奉納和歌に見る言語遊戯 堺 田 通 節 の 言 語 遊 戯 べ き 法 ﹁ 禁 中 並 公 家 諸 法 度 ﹂ の 第 一 条 に 、 ﹁ 天 子 御 芸 能 の 事 、 第 一 一 玉 津 島 社 奉 納 将 軍 徳 川 家 康 や 将 軍 徳 川 秀 忠 ら が 制 定 公 布 し た 、 天 皇 と 公 家 の 守 る れ 等 は 次 の ご と く で あ る 。 催 さ れ た 。 こ れ ら 御 伝 授 事 の 背 景 に は 、 元 和 元 年 ︵ 一 六 一 五 ︶ に 前 ︿ 木 綿 襷 ﹀ と 称 さ れ た 言 語 遊 戯 な ど を 駆 使 し た も の が 含 ま れ る 。 そ そ し て 、 こ れ 等 の 奉 納 和 歌 の 中 に は 、 ︿ 折 句 ﹀ ︿ か ぶ り 歌 ︵ 冠 歌 ︶ ﹀ 抄 伝 授 ・ 伊 勢 物 語 伝 授 ・ 源 氏 物 語 伝 授 な ど 、 様 々 な 御 伝 授 が 盛 ん に 江 戸 時 代 の 禁 裏 御 所 で は 、 古 今 伝 授 を は じ め 天 爾 遠 波 伝 授 ・ 三 部 七 十 五 点 を 数 え る 。 明 石 柿 本 神 社 ︵ 月 照︵ 寺注 " ︶︶ 三 十 七 点 、 高 津 柿 本 神 社 九 十 点 で 、 計 百 一 、 近 世 奉 納 和 歌 の 概 略 ︵ 文 書 類 を 含 む ︶ は そ れ ぞ れ 、 玉 津 島 神 社 十 八 点 、 住 吉 大 社 三 十 点 、 作 品 に つ い て 私 見 を 述 べ て み た い 。 山 学 院 大 学 名 誉 教 授 ︶ の 調 査 に よ れ ば 、 四 神 社 所 蔵 の 和 歌 関 係 資 料 本 稿 で は 、 彼 等 の 言 葉 遊 び を 駆 使 し た 奉 納 和 歌 を 紹 介 し 、 各 々 の 奉 納 さ れ た 。 筆 者 た ち ﹁ 奉 納 和 歌 研 究 会 ﹂ ︵ 代 表 鶴 裕 雄 帝 桑 門 慈 延 ・ 越 智 盛 之 ・ 冷 泉 為 村 ら の 言 語 遊 戯 歌 人 や 地 下 歌 人 か ら 多 数 の 和 歌 短 冊 ・ 懐 紙 、 お よ び 和 歌 関 係 文 書 が 高 津 柿 本 社 奉 納 は 、 該 四 社 が 各 々 和 歌 三︵ 神注 ! と︶ し て 敬 わ れ て い た こ と も あ り 、 堂 上 横 谷 恒 幸 ︶ ・ 桑 門 三 余 ・ 藤 原 良 徳 ・ 冷 泉 為 村 ら の 言 語 遊 戯 明 石 柿 本 社 ︵ 現 兵 庫 県 明 石 市 ︶ ・ 高 津 柿 本 社 ︵ 現 島 根 県 益 田 市 ︶ へ 岸 部 延 ・ 秦 正 珍 ・ 川 井 立 斎 他 四 人 ︵ 杉 本 遂 川 名 部 光 慶 近 世 期 に お い て 、 玉 津 島 社 ︵ 現 和 歌 山 市 ︶ ・ 住 吉 社 ︵ 現 大 阪 市 ︶ ・ 明 石 柿 本 社 奉 納 は じ め 奉 納 和 歌 に 見 る 言 語 遊 戯 に 住 吉 冷 社 泉 奉 為 納 村 の 言 語 遊 戯 神 道 宗 紀 奉納和歌に見る言語遊戯 で あ る 。 か! ら 衣 / き! つ つ な れ に し / つ! ま し あ れ ば / は! る ば る き ぬ る / た! ・ 堂 上 方 へ と 継 承 さ れ て 、 い わ ゆ る ︿ 御 所 伝 授 ﹀ と し て 確 立 す る の 親 王 な ど を 経 て 、 後 水 尾 天 皇 へ と 相 伝 さ れ る 。 さ ら に は 、 歴 代 天 皇 後 に 断 絶 す る が 、 二 条 宗 祇 流 は 三 条 西 実 隆 、 細 川 幽 斎 、 八 条 宮 智 仁 語 ﹂ ︵ 第 九 段 │ 東 下 り │ ︶ に 見 る 和 歌 、 学 校 の 古 文 の 教 科 書 な ど に よ く 引 か れ る 部 分 だ が 、 例 え ば ﹁ 伊 勢 物 和 歌 の 表 現 手 法 の 一 つ に 、 先 述 し た 折 句 が あ る ︵ 一 頁 上 ︶ 。 高 等 ・ 切 紙 ・ 抄 物 に よ る 伝 授 形 式 が 定 ま っ て か ら を 言 う 。 二 条 堯 恵 流 は 般 的 に は 、 室 町 時 代 後 期 に 二 条 宗 祇 流 と 二 条 堯 恵 流 が 成 立 し 、 口 伝 二 、 折 句 ・ 冠 歌 ・ 沓 冠 歌 の 技 法 末 頃 か ら 、 各 歌 道 の 家 々 で 独 自 の も の が 伝 え ら れ て い た 。 し か し 一 の 歌 の 解 釈 は 、 同 歌 集 が 和 歌 の 規 範 で あ っ た こ と も あ り 、 平 安 時 代 師 か ら 弟 子 へ 、 秘 伝 と し て 伝 え 授 け る こ と を 言 う 。 ﹁ 古 今 和 歌 集 ﹂ と こ ろ で 、 古 今 伝 授 は ﹁ 古 今 和 歌 集 ﹂ の 難 解 な 歌 や 語 句 の 解 釈 を 桜 町 天 皇 へ の 御 伝 授 ︶ か ら で あ る 。 降 、 す な わ ち 延 享 元 年 ︵ 一 七 四 四 ︶ 五 月 の 古 今 伝 授 ︵ 烏 丸 光 栄 よ り と 高 津 の 両 柿 本 社 に 奉 納 さ れ る よ う に な る の も 、 人 麻 呂 千 年 忌 以 納 和 歌 が 数 を 増 す よ う に な る 。 ま た 、 古 今 伝 授 後 御 法 楽 和 歌 が 明 石 祷 の 記 録 が 頻 出 す る 。 本 人 麻 呂 千 年︵ 忌注 " を︶ 機 に 、 そ れ 以 降 、 殊 に 地 下 歌 人 か ら の 柿 本 社 奉 授 の 折 の 御 祈 祷 、 天 爾 遠 波 伝 授 ・ 三 部 抄 伝 授 ・ 歌 道 繁 栄 な ど の 御 祈 な お 、 霊 元 法 皇 の 御 意 向 で 、 享 保 八 年 ︵ 一 七 二 三 ︶ に 催 さ れ た 柿 も 窺 う こ と が で き る 。 そ こ に は 、 禁 裏 御 所 か ら 命 ぜ ら れ た 、 古 今 伝 明 石 柿 本 社 別 当 月 照 寺 に 残 る 、 ﹁ 御 祈 祷 記 録 写 ﹂ や ﹁ 書 状 綴 ﹂ か ら そ の 一 端 は 、 当 時 、 禁 裏 御 所 か ら 永 代 勅 願 所 の 勅 命 を 賜 っ て い た 枚 の 兼 題 和 歌 短 冊 一 式 が 各 々 奉 納 さ れ て い る 。 住 吉 社 、 明 石 柿 本 社 、 高 津 柿 本 社 に は 、 歌 題 と 詠 者 が 異 な っ た 五 十 和 歌 三 神 四 社 に 奉 納 す る の が 習 わ し で あ っ た 。 玉 津 島 社 を は じ め 、 達 を 願 い 研 鑽 し て い た の で あ る 。 が 堂 上 方 と と も に 、 い わ ゆ る ︿ 古 今 伝 授 後 御 法 楽 五 十 首 和 歌 ﹀ を て 和 歌 を 詠 ん で い た よ う に 、 江 戸 時 代 の 天 皇 や 堂 上 方 も 、 真 剣 に 上 さ て 、 禁 裏 御 所 で 古 今 伝 授 が 行 わ れ た 時 に は 、 伝 授 を 受 け た 天 皇 一 日 の 恒 例 の 行︵ 事注 ! と︶ し て 、 柿 本 人 麻 呂 の 肖 像 画 の 前 で 上 達 を 期 し で 行 わ れ た 訳 で は な い 。 例 え ば 、 室 町 後 期 の 歌 人 三 条 西 実 隆 が 正 月 し か し 、 こ れ 等 の 御 伝 授 事 や 和 歌 会 は 、 右 の よ う な 理 由 か ら だ け お い て は 重 要 な 御 伝 授 事 と な っ て い た 。 