ピグー税とボーモル・オーツ税 市場経済において需要と供給のそれぞれの立場から考えると、生産者余剰と 消費者余剰を合わせた社会的余剰が大きくなることは望ましい。その一方で、 排気ガスや排水など、市場の対象とならないもの、つまり外部性による経済へ のマイナス効果は、解決すべき大きな課題となる。 そこで、いわゆる外部不経済の内部化による解決が考えられた。その代表例 が環境税である。環境税としてよく知られているピグー税とボーモル・オーツ 税について考える。ピグー税は外部不経済の解決のための費用を税金として市 場価格に上乗せする方法です。 下の図に示される通り、生産者が考える供給曲線に対して、外部不経済の解 消のための費用をそれぞれの供給量に対応して税金として上乗せすることによ り、費用を回収するものです。 価格 需要曲線 供給曲線 ピグー税 需要量 供給量 これに対して、総排出量を規制し、その処理コストから単位当たりの費用を 推定し、その費用を単位当たりの排出に対する税金として徴収しようと考える のがボーモル・オーツ税です。単位排出量当たりの税額をどのくらいにしたら よいのかは各社の限界所得が分かれば、決定できることになります。 金額 A 社の限界所得 単位排出量当 たりの税額 B 社の限界所得 このボーモル・オーツ税は、ちょっと発想を変えると排出量取引の考え方に つながります。つまり、市場において単位排出量を供給できる供給者が存在す れば、その販売に関して市場では 単位排出量当たりの税額 各社の限界所得 単位排出量当たりの価格 会社の限界削減費用 によって、売買が成立することが理解できます。これが排出量取引の考え方で す。ここでは排出量を共有する側の条件を明確にする必要があります。 この議論で重要な概念は限界所得であるとか、限界削減費用です。所得や削 減費用に対する限界所得、限界削減費用という概念を明確にしておくことがシ ステムとして分析する際に重要なのです。
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