第 14 回ソウル国際ブックフェア

第 14 回ソウル国際ブックフェア
名 称
14th Seoul International Book Fair
会 期
2008 年 5 月 14 日 ( 水 ) ~ 18 日 ( 日 )
入場時間
10:00 ~ 19:00
会 場
COEX( 韓国総合展示場 )
展示面積
14,733㎡
主 催
ソウル国際ブックフェア実行委員会、大韓出版文化協会
出 展 数
韓国 : 347 社、419 ブース
外国 : 157 社、54 ブース (25 カ国 / 地域 )
中国 : 107 社、83 ブース
International Book Arts Fair: 44 社、73 ブース (10 カ国 / 地域 )
その他 : 19 社、116 ブース
合計 : 674 社 (28 カ国 / 地域 )、745 ブース
参 加 国
28 カ国 / 地域
アメリカ、イギリス、イスラエル、インド、インドネシア、韓国、
サウジアラビア、シンガポール、スペイン、タイ、中国、ドイツ、
トルコ、ノルウェー、パキスタン、フィリピン、ブラジル、フランス、
ブルネイ、ベトナム、ベルギー、香港、マレーシア、ラオス、日本
など ( ブース出展がないライツ・センター登録のみの国も含む )
テーマ国
中国
入 場 者
205,423 人
入 場 料
無料 ( 会場入り口にて登録が必要 )
報告 : 梶原 千歳 [( 社 ) 出版文化国際交流会 事務局 ]
はじめに
例年 6 月に開催されるソウル国際ブックフェアだが、今年は IPA( 国際出版連合 ) 大会が 5 月
12 日~ 15 日に行われ、ブックフェアもこれに合わせて 5 月 14 日~ 18 日の会期となった。こ
のため、日本からは実務担当者ばかりでなく、出版界のトップが大勢現地へ赴いた。来年は日本
がブックフェアのテーマ国に決定しているため、その下見を兼ねる出張者も多かったのではない
か。本会からは、石川晴彦専務理事、落合博康事務局次長と私の 3 名で参加した。
成田空港からソウル仁川空港へは 2 時間少々のフライト。そこから KAL リムジンバスに乗ると、
市内へは 1 時間で到着する。あまりの近さに海外という実感もない。飛行機は、成田-仁川の他、
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羽田-金浦もあり、市内に近い金浦空港には地下鉄が乗り入れている。ソウル中心部を十字に走
るメイン通りの道幅は広く、高層ビルが林立する。ビルは巨大だが、超高層ではないためか、ソ
ウルの空は東京のそれよりも広く感じられる。ただ晴れの日も少し霞んで見えるのは、中国から
運ばれる黄砂のためだろう。
再開発が急ピッチで進められるソウルでは、街中のいたる所で更地や工事現場に出くわす。以
前は、屋台や食堂が軒を連ねていたそうだ。このような路地裏が最新の高層ビルに姿を変える。
オフィス街はビル一色、食事の不便さや下町の風情を惜しむ声も。しかし、取り壊しを待つ営業
停止のホテルなどが目につき、まだまだ開発は続く。
開会式
例年通り、ブックフェアの開幕は会場入
口正面にて関係者が一列に並び、韓国語と
英語で列席者が紹介され、スピーチはなし
という開会式で始まった。時間は午前 10
時開場後の 11 時。36 名の出席があり、中
央 3 名は文化体育観光部 ( 日本の文部科学
省に相当 ) キム・ジャンシル第一次官、IPA
アナ・カバネーリャス会長、大韓出版文化
協会ペク・ソッキ会長であった。11 時 15
分には、テーマ国である中国パビリオンへ
関係者一同が移動。もちろん多数のメディ
( ブース紹介、メディアに囲まれて )
アも。パビリオン内に設置されたミニ講演スペースで、何やらスピーチがなされているが、通訳
なしの中国語のみ。その後、
会場視察となり、
日本ブース ( 本会と国際交流基金の共催 ) へはキム・
ジャンシル第一次官が立ち寄られた。限られた時間の中、石川専務理事が、日本の出展経緯を説
明。93 年と 94 年、海外招待国の一カ国として出展した日本は、翌年ソウル・ブックフェアか