伝 え る も の で あ る 。 と も に 古 今 伝 授 と 並 ん で 江 戸 時 代 の 禁 裏 御 所 に 之 体 大 略 ﹂ ﹁ 百 人 一 首 ﹂ ﹁ 未 来 記 ・ 雨 中 吟 ﹂ の 読 み 癖 や 注 釈 の 秘 伝 を 一 と す べ き こ と が こ の 時 代 の 流 れ と な っ た の で あ る 。 を 言 い 、 三 部 抄 伝 授 は 、 藤 原 定 家 の 著 作 と さ れ る ﹁ 詠 歌 大 概 ・ 秀 歌 御 学 問 也 ﹂ と 謳 っ た こ と が あ る 。 つ ま り 、 天 皇 は 和 歌 等 の 学 問 を 第 天 爾 遠 波 伝 授 は 、 和 歌 に お け る 仮 名 遣 の 伝 授 ︵ 定 家 仮 名 遣 な ど ︶ 二 奉納和歌に見る言語遊戯 ・ ち! ぐ さ に も 綻 ぶ 花 の 匂 ひ か な い づ ら 青 柳 ぬ ひ し 糸 す ぢ! 三 ・ め! も 遥 に 雪 ま も 青 く 成 に 鳬 今 日 社 野 べ に 若 菜 摘 み て め! き か 返 ぜ" し 、 よ! ね! は! な! し! ぜ" に" す" こ" し" ・ あ! ら さ じ と 打 返 す ら む 小 田 山 の 苗 代 水 に ぬ れ て 作 る あ! ・ よ! も す ず し" / ね! ざ め の か り ほ" / た! 枕 も" / ま! 袖 も 秋 に" / へ! だ て な 観 ﹄ ︵ 角 川 書 店 傍 点 筆 者 ︶ に よ っ て 引 用 す る と 次 の ご と く で あ る 。 も" ほ" し" 、 と い ふ 事 を く つ か ぶ り に お き て た 。 例 え ば 、 平 安 中 期 の 歌 人 源 順 の 家 集 で あ る ﹁ 源 順 集 ﹂ に は 、 藤 え る 、 ︿ く つ か ぶ り 歌 ︵ 沓 冠 歌 ︶ ﹀ と い う 手 法 も 古 く か ら 行 わ れ て い 題 す る も の が 残 っ て い る 。 今 、 始 め と 終 わ り の 何 首 か を ﹃ 続 国 歌 大 原 有 忠 や 藤 原 輔 相 と 互 い に 詠 み 競 っ た ﹁ あ め つ ち の 歌 四 十 八 首 ﹂ と 世 中 し づ か な ら ざ り し 比 、 兼 好 が 本 よ り 、 よ! ね! た! ま! へ! ぜ" に" ﹃ 田 │ ︵ 新 兼 ま ︶ 。 編 好 た 国 と 、 歌 頓 時 代 大 阿 は 法 観 下 ﹄ 師 る の 角 も 川 贈 の 答 書 歌 の 店 が 、 、 沓 頓 冠 歌 阿 の の 例 家 版 集 と │ ﹁ し 傍 続 て 良 点 草 く と 庵 知 ﹁ 集 ら / ﹂ れ ﹂ 中 て は に い 筆 あ る 者 る 吉 CD-ROM ・ よ! る も う し" / ね! た く わ が せ こ" / は! て は こ ず" / な! ほ ざ り に だ に" / ・ つ! く 波 山 咲 け る 桜 の 匂 を ば 入 て 折 ら ね ど よ そ 乍 ら 見 つ! こ の 冠 歌 や 、 冒 頭 に 置 く と 同 時 に 、 各 歌 の 結 句 の 末 尾 に 言 葉 を 据 時 こ の 類 の 歌 は 冠 歌 と 称 さ れ て い た の だ 。 せ よ 、 え の え︵ を注 ! 、︶ な れ ゐ て 、 字 ず つ を 各 歌 の 頭 に 置 い て 詠 ん で い る こ と に 由 来 す る 。 つ ま り 、 当 り 、 む ろ 、 こ け 、 ひ と 、 い ぬ 、 う へ 、 す ゑ 、 ゆ わ 、 さ る 、 お ふ あ る 。 ﹁ 法 の え ﹂ は ﹁ か ぶ り 歌 ﹂ の 別 名 を 持 つ が 、 こ れ は 、 そ の 一 あ め 、 つ ち 、 ほ し 、 そ ら 、 や ま 、 か は 、 み ね 、 た に 、 く も 、 き し 、 一 字 ず つ を 各 首 初 句 の 頭 に 据 え 、 三 百 四 十 二 首 を 詠 ん だ も の で 人 の 五 百 五 十 年 忌 が 行 わ れ た の を 機 に 、 上 人 の 一 枚 起 請 文 を 仮 名 に は 歌 集 ﹁ 法の り の え ﹂ が あ る 。 宝 暦 十 一 年 ︵ 一 七 六 一 ︶ 一 月 に 、 法 然 上 和 歌 指 南 冷 泉 家 第 十 五 代 為 村 に 学 ん だ 涌 蓮 と い う 僧 が い る 。 彼 に で 、 こ れ も ま た 折 句 の 一 種 で あ る 。 と く 歌 の 冒 頭 と 末 尾 に 詠 み 込 ん だ 、 い わ ゆ る 沓 冠 歌 と 称 さ れ る も の 八 文 字 か ら な る ︿ あ め つ ち の 詞 ﹀ ︵ 左 参 照 ︶ を 、 右 引 用 傍 点 部 の ご こ れ は 、 古 く か ら 行 わ れ た 手 習 詞 の 類 で 、 二 十 一 の 語 句 、 計 四 十 を 、 当 時 は 冠 歌 と 言 っ て い た 。 そ れ は 、 次 か ら も 明 ら か で あ る 。 句 を 各 歌 の 冒 頭 に 置 い て 複 数 首 を 詠 む 遊 び が あ る 。 こ の よ う な 手 法 音 ず つ 詠 み 込 む の が 本 来 の 折 句 で あ る 。 そ し て そ の 一 類 に 、 あ る 語 の よ う に 、 一 首 の 各! 句! の! 頭! に ﹁ か き つ は た ︵ 杜 若 ︶ ﹂ な ど の 語 を 一 ・ て! る 月 も も る ゝ 板 ま の 逢 は ぬ 夜 は 濡 れ こ そ 渡 れ 返 す 衣 手! ・ ゐ! て も 恋 臥 て も 恋 る か ひ も な く 影 浅 ま し く み え ぬ 山 の 井! ・ れ! ふ 師 に も あ ら ぬ 我 こ そ 逢 事 を 照 射 の 松 の 燃 え 焦 れ ぬ れ! ・ な! き た む る 涙 は 袖 に 満 汐 の 干 る ま に だ に も 逢 み て し が な! び を し ぞ 思 ふ ︵ 中 略 ︶ 奉納和歌に見る言語遊戯 そ れ 等 を 、 天 明 元 年 ︵ 一 七 八 一 ︶ に 書 写 さ れ た 、 宮 内 庁 書 陵 部 図 図Ⅰ こ の 配 流 中 に 詠 ん だ 和 歌 の 一 つ が そ れ で あ る 。 活 動 を 成 し た た め 、 永 仁 六 年 ︵ 一 二 九 八 ︶ に 佐 渡 へ 流 罪 と な る が 、 家 第 二 代 ︶ の 和 歌 に も 見 ら れ る 。 彼 は 、 持 明 院 統 政 権 を 支 持 し 政 治 の 曾 孫 に あ た り 京 極 派 創 始 者 で あ る 、 鎌 倉 後 期 の 歌 人 京 極 為 兼 ︵ 同 実 は 、 こ の 言 葉 遊 び も 古 く か ら 行 わ れ て い て 、 例 え ば 、 藤 原 定 家 遊 び で あ る 。 と 称 さ れ る も の で 、 折 句 を さ ら に 複 雑 化 し た よ う な 十 二 首 か ら 成 る 普 通 ﹁ 木 綿 襷! ﹂ ま た は ﹁ 木 綿 手! 襁! ﹂ と 表 記 さ れ る 。 い わ ゆ る 木 綿 襷 津 島 大 明 神 木ゆ 綿う だ 襁すき 三 年 ︵ 一 七 〇 〇 ︶ に 奉 納 し た 和 歌 一 点 が あ る 。 内 題 に は ﹁ 奉 納 玉 津 島 神 社 の 所 蔵 す 和 る 歌 十 ﹂ 八 と 点 記 の さ 奉 れ 納 る 和 が 歌 、 中 内 に 題 、 中 堺 の 田 ﹁ 通 木 節 綿 が ! 