①がんの発生過程は、(腫瘍or結節)のうち他に転移せず宿主(しゅくしゅ

①がんの発生過程は、(腫瘍or結節)のうち他に転移せず宿主(しゅくしゅ)やっどぬしを殺すに 至らないもの 良性 至らないもの 悪性 とある。 質問:この区別はミクロには遺伝子の変異の差として理解できるのか? 腫瘍の良性、悪性を統一的に説明できる単純な遺伝子の差異はない。良性腫瘍は一般に増殖が遅
く、増殖は浸潤ではなく圧排性、転移しない。大腸腺腫のように多発的に発生することもある。ま
た良性腫瘍としてある期間存在して何らかの遺伝変異などが加わると悪性細胞が出現し、最終的に
は悪性腫瘍になることもある(腺腫→腺癌など)。腫瘍は良性、悪性に関わらず、増殖に伴いラン
ダムに変異がはいり、critical な遺伝子が変異すれば生物学的性質が一変する。 生物学的には良性でも延髄など生命機能維持に重要な部位にできると死をもたらすこともある。 ② の定義では、腫瘍が質的に異なった段階へ進展することをprogressionというらしいですが、それは古い病
変の一部にrevolutionary におこる
(Fouldの定義)とありますが・・・
質問:質的な定義なのでさっぱり量が書いてないのですが、異なった段階とは何で定義するのですか?増
殖速度、浸潤性、転移能などの獲得。また、revolutionaryに起こるという場合、量的な表現はあるのですか?
単一の細胞に起こった変異でも増殖優位性があれば時間とともに腫瘍の主要な構成細胞集団になる。
例えば、腫瘍の大きさとか腫瘍の大きくなる割合はどういうスケールですか?あるいは時間的変化の
程度はどのスケールで考えていますか?増殖能はDNA合成や有糸分裂の多さが腫瘍のマスの増大に寄与している。
浸潤能は実験的モデルで測る方法もあるが、組織学的に明瞭に確認できる。転移はがん細胞の運動能、基底膜破
壊能、血管内あるいはリンパ管内浸潤能、移転先への定着能など複雑なステップの総合的な結果であるので単純
に計測は難しいが、血管内に腫瘍細胞を注入し肺への転移性結節数を計測するなどの方法もある。組織内での腫
瘍マスの増大は最近では可視化する方法もある。 Evolutionary?腫瘍は発生過程で個別の細胞にも変異が次々おこりそれぞれの集団がクローナルに増殖し一種の
進化を遂げることを意味しているのでは? ③がんは原発巣よりは転移先のほうが肉腫は上皮性のがん(癌腫)より生長が早い
質問:この理由はどれだけわかっていますか?単なる現象論ですか?
なかなか一般論は言えないところです。転移がん細胞は原発巣の細胞集団に比べて、過酷な環境に
適応し増殖に専念できる集団が、転移プロセスの諸段階ですでに選別を受けていると思われます。 例えばがんが生長するためには栄養を摂取するための血管が周りに必要ですが、がん細胞が増えて
血液が不足することもあると思われます。このとき上皮より内臓部のほうが血管が伸びやすいとか
ありませんか?がん細胞は周辺組織から血管新生を誘導する因子を分泌しています。原発巣でも転
移先でも同様ですが、新生血管の誘導され方はもともと血管の密なところのほうが多いと思います。 ④がん遺伝子とがん抑制遺伝子
がん遺伝子はある種のウイルスから見つかったということですが、定義は
「細胞をがん化させる遺伝子」という定義だそうです。
発見の経緯はラウス肉腫の原因ウイルスが発がん性のないウイルスとは異なる遺伝配列をもっていた
ことに依ります。しかしこのウイルス癌遺伝子は発がん性のないレトロウイルスが細胞に感染しその
DNAに組み込まれた際に、宿主のDNAと組み換えによって宿主の細胞増殖にかかわる遺伝子をとりこ
んで(Transduce)得たものです。このウイルスが他の細胞、動物に感染するとウイルスゲノムに組み込
まれたtransduceされた細胞増殖遺伝子が活性化された形で大量に発現し、細胞の増殖を促進してしま
うのです。このようにして発見された“がん遺伝子”には多様なものがあり、それ自身増殖因子で
あったり、転写因子であったりします。
一方がん抑制遺伝子は、そもそも細胞のゲノム安定性を維持する遺伝子で、
その働きはアポトーシスエラーチェックなど、つまり細胞増殖に際してのブレーキ役を果たす遺伝子群
以上がいろいろ説明されているのですが、結局のところ、がん遺伝子は細胞増殖に関してのアクセル役をする
する遺伝子群、がん抑制遺伝子は、増殖に際してブレーキ役をする遺伝子群、としかよめない
のです。普通突然変異によって特定の酵素の
あるいは特定の機能を持つ器官を作る遺伝子の奇形などによって細胞が「奇形
の細胞になる」ことによりある病気が
発生したり体の一部の奇形が発生したりすることがありますが、それとは異質
で、 すなわち細部の増殖に伴う遺伝子群
の呼称を生じることのように思われます。以上の2つは「効きすぎても弱すぎ
ても」困る遺伝子は厚元と関係しており
いわば増殖をつかさどる遺伝子群の異常がおこしたものががんなのではと思わ
れます。この理解で間違いないですか?
体細胞レベルと生殖系列レベルの話を混線しないよう注意すべき。癌発生、抑制の減少はどちらのレベルの変
異によるものもあります。 ⑤ついでながら甲状腺がんについて緊急に知りたい事項が出てきたのでお伺いで
す。
現在福島でABC判定 と言われるものと甲状腺がんというものは結局のと
ころ、どういうところを見分けているのでしょうか、
しこりやのう胞の大きさで決まっているのでしょうが、いわゆる甲状腺がん
は①②に関係してどういう段階でがんと
判定するのでしょうか?甲状 腺がんには、いくつか種類があって
乳頭がん・・・予後が良い
濾胞がん
低分化がん…(未分化がん)・・・予後が悪い
だということですが、これらはどう見分けられるのでしょうか 。 超音波画像検査で異常所見なしがA、嚢胞や結節があるもの、B(多くは上記サイトにあるよう良性病
変;Cは詳細な画像検査や組織検査など精密検査を必要とするもので、臨床対応の区分のために簡易的に
患者を判定区分するものです。 C判定およびBの一部で詳細な検査をして診断します。 この3タイプのがんは腫瘍部から組織を採取して病理組織学的に判定します。これまで膨大な症例の蓄積
があり、予後の推定はそれに基づいています。 病理、がんの分子生物学のおすすめの導入書
今回のご質問の回答作成には、京都大学大学院医学研究科 病理系専攻 基礎病態学講座 病態生物医学 前教授
日合 弘先生に助言をいただきました。