「不合理と言えず」―福岡高裁支部 時事通信 2016年4月6

川内原発差し止め認めず=新基準「不合理と言えず」―福岡高裁支部
時事通信 2016年4月6日(水)10時40分配信
九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めを住民らが求めた仮処分申請の即時抗告審で、福
岡高裁宮崎支部は6日、差し止めを認めず即時抗告を棄却する決定を出した。西川知一郎裁判長は「原発の新規制基準
は不合理と言えない」と判断した。住民側は最高裁に抗告する方針。鹿児島地裁は昨年4月、「新規制基準に不合理な点
は認められない」として申請を却下し、住民側が即時抗告していた。川内1号機は同8月、新規制基準の下で初めて再稼働。
2号機も同10月に再稼働し、国内の原発で唯一運転を続けている。即時抗告審で住民側は、地震対策の基礎となる基準
地震動(想定される最大の揺れ)の策定方法に不備があり、過小評価していると主張。巨大噴火で火砕流が原発に到達す
る可能性を指摘する火山学者は多く、避難計画の実効性にも疑問があると訴えた。九電は、基準地震動は詳細な調査や
観測を基に策定しており、安全性は十分確保されていると強調。運転期間中に巨大噴火が起きる可能性は低く、緊急時の
対応も問題ないと反論した。
<川内原発>差し止め認めず
住民申し立て却下
毎日新聞 2016年4月6日(水)10時34分配信
九州電力川内
(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めの仮処分を地元住民らが求めた即時抗告審で、福岡高
裁宮崎支部(西川知一郎<ともいちろう>裁判長)は6日、昨年4月の鹿児島地裁決定に続いて住民側の申し立てを退け
る決定を出した。関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転停止を命じた3月の大津地裁決定に続き、稼働中の
原発の運転差し止めを巡る2例目の判断(高裁段階では初)として注目されたが、司法の結論は分かれた。住民側は抗告
し、最高裁の判断を仰ぐか検討する。即時抗告審の主な争点は、(1)原発の耐震設計を考える際に基準となる基準地震動
(想定する地震の最大の揺れ)の適否(2)火砕流を伴う火山の破局的噴火による危険性の有無(3)周辺自治体が策定した
避難計画の実効性--の3点だった。
川内原発運転差し止めを棄却…福岡高裁宮崎支部
読売新聞 2016年4月6日(水)10時40分配信
九州電力川内
(せんだい)原子力発電所1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)を巡り、脱原発派の住民12人が運転差し止めを求めた仮処
分の即時抗告審で、福岡高裁宮崎支部(西川知一郎裁判長)は6日、脱原発派の抗告を棄却し、運転差し止めを認めなか
った。関西電力高浜原発の運転差し止めを命じた3月の大津地裁の仮処分決定とは逆の判断になった。川内原発の運転
差し止め仮処分について、鹿児島地裁は昨年4月、東京電力福島第一原発事故を受けて原子力規制委員会が定めた原
発の新規制基準と、基準に適合するとした規制委の判断に問題はないとして、脱原発派の申し立てを却下した。12人は翌
5月、高裁支部に即時抗告。抗告審は2回の審尋などを経て終結した。抗告審での主な争点は、原発の耐震設計の基本
になる基準地震動の妥当性、火山の危険性、避難計画の実効性の3点だった。抗告人側は、「他原発で基準地震動を超
える地震の揺れが観測されたケースがある」とし、現在の設定で安全が担保されているとは言えないなどと主張。これに対し、
九電側は「最新の知見などに基づき、地域的な特性も踏まえて決めた。基準地震動を超える地震が起こる可能性は極めて
低い」などと反論していた。稼働中の原発を巡っては、大津地裁が今年3月、関西電力高浜原発の仮処分で、原発の安全
性について関電側の説明が尽くされていないなどとし、運転差し止めを命じた。仮処分の効力は直ちに生じるため、関電は
決定後、運転を停止し、川内原発が国内で唯一稼働する原発となっていた。今回の決定を受け、脱原発派は不服を申し
立てるかどうかを検討する。
葛尾、6月12日「避難解除」
政府提示、村長受け入れ 福島民友新聞 2016年4月6日(水) 8時12分政府の原子力災
害現地対策本部は5日、東京電力福島第1原発事故で葛尾村に出ている避難指示について、帰還困難区域を除いて6月1
2日に解除したい考えを村議会全員協議会で明らかにした。松本允秀村長は報道陣に対し「これまでの目標に沿っており、
異論はない」と政府提案を受け入れる方針を示した。政府は避難指示解除準備と居住制限の両区域を一括で解除する考
えで、10日に開く住民説明会で村民に提示し、住民の意見を踏まえて正式に決定する見通し。全員協議会で現地対策本
部の後藤収副本部長は「避難指示解除は帰還命令ではない。一人一人が状況に応じて帰還のタイミングを考えてほしい」
と述べた。解除時期を決めた理由については、6月上旬までに商工会の無料宅配サービスが始まることや、村内に住民の
交流の場となる公共施設が再開することを挙げた。村内では宅地や農地の除染はほぼ完了しているが、買い物環境の整
備や医療体制の整備などが課題だ。政府が示した解除時期について、葛尾村野川の松本正子さん(67)=田村市に避難
=は「区切りは必要なので、早いとは思わない。戻って農業や畜産が再開できるかは少し心配だ」と話した。村の人口は147