襁 元 ﹂ 禄 は 、 玉 十 為兼の木綿襷(図式)…矢印方向へ線上の各文字を 各句頭に置き十二首を詠む 三 、 玉 津 島 社 奉 納 和 歌 の 場 合 結 句 末 尾 音 を 受 け て 始 ま る ︿ 文 字 鎖 ﹀ 、 す な わ ち 各 首 の 結 句 が 尻 取 ﹁ ぜ に も ほ し ﹂ ﹁ せ に ず こ し ﹂ と 置 い て 詠 ん だ 沓 冠 歌 に な っ て い る 。 ﹁ よ ね た ま へ ﹂ ﹁ よ ね は な し ﹂ と 置 き 、 各 句 の 末 尾 に 結 句 か ら 逆 順 に な! し! 銭" 少" し" ﹂ と い う 各 語 句 を 、 両 者 と も に 各 句 の 頭 に 初 句 か ら 順 に 各 々 の 作 品 を 紹 介 し て 論 じ て み た い 。 津 島 社 ﹂ ﹁ 住 吉 社 ﹂ ﹁ 明 石 柿 本 社 ﹂ ﹁ 高 津 柿 本 社 ﹂ の 四 つ に 分 け 、 三 首 が 詠 ま れ て い る の だ 。 さ ら に 、 三 十 一 首 の 各 結 句 が 、 前 一 首 の に 書 と ・ い ・ は 寮 末 う 冒 三 文 尾 意 頭 十 庫 ⋮ 図 ⋮ 一 蔵 の た 頼 せ 会 首 の 歌 む み て ふ が ﹁ こ が こ 詠 為 し 隠 と ま 兼 賀 さ を れ 卿 茂 れ ま る 卅 の る た が 一︵ 川 。 い 、 首注 ! 水 つ つ 各 和沓︶ さ ま か 歌 歌冠 て り は の 并 折 も 沓 と 冒 句 ! か 冠 木 頭 ﹂ 綿! と で く 歌 襷! 末 確 た に か! 尾 認 へ な け! に し な っ し! も て ば て 誓! 各 み 神 い ひ! 々 よ を て を 、 う な 、 。 神 を 合 同 に や 計 資 ま か 三 か 料 こ 十 続 い て 、 各 社 奉 納 和 歌 中 の 言 語 遊 戯 を 見 て み よ う 。 便 宜 上 、 ﹁ 玉 こ れ は 、 詞 書 に あ る 兼 好 の ﹁ 米! た! ま! へ! 銭" も" ほ" し" ﹂ 、 頓 阿 の ﹁ 米! は! し! ば し と ひ ま せ" 四 奉納和歌に見る言語遊戯 ⑦ 題 ﹁ 夏 ﹂ ⋮ ⋮ 各 句 頭 に ︽ 縦 ︾ で 用 い た 各 五 文 字 の 各 二 字 目 地 に あ る よ う で 、 例 え ば 、 島 根 県 平 田 市 の 一 畑 薬 師 な ど は 、 古 く か 五 ﹁ な あ や わ た ﹂ を 置 い て 詠 む と こ ろ で 、 景 色 の よ い 場 所 は 目 に も い い 、 と い っ た 俗 信 が 日 本 各 ⑥ 題 ﹁ 春 ﹂ ⋮ ⋮ 各 句 頭 に ︽ 縦 ︾ で 用 い た 各 五 文 字 の 各 一 字 目 盲 人 に て 好 ん で 和 歌 を 詠 ず 。 世 人 ﹁ 鳴 ぬ 夜 の 通 節 ﹂ と 呼 べ り 。 ② 題 ﹁ 郭 公 ﹂ ⋮ 各 句 頭 に 古 歌 五 文 字 ﹁ あ さ か や ま ﹂ を 用 い た 折 句 ・ ︽ 横 列 の 和 歌 ︾ 上 か ら 順 に 下 へ ⑤ 題 ﹁ 神 祇 ﹂ ⋮ 各 句 頭 に 古 歌 五 文 字 ﹁ た ま つ し ま ﹂ を 用 い た 折 句 ④ 題 ﹁ 氷 ﹂ ⋮ ⋮ 各 句 頭 に 古 歌 五 文 字 ﹁ わ か せ こ か ﹂ を 用 い た 折 句 ③ 題 ﹁ 月 ﹂ ⋮ ⋮ 各 句 頭 に 古 歌 五 文 字 ﹁ や く も た つ ﹂ を 用 い た 折 句 和 歌 に 長 け て い た こ と な ど を 述 べ る 。 藩 叢 書 ﹄ 三 ︶ は ﹁ 境! 田 通 節 ﹂ と 表 記 し 、 目 が 不 自 由 で あ っ た こ と 、 通 節 ﹂ と 記 す ご と く 、 通 節 は 薩 摩 の 人 で あ る 。 ﹁ 称 名 墓 志 ﹂ ︵ ﹃ 新 薩 し た 、 相 当 に 手 の 込 ん だ 言 語 遊 戯 と 辰庚 言 歳 え 正 る 月 。 吉 祥 日 な お 、 本 作 品 の 跋 文 に ﹁ 元 禄 十 三 薩 摩 国 堺 田 ① 題 ﹁ 梅 ﹂ ⋮ ⋮ 各 句 頭 に 古 歌 五 文 字 ﹁ な に は つ に ﹂ を 用 い た 折 句 ・ ︽ 縦 列 の 和 歌 ︾ 右 か ら 順 に 左 へ れ ら を 確 認 す る と 、 に な る よ う に し て 詠 む 、 折 句 に 準 じ た 木 綿 襷 の 形 を と っ て い る 。 そ 場 合 と 同 様 、 縦 ・ 横 ・ 斜 、 そ れ ぞ れ の 歌 の 交 わ る 箇 所 を 同 一 の 文 字 と ⑫ ・ い ︽ 題 斜 う ﹁ の 手 賀 和 法 ﹂ 歌 の ⋮ ︾ 十 ⋮ 縦 二 各 の 首 句 ﹁ に 頭 神 な に 祇 る 各 ﹂ ︵ ︽ の 次 縦 左 頁 ︾ か 図 と ら Ⅱ 参 ﹁ 各 斜 ﹁ 照 た ︽ め な さ か 横 ︶ 。 も ︾ 右 も 折 や が 下 こ 句 に 交 へ ま を ﹂ わ ﹂ さ を る を ら 置 五 置 に い 文 い 複 て 字 て 雑 詠 詠 む に む さ て 、 堺 田 通 節 の 作 品 に 戻 ろ う 。 彼 の ﹁ 木 綿 襁 和 歌 ﹂ も 、 為 兼 の ⑪ 題 ﹁ 賀 ﹂ ⋮ ⋮ 各 句 頭 に 各 ︽ 縦 ︾ と 各 ︽ 横 ︾ が 交 わ る 五 文 字 れ 、 嘉 元 二 年 ︵ 一 三 〇 四 ︶ に 佐 渡 か ら 上 洛 し た 旨 を 記 す 。 ・ ︽ 斜 の 和 歌 ︾ 縦 の ﹁ 梅 ﹂ と 横 の ﹁ 春 ﹂ の 間 か ら 斜 め 左 下 へ な お 、 同 資 料 の 跋 文 は 、 こ れ 等 の 和 歌 に よ っ て 京 極 為 兼 は 許 さ ﹁ に ま つ か ま ﹂ を 置 い て 詠 む 彼 の 切 な る 思 い や 神 へ の 願 い に 満 ち 溢 れ て い る 。 ⑩ 題 ﹁ 恋 ﹂ ⋮ ⋮ 各 句 頭 に ︽ 縦 ︾ で 用 い た 各 五 文 字 の 各 五 字 目 法 の 和 歌 ︵ 前 頁 図 Ⅰ 参 照 ︶ が 添 え て あ る 。 そ し て 、 い ず れ の 作 品 も ﹁ つ や た こ し ﹂ を 置 い て 詠 む 津 ︵ 阿 弥 陀 仏 ︶ ﹂ を 折 句 に し た 縦 の 五 首 を 基 に 成 る 、 こ の 木 綿 襷 手 ⑨ 題 ﹁ 冬 ﹂ ⋮ ⋮ 各 句 頭 に ︽ 縦 ︾ で 用 い た 各 五 文 字 の 各 四 字 目 襷! か け し 誓 ひ ﹂ と あ る ご と く 、 計 三 十 三 首 全 体 の 前 に は ﹁ 阿 弥 陁 婦 ﹁ は か も せ つ ﹂ を 置 い て 詠 む ま た 、 右 第 一 例 、 各 冒 頭 の 一 字 を 繋 い だ 一 首 中 に 、 傍 点 部 ﹁ 木! 綿! ⑧ 題 ﹁ 秋 ﹂ ⋮ ⋮ 各 句 頭 に ︽ 縦 ︾ で 用 い た 各 五 文 字 の 各 三 字 目 歌 の よ う に な っ て い る 。 ﹁ に さ く か ま ﹂ を 置 い て 詠 む 奉納和歌に見る言語遊戯 れ た 燈 籠 が 境 内 に 現 存 す る と い う 。 癒 祈 願 を し た と こ ろ 快 復 し た 、 と い う 伝 承 が あ る 。 そ の 時 に 寄 進 さ 信 仰 が あ っ た 。 そ の 一 つ に 、 眼 病 を 患 っ た 霊 元 天 皇 が 玉 津 島 社 で 治 が 、 玉 津 島 神 社 に は 、 遠 北 明 彦 宮 司 に よ れ ば 、 古 く か ら 眼 病 治 癒 の に 、 そ の 景 色 の 素 晴 ら し さ が 語 ら れ る 。 