I M P E R I A L C S Rレポート 2 012 【 2 011. 4 2 012 . 3 】 H O T E L 昨年の3月に発生した東日本大震災と、震災に続く原子力災害の影響により、平成23年 度はこれまで経験したことのない、厳しい年度のスタートとなりました。訪日外国人の激減に よる客室稼働率の低迷、宴会ならびにレストランご利用客の激減と、営業状況は深刻な 事態でした。 しかし、年度当初から地道に展開したさまざまな対策が功を奏し、当初想定した危機的 な状況を回避することができました。 こうした営業努力と並行して、大震災の体験を経て、これまで以上にいかに社会に貢献 できるかという、CSR活動にも取り組んでまいりました。特に、ホテルの基本である、お客様 の「安全と安心」のための対策の推進や、夏期における電力削減努力、年間を通しての継 続的な省エネルギー対策など、可能な限りの社会貢献に注力いたしました。 ここに平成23年4月から平成24年3月までの、当社グループのCSR活動を 「CSRレポート 2012」 としてまとめました。 今後とも、いかに社会に貢献できるかを最大の使命の一つとして、グループ社員が一丸と なってCSR活動を推進してまいります。 小林 哲也 代表取締役社長 1 企業理念 帝国ホテルの企業理念 帝国ホテルの行動指針 帝国ホテルは、創業の精神を継ぐ日本の代表ホテルで 私たちは、 その伝統を十分認識し、 お客様の要請を発 ● あり、国際的ベストホテルを目指す企業として、最も優れ 想の原点として、 提供する総てのサービス、 技術の向上 たサービスと商品を提供することにより、国際社会の発展 改善に徹し、 新しい価値の創造に努める。 と人々の豊かでゆとりある生活と文化の向上に貢献する。 私たちは、 創意工夫と挑戦の精神を尊重し、 かつ協調と ● 調和の態度を貫くことにより総合力の向上を追求する。 ホテル業が、 人を原点とすることを正しく理解し、 規範た ● るホテル十則の導く行動に徹する。 企業統治 コーポレートガバナンス体制 株 主 総 会 選任 選任 選任 監査 取締 役 会 内部統制部 連携 (内部監査) 経営 会 議 監査役会 監査役付使用人 常 務 会 リスク管理委員会 各 部 門 食の安全と信頼委員会 環境委員会 監査 連携 会計監査人 コンプライアンス CSR活動を推進する上で基本ともなるコンプライアンスについては、 「リスク管理委員会」、 「食の安全と信頼 委員会」などの組織的な体制を機能させています。 また、法令、定款、社内規則ならびに社会的習慣、企業倫理を順守することを求めたコンプライアンスの ための基本規程を定め、当社グループ全員に対しこの徹底を図るとともに、日常業務の法的問題の相談窓 口や、コンプライアンスに反する行為に対する内部通報のためのヘルプラインを設置し、当社グループ全体 に法令順守の徹底を浸透させています。 2 社 会とともに 帝国ホテルグループでは、環境への配慮、社会貢献として、次のような取り組みを推進しました。 ● 夏期特別節電への対応 平成23年3月に発生した原子力災害により計画停電が実施され、夏期には電力不足が懸念されました。夏期の電力総量 規制として、大口需要者へは、前年の最大使用量に対して15% (ホテル業は10%) の削減義務が課せられました。お客様の 利便性に配慮しながらも、電力総量規制に対しては以下のような対策を実施し、削減義務を大幅に達成しました。 電力使用実績 7月7日から9月9日までの平日の電力使用は、目標に対して以下のよ うな結果を達成しました。 7月 削減率18.4% (20日間) 8月 削減率20.9% (23日間) 使用レベルが使用制限量 に近づいた場合に、 緊急節電 要請を社内のパソコン画面に 強制表示し、 事務所の照明の 消灯や、 パソコンの電源を切る などの対策を実施しました。 9月 削減率19.2% (7日間) 節電に努めた結果、対象期間内で使用制限量を超えることはあ りませんでした。 ※昨日の最大需要は 93 % ( 13:00 台 ) 最高気温 34 ℃ 日比谷 打ち水月間 古くからエンターテイメント文化を発信してきた日比谷。 