らソウル国際ブックフェアと改められてからも毎年参加している。ブースでは、日韓相互理解の
ため日本で出版された韓国関連書、韓国で出版された日本関連書を合わせて展示しているとの説
明には大変感心されていた。
ブックフェア概要
ソウルには東西を横断する漢江という川が流れている。中心部はその北に位置し、川を渡った
南側にはブックフェア会場の COEX やロッテワールドがある。COEX と略称される Convention
and Exhibition Center( 韓国総合展示場 ) の地下にはモールが広がり、レストランやショップ、映
画館や水族館を併設する一大複合施設である。
ブックフェア会場は、太平洋館とその半分以下ほどであるインド洋館の 2 つに連なっている。
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同時期に開催された IPA 大会 ( テーマ : 共通の未来における多様性 ) は同施設の別館で行われて
いた。インド洋館は児童書をメインにし、明るく色とりどりのブースが目立つ。太平洋館には、
一般書の出版社の出展を始め、中国パビリオン、ブックアート・フェア、デジタル出版フェア、
韓国出版社の共同ブース、ライツ・センター、海外エリアがある。日本はこの海外エリアに出展
しており、タイ、マレーシア、ラオスなど他のアジア諸国は共同でブースを構えていた。目を引
いたのは、太平洋館の一角にキリスト教の出版社が 9 社集っていたこと。国内にはプロテスタ
ントの信者が 20%あり、それにカトリックの 7.4%を加えると、仏教の 25%を凌ぐ。街中にも
多くの教会があった。
ソウル国際ブックフェアでは、版権売買も行われているが、読書推進を目的とする一般向けフェ
アとしての特徴が強い。学校は課外活動の一環に据え、土曜日にはたくさんの中高生が訪れた。
宿題として感想文の提出があるそうだ。どの社も割引販売を行っており、特に児童書のインド洋
館で盛んだ。社によって 10 ~ 75%オフを実施。2,000 ウォン (200 円 ) 均一や 3,000 ウォン (300
円 ) 均一、平台にある本やぬり絵、ポスター等どれでも 5 点で 10,000 ウォン (1,000 円 ) という
のもある。児童書の定価は 8,500 ウォン (850 円 ) 前後が多い。太平洋館に出展する『ローマ人
の物語』( 塩野七生著 ) の翻訳出版で有名なハンギル社は、新刊は 10%オフ、それ以外は 30%
オフだった。ちなみに、新刊とは出版されて 18 カ月以内とのこと。他社も見てみると、おおよ
そ単行本の価格は 1 万ウォン前後。中には 3 万、4 万ウォンもある。日本ブースのアテンダン
トの大学生にいくらまでの本なら買うかと聞いてみたところ、1.5 ~ 2 万ウォン程度と言う。で
もお金がないのでまずは図書館で借りる、もしくは書店で欲しい本を見つけたらその場では買わ
ずに、10 ~ 30%オフで購入できるネット書店で注文するとのこと。なかなか堅実だ。
会期中のイベント数は 62、
主にサイン会や作家による講演会であった。また、読書推進セミナー
も開かれた。太平洋館には、幸福な朝の読書 ( 非営利法人 ) と本を読む社会づくり国民運動 ( 市
民団体 ) という 2 つの読書推進機構が出展し、日頃の活動を紹介。前者は、2005 年に創設され、
全国に朝の 10 分間読書を広める。日本と同じように韓国でも「朝読」が根付いているようだ。
他の機構では、韓国文学翻訳院のブースが目立ち、各国語に翻訳された韓国文学が並ぶ。翻訳出
版助成や作家・翻訳家のための研修プログラムを行っており、国際交流基金のような役割だ。
韓国の出版
大韓出版文化協会によると、2007 年の発行点数は 53,225 点、前年を 7,704 点上回った。う
ち、12,231 点は海外図書の翻訳であり、全体の 23%を占める。日本の翻訳が最多数の 4,555 点、
これに次ぐのはアメリカの 3,782 点だ。
近年は、
セルフヘルプと呼ばれる自助本や経済、ビジネス、金融投資、語学などに人気がある。
『出
版ニュース』1 月下旬号に掲載された舘野晳氏の海外出版レポートによると、この背景には、非
