平成27年度 町 政 執 行 (昨年35ページ) 浦 河 町 方 針 ■町政執行方針 Ⅰ はじめに Ⅱ まちづくりに臨む基本姿勢 Ⅲ 重点施策の展開 個性豊かで活力あるまちづくり 2 元気な産業を育てるまちづくり 3 安全・安心で健やかに暮らせるまちづくり 4 にぎわい溢れるまちづくり Ⅳ 1 結び 1 平成27年度 町政執行方針 浦河町長 Ⅰ 池 田 拓 はじめに 平成27年浦河町議会定例会の開会にあたり、町政執行への私の所 信を申し上げます。 本年は大正4年に浦河町と西舎村、杵臼村が合併し1級町村制を施 行してから100年の記念すべき年を迎えます。 この間、浦河町の発展にそれぞれの立場で貢献された、先達の皆さ んに深く感謝と敬意を表しますとともに、浦河の新世紀に向けて今を 預かる者として、郷土の発展に一層邁進することをお誓いいたします。 田宮虎彦が「失われた青春」のなかで「可能性をぎりぎりにおしす すめて行くことこそが、私の存在理由を決定する。」と述べています。 財政事情をはじめ、当町を取り巻く環境は厳しい状況でありますが、 これらの課題を乗り越え、未来を担う世代に確かな町を引き継ぐため、 2 更なる努力が求められています。 世界全体の平和への大きな不安や疲弊する地域経済、そして日本全 体が人口減少時代に入るなど、閉塞感が地球全体を覆っている時代で すが、それだからこそ私たちのまちが「夢見る力」を町民全体で発揮 しなければなりません。 私は、この浦河町には大きく飛躍する可能性が無限にある。そして、 それらを未来に生かす底力も夢見る力もあると信じています。 大きな時代のうねりに翻弄されることなく、浦河の大地にしっかり と足をつけ、新たな夢や新たな成長に向かっていくことが、何よりも 肝要です。 そのためには、まちづくりの答えは、町民皆さんの中にこそあると の信念を持って、これまで以上に町民皆さんの声を聞き、町政運営に 生かす努力を重ねてまいります。 本年は浦河町の新世紀の第一歩の年です。 3 この素晴らしいふるさとを国内外に売り込み、次の世代に夢あふれ る確かな町として引き継ぐため、今後とも全力を尽くしてまいります ので、町民皆さん、町議会議員皆さんの一層のご理解とご協力をお願 いいたします。 4 Ⅱ まちづくりに臨む基本姿勢 まず、私のまちづくりに臨む基本姿勢であります。 過去から未来へ続く、浦河の新たな100年に向かい、子孫に誇れ るふるさとづくりをするのは、今を生きる私たちです。 まちづくりは、行政はもちろんですが、町民皆さんの力が不可欠で あり、一人一人を大切にしながら町全体の連携と協働による浦河らし い取組が求められます。 このような認識から、私は、次の3つを基本姿勢として、新たな世 紀に向かう浦河の町政運営に臨んでまいります。 <夢をもち未来につなぐまちづくり> その第一は、「夢をもち未来につなぐまちづくり」であります。 町民皆さんが、未来に向かって夢を持ち、実現しようと自ら進んで 取り組む姿は、生き生きと輝き、町に活気をもたらします。 5 そして、一人一人の未来への取組が大きな束となり、輝ける浦河の 未来につながります。 町民皆さんの意欲を大切し、夢に向かって行動できるよう地域全体 で応援する町政の推進に努めてまいります。 <人にやさしいふれあいのまちづくり> 第二は、 「人にやさしいふれあいのまちづくり」であります。 私たちは、浦河という大きな家族の一員として、この町に暮らして います。 日頃から、互いに声をかけ、共に助け、共に支え合う、都会にはな い地域力がこの町にあります。 この力を大切にし、更に「自助・共助・公助」の連携を強め、自然 災害や事故、病気など、不安な時に支え合うことが必要です。 町民皆さん一人一人が大切にされ、健康で安心して暮らすことがで 6 きるよう、人にやさしい町政の推進に努めてまいります。 <協働による足腰の強いまちづくり> 第三は、 「協働による足腰の強いまちづくり」であります。 町民皆さんが、安定して暮らすためには経済基盤の確立が必要です。 このためには、当町の基幹産業である農業と漁業の再生と拡大が重 要であり、さらには、「産官学金労」の連携・協働による農業と漁業 からの6次産業化への流れを形にすることが、今こそ求めらます。 広い視野から、異業種・異世代が連携・協働により、新たな発想で 浦河の資源を活かした足腰の強い産業づくりに取り組んでまいります。 7 Ⅲ 重点施策の展開 次に、平成27年度において、私が取り組む重点施策の展開方向に ついて申し上げます。 