7. Apr. 2016 Vol.24/16 細部にいたるまで完璧にレストアされた ポルシェ 911 2.5 S/T テクノクラシカのハイライト ポルシェ AG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:Dr.オリバー・ブルーメ)のポルシ ェ クラシックは、エッセンにおけるテクノクラシカの開幕を記念して、波乱に富んだモータ ースポーツの歴史とともにレストアされた 911 2.5 S/T を紹介します。ポルシェ クラシック のスペシャリストによって 2 年の歳月をかけてレストアされた、1972 年のル・マンでクラス 優勝を飾った車が初公開されます。 ポルシェ クラシック代表のアレクサンダー・ファビックは、この車の元の状態を思い起こし ます。彼は「911 2.5 S/T は、数年前に米国のコレクターによってレストアベースの状態で探 し出されました。ポルシェのスペシャリストたちの巧みな作業によって、このスポーツカーは 最高水準の状態によみがえりました。 」と述べています。見つかった車は本当に稀少なもので、 911 2.4 S クーペをベースとしてわずか 24 台が製造されたレーシングカーでした。さらにフ ァビックは「このお客様が今回のレストアで私達に示してくれた厚い信頼に本当に感動してい ます。このプロジェクトは前例がないもので、歴史的に大きな意味をもちます」とも話してい ます。 911 2.5 S/T は、グループ 3(市販車ベースの GT 車両)とグループ 4(改造を施した GT 車両) のカスタマースポーツ用に開発されたモデルで、1971 年末に当時の Dr. Ing. h.c. F. Porsche KG スポーツ部門から 49,680 マルクで限定数が発売されました。911 2.5 S は、タルガ・フロー リオ、ル・マン、ラリーなどのサーキット用に開発された 911 2.4 S クーペのワークス改造仕 様で、国際スポーツレギュレーションにしたがって厳密に変更されており、特別仕様の価格は プラス 19,000 マルクとなっていました。 1971 年 11 月に米国のレーシングドライバーのマイケル(マイク) ・カイザーがポルシェのス ポーツ部門にオーダーした 911 2.5 S/T は、1972 年シーズン中に米国の複数のレースと世界 耐久選手権に出場しました。ポルシェのワークスドライバーであり、同時にポルシェ スポー ツ部門のスタッフだったユルゲン・バルトも、当時のドライバーの一人でした。彼は 1977 年 ル・マン 24 時間の総合優勝者で、44 年後の現在も当時のことをはっきりと覚えています。 「マ イク・カイザーは、私をセブリングに招いてくれました。私達は 1972 年の耐久選手権にフル 参戦する計画を立てました。マイクは、シーズンを通して私達に同行する少人数の TV チーム も雇っていました。 」 1972 年シーズンに、ユルゲン・バルトと 911 2.5 S/T は、マイク・カイザーとともに、フロ リダのデイトナ 6 時間とセブリング 12 時間、その後、タルガ・フローリオとニュルブルクリ ンク 1000km にも出場。カイザーとバルトは、スイス出身のシルヴァン・ギャランとともに、 最終的にシーズンハイライトのル・マン 24 時間に挑戦しています。ルイ・メザナリ・チーム として参戦した 3 人は、3 リッター以下の GT 車両のクラス優勝を飾っただけでなく見事に総 合 13 位に入っています。 それから長年を経て、この車のレストアがポルシェ クラシックのスペシャリスト、特にボデ ィワークに関しては真の挑戦となりました。車がワークショップに到着するとすぐに彼らは、 911 が後に“G モデル”と呼ばれたものに改造されているだけでなく、事故による損傷が、プロ フェッショナルとは言えないレベルで修理されていることに気付きました。センタートンネル とサイドレールの変形に加え、特にホイールハウスパネル、トンネル、さらにルーフに腐食に よる大きな損傷がありました。修理不能なまでに変形したルーフは、子供たちがかなり長期に わたって遊び場として活用していたことを物語っていました。ボディの修理は特に複雑で、フ レアフェンダーの一部手作業による変更と復元も含まれていました。911 2.5 S/T には新しい ルーフと新しいタンクボトムが取り付けられました。 広範囲におよぶ金属加工が完了した後、911 2.5 S/T のボディは陰極浸漬塗装(CDP)によっ てコーティングされ、生産車両に施される最高水準のテクノロジーによって長期防錆加工が施 されました。腐食から完璧に保護するために、レストアされたボディをポルシェの現行市販車 の工程に通されました。その後、細部の仕上げの後、元のライトイエロー(コード 117)で塗 装されました。 モータースポーツ、特にル・マン 24 時間は、ポルシェにとって非常に重要です。1951 年の レースデビュー以来、出場した 800 台以上のポルシェ車のうち 103 台がサルトサーキットで クラス優勝を飾り、17 回の総合優勝に輝いています。ポルシェは間違いなくル・マンで最も 成功を収めたメーカーです。ポルシェは、昨年優勝を飾り、今年の 6 月 18 日と 19 日に開催 される第 84 回ル・マン 24 時間にも万全の体制で臨みます。 ポルシェにとって伝統的に、ル・マン 24 時間のようなレースは最高水準の戦いにとどまりま せん。サーキットは新しいテクノロジーのためのテストグラウンドにもなっています。919 ハ イブリッドと 911 RSR のような成功を収めているレーシングカーの開発と、レースの過酷な 条件下でのテストは、未来の市販車の開発に採用できる重要なデータ取りの場となります。こ れらのテクノロジーは、レーシングカーから将来の市販車に反映されます。ポルシェのモータ ースポーツへの関与を支える原動力はすでにフェリー・ポルシェの頭の中にありました。彼は 次のように述べています。 「技術的進歩はモータースポーツなしでは考えられません。それは 開発の方向性を示してくれます。私達がサーキットで直面する過酷な要求は、弱点を迅速に強 調して、さらに優れた解決策を探すようエンジニアに促します。 」 このような観点から、 細部にいたるまでポルシェ クラシックがレストアした 911 2.5 S/T は、 歴史的にも意味を持ちます。このモデルは、フェリー・ポルシェの方針に沿って、RennSport Rennwagen (レーシングスポーツ・レーシングカー)を表す“RSR”という略語を備え、1973 年以来 911 レーシングカーの最高レベルの開発のための典型例として、911 ロードカーの絶 え間ない進歩の先駆けとなった 911 カレラ 2.8 RSR の直接の祖先であり技術的先駆者でした。 50 年以上にわたって市販され続け現在は第 7 世代となった 911 は、他のどのシリーズよりも ポルシェを代表しています。ポルシェ クラシックは、このアイコニックなスポーツカーの第 5 世代(タイプ 996)もすでに取り扱っています。ポルシェ クラシックカーのための円滑な サービスを保証してロングライフと価値の維持を約束するために、ポルシェ クラシックのス ペシャリストたちは 10 年以上前に生産が終了したすべてのモデルに対応しています。 <本件に関する読者からのお問い合わせ先> ポルシェ カスタマーケアセンター 0120-846-911 ポルシェ ホームページ http://www.porsche.co.jp <本件に関する報道関係の方のお問い合わせ先> ポルシェ ジャパン株式会社 広報室/塚原 久 木内洋治 〒153-0064 東京都目黒区下目黒 1-8-1 アルコタワー16F TEL:03-5436-5936 FAX:03-5436-5919 ポルシェ ジャパンプレスサイト https://press.jp.porsche.com
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