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平成21年度
果樹情報
第17号
(平成21年12月7日)
福島県 農業総合センター
主要樹種の収穫は、リンゴ「ふじ」等の晩生種を最後にほぼ終了する時期を迎えました。本年の果
樹栽培は、生育期間中の気温や降水量の変化が大きく、晩霜害、土壌の過乾燥や過湿による樹体生理
の変調、リンゴにおける裂果の発生など様々な問題が生じました。
地球温暖化傾向に伴う気象変動は今後も続くことが予想されます。気象変動に強い園地条件や樹体
条件を作るために、土づくりや整枝せん定などの基本的な管理作業を確実に行いましょう。
1
気象概況(11月)
平均気温は、平年に比較して2,3,5及び6半旬が平年より高く、1及び4半旬は平年より低
い傾向で、1か月平均では平年より1.4℃高い状況でした。この期間の降水量は139.2mmで平年より
多い状況でした。
表1
月
半旬
半旬別気象表(農業総合センター果樹研究所)
平均気温(℃)
最高気温(℃)
最低気温(℃)
降水量(㎜)
本年 平年 平年差 本年 平年 平年差 本年 平年 平年差 本年 平年 平年比
11
1
9.8
10.8
-1.1
17.1
16.8
+0.3
4.2
5.1
-0.9
15.0
2
13.7
10.4
+3.3
20.7
15.9
+4.8
7.9
5.0
+2.9
3.0
3
12.5
9.1
+3.5
15.6
14.5
+1.1
9.0
3.8
+5.2
93.0
11.8 788.1
4
7.5
8.4
-0.9
12.0
13.7
-1.7
3.2
3.3
-0.1
18.0
16.9 106.5
5
8.2
6.9
+1.3
14.6
12.4
+2.2
1.6
1.8
-0.2
7.8
9.7
80.4
6
8.8
6.3
+2.5
14.3
11.2
+3.0
3.2
1.7
+1.6
2.4
10.9
22.0
10.1
8.6
+1.4
15.7
14.1
+1.6
4.9
3.5
+1.4 139.2
平均・合計
2
9.1 164.8
14.2
21.1
72.6 191.7
果樹研究所の生育概況(12月1日現在)
(1)リンゴ「ふじ」の収穫期と果実品質
「ふじ」の収穫始めは平年より3日遅く、盛りは1日遅く経過しました。一果重は平年比99%と
ほぼ平年並みで、RM示度は15.8%で平年より高い傾向でした。つる割れ発生率は19.2%で平年より
やや高く、蜜入り指数は2.6で平年並でした。
表2
「ふじ」の収穫期と果実品質
収穫(始) 収穫(盛) 収穫(終)
本
年
(平年差)
平
年
(農業総合センター果樹研究所)
一果重
RM示度 リンゴ酸
つる割れ
蜜入り
月日
月日
月日
g
%
%
発生率%
指数
11/16
11/16
11/16
346
15.8
0.37
19.2
2.6
+3
+1
-10
-5
+0.7
-0.01
+3.2
±0
11/13
11/15
11/26
351
15.1
0.38
16.0
2.6
注)平年値:収穫期、RM示度、リンゴ酸は生育調査樹 (ふじ/マルバ 44年生2樹)のS51~H17の
平均。一果重は生育調査樹のS55~H17の平均。つる割れ発生率は、成熟調査樹(ふじ/マルバ
44年生3樹)のH8~H17の平均、蜜入り指数は、同様にS59~H17の平均。
- 1 -
注)※
つる割れ(外部裂果):リンゴ「ふじ」は果実肥大にともない、果実のツルもと(果梗基部)が経線方向
に直線的に裂開しやすい性質があります。裂果により貯蔵性は低下しますが、食味には問題ありません。
※
RM示度:果実は成熟するにつれ糖度が徐々に上昇するため、収穫期の目安となります。品種や当年の
天候によっても異なりますが、モモやナシ、リンゴでは11度以上、ブドウでは16~17度以上で収穫され
ます。
※
蜜入り指数:リンゴ「ふじ」は完熟になるにつれ蜜入りが進み、蜜入りの程度により指数化(1無→5
多)しています。「ふじ」では蜜入り指数が2以上の完熟果を収穫します。
3
県内主要産地の生育概況(12月1日現在)
(1)リンゴ
リンゴの県内主要産地における「ふじ」の収穫期はほぼ平年並みに経過し、全域で終盤を迎えて
います。一果重は平年並みから大きい傾向で、収穫量はほぼ平年並です。着色や蜜入りは良好です
が、つる割れ(こうあ部裂果)がやや多い傾向が見られています。
(2)カキ
会津地方の「会津身不知」や県北地方の「蜂屋」の収穫は11月下旬に終了しました。果実は平年
より大きい傾向で、着色は平年並みから良好です。落葉病の多発傾向から収穫量が平年を下回る園
地が見られました。
4
栽培上の留意点
(1)品種更新、あるいは樹種複合化の検討
本年、特にナシやリンゴ晩生種等では全般に販売価格が低迷傾向となりました。安定した経営を