1 個性豊かで活力のあるまちづくり 重点施策の一点目は、「個性豊かで活力のあるまちづくり」であり ます。 (1)地方創生・人口減少対策 日本全体の人口が減少するなか、当町においても人口減少を食い止 めることは、大きな課題となっております。 国が、人口減少対策と地方創生を目的に打ち出した「まち・ひと・ しごと創生法」の施行に伴い、当町の特性を踏まえた地方版総合戦略 「浦河町総合戦略(仮称)」及び地方人口ビジョン「浦河町人口ビジ ョン(仮称) 」を策定いたします。 8 このため、職員を配置し、「浦河町地方創生・人口減少対策本部 (仮称)」を立ち上げ、有識者による戦略策定委員会(仮称)を新た に設置し、当町の人口減少を克服し地域の活性化を推進する具体的な 施策や取組を検討してまいります。 5年毎に実施される「国勢調査」が、本年10月1日を調査日とし て全国一斉に実施されます。 国勢調査の結果は、今後の国や地方自治体の施策・計画の基礎資料 となる大変重要な調査であり、地方交付税の算定などの基礎数値にも 用いられることから、実施にあたっては、「浦河町国勢調査実施本部」 を設置し、町内約150の調査区に調査員を配置し、調査を実施して まいります。 (2)子ども・子育て支援施策 子ども達の元気な声や姿が、町に元気を与えてくれます。 子どもを産み育てやすい環境づくりを進め、当町で生まれる子ども 達の健やかな成長を支えるための様々な施策を講じてまいります。 9 本年度から、子ども・子育て支援新制度が始まりますが、従来から の保育に関する各種サービスを維持し提供してまいります。 また、障がい児保育を行う民間保育所への特別保育事業を継続して まいります。 不妊治療対策につきましては、子どもを待ち望む世帯に対し、初期 段階から高度な治療まで総合的な支援を継続いたします。 さらに、子育ての経済的負担を軽減するため、子育て家庭医療支援 事業を引き継き実施し、中学生までの医療費の自己負担を全額地域商 品券で助成してまいります。 子育て支援センターは、未就学児を持つ家庭に対し、子育ての不安 や悩みを解決するための育児相談や講座、遊びなどの行事を行うなど、 保護者同士が交流し情報を共有する場として、町立保育所と連携し運 営してまいります。 児童デイサービスセンター「はまなす学園」につきましては、専門 機関から職員の派遣を継続し、専門性を維持しながら各種療育活動を 10 取り入れた運営を行ってまいります。 若者就労支援事業につきましては、10代の若者が社会とのつなが りを持って、就労や新たな進路に向かって一歩踏み出せるよう生活指 導を行い、社会的自立を促す場として提供してまいります。 また、国の制度に基づき子育て世帯臨時特例給付金事業を実施いた します。 (3)まちの魅力発信と交流・移住促進の充実 まちづくりには、若者のパワーとアイデアが不可欠です。 地域おこし協力隊は、制度の活用から3年目を迎え、浦河の魅力を 掘り起し、各隊員のスキルやネットワークを活かした新たな地域活動 を展開するとともに、全国に当町の生き生きとした情報を発信してお ります。 本年度新たに2名を採用し6名体制とし、更なる地域の活性化につ なげてまいります。 11 また、都会の若者などを募集し、超高速通信回線を活用したテレワ ークや各種体験ツアーにより浦河の魅力にふれる機会を設けるととも に、事業の参加者とのネットワークづくりを図ってまいります。 ふるさと浦河応援寄附金は、これまで東京浦河会をはじめ当町ゆか りの皆さんに支えられてきました。 引き続き、ふるさと会の皆さんの応援をお願いしますとともに、よ り多くの皆さんに寄附いただけるよう、本年度から新たにお礼の特産 品を増やし選択できるようにするほか、インターネットを活用した申 込みやPRを行い、浦河産品や観光などの情報発信とともに、町内産 品の需要喚起につながるよう取り組んでまいります。 少子化対策からも、若い世代に移住してもらうことは必要であり、 そのための働きかけが求められます。 このため、本年度新たに若年層の移住を促進するため、大学生や移 住を希望する若者などへのインターンシップ事業に着手するとともに、 年間を通して自由に使えるシェアハウスを確保し、様々な浦河滞在プ ログラムに対応できる環境づくりをしてまいります。 12 移住体験事業は、利用者数と延べ滞在日数ともに毎年全道の上位に あり、町外から多くの皆さんが浦河を訪れています。 移住体験希望者のニーズに応じた住宅の確保と空き家の有効利用を 促すため、本年度新たに町内の空き家を改修し、移住体験住宅として 活用するための補助金制度を創設いたします。 