正規雇用により低賃金で働き、生活や人生設計に不安を抱える 20 代の若者の増加や、財政面で
老後に不安を覚える 30 ~ 40 代が実用書を競って買い求めていることにあるという。これ以外に、
特に若い女性を対象とする書籍が増えている。また、日本のフィクションのベストセラーはすで
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に確立された市場となった。年間ベストセラーランキングでは、トップ 30 の 16 を翻訳書が占め、
3 年連続して翻訳書が過半数を占める結果となっている。しかし、長らく伸び悩んでいた韓国文
学も、昨年は新人作家が台頭し、映画やテレビドラマシリーズが拍車を掛けた歴史小説ブームが
起こった。
パジュ出版都市
20 年の歳月が費やされ、昨年第 1 段階
の建設が完成したパジュ出版都市。ソウル
市内から車で約 1 時間、田んぼや山が見え
てくると、突然その景色のなかに現代的な
建築物が現れる。100 あまりの出版社、印
刷・製本・デザイン会社、流通センターが
集中する文化共同体だ。現在の総面積は約
87.5 万㎡、自由路という漢江に沿う道路に
4,500m にわたって面している。敷地内に
はホテルや住宅も有し、1991 年には 16 万
だった人口が 2007 年には 30 万を超えた。
( パジュ出版都市、写真はほんの一部 )
このブック・シティを案内して下さったのは、日韓の出版事情に大変詳しいムン・ヨンジュ氏と
初期からプロジェクトに携わり大韓出版文化協会の事務局長も務められたイ・ドゥヨン氏 (Meta
Books 現社長 )。出版都市文化財団の事務局やイベントホール、食堂、レストラン、ギャラリー
が入っているメインの建物の玄関には、全長 5m ほどある出版都市の模型が置かれているが、ム
ン氏によると、これはまだ第 1 段階分に過ぎないとのこと。第 2 段階では映画関連、第 3 段階
では放送・通信関連都市の建設を構想しており、将来的には総合メディアシティとなる。公式発
表ではないが、この一大プロジェクトにパジュが選ばれた一因には、南北統一の際には中心地に
当たることが挙げられる。
案内して下さった両氏の取り計らいにより、出版都市文化財団のイ・キウン理事長にお会いする
ことができた。同理事長は、ヨルファダン社という美術系の出版社社長も務められており、パジュ
にある同社を訪問した。パジュの建物はどれも現代的、新進気鋭の各国デザイナーによるが、理事
長の出版社も例外に漏れず斬新だ。1 階はショーウィンドー、2 階は編集などの事務室、3 階は社
長室兼住まいになっている。大きな窓からパジュ出版都市が見渡せるリビングにて、お話を伺った。
1988 年にたった 7 人で始まったこのプロジェクトは、まず政府を説得することから始まったとい
う。先人から受け継いだ義理の精神を重んじ、
共有できるものは共有し、
お互いに助け合うという
「共
同性の実践」が理念にあった。パジュでは国際フォーラムなども開かれており、韓国出版の拠点と
してばかりでなく、アジア出版文化センターとしての機能が目指される。全くのゼロから始まった
一大計画。理事長は、21 世紀を迎える前夜をここで過ごし、窓越しに暗くまだ閑散とした都市を
眺めながら、未来のために何が残せるか自問したと言う。歴史は記録という言葉が印象的だった。
韓国 21
キム・ヨン社訪問
本会評議員の舘野晳氏に 3 月に行われた本会の懇親会にて、キム・ヨン社のカン・オクスン
Director をご紹介して頂いた。多分野にわたる出版を手掛け、韓国でも有名な出版社だ。ブック
フェアにも目を引く大きなブースを構えており、人気のマンガ「食客」シリーズを中央に展示し
てあった。韓国料理を題材にした韓流「美味んぼ」だ。すでに日本の大手出版社から引き合いが
あり、日本国内の店頭に見かける日も近いかもしれない。
ブックフェアが終了した翌日、会社訪問をさせて頂いた。市内北部の静かな住宅地に位置する
キム・ヨン社は、注意していないと通り過ぎてしまうような、一見すると大きな家だ。通りに面
しているが、入口は坂を上った 2 階。グリーンを基調にした室内やロビー横に設けられたウッ
