報告書(PDF:308KB)

公金収納方法の多様化に関する実態調査
報
告
書
平成 21 年3月
みずほ情報総研
株式会社
目
次
はじめに................................................................... 1
1.アンケートの対象....................................................... 2
2.アンケート調査結果の概要............................................... 2
3.アンケート調査の結果................................................... 4
(1)回答者の属性..................................................... 4
(2)公金収納に関する課題と収納方法................................... 7
(3)新しい公金収納方法の効果等....................................... 9
(4)今後、新たに採用することを検討している公金収納方法.............. 14
(5)新しい公金収納方法に関する意識.................................. 15
(6)公金収納方法の多様化に関する意見等.............................. 17
4.まとめ................................................................ 18
はじめに
地方自治体における公金収納は、多額の資金と多数の納付者を抱えながら、長い間にわたって納
付の方法が金融機関や自治体窓口での払い込み、口座振替などに限られていた。公金という、地方
自治体にとってきわめて重要な財産を取り扱うことから、その収納・管理については地方自治法を
はじめてとした厳しい制約が課されている。
一方で、社会環境は大きく変化している。コンビニエンスストアは全国で4万店舗を超え、24 時
間営業が主流となっている。そこでは、物販に限らず銀行ATMや電気・ガス・電話料金・その他
サービスの料金収納代行サービスを手がけている。コンビニ利用者にとって、商品を購入するのと
同時に公共料金等の支払いをすることに違和感はなくなっている。また、クレジットカードは、会
員数約1億4千万人、年間取扱高約 25 兆円に達し、国民生活に深く根付いたものとなっている。
マルチペイメントネットワークについても、収納事務の電子化を推進することで、収納事務処理の
削減・効率化や納付者の利便性向上を目指す動きが平成 12~13 年頃から活発化し、国庫金電子収
納に続き、平成 16~17 年頃から地方自治体にも広がり始めている。
しかし、公金収納方法の多様化には、課題が多く存在することも事実である。公金収納方法を多
様化するためには、納付データ等処理のためのシステム投資やその維持管理、更新等の追加費用が
必要となる。また、クレジット収納の導入にあたっては、手数料問題やカード利用に伴うポイント
の問題などが指摘されている。加えて、多様なチャネルから納付データが送られてくるため、その
データを統合して管理する必要も生じることになる。公金収納方法の多様化に当たっては、これら
多様化のための追加コストと納付者利便の向上などといった効果を比較検討することが必要にな
っている。
本アンケート調査は、公金収納方法の多様化といった動きが、今後、地方自治体に広まっていく
のかという問題意識のもと、その現状や地方自治体の意識を把握することを目的に実施した。その
結果、現状としては、コンビニ収納は広がりつつあるものの、マルチペイメントネットワークやク
レジットカードを使った収納を採用している自治体はまだ少なかった。収納方法の多様化の必要性
は認識しつつも、システム投資負担などから他の自治体の動向を見極めている状況にあるといえる。
今後については、20%~35%の自治体・部署が新しい収納方法の採用を検討しており、平成 21 年
から平成 22 年にかけて採用予定としている。また、既に新しい収納方法を採用している自治体か
らは、「年々、取扱が増加している」との回答が多く寄せられていることから、公金収納方法の多
様化といった動きは今後も広がりを見せていくものと考えられる。
1
1.アンケートの対象
本アンケート調査は、以下の要領で実施した。
アンケート対象自治体:47 都道府県、東京 23 区、人口 20 万人以上の市