0人(1日現在)で、解除の対象は1352人。内訳は、避難指示解除準備区域が397世帯1290人、居住制限区域が21世帯62
人。避難指示が続く帰還困難区域は33世帯118人。村では昨年8月下旬から、避難指示解除を判断するための準備宿泊
が始まっている。3月27日現在で44世帯105人が申請している。
<中間貯蔵施設>年度内に補償額を地権者に提示へ 毎日新聞 2016年4月6日(水) 0時1分
東京電力福島第1原
発事故後の除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉両町)について、丸川珠代環境相は5日
の閣議後の記者会見で、家屋などの調査に同意した約790人の地権者に今年度内に補償額を提示すると明らかにした。
連絡が取れている地権者の5割強に当たり、難航している用地取得を加速させたい考えだ。環境省によると、連絡が取れて
いる地権者は約1390人。これまでに取得できたのは、必要な用地約1600ヘクタールの1.3%にとどまる。さらに、連絡の
- 1 -
取れない地権者が約980人おり、同省は対応を検討中だ。環境省は今年度、用地交渉を担当する職員を昨年度の75人
から110人に増やし、用地交渉の態勢を強化する。【久野華代】
<葛尾村>6月避難解除、全域避難自治体2例目…政府方針 毎日新聞 2016年4月5日(火) 21時42分政府の原子
力災害現地対策本部(本部長=高木陽介・副経済産業相)
は5日、東京電力福島第1原発事故により全村避難が続く福
島県葛尾(かつらお)村で、帰還困難区域を除く避難指示を6
月12日に解除する方針を明らかにした。現地対策本部は10
日に村と合同で住民説明会を開いて村民の意見を集約し、
解除時期を詰める。村は受け入れる考えで、解除されれば全
域避難した自治体では同県楢葉町に続き2例目。【土江洋範、曽根田和久】
現地対策本部は5日の村議会全員協議会
(非公開)で表明。公共施設の一部再開などの諸条件が今後整うと説明した。放射線量によって3段階ある避難指示区域
のうち、上から2番目の居住制限区域で解除方針が示されたのは同県南相馬市に続き2例目。政府は昨年6月、2017年3
月までに帰還困難区域を除く避難指示区域を解除する方針を決めていた。葛尾村の4月1日時点の人口は1470人で、対
象は避難指示解除準備区域1290人と居住制限区域62人。帰還困難区域118人の解除時期は未定。松本允秀(まさひ
で)村長は「村も今春解除を目標にしてきた。(6月12日解除を)受け入れる。買い物や医療に不安を抱える住民が安心で
きる環境を整備したい」と述べた。村が昨秋に行った意向調査で「戻りたい」と答えた世帯は48%に上り、全域避難が続く
他5町村の1~3割程度よりも割合が高い。一方、特例で宿泊を認める「準備宿泊」の登録者数は1割に満たない119人。
村によると、子育て世代などが放射能の影響を懸念している。村役場は4月から約5年ぶりに全業務を再開したが、医療機
関や商業施設の再開が一部にとどまる見通し。原発事故後、政府は原発周辺11市町村に避難指示を出し、14年4月の田
村市都路(みやこじ)地区を皮切りに川内村東部、楢葉町で解除。今も指示が出ているのは9市町村で、対象は約7万400
人(昨年9月)。近く解除を目指す葛尾村と南相馬市、川内村、川俣町の4市町村のうち南相馬市は2月に政府から4月中
の解除方針を示されたが、生活廃棄物やがれきの回収など、市側が新たな条件を示し、時期がずれ込む見通し。残る5町
村のうち、第1原発が立地する大熊、双葉両町は帰還目標は未定だ。
政府が6月解除提示=福島・葛尾の避難指示 時事通信 2016年4月5日(火) 18時15分政府は5日、東京電力福島第1
原発事故で全村避難中の福島県葛尾村について、放射線量が高い帰還困難区域を除き6月12日に避難指示を解除した
い意向を示した。村議会の全員協議会で説明した。政府は今月10日に同県田村市で説明会を開き、住民に理解を求める。
政府担当者によると、放射線量の低下に加え、住民を病院に送るタクシーや食品の宅配サービスなど、生活インフラの整
備が6月上旬までに整う見込みが立ったという。対象は居住制限、避難指示解除準備の2区域に住民登録する約1350人。
村議から反対意見は出なかったという。松本允秀村長は取材に「国の意向に沿いたい」と述べた。
夏前にも避難指示解除へ
南相馬市長が見通し 福島民友新聞 2016年4月5日(火) 15時34分
東京電力福島第1
原発事故に伴い一部に避難指示が出ている南相馬市の桜井勝延市長は4日の定例記者会見で、早ければ夏前には帰還
困難区域を除く避難区域で避難指示が解除されるとの見通しを示した。南相馬市では、小高区と原町区の一部が避難区
域となっており、市は生活圏の除染完了確認などを条件に今月を避難指示解除の目標としてきた。桜井市長は除染の確
認や家庭ごみの撤去などが5月上旬には完了するとの見通しを示し「避難指示解除に向けおおよその条件は整ってきた。
解除時期を長く延ばすような状況ではない」と述べた。桜井市長は、政府と市が5月中旬以降に避難指示解除に関する住
民説明会を4回開くことを明らかにした上で、住民の意見を踏まえて正式に解除時期を決定する。南相馬市では昨年8月か
ら避難指示解除準備、居住制限の両区域で、住民が自宅に長期滞在できる準備宿泊を実施している。
電力自由化で東ガスが圧勝する?
