就職活動と地域格差 生物生産科学科 杉山修一 東京と地方の格差については,最近のマスコミでもよく取り上げられるように なりました。私は,東京と地方の間にある様々な格差の中でも,学生の就職活 動における格差ほど大きいものはないと考えています。 以下,弘前大学の学 生が就職活動でいかに苦労しているかをご紹介したいと思います。 日本の企業の多くが東京に本社があるため,就職試験もほとんどが東京近辺 で行われます。そこで,学生は面接やセミナーなどの就職活動のたびに,東京 へ出向くことになります。 新幹線で弘前から東京に行くために往復で 3 万円 以上かかります。また,東京で宿泊をしようものなら 4~5 万円くらいすぐにか かってしまいます。普通は,一人で 10 社以上の会社を受けるので,就職活動に は膨大なお金と時間がかかることになります。新幹線や飛行機は速くて便利で すが,経済的にもたないので,多くの学生は安い夜間バスを利用します。 こ れだと片道 5000 円で東京に行くことができます。しかし,バス内にはトイレも なく,窮屈な姿勢で一夜を過ごすわけで大変疲れます。東京在住の学生は,就 職試験といっても電車に乗り 1 時間もすれば会社に着けるでしょうから,余裕 を持って何社でも受験できます。このように,就職活動にかけるお金と時間, 体力には,地方の学生と東京の学生にはあまりにも大きな格差があります。4~ 5 年前までは,農学系の学部は公務員などの採用も多いため,企業以外へ就職す る道が開けていましたが,公務員の採用がほぼゼロに近くなった現在,企業し か就職するところはないのが現状です。地方の学生が就職で不利なのはこうい うところにも原因があるのではないでしょうか。 新卒しか採用しない企業が多いので,新卒の機会を逃すと,就職の機会が大 幅に減り,フリーターになりかねないので,とにかく,お金と時間を惜しまず 何回もトライするしかありません。企業も地方の学生のことを考え,就職試験 を行ってくれるとありがたいと思います。 合同企業説明会(平成 19 年 2 月) 卒論発表会 (平成 19 年 2 月)
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