アンケート対象部署:会計管理担当、地方税徴収担当、国民健康保険料(税)徴収担当、
介護保険料徴収担当、水道料金徴収担当
方法:郵送による配布・回収
期間:平成 21 年 2 月 19 日~平成 21 年3月6日
回収率:55.3%(発送数:745 件、回収数:412 件)
2.アンケート調査結果の概要
① 現在の公金収納における課題としては、
「収納率の向上」を指摘する回答が 86.9%と最も多くな
っている。また、
「収納方法の多様化」については、54.3%の自治体・部署が課題であると考え
ている。
② 公金収納方法の多様化については、9割が必要性を感じているが、一方で実際に採用している
方法としては、コンビニエンスストア収納が 50%となっているものの、マルチペイメント収納
は 8.1%、クレジットカード収納は 4.2%にとどまっている。
③ 既に新しい公金収納方法を採用している自治体・部署の7割は、当該方法による取り扱いが
「年々、増加している。
」としており、新しい収納方法が住民に支持をされてきている姿が浮か
び上がる。
④ 新しい公金収納方法を採用して「収納率が向上した。
」とする自治体・部署は全体の 36.2%であ
った。
⑤ 新しい公金収納方法の問題点としては、全体の 90%が手数料負担の増加を指摘している。また、
約半数がシステムなどの投資負担増をあげている。
⑥ 今後、新たに採用することを検討している公金収納方法としては、コンビニエンスストア収納
が 34.5%(140 件)と多く、次いでクレジットカードが 26.1%(105 件)、マルチペイメントネ
ットワークが 20.1%(81 件)となっている。一方で、現在、採用を検討している新しい公金収
納方法はないとする回答も 38.6%(155 件)となっている。採用を予定している時期としては、
平成 21 年から平成 22 年にかけてが多くなっている。
⑦ 公金収納法の多様化の必要性を感じないとする回答は全体の 10.3%(42 件)であった。その理
由としては、投資負担が大きいとする回答が 75%(30 件)、手数料問題など公平性に問題があ
るが 57.5%(23 件)
、収納率の向上には直接結び付かないが 47.5%(19 件)などであった。投
2
資負担については新しい収納方法を既に採用している自治体・部署においても約半数が問題と
感じている点であり、今後、システム投資などのコスト削減が求められるものと考えられる。
3
3.アンケート調査の結果
(1)回答者の属性
【自治体の種類】
回答のあった自治体の種類についてみると、中核市に属する部署からの回答が全体の 27.5%と最
も多く、次いで特例市(22.8%)となっており、都道府県、政令指定都市、その他の市、特別区に
属する部署からはそれぞれ 10%強の回答があった。
図表 1 自治体の種類
12.7%
0%
11%
10%
都道府県
20%
27.5%
30%
22.8%
40%
政令指定都市
50%
中核市
60%
13.2%
70%
特例市
12.7%
80%
90%
その他の市
100%
特別区
n=408
【担当している公金の種類】
担当している公金の種類では、自動車税・軽自動車税(35.5%)が最も多く、次いで介護保険
(31.6%)、住民税(29.2%)、国民健康保険税(料)(28.5%)などとなっている。水道・下水道
料金については、広域で取り組んでいる自治体があることから回収数は少なくなっている。
図表 2 所属する部署で担当している公金の種類
0%
10%
20%
30%
40%
50%
35.5%
自動車税・軽自動車税
31.6%
介護保険料
住民税
29.2%
国民健康保険税(保険料)
28.5%
26.8%
その他の地方税
23.8%
固定資産税
16.3%
地方公共団体が取り扱う公金全般
15.3%
下水道使用料
水道料金
13.6%
8.8%
その他
n=411
4
【年間の収納事務取扱量及び取扱金額】
年間の公金収納事務取扱件数は、全体の 35.2%が 100 万件~500 万件としており、次いで 50 万
件~100 万件(29.1%)となっている。また、取扱金額は、概ね各区分に分散しており、5,000 億
円以上とする回答も 5.2%あった。
公金収納事務取扱件数を公金種類別に見ると、住民税をはじめとした各種税徴収では 100 万件~
500 万件が多い一方、介護保険料や国民健康保険税(料)は相対的に取扱事務件数が少なくなって
いる。
図表 3 公金収納事務の取扱件数(年間)
6.7%
22.2%
29.1%
35.2%
3%
3.9%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