その理由とは
ITmedia ビジネスオンライン 4月6日(水)9時55分配信 電気使用量
が大きい程、東ガスの方が安くなる(出典:電力自由化総合メディア
「エネスケが行く」より)
2016年4月1日から小売が自由化された電
力市場は全国で約7.5兆円といわれるが、そのおよそ3分の1の約2.6
兆円は首都圏で占められる。そして、長年独占状態だった東京電力
(東電)に挑戦する最強の対抗馬は東京ガス(東ガス)とみられている。
東ガスの電源開発計画(出典:東京ガスより)
既に東ガスは3月14日
時点で、約11万8000件の契約を獲得した。これは東電の加入世帯
(従量電灯A・B)約2000万件の0.6%程度にすぎないが、東電にして
みれば利益率が高い「おいしい部分」をもっていかれている危機感が
強いはずだ。というのは、2月1日に改定した東ガスの電気料金体系
は、東電にとって低コストで大きな料金収入が得られる「ファミリー」層
を優遇するものになっているからである。例えば夫婦と子どもが一戸
- 2 -
建てに住み、50A(アンペア)契約で月平均700KWh(キロワットアワー)を使う家庭の場合、月額料金は東電が2万114円、東
ガス(ずっとも電気)がガスとのセット割引(270円)を差し引いて1万8121円となり、その差額は1993円で約1割も安い(税別
で燃料費調整は考慮しない/東ガスの料金シミュレーションにより算出)。東ガスの提携先である通信7社の光回線とのセッ
ト契約なら、さらに月最大300円安くするサービスもある。この家庭の場合、1月に発表された東電の「新料金プラン」(2年縛
り契約)にすれば5%割引になるが、それでも1万9108円で東ガスの方が安い。「この際、乗り換えようか」という動機づけに
は十分なメリットだ。一方、電力消費量が少ない単身世帯などの家庭では、東ガスに乗り換えてもメリットが非常に薄いケー
スがほとんど。例えば30A契約で月平均200KWhを使う世帯では、「東電、5134円」対「東ガス、5157円」になるので、乗り換
えたら23円損してしまう。そんな世帯は東ガスにとって「乗り換えなくて結構です」という層。料金回収などのコストはファミリ
ー層と同額かかっても料金収入ははるかに少なく「おいしくない」からである。大量に抱えてしまえば電力事業が「利益なき
繁忙」に陥り、液化天然ガス(LNG)などの燃料費の変動次第では利益を出せなくなる恐れがある。そのため、その層を最初
から排除できるよう、実に巧妙な料金体系をつくりあげているのだ。東ガスがおいしい部分だけきれいに抜き取り、東電に残
るのはおいしくない部分ばかりになれば、東ガスは獲得したシェア以上の大勝利をおさめる。その結果は1~2年後、両社の
電力事業における利益率の変化に表れる。おいしくない部分に対しても東電には「供給責任」があり、たとえ赤字でもライフ
ラインの電気を止めるわけにはいかない。東電の新料金プランの「おいしい部分の引き留め策」は今のところ不十分だ。「2
年縛り」は携帯キャリアなら総務省からやめるように要請されており、夜間を安くする時間帯別料金は本当に得なのか分かり
にくい。ポイントを付けても現金値引きには勝てないもの。実際は、東ガスの供給エリア外で電力とガスのセット割引きが使
えない北関東などの地域で勝負するしかないだろう。●東京ガスが電力業界のプライスリーダーになれる理由
新電力の
ほとんどは、自前の発電設備を持っていない「電気の商社」である。太陽光でも風力でも火力でも水力でも、発電した事業
所(卸電力会社)から電気を仕入れ、東電の送電網を利用して契約した電気のユーザーに販売する。電気を売買する日本
卸電力取引所(JEPX)の「電力スポット市場」も既にできている。だが、東ガスの場合、東電の送電網を利用する点では他と
同じだが、発電に関してはれっきとした「電力会社」である。電力自由化が始まった2001年に大口需要家向けに参入して以
来15年の実績があり、自社グループ内に他社と共同の施設も含め、大型火力発電所が4カ所ある。発電能力(グループ持
分合計)は130万KWで、東電の原発ほぼ1基分にあたる。販売でも、出資するENNET(エネット/東京ガス、大阪ガス、NTT
ファシリティーズが共同出資)は新電力の中で41.1%のシェアを占め、最大勢力だ。東ガスは2015年3月期、連結ベースで1
年に106.1億KWの電力を販売したが、2011年3月期の70.4億KWから4年間で約5割も増えている。東ガスは2020年までに
総発電能力を約300万KWに増強する計画で、これは沖縄電力(約213万KW)の総発電量より大きく、四国電力の総発電量
696万KWの4割強に匹敵する。さらに500万KWへの増強も視野に入れており、近い将来、地域電力会社並みの安定した発
電能力を備える計画だ。発電所を自前で持つ強みは、まず燃料コスト。発電燃料のLNGは都市ガス生産用と一緒に輸入
するのでスケールメリットが効き、輸入先との商談で有利になる。それだけではない。夏の昼間のような電力需給のひっ迫時
にも自前の電力で安定供給ができ、もし電気が余れば、高い「時価」で他の新電力に卸して収益をあげることもできる。こう
した理由から東ガスは電力小売価格競争で値下げ攻勢に出ることができ、電力業界の「プライスリーダー」になれるのだ。
新規契約を獲得し、シェアをさらに伸ばせる。「ラストワンマイル」のガス供給と小口料金収受を100年以上続けてきた実績と
そのインフラも、サービス、コストの面でプラスに作用するだろう。●「柏崎刈羽原発の再稼働」が勢力図を変える
一方、東
電は東ガスなどの新電力に対抗して電気料金を引き下げ、契約世帯の流出を阻みたくても、それができない事情がある。2
015年3月期決算で東電は福島第一原発事故の補償費用として5959億円を特別損失に計上したが、国から8685億円の原
子力損害賠償・廃炉等支援機構資金交付金を受けて特別利益に計上したので、補償は財務上の重圧にはならない。しか
し、福島第二原発4基、柏崎刈羽原発7基の1261万KW全てが停止しているのは痛い。なぜなら、東電の切り札は発電コスト
が安い原子力発電であり、火力オンリーの東京ガスは手を出せないからだ。経済産業省の2014年の試算では、1KW当たり
の発電コストはLNG火力が13.7円、石炭火力が12.3円、原子力発電が10.1円となっている。原子力は東ガスの主力電源の
LNG火力に比べてコストが26.2%も安い。3月に関西電力が高浜原発の運転差し止め命令を受けて運転を停止し、料金値
下げを断念したことで分かるように、原発を再稼働できないうちは、電力会社は新電力に対抗するための値下げの原資が
