教育現場における児童虐待対応マニュアル

教育現場における児童虐待対応マニュアル
平成20年1月
三木市教育委員会
は じ め に
三木市では、市民一人ひとりの人権が尊重され、明るく住みよい社会をつくるため、平
成13年1月1日より「三木市人権尊重のまちづくり条例」を施行し、様々な人権問題の解
決に向け、取り組んできました。また、現在、「日本一美しいまち 三木」をめざし、人にや
さしいスローライフなまちづくりをすすめています。
しかしながら、近年、生活の都市化や核家族化などに伴う社会の変化の中で児童虐待
が増加し、大きな社会問題となっています。児童虐待は、子どもの心身の成長や人格形
成に大きな影響を与えるだけでなく、ときには子どもの生命を奪うことにもなり、次世代を
担う子どもの育成を妨げる極めて重大な問題です。とりわけ、学校・園が児童虐待をもっ
とも発見されやすい場であることに鑑み、教職員には子どもたちのかけがえのない生命と
安全を守る重要な責務があります。
こうした観点から、すべての教職員が児童虐待に関する正しい知識と理解を持ち、さら
に児童虐待に遭遇した際の的確・迅速な判断と対応のスキルを有することは必須のこと
です。対応には速さと慎重さが求められ、同時に秘密を守らなければなりません。また、
教職員間の強い連携による取組をすすめるために共通理解が必要です。
そこで、こうした際のよりどころとして策定したのが、この『教育現場における児童虐待
対応マニュアル』です。
本冊子は、学校・園において児童虐待の疑い・発見からの対応を中心に、必要な事項
を概括的に掲載しています。そのため、『対応マニュアル』という、いかにも画一的なイメー
ジがするタイトルですが、あくまで「ひな型」であり、各教育現場において重要なポイントを
押さえつつ、実状に即して弾力的に活用いただきますようお願いします。
なお、その際、『児童虐待対応マニュアル(関係機関用)』(三木市:平成16年3月)、『養
護教諭のための児童虐待対応の手引』(文部科学省:平成19年10月)も併せてご活用く
ださい。
最後になりましたが、本冊子の作成にあたり、兵庫県中央こども家庭センターをはじめ
とする専門機関や幼稚園・小学校・中学校の各教育現場から貴重なご助言・ご意見をい
ただきましたことに改めてお礼を申し上げます。
すべての学校・園ですべての子どもたちの笑顔が美しく輝き、いきいきとした楽しい学び
が展開され、未来への夢と志を抱き、語れる子どもたちがあふれるまち三木市をめざす教
育を創造していくために、ともに力を合わせていきましょう。
平成20年1月
三木市教育委員会
教育現場における児童虐待対応マニュアル
目
次
「児童虐待防止法」と学校・園、教職員の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
児童虐待の種類と特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
早期発見のためのチェックポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
学校・園での対応と校内体制づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
学校・園としての通告と緊急度アセスメント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
※ 「児童虐待の防止等に関する法律」では、18 歳に満たない者を「児童」と規定し使用
していますが、本冊子では、概ね幼稚園児・小学校児童・中学校生徒を「児童」として使
用しています。
「児童虐待防止法」と学校・園、教職員の役割
1 児童虐待の定義
児童虐待とは、親または親に代わる保護者等が「子どもの心身を傷つけ、子どもの健
全な成長・発達を阻害すること」を言います。しばしば、「しつけだ」とか「愛情表現だ」とい
う意見もありますが、たとえその行為が親の思いから出たものであっても、その行為が子
どもの心身を傷つけ、発達を阻害するものであれば、それは児童虐待です。
2 児童虐待防止法
正しくは、「児童虐待の防止等に関する法律」です。この法律は、児童虐待が児童の人
権を著しく侵害し、児童の心身の成長や人格の形成に重大な影響を与えることや、そのこ
とが日本の将来の世代の育成に支障が出ることなどを考え、児童虐待の禁止・早期発
見・防止・保護・支援などについての国・地方公共団体の責務を定め、施策を促進するこ