50,000件未満
100,000~500,000件未満
1,000,000~5,000,000件未満
60%
70%
80%
90%
100%
50,000~100,000件未満
500,000~1,000,000件未満
5,000,000件以上
n=406
図表 4 公金収納の取扱金額(年間)
8.6%
0%
17%
10%
20%
13.8%
30%
14%
40%
50%
10億円未満
50億円以上~100億円未満
250億円以上~500億円未満
1,000億円以上~5,000億円未満
11.8%
11.6%
60%
70%
18%
80%
5.2%
90%
100%
10億円以上~50億円未満
100億円以上~250億円未満
500億円以上~1,000億円未満
5,000億円以上
n=406
5
図表 5 公金種類別にみた事務取扱件数
合 計
合計
住民税
固定資産税
自動車税・軽自動車税
その他の地方税
国民健康保険税(料)
介護保険料
水道料金
下水道使用料
公金全般
その他
5 万件未
5 万~10
10 万~
50 万~
100 万~
500 万件
満
万件未満
50 万件
100 万件
500 万件
以上
未満
未満
未満
406 件
16 件
27 件
90 件
118 件
143 件
12 件
100.0%
3.9%
6.7%
22.2%
29.1%
35.2%
3.0%
118 件
1件
2件
15 件
33 件
61 件
6件
100.0%
0.8%
1.7%
12.7%
28.0%
51.7%
5.1%
97 件
1件
2件
10 件
26 件
52 件
6件
100.0%
1.0%
2.1%
10.3%
26.8%
53.6%
6.2%
144 件
1件
2件
18 件
45 件
72 件
6件
100.0%
0.7%
1.4%
12.5%
31.3%
50.0%
4.2%
109 件
1件
2件
11 件
33 件
58 件
4件
100.0%
0.9%
1.8%
10.1%
30.3%
53.2%
3.7%
115 件
1件
2件
27 件
31 件
48 件
6件
100.0%
0.9%
1.7%
23.5%
27.0%
41.7%
5.2%
129 件
12 件
24 件
38 件
21 件
31 件
3件
100.0%
9.3%
18.6%
29.5%
16.3%
24.0%
2.3%
56 件
-
1件
5件
20 件
27 件
3件
100.0%
-
1.8%
8.9%
35.7%
48.2%
5.4%
63 件
1件
2件
4件
18 件
35 件
3件
100.0%
1.6%
3.2%
6.3%
28.6%
55.6%
4.8%
67 件
1件
1件
4件
12 件
47 件
2件
100.0%
1.5%
1.5%
6.0%
17.9%
70.1%
3.0%
36 件
2件
1件
4件
15 件
13 件
1件
100.0%
5.6%
2.8%
11.1%
41.7%
36.1%
2.8%
6
(2)公金収納に関する課題と収納方法
【現状の課題】
現在、公金収納に関して課題として認識していることを聞いたところ、「収納率の向上」とする
回答が 86.9%であった。総務省の調査によると、地方税の不納欠損処理額は年間約 2,100 億円前後
(平成 12~17 年度)となっており、6年間の累計では1兆 2,874 億円に達している。そのため、
滞納整理本部などを設置して徴収を進めたり、滞納債権の回収に民間のサービサーを活用したりす
るなどの動きが見られる。このことからも、「収納率の向上」が自治体の重要な課題となっている
ことがうかがえる。
図表 6 公金収納に関する課題
0%
20%
40%
60%
100%
86.9%
収納率の向上
54.3%
納付方法の多様化
収納事務負担の軽減
46.9%
26.7%
督促コストの削減
18.8%
収納済みデータの還元期間の短縮
17%
収納データの安全で効率的な管理
その他
80%
1.5%
n=405
次に、
「収納方法の多様化」が課題であるとした回答は 54.3%であり、半数以上の自治体・部署
が課題として認識している。地方自治体が取り扱う地方税は年間 40 兆円を超え、使用料・手数料
が2兆円超、公営企業の料金収入が 10 兆円弱など総額で 50 兆円の規模となっている。特別徴収は
除くとしても、それでもかなりの規模の公金が直接納付されていることになる。そのための方法が、
金融機関や口座振替、自治体の窓口などに限られていたのでは、納付者の利便性の観点や期限内納
付率向上の観点から問題があると考えている自治体は多いと思われる。
