第6学年体育科学習指導案 指導者 沖吉 義徳 1.単元名 バスケットボール 2.単元について (1)単元(バスケットボール)の特性 チームが協力し合ってボールを送り合い、ゴールを攻めたり、守ったりして得点を競い合うことが 楽しい運動である。 ・個人差のある運動であるが、 「チームの協力によって、上手でない子もボールの扱いに慣れたり、 チームの一員として活動できたりして楽しむことができる。 ・勝つか負けるかわからないときに、チーム内で協力し合って得点できたとき、あるいは、力いっ ぱいやってやっと相手チームに勝ったとき、一層楽しさを増すことができる。 ・チーム内で協力して練習したり、相手チームに対しての作戦を練ったりすることが可能になり、 それらがゲームに生かされたとき、一層楽しさを増すことができる。 ・自分たちの技能のレベルに合わせたルールや学習の進め方を工夫することによって、誰もが楽し さを味わうことができる。 (2)児童の実態について(男子9名,女子12名 計21名) 本学級の児童は、自分自身の興味があることに関しては積極的に活動するが、そうでないことに関 しては消極的になってしまう傾向にある。男子は休み時間になるとほとんどの児童が外でタッチフッ トボールをして遊んでいる。しかし、声を掛けないと外遊びをしない児童もいる。女子は積極的に外 遊びをする児童がほとんどいない。 <アンケート・体育の授業から> ① 体育の授業が「好き」、 「どちらかというと好き」と答えた児童が21人中16人であった。この 結果から、多くの児童が運動が好きであり、体を動かすことに楽しさを感じていることがわかる。 「どちらかというときらい」という児童が5名いたが、「きらい」と答えた児童はいなかった。こ の5名の児童には、運動する楽しさを感じさせることにより、体育好きにさせることができると考 える。 ② 「ボール運動は好きですか?」という質問でも①の質問事項とまったく同じ結果が得られた。 「一 番好きなボール運動は?」という質問で最も多かった回答はソフトバレーであった。「バスケット ボールは好きですか?」という質問には、17名が「どちらかというときらい」、 「きらい」と答え た。その理由の中には「パスがまわってこない」、 「トラブルになることがある」といった回答が多 くあった。ソフトバレーとバスケットボールの共通点(チームワークの重要性)を結びつけて指導 していきたい。 ③ 技能面では、ミニバスケットボールクラブに所属している3名以外はほとんど経験がなく、5年次 に数時間体験しただけの児童がほとんどであるため、基礎・基本が身についていない児童が多い。 (3)指導観 <実態調査の結果より> 本単元では最も意識したいことは、学習終了後にバスケットボールが好きになっていることである。 ゲームにおいて、勝つか負けるかわからないとき、子どもたちの目は輝いている。たとえ、敗北があ ったとしても、子どもたちは自分たちの創意工夫によって、それを乗り越え、さらに高まった楽しみ を得ようとするようにしたい。8 の字ドリブルやゴールを低くしてのシュート練習などの練習方法の 工夫や、全員にシュートチャンスが訪れるようなルールの工夫により、シュートが入った時の喜び、 パスがまわる喜びを体感させる。また、チーム内で協力して、準備運動・練習・作戦と共に考え、活 動していく中でチームワークをより良くし、良好な人間関係を築いていきながら本来のバスケットボ ールの特性がわかり、バスケットボール好きの児童が増えてくるのではないかと考える。 ①予備的な運動の充実 バスケットボールは、攻撃者と防御者が交錯し、常に状況が変化する。その中で急激なスタートと ストップの繰り返しにより、特に下肢の各関節への負担が大きい。その為に必要な準備運動、ストレ ッチをチーム内で考えさせ、チームごとに準備運動をする。さらに、ラダートレーニングを取り入れ ターンの動き(横―前後・ストップ・方向転換)の中で足がもつれ、ふらつかないようにし、ディフ ェンスではついていけるように、オフェンスでは相手を抜けるように予備的な運動を充実させる。 ②運動量の確保 持久力、持続した集中力を持続するために、予備運動後に一人一個ボールを使用してチームでそれ ぞれの課題解決のための練習をする。ゲームを行う際には、どのチームも 10 分間ゲームを行うよう に組み合わせ最低限の運動量を確保する。また、運動の質の向上を意識させ、短い時間の中で充実感 を体感させる。 ③ルールの工夫 実態からもわかるように、バスケットボールの能力が高い子は少ない。