No. 47 - Not Found

くものいと No. 47
March 2014
目 次
兵庫県内の球場周辺及び県立高校敷地内のクモ類(その2)
山本 一幸
1
「子どものためのクモの観察会」で採集したクモ -奈良市・生駒市・天理市・
関根 幹夫
7
ギンメッキゴミグモはいつ頭を下にする? -降雨との関係-
伊藤 博
17
オニグモ観察記
伊藤 博
20
大分のクモ相撲
関根 幹夫
26
奈良県のクロガケジグモの分布 -発見から 36 年経過して-
関根 幹夫
29
吉田 真・熊田 憲一・西川 喜朗・黒田 あき
34
赤松 史憲
50
橿原市・生駒郡平群町と三郷町-
山門水源の森のクモ類2
セアカゴケグモ報告 -和歌山県橋本市-
関西クモ研究会 採集会の記録(宝が池公園)
52
関西クモ研究会 採集会の記録(2013 年度)
54
池田勇介さんを偲ぶ(その2)
池田勇介くんの死を悼む
池田勇介くんを偲んで
吉田 真
56
西川 喜朗
58
関西クモ研究会 2012 年度例会の記録
60
関西クモ研究会 2013 年度例会の記録
61
関西クモ研究会 2012 年度会計報告
62
くものいと, No. 47 (March 2014)
兵庫県内の球場周辺及び県立高校敷地内のクモ類(その2)
山 本 一 幸
はじめに
長男が兵庫県立浜坂高校の野球部に入部し,県下の球場や高校に試合で行く際には,
保護者として送迎や応援に同行することが多くなった.本来ならスタンドで息子の活
躍を応援してやるべきであろうが,残念ながら野球というスポーツにあまり興味が無
いため時間を持て余していた.そのうちに球場や高校の周辺のクモを調べるようにな
り,兵庫県下のクモ相について新たな知見を得て,その結果を前号(「くものいと No.
46」山本 2012)に発表した.今回はその続編として,2012 年の春から夏に調べた結果
について報告する.
方法
場所柄,目立つ行為はつつしみ,散策をしながら目についたクモを手やフィルムケ
ースなどの簡単な容器を用いて採集した.採集したクモはアルコール入りのサンプル
ビンに入れ,そのまま液侵標本として持ち帰り,内容を分析した.また,コンパクト
デジタルカメラを持参し,生態などを撮影した.
2012 年 4 月から 6 月までに 4 回,4 地点の調査を実施している.
結果
(1)調査場所及び期日
調査した 4 地点の場所(図 1)及び調
Ha
Ko
査日は次の通りであり,地図上及びリス
トのデータには冒頭の略号で示す.
Ta:高砂市野球場(高砂市米田町島
526)周辺
・調査日:2012 年 4 月 28 日
Ko:こうのとりスタジアム(豊岡
市戸牧 368-3 豊岡総合スポーツ
センター内)周辺
・調査日:2012 年 5 月 12 日
Ha:県立浜坂高等学校(美方郡新
温泉町芦屋 853-2)敷地内
・調査日:2012 年 5 月 13 日
Oo:大屋球場(養父市大屋町市場
975)周辺
・調査日:2012 年 6 月 23 日
Oo
Ta
図 1. 調査地.
1
くものいと, No. 47 (March 2014)
(2)リスト
目撃及び採集したクモのリストは以下の通りである.データは調査場所(略号)
,採
集(目撃)した個体数,雌雄の明記は成熟個体のみを示している(未成熟個体は「y」
を付記).科の配列は谷川(2013)に準拠した.
ジグモ科 Atypidae
1. ワスレナグモ Calommata signata Karsch 1879
Ko:1y.Ha:1♀.
エンマグモ科 Segestriidae
2. ミヤグモ Ariadna lateralis Karsch 1881
Oo:1♀.
ウズグモ科 Uloboridae
3. ヤマウズグモ Octonoba varians (Bösenberg & Strand 1906)
Oo:1♂.
ヒメグモ科 Theridiidae
4. シロカネイソウロウグモ Argyrodes bonadea (Karsch 1881)
Oo:2♀.
5. ハイイロヒメグモ Paidiscura subpallens (Bösenberg & Strand 1906)
Oo:1♀.
6. カグヤヒメグモ Parasteatoda culicivora (Bösenberg & Strand 1906)
Ko:1♀.
7. オオヒメグモ Parasteatoda tepidariorum (C. L. Koch 1841)
Ta:3♂,1♀.Ha:1♂.Oo:1♂,1♀.
8. ムナボシヒメグモ Platnickina sterninotata (Bösenberg & Strand 1906)
Ta:1♂.
9. ヒメグモ科の一種 Gen. sp.
Oo:1y.
サラグモ科 Linyphiidae
10. サラグモ科の一種 Gen. sp.
Ta:1♀.
アシナガグモ科 Tetragnathidae
11. シロカネグモ属の一種 Leucauge sp.
Ta:1y.
コガネグモ科 Araneidae
12. オニグモ Araneus ventricosus (L. Koch 1878)
Ta:1y.
13. オニグモ属の一種 Araneus sp.
Ta:1y.
14. チュウガタコガネグモ Argiope boesenbergi Levi 1983
Oo:1♂,1♀.
15. ナガコガネグモ Argiope bruennichi (Scopoli 1772)
Oo:2y.
16. コガタコガネグモ Argiope minuta Karsch 1879
Ko:1y.Ha:1y.
17. ギンメッキゴミグモ Cyclosa argenteoalba Bösenberg & Strand 1906
Ta:1y.Oo:1♂.
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18. カラスゴミグモ Cyclosa atrata Bösenberg & Strand 1906
Oo:1y.
19. キジロゴミグモ Cyclosa laticauda Bösenberg & Strand 1906
Oo:2♀.
20. ゴミグモ Cyclosa octotuberculata Karsch 1879
Ta:1y.Ko:2y.Ha:1y.Oo:1♀.
21. マルゴミグモ Cyclosa vallata Keyserling 1886
Oo:1♀.
22. サツマノミダマシ Neoscona scylloides (Bösenberg & Strand 1906)
Oo:2y.
23. ヘリジロオニグモ Neoscona subpullata (Bösenberg & Strand 1906)
Ha:1♀.
24. ズグロオニグモ Yaginumia sia (Strand 1906)
Ko:1♀.Oo:3y.
コモリグモ科 Lycosidae
25. ヤスダコモリグモ Arctosa yasudai (Tanaka 2000)
Oo:1♀.
26. イナダハリゲコモリグモ Pardosa agraria Tanaka 1985
Oo:1♂.
27. オオアシコモリグモ属数種 Pardosa sp.
Oo:2y.
キシダグモ科 Pisauridae
28. アズマキシダグモ Pisaura lama Bösenberg & Strand 1906
Oo:1♀(卵のう)
ササグモ科 Oxyopidae
29. ササグモ Oxyopes sertatus L. Koch 1878
Oo:1y.
シボグモ科 Ctenidae
30. シボグモ Anahita fauna Karsch 1879
Oo:1♀.
タナグモ科 Agelenidae
31. クサグモ Agelena silvatica Oliger 1983
Ta:1y.Oo:4y.
32. コクサグモ Allagelena opulenta (L. Koch 1878)
Oo:1y.
33. シモフリヤチグモ Iwogumoa insidiosa (L. Koch 1878)
Ta:1♀.Oo:2♀.
34. シモフリヤチグモ属の一種 Iwogumoa sp.
Oo:1y.
ウシオグモ科 Desidae
35. クロガケジグモ Badumna insignis (L. Koch 1872)
Ta:1♀,3y.
ハグモ科 Dictynidae
36. ネコハグモ Dictyna felis Bösenberg & Strand 1906
Ta:1♀.う Oo:1♀.
37. ハグモ属の一種 Dictyna sp.
Oo:1y.
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くものいと, No. 47 (March 2014)
ヤマトガケジグモ科 Titanoecidae
38. ヤマトガケジグモ Nurscia albofasciata (Strand 1907)
Oo:1♂,2♀.
フクログモ科 Clubionidae
39. マダラフクログモ Clubiona deletrix O. P.-Cambridge 1885
Ta:2y.
ワシグモ科 Gnaphosidae
40. ワシグモ科の一種 Gen. sp.
Ta:1y.
エビグモ科 Philodromidae
41. キハダエビグモ Philodromus spinitarsis Simon 1895
Ta:2y.Ha:1♀.
カニグモ科 Thomisidae
42. キハダカニグモ Bassaniana decorata (Karsch 1879)
Ko:1♂.
43. コカニグモ Coriarachne fulvipes (Karsch 1879)
Ta:1y.
44. コハナグモ Diaea subdola O. P.-Cambridge 1885
Oo:1♀.
45. チクニエビスグモ Synema chikunii Ono 1983
Oo:1♀.
46. ヤミイロカニグモ Xysticus croceus Fox 1937
Oo:1♂.
47. カニグモ属の一種 Xysticus sp.
Oo:1y.
ハエトリグモ科 Salticidae
48. カタオカハエトリ Euophrys kataokai Ikeda 1996
Oo:1♀.
49. ヤハズハエトリ Mendoza elongata (Karsch 1879)
Oo:1♀.
50. シラヒゲハエトリ Menemerus fulvus (L. Koch 1878)
Oo:1♂.
51. シラホシコゲチャハエトリ Sitticus penicillatus (Simon 1875)
Oo:1♀.
考察
(1)兵庫県新記録
今回得られたクモ類は 20 科 51 種を記録し,未成熟等で属または科までしか同定で
きないものを除いた既知種だけでは 42 種となる.
新海ら(2012)による「県別・島別種名リスト」の兵庫県のデータと対照すると,
コガネグモ科キジロゴミグモ,コモリグモ科ヤスダコモリグモ,フクログモ科マダラ
フクログモの 3 種が新記録となる.特にヤスダコモリグモ(図 2,3)は北海道が記載
産地となっており(Tanaka 2000),本州からは茨城や静岡,三重で記録があるが,西日
本では記録がなかった.標本は田中穂積氏に検分をお願いし,確認いただいた.なお,
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くものいと, No. 47 (March 2014)
田中氏(私信)によれば,他に和歌山県,島根県からも採集されている.田中氏には
標本の確認ならびに,貴重な情報を提供いただき,この場をお借りして心から感謝申
し上げる.
図 2. ヤスダコモリグモ (背面).
図 3. ヤスダコモリグモの外雌器
(2)絶滅危惧種
兵庫県版レッドデータ(2003)で B ランク(絶滅危惧Ⅱ類)となるジグモ科ワスレ
ナグモは,今回の調査で,兵庫県内で更に 2 ヶ所の新たな産地が確認された.
豊岡市の「こうのとりスタジアム」では,入り口の駐車場ぞいに植えられたサクラ
の根元に盛られた土塊に直径 4 ㎜ほどの巣穴を 3 個発見し,そのうちの一つを掘って
本種の若齢個体を採集した.豊岡市内からは日高町(本庄 1994)や竹野町(笹岡 2006)
に次いで 3 例目の産地になる.
長男の母校である県立浜坂高校学校
からは,中庭の花壇の何も植えられてい
ない裸地になった一角に,直径 5 mm ~
8 mm の巣穴を数個発見した.土は砂質
で比較的軟らかく,大きめの巣穴を深さ
15 cm ほど掘って,メスの成熟個体を採
集した(図 4).当校は筆者の母校でもあ
り,在学中だった 1977 年頃,生物部員
としてクモの研究を始めた頃であった
図 4. 巣穴から掘り出したワスレナグモの♀.
が本種の生息は確認していない.
(3)外来種
ウシオグモ科クロガケジグモを高砂市野球場周辺で採集したが,それ以外の調査地
では未確認である.
おわりに
当初の予定では,県内各地の多くの球場や県立高校へ出向くつもりであったが,試
合の日程と仕事の折り合いがつかず,結果的に 4 地点しか調査できず,しかも内 3 地
点は但馬内でやや不本意ではある.しかし,ヤスダコモリグモの新発見やワスレナグ
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くものいと, No. 47 (March 2014)
モが我が母校に生息していたという事実が明らかになり,それなりの成果があったの
ではないかと思う.
長男の方は,春の但馬地区大会で優勝し,県大会でシード校になったが 1 回戦で負
けてしまった.夏の全国高校野球兵庫県大会ではまったく奮わず,初戦を勝ち進むこ
ともできず終った.試合の応援を口実に,県下の球場や高校周辺のクモを調べる機会
は当分無くなった.しかし,現在中学校 2 年生の次男がバスケットボール部に入って
いる.バスケットボールにあまり興味は無いが,遠征試合の時は応援に行ってやろう
と思っている.
参考文献・資料
小野展嗣 編 2009.日本産クモ類.東海大学出版会,神奈川県.
笹岡文雄 2006.但馬地方のワスレナグモ.Kishidaia, (89): 63.
新海 明・安藤昭久・谷川明男・池田博明・桑田隆生 2012.CD 日本のクモ Ver.2012,CD-ROM,著
者ら自刊.
新海栄一 2006.日本のクモ.文一総合出版,東京都.
Tanaka, H. 2000.A new species of the genus Tricca (Araneae : Lycosidae) from Japan. Acta arachnol., 49(2):
155-157.
谷川明男 2013.日本産クモ類目録,Ver.2013R2.インターネット,http://www.asahi-net.or.jp./~dp7atnkw/japan.pdf
兵庫県 2003.改訂・兵庫の貴重な自然 ―兵庫県版レッドデータ 2003―.兵庫県県民生活部環境局
自然環境保全課.
本庄四朗 1994.但馬地方の真正クモ類相について.兵庫生物,10(5): 175-178.
山本一幸 2012.兵庫県内の球場周辺及び県立高校敷地内のクモ類 (その 1).くものいと, (46): 4-11.
ナミズキンヌカグモ(♀)
大阪府茨木市福井
2013 年 5 月 26 日 関西クモ研究会採集会
撮影:加村隆英
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くものいと, No. 47 (March 2014)
「子どものためのクモの観察会」で採集したクモ
-奈良市・生駒市・天理市・橿原市・生駒郡平群町と三郷町関 根 幹 夫
SPIDER-WATCHING FOR CHILDREN
The list of spiders for Nara, Ikoma,Tenri, Kashihara, Heguri-cho, and Sango-cho
Mikio Sekine
I acted as a lecturer on the Spider-watching workshop for children held by the Non-profit
Organization; Nara-ken Seishonen Bunka Shinko Kyokai, from 2001 up to now. I checked a
total of 24 spider families, comprising 111 different species.
筆者は,NPO 法人奈良県青少年文化振興協会の「子どものためのクモの観察会」の
講師を 2001 年から現在まで務めてきた.2001 年から 2012 年のクモの観察会で,奈良
県の北西部と中部地域で 24 科 111 種のクモ類が確認できたので,ここに報告する.科
名の配列は,小野(2009)によった.採集場所は,以下の地域である.図に示した地
点番号は,採集場所の番号に対応している(図 1).目録は,奈良市・生駒市・天理市・
橿原市・生駒郡平群町と三郷町に分けて作成し,採集日を年号の下二桁で,オス成体:
♂,幼体:y と表す.
(I)
1)
2)
3)
4)
5)
奈良市
大渕池公園:奈良市大渕町,標高 126 m
13-V-2001, 13-X-2002, 3-XI-2012
平城京跡:奈良市佐紀町,標高 74 m
27-X-2002
奈良市黒髪山キャンプフィールド:奈良市奈良阪町,標高 89 m
10-X-2010
奈良県新公会堂庭園:奈良市春日野町,標高 116 m
25-V-2003
御嶽教大杉大教会本部付近:奈良市春日野町・高畑町,標高 147 m
23-IV-2006, 5-VII-2009
(II) 生駒市
6) 生駒山麓公園:生駒市俵口町,標高 331 m
(III) 天理市
7) 石上神宮外苑公園:天理市杣之内町,標高 111 m
石上神宮:天理市布留町,標高 110 m
7
15-VII-2001
12-V-2002, 29-IV-2007
21-XI-2010
くものいと, No. 47 (March 2014)
(IV) 橿原市
8) 橿原公苑第一体育館付近:橿原市畝傍町,標高 71 m
4-VI-2006, 6-VII-2008
(V) 生駒郡平群町と生駒郡三郷町
9) 信貴山展望台付近:生駒郡平群町信貴山,標高 292 m; 生駒郡三郷町信貴山東,標
高 273 m
21-XI-2001, 23-IX-2008, 8-XI-2009
図 1. 採集場所.
