食事 非

安全ニュース No.55(2006年7月号) 号外
健康情報で、食品や補助食品、健康食品、栄養などに関連した話題の中で“アミノ酸”と言う言葉を良く耳にされているのでは
ないでしょうか?しかし、この正体(何か?)や効果(何に良いのか?)について意外にも、良く理解されていないまま「アミノ酸
は身体に良い!」と言ううたい文句のまま、補助食品や健康食品を利用していることはありませんか?そこで、この機会に「ア
ミノ酸」について少し整理してみましたので、この夏の皆さんの健康づくりの知識としてお役立ていただければ幸いです。
「アミノ酸」とは?
アミノ酸は、20種類確認されており、体内の“タンパク質”を組成・構成しているものです。逆に言えば、タンパク質を含む
食品には、種類と質の違いは有っても全てアミノ酸が含まれていると言うことです。このアミノ酸も大きく2種類に分けら
れ、体内で造ることができる物と、体内では造られずに口から摂取(食物やサプリメント)しなければならない物があります。
アミノ酸の種類
必須アミノ酸と
と非必須アミノ酸の
の違い
アミノ酸の種類は、次のように大きく二つに分類され、必須アミノ酸が9種類、非 必須アミノ酸
必須アミノ酸が11種類有ります。
その役割は、
タンパク質を構成するだけでなく、
個々 体内では造られず、口から摂取(食物やサプ
リメント)しなければならないアミノ酸
のアミノ酸が持っている機能、その違いや有効性が改めて見直されています。尚、こ 非必須アミノ酸
の「非必須アミノ酸」に含まれるものでも、体調によっては体内で合成されないもの 体内で造ることができるアミノ酸
もあります。また、
「必須アミノ酸」が不足すると「非必須アミノ酸」の合成も十分に行えないので、タンパク質を合成するた
めの総量が低下することになります。
注)必須アミノ酸を8種類と9種類に分類する場合があります。
裏面<<アミノ酸の種類と働き>>の(※)の記述を参照願います。
アミノ酸とタンパク質の関係とは
アミノ酸とタンパク質
食べ物の中に含まれる「タンパク質」は、数え切れないほど多種多様ですが、前述の
必須
通りアミノ酸で構成されており、食事で摂取すると体内でアミノ酸に分解され吸収 体内では
アミノ酸
造られない
されます。そして吸収されたアミノ酸を材料にして人の体内で再び多様なタンパク
食事
ビタミン タンパク質
質が作られ(タンパク質合成は主に肝臓で)心臓などの臓器や神経伝達組織、筋肉な
を組成
タンパク質 B6
どになり、必要に応じて身体のエネルギー源にもなっています。このタンパク質のお
陰で、食べた物を消化したり、呼吸したり、髪の毛や爪が伸びたり、色々思考したり、
ビタミン
非必須
アミノ酸
活動したりすることができるのです。つまり、良質のタンパク質を摂取すること=必
須アミノ酸を摂取することは、
人間の生命維持や活動に欠くことができないことです。
アミノ酸
体内で
牛肉、
豚肉、
牛乳、
大豆、
卵、
米、
小麦粉・
・等、
それぞれの食品に含まれるタンパク質は、
造られる
サプリメント
アミノ酸の含有量が違い、
「必須アミノ酸」を多く含んでいるほど良質のタンパク質
と言われています。
代謝を助ける
酵素を補助
タンパク質と「アミノ酸スコア」
食品のアミノ酸スコア
食品名
肉 類
スア
コミ
アノ
酸
スア
ミ
食品名 コ
アノ
酸
スア
コミ
食品名 アノ
酸
牛肉(和牛)100
鯵
100
玄米
豚肉
(ロース)100
鮭
100
白米
鰻
介 鰹
100
フランスパン 35
100
サツマイモ 88
100
大豆
65
パ
ン
そば
65
鯛
100
/
ご
うどん
41
真イワシ 100
飯
鮪
100 類 スパゲッティ 38
ロースハム 100
ソーセージ 100
ベーコン
100
鶏肉
100
鶏卵
100
牛乳
100
乳
100
製 チーズ
品
ヨーグルト 100
68
魚 類
秋刀魚
86
鯖
99
アサリ
車海老
84 野 ジャガイモ 68
79 菜 カボチャ 68
類
77
キュウリ 56
いか
71
かき
トウモロコシ 74
ニンニク 48
ゴボウ
※各健康食品販売各社のHP資料より
34
ダイコン 27
20種類のアミノ酸
このタンパク質の“質の違い”を表した数値を「アミノ酸スコア」と呼びます。
「アミノ酸スコア」とは?