この日比谷を 代表する、 シアタークリエ、 東京宝塚劇場、 日生劇場、 日比谷シャンテ、 そ して帝国ホテル東京の5施設が、 夏の 節電対策の一環として、 7月下旬から8 月末の間、 共同で 「打ち水」 を行いまし た。 打ち水には冷却効果があるとされて おり、 また、 打ち水には中水を使用するな 5施設が共同で 「打ち水」 を実施 ど、 環境にも配慮しました。 節電対策の内容 削減義務を達成するため、営業スペースでは、一部照明の消 灯や照明のLED化の推進、宴会場の使用状況に合わせた空調 管理などを実施しました。バックスペースでは、照明の消灯・間引 き・照度の引き下げや、空調温度の引き上げを行いました。また、 社内啓蒙として、当日の電気使用量を予測し、館内に掲示・各部 への配信を行い、注意喚起と周知を図りました。 ● ≪緊急≫ 電力使用量削減のお願い 社会貢献 寄付・募金活動 平成24年2月5日に帝国ホテル東京で開催した 『第2回帝 経新聞厚生文化事業団に寄託しました。 国ホテルチャリティー落語会』 の収益金や、ロビーなどに設 また、平成21年度より従業員ボランティアを中心としたベ 置したチャリティーボックスの募金などを合わせ、昨年の寄 ルマーク収集活動を行っています。平成23年度は50,296 付 (1,000万円) に引き続き、平成24年2月末に、372万円を 点を収集し、ベルマーク財団が行っている 「東日本大震災 日本赤十字社に寄付しました。帝国ホテル大阪でも毎月2 被災校援助プロジェクト」へ寄贈しました。 回開催されている 『チャペルコンサート』 の、4月から9月まで 寄贈したベルマークは、ベルマーク財団を通じて被災校 の収益金120万円を、東日本大震災の復興支援として産 に送られ、学校備品や遊具などに交換されています。 3 社会福祉活動 ホテルやレストランの調理関係者が被災地におもむき、美味し また、今年度も、帝国ホテル東京、帝国ホテル大阪では、 い料理を提供するNPO法人「料理ボランティアの会」 に帝国ホテ フィンランドから招聘したサンタクロースと社員ボランティアにより、 ルも参加しています。平成23年11月には石巻市や宮古市を訪問 クリスマス時期に病院や養護施設などを訪問しました。 しました。平成24年2月には、帝国ホテルで「料理ボランティアの 会」 による 「チャリティー食事会」が開催され、収益金は今後の被 災地での活動資金として活用されることとなりました。3月よりは、 「インペリアルバイキング サール」 「ラ ブラスリー」の東京の2レスト ランで、石巻市の食材を使用したメニューの提供も始めました。 ● サンタクロースと社員による施設訪問 料理ボランティアの会 環境対策 当社グループでは、社長を委員長とする 「環境委員会」の下部組織として「グリーンチーム」 を設置し、その分科会として 「省エネルギーチーム」、 「フェニックス (ゴミ対策) チーム」、 「グリーン購入チーム」が活動しています。 グリーンチーム 深掘 ひろがり これから 中期環境ビジョン 風土醸成 ● これまで 「プラン120」 環境3カ年計画 気づき 中期環境ビジョンの策定 「プラン120」環境3カ年計画に続く中期ビジョンを策定しま した。 「ひろがり」 をテーマに、 「環境負荷を減らす」 「環境にい いことを増やす」 「活動をひろく知ってもらう」 という3つの方向 性に沿って、環境に関する取り組みをひろげてまいります。 [ 環 境 活 動について ] ● 3つの方向性 エネルギーや資源を大切に使って環境負荷を 減らす 環境にいいことを 増やす 帝国ホテルの活動をひろく 知ってもらう 省エネルギーチーム 夏期だけでなく、冬期にも自社目標を立てて省エネルギー対策に取り組んできました。具体的には照明機器や空調設備の 運転管理によるエネルギーの抑制、照明のLED化推進に取り組んでおります。その他、照明やパソコンの電源をこまめに消 しているかを定期的に確認するなど、従業員の省エネルギーに対する意識を高めています。 ● フェニックス (ゴミ対策) チーム 食品リサイクル法対応として、生ゴミのリサイクルを推進し、再生利用等実施率 (生ゴミのリサイクル率) の向上に努めました。 また、ゴミの分別状況を確認し、結果を各職場にフィードバックすることで、適切な分別廃棄を推進しております。 平成21年度より、ペットボトルのキャップを分別回収してワクチンの購入に活用する、エコキャップ活動に参加しています。 