さらに、現在採用している公金収納方法別(1)にみると、クレジットカード収納を行っている自治
体・部署において、収納方法の多様化が課題であると認識している割合が高くなっている(ただし、
サンプル数が 17 件と少ないため、傾向を読み取ることはできない。)
。収納方法の多様化を課題と
して認識した結果、クレジット収納を開始したものと考えられる。
また、コンビニエンスストア及びマルチペイメントによる収納を行っている自治体・部署は、
「収
(1)
現在採用している公金収納法については、次項で述べる。
7
納事務負担の軽減」を課題として認識している割合が高くなっている。これらの方式を採用するこ
とにより、データ管理面などにおいて事務負担が増加している可能性がある。
収納済みデータの還元期間の短縮が課題だと認識している割合は、現在採用している公金収納法
に関わらず 20%前後であり、収納方法がデータ還元期間に及ぼす影響は少ないものと推察される。
図表 7 現在採用している収納方法別にみた「収納方法の多様化」を課題と認識する部署等
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
54.1%
金融機関や自治体の窓口
n=401
口座振替
n=399
コンビニエンスストア
n=202
マルチペイメントネットワーク
n=32
クレジットカード
n=17
その他
n=16
54.6%
50.5%
46.9%
70.6%
43.8%
図表 8 現在採用している収納方法別にみた課題
合計
収納率
督促コス 収 納 事
納付方
収納済
収納デ
の向上
ト の 削
務負担
法の多
みデータ
ータの安
減
の軽減
様化
の還元
全で効
期間の
率的な
短縮
管理
その他
404 件
351 件
108 件
189 件
219 件
76 件
69 件
6件
100.0%
86.9%
26.7%
46.8%
54.2%
18.8%
17.1%
1.5%
401 件
349 件
108 件
188 件
217 件
76 件
69 件
6件
100.0%
87.0%
26.9%
46.9%
54.1%
19.0%
17.2%
1.5%
399 件
347 件
107 件
187 件
218 件
76 件
69 件
6件
100.0%
87.0%
26.8%
46.9%
54.6%
19.0%
17.3%
1.5%
コンビニエンスストアでの
202 件
170 件
70 件
108 件
102 件
43 件
41 件
6件
納付
100.0%
84.2%
34.7%
53.5%
50.5%
21.3%
20.3%
3.0%
32 件
24 件
10 件
17 件
15 件
5件
7件
1件
100.0%
75.0%
31.3%
53.1%
46.9%
15.6%
21.9%
3.1%
17 件
11 件
4件
11 件
12 件
2件
3件
1件
100.0%
64.7%
23.5%
64.7%
70.6%
11.8%
17.6%
5.9%
16 件
16 件
3件
8件
7件
3件
2件
-
100.0%
100.0%
18.8%
50.0%
43.8%
18.8%
12.5%
-
合計
金融機関や自治体の窓口
口座振替
マルチペイメントネットワー
クでの納付
クレジットカードでの納付
その他
8
(3)新しい公金収納方法の効果等
【採用している公金収納方法】
今回のアンケート調査では、公金収納方法の多様化について9割が必要性を感じている(後述)
など、自治体の関心の高さがうかがわれる。一方、実際に採用している公金収納方法としては、コ
ンビニエンスストア収納が 50%となっているものの、マルチペイメント収納は 8.1%、クレジット
カード収納は 4.2%と、現状では他自治体の動向を見極めている状況と考えられる。
図表 9 現在採用している公金収納方法
0%
20%
40%
60%
80%
100%
金融機関や自治体の窓口での納付
99.3%
口座振替
98.8%
コンビニエンスストアでの納付
マルチペイメントネットワークでの納付
50%
8.1%
クレジットカードでの納付
4.2%
その他
3.9%
n=408
9
【公金の種類別に見た公金収納方法】
公金種類別に現在採用している公金収納方法を見ると、コンビニ収納は介護保険を除く多くの公
金収納に採用されており、特に上下水道料金の収納において広く普及している。一方、マルチペイ
メント、クレジットカードはいずれの公金でも取り扱いが少なくなっている。
図表 10 公金の種類別に見た公金収納方法
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