目
(I) 奈良市(Nara)
Atypidae ジグモ科
Atypus karschi
Segestriidae エンマグモ科
Ariadna lateralis
Pholcidae ユウレイグモ科
Pholcus crypticolens
Pholcus phalangioides
Uloboridae ウズグモ科
Octonoba sybotides
録
ジグモ 大杉大教会 09
ミヤグモ 大杉大教会 06
ユウレイグモ
大渕池 01,大渕池 02, 新公会堂 03,
大杉大教会 09
イエユウレイグモ 大渕池 12
カタハリウズグモ 大渕池 02, 大渕池 12
8
くものいと, No. 47 (March 2014)
Octonoba varians
Urocteidae ヒラタグモ科
Uroctea compactilis
Desidae ウシオグモ科
Badumna insignis
Agelenidae タナグモ科
Agelena silvatica
Allagelena opulenta
Pisauridae キシダグモ科
Dolomedes saganus
Pisaura lama
Lycosidae コモリグモ科
Lycosa coelestis
Pardosa astrigera
Pardosa laura
Oxyopidae ササグモ科
Oxyopes sertatus
Mimetidae センショウグモ科
Ero japonica
Linyphiidae サラグモ科
Neriene emphana
Neriene fusca
Neriene longipedella
Neriene nigripectoris
Turinyphia yunohamensis
Theridiidae ヒメグモ科
Argyrodes bonadea
Argyrodes kumadai
Ariamnes cylindrogaster
Chrysso argyrodiformis
Chrysso foliata
Chrysso scintillans
Episinus nubilus
Parasteatoda angulithorax
Parasteatoda culicivora
ヤマウズグモ 黒髪山キャンプ 10
ヒラタグモ
黒髪山キャンプ 10, 大杉大教会 06,
大杉大教会 09
クロガケジグモ 大渕池 02, 平城京跡 02,
黒髪山キャンプ 10
クサグモ 黒髪山キャンプ 10, 大杉大教会 06,
大杉大教会 09
コクサグモ 大渕池 01, 大渕池 02, 大渕池 12,
平城京跡 02, 黒髪山キャンプ 10,
新公会堂 03, 大杉大教会 09
スジブトハシリグモ 大杉大教会 06
アズマキシダグモ 新公会堂 03
ハラクロコモリグモ 平城京跡 02♂
ウヅキコモリグモ 大渕池 02, 平城京跡 02,
新公会堂 03, 黒髪山キャンプ 10
ハリゲコモリグモ 大渕池 02, 平城京跡 02,
新公会堂 03, 大杉大教会 06
ササグモ 黒髪山キャンプ 10, 新公会堂 03,
大杉大教会 09
センショウグモ 大渕池 02
タイリクサラグモ 大渕池 12
クスミサラグモ 大渕池 01, 大渕池 02, 大渕池 12,
黒髪山キャンプ 10, 大杉大教会 06
アシナガサラグモ 黒髪山キャンプ 10
ムネグロサラグモ 大杉大教会 09
ユノハマサラグモ 大渕池 01, 新公会堂 03,
大杉大教会 06
シロカネイソウロウグモ
大渕池 12, 平城京跡 02,
大杉大教会 06
チリイソウロウグモ 大渕池 12
オナガグモ 黒髪山キャンプ 10, 大杉大教会 09
オダカグモ 大杉大教会 06
ホシミドリヒメグモ 大渕池 01, 大杉大教会 06
コガネヒメグモ 大渕池 01
ムラクモヒシガタグモ 大杉大教会 09
ツリガネヒメグモ 大渕池 01
カグヤヒメグモ 大渕池 02, 大渕池 12,
大杉大教会 06
9
くものいと, No. 47 (March 2014)
Parasteatoda japonica
Parasteatoda tepidariorum
Yunohamella subadulta
Yaginumena castrata
Tetragnathidae アシナガグモ科
Leucauge celebesiana
Leucauge subblanda
Tetragnatha maxillosa
Tetragnatha praedonia
Tetragnatha squamata
Nephilidae ジョロウグモ科
Nephila clavata
Araneidae コガネグモ科
Araneus pentagrammicus
Argiope amoena
Argiope bruennichi
Argiope minuta
Cyclosa argenteoalba
Cyclosa monticola
Cyclosa octotuberculata
Eriophora astridae
Neoscona adianta
Neoscona melloteei
Neoscona nautica
Neoscona scylla
Ctenidae シボグモ科
Anahita fauna
Sparassidae アシダカグモ科
Heteropoda venatoria
Philodromidae エビグモ科
Philodromus spinitarsis
Tibellus japonicus
ニホンヒメグモ 大渕池 02
オオヒメグモ 大渕池 01, 大渕池 02, 大渕池 12,
平城京跡 02, 黒髪山キャンプ 10,
新公会堂 03, 大杉大教会 06,
大杉大教会 09
コケヒメグモ 大渕池 01
ボカシミジングモ 大渕池 12, 大杉大教会 06
オオシロカネグモ
黒髪山キャンプ 10, 新公会堂 03,
大杉大教会 06, 大杉大教会 09♂
コシロカネグモ 大渕池 01
ヤサガタアシナガグモ 大渕池 01
アシナガグモ 大渕池 12, 平城京跡 02,
黒髪山キャンプ 10, 大杉大教会 09
ウロコアシナガグモ 大渕池 12♂, 大杉大教会 09
ジョロウグモ
大渕池 02, 大渕池 12, 平城京跡 02
黒髪山キャンプ 10, 大杉大教会 09y
アオオニグモ 大渕池 02
コガネグモ 平城京跡 02♂, 新公会堂 03♂,
大杉大教会 09
ナガコガネグモ 平城京跡 02, 黒髪山キャンプ 10
コガタコガネグモ 大渕池 02, 大杉大教会 09
ギンメッキゴミグモ 大渕池 01, 大渕池 02,
黒髪山キャンプ 10,
新公会堂 03, 大杉大教会 06,
大杉大教会 09
ヤマゴミグモ 大渕池 01, 大杉大教会 06,
大杉大教会 09
ゴミグモ 大渕池 01, 大渕池 02, 大渕池 12,
平城京跡 02, 黒髪山キャンプ 10,
新公会堂 03, 大杉大教会 06,
大杉大教会 09
サガオニグモ 大杉大教会 06
ドヨウオニグモ 平城京跡 02
ワキグロサツマノミダマシ 黒髪山キャンプ 10
イエオニグモ 大渕池 02
ヤマシロオニグモ 大渕池 01, 大杉大教会 06
シボグモ 大渕池 02, 平城京跡 02, 黒髪山キャンプ 10,
新公会堂 03, 大杉大教会 06
アシダカグモ 大杉大教会 09
キハダエビグモ 大杉大教会 06
シャコグモ 大渕池 02, 新公会堂 03, 大杉大教会 06
10
くものいと, No. 47 (March 2014)
Gnaphosidae ワシグモ科
Sernokorba pallidipatellis
Zelotes asiaticus
Thomisidae カニグモ科
Diaea subdola
Ebrechtella tricuspidata
Heriaeus melloteei
Oxytate striatipes
Pistius undulatus
Xysticus croceus
Liocranidae ウエムラグモ科
Itatsina praticola
Corinnidae ネコグモ科
Otacilia komurai
Phrurolithus pennatus
Trachelas japonicus
Salticidae ハエトリグモ科
Carrhotus xanthogramma
Menemerus fulvus
Myrmarachne japonica
Pseudicius vulpes
Sibianor pullus
Siler cupreus
Yaginumaella striatipes
(II) 生駒市(Ikoma)
Agelenidae タナグモ科
Allagelena opulenta
Lycosidae コモリグモ科
Pardosa laura
Linyphiidae サラグモ科
Neriene oidedicata
Turinyphia yunohamensis
Theridiidae ヒメグモ科
Argyrodes cylindratus
Argyrodes kumadai
Parasteatoda culicivora
Parasteatoda japonica
Parasteatoda kompirensis
Parasteatoda tepidariorum
Yunohamella subadulta
Tetragnathidae アシナガグモ科
Leucauge celebesiana
Leucauge subblanda
Leucauge subgemmea
マエトビケムリグモ 大渕池 01, 大杉大教会 06,
大杉大教会 09
クロチャケムリグモ 平城京跡 02, 大杉大教会 09
コハナグモ 大杉大教会 06
ハナグモ 平城京跡 02♂, 大杉大教会 09
アシナガカニグモ 大渕池 02
ワカバグモ 大渕池 01
ガザミグモ 大渕池 01, 大杉大教会 06
ヤミイロカニグモ 大渕池 01, 大渕池 02,
平城京跡 02, 大杉大教会 06
イタチグモ 大渕池 02
コムラウラシマグモ 黒髪山キャンプ 10
ヤバネウラシマグモ 大杉大教会 09
ネコグモ 大渕池 01
ネコハエトリ 平城京跡 02
シラヒゲハエトリ 大渕池 01
アリグモ 大渕池 01, 大渕池 02
イナヅマハエトリ 新公会堂 03
キレワハエトリ 大渕池 02
アオオビハエトリ 新公会堂 03♂
ウススジハエトリ 新公会堂 03
コクサグモ 01
ハリゲコモリグモ 01
ヘリジロサラグモ 01
ユノハマサラグモ 01
トビジロイソウロウグモ 01
チリイソウロウグモ 01
カグヤヒメグモ 01
ニホンヒメグモ 01
コンピラヒメグモ 01
オオヒメグモ 01
コケヒメグモ 01
オオシロカネグモ 01
コシロカネグモ 01
キララシロカネグモ 01
11
くものいと, No. 47 (March 2014)
Tetragnatha praedonia
Nephilidae ジョロウグモ科
Nephila clavata
Araneidae コガネグモ科
Argiope amoena
Argiope bruennichi
Neoscona scylla
Philodromidae エビグモ科
Tibellus japonicus
Gnaphosidae ワシグモ科
Zelotes asiaticus
Thomisidae カニグモ科
Ebrechtella tricuspidata
Thomisus labefactus
Xysticus croceus
Liocranidae ウエムラグモ科
Itatsina praticola
Salticidae ハエトリグモ科
Carrhotus xanthogramma
Myrmarachne japonica
Siler cupreus
(III) 天理市(Tenri)
Pholcidae ユウレイグモ科
Pholcus crypticolens
Uloboridae ウズグモ科
Miagrammopes orientalis
Octonoba varians
Urocteidae ヒラタグモ科
Uroctea compactilis
Agelenidae タナグモ科
Agelena silvatica
Allagelena opulenta
Lycosidae コモリグモ科
Lycosa coelestis
Linyphiidae サラグモ科
Neriene fusca
Neriene longipedella
Neriene radiata
Turinyphia yunohamensis
Theridiidae ヒメグモ科
Anelosimus crassipes
Argyrodes bonadea
Parasteatoda culicivora
Parasteatoda tepidariorum
Spheropistha melanosoma
Yunohamella subadulta
アシナガグモ 01
ジョロウグモ 01y
コガネグモ 01y
ナガコガネグモ 01y
ヤマシロオニグモ 01
シャコグモ 01
クロチャケムリグモ 01
ハナグモ 01
アズチグモ 01
ヤミイロカニグモ 01
イタチグモ 01
ネコハエトリ 01
アリグモ 01
アオオビハエトリ 01
ユウレイグモ 02
マネキグモ 02, 07
ヤマウズグモ 02
ヒラタグモ 02, 07, 10
クサグモ 02y
コクサグモ 02, 07
ハラクロコモリグモ 02
クスミサラグモ 07
アシナガサラグモ 10
シロブチサラグモ 07
ユノハマサラグモ 07
アシブトヒメグモ 02
シロカネイソウロウグモ 07
カグヤヒメグモ 02, 07
オオヒメグモ 02, 07
クロマルイソウロウグモ 07
コケヒメグモ 02
12
くものいと, No. 47 (March 2014)
Yunohamella yunohamensis
Tetragnathidae アシナガグモ科
Leucauge celebesiana
Leucauge subblanda
Tetragnatha praedonia
Tetragnatha squamata
Nephilidae ジョロウグモ科
Nephila clavata
Araneidae コガネグモ科
Acusilas coccineus
Argiope boesenbergi
Argiope minuta
Cyclosa argenteoalba
Cyclosa monticola
Cyclosa octotuberculata
Cyclosa omonaga
Cyclosa sedeculata
Eriophora astridae
Larinioides cornutus
Neoscona melloteei
Neoscona scylla
Neoscona scylloides
Ctenidae シボグモ科
Anahita fauna
Sparassidae アシダカグモ科
Heteropoda venatoria
Philodromidae エビグモ科
Philodromus spinitarsis
Gnaphosidae ワシグモ
Zelotes asiaticus
Thomisidae カニグモ科
Bassaniana decorata
Diaea subdola
Oxytate striatipes
Xysticus croceus
Xysticus insulicola
Liocranidae ウエムラグモ科
Itatsina praticola
Salticidae ハエトリグモ科
Carrhotus xanthogramma
Hasarius adansoni
Marpissa pulla
Myrmarachne japonica
Plexippoides doenitzi
Siler cupreus
ユノハマヒメグモ 07
オオシロカネグモ 07
コシロカネグモ 02, 07
アシナガグモ 07
ウロコアシナガグモ 07♂
ジョロウグモ 10
ハツリグモ 07
チュウガタコガネグモ 02, 07
コガタコガネグモ 07
ギンメッキゴミグモ 02, 07, 10
ヤマゴミグモ 07
ゴミグモ 02, 07, 10
シマゴミグモ 07
ヨツデゴミグモ 10
サガオニグモ 02
ナカムラオニグモ 10
ワキグロサツマノミダマシ 07
ヤマシロオニグモ 02
サツマノミダマシ 02y, 07
シボグモ 10
アシダカグモ 02
キハダエビグモ
07
クロチャケムリグモ 10
キハダカニグモ 02
コハナグモ 02
ワカバグモ 07
ヤミイロカニグモ 07
アズマカニグモ 02
イタチグモ 02, 07
ネコハエトリ 07, 10
アダンソンハエトリ 07, 10
ヨダンハエトリ 02
アリグモ 02
デーニッツハエトリ 07
アオオビハエトリ 10
13
くものいと, No. 47 (March 2014)
(IV) 橿原市(Kashihara)
Segestriidae エンマグモ科
Ariadna lateralis
Uloboridae ウズグモ科
Octonoba sybotides
Urocteidae ヒラタグモ科
Uroctea compactilis
Desidae ウシオグモ科
Badumna insignis
Agelenidae タナグモ科
Allagelena opulenta
Lycosidae コモリグモ科
Pardosa pseudoannulata
Oxyopidae ササグモ科
Oxyopes sertatus
Linyphiidae サラグモ科
Neriene fusca
Theridiidae ヒメグモ科
Anelosimus crassipes
Argyrodes bonadea
Chrysso argyrodiformis
Enoplognatha abrupta
Parasteatoda culicivora
Parasteatoda japonica
Parasteatoda tepidariorum
Stemmops nipponicus
Takayus chikunii
Takayus latifolius
Tetragnathidae アシナガグモ科
Leucauge celebesiana
Leucauge subgemmea
Tetragnatha praedonia
Tetragnatha squamata
Nephilidae ジョロウグモ科
Nephila clavata
Araneidae コガネグモ科
Argiope amoena
Argiope bruennichi
Argiope minuta
Cyclosa argenteoalba
Cyclosa monticola
Cyclosa octotuberculata
Cyrtophora ikomosanensis
Neoscona scylla
Neoscona scylloides
Yaginumia sia
ミヤグモ 06
カタハリウズグモ 08
ヒラタグモ 06
クロガケジグモ
06
コクサグモ 06, 08
キクヅキコモリグモ 08
ササグモ 06, 08
クスミサラグモ
08
アシブトヒメグモ 06
シロカネイソウロウグモ 06, 08
オダカグモ 08
カレハヒメグモ 08
カグヤヒメグモ 06
ニホンヒメグモ 08
オオヒメグモ 06, 08
スネグロオチバヒメグモ 06
バラギヒメグモ 06
ヒロハヒメグモ 08y
オオシロカネグモ 06, 08
キララシロカネグモ 08
アシナガグモ 06, 08
ウロコアシナガグモ 06
ジョロウグモ 08y
コガネグモ 06, 08
ナガコガネグモ 08
コガタコガネグモ 08y
ギンメッキゴミグモ 06, 08
ヤマゴミグモ 08
ゴミグモ 06
スズミグモ 08
ヤマシロオニグモ 06
サツマノミダマシ 08
ズグロオニグモ 08
14
くものいと, No. 47 (March 2014)
Ctenidae シボグモ科
Anahita fauna
Thomisidae カニグモ科
Xysticus croceus
Corinnidae ネコグモ科
Phrurolithus pennatus
Salticidae ハエトリグモ科
Myrmarachne japonica
Pseudicius vulpes
Siler cupreus
シボグモ 08
ヤミイロカニグモ 06
ヤバネウラシマグモ 08
アリグモ 06
イナズマハエトリ 08
アオオビハエトリ 06
(V) 生駒郡平群町(Heguri-cho)と生駒郡三郷町(Sango-cho)
和名の前の*印は,三郷町(奈良交通信貴山バス停付近)で確認された種である.