なかなか捻出できない。東電の新料金プランが「小手先程度」のものにとどまっているのは、そのためだと言ってもいい。現
在、稼働しているのは九州電力の川内原発の2基だけ。九電以外の電力会社は東電と事情がほぼ同じだ。関西地方で大
阪ガスは2月末までに6万件の電力契約を獲得したが、値上げを繰り返した関電が値下げできないので、4月までにもっと上
積みできそうだ。柏崎刈羽原発の再稼働はいまだメドが立たない。原発の停止は1年後の2017年4月の都市ガスの小売自
由化でも、東電にとって大きなハンデになりそうだ。エネルギー自由化の2016年の電力ラウンドでは、東ガスは実力も実績
もある身軽な挑戦者だが、2017年の都市ガスラウンドでの東電は、スケールは大きくても過去の出来事で傷を負った手負い
の挑戦者である。東ガスに逆襲したくても、条件はイーブンではない。もし5年前、福島第一原発が爆発事故を起こさず、い
ま全国で原発がフル稼働していたら、東電だけでなく電力大手10社は小売自由化が始まる4月以降も、盤石のプライスリー
ダーとして参入してくる新電力を軽くいなし、都市ガスの小売自由化ではガス会社の脅威となっただろう。もっとも、今後もし、
- 3 -
原発が次々と再稼働してくるような事態になれば状況は一変する。東電をはじめ電力各社は低下する発電コストを武器に
料金値下げを行い、顧客層の「おいしい部分」を奪い返そうと反撃に出ることができる。東ガスも他の新電力も、その時には
正念場を迎える。
再生可能エネルギーの宝庫として急浮上のモンゴル
JBpress 4月6日(水)6時15分配信
2016年4月1日から電力自
由化がスタートした。昨年年末からソフトバンクや東京ガスなどのCMがテレビをにぎわせている。東急電鉄やローソンも宣
伝を出し始めており、ほぼ独占だった電気業界の大きな変化を予感させる。日本企業のエネルギー業界での起業は、日本
国内だけとは限らないようだ。未来をにらんだ自然エネルギー、あるいは再生可能エネルギーの分野での新しい試みは、
すでにモンゴルを舞台に始まっている。昨年出された「Energy outlook 2015」では原油価格が低くなっている現状が、長く
続くのではないかとの予測なされている。様々なシナリオの中で、特に、原油が1バレル50~60ドルを推移する状態が2020
年まで続くというシナリオにおいては、他の様々なエネルギーの開発への投資が鈍るであろうと考えられている。そして現実
は1バレル20ドルとさらに先を行く異常な状態である。■
3.11でモンゴルも方針転換
1バレル50~60ドルで採算が取れ
るシェールオイルの投資が進むことを前提とするこのシナリオでは、2040年、インド、中国が中東の石油への依存度を強め
(ほぼ中東産石油の9割)、米国はほぼ0となると予想している。インドは近い将来的に中国の電力需要を抜くであろうと言わ
れており、石油依存だけの危うい状態から、様々なエネルギー源を活用する方向へ政策が変わってきている。福島第一原
子力発電所の事故発生まで、インドを含めて、アジアにおける電力需要を満たすエネルギー源としては、原子力が注目さ
れていた。世界有数のウラン鉱があるモンゴルにおいても、その開発と、原子力発電所建設が計画されていた。現在の電
力需要の90%以上を石炭火力発電に頼る状況、不足電力をロシアから買わざるを得ない状況を解決するため、計画は着
々と進めていた。先ほどのインドとの関係においても、2009年9月、エルベクドルジ大統領がインドを最初の海外公式訪問
先に選んだ際にもまず両国間の話題に原子力開発の協力が上ったくらいである。2011年3月以降、エネルギー源に関する
問題において、自然エネルギーは大いに注目されるにことになった。ソフトバンクは早くからモンゴルに注目し、東日本大震
災直後から、自然エネルギーの活用を考えてきた。2012年10月には、東京都に匹敵する規模の約2200万ヘクタールをモ
ンゴル政府から借り受け、風力発電と太陽光発電を行う計画を着々と進めている。南ゴビに位置するフルメン、ボルガン、ツ
ォクト・ツェツィ、ハンホンゴルなどで合計7ギガワットの電力を風力発電で生産する予定であり、今年春頃にはついに電力の
供給を始めることになっている(3月30日現在操業は確認できず)。年間の降水量がゴビでは250-280ミリであり、日本の平
均の1730ミリと比較すれば6分の1ほどである。雲もそれほど多くなく、風もそれほど激しい変動がないので、風力、太陽光の
いずれにおいても理想的な環境と言える。さらに南のゴビ地域の人口の希薄さも好条件の1つであった。■
ジアの電力供給拠点に
中国・東南ア
これらの発電を行う場所は、人口の集まっている北部からは遠いが、オユートルゴイやタワントル
ゴイといった大規模な鉱山に近く、そこでの需要も見込んでいるようである。将来的には、ここで発電する電力で、中国のみ
ならず、東アジアの電力需要を満たすだけの量を作ることもできると関係者は言う。ただし、再生可能エネルギーは、気象
状況によって生産できる電力量が大きく変わることが、不安定要素であるとよく主張される。その点を補うため、大規模な蓄
電方法を考えなければならないのが実情である。従来の蓄電方法としては電気の利用の少ないときに水を高いところに上
げ、必要な時に流して新たに発電する揚水発電という形の蓄電が一般的だが、乾燥の激しいモンゴルではせっかく高い所
に揚水したとしても、蒸発して消えてしまうので効率が悪い。そこで提案されたのが、水素を使う蓄電方式である。様々な形
で作られた電力を水素生産基地で水素に変換して蓄電し、必要とあらば中国、インド、朝鮮半島や日本まで、パイプライン
を通してアジアを輸送するという形で、アジア・エナジー・グリッドを作り上げようという構想が2015年12月13日、東京でモン
ゴル政府とJETRO(日本貿易振興機構)などが共催して開催されたクリーン・エネルギー・フォーラムで提案された。モンゴ
ルは、将来、再生可能な自然エネルギーの大規模な生産地となり、水素に変換する基地を作り、蓄積、輸出、さらに、必要
に応じて、水の少ない地域には、そのパイプラインで送られた水素から水を生産するということもできる。さらにガス化の工程
で尿素を取り肥料にも活用できる技術など、化学工業の発展までを視野に入れた夢の構想である。現在のモンゴルの首都
ウランバートルは、家庭で使われている石炭や木材の燃料の煙、自動車の排ガスなどにより、特に冬は煙が年に充満して
いるようなひどい状態であり、大気汚染は早急に解決しなければいけない問題である。こう考えると良いことづくめのようなの
だが、計画はなかなか進んでいない。■