道外からの修学旅行生を農家・漁家が受け入れる「日高王国」は、 日高東部3町の広域事業として実施しており、宿泊体験を通して自然 や産業など、都会の高校生に日高の魅力を伝えています。本年度は3 校の受入を予定しており、将来的に交流人口の増加や移住につながる ことを期待し事業を進めてまいります。 うらかわ出会い交流支援事業は、少子化対策や若年層の地元定着を 図るため、結婚適齢期にある男女の出会いや若者の異業種交流の場と してイベントを開催しており、町内事業者などとの連携を更に強化し 地域への波及効果が感じられるよう実施してまいります。 13 (4)町制施行100周年を迎えて 当町の大きな節目の年に当たり、浦河の歴史を創り上げてきた先人 の功績を振り返り、次代を担う子ども達に引き継ぐため、100周年 記念事業を実施します。 秋に開催する記念式典を中心に、全国ネットのテレビ番組の公開放 送・収録や北海道日本ハムファイターズの応援大使事業、熊本県天草 市河浦地区への小中学生の派遣事業、記念映像・記念誌を作成するほ か、閉校となった学校跡地への記念碑設置や町内の歴史的建築物の保 存と活用の検討など、多くの事業に取り組んでまいります。 また、町民皆さんや町内の企業・団体などが100周年記念事業と して、自ら企画・運営する事業を募集し、全町を挙げて祝う気運の盛 り上がりを図ってまいります。 14 2 元気な産業を育てるまちづくり 重点施策の二点目は、「元気な産業を育てるまちづくり」であります。 (1)農業の振興 日本の農業は、農業従事者の高齢化や後継者不足により、農業生産 額が大きく減少しております。 このことにより、集落機能の低下や耕作放棄地の増加など多くの問 題を抱える中、国は一昨年12月に「農林水産業・地域の活力創生プ ラン」を策定し、若者たちが希望の持てる「強い農林水産業」と「美 しく活力ある農山村漁村」を創り上げようとしています。 当町の主要産業であります軽種馬生産は、昨年の北海道市場におい て、売上額は14年ぶりに70億円を突破し、売却率は60%を超え、 平均価格も上回る結果となりました。 また、中央競馬会の馬券売上げも、3年連続前年実績を上回る結果 となり、競馬界全体としては、少し明るい兆しが見え始めております。 15 しかし、生産現場においては、依然として既往する債務により経営 改善が思うように進まず、大変厳しい経営状況が続いております。 このため、管内の関係機関・団体が一丸となって、「強い馬づくり」 に向けた産地対策など、軽種馬生産が抱える課題を解決するため、国 や中央競馬会へ要請してまいります。 ホッカイドウ競馬につきましては、2年連続前年実績を上回り、本 年度からなお一層の競馬番組の充実を図るため、「内回りコース」を 新設し、更なる売上向上に努めることとしております。 このため、生産団体をはじめとする関係機関・団体と連携し、協賛 競走の実施や場外馬券発売所「アイバ浦河」を活用した応援ビアパー ティー・門別競馬場応援ツアーなど、様々な集客のための取組を進め てまいります。 地域振興作物である「いちご」につきましては、昨年、目標であり ました2億円を突破することができ、ひだか東農協全体では、3億円 を超え、 「夏いちご生産量日本一」となりました。 16 昨年10戸であった生産農家が、今年1月から新たに4戸6名の新 規就農者が、大きな夢と希望をもって農業経営をスタートさせました。 本年度から、「いちご」で新規就農する方又は軽種馬生産などから 転換する方に対して、初期投資への負担軽減を図るため、リース型の 施設園芸用ハウスを整備してまいります。 本年度は、軽種馬生産から独立する後継者を含め4戸が就農を予定 しており、1戸当たり4棟の100坪ハウスを全体で16棟整備して まいります。 また、特に厳しい経営状況にある軽種馬生産などから「いちご」へ の転換を推進するための支援も併せて行ってまいります。 このことにより、離農する農家・従事者の減少に歯止めをかけると ともに、新規就農者の確保は、農業はもとより移住による人口減少対 策と、また地域活性化にもつながることから、積極的な誘致活動を展 開してまいります。 肉用牛生産につきましては、枝肉・素牛の市場価格が好調に推移し 17 ておりますが、配合飼料などの高騰により経営を圧迫する恐れがある ことから、更なる生産コストの削減に努めるとともに、町内の優良繁 殖雌牛による受精卵移植など、生産家畜の資質向上に取り組んでまい ります。 