不動産譲渡税、株式と同じ20%に軽減。

税務セミナー
3年間延長された事業用買換特例
個人21号・法人22号買換え特例
税務セミナー
1号追い 出し買換え
譲 渡 の 日
平 成18 年 1 2 月 3 1 日 迄
平 成18 年 1 2 月 3 1 日 迄
譲
所 有 期 間
そ の 年1月1日 現 在 で 1 0 年 超 所 有
平成3年3月31日以 前 取 得
渡
資
所
地
国
国 内 の 既 成 市 街 地 等 内
産
用
途
事 業 用 ( 貸 付 用 含 む )
事 務 所 事 業 所 な ど 事 業 用
( 貸 付 用・保 養 所 を 除 く )
種
類
土 地 等 、建 物 又 は 構 築 物 等
建 物とそ の 敷 地 で ある土 地
取 得 の 日
譲 渡 の 日 の 前 年 から翌 年 末
譲 渡 の 日 の 前 年 から翌 年 末
所
地
国
内
国 内 の 既 成 市 街 地 等 以 外
用
途
事
用
事
種
類
土 地 等・建 物・構 築 物・機 械 装 置
在
内
買
換
資
産
在
課 税 繰 延 割 合
業
不動産譲渡税、株式と同じ20%に軽減。
懸案であった住宅ローン控除は“1年そのまま、来年度以降に段階的に縮小していく”など、平成16年
度の住宅・土地税制改正案が決まりました。ここでは、①個人の譲渡税 、②自社株税制 、そして③個人
の所得税制についてそのポイントを解説いたします。
用
土 地 等・建 物・構 築 物・機 械 装 置
8 割
■不動産譲渡の損益通算・繰越控除・還付廃止
平成16年度税制改正のポイント
業
8 割
■マイホーム譲渡損の損益通算・繰越控除を緩和
●平成16年の所得税から不動産譲渡損の他の所得との通算が廃止。
●マイホーム譲渡損の通算と繰越控除を認める制度です。
青色申告の特典が、一つ消滅します。つまり、不動産譲渡については、
これまで借入付き居住用財産を売って借入で買い換えた場合にのみ、
儲けた人は軽減、少ししか儲けなかった人は増税、損した人は泣き寝
譲渡損を繰り越せましたが、借入を完済してからでも借入買い換え
入りする優勝劣敗税制です。
した場合も、
OKとします。
●損失救済のケース
●借入残高が売価より多い場合は、借入買換しなくても、損失をその
これにより、不動産譲渡損で翌年以降に繰越して救済されるのは、次
年の所得で通算し、さらに損が出た場合も3年間繰越しできるように
の場合だけになります。
なります。マイホーム値下がり損が大きく、ローン残高が多額な場合、
①他の譲渡不動産で売却益がある場合の内部通算
実家に戻る、賃貸に移るなど、買換をしなくても損を認めましょう、
②特定居住用財産の譲渡損
というわけです。ただ、残存ローンの資金手当が必要です。
③災害損失
1
居住用財産の 買換え等の場合 の譲渡損失の
繰越控除制度の拡充
個人の譲渡税
居住用財産の譲渡損失の
繰越控除制度の創設
買換え(住宅ローンによる取得)
■不動産譲渡税、長期20%、株式並みに軽減
換えて8割課税繰延できる特定事業用資産 の 買換特例は3
譲
渡
資
金
年延長です。
●懸案だった不動産譲渡税が長期譲渡20%、短期譲渡39
売価=買換額なら、
8割繰延後20%×20%(譲渡税率)=
%に下がり、長期分は株譲渡税率と並びました。国交省の要
4% の 税額で譲渡可能です。
求していた資産所得の一元課税の一歩です。先祖伝来の土
低収益資産から高収益資産への組み替えにより、資産構造を改
地を1億円で売るなら、平成16年1月1日以降は526万円の
善する機会となりますが、所得税率が20%を超える年所得
税軽減です。
330万円超の方は、
その後の減価償却効果との勘案が必要です。
●優良譲渡も、2,000万円以下は14%と、従来の居住用財
産並の軽課となり、最大120万円の減税です。
売却のみ
適用対象の拡充
ローン残債
あり
現行の適用対象
ローン残債
なし
適用対象の拡充
(
住宅ローン残額から売却価格を控除した
残額を限度とする
(
賃貸住宅等に住替える場合も適用可能
ローン完済者等も適用可能
■長期譲渡所得の100万円非課税廃止 マイホーム譲渡損の損益通算・繰越控除を使うには
●買換の譲渡損失繰越控除特例を使う場合
ただし、収用等の特別控除・居住用財産の特別控除との併
●買換なしの譲渡損繰越控除特例を使う場合
用適用はできなくなるため、超える部分については、通常の
税率は下がりましたが、100万円の特別控除が廃止。20万円
●
その年1月1日で5年超所有で売却すること
●
長期譲渡税率20%が適用されることになります。
は増税です。
3人共有物件なら300万円非課税だったのですが、
●
譲渡物件のローンの完済は、譲渡契約日以降にすること
●
譲渡物件のローンの繰上返済は極力避けて残高を多くすること
そのメリットも消えます。その損益分岐点は、4,333,333円。
●
買換のローンは金融機関からの10年以上の借入とすること
●
精 算贈与制度などで残存債務の返済資金を確保すること
これ以上の利益が出れば、新税制がお得です。
●
買換物件は、登記簿で50㎡以上の床面積を確保すること
●長期所有の土地建物から国内土地建物設備機械に買い