人間のタンパク質を構成しているアミノ酸の平均的な数値を計算して、それぞ
れの必須アミノ酸の必要量を決め、そして、それぞれの食品に含まれているタン
パク質の平均的なアミノ酸組成を分析した結果を、人間の必須アミノ酸必要量と
照らし合わせて数値化しているものです。
例えば、タンパク質100gあたり、リジンは5g以上,メチオニンは3g以上,ス
レオニンは4g以上が必要な数値とした場合に、ある食品が全ての必須アミノ酸
の数値でこれを上回っていれば、
「アミノ酸スコア」が100・・・ということです。つ
まり、
「アミノ酸スコア」はアミノ酸がたくさん含まれる食品を見分けるための指
標であり、アミノ酸がどれだけバランス良く含まれているかを評価したものです。
最高値は100。
(数値が高いほど、必須アミノ酸がバランス良く含まれている。)
食品に含まれるアミノ酸
食品にも含まれている必須アミノ酸は、他の栄養素と共に左表を参照に出来る
だけバランスの良い食品、
「アミノ酸スコア」の高い食品を補充したいものです。
安全ニュース No.55(2006年7月号) 号外
タンパク質の摂取基準とアミノ酸の効率的な摂取方法
タンパク質所要量(g/日)
健康な人が良質のタンパク質を含む食品を一日に摂取する必要が有る量(タンパク質
年齢(歳) 男
女
所要量)は、自分の体重の1kg当り1.18g(60kg体重の人は、
約70g)となっています。
55
タンパク質は全てアミノ酸から出来ており、タンパク質の所要量=アミノ酸所要量です。 18∼29 70
厚生労働省が発表した栄養所要量によるとタンパク質の平均所要量は右表の通りです。 30∼49 70
55
現状、先進国の標準的な食生活を行っていれば、必須アミノ酸や総タンパク質摂取量は、
50∼69 65
55
不足する心配のないレベルであるとのことです。
※各健康食品販売各社のHP資料より
ビタミンB6の役割
摂取した栄養素の体内での代謝には酵素が必要と言われます。タンパク質だけを
ビタミンB6を多く含む食品
いくら多く取っても、代謝が円滑に行われなければ、結果としてタンパク質が不足
レバー、鶏の胸肉、鮭・サバ・マグロ
などの魚類、玄米やそばなどの精製し
することになります。その酵素を助ける働きがあるのは、ビタミンB群で、特にアミ
ていない穀類、豆類、ブロッコリーや
ノ酸の代謝には、ビタミンB6を補酵素とする酵素が欠かせないと言われています。
ホウレンソウなどの緑色野菜、バナナ
やアボガド、パパイヤ、キウイ、パイ
質の良いタンパク質を取ることと、一緒に十分な量のビタミンB6を取ることが、ア
ナップル、イチジクなどの果物
ミノ酸を無駄なく効率的に使うことになります。
アミノ酸の効果&働き
アミノ酸の効果
スキンケア効果
20種類もあるアミノ酸ですが、その種類
ダイエット効果
肌の新陳代謝を促しうるおいある肌に!
体脂肪を燃やして
ごとに身体への効果や働きが違っています。 引き締まったカラダに!
アスパラギン、チロシン、セリン、
プロリン、アルギニンの5つのアミノ酸
アルギニン、リジン、
ただ単に「アミノ酸」とうたわれている物
アラニン、プロリンの
4つのダイエットアミノ酸
アミノ酸の 免疫力アップ効果
を摂取すれば良いか?と言うと、やはり自
継続して病気にかかっても
治りやすくなる!