酪農生産につきましては、低コストによる良質な生乳生産とゆとり ある農業経営を図るため、乳牛検定組合やヘルパー利用組合への支援 を継続してまいります。 土地基盤整備につきましては、5年目となる日高幌別地区での「道 営中山間地域総合整備事業」の推進と併せて農家の負担軽減対策を行 ってまいります。 水稲につきましては、国が平成30年産を目途に、コメの生産調整 を廃止することから、今後一層産地間の競争が激化することが想定さ れますので、更なる生産コストの低減と少しでも付加価値の高い良質 な「特別栽培米」の生産拡大を推進するとともに、安全・安心な浦河 産米の消費拡大に向けて取り組んでまいります。 アスパラガスにつきましては、ギフト販売の取組をすすめるととも 18 に、更なる規模拡大を図るため、本年度も苗の購入や施設園芸用ハウ スの設置に対して助成してまいります。 町内で生産された農畜産物を積極的に町内で消費流通することは、 地域の活性化にもつながるものです。 このため、「産業まつり」などのイベントを通して、町民皆さんに 地場産品への理解と関心を深めてもらえるよう努めてまいります。 エゾシカの駆除対策につきましては、猟友会などの皆さんの協力を いただき、本年度も1年を通して銃器、くくり罠による有害駆除を実 施し、更なる個体数の減少に努めてまいります。 また、新たな担い手の育成・確保を図るため、狩猟者免許取得費用 の全額を引き続き助成してまいります。 TPP協定は、日本の農業に大きなダメージを与えるものであり、 現在交渉が進んでいますが、撤退に向け関係団体と連携し引き続き対 応してまいります。 19 (2)林業の振興 森林は、地球温暖化の防止、国土の保全、水源のかん養、自然環境 の保全、木材の生産などの多面的機能を有することから、これらを最 大限に発揮するための健全な森林の育成が必要です。 私有林につきましては、除間伐や枝打ちなどの森林整備、植林した 苗木を鹿などの鳥獣から守る防護柵の設置を推進するため、民有林造 林推進事業を実施してまいります。 また、伐採跡地などに確実な植林を推進するため、未来につなぐ森 づくり推進事業を実施してまいります。 町有林につきましては、林木が健全かつ旺盛に成長し二酸化炭素の 吸収量を増大させるため、人工林の間伐を実施するとともに、その間 伐材の一部を公営住宅の建設に利用してまいります。 さらに、森林の更新のため伐採した箇所へ植林をするほか、幼齢林 の下刈りにより木の成長を促す造林事業を実施してまいります。 20 町民皆さんの自然への情操、愛林思想の啓発と健康で文化的生活を 向上させる「森林公園」や「ピスカリの森」などの環境を維持するた め、環境林等維持管理事業を実施してまいります。 私有林及び町有林の林地保全を図るため、北海道との協働による治 山事業の推進に努めるとともに、治山林道施設等維持管理推進事業を 実施してまいります。 (3)漁業の振興 漁業につきましては、依然として魚価の低迷や燃油価格の不安定の 中、担い手の減少、高齢化、さらには海水温の上昇や海獣被害など、 多くの課題を抱えております。 このため、漁業者・漁業協同組合・町や指導機関が一体となり、こ れらの課題に対応するため、漁業のもつ多面的な機能を検証し、浜の 活気をとりもどす組織として、昨年度「浜の元気再生検討協議会」を 設立したところですが、本年度も引き続き漁業者の生の声を聞き課題 解決に努力してまいります。 21 漁場対策としましては、5地区コンブ漁の機能維持と資源回復を目 的に、雑海草駆除を主体とする水面多面的機能発揮対策事業、浦河・ 荻伏沖のヒトデ駆除事業及び素焼土管のタコ・ツブ産卵礁投入事業並 びに新たな漁場の活用を図る「漁場再生調査事業」を継続してまいり ます。 また、栽培漁業につきましては、マツカワの稚魚放流事業や東部3 町の連携によるハタハタの増殖事業などを推進してまいります。 子ども達の漁業や海洋環境に対する理解を深める機会として、関係 機関と連携し、サケの稚魚放流などの事業に取り組んでまいります。 4年目を迎える漁業担い手等支援事業は、後継者の確保と若者の就 業機会の拡充となることから、漁業経営対策として引き続き実施して まいります。 一進一退しているTPP協定は、水産業に与える影響も大きく、交 渉の情報収集に努めますとともに、水産物の輸入割当(IQ)制度に ついても、道内関係自治体と連携し現行制度の堅持を強く国に要請し てまいります。 