ととしています。
3 学校・園の責務
児童虐待防止法第 5 条では、学校の教職員は、日常的に子どもにかかわる時間も長く、
虐待を発見しやすい立場にあることを自覚して、児童虐待の早期発見に努めなければな
らないことが明記されています。また、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、
速やかに通告しなければならないとしています。(第 6 条)
学校は、子どもの教育を司る機関であり、その根底には子どもの生命と安全を守ること
が最重視されなければなりません。全国の児童虐待に関する相談件数のうち、約 4 割が
「小学生」であり、約 25%が「3歳から学齢期前」となっています。(平成 17 年度:厚生労働
省調査)
また、配慮を要する子どもに関する会議等を行う際は、児童虐待の疑いも視野に入れ
協議することが肝要です。
こうした状況を踏まえ、学校は児童虐待を早期に発見し、専門機関等への通告をはじ
め、安全確保等の適切な措置をとることが求められています。
4 教職員の役割
長時間、子どもとともに過ごす教職員が担う役割の第 1 は、子どもからの「虐待のサイ
ン」の発見や、気になる子どものチェックです。(「早期発見のためのチェックポイント」(P4
∼5)参照)その際、表面に表れた問題行動のみに着目し処理するのではなく、背景に虐
待が潜んでいるかもしれないという視点で慎重に対応することが重要です。
-1-
第2に、気になる子どもについては、親と普段から話す機会を多く持ち、人間関係をつく
り、子育てについての親の思いや悩みやなどを受容的な心をもって聴き、必要に応じてア
ドバイスすることも大切です。
第3に、虐待を受けていることを口外できない、あるいは、それが虐待だと気づいていな
い子どもを救うため、次の点に留意し、虐待を見逃さないようにしましょう。
① 虐待はどの子どもにも、どの家庭でも起こる可能性があるという認識を持つこと。そ
して、虐待に気づいたとき、どう対処すればよいのか、普段から校内体制を整備し、
関係機関との連携を密接に図っておくこと。
② 虐待はどんな場合でも「不自然さ」が伴います。子どもや親の様子が「何となく変だ
な?」と感じたら、虐待を疑ってみること。
③ 「あんなに仲のよさそうな親子なのに」「学校に協力的な人なのに」「温厚な性格の人
だから」「職業柄、そんなことをする人とは思えない」などという世間一般の見方や自
分の固定観念にとらわれず、子どもの状況を的確に把握し、情報収集を行うこと。
④ 「この程度で虐待と言えるかどうか」といった迷いを持ったり、自分で判断してしまわ
ないで、まずは同僚や管理職に相談し、決して一人で抱え込まないこと。
⑤ 通告にあたっては、「もし間違っていたら」と思うのは当然ですが、実際には虐待を確
信できるケースの方が、むしろ少ないのが現状であるということ。
-2-
児童虐待の種類と特徴
「児童虐待」(「児童虐待防止法」第2条)とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人そ
の他の者で、児童を現に監護する者)がその監護する児童(18 歳に満たない者)に対して
行う、次の行為をいいます。
身体的虐待
児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること。
(例:殴る、蹴る、火傷させる、首をしめる、溺れさせる、異物を飲ませる、戸外にしめ出
す、など)
性的虐待
児童にわいせつな行為をすること、または児童にわいせつな行為をさせること。
(例:子どもへの性交、性的行為への強要、性器や性交を見せる、ポルノグラフィーの
被写体になることを子どもに強要する、など)
ネグレクト(保護の怠慢・拒否)
児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、または長時間の放置など、保護
者としての監護を著しく怠ること。
(例:家に閉じ込める、自動車内に放置する、受診させない、登校させない、食事を与え
ない、ひどく不潔なままにしておく、など)
心理的虐待
児童に対する著しい心理的外傷を与える言動(著しい暴言、または著しく拒否的な対
応)を行うこと。また、児童の前で行われる配偶者に対する暴力など、児童への被害が直
接的でないものも含む。
(例:ことばによる脅し、無視、拒否、きょうだい間の差別的な扱い、など)
-3-
早期発見のためのチェックポイント