住 吉 大 社 の 方 で は 聞 か な い ・ ・ ら ま! 山 や! を 波 つ た あ か ひ き の か し け ほ た せ ち の よ と り け て き 暑 夕 さ な を き も に わ か 民 す す 部 れ み 卿 草 て お う 藤 ふ か 原 る ふ 為 き 泡 村 し 路 の し し ま 和 歌 浦 も 風 光 明 媚 な 地 と し て 有 名 で 、 万 葉 集 を は じ め 多 く の 歌 集 な い 。 ま た 、 住 吉 明 神 の 鎮 座 す る 住 吉 浦 や 、 玉 津 島 明 神 の 鎮 座 す る 病 治 癒 は 、 神 仏 頼 み が 唯 一 の 方 法 で あ っ た ろ う こ と は 、 想 像 に 難 く ら 眼 病 治 癒 の 信 仰 を 集 め て い る 。 医 術 の 面 で 未 熟 で あ っ た 当 時 、 眼 報 賽 五 首 歌 全 文 を 示 す と 左 の と お り で あ る 。 の で 、 冠 歌 に な っ て い る 。 こ の 作 品 は 為 村 の 自 筆 で 書 か れ て お り 、 い る ご と く 、 あ る 語 句 を 各 歌 の 冒 頭 に 一 字 ず つ 置 い て 詠 む と い う も 置毎 字首 図Ⅱ 為 村 の 前 者 ① の 作 品 は 、 内 題 の 部 分 に ﹁ 毎 首 置 字 ﹂ と 添 え ら れ て ア 、 ﹁ 報 賽 五 首 和 歌 置毎 字首 ﹂ 通節の木綿襷(図式)…矢印方向へ線上の各文字を 各句頭に置き十二首を詠む る 賽 は 。 五 冷 首 泉 和 為 歌 村 置毎 が 字首 奉 ﹂ 、 納 ② し ﹁ た 九 二 月 点 十 の 三 和 夜 歌 懐 詠 紙 三 で 十 あ 一 る 首 。 和 各 歌 々 令毎 内 冠歌 字首 題 ﹂ に と 、 記 ① さ ﹁ れ 報 住 吉 大 社 の 所 蔵 す る 三 十 点 の 奉 納 和 歌 中 、 言 語 遊 戯 の 見 ら れ る の 四 、 住 吉 社 奉 納 和 歌 の 場 合 め ら れ て い た と 考 え ら れ る 。 納 し た の は 、 和 歌 上 達 の 祈 願 で あ る と 同 時 に 、 眼 病 治 癒 の 祈 願 が 込 目 の 不 自 由 で あ っ た 堺 田 通 節 が 、 玉 津 島 社 に 本 ﹁ 木 綿 襁 和 歌 ﹂ を 奉 こ の よ う に 、 玉 津 島 社 に 眼 病 治 癒 の 信 仰 が あ っ た こ と を 思 う と 、 六 奉納和歌に見る言語遊戯 と あ る が 、 か つ て の 夢 で 、 和 歌 の 神 ︵ 住 吉 の 神 ︶ よ り お 告 げ の あ っ で は 詠 み 出 し に く か っ た か ら だ ろ う 。 古 く 、 大 和 言 葉 に ラ 行 で 始 ま 七 安 永 二 年 秋 京 極 黄 門 五 百 三 十 三 回 に あ た る と し か し こ ま り て 謝 し 奉 る 沙 弥 澄 覚 上 ら! ﹂ と な る の が 本 来 で あ る 。 そ れ を ﹁ 長 く! ﹂ に 変 え た の は 、 ラ 行 音 い て 三 十 一 首 の 冠 歌 と し た の で あ る 。 た だ 、 第 二 句 傍 点 部 は ﹁ な が 久 し く 霊 夢 の 感 応 を た う と み あ ふ き な か く 月 明 の 恩 光 を つ た へ 五 夜 の ﹁ 名 所 月 歌 合 ﹂ で 詠 ん だ も の 。 つ ま り 、 為 村 は 定 家 の 歌 を 用 三 十 一 首 が し た た め ら れ て い る 。 奥 書 に は 、 の よ う な 和 歌 に な る 。 こ れ は 、 定 家 が 貞 永 元 年 ︵ 一 二 三 二 ︶ 八 月 十 冠 歌 に な っ て い る こ と が わ か る 。 和 歌 懐 紙 に 、 冷 泉 流 書 体 の 自 筆 で 久 し い 夫 婦 の よ う に 。 │ 歌 意 筆 者 │ ︶ 後 者 ② の 和 歌 作 品 に も 、 内 題 中 に ﹁ 毎 歌 首 令 冠 字 ﹂ と あ る の で 、 イ 、 ﹁ 九 月 十 三 夜 詠 三 十 一 首 和 歌 令毎 冠歌 字首 ﹂ 歳 で あ っ た 。 社 吉 か 食 遥 社 っ︵ べ 拝 を た注 !た 遥 。︶ も 宝 拝 こ の 暦 し の が 十 て 病 口 二 詠 が か 年 ん 全 ら 五 だ 快 こ 月 も し ぼ 吉 の た れ 日 で こ 落 ﹂ あ ち に る と る よ こ の と っ と 謝 い て を 意 う 知 、 か 、 る 和 ら 中 。 歌 、 風 こ 懐 宝 の の 紙 暦 症 時 の 十 状 為 端 二 に 村 裏 年 似 は 書 五 た 五 ﹁ 月 病 十 住 に に 一 吉 住 か あ す る な 月 わ の つ 。 ︵ の 厳 今 影 ち ま き 三 は 、 つ か 十 よ な け 一 う 相 宵 秋 八 は 首 の な 生 あ の 美 の 月 夜 十 き 頭 長! し 松 の に い は 五 く! よ 置 月 、 夜 住 な か と 幾 の 之 か れ 逢 代 、 江 く た い こ 美 の す 各 、 こ し い み 一 秋 に い く の 字 の 根 月 千 え を 夜 を の 歳 の つ を 張 光 に い な 共 り り か く い に 続 を 相 ち で し け 浴 生 と み た 、 び ひ せ る の そ て の に と だ の い 松 か 、 ろ 間 る あ う 、 住 ひ か 幾 吉 お 。 度 の ひ 幾 こ 荘 為 村 は 、 宝 暦 十 一 年 ︵ 一 七 六 一 ︶ 十 月 十 九 日 に 、 唇 が 右 に 歪 ん で は 、 前 掲 ﹁ 報 賽 五 首 和 歌 置毎 字首 ﹂ と 同 様 、 冠 歌 の 手 法 を 用 い た も の で ゆ ︶ ﹂ と な る 。 部 の 文 字 を 第 一 首 目 か ら 順 に 拾 っ て み る と 、 ﹁ や ま ひ い ゆ ︵ 病 癒 春 、 夏 、 秋 、 冬 、 祝 の 順 に 配 さ れ た 五 首 の 各 頭 に 置 か れ た 、 傍 点 ・ ・ ・ ゆ! か い! ひ! た き く さ か と し に せ く も か も つ 雪 咲 る も に の つ ほ 毛 も ふ 衣 り き 立 の く 春 う や の ら 此 め さ 浜 く ひ の み て 真 か ふ 砂 さ り に ぬ ゆ つ る く き 住 松 ぬ よ の 秋 し か を の け し 浦 そ る 木 ら ふ む 法 七 一 が で た ま 名 七 ︶ 敬 、 こ た 。 三 八 愛 住 と ︶ 月 し 吉 を 、 は 二 た 社 尊 内 定 十 冷 を く 題 家 日 泉 敬 感 中 の に 家 う じ に 五 八 遠 歌 、 ﹁ 百 十 祖 人 今 毎 三 歳 藤 為 日 歌 十 で 原 村 に 首 三 没 定 が ま 令 回 し 家 こ で 冠 忌 て の こ 続 字 に い こ に く ﹂ あ る と は そ と た の 。 あ の あ る で 定 る 恩 る 。 、 家 。 恵 ご ﹁ 折 ﹁ を と 沙 し は 京 感 く 弥 も 仁 極 謝 、 澄 、 治 黄 す こ 覚 安 二 門 る の ﹂ 永 年 ﹂ と 奉 は 二 ︵ は い 納 為 年 一 、 う 和 村 ︵ 二 為 も の 一 四 村 の 歌 奉納和歌に見る言語遊戯 各 々 歌 題 が 施 さ れ て い る が 、 そ れ 等 は 全 て 月 に 関 す る も の で あ る 。 