22 漁港の整備につきましては、昨年度に引き続き荻伏漁港内の漂砂堆 積対策及び南防波堤・東防波堤の補修工事が実施されますが、管理す る道に対し漂砂の抜本的な対策と防波堤補修の早期完成について要請 してまいります。 また、本年度新たに荻伏地区に昆布保管施設を整備し、コンブ集荷 時の利便性を高めるとともに、衛生管理面の強化を図ってまいります。 地方港湾浦河港につきましては、新たに築地1号岸壁へ船舶給水施 設を設置し、船舶への給水体制を整えるとともに、砂利の積み下ろし 時の粉塵を抑えるための散水用にも活用し、港内環境を整えてまいり ます。 また、施設整備につきましては、静穏度確保のため西島防波堤の整 備と南マイナス3.5m船揚場の上架施設整備を国へ要請してまいり ます。 海岸整備につきましては、町内の全線にわたり浸食が著しいことか ら、護岸の改修未整備地区の早期着工を関係機関に引き続き要請して まいります。 23 3 安全・安心で健やかに暮らせるまちづくり 重点施策の三点目は、「安全・安心で健やかに暮らせるまちづくり」 であります。 (1)防災・減災の環境づくり 毎年、日本各地で様々な自然災害が起こり予期せぬ大きな被害に見 舞われています。 日頃から様々な災害に対して予断することなく備えることが必要で あり、町民皆さんの人命が失われることがないよう災害に対して強靭 なまちづくりを進めてまいります。 災害時の備えとしましては、浦河町災害時備蓄計画に基づき、食料 や生活必需品などを配備するとともに、民間事業者と協定を結び災害 時に必要な物資の確保に努めてまいります。 さらに、あらゆる災害に備えるため、自治会や家庭に対しても備蓄 品の配備について啓発してまいります。 24 引き続き、標高板や避難路表示板の設置を進めるとともに、地域ぐ るみの防災活動が重要なことから、自治会などを対象とした災害図上 訓練(DIG)や避難所運営訓練(HUG)など、防災活動を関係機 関と連携し実施してまいります。 また、昨年度更新した防災行政無線を活用し、より実践的な防災避 難訓練にも取り組んでまいります。 防災士につきましては、地域の防災リーダーとなる人材が必要なこ とから、今後も各地域で効果的に機能するよう育成してまいります。 消防署の水槽付消防ポンプ自動車を更新し、火災時の消火体制を充 実させてまいります。 また、水難事故に対応できる潜水隊(仮称)の設置に向けて努力し てまいります。 (2)生活・住環境の整備 犯罪のない安全で安心して暮らせるまちづくりを進めるため、あい 25 さつや声かけ、見守り運動、情報提供など、日頃の地域と連携した活 動が重要です。 特に、高齢者を狙った振り込め詐欺をはじめとした特殊詐欺被害は、 年々巧妙化し道内でも被害が増大しているため、関係機関・団体や各 防犯協会と一体となり被害防止に取り組んでまいります。 また、花いっぱい運動は、地域を「美しく・明るく・住みよく」し、 防犯の一助ともなることから、自治会や事業所に参加を呼びかけ推進 してまいります。 老朽化した空き家は、倒壊や屋根の飛散による危険があり、また景 観を阻害し防犯上の問題もあり、地域環境対策として、本年度自治会 の協力を得ながら、空き家実態調査を実施し対応策を検討してまいり ます。 昨年の町内交通人身事故は、対前年に比べ11件減の12件となっ ており、町民皆さんによる日々の活動のおかげと感謝しております。 しかし、残念ながら当町は平成22年から5年連続となる死亡事故 26 が、いずれも10月から12月にかけて発生しております。 交通事故のない安全・安心な町づくりのため、特に秋冬の交通安全 運動期間に重点を置き、高齢者への呼びかけや危険個所の周知など町 ぐるみの運動を進めてまいります。 ごみ減量化対策につきましては、地球温暖化対策としてリデュース (発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の3R推 進の取組を、クリーンうらかわ推進員と連携し進めてまいります。 また、クリーンプラザの施設老朽化対策として、本年度「施設長寿 命化計画」を策定し、施設保全と延命化に努めてまいります。 道路は、私たちの日常生活に不可欠な施設であるとともに、命を守 る生命線として防災インフラの役割も大きく、今後も町民皆さんが安 心して生活できるよう整備を進めてまいります。 道道の整備につきましては、「道道上向別浦河停車場線」は、本年 度歩道拡幅工事が完了する予定であり、昨年度に引き続き、用地買収 及び支障物件補償並びに本工事が実施されます。 27 町道「まきば通線」は、北海道に対し防災道路としての必要性を訴 え続けた町を挙げての要望活動が実り、昨年道道昇格となることが決 まりました。 