∼児童の状態から∼
<全般・心理的>
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
保護者がいると顔色をうかがう。保護者がいないと全く保護者に関心を示さない
表情が乏しく、元気や意欲がなく、受け答えが少ない
過度に緊張し、視線が合わずにぼんやりしていることが多い
他の子どもとうまく関われない。反対に必要以上に教師や他の子どもにこびた
態度をとったり、まとわりついたりして、教師を独占しようとする
かんしゃくが激しく、体調・気分の激しい変動がある
奇妙な言動が多い
虚言が多い
盗みや万引き、金銭持ち出し等の習癖が見られる
落ち着きがない
授業に集中できない
家に帰りたがらない。家出を繰り返す
理由のはっきりしない欠席や遅刻が多い
教師に対する反抗的態度
単独での非行(シンナー吸引、無免許運転、放火など)
中学生以降まで持続する夜尿
ひんぱんな保健室訪問
<身体的>
□ 不自然な外傷(打撲、火傷等)が見られる
□ 傷に対する説明が不自然である。説明することを嫌がる
□ 警戒心が強く、音や振動に過剰に反応し、手を挙げただけで顔や頭を守ろうとす
る
□ 攻撃的で威圧的な言動が多く、けんかやいじめ、脅しが見られる
□ 生物(小動物、昆虫、植物)に対する残虐な行為(殺す、抜くなど)
-4-
<性的>
□
□
□
□
□
□
健康診断などで衣服を脱ぐことに異常な不安を見せる
体育が好きなのに、プールに入りたがらない
年齢不相応な性的なことばや言動が見られる
他者との身体接触を異常に怖がる
極端に異性を嫌がる
性的逸脱行為(特に女子)
<ネグレクト>
□ 季節にそぐわない服装をしたり、いつも衣服は汚れていたりする(他のきょうだい
との差が見られる)
□ 家庭訪問すると保護者が不在であったり、まだ寝ていたり、食事を与えていなか
ったりすることがある
□ 予防接種や検診を受けていない
□ 基本的生活習慣(洗顔、歯磨き、トイレなど)が身についていない
□ がつがつ食べ、お替りを繰り返す。人に隠して食べたりするなどの行動が見られ
る
□ 発達曲線に不自然さが認められ、身長や体重の増加が不良
-5-
学校・園での対応と校内体制づくり
1 対応の重要性
児童虐待が疑われるとき、学校・園として様々な対応が求められます。その際
重要なポイントは、以下のとおりです。
(1) 管理職としての対応
教職員から児童虐待の相談を受けた管理職は、児童の生命と安全にかかわるこ
ととしてとらえ、真摯に受け止め、対応しなければなりません。虐待の疑いを否定す
るような発言をしたり、軽く扱うようであったりしてはなりません。その児童について他
の職員がどのように見ているかなどの情報を収集・集約することで、全体像が見えて
きます。校園長をはじめ管理職が先頭に立ち、児童を守る組織体制を迅速につくるこ
とが必要です。
(2) 学校・園組織としての対応
児童虐待は、その要因が複雑に絡み合っていることが多い。また、児童や保護者
双方への支援が必要であることなどから、多角的な情報の収集が必要です。また、
複数の関係機関等との相談、連携が必要であることから、学校・園組織として管理職
に迅速、かつ的確に情報が届くようシステムをつくる必要があります。そのためには、
校園長のリーダーシップが極めて重要です。
(3) 記録の重要性
虐待の疑いのある児童を発見したときは、その疑いを持ったときから記録を残すこ
とが大切です。児童のケガやあざは、日数が経てば状況が変化してしまい、虐待を
疑う根拠が消えてしまうことがあります。また、記録を残しておかないと、後々時期や
状況があいまいになってしまいます。さらに、長期に及ぶ場合には、担当者がかわっ
たりして、関係機関等との間でトラブルが生じる場合もあります。記録を残す場合は、
「事実」だけを書きとめ、記録者の推測や思いなどは省くようにすることが重要です。
(4) 情報の守秘
虐待を受けたと疑われる児童についての情報は、プライバシーにかかわることで
あり、また、将来にかかわることであるため、いかなる理由があろうとも外部に漏らす
ことがないよう特段の注意をする必要があります。
さらに、児童虐待に関する情報は、公務員が守秘すべき情報の中でも格別に扱わ
れるものであり、特に慎重に扱わなければならないものです。
-6-
2 校内における児童虐待対応の流れ(例)
虐待の発見、疑われる状況
子どもの発するサインから気付く
気付き
学級担任・養護教諭
その他の全教職員
<役
管理職等に相談・報告
割>