定まらない政府の方針
このクリーン・エネルギー・フォーラムでは企業側から、
モンゴル政府の態度がはっきりしないとの批判が相次いだ。具体的には、現状、生産された電力には10%の付加価値税が
かかるが、これだけの大量輸出を行い国家に貢献するのであるから税制の面での優遇措置が必要であるというのが1点目。
また、電力を生産しても売る先がはっきりしないと投資が鈍る可能性がある。そこで、インドが自然エネルギーに関して、州レ
ベルでの案件を、国家のレベルで買い取り保障行っている事例があるように、モンゴルでも同様の買い取り保証を行うべき
であるというのが2点目。3点目として、政府主導でインフラ整備に取り組み、電気の輸出を国策とすべきということである。フ
ォーラムにおいてモンゴル政府は法的な整備を約束し、人材養成を積極的に行うと回答したが、他の問題に関しては、明
確な回答を避けた。パイプラインを作り上げるには長期的な視野が必要である。モンゴルにとっては、東アジアにおけるモン
ゴルの存在感をアピールし、モンゴル国と同地域のエネルギーの安全保障に貢献する重要な計画である。もちろん、小さ
- 4 -
な人口(300万人程度)と巨大な面積(日本の4倍)を持つ国家においては、高度の専門性を持つ人材が慢性的に不足する
傾向にある。まして、エネルギー政策の大きな転換期に対応するだけの知識を備え、必要な判断を下せる人材を用意する
のは非常に難しいかもしれない。ただ、国策として考えるなら、中小の企業を育てるための市場を保ちつつ、大企業にも活
躍の場を設けるため、どのレベルまでの買い取り保証を設定するか、という問題は早急に解決しなければならない。さらに、
近年、石炭ガス複合化発電のように、高い発電効率化と、従来よりも20%程度低い二酸化炭素排出量を達成した発電方法
が編み出されている。モンゴル国で豊富に採れる石炭を使った新しい発電方法も鑑みつつ、コストの面からもどのようなベ
ストミックスがいいのかを判断する必要にも迫られていることは確かである。荒井 幸康
原発安全活用、96兆円の投資必要…EUが試算
読売新聞 4月5日(火)17時27分配信
【ブリュッセル=横堀裕也】
欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は4日、EU域内の原子力発電所の安全活用に関する報告書を発表した。東京
電力福島第一原発の事故を受けた安全基準の引き上げなどを受け、2050年までに最大で7600億ユーロ(約96兆円)の
投資が必要になるとの見通しを示した。EU域内では現在、14か国で129基の原発が稼働中。EUが原発の新設や廃炉、
核廃棄物処理などに必要となる投資額を試算したのは初めてだ。最大の投資として想定されるのが原発の新設で、最大4
500億ユーロが必要になると見積もった。原子炉の稼働延長をしなければ、30年までにEU域内の90%の原発が老朽化
に伴って停止を余儀なくされ、多数の建て替えが必要になるという。
国家能源局が2016年エネルギー工作指導意見を通達 (16/04/02)2016/4/2
国家能源局は4月1日、《2016年エネ
ルギー工作指導意見》を通達した。これは、エネルギーの生産と消費、技術革新、体制と仕組み、国際協力等の面で計画
配置を行ったものであり、今年のエネルギー分野における改革と発展の行動指針になる。以下、4つの焦点について整理し
た。今年のエネルギー発展目標
エネルギー消費の面では、2016年のエネルギー消費総量を約43.4億tce(石炭換算ト
ン)とし、非化石エネルギー消費の比率を13%前後、天然ガス消費の比率を6.3%前後にして、石炭消費の比率を63%以
下に下げる。エネルギー供給については、2016年のエネルギー生産総量を36億tce前後とし、石炭生産量を36.5億トン前
後、原油生産量を2億トン前後、天然ガス生産量を1,440億m3前後とする。エネルギー効率の面では、2016年の単位GDP
当たりエネルギー消費を前年比3.4%以上引き下げ、石炭火力発電所の1kWh当たりの発電用石炭消費を314gce(石炭換
算グラム)として、前年より1グラム引き下げる。エネルギー体制の革新
《石油・天然ガス体制改革の深化に関する若干の
意見》を策定し、石油・天然ガス改革総合実験の展開を検討する。石油の探査、採鉱、輸入、精製への参入自由化を整然
と進め、石油・天然ガスパイプライン網と施設の公平な開放を促進する。石炭火力発電の新規増設規模を厳重に規制し、
大気汚染防止重点地区や電力設備に著しい余剰がある地区については、原則として新規石炭火力発電所の建設を部署
せず、計画に盛り込まれている事業や許認可済み(建設中)の石炭火力発電事業については、撤回、許認可の先送り、建
設の延期を行う。クリーン化と低炭素化のスピードアップ
非化石エネルギーの発展の面では、引き続きAP1400事業の建
設を推進するとともに、大型先進加圧水型炉CAP1400実証事業の着工を目指し、沿海部のAP1000新規事業の建設を適
時始動する。条件に優れる原子力発電所の立地先の保護と実証を進め、新規事業のプレスタディを穏当に推進する。同
時に太陽エネルギーの発展に力を入れ、太陽光発電「先駆者」基地建設の規模を拡大するとともに、太陽熱発電実証事業
の建設を引き続き推進する。電気自動車充電スタンドの建設を全面的に推進する。2016年には充電ステーション2,000ヵ所
余り、分散型充電スタンド10万本、プライベート用充電スタンド86万本の計画と建設を進め、各種充電施設の総投資額を30
0億元とする。電気への転換を幅広く推進する。暖房、工業・農業生産、交通・運輸などの分野で、現地の状況に応じて電
気による暖房、電気ボイラー(キルン)、蓄電ピーク調整等の事業を展開し、民生用石炭や燃油から電気への転換を整然と
進める。2020年まで民生用石炭及び燃油の消費から電気への転換を約1.3億tce相当とするよう計画する。エネルギー国際
協力の推進
重要エネルギー設備の「走出去」(対外進出)を加速推進する。原子力発電の「走出去」を前向きに推進する
とともに、火力発電設備や水力発電設備などの在来型大規模プラントの輸出を拡大する。風力発電、太陽光発電など新エ
ネルギー設備の輸出を広げ、製油化学の設備、運営、設計企業の「集団海外進出」を奨励する。国際石油・天然ガスイン
フラの建設に積極的に参加し、「一帯一路」沿線諸国の石油・天然ガスパイプライン網の相互連携を促進する。中露天然ガ
スパイプライン西線事業を実務的に推進する。(人民網 4月2日)
EC:2050年までにEU域内の原子力設備維持に必要な投資額を試算
