2. 近代運動からのイタリアの「後退」

MODERN ARCHITECTURAL THEORY- 14. CHALLENGES TO MODERNISM IN EUROPE 1959-1967
2. The Italian "Retrat" from the Modern Movement
レジュメ
20130510
担当:松井
健太
2. 近代運動からのイタリアの「後退」
『カサベラ・コンティニュイタ』(Casabella Continuità)
・編集長エルネスト・ロジェルス
・1950 年代の大陸における重要な建築雑誌
・近代建築家+イタリアの若手建築家の紹介
巻頭記事:理論的な事柄
ex1)1955 年 209 号巻頭記事「建築の倫理的な事柄についての討論」
ジュリオ・カルロ・アルガンとロジェルスの往復書簡(コルビジェのロンシャンを巡って)
ex2)1955 年 210 号巻頭記事「建築の歴史的価値と人間的スケールについての議論」
ジャンカルロ・デ・カルロとロジェルスの往復書簡
⇒近代建築へのロジェルスの関心に対する他の建築史家・建築家達からの批判
「自発的なイタリアの伝統に内在する再発見の経験」
<連続性(コンティニュイタ)>
・ロジェルスがこの雑誌に持ちこんだテーマ
*『カサベラ』を引き継いだ際に、タイトルの語尾に「コンティニュイタ」を付ける
・環境的、文化的、歴史的な文脈への配慮:建築は歴史的発展の一部
←→「ア・プリオリな≪近代様式≫」「過去の様式の禁制」
・「近代的(modern)であるということ」
=現在を歴史全体の秩序の中に位置づけること
=自分の行為は、利己的な表現ではなく、先在する形態とのコラボレーション
←→近代運動の巨匠=形式主義者(formalist):設計において「文脈」を無視
*ロジェルスでは、form と content がセットであり、後者の無視を formalism と呼んで非難する
戦後イタリア建築の潮流:ネオ・レアリズモ
ネオ・リベルティ
『カサベラ・コンティニュイタ』1957 年 215 号:転換点
・当時のアール・ヌーボー研究についてのアルド・ロッシの論文
・マリオ・リドルフィの二つの集合住宅の紹介
=歴史主義的な引用や職人芸とコンクリート構造の統合
・ロベルト・ガべッティとアイマロ・ディソラによるボッテガ・デラスモ
=煉瓦+錬鉄、「リベルティ」期の参照(ベルラーヘ、ペレ)
*雑誌上では、ボッテガ・デラスモの記事の前後にペレのル・アーブル再建とアムステルダム派の記事が掲
載しているだけで、ボッテガ・デラスモを直接にペレやベルラーヘと結びつけて論じている個所はない。
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MODERN ARCHITECTURAL THEORY- 14. CHALLENGES TO MODERNISM IN EUROPE 1959-1967
2. The Italian "Retrat" from the Modern Movement
レジュメ
『カサベラ・コンティニュイタ』1955 年 207 号ロンシャンの教会特集
『カサベラ・コンティニュイタ』1957 年 215 号
①マリオ・リドルフィの二つの集合住宅
エチオピア通りの
集合住宅
マルコ・ポーロ通りの
集合住宅
②ロベルト・ガべッティとアイマロ・ディソラによるボッテガ・デラスモ
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20130510
担当:松井
健太
MODERN ARCHITECTURAL THEORY- 14. CHALLENGES TO MODERNISM IN EUROPE 1959-1967
2. The Italian "Retrat" from the Modern Movement
レジュメ
20130510
担当:松井
パオロ・ポルトゲージ「ネオ・レアリズモからネオ・リベルティへ」
イタリア建築の二つの動き
①ネオ・レアリズモ ex)マリオ・リドルフィ
・戦争によって生み出されたホームレス感覚に由来→庶民主義的なモチーフ
②ネオ・リベルティ
・初期イタリア・モダニズム(アール・ヌーボーと合理主義の中間期)の探求
・モダニズムのボキャブラリーの改良
・イタリア・モダニズムをイタリアの歴史的伝統の中に位置づける
・地域的な表現性+素材の豊かさ、しかしときに恣意的、慣習的なピクチャレスクなものとなる
ロジェルス vs バンハム、スミッソン
・バンハム:ぺヴスナーのもとで、未来派を中心としたイタリア建築を研究
バンハムによる『アーキテクチャー・レビュー』上でのイタリア批評
ex1)1952 年 112 号「イタリア折衷派」、1953 年 113 号「カーサ・デル・ジラソーレ」
レグホーンのパラッツォ・グランデ(ルイージ・ヴァグネッティ作)と、
カーサ・デル・ジラソーレ(ルイージ・モレッティ作)の批評
⇒近代運動内部における新しい折衷主義への懸念
ex2)1959 年 125 号「ネオ・リベルティ:近代建築からのイタリアの後退」
20 世紀前半のイタリアの理論の文脈においてネオ・リベルティを検討
⇒イタリア未来派を唯一のイデオロギーとし、リベルティ運動を近代建築からの後退として非難
ロジェルスによる『カサベラ・コンティニュイタ』上での応答
1959 年 228 号「建築の進化:冷蔵庫の門番への応答」
・イタリア建築運動についてのバンハムの無理解の非難
・イタリアにおいても近代建築運動は死せるものではない
→近代建築運動を、「変化する生活の内容に即すという原則」の連続的な発展として理解
⇒(ロジェルスの考える)ロジェルスとバンハムの違い
産業化以前/以降の世界のあいだに「連続性」を見るか、「深淵」を見るか
ロジェルス:歴史的連続性←→バンハム:発展の抽象的な流れに即した形態決定
トーレ・ベラスカをめぐるロジェルスとスミッソン夫妻の論争
・オテロ会議においてスミッソン夫妻がロジェルス(BBPR)のトーレ・ベラスカを非難
→ロジェルスは「美術館としての都市」というメタファーを用いて反論
cf)ジョン・ウッドブリッジによるサンフランシスコのベイ・リジョン・スタイルの記事
⇒この論争は、CIAM 内の世代間の亀裂が文化的な分裂へと広がっていく過程で自然消滅
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健太
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20130510
バンハムによる『アーキテクチュラル・レビュー』上でのイタリア建築批評
①1952 年 112 号:レグホーンのパラッツォ・グランデ(ルイージ・ヴァグネッティ作)
②1953 年 113 号:カーサ・デル・ジラソーレ(ルイージ・モレッティ作)の批評
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レジュメ
③ネオ・リベルティ(1959 年 228 号)
ロジェルスとスミッソンの論争(『カサベラ・コンティニュイタ』1959 年 232 号)
①トーレ・ベラスカ(BBPR)
②ベイ・リジョン・スタイル(サンフランシスコ)
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