その年1月1日で5年超所有で売却すること
税務セミナー
リスクのとれないこれからの個人不動産の取得戦略は
出口戦略とセットで
3
個人の所得税制
■住宅ローン減税の段階的縮小
イメージグラフ
入居年
控除対象限度額
控除率
控除期間
最大控除額
10年
500万円
5 0 万円
A
個人の不動産売却については、税務上はリスクがとれなくなりました。
取得や投資段階で、
ずっと持ち続けるのか、
いずれ売却するか、
出口戦略とセット
で計画を立てねばなりません。特に、値下がりのない優良な物件選定が、
平成 16 年
5 0 万 円×1 0 年
5,000万円
1%
( 従来制度
継続 )
10年
決定的に重要になります。資産価値とは、収益価値と出口価値の総体です。
4 0 万円
B
C
残念ながら売却損が出る場合は、譲渡益物件と同年売却とする長期資産計
1%
4 0 万 円×8 年
平成 17 年
4,000万円
20 万円
×
2年
画が必要です。
8年
への組み替え、有利になった法人税務も考えた資産戦略が求められます。
3 0 万 円×7 年
平成 18 年
3年
2 5 万円
2 5 万 円×6 年
平成 19 年
2
自社株税制
4年
2 0 万円
■非上場株の譲渡税を20%に引き下げ
■相続金庫株のみなし配当は譲渡並み課税に
平成 20 年
2 0 万 円×6 年
●今改正は、所得課税を、キャピタルゲイン(値上益)課税は20%に、
商法改正に連動して、平成13年10月1日以降、発行会社へ の自己
その他課税(インカムゲイン=収益)課税は総合課税に、という二元
株(金庫株)の売却は、譲渡価額のうち資本等の金額を超える部分
所得課税の布石です。非上場株の譲渡税率も6%減の20%に。自
にはみなし配当として最高50%の総合課税が適用されています。
社株のフットワークが軽くなるでしょう。
●今回は、相続株の発行会社への売却に限って、相続開始から3年10ヶ
■自社株評価減−最大3,000万円→1億円に
●平成14年に創設され、
徐々に緩和されてきた自社株評価減特例です。
純資産20億円以下の非上場企業のオーナー株について、
2/3につい
て、10億円以下まで10%の減額になります。つまり、改正前最大
3,000万円の減額が最大1億円になりますから、小規模宅地の特例と
の併用と併せて、利用価値が上がりそうです。平成16年1月1日以降
月以内売却であれば、みなし配当課税から除外。譲渡とみなして改
4年
物納や受皿会社などのストレスが軽くなるといえます。
この制度は減税でありながら、平成16年4月1日以降の相続税に適
10年のままで適用ローン残高を逓減、最後の数年間の控除率を0.5%とする方
取得が遅れれば遅れるほど、控除額が下がりますが、ローン
額が少なければ、影響も小さくなります。それより優先すべ
き判断基準は、金利と値下がりのない優良物件選びです。
■老年者控除廃止・公的年金控除引き下げ
一般
坪単位
相続株
特定居住用 240㎡
520,833円
1,718,749円
特定事業
312,500円
1,031,250円
その他
400㎡
200㎡
1,000,000円
3,300,000円
譲渡益×20%
みなし配当×所得税率
譲
渡
価
額
8∼10年目
1%
1∼6年目
0.5%
7∼10年目
10年
200万円
1%
1∼6年目
0.5%
7∼10年目
10年
160万円
万円
●税制の矛先は、高額金融資産を持つ高齢者に向かいます。
㎡単位
0.5%
500
400
300
相続対象です。最大減額1億円と小規模宅地の比較単価は下の通りで
地積
255万円
600
用されます。
すが、選択試算チェックが重要です。
10年
住宅ローン控除
借入額別最大減税効果
●二転三転の住宅ローン控除は、平成16年は現行どおり、17年以降、期間は
●相続税の取得費加算特例も併用できます。つまり、率軽減以外は
商法改正前の税制度に戻っただけなのですが、自社株相続について
360万円
■住宅ローン控除は1年そのまま、あと増税
式に変更されます。
正後の20%税率を適用します。
1∼7年目
2,000万円
10 万円×4 年
6年
1%
2,500万円
12.5 万円×4 年
6年
9∼10年目
3,000万円
15 万円×3 年
7年
0.5%
10年
2年
3 0 万円
事業用買換特例は延長されました。所有資産全ての収益アップと収益資産
1∼8年目
(最高50%)
譲渡益×26%
取得価格
資本等の金額
×
持分比率
譲
相続税額
×
渡
譲渡株式比率
価
額 (取得費に加算可)
取得価額
●平成17年から50万円の65歳以上の高齢者の老年者控除を廃止、公的年金
からもしっかり税金をとっていきます。65歳以上については、年金がある場合に、
老年者控除相当額が割増控除になるのです。
200
100
0
平成16年
居住
18年
20年
住宅ローン金額
高齢を迎えるには財産自己防衛と自己運用を図るしかあり
ません。準備は万全ですか?
5,000万円
3,000万円
2,000万円
監 修:エクスプレス・タックス株 式 会 社 / 飯 塚 美 幸 税 理 士 事 務 所 税理士・中小企業診断士 飯塚美幸