長野労働局・各労働基準監督署

 新聞販売業で働く人のうち、毎年30人以上が労働災害にあっています。また、その数は年々増加
しています。死傷者の多くは、配達中の「転倒」、「交通事故」により被災しています。特に、12
月~3月の冬季に、雪道や凍結路面等で発生するケースが多くなっています。
■新聞販売業の休業4日以上の死傷者数の推移
28人
平成20年
33人
35人
36人
21年
22年
23年
54人
42人
24年
25年9月末
■新聞販売業の事故の型別労働災害発生状況 ■新聞販売業の月別労働災害発生状況
(平成20年~平成24年)
15
平成24年
平成25年9月末現在
その他
11
10.8%
9
8 8
6
5 4
3
3 2 4 2 2
転倒
2
2 2
交通事故
1
0 0
60.2%
29.0%
(人)
7
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
資料出典:労働者死傷病報告
災害事例
事故の型
転倒
交通事故
概 要
徒歩で新聞配達中、新聞を投函して道路に戻ろうとしたとこ
ろ、凍結路面上に雪が積もっていたため滑って転倒し、手首を骨
折した。
アパートの2階に新聞を配達する際、2階通路に照明がなかっ
たため足元が見えず、雨どいから漏れた雨水によりコンクリート
床が凍結していたため、滑って転倒し後頭部と肘を強打した。
起因物
年齢
通路
58歳
通路
61歳
通路
69歳
新聞配達のため市道を歩行中、側溝の金属製のふたに足を滑ら
せて転倒し、手首を骨折した。
バイク
50歳
バイクで新聞配達中、大雪のためハンドルを取られて転倒し、
手指を骨折した。
バイク
48歳
バイクで新聞の拡張販売業務中、T字路を右折しようとしたと
ころ、一時停止しなかったため右側から走行してきた乗用車に接
触して転倒し、足を骨折した。
自転車
71歳
自転車で新聞配達中、交差点を右折しようとしたところ、凍結
路面でタイヤが滑って転倒し、大腿骨を骨折した。
長野労働局・各労働基準監督署
※「労働者の安全と衛生の確保」について、詳しくは、厚生労働省のホームページを参照、又は長野労働局健康安全課(026-2230554)、最寄りの労働基準監督署にお問い合わせください。
URL:http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei.html
2013.11
新聞販売業の冬季における労働災害防止対策
■配達中の転倒災害を防ぐために
① 滑りにくい靴底の履物を着用しましょう。金属性のスパイクは、屋外の凍結路面では効
果がありますが、屋内の通路等では逆に滑りやすくなりますので、注意しましょう。
※ 通常の靴等に取り付ける「携帯用かんじき」も
販売されています。
② 配達先の階段、通路等を通行するときは、あらかじめ靴
底に付着した雪を取り除き、あせらず、走らず、足元を確
認しながら慎重に歩きましょう。
③ 屋外を通行するときは、あせらず、走らず、足元を確認
しながら慎重に歩きましょう。
④ 万一転倒した場合でも、重篤な災害にならないよう頭部を保護するためのヘルメットや
保護パッド等を着用しましょう。
■バイク・自転車の運転中、または歩行中の交通労働災害を防ぐために
① 運転者は、スピードの出しすぎに注意し、カーブでは十分に減速しましょう。
② 運転者は、車間距離を十分にとりましょう。
③ 運転者は、日の出前や薄暮の時間帯に限らず、日中でもライトを点灯するよう心がけま
しょう。
④ 運転者は、朝刊配達時間帯など交通量が少ない場合でも、一時停止等の交通ルールを必
ず守りましょう。
⑤ 歩行者は、蛍光・反射シールの貼付、蛍光・反射ベストを着用するなど、運転者が認識
しやすい目立つ服装を心がけましょう。
⑥ 配達経路を事前に点検して、危険箇所の洗い出しを行い、危険情報マップ(新聞配達ヒ
ヤリマップ)を作成し、危険を予測した運転、行動を行いましょう。
■その他
① シーズン前に、冬季特有の労働災害防止対策等について安全教育を行いましょう。