50.4%
住民税
n=119
9.2%
5.0%
46.4%
固定資産税
n=97
9.3%
4.1%
57.2%
13.8%
自動車税・軽自動車税
n=145
6.9%
56.0%
17.4%
その他の地方税
8.3%
n=109
43.1%
7.8%
国民健康保険税(料)
n=116
1.7%
22.5%
介護保険料
n=129
3.9%
1.6%
85.7%
水道料金
n=56
1.8%
3.6%
83.9%
下水道使用料
3.2%
3.2%
59.4%
公金全般
18.8%
14.1%
48.6%
その他
5.7%
8.6%
コンビニエンスストアでの納付
マルチペイメントネットワークでの納付
10
クレジットカードでの納付
【新しい公金収納方法の取扱動向】
新しい公金収納方法を採用している自治体・部署に最近の取扱動向を聞いたところ、72%(200
件)が年々増加していると回答しており、新しい公金収納方法が住民に支持をされてきている姿が
浮かび上がる。
図表 11 新しい公金収納法の取扱動向
72%
5.5%
22%
0.5%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
年々、増加している。
横ばいである。
60%
70%
80%
90%
100%
年々、減少している。
制度を採用したばかりで分からない。
n=200
【外部委託の状況】
公金収納に係る業務のうち、「現在、外部へ委託している業務」と「現在は委託していないが、
将来的には外部へ委託する可能性のある業務」について聞いた。現状では、OCR処理や納付書の
印刷、手書き納付済み通知書のデータ化作業などを外部に委託している割合が高くなっている。
一方、将来的に外部委託をしていきたい業務としては、滞納者管理や催告の業務であり、現状で
外部委託を行っている割合が 27.0%であるのに対して、将来的には 54.3%の自治体・部署が外部
委託をしたいと考えている。なお、将来的に外部委託したい業務については、無回答が 377 件であ
り、現状では分からない(不明)というのが実態ではないかと考えられる。
11
図表 12 現状で外部委託をしている業務
0%
20%
40%
60%
80%
収納済み通知書のOCR処理業務(データ
化)
100%
80.5%
71.4%
納付書の印刷業務
手書き収納済み通知書のデータ化作業
63.2%
収納データの統計作業
37.3%
31.9%
日計表の作成作業
28.6%
納付書の採番・納付書の発行業務
滞納者の管理や滞納者に対する催告等
の業務
27%
13.5%
収納済み通知書の保管・管理業務
その他
3.8%
n=185
図表 13 将来的に外部委託する可能性のある業務
0%
20%
40%
滞納者の管理や滞納者に対する催告等の
業務
80%
100%
54.3%
納付書の印刷業務
25.7%
収納済み通知書の保管・管理業務
25.7%
収納済み通知書のOCR処理業務(データ
化)
22.9%
17.1%
収納データの統合作業
手書き収納済み通知書のデータ化作業
14.3%
11.4%
納付書の採番・納付書の発行業務
日計表の作成作業
その他
60%
8.6%
0%
n=35
12
【新しい公金収納を採用しての効果】
新しい公金収納方法を採用しての効果としては、36.2%が「収納率が向上した。」と回答してい
る。一方で、
「現在までのところ、特に効果はない。
」と消極的な評価も全体の 13.6%となっている。
その他としては、「市民の利便性の向上」や「納期内納付率の向上」など指摘された。
図表 14 新しい公金収納を採用しての効果
0%
20%
40%
60%
80%
100%
36.2%
収納率が向上した。
未納者に対する督促コストが削減され
た。
25.6%
13.6%
現在までのところ、特に効果はない。
11.1%
収納に係る事務コストが削減された。
39.2%
その他
n=199
【新しい公金収納方法の問題点】
新しい公金収納方法の問題点としては、全体の 90%が手数料負担の増加を指摘している。また、
約半数がシステムなどの投資負担をあげている。後で見るように、公金収納方法の多様化に消極的
な理由として投資負担の増加が挙げられている。このことから、システムなどの投資負担を軽減し
ていくことが今後の課題となっている。一方、クレジットカード収納の導入において問題となるポ
イントの取り扱いについては、これを問題点として認識している自治体・部署は 8.3%にとどまっ
ている。
図表 15 新しい公金収納方法の問題点
0%
20%
40%
60%
収納にかかる手数料負担が増加し
た。
48.5%