原産新聞2016年4月5日
欧州連合(EU)の
執行機関である欧州委員会(EC)は4月4日、EU域内における原子力発電所のライフサイクルの全ステップで必要となる
投資額を試算した「原子力の説明プログラム(PINC)」を公表した。欧州原子力共同体条約の要件に基づいて、福島第一
原子力発電所事故にともなう安全性改善と既存炉の安全な運転期間長期化への投資を中心に、同事故後初めて全体的
な投資額を示したもの。域内のエネルギー供給保証と電源多様化に資する重要な低炭素電源として、原子力発電は2050
年代までEUのエネルギー・ミックスにおける重要要素であり続けると結論づける一方、2050年以降に少なくとも9,500万
kWの原子力設備を維持するには3,500億~4,500億ユーロ(約44兆円~56兆6,000億円)が必要だとした。これらに
既存炉の運転期間長期化やバックエンド活動への投資を含めた原子力発電全体で必要な投資総額は、2015年~2050
年までに6500億~7600億ユーロ(約81兆6,000億~95兆円)にのぼると指摘している。EU域内では現在、全加盟国
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の半数に当たる14か国で、129基・約1億2,000万kWの原子炉が30年近い平均年数で稼働中。これらの原子炉が電力
供給保証上の役割を担っている関係から、EUのエネルギー同盟戦略および欧州エネルギー供給保証戦略に基づき、加
盟国には安全性とセキュリティ、廃棄物管理および核不拡散などで最も厳しい基準を適用させている。また、EUは原子力
を2030年までの温室効果ガス排出抑制目標達成の一助とする考えであるため、PINCには、EUがエネルギー関係目標
を達成する上で原子力がどのような助けとなるかという議論に基盤を提供するという意図がある。原子力発電所での安全確
保はECの絶対的優先事項であることから、特に福島第一事故後の関連投資と既存炉の運転期間長期化にともなう投資を
盛りこんだほか、域内の原子力産業でバックエンド関連活動が急増するなど、新たなフェーズに移行しつつあるため、関連
投資について確かな情報に基づく議論が可能となるよう意図したもの。PINCの概要は以下の通りとなっている。・2050年
までの域内エネルギー供給で最大4兆2,000億ユーロの投資
EUのエネルギー同盟戦略に沿ったエネルギー・システ
ムへの移行を支援するには大規模な投資が必要で、2015年~2050年までに送電グリッドや熱電併給、蒸気ボイラーなど
への投資を含めて、EU域内のエネルギー供給で必要とされる投資額は3兆2,000億~4兆2,000億ユーロ(約402兆円
~528兆円)と見積もった。2008年以降、合計48件の原子力関係投資プロジェクトが新たに報告されており、このうち9件
は原子力のフロントエンド関係施設で、20件は原子力発電所における福島第一事故後の安全性改善もしくは運転期間の
長期化に向けた大規模改修など。7件が新規商業炉か研究炉への投資であり、12件はバックエンド施設関連だった。・原
子力発電設備のリプレース
原子炉を保有する加盟国すべてが安全性の改善に投資を行っているが、平均稼働年数の
増加に伴い、いくつかの加盟国では原子炉をリプレースするか、運転を長期化するかの判断に迫られている。運転長期化
プログラムを実施しない場合、約90%の既存炉が2030年までに閉鎖され、大容量をリプレースする必要が生じる。運転長
期化プログラムを進めた場合でも、2050年までには90%の原子力設備をリプレースしなければならず、2050年までと、そ
れ以降の期間に9,500万kW~1億500万kWの原子力設備を維持するリプレース用原子炉新設の投資として3,500億
~4,500億ユーロの投資が必要。新しい原子炉は少なくとも60年間稼働するよう設計されているので、今世紀末までは、
これらの新規原子炉で発電を行うことになる。これらの資金調達に影響するファクターとしては、建設オーバーナイト・コスト
や資金調達コスト、建設期間などがあるが、いくつかの新たな原子炉設計の初号機建設ではコストの増加と建設の遅れが
生じている。ただし、同型設計を将来的にも建設する際は、初号機の経験を活かしたり、コストの軽減も可能であるので、許
認可における規制当局同士の協力や、産業界による設計の標準化を促進すべきである。・既存炉の安全性改善と運転期
間の長期化 欧州の多くの事業者が、設計時の想定よりも長く原子炉を運転する意志を表明しているが、安全確保の観点
から(1)原子炉が規制要件に準拠し続けるという証明、(2)安全性の強化--が求められる。加盟国からの情報を分析し
た結果、既存炉の運転期間長期化で2050年までに450億~500億ユーロ(約5兆6,600億円~6兆3,000億円)の投
資が必要と見積もった。原子炉の設計や運転年数にもよるが、加盟国の規制当局が許可する延長期間は平均して10~2
0年ほどになると想定。事業者と規制当局は、改定版の原子力安全に関するEU指令に従って、安全性証明文書を作成、
審査、承認する必要がある。また、規制者間で共通の基準を設定するなど、許認可プロセスにおける規制当局同士の協力
促進は、こうした課題にタイムリーかつ適切に対応する一助となる。・燃料サイクルのバックエンド関連活動の増加
域内
で稼働中の129基中、50基以上が2025年までに閉鎖されると予想されており、注意深い計画立案と加盟国間の協力促
進が必要になる。原子炉を有する全加盟国が放射性廃棄物の深地層処分や長期管理について政治的にセンシティブな
判断を下さねばならないので、この問題に対する行動と投資判断を先送りしないことが重要。使用済み燃料と放射性廃棄
物に関するEU指令は、これらの安全かつ責任ある管理を法的に要求しているが、ここでは将来の世代に不当な重荷を背
負わせないことが目的となる。使用済み燃料を貴重な資源として再処理するのも、廃棄物として直接処分するのも加盟国の
自由であるが、どちらのオプションを選んだ場合でも高レベル廃棄物の処分は取り組むべき課題。また、世界的に見ても発
電炉の廃止措置経験が乏しく、2015年10月までに欧州で永久閉鎖された原子炉89基のうち、完全に廃止されたのはドイ
ツの原子炉3基のみとなっている。・放射性廃棄物の管理と廃止措置に対する資金調達要件
使用済み燃料と放射性廃
棄物に関するEU指令では、放射性廃棄物の発生から最終処分に至るまで管理の全責任は事業者にあるとの認識。事業
者は運転の初期段階から資金を積立て、政府が財政責任を負うリスクを可能な限り軽減する措置が必要であり、加盟国で