①
協
議
○
問題の把握、情報収集・分析
◇どのような変化が見られたか
・体、心、行動、家庭環境、
協議の必要性の検討
保護者の様子など
○
虐待の疑いの判断及び通告に
ついての検討
校内擁護委員会(仮称)
○
(緊急を要しない場合)
児童の支援
・支援方法の決定
・保護者の対応に関すること
・地域との連携に関すること
(関係機関との連携、民生委員、
児童虐待の問題に対応する校内擁護委員会(仮称)
児童委員)
○構成委員(例)
・構成委員の役割分担
校長・教頭・教務・学年総務・担任・養護教諭・生
徒指導担当・特別支援教育コーディネーターなど
(*必要に応じて構成委員を加える)
②
取
○
職員会議、学年会議への報告
その他、必要に応じて
組
(必要に応じて協議)など
学校医・学校歯科医・スクールカウンセラー・
○
その他の関係職員など
継続支援
・事例検討会
・支援計画の見直し
学校としての対応方策の決定
連
・関係機関との連携
携
*事例により関係機関との連絡調
整役や校内の支援体制の窓口を
相談・通告:市教育委員会、市子育て支援課、
健康福祉事務所、警察、
県中央こども家庭センター
決める。
情報漏えいの禁止について
児童虐待防止法第 7 条において、市町村または児童相談所等が通告を受けた場合、通告をし
た者を特定する情報を保護者等には漏らさないことと規定されている。このことは、虐待を受
けたと思われる児童のプライバシー保護及び通告者の安全確保のためであり、子どもの安全、
子どもの最善の利益を守るという観点から、学校においても情報の漏えいがないよう徹底を
図ることが重要である。
7
3 校内体制づくり
(1) 児童の生命と安全を守るためには、なによりも全教職員が児童虐待について共通
理解を図ることが重要です。そのため、情報交換や職員研修等の機会を持つ必要が
あります。
(2) 校園長は「校内擁護委員会」(仮称)を設置し、関係者を招集し、得られた情報をもと
に協議し、情報の共有化を図り、学校・園としての取組を決定します。
(3) 会議に出席する教職員の構成メンバーは、通常、校長、教頭、教務、学年総務、養
護教諭、生徒指導担当、特別支援教育コーディネーター等ですが、事例により校園長
がメンバーを弾力的に判断し、決定します。
(4) 校園長は、特に緊急度が高い場合は、兵庫県中央こども家庭センターへ直接通告
します。通常は三木市教育委員会へ相談・通告します。
(5) 通告・相談後は、学校・園は児童の観察、ケアなどの役割を担います。また、必要に
応じて関係機関(三木市教育委員会、三木市子育て支援課、要保護家庭対策地域協
議会等)や児童委員(民生委員)、学校・園医に相談し、情報の提供等を行い、連携を
図ります。
(6) 継続的に児童観察・支援を行ったり、家庭への支援・連携をすすめるための担当者
(キーパーソン)を予め決め、取り組んでいくことが必要です。
(7) 虐待を受けている児童は、そのことを訴えることができない状態にあることを踏まえ、
日頃から教職員は児童との信頼関係を築き、児童の相談が受けやすい環境をつくる
ことが必要です。
8
学校・園としての通告と緊急度アセスメント
1 通告
(1) 通告とは
児童虐待防止法第6条では、「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、
速やかに通告しなければならない」と規定しています。
「通告」ということばから受ける印象は、重々しく、何か重大な決断のように感じられ、
ためらいがちです。しかし、ここでいう「通告」とは、専門機関(兵庫県中央こども家庭セ
ンター・三木市子育て支援課等)に相談に乗ってもらったり、気になる子どものことにつ
いて連絡したりすることと考えてください。
なお、通告をする際には、できる限りたくさんの情報を提供することが、専門機関にお
ける緊急度の判断や援助方法等を検討する上で必要です。
(2) 通告者について
児童虐待の早期発見に関する努力義務について規定した児童虐待防止法第5条で
は、教職員などの個人としてだけでなく、幼稚園・学校などの団体組織もその責任を負
うこととしています。また、こうした個人や団体組織が、児童の保護や支援にも協力をす
るよう努めることもあわせて規定しています。
平成16年にこの法律の改正がありましたが、その趣旨を踏まえると、幼稚園・学校
で虐待を発見し、通告をする際には管理職が責任をもって対応することが望ましいと言
えます。
その際、緊急性が高い事例の場合は、児童の生命・安全の確保を最優先するため、