題 す る 奉 納 和 歌 を 詠 ん だ の で あ る 。 ち な み に 、 こ の 三 十 一 首 に は 舟 を し ぞ 思 ふ ﹂ の 御! 神! 詠! を 、 各 々 の 歌 の 頭 に 置 い て 詠 ん で い る ︵ 左 ﹁ 古 今 和 歌 集 ﹂ に 見 る ﹁ ほ の ぼ の と 明 石 の 浦 の 朝 霧 に 島 が く れ 行 く ﹂ と だ の で は な か っ た か 。 だ か ら こ そ 、 定 家 の 月 を 愛 で る 心 に 照 応 さ せ 歌 を つ ゝ り ﹂ と 言 う よ う に 、 柿 本 人 麻 呂 の 歌 と し て ﹁ 人 丸 集 ﹂ や 自 序 に ﹁ か の 御! 神! 詠! を! 歌! の! か! し! ら! に! い! た! た! き! 、 三 十 あ ま り 二 首 の て 、 安 永 二 年 九 月 十 三 日 に ﹁ 九 月 十 三 夜 詠 三 十 一 首 和 歌 令毎 冠歌 字首 だ ろ う 。 殊 に 定 家 の 老 後 の 記 載 に つ い て は 、 自 ら を 重 ね な が ら 読 ん 納 さ れ て い る 。 為 村 も ﹁ 明 月 記 ﹂ を 読 ん で 、 右 の よ う な こ と は 感 じ 取 っ て い た の 柿 本 人 麻 呂 の 千 年 忌 に あ た る 享 保 八 年 ︵ 一 七 二 三 ︶ 三 月 十 八 日 に 奉 難 く な い 。 言 語 遊 戯 の 見 ら れ る 岸 部 延 の 作 品 ﹁ 岸 部 延 奉 納 三 十 二 首 ﹂ は 、 係 が な い と は い え 、 定 家 の 日 記 を 読 ん で い た で あ ろ う こ と は 想 像 に た が っ て 、 冷 泉 家 中 興 の 祖 と 謳 わ れ た 為 村 が 、 本 来 の 歌 学 と 直 接 関 ア 、 岸 部 延 の 言 語 遊 戯 象 と し 、 家 学 を 支 え る 拠 り 所 と し て 今 日 ま で 来 て い る と い︵ う注 ! 。︶ し 家 を 歌 聖 と 称 し て 特 に 神 聖 視 し 、 そ の 筆 跡 に な る 典 籍 を も 学 問 の 対 冷 泉 家 現 当 主 令 室 貴 実 子 氏 に よ れ ば 、 冷 泉 家 に お い て は 、 藤 原 定 ・ 冷 泉 為 村 ⋮ 三 点 ・ 藤 原 良 徳 ⋮ 一 点 ・ 桑 門 三 余 ⋮ 一 点 日 に は 、 月 に 関 す る 記 録 を ほ ぼ 欠 か さ な い 。 の 寂 し さ と 結 び 付 け て 月 を 見 る よ う に な る 。 ま た 、 各 年 の 九 月 十 三 記 載 の 多 い こ と に 気 づ く 。 そ し て 、 特 に 六 十 五 歳 あ た り を 境 に 、 老 ・ 川 井 立 斎 他 四 人 ︵ 杉 本 遂 ・ 秦 正 珍 ⋮ 一 点 ・ 岸 部 延 ⋮ 一 点 川 名 部 光 慶 横 谷 恒 幸 ︶ ⋮ 一 点 と こ ろ で 、 藤 原 定 家 の 日 記 ﹁ 明 月 記 ﹂ に 目 を 通 す と 、 月 に 関 す る ち に よ る 言 語 遊 戯 が 見 ら れ る 。 る 。 つ ま り 、 遠 祖 定 家 へ の 感 謝 で あ る 。 在 、 月 照 寺 に 三 十 七 点 が 残 っ て い る 。 そ の 内 の 八 点 に 、 左 の 作 者 た を 重 視 し て 憶 測 す れ ば 、 住 吉 の 神 ︵ 和 歌 神 ︶ は 定 家 と も 重 な っ て く 別 当 月 照 寺 を 通 じ 明 石 柿 本 社 に 奉 納 さ れ た 和 歌 関 係 資 料 は 、 現 じ ら れ る 。 さ ら に 、 奥 書 の ﹁ 京 極 黄 門 五 百 三 十 三 回 に あ た る と し ﹂ 和 歌 の 神 と 共 に あ り 上 達 を 願 う 、 為 村 の 心 を 重 ね て い る よ う に も 感 五 、 明 石 柿 本 社 奉 納 和 歌 の 場 合 そ し て 歌 意 の 裏 に 、 長 く に わ た る 住 吉 の 神 か ら の 恩 恵 を 感 謝 し 、 翌 安 永 三 年 七 月 二 十 九 日 、 為 村 は 六 十 三 歳 で 世 を 去 っ た 。 る 語 は な い 。 ﹁ 十 三 夜 月 ﹂ で 始 ま り ﹁ 寄 月 祝 言 ﹂ で 終 わ っ て い る 。 八 奉納和歌に見る言語遊戯 本 の 作 引 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 品 用 も! 橋 お! 袖! し! と! の! ほ! の! ほ! ︵ の 歌 ろ も ぬ た 中 き こ の ど し こ ひ れ ひ 略 を り か け さ る き も 葉 む る 位 り 和 序 傍 し ね て く ︶ え な な し え こ に ま 人 を と 歌 と 点 三 お の に 波 る し く る な し と も れ 々 贈 て の 跋 部 十 ほ ふ 見 に 友 山 山 を 霞 冬 に す こ 千 り か と 、 参 け あ み る か こ の の の む の な ゝ の 歌 ま け を お 照 ま な に あ た そ 桜 深 が そ 名 ん め と 百 い ま つ よ ︶ り き 。 ま ら し な に 雪 は な 残 有 も 物 き 歌 ら く ひ び す 二 本 さ ま く け み も つ た の け し さ の の も し に 首 文 な り し か れ な 打 音 の 大 ら の か つ あ 手 せ か り わ て も ち ふ 人 と は 山 空 し 給 ら 向 し 柿 の ち ゝ へ 歌 初 国 か 衣 る は け ま ま も ひ 有 こ 本 を か 奉 る め 、 の げ う 雨 こ て だ ゆ 春 つ の 納 こ と け き 大 と 冠 風 つ ら に ゝ 霞 さ に に ゝ 御 の と そ る お 明 歌 た か こ ぬ ろ む か 匂 か と ほ 神 終 り 神 歌 を 我! わ を え で ぐ れ の を ぬ ひ す な せ よ お ! 師 こ お 詠 ず と 舟 て 花 ま 花 い み さ ろ 以! ん こ と り 用 な を 吹 だ の 軒 や ゝ に で て め こ 敬! さ と し 各 い し 歌 そ え 夜 端 ひ の や た あ た ほ 斎! れ く 千 数 た く の ふ が の を ら 春 お る く て ひ の! は た 年 首 言 お か や ち と 頼 け の し 春 る ま て ぬ! 道 り に を 葉 さ し ま な ま む そ 夜 む の の つ あ し! に う み 掲 遊 め ら と る り 山 ふ の そ 日 ど ら ま も 心 へ て げ び た に 言 夢 に 鳩 ら 月 の 影 け る た 此 を な た て で て い お あ の の し ゝ は さ ま た わ の 時 よ き ま く 葉 う 鶯 つ た れ 門 に す 御 へ 。 る き 。 歌 ﹂ は 、 跋 に ﹁ 享! 保! 八! 年! 三! 月! 十! 八! 日! 齢 八 十 二 外 宮 内 人 秦 正 珍 ﹂ 九 秦 正 珍 の 奉 納 し た ﹁ 正 一 位 柿 本 大 明 神 社 奉 納 和 歌 詠 三 十 二 首 和 イ 、 秦 正 珍 の 言 語 遊 戯 首 ﹂ を 、 享 保 五 年 ︵ 一 七 二 〇 ︶ 九 月 に 住 吉 社 へ 奉 納 し て い る 。 住 吉 社 に 奉 納 し て い る 。 