Atypidae ジグモ科
Atypus karschi
ジグモ 01, 08, 09
Pholcidae ユウレイグモ科
Pholcus crypticolens
ユウレイグモ 08, 09
Uloboridae ウズグモ科
Octonoba sybotides
カタハリウズグモ 08
Urocteidae ヒラタグモ科
Uroctea compactilis
ヒラタグモ 08, 09
Desidae ウシオグモ科
Badumna insignis
*クロガケジグモ 08
Agelenidae タナグモ科
Agelena silvatica
クサグモ 01, 08
Allagelena opulenta
コクサグモ 08
Lycosidae コモリグモ科
Pardosa astrigera
ウヅキコモリグモ 01, 09
Oxyopidae ササグモ科
Oxyopes sertatus
ササグモ 01
Linyphiidae サラグモ科
Neriene fusca
クスミサラグモ 08
Neriene longipedella
アシナガサラグモ 08
Neriene nigripectoris
ムネグロサラグモ 09
Neriene oidedicata
ヘリジロサラグモ 01
Neriene radiata
シロブチサラグモ 08
Turinyphia yunohamensis
ユノハマサラグモ 01
Theridiidae ヒメグモ科
Argyrodes kumadai
チリイソウロウグモ 08♂
Ariamnes cylindrogaster
オナガグモ 01, 08
Episinus affinis
ヒシガタグモ 01
Latrodectus hasselti
*セアカゴケグモ 09
Parasteatoda culicivora
カグヤヒメグモ 01
Parasteatoda japonica
ニホンヒメグモ 08
Parasteatoda tepidariorum
オオヒメグモ 01, 08
Tetragnathidae アシナガグモ科
Leucauge celebesiana
オオシロカネグモ 08
15
くものいと, No. 47 (March 2014)
Leucauge subblanda
Nephilidae ジョロウグモ科
Nephila clavata
Araneidae コガネグモ科
Araneus ejusmodi
Argiope minuta
Cyclosa argenteoalba
Cyclosa monticola
Cyclosa octotuberculata
Cyclosa omonaga
Cyclosa sedeculata
Eriophora sachalinensis
Neoscona nautica
Neoscona scylla
Philodromidae エビグモ科
Philodromus subaureolus
Tibellus japonicus
Thomisidae カニグモ科
Diaea subdola
Xysticus croceus
Liocranidae ウエムラグモ科
Itatsina praticola
Corinnidae ネコグモ科
Phrurolithus nipponicus
Salticidae ハエトリグモ科
Menemerus fulvus
Myrmarachne elongata
Siler cupreus
コシロカネグモ
09
ジョロウグモ 01, 08, 09
ヌサオニグモ 01
コガタコガネグモ 01, 08
ギンメッキゴミグモ 01
ヤマゴミグモ 01
ゴミグモ 09
シマゴミグモ 08
ヨツデゴミグモ 01, 08
カラフトオニグモ 09
*イエオニグモ 08, 09
ヤマシロオニグモ 01, 09
アサヒエビグモ 01
シャコグモ 01
コハナグモ 08
ヤミイロカニグモ 01
イタチグモ 01
ウラシマグモ 09
シラヒゲハエトリ 08
*ヤガタアリグモ 09
アオオビハエトリ 08
引用文献
小野展嗣 (編), 2009. 日本産クモ類.東海大学出版会 xvi+738 pp.
16
くものいと, No. 47 (March 2014)
ギンメッキゴミグモはいつ頭を下にする? -降雨との関係伊 藤 博
普段自宅の庭や田畑などで何気なく見ているクモは,
みんな下を向いて網に止まっている,と思っていた.あ
るとき図鑑の中で「ギンメッキゴミグモは網の中心に頭
を上にして止まる」という記述に目が留まった(新海栄
一 2006, 日本のクモ, 文一総合出版).山門水源の森で
クモの調査を行った際,関西クモ研究会の皆さんにギン
メッキゴミグモを教えていただいていたこともあり,自
宅でも網に止まっている姿を見ていた.しかし,観察の
2012.10.20 9:30
初心者は「クモはみんな頭を下
にして止まる」と思い込んでい
た(正直どっちが頭かの判断すらしていなかった).そこで改
めて観察してみると,10 頭ほどのギンメッキゴミグモが見つか
り,確かにすべての個体が頭を上にして止まっていた.なぜ他
のクモと違う行動をとるのか疑問に思っていたが,深く考える
ことはなかった.
2012 年 5 月 15 日,比較的風のおだやかな日にギンメッキゴ
ミグモを撮影していた時,突然やや大粒の雨が降り始め,雨粒
2012.5.15
がギンメッキゴミグモに当たった瞬間,頭を上にしていたもの
9:30
がくるりと反転して頭を下にした.その時,「ギンメッキゴミ
グモは雨粒が嫌いで,雨が降り始めたら下を向くのかもしれな
い」と考え,降雨を狙って観察を試みた.2012 年 6 月 19 日,台風 4 号が接近する中,
根っからの無精者,雨中でじっと観察を継続する勇気もなく,デジタルカメラで連続
撮影した画像からその行動を調べてみた.その結果,やや強めの降雨のときは頭を下
にすることが観察された.しかし,降雨量との関係など定量的な考察はできていない.
1. 撮影方法
今回のような連続した動作はビデオカメラで連続撮影するのが望ましいが,ビデオ
カメラを持ち合わせず,しかも雨中の長時間撮影になるため防水対策も必要となるた
め,防水型でインターバル撮影機能を持ったコンパクトデジカメを使用した.
(1)カメラ:PENTAX WG-1 型を三脚にセットして撮影した.
(2)撮影場所:滋賀県大津市の伊藤宅の庭.
(3)撮影日時:2012 年 6 月 19 日 6:52~16:32
(4)カメラ設定条件
・撮影インターバル:30 秒間隔
・ピント合わせ
:オートフォーカスではピントが合わないため,距離設定
によるマニュアルフォーカスとした.
17
くものいと, No. 47 (March 2014)
2. 結果
右の表に降雨の強さとギンメッキゴミグモの網に
止まる態勢の変化・推移を示した.
・表中,
は頭を上にして止まっているこ
とを示し,
は頭を下にして止まっている
ことを示す.
・それぞれの矢印の長さはその態勢が継続した時
間の長さを視覚的に表した.つまり矢印の長短
は時間の長短に対応する.
・雨の強さは感覚的なもので筆者の独断である.
◎:降っていない
①:弱い
②:大粒の雨が混じる ③:やや強い
時 刻
雨の強さ
6:52
7:08
7:10
③
②
③
7:19
7:23
①
③
7:41
7:47
7:49
7:50
②
③
②
8:04
◎
9:17
態 勢
画 像
1:撮影開始
③
②~③
9:29
9:29
9:30
◎~②
1143
11:46
③
②
12:05
A
③
B
12:24
②
12:33
③
12:57
13:04
13:06
13:13
13:16
C
①
③
②
③
①
D
14:40
②~③
E
A:撮影開始・頭を上に.
6:52
B:画面外へ移動.
14:40
C・D:短時間で態勢変
化. 15:03,15:05
E:一瞬,頭を下に.
15:34
15:00
15:05
15:05
15:05
15:10
15:10
15:15
15:16
◎
①
①
①
①
①
①
3・4:雨が小や
み状態にもか
かわらず短時
間で態勢が変
わっている。
一瞬消えた。
①~②
15:34
◎~①
16:32
18
2:フレームアウ
ト。理由はわか
らない。
5:一瞬、頭を
下にした。雨以
外の何かの要
因か?
くものいと, No. 47 (March 2014)
(1)頭を下向きにするのは大粒の雨が少し密度高く降ってきたときである.弱い雨で
は頭を下にすることはなく,大粒の雨が混じり始めると頭を下にすることがあり,
大粒の雨が密度高くなってくると確実に頭を下にするようである.
(2)14:40 から 15:00 の間は,理由がわからないが網の中心から移動し,フレーム
アウトしていた.比較的雨脚が強く,雨を避けた? 未確認.
(3)15:05 から 15:10 の間は,雨が小やみにもかかわらず短時間で態勢が変わって
いる.網の補修かエサ取りで移動したのかもしれない.
(4)15:15 一瞬画面外に移動した.
(5)雨は上がり始めており,頭を上向きにしていたが,一瞬反転した.
3. 補足実験
ギンメッキゴミグモは強い雨が
降ると頭を下向きにすることが多
いことはわかった.その動機が雨
粒の大きささによるものなのか,
網に付着する雨の量によるものか
ヒントを得るため,霧吹きで水滴
を吹きかけてみた.最初,水滴に
よるものかを見るため,スポイト
霧吹き:頭を上に.
霧吹き:頭を下に.
2012.10.14
2012.10.14
で滴下してみたが,網の強度が弱
く,すぐに破損してしまった.そ
のため,霧吹きを使用した.霧吹きによる水は霧状になってクモの体に付着するが,
クモは頭を上にしたままであり,ある程度体に付着する水の量が多くならないと頭を
下向きに変えなかった.
4. まとめ
クモ観察初心者の拙い観察であるが,概略次のようことが分かった.
(1)ギンメッキゴミグモは,やや強い雨が降ると頭を下向きにする.雨の降り始めで
も,雨滴が直撃すると一瞬頭を下にすることがあった.この場合,またすぐに元通
り頭を上に戻していた.
(2)今回の観察における頭の上下入れ替わりは約 10 時間に 16 回であった.但し,撮
影間隔が 30 秒間あるためその間に上下を入れ替えている可能性もあり,もっと高
頻度なのかもしれない.また雨以外にもその行動の動機があるのかもしれない.
(3)霧吹きの実験結果から,ある程度の量の水滴が体に付着しないと頭を下に向けな
い.これは,小雨のときには頭を下に向けないことと共通していると思われる.
しかし,なぜ雨が降ると頭を下にするのだろうか.人と同じく顔に雨がかかるのは
嫌なのだろうか.それよりも,網にかかった餌に飛びつくには下向きに移動する方が
重力的に効率がよさそうに思うが,なぜ頭を上にして止まるのだろうか.疑問は残っ
たままである.なお,ギンメッキゴミグモのこのような行動については,船曳さんの
ご 指 導 に より 「 池 田 博明 , ク モ 生理 生 態 辞 典 2011 ( 編 集 中 ), イ ン タ ー ネッ ト
http://www.ne.jp/asahi/jumpingspider/studycenter/Dic11.html」のギンメッキゴミグモの項に
記述されていることがわかったので付記させていただく.
19
くものいと, No. 47 (March 2014)
オニグモ観察記
伊 藤 博
1. はじめに
2012 年 7 月,自宅 2 階の庇にオニグモが網を張って
いるのを見つけた.しばらくの間は時々写真に撮った
りする程度にしていたが,次のような動機から連続撮
影をして動きを追ってみた.
① 網に出てくるのは夜だけであり,昼はどこかに潜
んでいる.その出没行動と夜明け時刻あるいは日
没時刻との関連はあるのか.
② エサはどんなものをいつ食べるのか.昼,網にか
かったものは昼に食べるのかあるいは夕方網に出
るまで待つのか.
③ 図鑑よれば「網は,損傷の程度によって 2~3 日
図 1. 網の中央でコガネムシを
おきに張り替える」とあったが実際にはどうなの
食べる.2012.8.7 21:57
か.網の張替には相当なエネルギーを消費すると
考えられるが,どんな行動をとるのか.
④ 季節的にはいつまで行動するのか.
このような着眼点を持って 8 月 1 日から 10 月 17 日まで連続撮影を行った.以下に,
その撮影画像から見えたオニグモの生活ぶりについて紹介する.
2. 観察場所と方法
(1)観察場所
滋賀県大津市の筆者宅の 2F ベランダ.場所は JR 湖西線和邇駅西側の住宅地で,
東側に琵琶湖を望む傾斜地である.網は自宅の東南の角の庇付近に張られたため,
朝日は早く当たり,西日は早く陰になる.日中は南からの太陽光が強く当たる.
①の円は網が張られた場所である.
②は隣家の TV アンテナで,後述のように一
図 2. 観察場所
時姿を消した後,10 月 4 日に移動してい
たのが確認された場所である.自宅の壁面
①
④
から約 10 m 離れており,果たして同一個
体かは不明である.
③は連続撮影したカメラの設置状況を示す.
④は日中に網から退避していた場所を示す.
(2)観察方法
③
コンパクトデジタルカメラのインター
バル撮影機能を利用して 3 分間隔で撮影
を継続し,その記録画像から挙動を追った.
(3)観察期間
2012 年 8 月 1 日から 10 月 17 日(オニグモが姿を消した日)まで.
20
②
くものいと, No. 47 (March 2014)
3. 結果と考察
(1)網への出没時刻
表 1 に,画像から確認できた網への出没行動を示した.
は網へ出てきた時刻を示す.
は網から消えた時刻,
① 行動時刻に変動はあるものの,概ね夜明け・日没時刻と対応しているように見える.
すなわち,夏から秋に向かうにつれて姿を消す時刻は遅くなり,姿を現す時刻は早
くなる傾向を示す.行動は雨の強さも影響しているようで,強い雨の場合には軒下
で待機していることもあった.
② 季節的には,10 月に入ると網への出没が不規則になり,日中に網へ出るなど行動が
安定しなくなった.最終的には 10 月 17 日を最後に姿が確認できなくなった.
表 1. 網への出没時刻
8月1日
8月4日
8月6日
8月8日
8月9日
8月10日
8月11日
8月12日
8月16日
8月17日
8月18日
8月19日
8月22日
8月23日
8月25日
8月26日
8月27日
8月28日
8月29日
8月30日
8月31日
9月1日
9月3日
9月4日
9月5日
9月6日
9月7日
4
4:59
4:56
4:45
4:41
4:44
4:59
5
6
・・・・・・
16
17
18
19
20
19:23
19:23
19:21
19:26
軒下で採食
19:20
19:04
4:49
18:29 餌に取りつく
5:07
5:02
5:03
4:54
5:01
強い雨のため20:40まで軒下で待機
19:12
18:55
18:58
18:51
17:00捕食行動、翌日3:40ころまで。
18:51
5:06
4:58
5:02
18:46
18:46
18:47
19:07
5:04
5:18
5:23
5:07
5:36
5:09
18:35
18:34
17:57
18:30
18:30
これ以降、所在不明。10/4隣家のTVアンテナで再見。同一個体かは不明。
10月4日 6:55
10月5日 5:30
10月6日 6:10
この間、網に居る
10月8日
この間、網に居る
10月11日
10月12日
10月13日
10/12~10/16 網への出没を不規則に繰り返し、行動パターン
10月14日
が安定しなくなった。
10月15日
10月16日
姿消す。
10月17日
21
17:04
16:44
くものいと, No. 47 (March 2014)
(2)網の張替・補修行動
表 2 に網の張替・補修行動の様子を示した.
は網の取り壊しから張替・補
修行動開始までの待機の時間,
は張替・補修を行っている時間を表す.
① 網の張替・補修は,概ね 23 時頃から翌日 3 時頃にかけて毎晩のように行ってい
る.図鑑などでは「朝網をたたむ」という記述があるが,この個体の場合にはそ
のような行動は確認できず,深夜張替の前に壊している様子が明らかであった.
② 張り替え行動の前に古い網をいったん取り壊し,しばらく待機した後張替行動を
とっているように見える.待機時間は長短あり,数分から 2 時間以上に及ぶこと
があるなど様々であった.この待機は何を意味するのだろうか.壊した網は,落
としているのか,食べているのか確認できなかったが,もし食べているのであれ
ば,新たな網の材料が体内で作られるよう消化を待っているのだろうか.
③ 網の張替・補修に要する時間は,最短で約 1 時間(8 月 11 日)最長で約 4 時間(8
月 9 日)を要している.しかし 8 月 9 日は,途中でエサを食べている形跡があり,
実際にはこれほどの時間は要していないと思われる.また 8 月 11 日と 9 月 3 日は,
画像から明らかに狭い範囲の部分補修であることが確認でき,短時間で終了した
ものと考えられる.
④ 9 月 3 日は,明け方(3 時半頃から 4 時半頃)に張替・補修行動をとっているが
エサを 2 時ころまで食べていたために遅くなったものと推測される.
表 2.
網の張替・補修行動
0
1
2
3
4
・・・・・
19
20
21
22
23
8月1日
8月2日
8月3日
8月4日
8月5日
8月6日
8月7日
8月8日 8/8 0:26まで食事、その後網張動作なし。
8月9日
夜間姿見せず
8月10日
明らかに部分補修
8月11日
8月12日
8/11 雨のせいか、壊したまま放置
どこかへ移動し、8/15まで姿の確認ができず。
8月16日
8/16 2mほど横で新たな網が見つかる。
8月17日
8月18日
8月19日
8月20日
8月21日
撮影できず、データなし。
8月22日
8月23日
8月24日
8月25日
8月26日
8月27日
8月28日
8月29日
8月30日
8月31日
網の張替・補修行動確認されず。
9月1日
放置して軒下へ移動、その後姿を消す。
6月2日
姿見せず。
9/3 雨のため待機長引く
9月3日
9月4日
9/3早朝 食事のため遅くなる。部分補修。
9月5日
9月6日
途中中断あり。
9月7日
9/8~10/3の間、姿見えず。10/4に隣家のTVアンテナに姿を現す。
10月4日
17時14分頃網張りを始めたが、撮影が途中で中断
10月5日
以後、網張り、捕食行動確認できず。10/17を最後に姿を観なくなった
22
くものいと, No. 47 (March 2014)
図 3. 網の張替・補修作業の例
2012.8.6-8.7
①
②
③
④
⑤
①
2012.8.6
19:51
③
2012.8.6
23:15
⑤
2012.8.7
1:45
網を取り壊す直前.
取り壊した後の「待機」.
張替・補修作業開始.
張替・補修作業進行中.
張替・補修作業完了し,網の中央に止
まる.③~⑤までの所要時間は 2 時間
30 分.
②
④
2012.8.6
2012.8.7
20:03
1:12
(3)食事行動
図 3 にオニグモの食事の姿の例を示した.また画像に記録された獲物の一覧を表 3
に,オニグモがエサを食べるパターンを表 4 に示した.
は実際に食べている
時間を示し,
は撮影できていないが採食が継続していることを示す.また,
◎…は網にかかった虫を放置したことを示す.
① エサの種類としてはコガネムシやセミの仲間,アブ,カメムシ(あるいはサシガ
メ)などが確認された.また,筆者が与えたゴマダラカミキリも食べていた.
② セミのような「大物」は数時間にわたって食べ,最長 13 時間に及ぶこともあっ
た.特に 8 月 5 日の夜から 6 日にかけて 2 匹のコガネムシを短い中断を挟みなが
ら延べ約 15 時間にわたって食べていた.この日は当然ながら網の張替・補修行動
23
くものいと, No. 47 (March 2014)
はなかった.