ドテラスなど、会社という印象を受けない。社長は女性、創立は 19 年前だ。韓国出版界では女
性が 8 割を占めるそうだが、この社も多くが女性。パジュ出版都市にも社を持ち、そこは児童
書専門となっている。年間発行点数は 300 点。社内を案内して下さったのは、日本語が堪能な
ムン・ジョンシク氏。本社 1 階は総務、2 階はロビーやミーティングに使用され、3 階は編集室
やデザイン室などの事務所、4 階には社長室と小さな野外シアターがある。その上には、見晴ら
しの良い平屋の伝統家屋があり、会議や作家のための執筆部屋として使われている。ムン氏の担
当は、文学の編集。最近の傾向を伺うと、日本文学ブームはすでに時を経て定着し、今は中国や
スペインが人気なのだそう。中国はオリンピックを控え注目が増しているのかと思いきや、韓国
人は新しもの好きという解釈の方が的を射ているそうだ。
テーマ国
今年初めて設けられたテーマ国には中国が選ばれた。主催は国有企業の中国図書輸出入 ( 集団 )
総公司と中国出版集団公司。会場入口を入ってすぐの正面に、白を基調とした 600㎡のパビリ
オンが設置された。パビリオン内には、円形のインフォメーション・カウンター、その裏には大
スクリーンが設置されたミニ講演会場、そして隣にセミナー・ルームと中国文化や歴史をテーマ
ごとにパネルと書籍で紹介する展示スペースがある。これが総面積の約 3 分の 1 を占め、残り
は 23 の出版グループより 88 社が出展する
共同展示スペースとなっている。総出展数
は 15,000 点。ほとんどの書籍は中国語だが、
その中には、韓国語に加え、英語や日本語
で帯が付けられたものもあり、来場者への
配慮がなされている。共同スペースでは、
販売する社もあれば非売のところも。水曜
日から 5 日間の日程で行われたブックフェ
アだが、販売は後半となる金曜日から始め
るという社もあった。ちなみに価格を聞い
てみると、35 元 (1 元を 15 円と換算する
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( 中国パビリオンのインフォメーション )
と 525 円 ) の技術系の本は 6,000 ウォン (600 円 ) で販売され、また、別の社の 20 元 (300 円 )
の歴史本は、20,000 ウォン (2,000 円 ) ということだった。後者は特に販売価格を決めておらず、
その場で考えて答えたという感じを受けた。このように、販売については様々な対応だ。
中国パビリオンでは 28 のイベントがあり、中国語の授業、出版記念会やサイン会、中・韓の
作家の討論会が開かれた。中国からは、
ベストセラー作家のトップスリーのうち 2 名が来場した。
また 4 つの講演会が市内で催された。ブックフェアでは、パビリオンの他、インド洋館に 150
㎡の中国画・書道展が特設され、土日には展示作品の販売が行われた。
話に聞いて納得したのだが、中国パビリオン、よくよく見るとイメージカラーの赤を全く使っ
ていない。中国の国旗は赤、韓国は白。パビリオンは白一色。壁面に施された巨大なオリンピッ
クのロゴマークは、上から 1 枚白紙が貼られたかのような薄い色である。聖火リレーで過熱し
た反中感情を刺激しないためかとも思われたが、パビリオン設計はずっと以前だったはず。どち
らにしろ、韓国への同調が読み取られる。
四川省で大地震が起こったのは、5 月 12 日。ブックフェア開催の前々日であった。日に日に
大惨事の全容が明らかになっていく。中国パビリオンでは、特別な反応はなかった。しかし、こ
ういう時こそフェア主催者が率先して救援金を集うべきではないかという意見を聞き、国際ブッ
クフェアという場を別の視点で見るきっかけとなった。
日本ブース
国際交流基金と本会の共催により設置された 36㎡ (3 × 12) のブースには、今年も1万年堂出
版と教保文庫が参加した。単独ブース出展は、日本書籍出版協会、トーハン、文藝春秋、ポプラ社。
日本書籍出版協会は、来年の日本年に備え、初参加となった。本会ブースには、新しく「ポラナ
ビ」
、