はコスト評価や適用可能な財政スキームといった国内プログラムを設置・維持するなどして、この原則を保証している。加盟
国からの情報によると、2014年12月時点で欧州の原子力発電事業者は、2050年までに原子炉の廃止措置と放射性廃
棄物管理に必要な金額を2,530億ユーロ(約31兆8,000億円)と試算。このうち1,230億ユーロ(15兆5,000億円)が
廃止措置用、残りの1,300億ユーロ(約16兆3,000億円)が使用済み燃料と放射性廃棄物の管理および深地層処分用
だとしている。
EC puts figure on maintaining nuclear capacity
04 April 2016
Investment of between €350 billion ($399 billion)
and €450 billion will be required over the next 35 years to maintain the European Union's nuclear generating capacity at
between 95 and 105 GWe, according to the European Commission's latest Nuclear Illustrative Program (PINC). The EC is
mandated by the Euratom Treaty to periodically issue a new PINC to indicate targets and a program for nuclear production
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and the corresponding investment required. The previous PINC was published in 2007. The European Commission noted
that latest PINC is the first to be presented after the March 2011 accident at the Fukushima Daiichi plant in Japan. The
commission noted that since the publication of the previous PINC "the EU nuclear landscape has undergone significant
changes with the organization of the comprehensive risk and safety assessments ('stress tests') of EU nuclear power reactors
after the Fukushima Daiichi accident and the adoption of landmark legislation on nuclear safety, radioactive waste and used
fuel management and radiation protection".
According to the EC, there are currently 129 nuclear power reactors in
operation in the EU with a combined generating capacity of 120 GWe. Together they provide 27% of the bloc's electricity.
However, the EC forecasts that there will be a decline in EU nuclear capacity up to 2025 due to ageing reactors being
retired and some member states ending or reducing their reliance on nuclear energy. With new reactors starting up and
lifetime extensions of existing reactors, this trend is expected to be reversed by 2030. Nuclear capacity is likely to remain
between 95 and 105 GWe by 2050, when it will account for about 20% of the EU's electricity production. Around 90% of
the EU's existing reactors would be shut down by 2030 without long-term operation programs, resulting in the need to
replace large amounts of capacity, the EC said. It estimates that some €45 billion to €50 billion will need to be invested in
the long-term operation of existing reactors by 2050. Maintaining a nuclear generation capacity of between 95 and 105
GWe until 2050 will also require investment of between €350 billion and €450 billion in new reactors to replace most of
the existing units. The commission noted, "Since new nuclear power plants are designed to operate for at least 60 years,
these new plants would generate electricity until the end of the century." This compares with the required investment of