③ 糸を巻かずに食べることも多い.同じ庭に生息しているコガネグモやジョロウグ
モなどに比べて,糸の巻き方が少ないように感じる.
④ 食べ終わったものは網に残さず,すぐに落としているようで,食べかすはほとん
ど残っていない.
⑤ 食事時間は昼夜無関係のようである.但し,日中や雨天の場合にはエサを伴って
網から軒下へ移動して食べている様子も確認できた.
⑥ 網の張替・補修行動の最中にエサがかかることもあったが,その場合には網の張
替・補修行動を中断し,食べていた.その結果,網の張替・補修作業が長引くこ
とも確認された.
図 4. オニグモの食事の例
① セミ.2012.8.27
② カメムシまたは
サシガメ?
2012.8.5
③ 筆者が与えた
ゴマダラカミキリ
2012.8.12
表 3. 写っていたエサの一覧
8月2日
8月5日
8月6日
8月7日
8月9日
8月9日
8月11日
8月16日
8月17日
8月18日
8月21日
8月22日
8月23日
8月26日
8月27日
8月28日
9月6日
網にかかった虫の種類
食事の様子
セミ
3時間以上?
コガネムシ2匹
両日にわたり、断続的に約15時間かけて食べる。
コガネムシ
コガネムシ
3時間以上?
不明
網の張替・補修中に捕獲。間欠的に食べる。
セミ
夕方捕獲。4時間以上?
セミ
約6時間放置後、約7時間食べ続ける。
カメムシまたはサシガメ? 約3時間放置後、約2時間食べ続ける。
コガネムシ?他に小さな虫2 3匹かかるが食べたのは3匹目のみ?
コガネムシ?
断続的に約6時間かけて食べる。
不明
6時間以上?
不明2匹
2匹目を短時間食べる。
?小さい
数分で落とす。
最初網で食べていた(約2時間)が、その後軒下へ
セミ
運んで食べる。延べ約10時間食べ続ける。
セミ(前日と同じ個体)
アブ
網にかかったまま約11時間放置後2時間で食べる。
セミ
約11時間食べ続ける。
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くものいと, No. 47 (March 2014)
表 4.
食事行動
0
8月1日
8月2日
8月3日
8月4日
8月5日
8月6日
8月7日
8月8日
8月9日
8月10日
8月11日
8月12日
8月16日
8月17日
8月18日
8月19日
8月20日
8月21日
8月22日
8月23日
8月24日
8月25日
8月26日
8月27日
8月28日
8月29日
8月30日
9月1日
9月2日
9月3日
9月4日
9月5日
9月6日
9月7日
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
セミ? 食事時間不明
8/5 19:45 コガネムシ?‐2捕獲
8/6 4:48 軒下へエサとともに移動 8/5 19:27 コガネムシ?‐1捕獲
8/6 2:03 コガネムシ‐2落とす 10:45まで間欠的に食べる。
8/5 22:35 コガネムシ?‐1を網中央へ移動
8/6 4:00ころ 短時間エサから離れる
8/7 コガネムシ?
8/9夕 セミ、捕獲時刻不明。軒下で食べる。
8/9 0:08 網補修中に捕獲。3:38まで網補修中に断続的食べる。
セミ?
◎
放置
カメムシまたはサシガメ ◎ 放置
8/17 3匹目を軒下へ運んで食べる。
断続的に食べる
8/17 3匹立て続けにかかる
コガネムシ?
8/22 16:19小さな虫、全く手を出さず
●
●
8/23 19:49小さな虫、数分で落とす
セミを軒下で。
同じセミを網へ持ち出して食べる。
7:18アブが網にかかるが放置。
セミと思われる大型のエサを軒下で
約13時間にわたって食べ続ける。
以降10/4まで姿を見せず、その後捕食動作見られず。10/17姿消す。
(4)日中の退避場所
日中は,図 2 の④で示した部分の庇の構造物の中で潜んでいた.東南の角で日当た
りもよく,鉄板製ということもあってかなり熱いと思われるが,オニグモはどれくら
いの温度まで耐えられるのだろうか,気になるところである.
4. おわりに
オニグモが偶然自宅に住み着いてくれたことに発した 2 か月半にわたる同一個体の
観察記であるが,クモ観察初心者としては驚きの連続であった.① 網の張替には多大
なエネルギーを消耗すると思われるが,ほぼ毎日長時間かけて張り替えていること,
② エサを食べる頻度は意外に低く,しかも長時間にわたることがあること等々・・・.
もし同じような機会に恵まれることがあればもう少し視点を変えて確認の観察を行っ
てみたいと思う.
このような観察機会を与えてくれたオニグモさんに感謝しながら報告を終わりたい.
なお,原稿段階で吉田先生,加村先生,谷川先生,新海先生にまとめ方等について
ご指導いただきました.ここに厚くお礼申し上げます.
25
くものいと, No. 47 (March 2014)
大分のクモ相撲
関 根 幹 夫
The spider-fighting in Oita City
Mikio Sekine
This is a report on the 1st spider-fighting competition in Oita City, Kyushu Island. This event
was held at Jokeiji temple, in Kisagami on July 28, 2013. Until now, at Jokeiji temple, a local
spider-fighting event was held 12 times. The slender stick used to be held by the referee's hand.
This time the usage of the stick varied until it was fixed onto the vertical post. It is modeled
after that used in Kajiki, the most famous spider-fighting in Japan.
はじめに
コガネグモを横棒上で闘わせるクモ相撲は,日本各地で組織化・行事化され保存継
承されている.筆者は,大分市でクモ相撲が行われていることを確認していたが(関
根 2010),その詳細は不明であった.今回,大分市木佐上の浄慶寺で開催された第1回
大分コガネグモ相撲選手権大会を訪問しその取材をしたので,ここに報告をする.
調査結果と考察
大分市木佐上地区では,小学生のサマーキャンプ行事の一つとして,クモ相撲が今
までに 12 回行われてきた.今年は,農業生産振興及びふれあい行事を中心に地域興し
に取り組んできた「木佐上コミュニティー」の設立 25 周年を記念し,通算 13 回目の
クモ相撲行事を「第1回大分コガネグモ相撲選手権大会」と銘打ち,木佐上地域外に
参加者を広げて開催された.
2013 年 7 月 28 日,10 時からの開会式に続き,試合は 10 時 30 分から開始され,途
中 30 分の休憩を挟んで,13 時 30 分まで行われた.72 名の出場者を二箇所の「土俵」
に分けて,トーナメント方式で試合が行われた(図 1).
この地のクモ相撲の特徴を列挙すると:
1) 出場者と観客は,小学生とその親たち,またその祖父母,さらには子育てを終え
た地域コミュニティーの人々であった.幅広い年齢層であった.
2) 出場者は,クモを自分で採り育てていた.従って,クモに愛着がわき試合に力が
こもり,闘うクモへの声援に熱が入っていた.
26
くものいと, No. 47 (March 2014)
図 1. 第1回大分コガネグモ相撲選手権大会. 観衆で埋め尽くされた会場の浄慶寺境内.
図 2. 浄慶寺での第 12 回コガネグモ相撲選手権木佐上大会. 2012 年 7 月 27 日.
行司は横棒土俵を手に持っている.
関想記 -佐賀関テレビより発信- http://saganoseki-tv.jugem.jp/?day=20120727 より.
27
くものいと, No. 47 (March 2014)
図 3. 第1回大分コガネグモ相撲選手権大会. 2013 年 7 月 28 日.
横棒土俵はたて棒支柱に固定されている.
3) 行事の推進者は,浄慶寺の豊岡 光闡(とよおか こうせん)住職だが,
「木佐上コ
ミュニティー」という組織に依拠して行われていた.
以上のことから,この地のクモ相撲は今後も継続していくであろうと期待できる.
また,この地のクモ相撲は,昨年の 2012 年までは,横棒土俵を行司が手で持つ方式
でクモを闘わせていたが(図 2),今回,横棒土俵はたて棒支柱に固定されていた.た
て棒に固定された横棒は,鹿児島県姶良市加治木町の横棒の「ひもし」より短く,加
治木町ではセイタカアワダチソウの木化した茎が「ひもし」として使用されるが,こ
の地のクモ相撲では樹木の枝が使用されていた(図 3).また,クモの闘いを促すため
に,加治木町のようにクモに砂をかけることは行われていなかった.クモが闘わない
場合には,横棒土俵を棒で叩いてクモの戦意を促していた.このように細部について
は,加治木町とまったく同じという訳ではないが,今回のクモ相撲大会は,加治木町
の方式が取り入れられたものと考えられる.加治木町の「くも合戦」は,組織化され
てからの歴史が長く,闘いの方法とルール,勝敗の審判基準が確立されている(関根
2011).浄慶寺の豊岡住職は,2013 年 6 月に加治木町の「くも合戦」を訪問し,その試
合方式を加治木町から学んで来られた.また,協賛団体からの副賞提供や試合後のお
楽しみ抽選会等も加治木町に学び,今回の大会にそのノウハウを取り入れたと思われ
る.
28
くものいと, No. 47 (March 2014)
引用文献
関根幹夫 2010. フィリピンのクモ相撲の現況.Acta Arachnol., 59: 104-108.
関根幹夫 2011. コガネグモ相撲における横棒土俵の扱い方に関する一考察.くものいと, 45:1-10.
奈良県のクロガケジグモの分布 -発見から 36 年経過して関 根 幹 夫
The distribution of Badumna insignis (Araneae: Desidae) in Nara Prefecture:
Thirty-six years on
Mikio Sekine
The distribution of an exotic spider Budumna insignis, or Black House Spider in Nara
Prefecture, where the species was first found in 1977, was surveyed in 2013. The biological
dispersal of this species is shown on this paper. The species was found in 12 cities, 15 towns,
and 2 villages in Nara Prefecture. However, the species was not found in Yamazoe Village,
Nosegawa Village, Totsukawa Village, Soni Village, Mitsue Village, Kurotaki Village,
Tenkawa Village, Shimokitayama Village, Kamikitayama Village, and Higashiyoshino Village.
Although B. insignis was not found in and around southern mountain areas, this species settled
widely in Nara Prefecture (Fig. 1). It suggests that the invasion of the spiders was from Osaka,
where the species was first found in 1963. In other words, in Nara Prefecture they perhaps
dispersed from the northwestern areas southward. On the other hand, the spiders may have
simply been carried by vehicles as was pointed out.
はじめに
クロガケジグモ Badumna insignis (L. Koch 1872)(クモ目ウシオグモ科)は,オース
トラリアからの帰化種で,1963 年に大阪府で最初に確認され(八木沼 1974),その分
布は近畿地方から日本各地に拡大している(新海ら 2012).Charles R. Darwin(1859)
は,種の分散という問題を提起したが,これはとても興味深いテーマである.本種は,
どのように分散しているのだろうか? 奈良県で本種は,1977 年に斑鳩町稲葉西 1 丁
目で筆者により初めて確認され,御所市,平群町,三郷町,王寺町で生息しているこ
とを確認していたが,本種が現時点で奈良県のどの範囲まで分布を拡げているかにつ
29
くものいと, No. 47 (March 2014)
いては未調査であった.そこで,2013 年の 5 月から 9 月にかけて,奈良県下でのクロ
ガケジグモの生息調査を行った.その結果,現時点での生息範囲の概略を把握できた
ので,ここに報告する.
方
法
奈良県内の国道・地方道沿いを中心に奈良県下の全市町村を,橋の欄干やガードレ
ール,道標や金網フェンス,民家の軒先や塀など本種が好んで造網する建造物を目視
で確認し,本種の網の有無を調べた.本種の「ボロ網」は,他科のクモの網とは容易
に区別できる.
結
果
奈良県下の 12 市 15 町 2 村で本種の生息が確認された.今回の奈良県における分布
調査結果を図1に示す.本種は,奈良県北西部から五條・北部吉野及び奈良県北東部
まで広く分布していることが確認された.なお,奈良県北東部の山添村,奈良県南西
部の野迫川村と十津川村,および奈良県南東部の曽爾村,御杖村,黒滝村,天川村,
下北山村,上北山村と東吉野村では本種の生息を確認できなかった.
データは市町村名:地点番号,地点名,標高,調査日(YY.MM.DD)の順に記した.
Ⅰ)奈良県北西部
奈良市:(1) 大渕町・大渕池公園, 117 m, 2013.8.9 / (2) 高畑町, 113 m, 2013.9.6
大和高田市:(3) 市場, 69 m, 2013.6.29 / (4) 有井, 60 m, 2013.8.6 / (5) 池田, 61 m,
2013.8.6
大和郡山市:(6) 稗田・賣太 (めた) 神社, 50 m, 2013.6.27 / (7) 高田町・JR 郡山駅, 51
m, 2013.7.13
天理市:(8) 森本町・森神社, 75 m, 2013.6.27 / (9) 柳本町, 83 m, 2013.7.2
橿原市:(10) 畝傍町・橿原公苑第 1 体育館, 70 m, 2013.8.5 / (11) 東坊城町, 65 m,
2013.8.5 / (12) 四条町, 65 m, 2013.8.5
桜井市:(13) 穴師, 112 m, 2013.7.2 / (14) 粟原, 192 m, 2013.8.11
御所市:(15) 宮前町・鴨都波 (かもつば) 神社, 96 m, 2013.6.29 / (16) 戸毛・春日神社,
121 m, 2013.6.29 / (17) 柳原・笠宮春日神社, 78 m, 2013.7.1/(18) 室, 109 m, 2013.9.5
生駒市:(19) 小平尾町, 108 m, 2013.8.8 / (20) 萩原町, 138 m, 2013.8.8
香芝市:(21) 北今市 6・戎 (えびす) 神社, 60 m, 2013.5.27 / (22) 高, 50 m, 2013.9.5
葛城市:(23) 大屋, 105 m, 2013.7.6
平群町:(24) 吉新, 260 m, 2013.6.3
三郷町:(25) 勢野西, 151 m, 2013.8.5 / (26) 勢野東, 348 m, 2013.8.5
斑鳩町:(27) 三井, 71 m, 2013.6.10 / (28) 法隆寺西, 157 m, 2013.6.30
安堵町:(29) 東安堵・善照寺, 46 m, 2013.7.13
30
くものいと, No. 47 (March 2014)
川西町:(30) 唐院・比売久波 (ひめくわ) 神社, 49 m, 2013.5.27 / (31) 保田・六県 (む
つがた) 神社, 45 m, 2013.5.27
三宅町:(32) 伴堂, 45 m, 2013.8.8
田原本町:(33) 富本・富都 (ふつ) 神社, 46 m, 2013.7.8 / (34) 多・小社 (おごそ) 神
社, 54 m, 2013.7.8
高取町:(35) 観覚寺, 109 m, 2013.8.5
明日香村:(36) 豊浦, 106 m, 2013.8.5 / (37) 橘, 121 m, 2013.8.5
上牧町:(38) 上牧・貴船神社, 70 m, 2013.5.27
王寺町:(39) 王寺町, 142 m, 2013.8.3 / (40) 王寺町, 238 m, 2013.8.3 / (41) 畠田, 848 m,
2013.9.5
広陵町:(42) 弁財天・櫛玉比女命 (くしたまのひめのみこと) 神社, 46 m, 2013.5.25 /
(43) 中・小北稲荷 (こきたいなり) 神社, 47 m, 2013.5.25 / (44) 大塚, 57 m, 2013.8.6
河合町:(45) 薬井・春日若宮神社, 50 m, 2013.5.19
Ⅱ)五條・北部吉野
五條市:(46) 住川町, 197 m, 2013.6.29 / (47) 本町 1, 101 m, 2013.7.21
吉野町:(48) 楢井, 185 m, 2013.8.22 / (49) 丹治, 176 m, 2013.9.5 / (50) 河原屋, 167 m,
2023.9.5
大淀町:(51) 今木・甲 (かぶと) 神社, 140 m, 2013.9.5 / (52) 桧垣本, 147 m, 2013.9.5 /
(53) 北野, 235 m, 2013.9.5 / (54) 新野・近鉄六田駅前, 154 m, 2013.9.5
下市町:(55) 下市, 144 m, 2013.7.6 / (56) 栃原, 215 m, 2013.9.5
Ⅲ)奈良県北東部
宇陀市:(57) 大宇陀内原, 336 m, 2013.8.11
山添村:生息を確認できなかった, 2013.6.2
Ⅳ)奈良県南西部
野迫川村:生息を確認できなかった, 2013.8.23
十津川村:生息を確認できなかった, 2013.8.21
Ⅴ)奈良県南東部
曽爾村:生息を確認できなかった, 2013.8.2
御杖村:生息を確認できなかった, 2013.8.2
黒滝村:生息を確認できなかった, 2013.7.6 / 2013.9.7
天川村:生息を確認できなかった, 2013.7.6 / 2013.9.7
下北山村:生息を確認できなかった, 2013.8.21
上北山村:生息を確認できなかった, 2013.8.21 / 2013.8.22
川上村:(58) 東川, 226 m, 2013.8.22
東吉野村:生息を確認できなかった, 2013.8.11
31
くものいと, No. 47 (March 2014)
図 1.奈良県におけるクロガケジグモの調査結果(2013 年).
■=いる, □=いない.
Fig. 1. Distribution of Badumna insignis in Nara Prefecture in 2013.
■=Inhabited areas for the species, □=Absent.