「女性の本」
「大人の本」コーナーを設置。「ポラナビ」とは、国際交流基金ソウル日本文化
センターにより今年創設された「今後一層の活躍が期待される韓国の若手・中堅の著者・翻訳者
を顕彰する制度」で、同基金のシンボルマークである紫の蝶を意味する。対象となるのは、韓国
で出版された日本関連図書と日本の図書の韓国語訳書。第 1 回目の募集分野は「エッセイ、伝記、
評論」であった。受賞したのは、
『イメージ
の帝国 : 日本列島の上のアニメーション』
(キ
ム・ジュニャン著、図書出版ハンナレ刊 )。
「ポラナビ」展示コーナーでは、受賞作に
加え、候補作 10 点も展示された。この他、
計 501 点を展示。詳細は次の通り。人文・
社会 107 点、大人の本 69 点、文芸 60 点、
伝統・文化 58 点、女性の本 51 点、韓国関
連 46 点、絵本 42 点、日本語 25 点、デザ
イン 17 点、漫画 11 点、音楽 8 点、映画 7
点。女性の来場者や子供連れが多いことを
( 左手前は教保文庫スペース )
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考慮し、絵本や新設コーナーがメインとなる展示となった。
以前から現地の大手書店である教保文庫の協力により、ブースでの販売を行っている。しかし、
これまで展示図書に関しては販売を行っていなかった。来場者からの購入希望は絶えず、これに
応えるため、今回初めて展示図書の販売を試みた。教保文庫に販売を任せ、売れた図書はフェア
終了後に補充してもらうという形を取った。したがって、展示後の図書は欠けることなく、これ
まで通り、しかるべき現地の機関に寄贈される。ブースでは、全品 2 割引で販売。販売図書の 9
割が日本書籍、1 割が韓国書籍という結果になり、予想以上の日本書人気であった。ちなみに、
売上は昨年の 3 倍を記録した。
日本ブースへの来場者、今年は客層が様変わりした。これまでは、日本語教育を受けた流暢な
日本語を話す年配の方が多かったが、今年は、若者がほとんどであった。中高生が多数来場する
土曜日には、日本ブースも彼らで一杯。オープンと同時に、ブースへ駆けてくる姿には、アテン
ダント一同驚いた。ブースで回収したアンケートでは、10 代と 20 代の回答者が半数を占めた。
アンケート結果 ( 計 132 名 ) によると、特に興味のある分野には、旅行、料理、日本語、ライフ
スタイル、実用書、絵本、文学、イラスト、雑誌が挙げられた。また展示点数の満足度に関しては、
十分という回答が僅差で不十分を上回った。開会前日のブース設営時には、点数が多過ぎて棚に
飾りきれず、
段ボールを台代わりにびっしりと展示した。それでもまだ足りないという声を聞き、
いかに韓国で日本書が普及しているかを目の当たりにした。市内にある教保文庫の書店には、日
本書コーナーがあり、ベストセラーの文芸書やリアルタイムの雑誌、「店のイチオシ」文庫など、
豊富な図書が揃っている。担当者は、更に売場を拡大したいと言う。ちなみに、平台に大きくス
ペースが割かれていたのは、
日本の大手書店の品揃えを凌ぐ手芸関係の本やムック。編み物やソー
イングなど、
センスのいいデザインと日本語が読めなくても理解できる図説が好評なのだそうだ。
ブックフェアで図書のボリューム、分野の多様性が求められることにも納得だ。
来年のソウル国際ブックフェア、テーマ国にはすでに日本が決定している。今回の会期中、日
本書籍出版協会の樋口清一氏と本会の石川専務理事と共に国際交流基金ソウル日本文化センター
を訪ね、十河俊輔日本語日本研究部長、キム・ヨンシン同研究部学術交流チーム長、チョン・ジュ
リ文化情報交流部文化情報室主任司書と「日本年」に関する意見交換の時間を持つことができた。
日本文化や日本書籍がすでに浸透している韓国、目の肥えた来場者にどうアピールできるのか。
本会の出展、協力のより良い形を考えていきたい。来年は、5 月 13 日 ( 水 ) ~ 17 日 ( 日 ) の開
催が予定されている。
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