P2Pによる仮想グローバルネットワークの構築 立命館大学 理工学部情報学科 ユビキタス環境研究室 中野 悦史 西尾 信彦 現在のネットワークの問題 ● IPv4の狭いアドレス空間のため、NATが必要 – – – プライベートネットワーク内部のホストが特定できない 特定できたとしても、ファイアウォールに拒絶される ピア同士の相互アクセスが不可能 P2Pアプリケーション制作における大きな障害 ● ● ホストに一意にIDを割り振る必要がある NAT越え、相互アクセスを可能にする必要がある 現在のネットワークの問題 P2Pサービス基盤のネットワーク ● 各ホストを一意に判別できるネットワーク – ● IPv4ではアドレス空間が不足 → IPv6なら十分 利用するサービスの例 – Skype, MSNMessengerなどの電話/チャットソフト – FreeNet, BitTorrentなどのファイル共有ソフト 多人数参加型ネットゲーム 自由度の高いVPN(SoftEtherなど)も – – これらのサービスにIPv6は最適 ―― しかしIPv6ネットワークの規模が小さい 現在のIPv6ネットワーク状況 ● IPv4ほど広大なネットワークになっていない – ネットワークが点在している状態 ● – IPv6トンネリングを利用しても点と点が繋がる程度 原因 ● IPv4で制作されたソフトが多いため、移行しにくい – ● ネットワーク機器、プロバイダのサポートが不十分 – ● IPv6移行のメリットも現在のIPv4ユーザには殆どない ● IPv6のアドレスを割り当ててもらっていないことも多い 近年徐々に対応されてきてはいる VPNを利用すれば多くの需要が満たせる – 例えば、オフィスのPCにアクセスしたい、など 現在のIPv6ネットワーク状況 仮想グローバルネットワーク ● IPv4アドレスを持つピアを接続点として IPv6ネットワーク同士を連結する – – ● トンネリングのように点と点ではなく、 ネットワーク同士を網のように多重結合 IPv6ネットワーク間はP2Pオーバレイネットワーク IPv6として振る舞い、サービスに依存しない – あらゆるP2Pサービスを自由に載せられる基盤 ● IPv6として扱えるため、開発しやすい – 従来のP2Pオーバレイネットワークの多くはサービス依存 IPv6準拠の広大なネットワークを構築する IPv6ネットワークの接続 ● IPv6トンネリングを利用する ● P2Pオーバレイ技術で接続ピアの探索・選択 – 接続ピア: IPv6ネットワークのゲートウェイの役割 ● ● – 最適な接続ピアを適時選択・利用する ● – IPv6ネットワークにおいてIPv4アドレスを持つピア 複数存在することが望ましい 従来は接続相手にルーティングできるIPv4アドレスがわから ないとIPv6トンネリングを作ることができなかった 自律的に経路の最適化を行う ● 耐故障性を向上 / ルーティング速度を向上 ハイブリッドなルーティング ● IPアドレスによるルーティングができない場合 → IPv4ネットワークを利用してトンネリング – ● あらかじめ相手のIPv4アドレスを知らない場合でも、 P2P技術を利用してルーティングされる IPv6ネットワーク内のルーティング → 通常のIPアドレスによるルーティング – 真のIPv6ネットワークのホストにもルーティング可能 ● 実際のIPv6ネットワークとの親和性が高い これらにより・・・ 仮想的なIPv6グローバルネットワークを構築 仮想グローバルネットワークの構築 ハイブリッドなルーティング P2Pサービス基盤としての利用 ● フレームワークを提供 – 通常のIPv6 P2Pフレームワークとしても使える ● ● ● したがって、サービスもIPv6準拠にできる 実際のIPv6への移行もスムーズに行える 実装したサービスを増加し、 ユーザが増えることでネットワークが効率化される – – ユーザ数の増加 → ネットワークの価値の増加 サービス例 ● ● ● ファイル共有、チャットソフトなどの既存のアプリケーション IPv6を利用するための仮想デバイス 分散DNS、Mobile IP、VPNなど 検討事項 ● ● P2Pオーバレイネットワークのアルゴリズム – DHT方式にするか、独自アルゴリズムを作るか – P2Pオーバレイのブートストラップはどうするか オーバレイやトンネリングによるトラフィック問題 – – なるべくスループット低下を抑える必要がある 既存のネットワークへの負荷も抑える必要がある 基本は”Keep It Simple, Stupid” – – 相手にパケットを送り届けることが最大の目的 アプリケーションに非依存の、通信路に徹する 発展構想 ● P2Pアプリのためのフレームワークの提供 – 通常のIPv6のP2Pフレームワークとしても使える – サービスもIPv6準拠にできる ● ● 実際のIPv6への移行もスムーズに行える 実装したサービスを配布してユーザを増やす → ネットワークが効率化される – サービス例 ● ● ● ファイル共有、チャットソフトなどの既存のアプリケーション IPv6を利用するための仮想デバイス 分散DNS、Mobile IP、VPNなど
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