9月更新分

相変わらず、健康食品の広告や健康情報番組が、テレビや新聞雑誌を賑わせ
ます。もっともらしいキャッチコピーや体験談を見ていると、試してみようか
な、という気持ちが自然に湧いてきそうです。
ちょっと、練習してみませんか?架空の健康食品の、広告です。
総合栄養補助食品
マルチプール
忙しい現代人は、食事にゆっくり時間が割けません。
ストレスの多い社会で、若さを損なう活性酸素に体は晒されています!
皆様の健康を応援する栄養素をマルチに配合したマルチプールは
1 日に必要なビタミンの、なんと5倍をぎゅっと詰め込んで、
あなたの元気と健康をサポートします。
1分間に3本のペースで売れているマルチプール、
この機会に是非、おためしください。
1行目、2行目は(事実がどうかはさておき)、この食品とは関係ない一般論
を述べます。しかし、広告として読むと、この健康食品によって栄養価を補い、
活性酸素が減らせるように錯覚されてしまいます。
健康食品は薬のような錠剤の形をしていても、トクホでも、
「食品」です。で
すから薬のように「効果がある」とは薬事法上広告出来ません。そこで、3 行目、
4 行目にあるように「応援する」
「サポートする」
「よりそう」などの効果を期待
させるようなキーワードがでてきます。日本語の特性に行間を読ませる、とい
うのがあります。「応援します」とあれば、気になる症状が改善されるんだな、
と思わせ、
「おどろきの結果が!」とあるだけで、効くんだな、と思わせてしま
うのです。
また、しばしば含有成分や含有量が記載されますが、体に有効に吸収される
かどうか、また、体に毒性を発揮しないかどうかは別です。錠剤、カプセルの
形をとってはいても、
「食品」ですから、効果や副作用の検証は行われていませ
ん。
効能効果、副作用がはっきりしない健康食品を信用した余り、必要な医療や
食事、運動療法が行われなくなったり軽視されるようになったりするのも問題
です。
健康情報や健康食品は、長寿高齢化のご時世には大変な人気分野ですが、本
当の健康に早道はなく、習慣として積み重ねた食習慣と運動習慣がいちばんで
す。冷静になって、見極める目も養っていきましょう。