between €3.2 trillion and €4.2 trillion in the overall EU energy supply between 2015 and 2050 in order to meet the
objectives of the Energy Union strategy.
More than 50 of the EU's currently operating reactors are expected to be
permanently shut down by 2025, the commission said. In December 2014, European nuclear operators estimated that €123
billion will be needed for decommissioning and €130 billion for radioactive waste management until 2050. The PINC also
looked at the front end of the fuel cycle. It notes that while major investments in conversion and enrichment capabilities
have been carried out, "the focus in the coming years will be put on modernising them in order to maintain the EU
technological leadership". "Based on Member States input, the PINC provides a useful photograph of the whole lifecycle
of nuclear power in Europe: from the front-end of fuel fabrication, to safety upgrades and long-term operations, to the back
end of the cycle, including waste management and decommissioning," said Maroš Šefčovič, vice-president responsible for
Energy Union. "The PINC contributes to the implementation of the Energy Union strategy, by looking into relevant
Member States' investments from the perspective of safety, security of supply, diversification, technological and industrial
leadership."
Miguel Arias Cañete, commissioner for climate action and energy, said: "Five years after the accident at
Fukushima Daiichi, Europe has learnt the lessons. The Nuclear Illustrative Program brings together for the first time an
overview of all investment aspects of nuclear energy in a single document. It thus contributes to the public discussion on
nuclear matters. Together we should be able to identify ways to cooperate across Europe to ensure that knowledge about
the safest use of nuclear power plants is shared, rather than done separately by each regulator, and that the management of
radioactive waste is secured financially by Member States until its final disposal." Third-party agreements The European
Commission has also today proposed an amendment to Article 103 of the Euratom Treat that would require Member States
to obtain the opinion of the commission on nuclear agreements with third countries before concluding them. Under the
recommendation, Member States would be required to inform the commission of draft agreements or contracts "with a third
state, an international organization or a national of the third state. The EC will then inform the Member State, within one
month, if the agreement or contract does not comply with the Euratom Treaty. "The application of this recommendation
should reduce the need for the commission to object to the conclusion of agreements, and thereby reduce the risk of delay
in their conclusion", the EC said.
Researched and written by World Nuclear News
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