ボーラーの熱間金型用鋼 W321のご案内

ボーラーの熱間金型用鋼
W321のご案内
BOHLER主要熱間工具鋼の特性比較
高温強度
高温靭性
高温耐摩耗性
加工性
注1) マルエージング鋼(マルエージング温度 480℃
W720は調質可能な材料と同条件で特性比較をすることができません。
この材料はアルミ又は亜鉛の加工といった特定の用途の熱間工具鋼として採用をされています。
注2) 析出硬化型鋼
W750は調質可能な材料と同条件で特性比較をすることができません。
上記の表は金型素材の選択を容易にするために作成をされました。しかしながら,いろいろな種類の用途のより
生じる、さまざまな圧力の状態を考慮にいれて作成はされておりません。金型材料の使用上または加工上ので
なにか不明点がありましたら,弊社技術サービス部門にお問い合わせ下さい。
W321の材料特性
W321は優れた高温強度と高温靭性,熱間耐摩耗性を兼ね備えた熱間工具鋼です。水冷が可能です。
コバルト含有鋼でありますので高負荷のもとでの使用が可能です。
BOHLER W321は通常溶解材(ISODISC)でも,組織の均一性と素材の靭性を改善した
ESR溶解材(ISOBLOC)、両方ともの提供が可能です。
W321が最適な用途
高負荷、高温化環境で使用される。例えば重金属の加工使用されるマンドレル、金型、金属管製造用
コンテナ、中空部形成のための押出ロッド、スクリュー、リベット、ボルト、ナット等。
ダイキャスト金型、圧造金型、ダイインサート、熱間シャーブレード 他
W321の化学成分(平均
C
0.39
Si
0.30
%)
Mn
Cr
0.35
2.90
Mo
2.80
V
0.65
Co
2.90
W321を鍛造する場合
900度から1100度に加熱後,炉内もしくは断熱材の中で徐冷して下さい。
W321の熱処理
焼きなまし
750~800度に加熱後,1時間あたり10~20℃の割合でおおよそ600℃までゆっくりと制御空冷後
放冷して下さい。焼きなまし後の硬さは最大205HBです。
応力除去焼きなまし
600~650℃まで加熱後,1~2時間、不活性雰囲気の中保持後、ゆっくりと炉内冷却して下さい。
応力除去やきなましは加工により生じた応力を除去する事を目的として行われます。
焼入れ
1000~1070℃まで加熱後、15~30分保持する。油冷もしくはソルトバス。
焼入れ硬さは52~56HRC。
焼きもどし
焼き入れ後すぐに、焼きもどし温度までゆっくりと加熱、製品20mmあたり1時間、ただし最低2時間保持後
放冷。最低でも2回の焼きもどしをする事を推奨します。応力除去を目的に3回目の焼きもどしを実施する事も
効果的です。
1次焼きもどしは2次硬度を達成する温度より約30度高い温度で実施。
2次焼きもどしは希望の使用硬さを達成するために実施します。焼きもどし性能曲線が平均焼きもどし硬さを
示します。応力除去のための焼きもどしは、事前の焼きもどし温度中高い温度のほうから30から50度低め
の温度で実施します。
焼き戻し性能曲線
焼き入れ温度 1050℃
試験片サイズ 50㍉角
焼き戻し温度
熱処理温度カーブ
油
時間
洗浄
硬さ検査
硬さ検査
表面処理
窒化
W321は液体窒化およびガス窒化に適しています。
溶接補修
工具鋼の場合は溶接後にクラックが進展する傾向があります。
どうしても溶接補修をしなければならない場合は適切な溶接棒メーカーの指示のもとに行って下さい。
推奨加工条件