電池(バッテリー)のお話

電池(バッテリー)のお話
(2010 年 3 月)
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電池(
電池(バッテリー)
バッテリー)のお話
のお話
電池、バッテリーは、懐中電灯、携帯電話、デジタルカメラ、自動車など、私たちの身の回りにある様々な製品に使用
されており、現代社会において、なくてはならないものとなっております。また、ご存知のとおり、バッテリーは医療機器
のバックアップ電源としても利用されており、弊社取り扱い機器においても、VELA、AVEA、レジェンドエア、TOSCA、
Daisy など、多くの器械にバッテリーが搭載されております。
今回は、電池、バッテリーに関する基礎的な話として、放電、充電の仕組みについてご紹介します。
バッテリーも電池の一種です。電池の主な働きには放電と充電があり、働き方の違いによって 2 種類の電池に大別さ
れます。
充電ができない使い切り電池を『一次電池』、充電が可能であり何回も使用できる電池を『二次電池』(以下、バッテリ
ー) ※1 と呼びます。
※1
日本では、従来、自動車に用いられてきた鉛蓄電池(二次電池)を「バッテリー」と呼んできた歴史があることから、単に「バッ
テリー」といえば、 通常、二次電池を指します。ここでは二次電池⇒バッテリーに統一表記します。
電池とは、様々な反応により発生する電位差から変換された電気を直接取り出す装置であり、乾電池など化学反応を
利用した「化学電池」と、太陽電池など光や熱エネルギーを利用した「物理電池」に大きく分類されます。尚、弊社取り
扱い機器において「物理電池」は使用されていませんので、ここでは「化学
電池」(以下、電池)について触れることとします。
電池は、+極と-極の 2 種類の金属、および電解液から構成されており、
それらの化学反応を利用して電気を取り出す仕組みになっています。異な
る 2 種類の金属のうち、イオン化傾向※
※2 の小さい金属が+極となり、大き
い金属が-極となります。
電池の仕組みを理解するのによく利用されるボルタ電池(+極:銅、-極:
亜鉛、電解液:希硫酸)を取り上げ(右図)、以下放電の仕組みについてご
説明します。
まず、銅(Cu)よりもイオン化傾向の大きい亜鉛原子(Zn)が、電子を残して
亜鉛イオン(Zn2+)になり希硫酸中に溶けていきます。
亜鉛板では溶けた分だけ電子の数が増え、導線を伝って銅板に移動して
いきます。
さらに希硫酸(H2SO4)に含まれている水素イオン(H+)が銅板に移動して
きた電子とくっついて水素ガス(H2)になります。
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こうして電子が消費されると、また亜鉛板から電子が移動してきます。この一連の流れによって、電子の流れと反対に
電流が流れて電気エネルギーが生まれます。
※2
イオン化傾向・・・金属が金属イオンを含む溶液と接する際に、イオンとなって溶液中に入ろうとする傾向の度合い。
様々な新しい電池が開発されていますが、基本的な原理はどれも同じです。
2 種類の金属間でのイオン化傾向の差が大きいほど、電池の起電力(取り出せる電圧)は大きくなることから、電極に
使われる金属、電解液の違いによって、起電力や性質の違う様々な種類の電池となります。主な電池の種類につい
ては次回ご紹介いたします。
充電とは、外部電源などを用いて放電時とは逆方向に電流を流すことで、放電時と逆の化学反応を発生させて、バッ
テリーの起電力を回復、放電前の状態に戻すものです。
◆放電、充電反応の例 :鉛蓄電池(車などに使用されているバッテリーです)
鉛蓄電池の構成・・・+極:二酸化鉛(PbO2)、-極:鉛(Pb)、電解液:希硫酸(H2SO4)
-極(鉛:Pb)
Pb)の反応
+極(二酸化鉛:
二酸化鉛:PbO2)
PbO2)の反応
放電時
Pb + SO42- ⇒ PbSO4 + 2e-
PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e- ⇒ PbSO4 + H2O
充電時
PbSO4 + 2e- ⇒ Pb + SO42-
PbSO4 + H2O ⇒ Pb02 + 4H+ + SO42-
放電時には、-極の鉛(Pb)、+極の二酸化鉛(PbO2)の両極に硫酸鉛(PbSO4)が付着し、電解液である希硫酸
(H2SO4)は水(H2O)に変化します(希硫酸が薄まる)。充電時には、両極に付着した硫酸鉛(PbSO4)が溶け出し、再度、
希硫酸(H2SO4)の濃度が上昇します。
尚、一次電池も基本的な原理は同じですから、一部充電可能(乾電池用の充電器も売られているよう)ですが、電池
メーカーは一次電池の充電を一切認めておりません。理由は、充電時、化学反応により発生するガスによって電池内
部の圧力が上がり、液漏れ・破裂が発生するなどのリスクがあるためです。バッテリーは、ガス発生により内部圧力が
上がらない構造になっています。
(2010 年 2 月更新)
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