そこで、得点が入る喜びを 多くの子に体験させるため、また、全員が数多くボールにふれるために、初期の段階ではボードに当 たったら1点、ゴールに入ったら2点、全員が得点を決めたらボーナス3点など、多く得点が入るよ うにするが、最終的には本来のルールに戻す。 ④よりよい人間関係作り 21人を4チームに分ける。毎時、チームとしての「めあて」を考えさせる。準備運動や練習、作 戦を考える話し合い活動、ゲーム中に声を掛け合うことなどをしながら、チームとしての技術の向上 を感じさせていくことにより、協力することの良さや友達の良さに気づかせていく。 ⑤場の工夫 ドリブルやシュートの技術の向上のためにさまざまな場をつくっていく。コーンを置いてジグザグ ドリブルの練習や通常よりも低い位置にゴールを設定しボードを使ってシュートが入りやすい角度 を学ぶ場などを設定し、個の基礎基本の定着を図る。 ⑥課題解決の意識 毎時間チームのめあて・個人のめあてを考えさせてから練習、ゲームにのぞむようにし、自分自身 が何をしなければならないか意識させる。また、本時の展開の中でも常に課題を意識するように 3 度 作戦タイムを設け、課題解決のために必要な事柄を考えさせていく。 3.単元の目標 (1) チームにおける自己の役割を自覚して、その責任を果たし、互いに協力して練習やゲームが できるようにし、勝敗に対して公正な態度がとれるようにする。 (関心・意欲・態度) (2) チームの課題や自己の能力に応じてバスケットボールの技能を高め、作戦を生かした攻防を 展開してゲームができるようにする。(技能) (3) チームの課題や自己の能力に応じた課題の解決を目指して、計画的な練習の仕方やゲームの 仕方を工夫することができるようにする。(思考) 4、全体指導計画 (全体 9 時間 時間 1 2 本時5/9) 学習活動 評価の観点 (1)バスケットボールの特性や学習の仕方を理 ・バスケットボールの特性に興味を持ち、楽しさや 解する。 (2)自分やグループの課題を決める。 ・自己の課題を見付けている。 (3)ワークシートの活用の仕方を理解する。 ・ワークシートの活用方法を理解している。 (1)自分の技能の課題を見つけてパス、キャッ ・課題を見つけて練習しようとする。 チ、ドリブルをする。 (2)お互いに見せ合ったり、協力して教えあっ たりする。 (3)ボールをコントロールする。 3 ・技能のポイントを理解している。 ・お互いに協力し合いながら練習しようとする。 ・パス、キャッチ、ドリブル、フェイントでボール をコントロールする。 (1)ボールをねらってコントロールする。 ・場面に応じたシュートができる。 (2)シュートをする。 ・守備の動きをすることができる。 (3)守備の動きをする。 ・ミニゲームの中でパス、キャッチ、ドリブル、シュ (4)3 人対 3 人でミニゲームをする。 (1)集団的技能を高める練習法を理解する。 (2)組織的な攻守に必要な練習法を見つけたり 4 喜びを味わおうとする。 作戦を立てたりする。 (3)3 人対 3 人でミニゲームをする。 ートをすることができる。 ・集団的技能を高める練習法について、話し合った り、書き出したりする。 ・技能の段階に応じて、練習法を見つけたり、作戦 を立てたりする。 ・ミニゲームの中でパス、キャッチ、ドリブル、シュ ートの精度を上げている。 (1)ゲームを行い、自分たちの課題をみつける。 ・パスを受ける動き、フリーになる動き、ゴールチ 5 (本時) (2)ゲームで攻撃・守備フォーメーションの動 きをする。 (3)公正な態度でゲームに取り組む。 6 (1)ゲームの中で攻撃、守備、フォーメーショ ンの動きをする。 7 8 ・ルールや規則を守り、公正な態度で取り組もうと している。 ・マンツーマンディフェンス、ゾーンディフェンス の動きができる。 (2)チームとしての課題を解決する。 (1)リーグ戦に向け、チームを仕上げる。 (2)集団的技能について理解している。 (1)リーグ戦を行う 9 ャンスを生み出す動きができる。 (2)学習を振り返る ・バスケットボールに必要な集団的技能について、 言ったり、書き出したりする。 ・学習してきたことを生かし、作戦を意識しながら ゲームを楽しんでいる。 ・技能が向上し、バスケットボールが楽しめた。 5、本時の指導 ① 本時の目標 ・ チームメイトと協力し、声を掛け合いながらバスケットボールを楽しむことができる。 (関心・意欲・態度) ・ 公正な態度でゲームに取り組むことができる。