今後の行政改革推進にあたって ~行政品質向上のためのアクションプラン提案~ 四国中央市行政品質向上委員会 平成 23 年 3 月 はじめに 地方自治体には、簡素で効率的な行政運営システムを確立するた めに、市民目線に立って自主的に行政改革の取り組みを継続するこ とが求められています。四国中央市行政品質向上委員会は、井原市 長が掲げる質感の高いまちづくりを実現するため、行政改革の推進 に行政の品質向上という視点を取り入れ、今後 5 年間に取り組む行 政改革の基本方針や実施計画などについて、市民の立場から意見を 述べるために設置されました。 私たち 12 名の委員は、昨年 10 月に委嘱を受けて以来、約半年 にわたる全 5 回の会議と提示された資料を持ち帰っての作業を通じ、 市が策定する第 2 次行政改革大綱及び行政品質向上プランに率直な 意見を投じるとともに、井原市長との意見交換などによって、市が 進もうとしている方向についての理解を深めることができました。 今回私たちに与えられた任務については、行政改革大綱及び行政 品質向上プランが成案化されることによって一定の責務を果たせた ものと考えておりますが、ここでは、井原市長が今後も行政改革を 推進されるにあたって、さらなる行政品質向上の一助となるよう、 5つのアクションプランを提案いたします。 私たちのわがまちを愛する想いをお酌みいただき、10 万市民のた めに「四国一質感の高いまち」を一日も早く実現されんことを切に お願い申し上げます。 平成 23 年 3 月 四国中央市行政品質向上委員会 委員一同 提言1 市役所組織のスリムアップのために 10 年・20 年の大計を早期に定めること 行政品質向上プランでは、小さくて機動的な市役所づくりをめざすこ ととし、定員適正化計画の見直し(H23~H27 の 5 ヵ年計画)を行 うこととしていますが、これまで市が示している各種計画では、組織の スリム化によって最終的に市役所がどのような姿を目指しているかが 見えてきません。 今後、事務事業の見直しや公共施設の統廃合、アウトソーシングなど を進めながら、職員数のさらなる削減と組織機構改革を行っていくため には、体制が確立された他の自治体などを参考に、市役所の将来像をは っきりと描いておくことが必要と考えます。 しかし、現在の方針として、当面は退職者数の3分の1以内で新規採 用することによる自然減のみで職員削減を進めることを前提とするの であれば、将来像に近づくには相当の年数を要すものと思われます。 そこで私たちは、これまでの 5 ヵ年計画に加え、早期に 10 年の中 期計画と 20 年の長期計画を定めて、市役所組織の理想の将来像へ向け た道筋を市民にわかりやすく示すことを提言いたします。 提言2 地域住民との協働のまちづくりのために 「まちへ飛び出す市職員」の共育計画を練ること 地域社会の絆を再生することが喫緊の課題となっており、地域コミュ ニティ拠点としての公民館のあり方や地域活性化策の推進体制などを 盛り込んだ「地域コミュニティ基本計画の策定」が、行政品質向上プラ ンに位置づけられました。 私たち市民一人ひとりが、地域社会が崩壊の危機にさらされているこ とを真剣に考え、自主自立の精神のもとに、地域の中でできることから 取り組んでいかなければならないことはもちろんですが、まちづくりや 地域おこしには、地域住民としての市職員やその他の公務員の力が必要 不可欠であると考えます。 現在でも、このことを自覚し使命感を持った多くの公務員の方が、役 所の中の仕事の範囲を飛び越えて、自治会活動、PTA、愛護班、スポ ーツ・文化指導、NPO やボランティア団体の活動などに汗を流し、知 恵や力を発揮されているようです。ただ、残念なことに、持てる力を十 分に活かしきれているのは、一部の人に限られているものと思われます。 そこで私たちは、すべての市職員が、公務員としての仕事に限らず、 一人の住民として地域内のリーダーと共にまちづくり活動を担ってく れることを願い、地域社会の絆の再生のために活躍できる職員を一人で も多く育てるため、井原市長が先頭に立って、 「まちへ飛び出す市職員」 が共に育ち合う環境づくりに取り組むことを提言いたします。 