本年度は用地確定測量を行い、本工事の早期着手に向け引き続き事 務を進めてまいります。 町道の整備につきましては、堺町小学校の通学児童の安全を確保す るため、「堺町西3丁目2号線」の延長130mの改良工事を行うほ か、4路線の道路施設整備及びオーバーレイ工事を5路線にて実施し、 安全な道路環境づくりに努めてまいります。 橋梁の修繕につきましては、「浦河町橋梁長寿命化修繕計画」に基 づき、「ルスナイ橋」の補修工事及び「町道姉茶浜東栄線東栄立体橋」 の橋梁点検業務を行ってまいります。 河川事業は、「絵笛川」及び「トメナ2号川」の堆積土砂浚渫並び に「松山の沢川」の改修工事を行い、大雨時の災害防除を図ります。 町営住宅につきましては、「浦河町公営住宅等長寿命化計画」に基 28 づき、「堺町川沿団地建替事業」の本工事を継続し、本年度は木造平 屋建て4棟16戸の建設を予定しております。 また、既存町営住宅の住みよい環境づくりのため、住宅の機能改善 を目的に「町営住宅住環境改善工事」を実施いたします。 「浦河町公営住宅等長寿命化計画」につきましては、計画期間を10 カ年としておりますが、平成29年度から後期計画に入ることから、 本年度、計画の見直しを行います。 「住宅新築リフォーム等緊急支援補助事業」につきましては、継続 して実施し、更なる町内経済の活性化と安全・安心な住環境の整備を 図ってまいります。 生活館につきましては、北海道と協議しながら大規模改修を進めて おり、本年度は「西舎生活館」の大規模改修を実施し、地域の皆さん の利便性の向上を図ります。 上水道事業及び簡易水道事業につきましては、安全で安定した生活 水の供給のため、万全な水質管理と災害に強い施設整備に努めてまい 29 ります。 上水道事業は、「道道上向別浦河停車場線」及び「堺町西3丁目2 号線」の道路拡幅事業に併せて配水管路の整備を進め、また井寒台地 区の老朽配水管は更新を行ってまいります。 また、市街地の給配水の中心施設「中央配水池」の築造事業は、管 理施設の整備と旧施設の解体を行い、本年度完成となります。 簡易水道事業は、白泉地区の老朽配水管の更新を継続して実施して まいります。 下水道事業につきましては、川沿団地周辺の雨水管の整備などを進 め、衛生的な生活環境の構築や災害対策に取り組んでまいります。 浦河浄化センターは供用開始から22年を経過し、施設機能の長寿 命化に向け機械装置類の更新計画の策定を行ってまいります。 町の公共施設の老朽化対策として、総合的かつ計画的な管理をする 必要があることから、本年度より2カ年計画で、「公共施設等総合管 30 理計画」を策定いたします。 また、これら施設の電気料金の縮減を図るため、電気事業法の改正 により電力が自由化されたことから、12施設を北海道電力より「特 定規模電気事業者」へ移行してまいります。 公共交通につきましては、町内路線バスの方向性を考えるため、昨 年、予約制乗合バスの実証運行を3カ月間行いましたが、本運行の開 始を検討できる成果に至りませんでした。 この結果を検証し、今後は杵臼線と向別線の路線バスのあり方だけ でなく、野深エリア(野深、瑞穂、姉茶、荻伏など)及び絵笛エリア (富里、東栄、絵笛など)の公共交通のあり方についても検討を進め ます。 (3)地域医療・福祉の充実 町民皆さんの健康の維持と確保のため、地域の医療、保健、福祉及 び介護がより連携することが求められており、住み慣れたまちで心身 ともに健康で暮らし続けられるよう、これらの一体となった取組を進 31 めてまいります。 浦河赤十字病院は、町民皆さんの命を守る2次医療圏の地域センタ ー病院として診療体制を維持確保する必要があることから、医師確保 に対する支援を継続いたします。 また、昨年度設立された「浦河の医療機関を守る会」に参加し、当 町の医療資源の維持や諸課題について、関係者と議論を深めてまいり ます。 さらに、「医師等修学資金貸付制度」を継続するとともに、本年度 新たに町外から保健師や看護師を目指す皆さんを募集し、町内で短期 間の職場体験や生活体験を提供する保健業務インターンシップ事業を 行い、地域の医療を支える人材の確保に力を注いでまいります。 予防接種につきましては、各種混合ワクチンをはじめヒブワクチン、 小児肺炎球菌ワクチン、水痘予防ワクチン、高齢者の肺炎球菌ワクチ ンなどを助成し、疾病予防対策を行ってまいります。 