な お 、 初 代 長 伯 も ﹁ 有 賀 長 伯 ほ か 連 名 百 和 歌 を 巻 子 十 五 巻 に 分 か ち 収 め 、 ﹁ 有 賀 長 収 ほ か 奉 納 和 歌 ﹂ と し て の 定 期 的 な 和 歌 指 導 を 行 い 、 そ の 時 の 百 四 十 人 ・ 千 六 百 二 十 六 首 の 九 一 ︶ か ら 文 化 二 年 ︵ 一 八 〇 五 ︶ ま で の 十 五 年 間 に わ た り 、 年 三 度 は 孫 長 収 ︵ 一 七 五 〇 ∼ 一 八 一 八 ︶ で あ ろ う 。 彼 は 、 寛 政 三 年 ︵ 一 七 居 宣 長 の 和 歌 添 削 も 行 っ た と い う が 、 和 歌 指 導 に 最 も 力 を 注 い だ の く が 、 和 歌 に 携 わ っ た の は 江 戸 末 期 の 長 隣 ま で で あ る 。 子 長 因 は 本 者 で あ っ た 。 有 賀 家 は 長 伯 以 降 、 ﹁ 長 因 │ 長 収 │ 長 基 │ 長 隣 ﹂ と 続 和 歌 を 継 承 す る 宗 匠 家 へ と 変 わ っ て ゆ く 。 長 伯 は 地 下 和 歌 の 第 一 人 家 業 を 捨 て 、 大 坂 の 地 で 和 歌 を 志 し て 以 降 、 江 戸 時 代 に お け る 地 下 ら 敬 る ・ 有 れ 斎 。 岸 ふ! 賀 る す ま 部 く 家 。 な た 延 わ 、 は 享 聲 は ち 序 、 保 も 、 有 文 跋 八 千 代 賀 に 文 卯 世 々 長 ﹁ に の よ 京 伯 我 ﹁ と ば 都 ︵ 師 岸 し ふ で 一 以 部 や 也 医 六 敬 氏 よ 石 師 六 斎 女 ひ 見 を 中 が 一 の 勤 ∼ ぬ 延 八 た め 日 た 一 し る か 七 ﹂ 敬 家 三 と 白 岸 つ で 七 言 ﹂ 部 の あ ︶ っ と 氏 山 っ に て 記 女 の た 松 師 い す 。 事 る ご 延 の し 春 し こ と か た と く 敬 風 し こ か 女 白 、 と ら 性 長 が 、 で 伯 知 以 あ が 奉納和歌に見る言語遊戯 と い ぼ に ・ ・ ・ ・ ・ ・ る の 置 巻 記 ・ そ! し! と! の! ほ! の! 。 と て 頭 す ほ! ︵ し て き き の も し 最 ∼ ﹂ に ご 中 ぬ り 端 か 山 は 初 ﹂ と は と 詠 略 れ 田 ぬ 暁 ︶ 見 も 春 に 梅 も 霞 ま 立 三 と の あ ﹁ く て 家 る に 花 る 月 も 草 た 春 ほ 十 最 三 り 詠 、 水 八 見 影 風 木 ひ の 二 後 十 、 三 人 せ 声 馴 を の に か 首 を 二 岸 十 麻 き の し 憐 さ わ り 和 紹 文 部 二 呂 分 鳥 花 む そ か 残 と 歌 介 字 延 首 千 る に は は ひ ぬ れ し を の 和 年 の 賤 起 そ る て 春 る て 、 作 歌 忌 御 の 馴 れ の 匂 を あ に お 各 品 歌 男 て な 夜 ひ 先 か く 首 と ほ あ を は 神 か の 来 色 つ 。 の 同 の た 一 門 に ら 月 る そ き っ 頭 様 字 田 詣 我 に 梅 出 の て に に つ よ る 身 そ は て 空 置 、 と の ゝ り み 老 む 誰 も こ い 人 の 奉 は ま ち 木 け す か そ て 麻 御 納 し つ い の し む す か 詠 呂 歌 で め 鋤 そ 春 ね 垣 み す ん 歌 を あ に そ く そ や 根 た め だ と 一 る 置 め な か の な つ 春 冠 さ 字 。 て に り な 灯 る 空 や 歌 れ つ け し ら た と る ゝ ん き ん つ な ﹁ は ら っ ほ し む て の め ! " ! " ! " で 詠 ん だ ﹁ 奉 納 和 歌 三 十 二 首 ﹂ も 、 岸 部 延 ・ 秦 正 珍 の 場 合 と 同 じ 手 川 井 立 斎 を は じ め 、 杉 本 遂 ・ 川 名 部 光 慶 ・ 横 谷 恒 幸 の 四 人 が 連 名 ウ 、 川 井 立 斎 他 の 言 語 遊 戯 匠 為 村 と 共 に 詠 み 奉 納 し た も の で あ る 。 人 と 思 わ れ る 秦 氏 の 右 六 名 ・ 荒 木 田 氏 の 二 名 ・ 度 会 氏 の 四 名 が 、 宗 称 さ れ る 作 品 で 、 和 歌 指 南 家 冷 泉 為 村 の 指 導 を 受 け た 、 伊 勢 神 宮 内 義 ・ 秦 千 弘 ら の 奉 納 し た 和 歌 が 残 っ て い る 。 こ れ は ﹁ 百 首 和 歌 ﹂ と っ た よ う で 、 住 吉 大 社 に は 秦 末 統 ・ 秦 吉 博 ・ 秦 惟 石 ・ 秦 紀 貞 ・ 秦 家 伊 勢 神 宮 に 奉 仕 し た 秦 氏 の 中 に は 和 歌 に 打 ち 込 む 人 が 比 較 的 多 か 神 職 を い う 。 に 、 内 人 は 、 古 く 伊 勢 神 宮 な ど に お い て 禰 宜 の 下 に あ っ て 奉 仕 し た の 内う ち 人ん ど で あ る 秦 正 珍 が 八 十 二 歳 の 時 に 奉 納 し た も の で あ る 。 ち な み こ の 作 品 は 、 跋 文 に ﹁ 外 宮 内 人 秦 正 珍 ﹂ と 記 す と お り 、 伊 勢 外 宮 享 保 八 年 三 月 十 八 日 齢 八 外十 宮二 内 人 秦 正 珍 ・ ・ ・ も! ふ! お! り に も に す ひ け 祝 め 述 や 旅 る る 懐 る 跡 わ 故 と れ 郷 て か か 世 ら な ゝ 世 し に を た 仰 も ひ く 嘆 衣 そ く 立 よ 哉 か 神 浦 へ の に る つ つ 日 た り を へ す い し る つ や 海 と ま 士 し と な ら 言 ら ね の ね は 葉 と も 一〇 奉納和歌に見る言語遊戯 ︵ 中 略 麓し ︶ 柴 恒 幸 石 州 高 角 社 播 州 明 石 社 ・ 年! こ と に 立 そ ふ 花 や あ た な り と う つ ろ ふ 人 の 心 を も 見 む 正 一 位 柿 本 大 明 神 五 五 十 十 首 首 法 楽 和 歌 一一 交と 花 立 斎 奉 納 三 所 ・ 軒! 近 き 入 江 に 満 る 夕 し ほ に か す め る 月 の 影 そ え な ら ね れ た 和 綴 本 で あ る 。 冒 頭 に 、 江の 春 月 横 谷 恒 幸 れ 、 跋 に ﹁ 享 保 十 五 庚 戌 暦 秋 八 月 十 八 日 ﹂ と 最 終 奉 納 の 日 付 が 記 さ る ︵ 一 ・ ・ ・ 初 。 跋 七 文 仄! の! ほ! め 七 か と の と に 三 ﹁ な け 見 人 奉 終 ︶ る 若ほ し 島の え 早ほ 麿 納 わ 、 安 色 木 な 霞 し 春 ふ ほ 社 り つ 永 香 梅 春 朝 河 ね の を ま 二 や に 川 記 和 を り 年 め か わ し 歌 し 人 巳癸 て す た て そ と 三 麻 三 む み り お お あ 十 呂 月 霞 の か く も か 二 千 十 む 立 す 。 ふ し 首 五 八 夜 川 そ 杉 む 川 の 十 日 に 名 ひ 本 な 井 う 年 ﹂ に 部 て 遂 り 立 ら 忌 と ほ 光 な 柳 斎 の の あ ふ 慶 か に あ 奉 る 若 め な さ 納 こ 木 こ ひ き で と の と く り あ に 梅 な 春 に っ よ の る の し た り は 浦 は ま こ 、 つ の つ か と 安 花 初 風 く が 永 島 れ わ 二 ゆ か 年 く ! " 桑 門 三 余 が 奉 納 し た の は 、 表 紙 外 題 に ﹁ 柿 本 社 奉 納 和 歌 ﹂ と 書 か エ 、 桑 門 三 余 の 言 語 遊 戯 二 首 を 詠 ん で い る 。 