② 特に、熟練者や高年齢者の特性にも十分に配慮し、うっかり、ぼんやり、思い込み、省
略、ルール無視等の不安全行動を排除するため、定期的に安全教育を行いましょう。
③ 時間に余裕のある配達計画を作成し、あせらず、あわてず、慎重な運転や行動をとるよ
う繰り返し安全教育を行いましょう。
■危険情報マップ(新聞配達ヒヤリマップ)を作成・掲示しましょう。
皆さんは、事故や労働災害にならなくても「ヒヤっと」した、「ハっと」したというこ
とを一度や二度は経験されていると思います。
新聞配達中の交通事故を防ぐためには、このような「ヒヤリハット体験」もとに、新聞
配達時における危険箇所の洗い出しを行い、その対策や注意すべき事項などを事前に確認
しておくことが効果的です。
安全に新聞配達ができるよう「危険情報マップ(新聞配達ヒヤリマップ)」を作成して
みましょう。
【作成の手順】
新聞配達ヒヤリ
マップの用紙を全
員に配布する。
配達経路を記入する。経
路は太線で、脇道は細線
で、信号などの記号も入
れる。
危険(ヒヤリ)個所を記入する。
危険(ヒヤリ)個所には順番に
×印(No.)をつけて、その内容
を簡単に記入する。
対策と確認
事項を記入
する。
新聞配達ヒヤリマップ
(経路)自宅 → 新聞店 → 配達先
(氏
(所要時間)
(作成年月日)
分
㎞
名)
年
No.4 凶暴な飼い犬
クサリ確認「犬 ヨシ!」
No.2 下り坂、見通しの悪いカーブでの事故
スピードダウン「スピード ヨシ!」
No.1 踏切事故
遮断機警報確認「遮断機 ヨシ!」
No.3 交差点での衝突
左右確認・徐行「交差点 ヨシ!」
月
日
新聞販売業の基本的な安全衛生管理
■新聞販売業で必要な安全衛生管理体制
●
各種管理者を選任しましょう。
事業者
① 衛生管理者の選任:労働者数50人以上の事業場
② 産業医の選任:労働者数50人以上の事業場
③ 衛生推進者の選任:労働者数10人~49人の事業場
産業医
50人以上
衛生管理者
労働者の意見を聴くための委員会を設置しま
しょう。
●
① 衛生委員会の設置:労働者数50人以上の事業場
② 衛生委員会の記録の保存、議事内容の労働者への周知
●
新聞販売業
労働者数
新聞社やブロックの拠点、各店舗で、それぞ
れの役割・活動内容について連携体制を構築
しましょう。
衛生委員会
事業者
10人~49人
衛生推進者
管理者の選任義務はありませんが、
1~9人以下 店舗の安全衛生活動を推進するため
選任に努めましょう。
※ 労働者が50人未満の事業場など、衛生委員会の設置義務のない事業者も、安全又は衛生に関する事項について、関係
労働者の意見を聴く機会を設けるようにしなければなりません。
■健康診断の実施と健康管理
① 常時使用する労働者に対しては、雇入れ時及びその後1年以内ごとに1回、定期的に健
康診断を行いましょう。深夜業などに従事させる労働者に対しては、6か月以内ごとに1
回、定期的に健康診断を行いましょう。
② 健康診断の結果は、本人に通知するとともに、有所見者に対しては、産業医等から意見
を聴き、就業上の措置を決定しましょう。
③ 要精密検査、要治療等と診断された労働者に対しては、医療機関での受診を勧奨しましょ
う。
④ 労働者は、日頃から運動するよう心がけ、健康の保持増進に努めましょう。
健康診断と事後措置に当たっては、プライバシーの保護が必要です。
事
業
者
健
康
診
断
の
実
施
個人票の作成
(5年間保存)
健
康
診
断
結
果
の
受
領
所見なし
所見?
規模50人以上の事業
場は、監督署へ結果
報告書を提出
本人への通知
所見あり
就業上の措置の決定等
医師等の意見聴取
就業場所の変更
作業転換
労働時間の短縮等
健康保持に必要がある
労働者に対する医師等
による保健指導の実施
※ このリーフレットは、長野労働局のホームページからダウンロードすることができます。
長野労働局ホームページ:http://nagano-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/jirei_toukei/pamphlet_leaflet.html