Vol.3 〝地球儀〟を授業に活かす ~中学地理「世界の諸地域」アフリカ州②~ アフリカ州の学習を進める際に、生徒に捉えさせたいポイントとして 「アフリカは大きい」ということを前回お話ししました。 次に、捉えさせたいポイントは、 「アフリカは南北に長い」 ということです。これは、アフリカの自然や気候、文化が「多様」であることを捉えさせ る上で大切なポイントとなります。 そこで、今回は、地球儀を活用して、アフリカは「南北に長い」ということを捉えさせ る実践例を紹介します。 〈地球儀活用〉地球儀を使ってアフリカ北・中・南部と同緯度に位置する国を調べる。 地球儀を使うと、同緯度にある他の国を分かりやすく調べることが できます。そこで、地球儀を使って、アフリカ北部・中部・南部のそ れぞれと同緯度に位置する国を調べてみると、次のことが分かります。 〈北部アフリカ〉 アルジェリアの首都アルジェは、日本の関東よりも北に位置する。 〈中部アフリカ〉 赤道直下の中央アフリカは、シンガポールと同緯度に位置する。 〈南部アフリカ〉 南アフリカは、オーストラリアと同緯度に位置する。 アフリカというと、赤道直下の熱帯というイメージがありますが、 北部アフリカは、地中海を挟んでヨーロッパに面しています。一方、 最南端の南アフリカは、オーストラリア南端と同緯度であり南半球に あるため、日本とは季節が逆転し、夏季は10月~3 月となります。 冬には気温が 0℃になる地域もあり、高い山には積雪も見られます。 また、寒流のベンゲラ海流が影響を与える南アフリカの沿岸部には、 「ケープペンギン」というペンギンが生息しています。 【ケープペンギン】 このような地球儀を使った活動を通して、 「アフリカは南北に長い」という空間的な広が りを認知させることができます。これが、アフリカの自然や気候、文化等の多様性を理解 させるための空間軸となり、アフリカをひとくくりで見てしまうということがなくなるで しょう。 『中学校学習指導要領解説 次のように述べています。 社会編』(28頁)では、地球儀や地図の活用について、 生徒は、日本を中心に描かれたメルカトル図法やミラー図法などによる世界地図に 影響された世界観をもっていることが多い。そこで、例えば、地球儀を使って陸半球 と水半球を図に描く、地球儀の日本の位置に十字に貼ったテープをあて、東西方向へ 進むとどこの国に到達するかを調べ世界地図と比較する、地球儀と世界地図それぞれ におけるグリーンランドの大きさを比較するなどの活動を通して、地球儀で地球上の 位置関係や陸地面積、形状を正しくとらえる学習を行うことが考えられる。(中略) また、教室に地勢や国を表す地球儀を置いたり、世界地図を教室に掲示したりして折 にふれて活用するなど、日常的に地球儀や世界地図に親しませるよう配慮することが 望まれる。 (下線は筆者) 「世界の諸地域」の学習指導を行う際は、地球儀や世界地図を活用して、生徒に正し い空間認知をもたせましょう。 次回も、中学地理「世界の諸地域」(アフリカ州)における地図活用 について紹介します。 アフリカ大陸の国の数を調べる活動等を通して、アフリカの経済成長 のカギとなる事柄について追究していきます。
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