32
くものいと, No. 47 (March 2014)
考
察
今回の生息調査で,本種は奈良県に広く生息していることが確認されたが,奈良県
北東部の山添村,奈良県南西部の野迫川村と十津川村,および奈良県南東部の曽爾村,
御杖村,黒滝村,天川村,下北山村,上北山村と東吉野村ではその生息を確認できな
かった.よって,奈良県での発見から 36 年が経過しているものの,本種はこれらの山
間部には侵入していないと思われる.したがって,本種の奈良県への主な侵入源は,
本種が早くから定着している大阪府からによるものと考えられる.すなわちクロガケ
ジグモは概ね,奈良県北西部から南へとその分布を拡げてきたと思われる.あるいは,
鳥取県における本種の分散について既に指摘されている(亀田ら 2010)が,本種が自
力でその分布を拡大してきたというよりは,自動車の貨物や鉄道などへの便乗によっ
て分散してきた可能性も否定できないであろう.
引用文献
Darwin,C. 1859. On the Origin of Species (the first edition). 八杉龍一 (訳) 1990. 種の起原 [改訂版] 上・
下.岩波文庫 (東京), 446pp. + 408pp.
亀田篤史・有馬千弘・谷本純子・花房佑樹・鶴崎展巨 2010. 鳥取県におけるクロガケジグモの分布
範囲.山陰自然史研究, 5: 55-60.
新海 明・安藤昭久・谷川明男・池田博明・桑田隆生 2012. CD 日本のクモ Ver.2012, CD-ROM, 著者ら
自刊.
八木沼健夫 1974. 日本の真正蜘蛛類相 (IV). 追手門学院大学文学部紀要, 8:169-173.
カラスハエトリ(♀)
大阪府茨木市福井
2013 年 5 月 26 日 関西クモ研究会採集会
撮影:加村隆英
33
くものいと, No. 47 (March 2014)
山門水源の森のクモ類2
吉 田 真・熊 田 憲 一・西 川 喜 朗・黒 田 あ き
はじめに
2011 年 7 月に山門水源の森で行なったクモ類調査の結果は,昨年 9 月に発行された
くものいと 46 号に掲載されている.7 月の調査では 21 科 106 種のクモが採集された.
今回は,2011 年 10 月から 11 月にかけて行なわれた調査の結果を報告する.
調査地と方法
以下の場所で採集を行った (図 1).括弧内に採集日を示す.おもに,ビーティング
とシフティングで採集したが,見つけ取りやビットホールトラップによる採集も行っ
た.
A:斎苑駐車場 (10 月 11 日)
B:進入路 (10 月 11 日)
C:沢道 (10 月 23 日)
E1:ワクドキの森 (2011 年 10 月 23 日)
E2:ワクドキの森~首吊りの松 (11 月 3 日)
図 1. 山門水源の森の調査地.
34
くものいと, No. 47 (March 2014)
F:更新試験地 (10 月 23 日)
G:アカガシの森スギ植林地 (10 月 23 日)
H:楽舎周辺 (10 月 11 日)
I:中央湿原 (10 月 11 日)
J:南部湿原展望台~湿原観察コース (10 月 11 日)
K:北部湿原山際周辺 (10 月 11 日)
L:北尾根登り口 (10 月 23 日)
M:尾根道 (10 月 23 日~24 日)
結果と考察
今回の調査では 28 科 144 種が採集された (表 1).このうち,種レベルまで同定でき
たものが 128 種,同定できなかったものが 16 種であった.同定できなかった 16 種の
中で,7 種は幼体であり,残りの 9 種は成体であった.成体で同定できなかった 9 種は,
未記載種または日本新記録種かもしれない.種数が多かった科は,ヒメグモ科 (22 種),
コガネグモ科 (21 種),ハエトリグモ科 (18 種),サラグモ科 (17 種) などであった.表
2 に採集されたクモのリストを示す.
☆は成体でありながら同定できなかった種であり,未記載種 (=新種) または日本新
記録種の可能性がある.また,*で示した種は,新海ら (2012) の滋賀県産クモ類目録,
吉田ら (2012a),吉田ら (2012b) のリストに載っていない滋賀県新記録種である.新記
録種は,以下の 16 種であった:
イナバナミハグモ,ビワコガタナミハグモ (ナミハグモ科),イブキクロヤチグモ (ヤ
表 1. 採集された科と種数.
アシナガグモ科
9
未同定
種数
0
0
コガネグモ科
21
0
0
コマチグモ科
0
1
2
1
シボグモ科
1
0
ハタケグモ科
1
0
ミヤマシボグモ科
0
1
ヤチグモ科
3
3
アシダカグモ科
1
0
タナグモ科
1
1
エビグモ科
3
0
キシダグモ科
3
0
ワシグモ科
2
1
コモリグモ科
4
0
カニグモ科
8
1
サラグモ科
13
4
フクログモ科
3
1
ヒメグモ科
22
0
イヅツグモ科
1
0
カラカラグモ科
1
0
ウエムラグモ科
1
1
ヨリメグモ科
1
1
ネコグモ科
4
0
ジョロウグモ科
1
0
ハエトリグモ科
タマゴグモ科
2
未同定
種数
0
ユウレイグモ科
1
ウズグモ科
1
ナミハグモ科
科
種数
科
合計
35
種数
18
0
128
16
くものいと, No. 47 (March 2014)
チグモ科),キバラコモリグモ (コモリグモ科),ツユグモ (アシダカグモ科),ヨツボシ
ワシグモ (ワシグモ科),マメオニグモ (コガネグモ科),マダラフクログモ (フクログ
モ科),アトグロアカムネグモ,コデーニッツサラグモ,ノコバヤセサラグモ,フタエ
ツノヌカグモ (サラグモ科),ヒメハナグモ (カニグモ科),イワテハエトリ,タイリク
アリグモ,ヒメカラスハエトリ (ハエトリグモ科).
表 2. 採集されたクモのリスト.☆は未記載種または日本新記録種の可能性がある種.*は滋賀県新
記録種.
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
タマゴグモ科
サイトウヌカグモ
カラカラグモ科
アカハネグモ
ツノケシグモ?
ヤマジグモ
ダニグモ
ツリサラグモ
ヨリメグモ科
ユウレイグモ科
デーニッツサラグモ
ヨロイヒメグモ
ユウレイグモ
☆ニッポンケシグモの一種
コツブグモの一種?
ウズグモ科
*ノコバヤセサラグモ
ジョロウグモ科
マネキグモ
*フタエツノヌカグモ
ジョロウグモ
ナミハグモ科
フタスジサラグモ
アシナガグモ科
*イナバナミハグモ
ムネグロサラグモ
アシナガグモ
*ビワコガタナミハグモ
ユノハマサラグモ
ウロコアシナガグモ
☆ナミハグモの一種
ヤミサラグモの一種
オオクマヒメドヨウグモ
ハタケグモ科
ヨツボシサラグモの一種
キンヨウグモ
ハタケグモ
☆サラグモの一種1
シナノアシナガグモ
ヤチグモ科
☆サラグモの一種2
タニマノドヨウグモ
*イブキククロヤチグモ
ヒメグモ科
メガネドヨウグモ
☆カミガタヤチグモの一種
アシブトヒメグモ
ヤマジドヨウグモ
カメンヤチグモ
アマミミジングモ
コガネグモ科
☆ヒメシモフリヤチグモの
オナガグモ
イシサワオニグモ
一種
カグヤヒメグモ
オオクマヤミイロオニグモ
ヨゴヤマヤチグモ
カニミジングモ
カラフトオニグモ
☆ヤチグモの一種
カレハヒメグモ
キザハシオニグモ
タナグモ科
シモフリヒメグモ
キジロゴミグモ
コクサグモ
シモフリミジングモ
ギンメッキゴミグモ
☆コタナグモの一種
スネグロオチバヒメグモ
ゲホウグモ
キシダグモ科
ツリガネヒメグモ
コガタコガネグモ
アオグロハシリグモ
ニホンヒメグモ
ゴミグモ
アズマキシダグモ
バラギヒメグモ
サガオニグモ
イオウイロハシリグモ
ヒシガタグモ
シマゴミグモ
コモリグモ科
フタオイソウロウグモ
シロスジショウジョウグモ
イナダハリゲコモリグモ
ボカシミジングモ
トゲグモ
ウヅキコモリグモ
ホシミドリヒメグモ
トリノフンダマシ
*キバラコモリグモ
ムナボシヒメグモ
ヌサオニグモ
クラークコモリグモ
ムラクモヒシガタグモ
ハツリグモ
サラグモ科
ヤマトミジングモ
ハラビロミドリオニグモ
*アトグロアカムネグモ
ヤリグモ
*マメオニグモ
ムツボシオニグモ
*コデーニッツサラグモ
ユノハマヒメグモ
36
くものいと, No. 47 (March 2014)
ヤマゴミグモ
ヨツデゴミグモ
コマチグモ科
コマチグモの一種
シボグモ科
シボグモ
ミヤマシボグモ科
ミヤマシボグモモドキ?
アシダカグモ科
*ツユグモ
エビグモ科
アサヒエビグモ
キエビグモ
シャコグモ
ワシグモ科
メキリグモ
ヨリメケムリグモの一種
*ヨツボシワシグモ
カニグモ科
アマギエビスグモ
クマダハナグモ
コハナグモ
セマルトラフカニグモ
ハナグモ
*ヒメハナグモ
ワカバグモ
カニグモの一種
フクログモ科
クロサワフクログモ
☆フクログモの一種.
*マダラフクログモ
ヤギヌマフクログモ
イヅツグモ科
イヅツグモ
ウエムラグモ科
イタチグモ
タンボグモの一種
ネコグモ科
オトヒメグモ
コムラウラシマグモ
ネコグモ
ヤバネウラシマグモ
ハエトリグモ科
アオオビハエトリ
アメイロハエトリ
アリグモ
イナズマハエトリ
*イワテハエトリ
オスクロハエトリ
ジャバラハエトリ
シラホシコゲチャハエトリ
*タイリクアリグモ
デーニッツハエトリ
ネオンハエトリ
ネコハエトリ
*ヒメカラスハエトリ
マガネアサヒハエトリ
マミジロハエトリ
ミスジハエトリ
ヤサアリグモ
ヨダンハエトリ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この森では,7 月の調査では,21 科 106 種のクモが採集されており,その中には,
未記載種または日本新記録種の可能性があるものが 1 種,滋賀県新記録種が 15 種含ま
れていた (吉田ら,2012a).これに対して今回の 10~11 月の調査では 28 科 144 種と,
7 月よりもかなり多くの科と種が採集された.今回採集された種が多かったおもな原因
は,今回新たに採集された科のクモが 11 種あったことと,ヤチグモ科・サラグモ科・
ハエトリグモ科で多くのクモが採集されたことである.ヤチグモ科では,7 月 2 種→今
回 6 種,サラグモ科では,3 種→17 種,ハエトリグモ科では,8 種→18 種と種数は大
幅に増加している.今回の調査ではさらに,未記載種または日本新記録種の可能性が
あるものが 9 種,滋賀県新記録種が 16 種採集された.
今回の結果は,その地域のクモ相が一回の調査だけでは十分に把握できないこと,
季節を変えての調査が非常に有効であること,を示している.2011 年の夏と秋の調査
で山門水源の森のクモ相はかなり明らかになった.我々は,2012 年 6 月にもこの森の
調査を行なっている.その結果も近いうちにまとめ,この森のクモ相の概略を明らか
にしたいと考えている.
謝辞
「山門水源の森を次世代に引き継ぐ会」の皆さんには,この森では原則的に禁止さ
れている採集を許可していただいた.また今回の調査では,事務局長の藤本秀弘さん,
伊藤博さんをはじめとする会員の皆さんが,調査場所の案内だけでなく,クモ類の採
37
くものいと, No. 47 (March 2014)
集もしていただいた.さらに伊藤さんには,調査場所の地図の作成や GPS による緯度・
経度・標高の測定などで多大のお世話になった.会の皆さんのご厚意に深く感謝する
ものである.
またクモの同定については,井原庸さん,谷川明男さん,加村隆英さん,小池直樹
さん,田中穂積さん,吉田哉さんからさまざまなご教示を受けた.厚く御礼申し上げ
る.
引用文献
小野展嗣 (編著) 2009. 日本産クモ類.東海大学出版会,738 pp,神奈川.
新海明・安藤昭久・谷川明男・池田博明・桑田隆生 2012.CD 日本のクモ Ver. 2012.著者自刊,CD.
吉田真・社本吉正・小池直樹・原口岳 2012a.龍谷の森で採集された滋賀県新記録種.くものいと, 46:
12-14.
吉田真・熊田憲一・西川喜朗・黒田あき 2012b.山門水源の森のクモ類.くものいと, 46:15-22.
===================================================================
付表.山門水源の森のクモ類.2011 年 10~11 月.
クモの性別と発育段階を,M:オス成体,F:メス成体,m:オス幼体,f:メス幼体,y:幼体で示
す.また,採集者を,Kr:黒田,Km:熊田,N:西川,Y:吉田,S:スタッフ,IT:伊藤孝子,I:
伊藤孝子・博,で示す.「スタッフ」は,伊藤さんご夫妻以外の「山門水源の森を次の世代に引き継
ぐ会」の会員の方々である.
以下のリストでは,科の配列は小野 (2009) に準じ,種の配列は学名のアルファベット順で示した.
☆は未記載種または日本新記録種の可能性がある種,*は滋賀県新記録種.
A:斎苑駐車場 (北緯 35˚33′17″,東経 136˚07′36″,標高 210 m)
アシナガグモ科
ヤマジドヨウグモ Meta reticuloides
コガネグモ科
シマゴミグモ Cyclosa omonaga
トゲグモ Gasteracantha kuhli
ハエトリグモ科
アリグモ Myrmarachne japonica
B:進入路 (北緯 35˚33′20″,東経 136˚07′34″,標高 220 m)
ヤチグモ科
ヨゴヤマヤチグモ Tegecoelotes yogoensis
タナグモ科
コクサグモ Allagelena opulenta
キシダグモ科
アオグロハシリグモ Dolomedes raptor
イオウイロハシリグモ Dolomedes sulfureus
サラグモ科
サイトウヌカグモ Ainerigone saitoi
ユノハマサラグモ Turinyphia yunohamensis
38
F (Kr)
F (Kr)
F (Kr)
F (Kr)
f (Km)
F (Km)
y (Km)
y (Km)
f (Km)
f (Km)
くものいと, No. 47 (March 2014)
ヒメグモ科
オナガグモ Ariamnes cylindrogaster
フタオイソウロウグモ Neospintharus fur
ニホンヒメグモ Parasteatoda japonica
ヤマトミジングモ Phycosoma japonicum
カニミジングモ Phycosoma mustelinum
バラギヒメグモ Takayus chikunii
ボカシミジングモ Yaginumena castrata
アシナガグモ科
キンヨウグモ Menosira ornata
シナノアシナガグモ Tetragnatha shinanoensis
ウロコアシナガグモ Tetragnatha squamata
コガネグモ科
*マメオニグモ Araneus nojimai
ヨツデゴミグモ Cyclosa sedeculata
エビグモ科
シャコグモ Tibellus japonicus
カニグモ科
ワカバグモ Oxytate striatipes
フクログモ科
クロサワフクログモ Clubiona kurosawai
ヤギヌマフクログモ Clubiona yaginumai
ネコグモ科
ネコグモ Trachelas japonicus
ハエトリグモ科
マミジロハエトリ Evarcha albaria
ヤサアリグモ Myrmarachne inermichelis
マガネアサヒハエトリ Phintella arenicolor
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi
m (Km)
f (Km)
Fy (Km)
M (Km)
Ff (Km)
f (Km)
f (Km)
M (Km)
f (Km)
f (Km)
f (Km)
m (Km)
f (Km)
f (Km)
M (Km)
f (Km)
mf (Km)
F (Km)
f (Km)
mf (Km)
MFf (Km)
C:沢道 (北緯 35˚33′23″,東経 136˚07′20″,標高 260m)
タマゴグモ科
ダニグモ Gamasomorpha cataphracta
ナミハグモ科
*ビワコガタナミハグモ Cybaeus biwaensis
ヤチグモ科
カメンヤチグモ Coelotes personatus
ヨゴヤマヤチグモ Tegecoelotes yogoensis
コモリグモ科
カイゾクコモリグモの一種 Pirata sp.
サラグモ科
ヤミサラグモの一種 Arcuphantes sp.
デーニッツサラグモ Doenitzius peniculus
*ノコバヤセサラグモ Lepthyphantes serratus
サラグモの一種 Linyphiidae gen. sp.
