日機装社製BV計とクリットラインモニターの比較

日機装社製BV計と
クリットラインモニターの比較
(医)清陽会 ながけクリニック
門崎弘樹 藤中正樹 逸見典子 清水有加 岡本大地
三田大輔 松本和広 櫻本耕司 長宅芳男
目的
• ドライウエイト(DW)を決定する一つの指標のと
してブラッドボリューム計が広く活用されている。
• 今回JMS社製クリットラインモニター(CLM)と、
日機装社製コンソールDCS-100NXに内蔵され
たBV計(BV計)の測定値について比較検討した。
対象・方法①
• 対象 同意を得た維持透析患者16名
男性 11名 女性 5名
年齢 65.7±16.6歳 透析歴 7.6±5.8年
• 治療条件 前希釈on-line HDF、透析時間4時間
血液流量 236.3±22.2ml/min、
透析液流量 500ml/min、
補充液流量 44.6±7.5L/session
• 使用膜
FIX-110S、FIX-150S、FIX-170S、FIX-210S、FIX-250S、
FIX-210E、MFX-15E、MFX-21S、MFX-21U、MFX-25U
対象・方法②
• 透析施行中CLMとBV計を併用測定し、以下の項目につい
て比較した。
①BV計と、CRIT-LINE付延長管を装着したCLMで
測定した循環血液量変化率(⊿BV)のグラフの傾きの比
を比較。
②治療開始時のHtが30%以上と未満の場合、
除水量がDWの5%以上と未満での傾きの比較。
③BV計とCLMの測定位置を血液ポンプ前に統一して
測定した場合の傾きの比較。
④治療中に時間毎に採取した血液から算出した⊿BVを
BV計とCLMの三者間での比較。
• 統計には、 Paired t-test、Wilcoxon符号順位、ANOVA検定を
使用した。
BV計とCLMの併用時
の各測定位置
血
液
ヘ
モ
ダ
イ
ア
フ
ィ
ル
タ
血液ポンプ
BV計
血
液
クリットラインモニター
CLMは
近赤外線の透過量を測定
BV計は
近赤外線の反射量を測定
CLM,BV計ともに
⊿BVの測定精度±2%
結果① BV計とCLMの比較
0
0
60
120
180
0
-0.05
-2
mean and data plot
CLM
*
n=23
P<0.05=*
Paired t-test
BV計
-0.1
-4
y = -0.2632x + 0.2488
R² = 0.9764
-6
-0.15
-0.2
-0.25
-8
-0.3
-10
-0.35
-12
-14
-0.4
-0.45
CLM/BV計 = 0.83
-16
y = -0.3395x + 0.2722
R² = 0.9905
-18
CLM
日機装BV
mean
SE
CLM
-0.18
0.01
BV計
-0.21
0.02
CLM/BV計 = 0.89±0.16
(CLMと日機装BV計傾きの比 )
BV計とCLMの⊿BV比較グラフの1例
BV計とCLMの⊿BVのグラフに近似させた直線の傾きは、両者に有意差を認めた。
また、CLM/BV計(CLMとBV計の⊿BVの傾きの比)は0.89±0.16であった。
BV計とCLMの相関
CLM
-18
-13
CLM
0
-8
n=23
-3
-12
-10
-8
-6
0
-4
-2
0
-2
y = 0.9254x - 0.0562
R² = 0.8914
-4
-6
-4
BV計
-8
-2
-6
-10
-12
-8
-14
-10
-16
-18
BV計がCLMより⊿BV低値のグラフの1例
-12
BV計がCLMより⊿BV高値のグラフの1例
BV計とCLMは、全23症例についてR2=0.826~0.990と高い相関性を認めた。
また、21症例でBV計はCLMよりも⊿BV低値(Ht高値)を示し、
2症例では、BV計がCLMよりも⊿BV高値を示した。
BV計
y = 1.2735x - 0.1218
R² = 0.9806
結果② Htの違いによる比較
CLMの測定開始初期Ht値が
30%未満の場合での
CLMとBV計の比較
CLMの測定開始初期Ht値が
30%以上の場合での
CLMとBV計の比較
P<0.05=*
0
mean and data plot
Wilcoxon符号順位
BV計
CLM
-0.05
P<0.05=*
0
mean and data plot
*
-0.1
-0.1
-0.15
*
-0.15
BV計
CLM
-0.05
Wilcoxon符号順位
-0.2
-0.25
-0.2
-0.3
-0.25
-0.35
-0.3
-0.35
mean
SE
CLM
BV計
-0.20
0.02
-0.23
0.02
-0.4
n=13
CLM/BV計 = 0.90±0.21
-0.45
mean
SE
CLM
BV計
-0.18
0.02
-0.21
0.03
n=10
CLM/BV計 = 0.89±0.16
Ht値が30%未満、以上のどちらの場合でもCLMとBV計の傾きに有
意差を認めた。CLM/BV計の値には差は認めなかった。
結果② 除水量の違いによる比較
測定時の治療中の除水量が
DWの5%未満の場合での
CLMとV計の比較
P<0.05=*