目指すために、品種構成を見直し、労働力の分散とともに、販売時期の分散により販売単価の安定
化を図りましょう。また、栽培樹の高齢化により収量性が低下している園地も見受けられますので、
計画的な改植や新植を進めましょう。
特に、ナシでは、ブドウやスモモ、キウイフルーツなどの他樹種への転換を進める例も近年各地
で見られるようになっています。なお、品種や樹種の選定に当たっては、各JA専門部会の更新あ
るいは導入方針を踏まえてご検討ください。
(2)落葉処理
リンゴ褐斑病や斑点落葉病、キンモンホソガ、ナ
シ黒星病、ブドウべと病、カキの円星落葉病などが
感染あるいは寄生した落葉は、来年の伝染源(寄生
源)となります。特に本年は、県内全域でナシ黒星
病の秋期感染が多い傾向でした。落葉は土中に埋設
するなどし、越冬密度を確実に減らしましょう。
(3)寒害対策
冬季間に寒さが厳しい地帯では、主幹部に寒害が
図1
ナシの溝堀りによる落葉処理
発生する場合があります。ただし、原因には樹体の生理的な面もあり、着果過多や秋期の遅伸びに
よる樹体の登熟不良等も寒害発生を助長します。近年モモの枯死症状が多数見受けられますが、気
候温暖化によりモモの休眠覚醒が早まり、耐寒性が低下した2月以降に低温に遭遇して寒害が発生
- 2 -
するとの指摘があります。また、主幹部の大きな切り
口から発生した枯死症状も数多く観察されています。
主幹部の寒害を防止するための対策としては以下の
ようなことがあげられます。
ア
せん定時期や方法
寒冷地において、モモやオウトウ等の寒害を受けや
すい樹種は、冬季の早い時期のせん定は避け、2月の
厳寒期を過ぎてから行います。また、整枝に当たって
は、夏季せん定や秋期せん定も含めて樹形を整え、主
幹部に大きな切り口を作らないようにします。太枝を
①や②の場所で切る。
せん除する必要がある場合は、図2のように、基部近
くの新梢が発生しているところまで切り戻し、その後
主幹部が太り、相対的に枝が細くなるのを待って基部
から切り落とします。なお、切り口には、速やかに殺
図2
主幹部から発生した太枝を除
く場合の1年目のせん定位置
菌塗布剤を塗布してください。
イ
土壌の排水性の確保
雪解けによる停滞水が樹体の耐凍性を低下させる傾向が認められています。水田転作園等の土壌
が過湿になりやすい園地で、モモの枯死症状が多発するのはこのためとも言われます。暗きょや明
きょ等により園地からの排水を促しましょう。
ウ
主幹部の被覆
寒害防止対策の一つとして、主幹部へのワラ巻きがあげられますが、ワラが水を含むとむしろ寒
害発生を助長する傾向があるため、積雪地帯では不適当です。このため、積雪地帯では、ワラの上
からアルミシートを巻き、水が入らないよう最上部を幹に密着させて縛ることが必要とされていま
す。また、主幹部への白塗剤の塗布も有効とされていますが、被害を完全に無くすことは難しいよ
うです。
(4)病害虫防除
農薬散布だけでは十分に防除できない病害があります。晩秋から初春にかけて、耕種的な防除を
実施しましょう。
ア
リンゴ腐らん病
枝腐らんは見つけ次第健全部を5cm以上含めて切り取ります。胴腐らんは、周囲の健全部まで5
cm広く削り取り、その周辺部まで含めて殺菌塗布剤を塗布します。病患部に泥土を厚く塗り(約3
~5cm)、乾燥しないようにポリエチレンフィルム等で被覆する方法も有効です。
なお、伐採した被害枝幹及び削り取った病患部は、土に埋め込む等完全に処分しましょう。
イ
炭そ病
園周辺のニセアカシア、シナノグルミ、イタチハギなどを伐採しましょう。
ウ
紋羽病
休眠期に根部を掘って被害部をていねいに除去し、土壌かん注処理に登録のある殺菌剤をかん注
し、汚染土が薬液とよく混じるように埋め戻します。
エ
ナラタケ病
病患部の根部を露出して菌糸束を取り除き、長期間露出させておきます。土作りにおいて、土壌
pHを低めに維持し、未熟堆肥や粗大有機物を投入しないようにしましょう。
オ
ヒメアカスカシバ
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ブドウ等では、せん定時に被害部を削り取り、内部に潜む幼虫を捕殺しましょう。
◎
気象情報については、「うつくしま農林水産情報ネット農業気象情報システム」
をご利用ください。
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□ホームページ http://www.pref.fukushima.jp/keieishien/
kenkyuukaihatu/kisho/weather2004.htm
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