1 0 月 の 話 12月に入るとクリスマスの話題が多くなります。クリスマスといえ ば,子どもたちにとって最も関心が高いのは,クリスマスプレゼントで す。そして,このプレゼントを運ぶのは,もちろんサンタクロースです。 では,このサンタクロースは本当にいるのでしょうか。ずっと前のこと です。映画「サンタクロース」が上映されました。幼稚園の子は,この 映画を見て,サンタクロースがいると信じたそうです。このサンタクロ ースのお話をします。 「100年近い昔の話です。ニューヨークに住む一人の米国人の少女が 新聞社に手紙を書きました。『私は8歳です.友達の中に,サンタクロ ースはいない,言うものがいます………どうぞ本当のことを教えて下さ い。サンタクロースは,いるのでしょうか。』短い手紙でした。署名は, バージニア・オハンロンです。何日か後に,新聞は『サンタクロースは, いるか』という長文の社説を掲げました。1897年9月21日付でし た。社説はまず手紙を紹介し,次いで『バージニア,あなたの友達は間 違っている』と語りかけました。続いて『このごろ何でも疑ってかかる 人が多い。目に見えるものしか信じようとせず,自分の小さな頭で考え て理解できないものは存在しないと思ってしまう。だが,限りなく広い 宇宙と比べたら,人間の知識など小さな虫程度のもの………そう,バー ジニア。サンタクロースはいる。それはこの世の中に愛や人への思いや りや真心があるのと同じように確かなことです。サンタクースがいなか ったら,素直に信じる心も,詩も,ロマンスもなく,人生はちっとも楽 しくない……サンタクロースを見た人がいないからといって,サンタク ロースはいないと言えるでしょうか。この世でいちばん確かで本当のも のは,大人の目にも子供の目にも見えないのです。……』この社説はそ の新聞社がその後毎年掲げ,米国ではほかの新聞にも雑誌にも引用され るようになりました。」 この話をもとに,村上ゆみ子著・東逸子絵『サンタの友だち バージ ニア』が出版されています。この本は,バージニアがどういう人生を歩 んだかを,親族にも会い,調べて書いたものです。有名になった社説を だれが書いたのかも記されていて,興味深い本です。その中に次の一節 があります。『目に見えぬ,輝かしい世界への幕を開けられるのは“信 じる心,想像力,詩,愛,夢みる気持ちだけです”』
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