虐待を発見した際は学校・園としてただちに三木市子育て支援課へ通告する必要があ
ります。
なお、通告した場合は、通告者が誰なのかを知られることもなく、仮に勘違いであっ
ても、それを責められることも、虐待の証拠を求められるということもありません。
2 緊急度アセスメント
通告にあたっては、緊急性の高い場合とそうでない場合があります。その際の目安と
なるのは、次のページの緊急度アセスメントシートのとおりです。
9
緊急度アセスメントシート
幼児・児童・生徒氏名
①当事者が保護
を求めている
(作成日
年
月
日)
□ 子ども自身が保護・救済を求めている
□ 保護者が子どもの保護を求めている
YES
NO
②当事者の訴え
る状況が差し
迫っている
□ 確認には至らないものの性的虐待の疑いが濃厚であるなど
□「このままでは何をしでかすか分からない」
「殺してしまいそう」
などの訴えなど
YES
NO
③すでに虐待によ
り重大な結果が
生じている
□ 外傷(外傷の種類と箇所:
□ ネグレクト(例:栄養失調、衰弱、脱水症状、治療拒否、医療放棄、 (
□ 性的虐待(性交、性的行為の強要、妊娠、性感染症罹患)
)
YES
)
)
緊急度AA
緊急一時保護
を検討
NO
④次に何か起これ
ば、重大な結果
が生ずる可能性
が高い
YES
NO
□ 乳幼児、虚弱児
□ 生命に危険な行為(例:首絞め、顔面打撃、頭部打撃、戸外放置、逆さ
吊り、道具を使った体罰、溺れさせる、
(
)
)
□ 性的行為に至らない性的虐待、
(
)
⑤虐待が繰り返
される可能性
が高い
NO
⑥虐待の影響と思
われる症状が子
どもに表れてい
る
NO
⑦保護者に虐待
につながるリ
スク要因があ
る
NO
⑧虐待の発生に
つながる可能
性のある家庭
環境等
家
□ 過去の介入(例:複数の通告、過去の相談歴、一時保護歴、
施設入所歴、
「きょうだい」の虐待歴、
(
)
)
□ 新旧混在した傷、入院歴、
(
)
□ 保護者に虐待の認識・自覚なし
□ 保護者の精神的不安定さ、判断力の衰弱
緊急度A
YES
□ 保護者への拒否感、恐れ、おびえ、不安、
(
)
□ 虐待に起因する身体的症状(例:腹痛、嘔吐、発育・発達の遅れ、白髪化、 YES
脱毛、
(
)
)
□ 面接場面での様子(例:表情が暗い、無表情、鬱的、体の緊張、過度の
スキンシップを求める、
(
)
)
□ 性格的問題(例:衝動的、攻撃的、未熟性、
(
)
□ アルコール・薬物等の問題(例:現在常用している、過去に経験がある、
(
)
)
□ 行政機関等からの援助に対し、拒否的あるいは改善が見られない、改善
緊急度アセスメントシート
するつもりがない
□ 家族・同居者間での暴力(DV等)
、不和
□ 日常的に子どもを守る人がいない
YES
□ 子どもへの拒否的感情・態度(例:拒否、愛情欠如、差別など不当な扱い、
望まない妊娠出産、
(
)
)
□ 精神状態の問題(例:鬱的、精神的に不安定、妊娠・出産のストレス、
育児ノイローゼ、
(
)
)
□ 養育態度・知識の問題(例:意欲なし、知識不足、不適切、期待過剰、
家事能力不足、
(
)
)
□ 家族状況の変化等(例:保護者等(祖父母、養父母含む)の死亡等、
離婚、妊娠・出産、
(
)
)
□ 子どもの生育上の状況等(例:発育の遅れ、未熟児、慢性疾患、 YES
(
)
)
□ 子どもの問題行動(例:盗み、攻撃的、家出、虚言、異食、過食、徘徊、
性的逸脱、退行、自傷行為、
(
)
)
10
発生前の一時
保護を検討
緊急度B
集中的な援助。
場合によって
は一時保護を
検討
緊急度C
継続的・総合的
な援助。場合に
よっては一時
保護を検討
資料
「児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律」の施行について(通知)
平16.8.13 16文科生313号
各国公私立大学長、各国公私立高等専門学校長、国立教育政策研究所長、各都
道府県知事、各都道府県・指定都市教育委員会、各独立行政法人の長あて
文部科学省生涯学習政策局長、初等中等教育局長通知
児童虐待の防止については、平成12年11月に「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号。以
下「現行法」という。)が施行された後、広く国民一般の理解の向上や関係者の意識の高まりが見られる中で、
様々な施策の推進が図られてきました。しかしながら、子どもの尊い生命が奪われるなどの痛ましい児童虐待事