収納情報の管理・取りまとめなど事務
量が増加した。
25%
8.3%
4.4%
7.4%
その他
特に問題はない。
100%
90.7%
多様化のためのシステムなど投資負担
が大きい。
カード決済に伴うポイントの取り扱いが他
の収納法に比べて不公平である。
収納情報の受け渡しに伴う安全性が
低下した。
80%
3.4%
n=204
13
(4)今後、新たに採用することを検討している公金収納方法
今後、新たに採用することを検討している公金収納方法としては、コンビニエンスストア収納が
34.5%(140 件)と多く、次いでクレジットカードが 26.1%(105 件)
、マルチペイメントネットワ
ークが 20.1%(81 件)などとなっている。一方で、現在、採用を検討している新しい公金収納方
法はないとする回答も 38.6%(155 件)となっている。
採用を検討している公金収納方法の採用予定時期としては、平成 21 年1月~6月とする回答が
46.4%(45 件)と最も多く、次いで平成 22 年1月~6月が 32%(31 件)などとなっている。
図表 16 今後、新たに採用することを検討している公金収納方法
0%
10%
20%
30%
40%
現在、採用を検討している新しい公金
収納方法はない
50%
38.6%
34.8%
コンビニエンスストアでの納付
26.1%
クレジットカードでの納付
20.1%
マルチペイメントネットワークでの納付
2.5%
電子マネーでの納付
n=402
図表 17 新しい公金収納方法の採用の時期
46.4%
7.2%
32%
10.3%
2.1%
2.1%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
~平成21年(1月~6月)
平成22年(1月~6月)
平成23年(1月~6月)
60%
70%
80%
90%
100%
平成21年(7月~12月)
平成22年(7月~12月)
平成23年(7月~12月)~
n=97
14
(5)新しい公金収納方法に関する意識
公金収納方法の多様化を進めることに対する意識としては、
「必要性を強く感じる。」とする回答
が 18.4%(75 件)
、
「ある程度、必要性を感じる。
」が 70.3%(286 件)と、全体の9割が必要性を
認識している。一方、公金収納方法の多様化について必要性を感じていない(「特に必要性をかん
じない。」と「不要」の合計)とする自治体・部署は 10.3%(42 件)であった。
図表 18 公金収納方法の多様化に関する意識
18.4%
70.3%
9.6%
0.7% 1%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
必要性を強く感じる。
ある程度、必要性を感じる。
特に必要性を感じない。
不要である。
100%
わからない。
n=407
公金収納方法の多様化が必要だと考える理由としては、住民の利便性向上を指摘する回答が
89.5%(323 件)と多くなっているが、実際に住民からの要望が多いという回答も 24.9%(90 件)
となっている。
図表 19 公金収納方法の多様化が必要と考える理由
0%
20%
40%
住民の利便性が向上すると考えるため。
80%
100%
89.5%
利便性向上により収納率が向上するた
め。
30.7%
住民からの要望が多いため。
その他
60%
24.9%
3.6%
n=361
一方、公金収納方法の多様化が必要でないと考える理由としては、投資負担が大きいとする回答
が 75%(30 件)
、手数料問題など公平性に問題があるが 57.5%(23 件)
、収納率の向上には直接結
び付かないが 47.5%(19 件)などであった。多様化の必要性を感じていないとする回答が 42 件と
15
少ない中での分析であるが、投資負担については新しい公金収納方法を既に採用している自治体・
部署にとっても約半数が問題と感じている点である。また、公金収納方法の多様化に向けては、今
後、システム投資などのコスト削減が求められるものと考えられる。
図表 20 公金収納方法の多様化が必要ないと考える理由
0%
20%
40%
60%
収納方法の多様化に伴う投資負担が
大きいと考えるため。
80%
100%
75%
手数料問題など公平性に問題があると
考えるため。
57.5%
収納方法の多様化は収納率の向上に
直接的には結びつかないと考えるた
め。
47.5%
37.5%
収納事務の負担が増加するため。
住民からの要望がないため。
20%
個人情報や納付情報などの情報管理
に不安があるため。
15%
地域性などから収納方法の多様化で
