果樹(リンゴ・梨・桃)の放射性セシウム濃度全箱検査について

果樹(リンゴ・梨・桃)の放射性セシウム濃度全箱検査について
石川町とあぶくま石川農業協同組合では、石川町産果樹(リンゴ、梨、桃)の安全性をPRするため出荷する全箱の放射
能測定を行っています。あぶくま石川農業協同組合の果実共同選果場に食品放射能検査システムを設置し、出荷する一
箱一箱を測定します。
測定結果は、検査後に貼付けられる測定済証のQRコードから、石川町のホームページにアクセスし確認できます。
※本システムは、富士電機㈱が独立行政法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業(先端計測分析技術・機
器開発プログラム)の一環として開発を進めているもので、箱詰の果樹をベルトコンベア方式で流し、果実中の放射性セ
シウム濃度を非破壊(現物のまま)の状態で測定するものです。
検査手順
①生産者、種別(5kg,10kg箱)を選択
②選果済みの出荷箱を検査装置により自動測定
③測定結果が画面上に表示
(基準値を超えるおそれのある場合、ブザーを鳴らしてコンベアを停止)
④生産者情報を測定済証に印字
⑤測定データをホームページにアップロード
食品放射能検査システム
(富士電機㈱製・NMU3)
検査結果確認手順 ①携帯電話等
①測定済証のQRコードを携帯電話等で読み取る
②専用Webサイトにアクセス(測定結果)
③生産者情報、測定データを閲覧
検査結果確認手順 ②パソコン等
①パソコンより専用Webサイトにアクセス(検索画面)
https://trace.town.ishikawa.fukushima.jp/apple/
②測定済証の識別コードを直接入力し検索
③生産者情報、測定データを閲覧
ラベル自動貼付機
(㈱サトー製・タフアームLR4800RVe2)
協力企業
食品中の放射性物質の基準値について
平成24年4月1日より一般食品の放射性セシウムの新基準値は、100Bq/kg。牛乳・乳児用食品は50Bq/kg。飲料水は
10Bq/kgに引き下げられました。これらは国際機関であるコーデックス委員会の規制等を参考に食品からの被ばく線量の
上限値である1ミリシーベルト/年から算出しており、放射性ストロンチウム、プルトニウムを含めた基準値となっています。
従来の規制値
一般食品の新基準値(2012年4月~)
暫定規制値
500 Bq/kg
スクリーニングレベル
250 Bq/kg
測定下限値
新基準値
1/5
50 Bq/kg
100 Bq/kg
スクリーニングレベル
50 Bq/kg
測定下限値
25 Bq/kg
検査機器の概要
果樹放射性セシウム濃度全箱検査は、富士電機㈱の「食品放射能検査システム(NMU3)」を使用します。
同機は、2×2インチのNaI(Tl)シンチレーション検出器を12本搭載したベルトコンベア式検査機器で、検出器の高感度
化と鉛を使用した遮蔽構造により、高速で放射性セシウムを測定します。米の全袋検査に使用されているモデルの高感度
型となっており、30kg米袋の場合、8袋/分での測定が可能です。
この機器は、食品を段ボール等の梱包状態のままベルトコンベアに載せて連続で測定できる機器となっており、従来の
サンプル検査と異なり、非破壊で測定することができます。
果樹全箱検査では、選果場で箱詰めしたものを選果場の最終ラインに設置した同機で箱ごと検査します。
検査機器仕様
形式・名称
食品放射能検査システム(NMU3)
検出器
NaI(Tl)シンチレーション検出器
シールド構造
シャドーシールド構造(検出器周囲の鉛の厚さ:50mm)
測定対象核種
放射性セシウム(Cs-134、Cs137)
測定下限値
25Bq/kg以下
測定時間は周辺バックグラウンド・寸法・重量により装置が自動計算
使用温湿範囲
温度 0~45℃
本体寸法
W3300×D1030×H1507mm
湿度 90%以下
従来測定方法との違いについて
従来、果物の測定試料には可食部のみを用い、細かく刻む等の前処理が必要で、測定にも10分以上がかかりました。
また、試料となった果物は前処理により破壊されており市場に流通することはなく、その測定値を元にして同じ生産地で
採れた食品を安全が確認されたものとして出荷しています。そのため実際に流通する食品は通常測定されておりません。
今回のベルトコンベア方式の検査装置では、被測定物を非破壊、かつ短時間に測定できるため、サンプル測定ではなく
全数・全量の測定を行うことができます。
※本測定は、食品衛生法に定めるりんごの芯や種を取り除くなどの前処理は行わず、それらを含めた総量の放射性セ
シウムを測定します。
そのためゲルマニウム半導体測定装置で定量された値とは厳密には異なります。
検査方法について
果樹の全箱検査は、選果ラインの最終工程に食品放射能検査システム(富士電機㈱製NMU3)を組込み、選果後の果
樹全箱をこの装置に通します。
測定結果は、本体に”○”,”×”で表示し、判定値を超えたもの(不合格品)は警告ブザーを鳴らします。
検査に合格したリンゴ箱には、測定済のラベルを貼ります。
判定値は50Bq/kgとし、測定下限値は25Bq/kg以下となる測定時間を装置が自動で設定します。
なお、判定値を超えた検体は、食品衛生法に定める前処理後、放射性セシウムスクリーニング法に基づき簡易分析法に
より分析します。ここで50Bq/kgを超えた場合は、福島県農業総合センターに設置してあるゲルマニウム半導体検出器で
再検査を行い、その検査で基準値(100Bq/kg)を超えた場合は、その商品の出荷を制限します。
検査の流れ
リンゴ、梨、桃など
選果場最終ラインから
検査装置へ
食品放射能検査システム
ラベル自動貼付機
(富士電機㈱製・NMU3)
(㈱サトー製・LR4800RVe2)
放射性
セシウム濃度検査
検査済みラベル
判定値以下の検査合格品に
測定済証を貼付し、出荷
検査結果の確認方法(イメージ)
携帯電話で
QRコードを
読み取る
パソコンに
URLを入力
商品コードを
入力し、検索
測定結果は、町ホームページで確認できます。
また、生産者の住所、氏名、ホームページなども確認できます。