ヒメグモ科
カニミジングモ Phycosoma mustelinum
39
F (Y)
M (Y)
M (Y)
M (Y)
y (Y)
y (Y)
M (Y)
M (Y)
y (Y)
y (Y)
くものいと, No. 47 (March 2014)
ヒメグモの一種
ワシグモ科
ワシグモの一種
Theridiidae gen. sp.
y (Y)
Gnaphosidae gen. sp.
y (Y)
E1:ワクドキの森 (北緯 35˚33′32″,東経 136˚07′16″,標高 345 m)
ヤチグモ科
ヤチグモの一種 Coelotidae gen. sp.
y (S)
タナグモ科
コクサグモ Allagelena opulenta
F (S)
キシダグモ科
ハシリグモの一種 Dolomedes sp.
y (S)
サラグモ科
アイヌコサラグモの一種 Ainerigone sp.
y (Y)
ツリサラグモ Neriene japonica
y (S)
ユノハマサラグモ Turinyphia yunohamensis
y (Y)
ヒメグモ科
アシブトヒメグモ Anelosimus crassipes
y (Y)
カレハヒメグモ Enoplognatha abrupta
My (S)
ヒシガタグモ Episinus affinis
y (S)
フタオイソウロウグモ Neospintharus fur
y (S)
カグヤヒメグモ Parasteatoda culicivora
y (S)
ムナボシヒメグモ Platnickina sterninotata
Fy (S)
ボカシミジングモ Yaginumena castrata
y (Y)
ジョロウグモ科
ジョロウグモ Nephila clavata
F (Y)
アシナガグモ科
シロカネグモの一種 Leucauge sp.
y (S)
キンヨウグモ Menosira ornata
MF (S)
アシナガグモの一種 Tetragnatha sp.
y (Y)
コガネグモ科
イシサワオニグモ Araneus ishisawai
F (S)
キジロゴミグモ Cyclosa laticauda
m (S)
ヤマゴミグモ Cyclosa monticola
y (Y)
y (Y)
ゴミグモの一種 Cyclosa sp.
サガオニグモ Plebs astridae
my (S)
カラフトオニグモ Plebs sachalinensis
y (Y)
コマチグモ科
コマチグモの一種 Chiracanthium sp.
y (S)
エビグモ科
アサヒエビグモ Philodromus subaureolus
y (Y)
カニグモ科
ワカバグモ Oxytate striatipes
y (S)
セマルトラフカニグモ Tmarus rimosus
y (Y)
フクログモ科
クロサワフクログモ Clubiona kurosawai
F (S)
☆フクログモの一種 Clubiona sp.
y (S)
40
くものいと, No. 47 (March 2014)
ネコグモ科
ネコグモ Trachelas japonicus
ハエトリグモ科
マミジロハエトリ Evarcha albaria
ジャバラハエトリ Helicius yaginumai
アリグモの一種 Myrmarachne sp.
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi
ハエトリグモの一種 Salticidae gen. sp.
y (S)
y (S)
MFy (Y)
y (Y)
Fmy (S)
y (S)
E2:ワクドキの森~首吊りの松 (北緯 35˚33′35″,東経 136˚07′15″,標高 345 m)
タナグモ科
コクサグモ Allagelena opulenta
F (IT)
サラグモ科
アイヌコサラグモの一種 Ainerigone sp.
y (IT)
ヒメグモ科
アシブトヒメグモ Anelosimus crassipes
y (IT)
ホシミドリヒメグモ Chrysso foliata
y (IT)
カレハヒメグモ Enoplognatha abrupta
y (IT)
ヒシガタグモ Episinus affinis
my (IT)
カグヤヒメグモ Parasteatoda culicivora
y (IT)
ムナボシヒメグモ Platnickina sterninotata
y (IT)
ボカシミジングモ Yaginumena castrata
y (IT)
シモフリヒメグモ Yunohamella lyrica
y (IT)
アシナガグモ科
ヤマジドヨウグモ Meta reticuloides
F (IT)
アシナガグモの一種 Tetragnatha sp.
y (IT)
コガネグモ科
ムツボシオニグモの一種 Araniella sp.
y (IT)
ゴミグモの一種 Cyclosa sp.
y (IT)
サガオニグモ Plebs astridae
m (IT)
カラフトオニグモ Plebs sachalinensis
y (IT)
コマチグモ科
y (IT)
コマチグモの一種 Chiracanthium sp.
エビグモ科
アサヒエビグモ Philodromus subaureolus
y (IT)
カニグモ科
ワカバグモ Oxytate striatipes
y (IT)
セマルトラフカニグモ Tmarus rimosus
y (IT)
フクログモ科
クロサワフクログモ Clubiona kurosawai
F (IT)
ネコグモ科
ネコグモ Trachelas japonicus
y (IT)
ハエトリグモ科
オスクロハエトリの一種 Mendosa sp.
y (IT)
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi
y (IT)
41
くものいと, No. 47 (March 2014)
F:更新試験地 (北緯 35˚33′29″,東経 136˚07′18″,標高 340 )
ナミハグモ科
*イナバナミハグモ Cybaeus tottoriensis
☆ナミハグモの一種 Cybaeus sp.
ヤチグモ科
ヤチグモの一種 Coelotidae gen. sp.
キシダグモ科
ハシリグモの一種 Dolomedes sp.
コモリグモ科
カイゾクコモリグモの一種 Pirata sp.
サラグモ科
アイヌコサラグモの一種 Ainerigone sp.
ヤミサラグモの一種 Arcuphantes sp.
フタスジサラグモ Neriene limbatinella
コウシサラグモの一種 Neriene sp.
ヨツボシサラグモの一種 Srtandella sp.
サラグモの一種 Linyphiidae gen. sp.
ヒメグモ科
ホシミドリヒメグモ Chrysso foliata
カレハヒメグモ Enoplognatha abrupta
ヒシガタグモ Episinus affinis
ツリガネヒメグモ Parasteatoda angulithorax
カグヤヒメグモ Parasteatoda culicivora
カニミジングモ Phycosoma mustelinum
ムナボシヒメグモ Platnickina sterninotata
ジョロウグモ科
ジョロウグモ Nephila clavata.
アシナガグモ科
シロカネグモの一種 Leucauge sp.
キンヨウグモ Menosira ornata
ウロコアシナガグモ Tetragnatha squamata
アシナガグモの一種 Tetragnatha sp.
コガネグモ科
オニグモの一種 Aranesus sp.
キジロゴミグモ Cyclosa laticauda
サガオニグモ Plebs astridae
カラフトオニグモ Plebs sachalinensis
シボグモ科
シボグモ Anahita fauna
エビグモ科
アサヒエビグモ Philodromus subaureolus
シャコグモ Tibellus japonicus
カニグモ科
ワカバグモ Oxytate striatipes
セマルトラフカニグモ Tmarus rimosus
ウエムラグモ科
イタチグモ Prochora praticola
42
M (Y)
F (Y)
y (Y, Kr)
y (Y)
y (Y)
y (Y)
my (Y)
F (Kr)
my (Kr)
y (Y)
y (Y)
y (Y)
mFfy (Kr)
y (Y)
y (Y)
y (Y)
my (Y)
F (Y)
F (Y)
y (Y)
F (Y), M (Kr)
y (Kr)
y (Y)
m (Y)
y (Kr)
y (Y)
f (Kr)
y (Y)
y (Y)
y (Y)
y (Y), f (Kr)
y (Y)
y (Y)
くものいと, No. 47 (March 2014)
ネコグモ科
ネコグモ Trachelas japonicus
ハエトリグモ科
マミジロハエトリ Evarcha albaria
アリグモ属の一種 Myrmarachne sp.
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi
カラスハエトリの一種 Rhene sp.
シラホシコゲチャハエトリ Sitticus penicillatus
アメイロハエトリ Synagelides agoriformis
y (Y), m (Kr)
M (Kr)
y (Kr)
My (Y)
y (Kr), y (Y)
m (Kr)
M (Y)
G:アカガシの森スギ植林地 (北緯 35˚33′35″,東経 136˚07′11″,標高 320 m)
ナミハグモ科
*ビワコガタナミハグモ Cybaeus biwaensis
MF (I)
ヤチグモ科
☆カミガタヤチグモの一種 Coelotes yaginumai
M (I)
ヤチグモの一種 Coelotidae gen. sp.
y (I)
サラグモ科
ヤミサラグモの一種 Arcuphantes sp.
my (I)
デーニッツサラグモ Doenitzius peniculus
MF (I)
コデーニッツサラグモ Doenitzius pruvus
F (I)
ツリサラグモ Neriene japonica
y (S)
ムネグロサラ Neriene nigripectoris
y (I)
ノコバヤセサラグモ? Lepthyphantes serratus ?
F (I)
ツノケシグモ? Nippononeta projecta ?
F (I)
☆ニッポンケシグモの一種 Nippononeta sp.
Mm (I)
*フタエツノヌカグモ Paikiniana keikoae
F (I)
ユノハマサラグモ Turinyphia yunohamensis
my (I)
☆サラグモの一種 1 Linyphiidae gen. sp. 1
F (I)
☆サラグモの一種 2 Linyphiidae gen. sp. 2
M (I)
ヒメグモ科
y (S)
ホシミドリヒメグモ Chrysso foliata
y (I)
カレハヒメグモ Enoplognatha abrupta
ヒシガタグモ Episinus affinis
y (I)
カグヤヒメグモ Parasteatoda culicivora
y (S)
カニミジングモ Phycosoma mustelinum
Fmy (I)
ミジングモの一種
m (I)
ムナボシヒメグモ Platnickina sterninotata
Fy (I)
スネグロオチバヒメグモ Stemmops nipponicus
Fmy (I)
アシナガグモ科
オオクマヒメドヨウグモ Diphya okumae
y (I)
コガネグモ科
コガネグモの一種 Argiope sp.
y (S)
サガオニグモ Plebs astridae
my (I)
カラフトオニグモ Plebs sachalinensis
y (I)
ワシグモ科
ワシグモの一種 Gnaphosidae gen. sp.
y (I)
43
くものいと, No. 47 (March 2014)
カニグモ科
カニグモの一種 Xysticus sp.
イヅツグモ科
イヅツグモ Anyphaena pugil
ウエムラグモ科
イタチグモ Prochora praticola
ネコグモ科
コムラウラシマグモ Otacilia komurai
ハエトリグモ科
ネオンハエトリ Neon reticulatus
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi
y (I)
F (I)
my (I)
F (I)
Fmy (I)
MF (S)
H:楽舎周辺 (北緯 35˚33′21″,東経 136˚07′31″,標高 226 m)
タマゴグモ科
アカハネグモ Orchestina sanguinea
ウズグモ科
マネキグモ Miagrammopes orientalis
ヤチグモ科
ヨゴヤマヤチグモ Tegecoelotes yogoensis
キシダグモ科
アオグロハシリグモ Dolomedes raptor
アズマキシダグモ Pisaura lama
コモリグモ科
*キバラコモリグモ Pirata subpiraticus
サラグモ科
ユノハマサラグモ Turinyphia yunohamensis
*アトグロアカムネグモ Ummeliata feminea
ヒメグモ科
オナガグモ Ariamnes cylindrogaster
カレハヒメグモ Enoplognatha abrupta
ヒシガタグモ Episinus affinis
カグヤヒメグモ Parasteatoda culicivora
ニホンヒメグモ Parasteatoda japonica
カニミジングモ Phycosoma mustelinum
ムナボシヒメグモ Platnickina sterninotata
ヤリグモ Rhomphaea sagana
ユノハマヒメグモ Yunohamella yunohamensis
アシナガグモ科
キンヨウグモ Menosira ornata
ヤマジドヨウグモ Meta reticuloides
タニマノドヨウグモ Metleucauge kompirensis
メガネドヨウグモ Metleucauge yunohamensis
ウロコアシナガグモ Tetragnatha squamata
コガネグモ科
オオクマヤミイロオニグモ Araneus acusisetus
コガタコガネグモ Argiope minuta
ヨツデゴミグモ Cyclosa sedeculata
44
f (Km)
Fy (Kr)
MF (Km)
y (Km)
f (Km)
F (Kr)
f (Km)
M (Kr)
f (Km, Kr)
f (Kr)
f (Km)
y (Km)
y (Km), F (Kr)
M (Km, Kr)
m (Km)
f (Km)
f (Km)
F (Km), M (Kr)
F (Km), FM (Kr)
f (Km)
f (Km)
f (Km)
mf (Km)
F (Km)
mf (Km)
くものいと, No. 47 (March 2014)
シロスジショウジョウグモ Hypsosinga sanguinea
サガオニグモ Plebs astridae
カラフトオニグモ Plebs sachalinensis
ミヤマシボグモ科
ミヤマシボグモモドキ? Zora nemoralis ?
カニグモ科
コハナグモ Diaea subdola
クマダハナグモ Ebelingia kumadai
ハナグモ Ebrechtella tricuspidata
*ヒメハナグモ Misumena vatia
ワカバグモ Oxytate striatipes
カニグモの一種 Xysticus sp.
フクログモ科
☆フクログモの一種 Clubiona sp.
ネコグモ科
ヤバネウラシマグモ Phrurolithus pennatus
ハエトリグモ科
マミジロハエトリ Evarcha albaria
*タイリクアリグモ Myrmarachne formicaria
ヤサアリグモ Myrmarachne inermichelis
アリグモの一種 Myrmarachne sp.
マガネアサヒハエトリ Phintella arenicolor
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi
ミスジハエトリ Plexippus setipes
アオオビハエトリ Siler cupreus
I:中央湿原 (北緯 35˚33′19″,東経 136˚07′08″,標高 290 m)
タナグモ科
コクサグモ Allagelena opulenta
キシダグモ科
アオグロハシリグモ Dolomedes raptor
イオウイロハシリグモ Dolomedes sulfurous
アズマキシダグモ Pisaura lama
コモリグモ科
ウヅキコモリグモ Pardosa astrigera
サラグモ科
サイトウヌカグモ Ainerigone saitoi
ムネグロサラグモ Neriene nigripectoris
ヒメグモ科
アシブトヒメグモ Anelosimus crassipes
ヒシガタグモ Episinus affinis
ニホンヒメグモ Parasteatoda japonica
アマミミジングモ Phycosoma amamiense
ムナボシヒメグモ Platnickina sterninotata
バラギヒメグモ Takayus chikunii
ジョロウグモ科
ジョロウグモ Nephila clavata
45
F (Kr)
f (Km)
f (Km)
f (Kr)
f (Km), y (Kr)
f (Kr)
f (Kr)
f (Kr)
mfy (Kr)
f (Kr)
M (Km)
F (Kr)
M (Kr)
f (Km)
f (Km)
y (Kr)
mf (Km)
f (Km)
f (Kr)
m (Kr)
F (Km)
y (Km)
fy (Km)
f (Km)
f (Km)
f (Km)
f (Km)
mf (Km)
fy (Km)
Fy (Km)
mf (Km)
y (Km)
y (Km)
M (Km)
くものいと, No. 47 (March 2014)
アシナガグモ科
キンヨウグモ Menosira ornata
アシナガグモ Tetragnatha praedonia
ウロコアシナガグモ Tetragnatha squamata
アシダカグモ科
*ツユグモ Micrommata virescens
コガネグモ科
ヌサオニグモ Araneus ejusmodi
マメオニグモ Araneus nojimai
ハラビロミドリオニグモ Araneus viridiventris
トリノフンダマシ Cyrtarachne bufo
キザハシオニグモ Gibbaranea abscissa
ゲホウグモ Poltys illepidus
エビグモ科
キエビグモ Philodromus emarginatus
アサヒエビグモ Philodromus subaureolus
シャコグモ Tibellus japonicus
カニグモ科
コハナグモ Diaea subdola
クマダハナグモ Ebelingia kumadai
アマギエビスグモ Lysiteles coronatus
セマルトラフカニグモ Tmarus rimosus
ワカバグモ Oxytate striatipes
イヅツグモ科
イヅツグモ Anyphaena pugil
ネコグモ科
オトヒメグモ Orthobula crucifera
ハエトリグモ科
ネコハエトリ Carrhotus xanthogramma
オスクロハエトリ Mendoza canestrinii
マガネアサヒハエトリ Phintella arenicolor
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi
イナズマハエトリ Pseudicius vulpes
*ヒメカラスハエトリ Rhene albigera
MF (Km)
y (Km)
f (Km)
f (Km)
y (Km)
f (Km)
y (Km)
F (Km)
f (Km)
y (Km)
y (Km)
y (Km)
y (Km)
f (Km)
f (Km)
m (Km)
y (Km)
m (Km)
m (Km)
F (Km)
f (Km)
f (Km)
mf (Km)
M (Km)
mf (Km)
f (Km)
J:南部湿原展望台~湿原観察コース (北緯 35˚33′19″,東経 136˚07′11″,標高 296 m)
タマゴグモ科
アカハネグモ Orchestina sanguinea
f (Km)
ユウレイグモ科
ユウレイグモ Pholcus crypticolens
f (Km)
ヤチグモ科
*ヒメシモフリヤチグモの一種 Iwogumoa sp.
F (Km)
ヨゴヤマヤチグモ Tegecoelotes yogoensis
Mf (Km)
タナグモ科
コクサグモ Allagelena opulenta
F (Km)
キシダグモ科
アオグロハシリグモ Dolomedes raptor
y (Km)
46
くものいと, No. 47 (March 2014)
イオウイロハシリグモ Dolomedes sulfureus
アズマキシダグモ Pisaura lama
サラグモ科
ツリサラグモ Neriene japonica
ムネグロサラグモ Neriene nigripectoris
ユノハマサラグモ Turinyphia yunohamensis
ヒメグモ科
アシブトヒメグモ Anelosimus crassipes
オナガグモ Ariamnes cylindrogaster
ホシミドリヒメグモ Chrysso foliata
カレハヒメグモ Enoplognatha abrupta
ムラクモヒシガタグモ Episinus nubilus
ヒシガタグモ Episinus affinis
フタオイソウロウグモ Neospintharus fur
カグヤヒメグモ Parasteatoda culicivora
カニミジングモ Phycosoma mustelinum
バラギヒメグモ Takayus chikunii
カラカラグモ科
ヤマジグモ Ogulnius pullus
ジョロウグモ科
ジョロウグモ Nephila clavata
アシナガグモ科
キンヨウグモ Menosira ornata
ヤマジドヨウグモ Meta reticuloides
ヤサガタアシナガグモ Tetragnatha maxillosa
コガネグモ科
オオクマヤミイロオニグモ Araneus acusisetus
イシサワオニグモ Araneus ishisawai
マメオニグモ Araneus nojimai
ゴミグモ Cyclosa octotuberculata
ヨツデゴミグモ Cyclosa sedeculata
シロスジショウジョウグモ Hypsosinga sanguinea
カラフトオニグモ Plebs sachalinensis
エビグモ科
アサヒエビグモ Philodromus subaureolus
シャコグモ Tibellus japonicus
カニグモ科
コハナグモ Diaea subdola
クマダハナグモ Ebelingia kumadai
アマギエビスグモ Lysiteles coronatus
ワカバグモ Oxytate striatipes
セマルトラフカニグモ Tmarus rimosus
フクログモ科
ヤギヌマフクログモ Clubiona yaginumai
☆フクログモの一種 Clubiona sp.