平成23年度は591,600個のペットボトルキャップを回収し、ワクチン740本相当分を寄付しました。 ● グリーン購入チーム 環境にやさしい製品の購入 (グリーン購入) を推進し、平成23年度は衛生紙や家電類で100%のグリーン購入率を達成しました。また、東京 で使用されている牛乳パックを洗浄してリサイクル会社に引き渡し、従業員スペースで使用するペーパータオルへと循環リサイクルしています。 4 お 客 様とともに ● お客様の安全と安心のために お客様の安全と安心のための対策として、東日本大 自衛消防訓練にも大震災の経験を生かし、これまで 震災の経験をもとに各現場で検証作業を実施し、全部 以上にお客様の安全と安心の向上に努めています。初 署の災害対策マニュアルを改訂しました。また、改訂し 期消火活動をになう自衛消防隊の活動においては、帝 たマニュアルに沿って、総合訓練を実施しました。 国ホテル自衛消防隊が、丸の内消防署自衛消防訓練審 査会男子の部において3位に入賞するなど、日常の防災 帝国ホテル大阪においても大地震を想定した訓練を 活動にも注力しています。 実施し、全社をあげての防災活動に取り組んでいます。 総合訓練 ● 大阪での訓練 2011年のホテルランキング 自衛消防訓練審査会 さらなる顧客満足度向上をめざす 「さすが帝国ホテル推進活動」 ● 平成24年1月20日に日経流通新聞に発表された、 「第24 回日経企業イメージ調査」流通関連企業部門で、帝国ホ お客様の期待を上回るサービスを提供し続けるための テルは「信頼性がある」、 「伝統がある」の項目で、昨年に 活 動の一 つが、 「さす が 帝 国ホテル推 進 活 動 」です。 続き1位の評価を獲得しました。 お客様から、 「さすが帝国ホテル」 と言われるにふさわしい また、平成24年3月21日に日経流通新聞に発表された、 活動を行った社員 32業種392社の商品やサービスを対象とした「2011年度 を表彰しています。 日本版CSI(顧客満足度指数)」のランキングにおいて、 平 成 2 3 年 度は4 7 帝国ホテルは7位(前年度は14位) にランクインされました。 名が表彰を受けま これは、シティホテルにおいてはトップのランキングでした。 した。 今年度も、帝国ホテルの高品質のサービスが高く評価 されました。 さすが帝国ホテル個人表彰 年間大賞表彰式 5 株 主 様とともに 帝国ホテルグループでは、株主・投資家の皆様のご期待にお応えすべく努力を続けています。 ● 安定配当 帝国ホテルは、長期にわたる安定的な経営基盤に基づく安定配当の継続を経営の基本方針とし、 グループの業績と配当性向などを総合的に勘案し、株主様への利益還元を実施しています。平成23年度 の年間配当金は、1株あたり23円(中間11円・期末12円) を予定しております。 従 業 員とともに 当社グループでは、全従業員が心身ともに健康で、働きがいのある職場環境づくりに努めています。 ● 障がい者の雇用や公平な人事制度 ● 当社グループでは、障がい者の採用を積極的に進 研修や海外留学の実施、福利厚生の充実 従業員のキャリア支援のための研修の実施や、通信 め、ここ数年、障がい者の職域を広げています。こうし 教育制度での自己啓発支援、国際的視野を持ったス た努力により、障がい者の法定雇用率を上回る雇用を タッフを育成する海外留学制度など、公平なキャリア 行っています。 アップのための支援を行っています。 また、公平な人事制度の推進として、女性の管理職 また、従業員のサークル活動支援やレクリエーション 登用なども積極的に行っています。 支援など、健康とリフレッシュのための福利厚生の充実 にも努めています。 従業員研修の様子 従業員のための厚生サービスセンター 6 サークル活動の支援 <表紙写真> 東日本大震災当日の帝国ホテル東京のロビーの様子。 約2,000名の方々が帝国ホテルに避難されました。 株式会社帝国ホテル 総務部 〒100 - 8558 東京都千代田区内幸町1- 1- 1 TEL(03)3504 -1111 URL http://www.imperialhotel.co.jp
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