主なパワー
筋力アップ効果
分の目的に合わせ、
体調や健康管理、
機能アッ
アルギニン、グルタミンの
バリン、ロイシン、
2つのアミノ酸
イソロイシンで
プに必要なアミノ酸を必要に応じて補助・
強い筋肉作りのサポート
集中力アップ効果
アルギニンで筋力強化
補充することが肝腎であり、目的と違う働
集中力や記憶力が チロシン、アルギニン、イソロイシン、
丈夫な筋肉を作って健康的なカラダに! グーンとアップ! フェニルアラニンなどでもうひと頑張り
きのものは、逆効果にもなりかねません。
アミノ酸の種類と働き
※各健康食品販売各社のHP資料より
必須アミノ酸
スレオニン
肝臓への脂肪の蓄積を予防する作用を助ける。また、コラーゲンの材料になる
フェニルアラニン
食欲の抑制や、学習、記憶、気分、注意力の向上など
ヒスチジン(※) 皮膚で紫外線を吸収する化合物で、赤血球、白血球の形成に欠かせず、貧血の治療
に使われる
バリン
筋肉に積極的に取り込まれるアミノ酸で、脳の神経伝達物質の前駆体(トリプトフ
ァン、フェニルアラニン、チロシン)の取り込みに深い関係がある
トリプトファン 神経伝達物質であるセロトニンの前駆体で、成長ホルモンの分泌を刺激する
ロイシン
筋肉のたんぱく質の分解を抑える助けをしたり、エネルギー源として使われたりする
リジン
ウィルスのはたらきを抑制する効果がある
イソロイシン
筋肉の組織の主成分。衰弱した人に対しては、筋肉の消耗を防ぐために使われる
メチオニン
抗酸化物質のレベルを上げ、血中コレステロールを下げる可能性があると言われている
チロシン
神経伝達物質であるドーパミン、ノルエビネフリン、エビネフリン、甲状腺ホルモ
ン、成長ホルモン、メラニンの前駆体。気分を高揚させるはたらきもある
シスチン
傷の治癒の促進、シミの原因になるメラニン色素の沈着を防ぐ
アスパラギン酸
炭水化物をエネルギーに変換し、体内の老廃物の処理や、疲労回復に効果がある
アスパラギン
アスパラギンは加水分解されるとアスパラギン酸に変化する
セリン
記憶、神経系の機能を助けたり、皮膚の潤いを保つ天然保湿因子の主成分になる
グルタミン酸
知能を高めたり、潰瘍の治癒を早める。また、エネルギー源にもなり得る
グルタミン
最も多くみられるアミノ酸で、免疫系の機能に重要な役割を持つ
プロリン
筋肉のエネルギー源として使われやすく、脂肪の燃焼に関わっている
グリシン
他のアミノ酸の合成を助け、ヘモグロビン、チトクロームの材料になる。また、保
湿作用、酸化防止作用がある
アラニン
脂肪の燃焼に関わっている。また、免疫系をつくりだすために重要
アルギニン
脳下垂体にはたらきかけて、成長ホルモンを分泌される。免疫機能の向上や、肝機
能の増強、脂肪の燃焼などの作用もある
非必須アミノ酸
何故アミノ酸サプリメントか?
前述の
「現状、
先進国の標準的な食生活を行っていれば、
必須アミノ酸や総タンパク質摂取量は、不足する心配の
ない・・・。」の内容と、非必須アミノ酸が体内で別のアミ
ノ酸から作られ補う仕組みになっていることを併せ、良
質のタンパク質を食事からキチンと摂取していれば、ア
ミノ酸への対処はほとんど問題ないと言えるようです。
しかし、アミノ酸が不足すると体の疲れや体力の衰え、
また脂肪蓄積などを招くおそれがあり、不足した場合は、
自分の目的に合ったアミノ酸が含まれているサプリメ
ントを選び、補うことで健康づくりに役立つことになり
ます。
そのため、最近のようにストレスの多い(身体の機能
低下、ダメージ等)生活の上に、偏食(バランスが悪い)、
不規則な食事(時間がバラバラ)、食事を抜く、などなど
により、アミノ酸不足を招いているケースや、特定のア
ミノ酸の効果的なメカニズムを期待して、身体の特定機
能の補助に利用するケースなどにおいて、アミノ酸のサ
プリメントが利用されているようです。
サプリメントを利用される際は、
「何故アミノ酸サプ
リメントを利用するのか」その目的を再確認され、含ま
れているアミノ酸の効果に留意してご利用することを
お勧めします。
(※)
上表の
【ヒスチジン】
は年齢によって合成することができるため、
このアミノ酸を
【必須】
に
する場合と
【非必須】
にする場合がある。
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