提言3 地域社会の絆を再生するための基本計画を 市民と職員の英知を結集して定めること 地域社会の絆の再生を図るための「地域コミュニティ基本計画」は、 平成 25 年度までに策定される予定となっています。 本市は、合併 8 年目を迎え、井原市長ご自身も 2 期目の最終年度を 迎えようとしていますが、市民の間に、新しく誕生した市の一体感を醸 成しながら、その一方でそれぞれの地域・地区ごとの活性化をどのよう に進めていくかということは、多くの人の知恵と大きなエネルギーを要 する切実な課題であると考えます。 各地区の公民館を中心として活動する各種団体や地域内のその他の グループは、それぞれに抱える問題を共有しあい、地域社会の絆を再生 し発展させるために先ず何ができるのかを見極め、分散したエネルギー を結集した行動を起こすことが必要と思われます。 そこで、すべての地区が競い合い、助け合いながら発展することを願 う私たちは、地区ごとに異なるさまざまな要因を分析・克服し、それぞ れの地区の特性に応じた地域再生策を講じていくために、市としての具 体的なアクションプランを市民と職員の協働によって策定することを 提言いたします。 提言4 コンプライアンス(法令遵守)確保のために 市役所内の内部統制システムを構築すること 本市では、自治基本条例に基づき個別外部監査制度を設けるなど、市 民による行政運営の監視機能を高めようとする姿勢が伺えます。また、 行政品質向上プランでも、行政監査の充実や民間人監査委員の登用など を位置づけ、市民から信頼される行政運営に努めることとされています。 自治体の自己決定・自己責任が拡大する中では、行政の「みえる化」 のための説明責任(アカウンタビリティ)の重要性が高まるとともに、 企業経営のみならず行政経営においても、コンプライアンス(法令遵守) を確保する組織内部のシステムづくりが求められていると考えます。 本来、公務員には法律によって法令遵守義務が課されていますが、全 国的にも行政運営の不祥事が次々と発覚している現状を考えると、何ら かの新たな対応策が必要であると思われます。通常、不正な事態に最初 に気付く可能性が高いのは内部の者であり、事実が隠蔽されることによ って市民が不利益を被ることは決して許されません。 そこで私たちは、地方自治法改正による外部監査機能と内部監査機能 の相互補完機能の充実を期待しつつ、さらに、市役所のセルフコントロ ール機能を向上させるため、公益通報者保護法に基づく組織内部のチェ ック体制確立をはじめとする内部統制システムを構築することを提言 いたします。 提言5 市民と市の協働による医療機関の適正受診運動や 予防医学的見地からの健康づくり施策を進めること 市民の心と体の健康づくりは、まちづくりの根本であると言っても過 言ではありません。また、市民の安心・安全の確保に対する期待に応え るためにも、健康づくり施策は重要性の高いものと考えます。 少子高齢化社会が進展する中で、高度情報化による豊富で多様な健康 情報の提供を受けて、市民の健康志向や医療・保健への関心は年々高ま りを見せています。 一方で、本市においても、一部市民のコンビニ受診によって地域救急 医療体制が危機的状況に陥るとともに、国民健康保険や介護保険などの 特別会計が市の財政運営に大きな負担としてのしかかっています。 そこで私たちは、即効性・直接性は期待できないとしても、市民一人 ひとりの健康増進に対する取り組みが市財政の健全化に必ずプラス要 因として働くものと考え、医療機関や企業の努力に加えて市と市民が協 働して知恵と工夫を凝らし、医療機関の適正受診運動や予防医学的見地 からの健康づくり施策を意欲的に推進することを提言いたします。 四国中央市行政品質向上委員会 会 長 大 西 誠 治 副会長 渡 邊 吉 子 委 員 井 川 人 司 委 員 宇 田 秀 雄 委 員 岡 田 雄 一 委 員 加 地 るり子 委 員 岸 委 員 河 委 員 良 一 本 善 雄 宝 利 佳 代 委 員 星 川 光 代 委 員 村 上 将 士 委 森 省 二 員
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