詠 者 四 人 に つ い て は 経 歴 不 詳 。 っ て 、 春 七 首 ・ 夏 三 首 ・ 秋 七 首 ・ 冬 三 首 ・ 恋 七 首 ・ 雑 五 首 の 計 三 十 右 の ご と く 、 各 歌 題 の 右 肩 に 人 麻 呂 歌 の 各 文 字 を 示 し 、 そ れ に 従 安 永 二 年 巳癸 三 月 十 八 日 ・ ・ ふ! も! る ろ こ 共 と 神ふ に も 祇 い 代 て ゝ 幾 に 夜 朽 か せ 明 ぬ 石 神 恒 潟 垣 幸 旅 の の 光 そ を ら 仰 な け る 敷 月 島 に の お 道 も へ は ! " 旅も 行 光 慶 二 文 字 を 各 歌 の 頭 に 据 え て 詠 む 冠 歌 で あ る 。 法 が 用 い ら れ て い る 。 す な わ ち 、 人 麻 呂 歌 ﹁ ほ の ぼ の と ∼ ﹂ の 三 十 ・ ・ ・ 空! 生! 賤! そ に の へ す 男 て 窓お む 礒そ も い 竹 月 松 心 く は あ よ さ り み な て と か や り ら か の 礒 り 呉 山 残 竹 遂 の 立 す や 松 斎 ふ ま よ も な り と ひ し の の ら 柴 庵 む に の 波 つ 友 の も と 明 る 社 ほ 白 な の 雪 れ 奉納和歌に見る言語遊戯 ・ 梅 か 香 に 人 の な さ け も か く と し る た か 袂 に も⑤ な へ て ふ れ ゝ は 各 歌 題 の 右 肩 に 、 そ の 歌 の 頭 の 一 字 を 置 い て 詠 ん で ゆ く 手 法 は 、 前 ・ 浦 浪 も か た み や か け て あ か し 潟④ あ ま き る 雪 の 島 も か く さ す 藤 原 良 徳 の ﹁ 奉 納 和 歌 ﹂ と 題 す る 作 品 に も 冠 歌 の 遊 び が 見 え る 。 ・ 木 の 本 に 出 し は あ や し③ 久 方 の 天 足 彦 の 末 も 知 ら れ て ・ よ し 野 山② そ れ と も 見 え す 雲 と の み 今 も 昔 を 花 に 残 し て オ 、 藤 原 良 徳 の 言 語 遊 戯 ・① ▼① 梅 れ 梅 講 の ゝ の 式 花 は 花 め ② つ そ る れ 天 と み も つ 見 神 え も す さ ③ そ 久 む 方 か の し ④ は あ 神 ま に き 祈 る 人 る 桑 雪 麻 言 門 の 呂 の ⑤ 葉 三 な 余 へ て ふ し か し 、 そ の 他 の こ と は 良 く わ か ら な い 。 記 す 。 ﹁ 桑 門 ﹂ と い う 語 を 冠 し て い る の で 僧 侶 で あ っ た の だ ろ う 。 て は ﹁ 桑 門 三 余 ﹂ ﹁ 禾 水 堂 原 三 余 ︵ 七 十 四 歳 ︶ ﹂ ﹁ 禾 水 老 翁 ﹂ な ど と 伸 老 懐 一ヲ ﹂ の 題 で 一 編 の 七 言 絶 句 を 添 え て い る 。 ま た 、 自 身 に 関 し 二フ さ て 、 本 作 品 全 体 の 跋 と し て 作 者 桑 門 三 余 は 、 ﹁ 後 ヘ ニ 賦 二シ テ 一 絶 一ヲ る と い う 具 合 な の だ 。 具 体 的 に は 、 次 の よ う に し て 詠 ま れ る 。 の 第 四 句 に 人 麻 呂 歌 第 四 句 、 第 五 首 の 結 句 に 人 麻 呂 歌 の 結 句 を 借 り 句 に 人 麻 呂 歌 第 二 句 を 、 第 三 首 の 第 三 句 に 人 麻 呂 歌 第 三 句 、 第 四 首 門 三 余 の 詠 む 五 首 中 第 一 首 の 初 句 に 人 麻 呂 歌 初 句 を 、 第 二 首 の 第 二 呂 歌 の 各 句 を 借 り て 五 首 を 詠 む と い う も の で あ る 。 つ ま り 、 作 者 桑 桑 門 慈 延 の 作 品 に も 見 ら れ る ︵ 第 六 節 ア 項 参 照 ︶ 。 取 ﹀ に も 似 た 手 法 だ が 、 同 じ よ う な 遊 び が 高 津 柿 本 社 奉 納 和 歌 中 、 二 首 で 合 計 六 十 首 に な る 。 古 歌 の 語 句 を 借 り て 詠 む と い う 、 ︿ 本 歌 こ の よ う に 、 ﹁ 柿 本 講 式 ﹂ の 一 首 に つ き 五 首 を 詠 む の だ か ら 、 十 ・ 絶 ぬ る も の ほ る 煙 は 時 き ぬ と 峰 の 炭 か ま⑤ け ふ そ や く め る そ れ は 、 ﹁ 柿 本 講︵ 式注 ! ﹂︶ に 載 る 人 麻 呂 の 歌 十 二 首 の 各 々 か ら 、 人 麻 ・ い つ し か と 深 谷 を 出 て 春 の き し④ あ し た の 原 は 鴬 の な く ら れ て い る 。 ・ 立 帰 る 家 路 は 遠 し③ か た 岡 の お れ る わ ら ひ の 手 も た ゆ け な り 享 保 十 年 正 月 下 旬 に 詠 ま れ て い る が 、 こ の 六 十 首 に 言 語 遊 戯 が 用 い 旨 の 各 奥 書 が あ る 。 ま た 、 ﹁ 和 州 歌 塚 廟 ︵ 天 理 市 櫟 本 ︶ 六 十 首 ﹂ は ・ 里 の め は② 若 な つ ま む と 春 の 野 を か た み に 袖 を う ち は へ て 行 ・① あ す か ら は 春 の き ぬ れ と 年 の 内 の 空 は 霞 そ 立 を く れ ぬ る ﹁ 石 州 高 角 社 ︵ 高 津 柿 本 社 ︶ 五 十 首 ﹂ は 享 保 十 年 三 月 吉 日 に 詠 ん だ て い る 。 ﹁ 播 州 明 石 社 五 十 首 ﹂ は 享 保 八 年 ︵ 一 七 二 三 ︶ 七 月 吉 日 、 と あ る ご と く 、 三 部 に 分 け て 三 所 の 柿 本 人 麻 呂 に 奉 納 す る 形 を と っ や く め る ▼① あ 講 す 式 か ら は 和 州 歌 塚 廟 六 十 首 ② 若 菜 つ ま む と ③ か た 岡 の ④ 桑 門 三 余 あ し た 人 の 麻 原 呂 は ⑤ け ふ そ 一二 奉納和歌に見る言語遊戯 す も 頓 阿 の 彫 刻 し 尊 像 を 得 た り 是 に よ り か れ に よ り て も 神 慮 よ り 一 首 の 歌 を 給 ふ と 見 る そ の ゝ ち 又 思 ひ は か ら 道 に 志 の 年 は 有 る 事 を 歎 き 告 け 奉 け る 夜 の 夢 に ま さ し く ほ ふ そ れ な ら て あ は れ は か け よ 屋 と の 藤 浪 か く よ み て 此 い へ る 神 詠 に も と つ き 藤 の 題 に て 多 こ の 浦 の そ こ さ へ に そ こ さ へ に ほ ふ 藤 な み を か さ し て ゆ か む み ぬ 人 の た め と 人 麿 明 神 へ 年 ! " 月 ! " 歌 よ み て 奉 り け る に 多 枯 の 浦 の 奉 納 和 歌 本 作 品 の 初 め と 終 わ り の 部 分 を 引 用 し て お く 。 言 う が 、 こ の 歌 は ﹁ 万 葉 集 ﹂ で は 内 蔵 忌 寸 縄 麻 呂 の 歌 と さ れ る 。 か む み ぬ 人 の た め ﹂ の 歌 を 引 用 し 、 御 神 詠 つ ま り 人 麻 呂 歌 で あ る と な お 、 序 の 中 に ﹁ 多 枯 の 浦 の そ こ さ へ に ほ ふ 藤 な み を か さ し て ゆ と 、 合 計 三 十 四 首 が 詠 ま れ て い る 。 