若年層の健診につきましては、20代から、がん、心疾患、脳血管 32 疾患、糖尿病などの生活習慣病予防のため「ワンコイン健診」を継続 し、生活改善の意識付けと受診の必要性を認識してもらえるようPR してまいります。 がん対策として、肺がん、胃がん、大腸がん、前立腺がん、乳がん、 子宮頸がん検診を実施し、早期発見と早期治療につなげてまいります。 また、昨年度から開始した幼児を対象としたフッ化物洗口を継続し てまいります。 障がい者福祉につきましては、障がいのある皆さんが地域社会の一 員として、生きがいを持って暮らすことができる環境づくりと各種サ ービスの提供に努めてまいります。 地域包括支援センターは、高齢者の皆さんが住み慣れた地域で安心 して自立した生活を続けられるよう、総合的な支援と相談を行ってま いります。 また、昨年度から始めた住民参加型生活等支援事業「うらこれ」を 継続し、町内5つの圏域ごとで独自の高齢者の生きがい事業を主体的 33 に取り組む「生活支援コーディネーター」を養成してまいります。 大きな社会問題となりつつある認知症対策につきましては、国の方 針を踏まえ、認知症の理解を深めるための普及啓発を認知症サポータ ーの養成活動を通じて行い、地域全体で支える互助の裾野を広げてま いります。 高齢者の皆さんの健康維持のために、介護予防センターを活用した 事業及び「うらかわ健康道場」を行ってまいります。 「いのちのバトン」の配布を継続し、緊急時や災害時に必要な医療 情報などの確保をいたします。 国民健康保険事業につきましては、医療費抑制対策として、ジェネ リック医薬品の利用促進を行うとともに、被保険者の医療機関への重 複受診や多受診に対し保健指導を実施するなど、医療費の適正化に努 めてまいります。 また、特定健診は「第2期特定健康診査調査等実施計画」に基づき、 被保険者の生活習慣病の予防推進のため、町内医療機関と連携し、受 34 診しやすい体制づくりを進めてまいります。 さらに、講演を行うなど、町民皆さんに特定健診に対する関心を喚 起する機会づくりを進め、受診率の向上を図ってまいります。 介護保険事業は、新たな「第6期介護保険事業計画」に基づき、高 齢者の尊厳の維持と自立した生活が営むことができるよう進めるとと もに、制度改正に伴う新たな介護サービスについて、被保険者や介護 サービス事業者が混乱を招かぬよう関係機関と連携しながら、事業の 提供に努めてまいります。 また、昨年度に引き続き、国の制度に基づき臨時福祉給付金事業を 実施いたします。 昭和54年に開設した特別養護老人ホーム「ちのみ荘」は、本年度、 社会福祉法人浦河愛生会へ移譲され新たな体制となりますが、今後と も連携を図り高齢者福祉行政を行ってまいります。 35 4 にぎわい溢れるまちづくり 重点施策の四点目は、 「にぎわい溢れるまちづくり」であります。 (1)雇用対策 アベノミクスの影響により、大都市部においては景気回復が見られ、 雇用情勢も好転しておりますが、地方では、依然として厳しい状況が 続いており、求める職に就くことは難しく、様々な雇用機会の確保と 職業能力の向上が求められています。 このため、町民皆さんが職業能力の向上や資格を取得するための各 種講座を提供する日高地域人材開発センターに運営費の補助をしてま いります。 (2)商工業の振興 新たな産業や雇用を創出するためには、これまでの発想や事業形態 にとらわれることなく、様々な事業にチャレンジすることが必要であ り、当町の基幹産業である農林水産業と連携した6次産業などの取組 36 が求められています。 このため、当町の豊富な資源を活かし、創意工夫による特産品の開 発や販路拡大につなげてもらうため、「ご当地特産品開発支援事業」 を広くPRし利用の促進を図ってまいります。 大型店やネット販売の拡大など、厳しい状況にある地域の商店街の 活性化には若者の力が必要であり、浦河商工会議所青年部など若手商 業者が行う新たな取り組みに対し協力・支援してまいります。 また、中心市街地活性化対策協議会を中心に、市街地の空洞化や空 き店舗対策などを検討し様々な取組を行ってきましたが、本年度は過 去3カ年間の調査を踏まえ策定した基本計画に基づいて行われる活性 化事業を支援してまいります。 町民皆さんの様々な消費者問題に迅速に対応できるよう、浦河町消 費生活センターの相談体制の充実に努めてまいります。 