●技術紹介 <河道内樹木の伐採・植樹に関する管理技術> 1.背景 近年の局地的集中豪雨の頻発など,想定外の降雨による出水と恒常的に生長し続ける河道内樹木の発達・拡 大は,河積阻害や流木化など,治水に多大なる影響を及ぼし,維持・管理に係る計画策定が喫緊の課題となっ ています。国土交通省では,河道内樹木の適切な管理を推進するために「河川区域内における樹木の伐採・植 樹基準(平成 10 年治水課通達) 」を制定しています。しかし,河道内の樹木管理は,環境や景観との調和・高 水敷利用・利権を伴うゴルフ場等の占用など,非常に難しい側面を有しているのが実態です。 こうした背景から当社では,河道内樹木の分布特性・生育特性の現況把握の精度を高め,洪水時の影響評価 を行うことで,治水・環境・河川利用等の観点から必要となる具体的な樹木伐開・植樹計画を立案し,植樹許 可マップの作成を行っています。 2.現況における河道内樹木の分布状況・生育特性の把握 アカメヤナギ群落 平均樹高:11m ※レーザープロファイラデ ータ、植生図から判読 現況河道内における樹木の分布状況を,現地調査で 把握することは,膨大なコスト・時間・労力を要しま す。現地調査に際しては,既存のレーザー測量成果を もとに,事前に樹木群の位置と高さを把握し,2カ年 のレーザー測量データと比較することで樹木の生長具 合を調査し,精度よく現況樹木の分布特性を把握して います。また,併せて樹勢判断も実施し,樹木の活力 度等の生育特性も把握します。 3.洪水流の影響検討 洪水時の影響評価として,準二次元不等流解析を行 い,樹木群の存在と計画流量に対する流下能力の評価 や,流木化への防止影響を把握しています。具体的 には,現地調査結果をもとに現況の樹木群を考慮し た死水域を設定し,準二次元不等流解析を実施して います。計算では,横断分割の細分化により樹木群 近傍流速等,樹木群周辺の挙動が詳細に評価できま す。 4.植樹許可マップの作成 以上の検討成果をもとに,管内河川における植樹 許可マップを作成しています。現行基準に準拠して いるだけでなく,河積への影響,堤防安全性,河川 管理施設・構造物への影響,倒木・流木化の 影響を加味したマップとなっております。 ○本/ha ○本 ○本 ○本 ○本 ○本 ○本 ○本 ○本 5.今後の取り組み ○本/ha ○本 ○本 ○本 ○本 河道内樹木は,台風などの強風を伴う洪水 時に倒伏・流木化することで構造物への影響 や下流の漁労活動,さらには船舶の航行等へ の影響が懸念されます。今後は,個々の実河 川に即した河道内樹木の倒伏試験を実施し, 河道内樹木の正確な耐力を見極めることで, 各河川に適した伐採・植樹管理基準の設定に 取り組む予定です。 (担当:河川・環境部 森) ○本 ○本 ○本 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ○本 ○本 ○本 ○本 ○本 植樹許可マップ作成イメージ
© Copyright 2024 Paperzz