は住民の利便性は向上しないと考える
ため。
12.5%
その他
20%
n=40
16
(6)公金収納方法の多様化に関する意見等
自由意見欄には、収納方法の多様化を認識しつつも投資負担やその後の維持費用負担を懸念する
意見が寄せられた。主な意見は下記の通り。
図表 21 公金収納方法の多様化に関する意見
○ 公金収納方法の多様化は住民の利便性の向上から必要と感じるが、初期開発費用と維
持費用、住民の利便性の向上と事務負担の軽減の費用対効果の検討が必要。
○ 公金収納方法の多様化を進めることの必要性は感じているが、システム改修や収納に
かかる手数料負担が大きく、また、多様化が収納率向上に必ずしも結びついてはいな
いということも聞いています。このようなことから、財政状況の厳しい自治体では、
実施が難しいというのが現状です。
○ 収納方法の多様化は必要ですが、導入に必要な経費や収納手数料に見合う収納率向上
につながらず、未納金回収までの期間が長くなることによる対応の遅れによるコスト
増加も懸念される。
○ 収納方法の多様化については利用者の利便性の向上につながるが、収納コストの増大
を伴うため、積極的な推進は考えていないが、周辺自治体の動向を考慮しながら利用
者の理解を得られるよう努めたい。
○ 本市においても、金融機関の再編統廃合が行なわれた結果、地域の収納窓口は大幅に
減少することとなった。そのため、公金収納窓口の確保は必須であり、その役割を郵
便局とコンビニ収納で対応するよう準備している。
17
4.まとめ
【アンケートの実施概要及び回答者の属性】
本アンケート調査は、47 都道府県、東京 23 区、人口 20 万人以上の市の5部署(会計管理担当、
地方税徴収担当、国民健康保険料(税)徴収担当、介護保険料徴収担当、水道料金徴収担当)に対
して、
平成 21 年2月 19 日~平成 21 年3月6日の期間に実施した。
回収数は 412 件、回収率は 55.3%
であった。
回答のあった自治体では中核市が多く、次いで特例市が多くなっている。担当する公金の種類と
しては、自動車税・軽自動車税を担当する部署(35.5%)からの回答が最も多く、次いで介護保険
(31.6%)、住民税(29.2%)、国民健康保険税(料)(28.5%)などとなっている。また、公金収
納事務取扱件数としては、全体の 35.2%が 100 万件~500 万件としており、次いで 50 万件~100 万
件(29.1%)となっている。
【公金収納方法の多様化に関する現状と意識】
現在の公金収納では「収納率の向上」が課題として強く認識されており、収納方法の多様化を検
討する際にも、“収納率は向上するか”が一つの重要なポイントになるものと考えられる。このよ
うな中で、新しい公金収納方法を採用しての効果として、
「収納率が向上した。
」とする自治体・部
署は全体の 36.2%であった。また、今後、外部に委託していきたい業務としては「滞納者管理や催
告の業務」を指摘する回答が多く、収納方法の多様化に加え、民間のノウハウを活用した回収業務
を外部委託していく自治体も増えてくるものと考えられる。
「収納方法の多様化」については、54.3%の自治体・部署が課題であると考えている。また、9
割の自治体・部署が多様化の必要性を感じている。しかし、実際に採用されている割合は低く(コ
ンビニエンスストア収納が 50%となっているものの、マルチペイメント収納は 8.1%、クレジット
カード収納は 4.2%にとどまっている。)
、現状は、他の自治体の動向を見極めている状況にあると
いえる。
今後については、2~3割の自治体・部署で新しい公金収納方法の採用を検討するとしており、
採用の時期としては平成 21 年から 22 年にかけてが多くなっている。また、既に新しい公金収納方
法を採用している自治体・部署の7割は、当該方法による取り扱いが「年々、増加している。」と
しており、今後、さらに新しい収納方法が普及していくものと考えられる。
収納方法の多様化が抱える問題点としては、手数料負担の増加やシステム投資負担の増加などを
指摘する意見が多い。公金収納法の多様化の必要性を感じないとする理由としても、投資負担や手
数料の問題を指摘する意見が多く、導入及び運営のコストが多様化に向けての障壁の一つとなって
いる。
収納方法の多様化によって住民の利便性が向上することは確かであるが、そのためのコスト負担
が許容される範囲であるのか、そしてさらに多様化が収納率の向上に結びつくことが、収納方法の
多様化を推進するか否かの重要な判断要素になっている。
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