件は後を絶たず、児童相談所への児童虐待相談件数も平成15年度には2万6千件を超えるなど、児童虐待問題
は依然として、早急に取り組むべき社会全体の課題となっております。
このため、「児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律」(平成16年法律第30号。以下「改正法」と
いう。別紙1、2、3参照。)が先の通常国会で成立し、平成16年4月14日に公布され、一部の規定を除き、同年10
月1日より施行されることとなったところです。
ついては、各都道府県知事及び各都道府県・指定都市教育委員会におかれては、児童虐待の防止に向けて、
下記の主な改正法の内容等にご留意の上、その施行に関して、域内の市町村教育委員会、所管又は所轄の学
校及び社会教育施設その他の教育機関及び学校法人に十分了知いただくとともに、教職員をはじめ学校教育
及び社会教育の関係者に対して周知が図られるようご連絡願います。
なお、本件については、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長より各都道府県知事及び指定都市市長あてに通
知されており、これを添付(別紙4)しますので、ご参考としてください。
記
1 目的(改正法施行後の児童虐待の防止等に関する法律(以下「法」という。)第1条関係)
法の目的について、次の3点が規定されたこと。
①児童虐待が児童の人権を著しく侵害するものであり、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼ
すこと
②児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務を定める
こと
③児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置を定めること
2 児童虐待の定義(法第2条関係)
児童虐待の定義について、次の2点が明確にされたこと。
①保護者以外の同居人による児童に対する身体的虐待、性的虐待及び心理的虐待を保護者が放置するこ
とも、保護者としての監護を著しく怠る行為(いわゆるネグレクト)として児童虐待に含まれること
②児童の目前で配偶者に対する暴力が行われること等、直接児童に対して向けられた行為ではなくても、児
童に著しい心理的外傷を与えるものであれば児童虐待に含まれること
11
3 国及び地方公共団体の責務等(法第4条関係)
(1)児童虐待の防止等のために必要な体制の整備(第1項関係)
国及び地方公共団体は、児童虐待の予防及び早期発見、迅速かつ適切な児童虐待を受けた児童の保
護及び自立の支援(児童虐待を受けた後18歳となった者に対する支援を含む。)並びに児童虐待を行った
保護者に対する親子の再統合の促進への配慮その他の児童虐待を受けた児童が良好な家庭的環境で生
活するために必要な配慮をした適切な指導及び支援を行うため、関係省庁相互間その他関係機関及び民
間団体の間の連携の強化、民間団体の支援その他児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に努め
なければならないとされたこと。
なお、「関係機関」の例として教育関係では、幼稚園、小学校等の学校、教育委員会、教育相談センター、
社会教育施設などが想定されており、児童相談所、福祉事務所、保健所、児童福祉施設、警察などの関
係機関との連携はもとより、個人情報の保護に十分配慮しつつも、社会福祉法人、NPO等、幅広い民間団
体との連携にも配慮すべきであること。
(2)研修等の必要な措置(第2項及び第3項関係)
国及び地方公共団体は、学校の教職員その他児童の福祉に職務上関係のある者が児童虐待を早期に
発見し、児童虐待の防止に寄与することができるよう、研修等必要な措置を講ずるものとされたこと。
また、国及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援を専門的な知識に基づ
き適切に行うことができるよう、学校の教職員その他児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援の職務
に携わる者の人材確保と資質向上を図るため、研修等の必要な措置を講ずるものとされたこと。
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