ネコグモ科
ネコグモ Trachelas japonicus
47
fy (Km)
f (Km)
f (Km)
mf (Km)
f (Km)
mfy (Km)
f (Km)
f (Km)
mf (Km)
m (Km)
fy (Km)
m (Km)
F (Km)
MmFf (Km)
f (Km)
F (Km)
F (Km)
MF (Km)
F (Km)
f (Km)
f (Km)
F (Km)
m (Km)
f (Km)
f (Km)
m (Km)
f (Km)
f (Km)
f (Km)
mf (Km)
f (Km)
f (Km)
mf (Km)
y (Km)
f (Km)
M (Km)
mf (Km)
くものいと, No. 47 (March 2014)
ハエトリグモ科
ジャバラハエトリ Helicius yaginumai
ヨダンハエトリ Marpissa pulla
ヤサアリグモ Myrmarachne inermichelis
アリグモ Myrmarachne japonica
マガネアサヒハエトリ Phintella arenicolor
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi
MFf (Km)
f (Km)
f (Km)
f (Km)
mf (Km)
MFf (Km)
K:北部湿原山際周辺 (北緯 35˚33′26″,東経 136˚07′14″,標高 290 m)
タマゴグモ科
ダニグモ Gamasomorpha cataphracta
F (Km)
アカハネグモ Orchestina sanguinea
f (Km)
ハタケグモ科
ハタケグモ Hahnia corticicola
F (Km)
ヤチグモ科
*ヤチグモの一種 Coelotidae gen. sp.
F (Km)
ヨゴヤマヤチグモ Tegecoelotes yogoensis
f (Km)
キシダグモ科
アズマキシダグモ Pisaura lama
f (Km)
コモリグモ科
イナダハリゲコモリグモ Pardosa agraria
m (Km)
ウヅキコモリグモ Pardosa astrigera
m (Km)
クラークコモリグモ Piratula clercki
F (Km)
サラグモ科
サイトウヌカグモ Ainerigone saitoi
f (Km)
デーニッツサラグモ Doenitzius peniculus
m (Km)
*コデーニッツサラグモ Doenitzius pruvus
mf (Km)
ツリサラグモ Neriene japonica
f (Km)
ムネグロサラグモ Neriene nigripectoris
mf (Km)
ヒメグモ科
アシブトヒメグモ Anelosimus crassipes
f (Km)
m (Km)
ホシミドリヒメグモ Chrysso foliata
f (Km)
シモフリミジングモ Dipoena punctisparsa
ヒシガタグモ Episinus affinis
f (Km)
フタオイソウロウグモ Neospintharus fur
mf (Km)
カニミジングモ Phycosoma mustelinum
MFm (Km)
ムナボシヒメグモ Platnickina sterninotata
mfy (Km)
スネグロオチバヒメグモ Stemmops nipponicus
mf (Km)
ボカシミジングモ Yaginumena castrata
y (Km)
ユノハマヒメグモ Yunohamella yunohamensis
f (Km)
ヨリメグモ科
ヨロイヒメグモ Comaroma maculosa
F (Km)
ジョロウグモ科
ジョロウグモ Nephila clavata
F (Km)
アシナガグモ科
キンヨウグモ Menosira ornata
MF (Km)
アシナガグモ Tetragnatha praedonia
y (Km)
48
くものいと, No. 47 (March 2014)
ウロコアシナガグモ Tetragnatha squamata
ヤサガタアシナガグモ Tetragnatha maxillosa
コガネグモ科
ハツリグモ Acusilas coccineus
イシサワオニグモ Araneus ishisawai
マメオニグモ Araneus nojimai
ハラビロミドリオニグモ Araneus viridiventris
ムツボシオニグモ Araniella yaginumai
ギンメッキゴミグモ Cyclosa argenteoalba
ヨツデゴミグモ Cyclosa sedeculata
トゲグモ Gasteracantha kuhli
カラフトオニグモ Plebs sachalinensis
シボグモ科
シボグモ Anahita fauna
エビグモ科
アサヒエビグモ Philodromus subaureolus
ワシグモ科
メキリグモ Gnaphosa kompirensis
*ヨツボシワシグモ Kishidaia albimaculata
カニグモ科
コハナグモ Diaea subdola
クマダハナグモ Ebelingia kumadai
アマギエビスグモ Lysiteles coronatus
ワカバグモ Oxytate striatipes
セマルトラフカニグモ Tmarus rimosus
フクログモ科
クロサワフクログモ Clubiona kurosawai
*マダラフクログモ Clubiona deletrix
ウエムラグモ科
タンボグモの一種 Agroeca sp.
イタチグモ Prochora praticola
ネコグモ科
オトヒメグモ Orthobula crucifera
コムラウラシマグモ Otacilia komurai
ネコグモ Trachelas japonicus
ハエトリグモ科
ネコハエトリ Carrhotus xanthogramma
ジャバラハエトリ Helicius yaginumai
アリグモ Myrmarachne japonica)
マガネアサヒハエトリ Phintella arenicolor
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi
*イワテハエトリ Pseudeuophrys iwatensis
アメイロハエトリ Synagelides agoriformis
f (Km)
f (Km)
MF (Km)
F (Km)
f (Km)
f (Km)
f (Km)
f (Km)
f (Km)
F (Km)
f (Km)
fy (Km)
y (Km)
m (Km)
f (Km)
fy (Km)
m (Km)
mf (Km)
mf (Km)
y (Km)
f (Km)
f (Km)
m (Km)
f (Km)
M (Km)
F (Km)
mf (Km)
f (Km)
Mf (Km)
f (Km)
f (Km)
MFf (Km)
mf (Km)
F (Km)
L:北尾根登り口 (北緯 35˚33′28″,東経 136˚07′17″,標高 340 m)
ヨリメグモ科
コツブグモの一種? Mysmenella sp. ?
y (N)
49
くものいと, No. 47 (March 2014)
ワシグモ科
ヨリメケムリグモの一種 Drassyllus sp.
ウエムラグモ科
イタチグモ Prochora praticola
m (N)
y (N)
M:尾根道 (北緯 35˚33′22″,東経 136˚07′28″,標高 260 m)
ハタケグモ科
ハタケグモ Hahnia corticicola
ヤチグモ科
*イブキクロヤチグモ Coelotes robustior
タナグモ科
☆コタナグモの一種 Cicurina sp.
サラグモ科
サラグモの一種 Linyphiidae gen. sp.
ヒメグモ科
スネグロオチバヒメグモ Stemmops nipponicus
ウエムラグモ科
イタチグモ Prochora praticola
ネコグモ科
コムラウラシマグモ Otacilia komurai
ハエトリグモ科
アメイロハエトリ Synagelides agoriformis
セアカゴケグモ報告
MFm (N)
M (N)
M (N)
M (N)
m (N)
y (N)
M (N)
M (N)
-和歌山県橋本市-
赤 松 史 憲
先日,家族で橋本市へ出かけた際に,何気なく立ち寄ったコンビニエンスストアで,
セアカゴケグモを見かけましたので報告させていただきます.
場所:和歌山県橋本市内某コンビニエンスストア
日時:2013 年 9 月 8 日
この時に撮った写真を次ページに示します.地表付近は言うに及ばず,写真にある
ように,オニグモ達に紛れて,コンビニエンスストアの屋根のひさし部分にまでセア
カゴケグモが巣を張り,成体が我が物顔で陣取っていました.海外では人家の地表付
近以外でもセアカゴケグモが生息していると聞いていましたが,国内でもこのような
形で上の方まで進出しているのかと,適応力の拡大に驚かされ,思わず写真を撮りま
した.このコンビニエンスストアのみについて言えば,セアカゴケグモ以外のクモの
50
くものいと, No. 47 (March 2014)
個体数に対してセアカゴケグモの生息個体数は圧倒的に多い状況にありました.
今まで,在来のクモの空いたニッチに入り込んで国内の生息場所を確保してきたと
言われてきたセアカゴケグモですが,これを見るにつけ,国内の他のクモとの競争関
係が生まれているように思えます.ちなみに,周囲の他のコンビニエンスストアでも
同様の状況にあるのかと車を走らせてみましたが,この状況はコンビニエンスストア
のみにしかみられませんでした.
橋本市は和歌山県でも冬になると雪が積もる地域で,セアカゴケグモの原産地から
すると,生息しにくい環境にあると思われます.この状況が一時的なものなのか,こ
れから拡大していくのか,定期的に観察し,またこの場で報告できればと思っていま
す.
51
くものいと, No. 47 (March 2014)
関西クモ研究会 採集会の記録(宝が池公園)
2012 年 9 月 22 日に実施された宝が池公園(京都市左京区)での採集会で得られたク
モを報告する.
参加者:伊藤博,田中穂積,竹内正幸,山田廣士,西川喜朗,西本裕,浅川正,伊規
須貞子,吉田真(9 名).
採集されたクモ類
科の配列は小野(2009)に,学名は谷川(2012)に準拠している.同定は吉田が行
なった.
ユウレイグモ科
ユウレイグモ Pholcus crypticolens
ハグモ科
ネコハグモ Dictyna felis
ウズグモ科
マネキグモ Miagrammopes orientalis
ヤマウズグモ Octonoba varians
タナグモ科
コクサグモ Allagelena opulenta
キシダグモ科
アズマキシダグモ Pisaura lama
ササグモ科
ササグモ Oxyopes sertatus
センショウグモ科
オオセンショウグモ Mimetus testaceus
サラグモ科
クロナンキングモ Hylyphantes graminicola
アシナガサラグモ Neriene longipedella
ユノハマサラグモ Turinyphia yunohamensi
ヒメグモ科
シロカネイソウロウグモ Argyrodes bonadea
チリイソウロウグモ Argyrodes kumadai
オナガグモ Ariamnes cylindrogaster
カグヤヒメグモ Parasteatoda culicivora
オオヒメグモ Parasteatoda tepidariorum
カニミジングモ Phycosoma mustelinum
ムナボシヒメグモ Platnickina sterninotata
マダラヒメグモ Steatoda triangulosa
52
幼体
♂成体,幼体
幼体
♀成体,幼体
♂成体,♀成体
幼体
幼体
♂成体
♂成体,♀成体
♀成体
幼体
♀成体
♀成体,幼体
幼体
♂成体,♀成体,幼体
♀成体,幼体
幼体
幼体
幼体
くものいと, No. 47 (March 2014)
ジョロウグモ科
ジョロウグモ Nephila clavata
アシナガグモ科
ヤマジドヨウグモ Meta reticuloides
アシナガグモ Tetragnatha praedonia
Tetragnatha sp.
コガネグモ科
Cyclosa sp.
トガリオニグモ Eriovixia pseudocentrodes
ワキグロサツマノミダマシ Neoscona melloteei
コゲチャオニグモ Neoscona punctigera
コマチグモ科
gen sp.
エビグモ科
アサヒエビグモ Philodromus subaureolus
シャコグモ Tibellus japonicus
カニグモ科
コハナグモ Diaea subdola
クマダハナグモ Ebelingia kumadai
ハナグモ Ebrechtella tricuspidata
ワカバグモ Oxytate striatipes
セマルトラフカニグモ Tmarus rimosus
Xysticus sp 幼体
ウエムラグモ科
イタチグモ Itatsina praticola
ネコグモ科
オトヒメグモ Orthobula crucifera
ネコグモ Trachelas japonicus
ハエトリグモ科
ネコハエトリ Carrhotus xanthogramma
アダンソンハエトリ Hasarius adansoni
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi
Myrmarachne sp.
ヤガタアリグモ Myrmarachne elongata
gen. sp.
幼体
♂成体
幼体
幼体
幼体
幼体
♀成体
♂成体
幼体
幼体
幼体
幼体
幼体
幼体
幼体
♀成体
幼体
♂成体
幼体
幼体
♀成体,幼体
♀成体
幼体
幼体
幼体
(計 45 種)
文献
小野展嗣(編)2009. 日本産クモ類.東海大学出版会.
谷川明男 2012. 日本産クモ類目録 Ver. 2012R1. <http://www.asahi-net.or.jp/~dp7a-tnkw/japan.pdf>
(文責:吉田 真)
53
くものいと, No. 47 (March 2014)
関西クモ研究会 採集会の記録(2013 年度)
場所:大阪府茨木市西安威一丁目・二丁目~東福井二丁目・三丁目~福井
◆ 2013 年 5 月 26 日
参加者:上村友久,加村隆英,熊田憲一,黒田あき,新垣雅美,関根幹夫,竹内正幸,
西本 裕,船曳和代,村上協三.(10 名)
◆ 2013 年 9 月 22 日
参加者:浅川 正,伊規須貞子,一木琢郎,一木十郎,伊藤 博,伊藤孝子,上村友久,
香川佳隆,香川貴美子,香川慶碩,香川恭碩,加村隆英,北村格一,黒田あき,新垣
雅美,新垣あずみ,関根幹夫,竹内正幸,田中穂積,西川喜朗,西本 裕,船曳和代,
村上協三,山田廣士.(24 名)
2013 年 9 月 22 日の採集会の参加者
上記 2 回の採集会で得られたクモ類を報告する.
(同じ場所において,西川喜朗氏が
9 月 26 日に採集したものについても同定結果をお知らせいただいたので,あわせて示
す.)括弧内に同定結果の報告者と採集月日を示す.* は 9 月 22 日に,現地において
解散前に行ったまとめの結果であることを意味する.科の配列は小野 (2009) に準じる.
学名は省略した.
54
くものいと, No. 47 (March 2014)
シロカネイソウロウグモ (* 9/22)
ジグモ科
ヤマトミジングモ ♀ (村上 5/26)
ジグモ (関根 5/26)
ヨリメグモ科
トタテグモ科
ヨロイヒメグモ 1♀1♂ (加村 5/26)
キシノウエトタテグモ 1♀ (関根 5/26); (*
ジョロウグモ科
9/22)
エンマグモ科
ジョロウグモ (* 9/22); 1♀1♂ (西川 9/26)
ミヤグモ 1♀ (関根 5/26)
アシナガグモ科
タマゴグモ科
コシロカネグモ 1♀ (西川 9/22)
ナルトミダニグモ 1♂ (西川 9/22)
チュウガタシロカネグモ ♀(村上 5/26); 1♀
シャラクダニグモ 1♀ (加村 5/26)
(西本採集, 加村同定 5/26); (* 9/22)
ヤマシログモ科
ウロコアシナガグモ (* 9/22)
ユカタヤマシログモ 1 幼体 (加村 5/26)
ヤサガタアシナガグモ 1♀ (加村 9/22)
ガケジグモ科
コガネグモ科
クロガケジグモ (* 9/22)
キジロオヒキグモ 1♂ (村上 5/26)
ハグモ科
ナガコガネグモ 1♀幼体 (加村 9/22)
ネコハグモ (* 9/22)
コガタコガネグモ (* 9/22)
ヒナハグモ 1♀1♂ (加村 5/26)
マルゴミグモ (1♀ 西本採集, 加村同定); 1♀
ウズグモ科
(加村 5/26); (* 9/22)
マネキグモ ♂ (村上 5/26)
ヨツデゴミグモ (* 9/22)
ヒラタグモ科
ドヨウオニグモ 1♀幼体 (加村 5/26)
ヒラタグモ (* 9/22)
ワキグロサツマノミダマシ (* 9/22); 1♀
タナグモ科
(西川 9/26)
コクサグモ 1♀ (西川 9/22)
ヤマシロオニグモ 1♀ (関根 5/26)
キシダグモ科
アオオニグモ 1♀ (関根 5/26)
イオウイロハシリグモ(?) (西本採集, 加村同
シボグモ科
定 5/26)
シボグモ 1 幼体 (西川 9/22)
コモリグモ科
ワシグモ科
クラークコモリグモ 2♀1♂ (加村 5/26); (*
シノノメトンビグモ 1 幼体 (加村 5/26)
マエトビケムリグモ ♀ (村上 5/26)
9/22)
カニグモ科
ササグモ科
ワカバグモ 1♂ (加村 5/26)
ササグモ ♂ (村上 5/26); 1♀ (関根 5/26); 4
キハダカニグモ 1♂ (関根 5/26)
幼体 (西川 9/26)
アズマカニグモ ♀ (村上 5/26)
サラグモ科
ハナグモ 1♂ (加村 5/26); 1 幼体 (西川 9/26)
ハラジロムナキグモ ♀ (村上 5/26)
ウエムラグモ科
ナミズキンヌカグモ 2♀1♂ (加村 5/26)
イタチグモ 2 幼体 (西川 9/22)
オオイオリヒメサラグモ 1♀ (加村 5/26)
ネコグモ科
ヒメグモ科
ネコグモ ♀ (村上 5/26)
セアカゴケグモ (* 9/22)
ハエトリグモ科
スネグロオチバヒメグモ 1♀ (加村 5/26)
コケヒメグモ ♀ (村上 5/26)
ヤガタアリグモ (* 9/22)
オオヒメグモ 1♀ (西本採集, 加村同定
アオオビハエトリ 1 幼体 (西川 9/26)
デーニッツハエトリ ♂ (村上 5/26); 1♀ (西
5/26); (* 9/22)
川 9/26)
ニホンヒメグモ (* 9/22)
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くものいと, No. 47 (March 2014)
ヨダンハエトリ 1♀ (加村 5/26)
ヒメカラスハエトリ ♀ (村上 5/26)
カラスハエトリ ♀ (村上 5/26); 1♀ (加村
キレワハエトリ ♂ (村上 5/26)
(56 種)
5/26)
セアカゴケグモは,茨木市西安威の追手門学院大学の正門付近で発見されたもので,
ここでは以前から本種の生息が確認されている.