mean and data plot
Wilcoxon符号順位
0
BV計
CLM
-0.05
0
P<0.05=*
mean and data plot Wilcoxon符号順位
BV計
CLM
-0.05
-0.1
*
-0.1
測定時の治療中の除水量が
DWの5%以上場合での
CLMとBV計の比較
*
-0.15
-0.15
-0.2
-0.2
-0.25
-0.25
-0.3
-0.3
-0.35
-0.4
-0.35
mean
SE
CLM
BV計
-0.18
0.01
-0.20
0.02
n=16
CLM/BV計 = 0.90±0.19
-0.4
-0.45
mean
SE
CLM
BV計
-0.22
0.02
-0.27
0.03
n=7
CLM/BV計 = 0.85±0.17
除水量がDWの5%未満、以上のどちらの場合でもCLMとBV計の傾
きに有意差を認めた。CLM/BV計の値には差は認めなかった。
結果③ センサー位置を統一した場合
P<0.05=*
mean and data plot
0
Wilcoxon符号順位
BV計
CLM
-0.05
*
-0.1
-0.15
-0.2
-0.25
-0.3
-0.35
-0.4
mean
SE
CLM
-0.18369
0.024167
BV計
-0.21449
0.030867
n=6
CLM/BV計 = 0.90±0.26
BV計の測定センサー位置を、血液ポンプ後から血液ポンプ前に設
置し、CLMと測定位置を統一した比較は、両者に有意差を認めた。
血液から算出した⊿BVとCLM、BV計の比較
60
120
180
240
-0.05
-4
-0.1
-6
mean and data plot
ANOVA
血液
0
-2
0
BV計
0
CLM
結果④
n.s
-0.15
-8
y = -0.2481x - 0.8374
-10 R² = 0.9935
y = -0.239x - 1.9358
R² = 0.9868
-12
y = -0.2723x - 1.1263
R² = 0.9557
-14
-0.2
-0.25
-0.3
-0.35
n=5
-16
-0.4
CLM
日機装BV
血液
血液からの⊿BVとBV計とCLMの比較グラフの1例
CLM/BV計 = 0.93±0.16
CLM/血液 = 0.87±0.05
BV計/血液 = 0.96±0.21
血液から算出した⊿BV、BV計とCLMで比較した⊿BVの傾きでは、
三者間に有意差を認めなかった。
結果④血液から算出した⊿BVとCLM、BV計の比較
n=5
-15
-10
-5
0
-20
y = 0.9474x - 0.0767
R² = 0.9784
-10
0 -20
-5
-5
y = 1.0479x - 0.2453
R² = 0.9513
y = 1.0182x - 0.6919
R² = 0.9877
-10
y = 0.6381x - 0.6933
R² = 0.9462
-15
y = 1.6629x - 0.5148
R² = 0.9609
-15
0
-5
-10
y = 1.0887x - 0.8582
R² = 0.9573
-15
y = 1.1157x - 0.132
R² = 0.9574
y = 1.0729x + 0.446
R² = 0.9292
-20
-5
y = 1.0271x - 0.1811
R² = 0.9619
BV計
-10
0
-10
y = 1.0735x - 0.4269
R² = 0.9691
y = 0.9323x - 0.0181
R² = 0.9551
y = 1.0659x - 0.4192
R² = 0.9429
-15
y = 0.9287x + 0.673
R² = 0.9356
y = 0.9433x + 0.5388
R² = 0.8854
-5
y = 1.0066x - 0.2876
R² = 0.9836
-15
CLM
0
血液
-20
BV計
0
-20
血液から算出した⊿BV、BV計とCLMは、
各比較で高い相関性を認めた。
BV計と血液から算出した⊿BVでは、
1症例で血液よりもBV計がかなり低値を示した。
また、血液から算出した⊿BVでは、CLMと比べ⊿BV値が低値
(Ht高値)を示した。
-20
血液
CLM
血液とCLMの相関
血液とBV計の相関
CLMとBV計の相関
考察
• 今回測定したほぼ全ての症例でBV計は、CLMよりも
⊿BV値が1割程低値を示した。
• また、比較条件を変えても両者の差は1~1.5割程度と
変わらないことから、その差はセンサー形状の違い、
近赤外線波長、受光方法の違いによるものと考える。
• 血液から算出した⊿BVとCLM、BV計の比較では、
3者間に差を認めなかったが、血液から算出した⊿BV
は、CLMと比べ若干ではあるが低値(Ht高値)を示した。
• また、BV計は他と比べ大きく低値を示す症例があり 、
この原因については今後も検討していきたいと考える。
結語
• 日機装BV計とCLMの両者を使い評価を行って
いる場合は、
BV計で測定した循環血液量の変化率は、
CLMよりも約1割低値(Ht高値)を示すため
評価時は考慮が必要である。