的から、私たちはフランスで自然庁の創設と、 パヴァン・スクデフ氏が行ったことにならって、フランス版「生態系と生物多様性の経済学 (TEEB)」報告書の作成を進めています。開発と生物多様性との関係を客観化する必要があります。 私たちの 3 つ目の目標は、遺伝資源の公正で衡平な配分に関する法的拘束力を有する合意をここで 見出すことです。合意にはまだ解決すべき点や派生物の定義が残っていることは認識しています。と はいえ、ここには合意がこの場で成立されるべきことを自覚している熱意のある方たちしかいません。 それがなければ、10 年後、何もなされていないでしょうし、生物多様性のために一銭も支払われてい ないでしょう。 さらに、私たちはアフリカ諸国から提案された多国間基金の創設が支持されるべきだと考えていま す。遺伝資源へのアクセスと利益配分に関する議定書について合意に達すれば、私たちフランス政府 はこの基金の創設に 100 万ユーロを拠出する用意があります。 無論、名古屋の重要な課題は、生物多様性のためにより多くの公的財源に加えて、おそらく特に民 間財源も割り当てることです。私が「おそらく特に」と申しますのも、名古屋の課題は環境が経済発 展の基盤であること、経済発展は環境に寄与すべきであることを認めることだからです。 (発言内容のみ正文) 2 とはいえもちろん、私たちは公的な約束なしには信用性に欠けます。名古屋が成功するため、フラ ンスは今後 2012 年までに政府開発援助(ODA)の枠内で、生物多様性のための拠出額を倍増する用 意があります。総額 2 億ユーロを超える規模の予算です。 生物多様性保全予算が ODA に占める割合は、徐々に 10%まで引き上げられます。 2014 年以降、生物多様性のための資金の流れは年間 5 億ユーロまで引き上げられます。そうするこ とによりフランスは 2011 年から 2020 年の間に、主に ODA を通して、さらに革新的な手段を通して、 40 億ユーロ以上を生物多様性のために拠出します。 ご列席の皆さま、 これは私たちに示された政治的選択です。完全な合意は決してありません。片や野心的すぎたり、 片や限定的すぎたりします。とはいえ、合意に達するために双方で一歩ずつ歩み寄ることができるの ではないでしょうか。国際社会に希望を再び与えるための一歩。環境に息吹を与えるための一歩。そ して何よりも新しい開発モデルを描くための一歩です。 ご清聴ありがとうございました。 (発言内容のみ正文) 3
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