ナミズキンヌカグモ,オオイオリヒメサラグモ,ヒメカラスハエトリの 3 種は,新
海ら (2012) によると従来,大阪府内での採集記録がなかったものである.
文献
小野展嗣 (編) 2009. 日本産クモ類. 東海大学出版会.
新海明・安藤昭久・谷川明男・池田博明・桑田隆生 2012. CD 日本のクモ Ver. 2012. 著者自刊.
(文責:加村 隆英)
池 田 勇 介 さ ん を 偲 ぶ (その2)
池田勇介くんの死を悼む
吉 田 真
池田勇介君が急逝してから,一年以上が過ぎた.一昨年 9 月に発行された「くもの
いと」46 号には「池田勇介君を偲ぶ」というコーナーが設けられ,関西在住の多くの
方が追悼文を寄せられた.しかし,あまりにも悲しくて,僕は書くことができなかっ
た.あの若さで死んだということを受け入れることができず,自宅の浴槽で突然死し
たという状況を受け入れることもできず,僕は,彼を追悼することができなかったの
である.
加村さんから改めて,47 号に追悼文を書くかどうかという打診を受けた.一年が過
ぎても,悲しみは少しも安らぐことはない.しかし,いま書かないとずっと書けない
と思い,書くことにした.
僕がはじめて勇介君を見たのは,彼が 5 歳の秋,1999 年の姫路の採集会だった.新
海栄一・高野伸二のフィールド図鑑「クモ」はすでに熟読していたようで,採集会で
見たクモは殆どすぐに「何々グモ」と判定していた.新海栄一さんの子ども時代もこ
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くものいと, No. 47 (March 2014)
うであったのではないかと思わせる早熟な子どもに見えた.世の中にはいろんなオタ
クがいる.昆虫図鑑を丸覚えしている子どもも少なくないから,クモ図鑑を熟読して
いる子どもがいても不思議はない.しかし,このような子どもたちの多くは,大きく
なったら只の人である.勇介君はそうではなかった.これは彼の序章に過ぎなかった
のである.
小学生低学年の頃だったろうか?「勇介君,これ何?」と聞くと,
「これはちょっと・・
調べてみないと分かりません」という答が返ってきた.この段階で既に,彼は「研究
者っぽく」なっていたのである.同定能力はここでもはや僕を超えた.なぜか悔しく
はなく,とてもうれしかったことを覚えている.とんでもない奴が現れたと思った.
このまま順調に成長すれば,彼は時代を代表するクモ学者になるかもしれない.過度
の期待はもちろん禁物である.子どもの興味・関心は変わることが多いから,彼は将
来,クモなどとは関係のない針路を進むかもしれない.それはそれで仕方がないこと
で,彼の進路を決めるのは彼自身であると思っていた.
小学校高学年から中学にかけて,彼はますますすごい奴になっていった.原著論文
を読むために英語の塾に通っているとか,おばあちゃんからもらったお年玉が中国ク
モ図鑑であるとか,どう見ても同世代の子どもとは違う.期待してはいけないと思い
つつ,この段階で僕は彼の将来に大きな期待をするようになっていった.研究室にあ
った双眼顕微鏡を貸してあげたのもこの頃である.彼は自宅で,毎日何時間もこの顕
微鏡でクモを見ていたらしい.
さて,彼の知識と能力,とりわけ同定能力を伸ばすために,僕がさらにやってあげ
られることはなんだろう.ここで僕は,研究発表や文献紹介が中心であった関西クモ
ゼミに「同定会」を組み込んだ.研究発表などは午後 1 時から 3 時ころまでとし,午
前中と午後 3 時以降を,各自が同定できないでいるクモを調べる同定会としたのであ
る.僕はもはや彼の同定を指導できないので,彼の相手は加村さん,熊田さん,谷川
さん,小池君などにやっていただいた.同定会は延々と夜の 8 時か 9 時頃まで続くの
が常であった.勇介君と小池君の同定能力はこの同定会で鍛えられたのである.
そして勇介君に転機が訪れた.第一志望の高校に入学できず,入学した高校に合わ
ずに不登校になったと言う話を聞いた.この頃から彼は,クモゼミにも関西クモ研究
会の行事にも参加しなくなったのである.彼の興味はクモから離れ,クラシック音楽
や文学に移っていったらしい.
「彼の進路を決めるのは彼自身である」ということは頭
では分かっているのだが,息子に裏切られた親父みたいな想いに僕はさいなまれた.
理不尽な想いであることは分かってはいたが,僕はとても寂しかった.
昨年の 4 月 29 日.彼のお父さんから「勇介が死にました」という電話を受けた.ま
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くものいと, No. 47 (March 2014)
るで実感はなく,死因はどうかとか,お通夜や告別式はどうされるのかとか,かなり
事務的なやり取りをしたことを覚えている.悲しいという感情がまだわいてこなかっ
たのであろう.
お通夜と告別式のときに,いろんな人からお話を聞いた.僕は彼がとても繊細な少
年であると思っていたが,必ずしもそうではないことも知った.太宰治を愛読してい
たというのはさもありなんと思ったが,インターネットで購入したクモの専門書をも
っと高く他人に売りつけたとか,したたかな面もあったという.不登校だったと言う
から友達も少ないのかと思っていたら,お通夜には友達がたくさん来ていた.その子
たちと少ししゃべったが,感性豊かでとても感じがいい連中だった.彼はいろんな人
たちとつながっていて,幸せだったのだと思った.
ご両親に,
「勇介君を偲ぶ会をやりましょう」と言ったが,すぐにはやる気が起こら
ない.夏休みが過ぎてから考えはじめたが,どんな風にやったらいいのか分からない.
喫茶店やレストランの一室を借りてやろうかとも考えたが,最初から湿っぽくなりそ
うで,彼を偲ぶ会としてはそぐわない気がする.結局のところ,
「いつものように」ク
モゼミをやり,その中で偲ぶ会をやることにした.午前中から同定会をやり,昼食は
「いつものように」勇介君のご両親に作っていただき,研究発表をやった後で,参加
者が一人ひとり勇介君との思い出を話した.とても素敵な会だった.
勇介君から僕への「遺言」なるものを彼のお父さんから聞いた.
「京都市動物園の側
壁にヒトエグモがたくさんいるから見に行け」とのことである.さすが勇介君,希少
種のヒトエグモの多産地を発見していたのである.僕の家から動物園まで,車なら 15
分で行ける距離であるが,僕はまだ行っていない.それをやったら彼との最後の絆が
切れてしまうようで,僕はいまだに,そこに行くのをためらっている.
池田勇介くんを偲んで
西 川 喜 朗
5歳のクモ博士
池田勇介君と初めて出会ったのは,西区の靭公園(うつぼこうえん)で,大阪の博
物館の「セミのぬけがら調べ」1) の行事のときだった.1999 年 9 月 5 日,この行事が
始まりかけた時に,世話係のひとりが「西川さん! 5 歳のクモ大好きな子が来てる
で!」と教えてくれた.お母さんと弟さんが一緒だった.
「これはうれしいことだ! けど,5 歳の子がそんなにくわしく知っているはずはな
い,クモがちょっと好きなだけだろう」と,気楽に思っていた.ところが,ビンに入
58
くものいと, No. 47 (March 2014)
れたクモをチラッと見ただけですらすらと名前を言っている.私には,ルーペを使わ
ないと名前が出てこないような種類でも,その子は迷うことなく即答している.サラ
グモやハエトリグモの名前も正確そうであった.眼も相当いいようだ.ちょうど 2 週
間後の 9 月 19 日の日曜日には,姫路市の自然科学館の裏山で,関西クモ研究会の採集
会があるので,参加を呼びかけた.
この姫路市での採集会には,父・幸二さんと参加された.プラスチックのマヨネー
ズ入れの底を切り取ったものを使って,たくさんのクモを上手に採っている.ここは
クモの種類も多い.つぎつぎとクモの名前が出てくる.しかも正確そうである.私は,
「これは,ただ者ではない」,「この子は毎日,毎晩,クモ図鑑を見てて,普通のクモ
の模様は全部頭の中に入ってるんや」と,確信した.
恐るべき集中力
池田勇介くんは,2002 年(当時 8 歳)から,関西クモ研究会の「くものいと」や大
阪市立自然史博物館友の会の「Nature Study」2) に,各地の調査報告や観察記録の報文
を残されている.そのなかでも,貴重なものに次の論文がある.
2006 年に,その 2 年前に,毒グモのセアカゴケグモに咬まれた時の記録した原稿を
見せてもらった.非常に貴重な記録であるので,
「くものいと」にぜひ投稿しようと即,
賛同した.そして少し書き方に注文をつけたところ,素直に改正してくれて大変わか
りやすくなった.この報文 3) は,多くの研究者に参考にされている.
勇介くんはまた,中学生の時から,日本各地で開催される蜘蛛学会大会に参加して
いた.その都度,お目当ての研究者の指導を受けたり,クモの分類の論議をやってい
た.だから,何人かの研究者は,自分の跡継ぎができた,やがて日本のクモ学を背負
って立つ人物だと期待していただろうと思う.
後で知ったことであるが,勇介くんは文献の収集と整理,クモの部分図のスケッチ,
はたまたクラシック音楽まで,好きでやっているだけのようだが,恐ろしいまでの集
中力でクモ学に没頭していたことがうかがえた.私はそのパワーに追い付きたい.ど
うしたらあんな凝り性な子が育つのだろうか.
お母さんの優しいまなざし,お父さんのライバル意識を昂揚させる,つかず離れず
の気くばり,弟や和歌山のおばあさんの研究熱心さ・・・すばらしい家族に乾杯!
勇介くんのご冥福を心からお祈りします.会えなくなったのが残念でならない.
~~~~~~~~~~~~~~
1):「セミのぬけがら調べ」:大阪市立自然史博物館友の会主催の年中行事のひとつで,1992 年以来,
毎年 9 月の最初の日曜日に靭公園内のセミのぬけがらを集めて集計している.
2):クモではないが興味あるものに,祖母から引き継いだクマゼミの調査がある.大きなミカンのプ
ランターで,1996 年 9 月の卵から 5 年目の 2001 年 7 月に 1 頭が羽化した(地中生活は 4 年間).
池田勇介・幸二 2002. プランターのミカンで育ったクマゼミ. Nature Study, 48(5): 6.
3):池田勇介 2006.セアカゴケグモに咬まれて.くものいと,39: 47-49.
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くものいと, No. 47 (March 2014)
関西クモ研究会
2012 年度例会の記録
2012 年 12 月 23 日 (日) に 四天王寺高等学校(大阪市天王寺区)で 2012 年度の例
会が開催された.
役員会
例会に先立って,役員会が開かれた.
出席者:山野忠清 (庶務),吉田 真 (会計),
加村隆英 (編集),西川喜朗・船曳和代 (顧問).
以下の事項が審議,報告された.
(1) 「くものいと」の編集状況
2012 年 9 月に第 46 号を発行した.第 47 号の発行は 2013 年 9 月をめどに発行できる
よう努めたい.
(2) 2013 年度の行事予定
・採集会:2013 年 5 月 26 日 (日) および 2013 年 9 月 22 日 (日),いずれも場所は,茨
木市安威周辺.
・例会:2013 年 12 月 22 日 (日) (注),場所は追手門学院大阪梅田サテライト.
(注) 後日,追手門学院大阪梅田サテライトが日曜日は閉室であることが判明したため,役員間で
協議の結果,日程を 1 日繰り上げて,2013 年 12 月 21 日 (土) に開催することになった.
例会
出席者:荒川 真,池田和穂,池田幸二,伊藤 博,上田祐補,加村隆英,黒田あき,
清水裕行,竹内正幸,谷川明男,西川喜朗,西本 裕,船曳和代,村上協三,山田廣士,
山野忠清,吉田 真 (計 17 名).
講演発表
(1) 谷川明男:韓国のイソコモリ探蛛行
(2) 西川喜朗:ジョロウグモの網の消滅とセアカゴケグモの分散について
(3) 清水裕行:2012 年日本列島のゴケグモ
なお,講演の合間に,役員会で審議,報告した内容を出席者に紹介し,了承を得た.
また,出席者全員が近況を報告した.
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くものいと, No. 47 (March 2014)
関西クモ研究会
2013 年度例会の記録
2013 年 12 月 21 日 (土) に 追手門学院大阪梅田サテライトで 2013 年度の例会が開
催された.
役員会
例会に先立って,役員会が開かれた.
出席者:田中穂積 (会長),吉田 真 (会計),
加村隆英 (編集),西川喜朗・船曳和代 (顧問),関根幹夫 (会計監査).
以下の事項が審議,報告された.
(1) 「くものいと」の編集状況
2012 年 9 月に第 46 号を発行した.編集幹事の都合で第 47 号の発行が遅れている.
2014 年 3 月までには発行できるように努める.
(2) 2014 年度の行事予定
・採集会:2014 年 5 月 25 日 (日) および 2014 年 9 月 21 日 (日),いずれも場所は,妙
見山方面.
・例会の日程と場所については,庶務幹事が欠席のため,後日,役員間で相談するこ
とになった
(注)
.
(注) その後,役員間で検討した結果,2014 年 12 月 21 日(日)に大阪市立自然史博物館で開催す
ることが決まった.
例会
出席者:浅川 正,荒川 真,上田祐補,上ノ山和津子,上ノ山祐子,加村隆英,黒田
あき,関根幹夫,田中穂積,谷川明男,西川喜朗,西本 裕,船曳和代,山田廣士,吉
田 真 (計 15 名).
講演発表
(1) 西本 裕○,遠藤知二:兵庫県におけるクモバチ科ヒゲクモバチ(Dipogon)属の分
布と生態 -第 2 報-
(2) 関根幹夫:大分のクモ相撲 -2013 年 7 月 28 日-
(3) ウィモルワン・チョウォン,谷川明男○,池田勇介:トラマルはジャノメだった
(4) 谷川明男:タイ南部蜘蛛見遊山の旅
(5) 加村隆英:青いジョロウグモ?
なお,講演の合間に,役員会で審議,報告した内容を出席者に紹介し,了承を得た.
また,出席者全員が近況を報告した.
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くものいと, No. 47 (March 2014)
関西クモ研究会 2012 年度会計報告
収入:
2011 年度からの繰越金
197,748
会費 2012 年度前受け分繰り入れ
45,000
会費 2012 年度分入金
15,000
会費過年度分入金
13,000
バックナンバー売り上げ
11,240
寄付
12,760
受取利子
81
=============================================================
合計
支出:
294,829
くものいと No. 46
表紙用紙
997
くものいと No. 46
発送用封筒
930
同上
郵送費
6,640
採集会・例会等の案内 郵送費
12,750
2012 年度例会お茶代
1,000
事務費
3,820
2013 年度への繰り越し
268,692
=============================================================
合計
294,829
会費前受け状況
2012 年度末における会費前受け分の合計は,88,000 円である.
その内訳は次のとおり.2013 年度分 47,000 円;2014 年度分 18,000 円;2015 年度分
12,000 円;2016 年度分 5,000 円;2017 年度分 4,000 円;2018 年度分 1,000 円;2019
年度分 1,000 円.
上記のとおり,報告します.
会計幹事
吉田 真
************************************************************************
会計監査報告
関西クモ研究会 2012 年度会計について,関係証票書類に基づき監査を行った結果,
適正に処理されていることを確認いたしました.
2013 年 5 月 2 日
62
会計監査
関根 幹夫
編集後記
くものいと 第 47 号をお届けいたします.たいへん長らくお待たせいたしました.
第 46 号の発行は 2012 年 9 月でしたから,1 年半も間が空いてしまったことになります.
編集担当の私に時間がなく,ずるずると時が経ってしまいました.早い段階で原稿を
いただいていた方々には申し訳なく,お詫び申し上げます.
これに懲りずに,皆さん,今後も原稿をお寄せください.
加村 隆英
くものいと 第 47 号
2014 年 3 月 22 日 発行
関西クモ研究会
事務局:567-8502 大阪府茨木市西安威 2-1-15
追手門学院大学 生物学研究室
会
長:田中 穂積
庶務幹事:山野 忠清
会計幹事:吉田
真
編集幹事:加村 隆英
顧
問:西川 喜朗・船曳 和代
会計監査:関根 幹夫