37 (3)観光の振興 豊かな自然やサラブレッド牧場の景観、豊富な食材など、浦河の魅 力ある資源を活かすため浦河観光協会と連携し、新たな観光資源を掘 り起こし、本年度町制施行100周年を華やかにする魅力あるイベン トの開催やマスコットキャラクター「うららん」「かわたん」を活用 した町内外イベントへの参加によるPR活動など、観光情報の発信強 化を図り、町の総合プロデュースや地域の活性化に努めてまいります。 また、道内外や諸外国、特に来道数が多い台湾や東南アジアからの 観光客の誘致に力をいれることが必要です。 このため、浦河観光協会が他の自治体・関係機関と連携して行う外 国人観光客誘致活動に対して支援してまいります。 観光協会が当町の観光振興の中心となるよう、組織のあり方につい て同協会と協議を進め、今後の方向性を検討してまいります。 優駿ビレッジ「アエル」は、引き続き3年間の指定管理者を指定し、 今後とも町民皆さんに愛され親しまれる施設の維持管理を進めてまい 38 ります。 優駿の里公園につきましては、サッカーやパークゴルフ、歩くスキ ーなど町内外から訪れる多くの皆さんに利用され、センター施設を備 えた交流の場、憩いの場として活用促進に努めてまいります。 西舎の桜並木は、先人が残してくれた浦河の貴重な財産であり、未 来に引き継ぐため、桜専門の樹木医による治療を行い、計画的な維 持・保存に努めてまいります。 また、町内の桜や銘木につきましても地域の観光資源として利活用 するための診断などを行い、美しい桜の咲くまちとして、町民皆さん による桜を守り育てる取組を推進してまいります。 十勝圏との経済交流を目的とする「日高東部・十勝南部広域連合推 進協議会」のメンバーとして、本年度は各町の食文化を発信するため、 「十勝マルシェ」に参加し当町の物産をPRしてまいります。 39 Ⅳ 結び 以上、平成27年度の町政執行に臨む、基本的な考えとその政策の 概要を述べさせていただきました。 安倍内閣は、「地方創生」を政策の大きな柱の一つに掲げ、東京一 極集中を是正し、地方の人口減少抑制と経済活性化を進めようとして います。 これまでも、田中内閣の「列島改造論」、大平内閣の「田園都市構 想」、竹下内閣の「ふるさと創生事業」といった、国の地方振興策が とられてきました。 しかし、今回は、人口動態や経済成長など日本を取り巻く状況が、 当時と大きく異なります。 石破担当大臣は、これに失敗すると国が無くなるという危機感をも って地方創生に取り組むと述べ、法制の整備や組織を設置するなど、 今回の「地方創生」にかける政府の本気度が感じられます。 40 当町としても、この点は評価し、地方版総合戦略の策定をはじめ、 地方創生に全力で取り組んでまいります。 昨年は、ウィリアムソン師円選手のソチ冬季オリンピックから始ま り、浦河高校野球部が60年ぶりに全道大会に出場し準決勝に駒を進 めるなど、浦河の子ども達が活躍し、明るい話題に町が湧き町全体が 心を一つに応援をすることがでました。 本年は、北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手と白村明弘選 手が浦河町応援大使となり、町制施行100周年に花を添え、当町の PRを強力にバックアップしていただきます。 これからの球界を担う若い二人の力を借り、町を更に元気にさせ、 外に向かって浦河の魅力を力強く伝えたいと考えております。 吉田松陰は、松下村塾を主宰し、高杉晋作や伊藤博文など、幕末・ 維新に活躍した多くの逸材を育て、聖人君子のイメージが強いのです が、ペリーの黒船でアメリカ密航を試みるなど、破天荒で旺盛な行動 力を持った若者でした。 41 当時は、西欧列国が世界に進出し、アジアの多くの国が植民地にな っていた時代であり、松陰は日本の独立を守りたい一心から、文武に 励み見聞を広め自ら行動し、彼のもとには多くの若者が集まりました。 そんな彼の人生は、安政の大獄に巻き込まれ30年で幕を閉じ、松 下村塾で若者たちに教えたのも2年間だけですが、彼の薫陶を受けた 人材がその遺志を受け継ぎ、明治維新を断行しました。 いつの時代も、大きな変革の時に行動し、社会を変えていったのは 若者です。 町全体で、若い力を育て、若い力を活かし、明日の浦河を創るエネ ルギーとして、町民皆さんと力をあわせ、夢をもち未来につなぐまち づくりを進めたいと考えております。 新たに船出する、浦河丸の舵取り役として、職員ともども一丸とな って粉骨砕身、町政の推進に取り組んでまいります。 町民皆さん、そして町議会議員の皆さんの一層のご理解とご協力を 心からお願い申し上げます。 42
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