(関心・意欲・態度) ・ 自分たちの課題を見つけ解決策を考えることができる。(思考) ・ 自分たちの作戦の中で、ボールをカットされたり相手ボールになったりせずに得点をすることがで きる。(技能) ② 展開 学習過程 学習内容と活動 支援(○)と評価(※) 資料等 (時配・形態) 1.整列・挨拶 ○健康状態を把握し、見学者の確認をする。 (1分・一斉) 2.準備運動をする ・チーム毎に分かれ、体操係を中 ○ケガの防止をするため、主運動に使う部分を中 (2分・グループ) 心に自分達で考えた準備運動 心に運動をするよう助言する。 をする。 3.サーキットトレーニングを ・チーム毎にサーキットトレーニングをする。 ○授業前に場の設定を済ませておき、すぐにトレーニン ・ラダー する ①ラダートレーニング グに入るようにしておく。 ・コーン (12分・グループ) 基 ○ ☆ラテラル・シャッフル ○自分自身の課題にそって練習するよう助言す ・ゴール(低) ☆イン・アウト・イン る。 ・ストップウォッチ 活動図① 高 ○ ☆バック・イン・アウト・ ○トレーニングが難しい児童にはチーム内で教え合いなが アウト・イン ☆スラローム・ジャンプ ら学習をすすめるようにする。 ○ドリブルは、8の字・ジグザグと練習できるよう ②ドリブル練習 コーンを置いておく。 基 8の字、ジグザグのコーンをス ○ ○シュート練習は、通常の高さのゴール、やや低めのゴー ムーズにドリブルしていく。 ルの2種類を設定し、通常の高さが難しい児童には 高 ボールを見ずにドリブルする。 ○ 低い方で自信をつけさせる。 ③パス練習 ○パス練習のタイム計測は教師が行う。 基 対面パス 30 秒間で 40 回。 ○ 高 30 秒間で 50 回。 ○ ○前時より伸びた児童はほめ、次のステップへのアド 距離を伸ばし、ワンバンドパス ※それぞれの種目の基本のレベルまで到達できた も練習する。 か。(観察) バイスをする。 ④シュート練習 ※チームメイトに教えたり、教え合ったりしながら練習 基 ドリブルシュートの流れで 3 ヶ所 ○ に取り組めたか。(観察) のゴールに 2 回ずつゴールする。 ※自分の思い通りにパス・ドリブル・シュートができるか。 高 シュートしたボールを床に落とさ ○ ずに練習する。 (リバウンド練習) (観察) 4.学習内容の確認 ①チームとしてのめあてを確認。 ○チームのめあてを意識して、そのために個人と をする ②個人としてのめあてを確認。 してどんなめあてを持つべきか助言する。 (2分・ ・チーム 1 人ずつ発表する。 ※自分自身に適しためあてを設定できたか。 グループ、一斉) 5.練習試合をする ・学習カード (学習カード) ・ルールの確認をする。 ○すべての児童にボールが回り、シュートが打てるよう、 ・ホイッスル (24分・グループ) ・練習試合をする。 A-B 活動図② C-D ボードに当たったら1点、ゴールに入ったら2点、全 ・ストップウォッチ 員が得点したら3点というルールを用いる。 ・得点板 ・ビブス ゲーム1 5分 作戦タイム ○開始・終了の礼をしっかりさせ、スポーツのマナーも 作戦タイム 5分 ゲーム1 考えさせる。 ゲーム2 3分 作戦タイム ゲーム2 作戦タイム 練習 1分 3分 ○声を掛け合い、全員で協力して試合を行うよう 作戦タイム 練習 助言する。 ○フリーでパスをもらい、ドリブル、シュートまでいけるフォー 3分 ゲーム2 メーションを意識するようヒントを与える。 1分 作戦タイム ○3回ある作戦タイムで、その都度自分たちの課題を 3分 ゲーム2 意識させ、次のゲームに生かすよう助言する。 ※機能的なフォーメーションの中で、相手にカットされずにパ ス、ドリブル、シュートができたか。(観察) ※チームメイトと声を掛け合いながらバスケットボールを楽し めたか。(学習カード) 6.本時のまとめ、 ①チームとして話し合いの中で本 ○チームとして本時の活動を振り返る中で新たに生 次時のめあてを決 時のまとめ、次時のめあてを決 じた課題を見つけさせ、解決のためのアドバイスを与 定する める。 える。 (4分・ ②個人で本時のまとめ、次時の ○チームの課題解決のために個人として何が必要か 個→グループ) めあてを決める。 考えさせ次時のめあてを持たせる。 ※協力して自分達の課題を見つけ、解決策を考え ることができたか。 (観察、学習カード) 活動図① 作戦タイム 作戦タイム シュート パス ラダー ステージ ドリブル 活動図② ゲーム ・学習カード
© Copyright 2024 Paperzz