首 の 他 に 、 序 の 中 に 一 首 、 三 十 一 番 歌 に 次 い で 一 首 、 跋 の 中 に 一 首 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ へ! の! 聞! 布! の! ま! し! ︵ 引 た こ と か ら つ 中 の て る へ 雪 た 略 け 名 滝ぬ ゝ 山へ 日 夕の ︶ し 春の み 梅ま は 霞し ふ に は 旅 は な 月 し や か も 遠 山 雲 あ ゝ せ た き の は ま き も か さ そ の き え 和 は か な こ る そ ら て ひ た ら 雪 め く し も に す の て 神 ら あ か 晴 言 山 垣 糸 良 し 良 け 定 な 貞 の 正 の 朝 の の 安 も 徳 ろ 考 か 国 葉 直 は 貞 も す と ひ ら を の と ち に て 朧 仰 霞 つ も 出 夕 月 く や 心 み た ゐ 夜 も ふ の た つ る の 高 か 春 れ 旅 雲 影 き き や す の の そ 春 色 た 落 道 立 か の を つ る の な す 梅 み ら 滝 う ひ め か す む つ ら く る ゝ ら せ や 空 む ま 一三 各 一 字 を 和 歌 の 頭 に 据 え て 計 三 十 一 首 を 詠 む の で あ る 。 ま た 三 十 一 立き 春 貞 臣 首 目 に 置 き 、 二 首 目 か ら は 夢 想 歌 初 句 の ﹁ き ﹂ ︵ 右 傍 点 部 ︶ 以 降 の ま の 和 歌 の 浦 人 な れ を し そ あ は れ と は お も ふ と し の 経 ぬ れ は ﹂ を 一 明 石 柿 本 神 社 に 奉 納 す る の だ 、 と 言 う 。 す な わ ち 、 夢 想 歌 ﹁ し き! し っ た 、 そ の 夢 想 歌 を 一 字 ず つ に 分 け て 、 人 々 に 請 い 自 ら も 詠 ん で 、 自 序 に よ れ ば 、 あ る 夜 の 夢 で 人 麻 呂 大 明 神 か ら 一 首 の 和 歌 を 賜 わ ∼ ﹂ の 一 首 で は な い 。 ウ 項 川 井 立 斎 他 の 場 合 と 同 じ で あ る が 、 基 に な る 歌 は ﹁ ほ の ぼ の と ・ れ し! は き し き お 納 ま 夢 し お も の 想 侍 に も ひ 和 歌 る も ひ め 歌 く 其 請 を の ら な ひ こ 浦 せ し と み 人 ぬ は は つ な り か よ 年 れ を ら り 月 を 誌 も て の し す よ 夢 感 そ み 想 返 あ て の な は 播 歌 ら れ 州 を ん と あ 一 と は か 字 仰 お し つ け も の ゝ は ふ み わ い と や か よ し ゐ ち の に て 経 ぬ 奉 人 高 ! " ! " 奉納和歌に見る言語遊戯 将 監 だ っ た こ と が わ か る 。 ま た 、 本 作 品 が 天 明 二 年 ︵ 一 七 八 二 ︶ 、 な お 、 傍 点 部 ﹁ し む │ し や う ﹂ は 、 呉 音 で は ﹁ し む │ ざ う ﹂ で 神 像 白 ﹂ な ど と あ る 。 そ こ か ら 、 作 者 藤 原 良 徳 は 藤 堂 氏 の 一 族 で 近 衛 府 し! に な か く お さ む 年 七 十 四 歳 藤 原 良 徳 謹 書 之 ﹂ と か ﹁ 奉 納 主 藤 堂 将 監 良 徳 跋 に は ﹁ 天 明 二 年 壬 寅 仲 夏 前 和 歌 所 三 条 西 亜 相 公 福 卿 門 人 奉 納 主 藤 堂 将 監 敬 良 敬 行 白 徳 か き の も と の し! む! し! や! う! と む あ ほ う し の つ く れ る を く! は! つ! せ! う! う 文 を 、 次 の 三 十 六 文 字 に 置 き 換 え 、 計 十 八 首 を 成 し て い る 。 こ の 時 に ﹁ 柿 本 の 神 像 頓 阿 法 師 の 作 れ る を 月 照 寺 に 長 く 納 む ﹂ と い 句 の 頭 と 第 三 句 の 頭 に 、 あ る 語 句 を 据 え て 詠 む の で あ る 。 為 村 は 、 ︵ 中 略 ・ ︶ 神 も 猶 あ は れ と や み る す る 玉 に 立 ま し り て も 波 の 藻 く つ を 八 首 と な し ﹂ と 言 う ご と く 、 各 歌 を 上 句 と 下 句 の 二 つ に 分 け て 、 初 そ れ は 、 十 八 首 和 歌 の 序 に ﹁ 歌! の! 上! 下! の! 句! の! か! た! に! 字! を! な! ら! へ! 十 天 明 二 年 ! " そ 夢 へ 想 て の の 奉 詠 歌 る 共 に か き 汝 は を て し ゝ そ 後 あ は お れ も と ひ は つ お ゝ も く ふ る と ま ゝ あ に る か に き 人 法 に よ っ て 詠 ま れ て い る 。 和 歌 が 添 え ら れ て い る 。 こ の ﹁ 為 村 十 八 首 和 歌 ﹂ は 冠 歌 に 準 ず る 手 頓 阿 法 師 作 の 人 麻 呂 尊 像 を 月 照 寺 へ 奉 納 し た 時 の 書 状 に 、 十 八 首 の 前寅壬 和 歌仲 所夏 三 条 西 亜 相 公 福 卿 門行 人年 七 藤十 四 原歳 良 徳 謹 書 之 明 和 七 年 ︵ 一 七 七 〇 ︶ 為 村 五 十 九 歳 の 夏 、 月 照 寺 僧 孝 道 を 通 じ 、 1 、 為 村 十 八 首 和 歌 ︵ 冷 泉 為 村 柿 本 尊 像 寄 進 状 ︶ 葉 遊 び が 見 え る 。 各 々 に つ い て 述 べ て み よ う 。 に か く や も く つ の 身 を も わ す れ て ・ す り く る は ひ ろ ふ か ひ あ る 浦 な み 柿 本 社 に 奉 納 し た 和 歌 や 文 書 類 は 四 点 に な る が 、 そ の 内 の 三 点 に 言 っ た こ と は 第 四 節 ﹁ 住 吉 社 奉 納 和 歌 の 場 合 ﹂ で も 述 べ た 。 彼 が 明 石 筆 を ひ か へ て 冷 泉 家 十 五 代 為 村 が 、 冷 泉 家 中 興 の 祖 と 謳 わ れ る 著 名 な 歌 人 で あ ・ ・ 花! る れ! に い お す ほ 祝は い 山れ ひ の 家 月 清 水 に き み な か か き れ て も 言 山 の 良 ふ 良 葉 徳 か 徳 の く つ む ゆ す も ふ 色 い そ ほ ふ り 春 の 秋 身 の の 空 た つ き な カ 、 冷 泉 為 村 の 言 語 遊 戯 歌 人 で あ っ た 。 の 公 福 に 師 事 し て い た こ と も 知 ら れ る 。 三 条 西 公 福 は 当 時 の 著 名 な 七 十 四 歳 の 時 の 奉 納 で 、 若 い 頃 に は 、 歌 道 の 家 で 知 ら れ る 三 条 西 家 一四 奉納和歌に見る言語遊戯 お! も ふ こ ゝ ろ に か く る こ と の 葉 ・ く! り か へ し 神 の し め 縄 な か ゝ れ と か! み の み か け を う つ す 神 垣 ・ な! に た か き ひ か り も 代 々 に ま す 鏡 ﹁ え 冷 冷 十 る 泉 八 。 泉 家 首 家 柿 で 和 本 人 歌 ﹂ 神 麻 に 呂 像 も 法 尊 ﹁ 像 楽 明 和 御 和 歌 法 七 ﹂ 楽 年 と が 夏 と 催 ﹂ も さ と に れ あ 月 た る 照 後 の 寺 に で へ 、 、 奉 三 内 納 座 題 さ 中 に れ の 記 た 一 す も 座 ご の が と と 、 く 本 考 、 一五 に! ぬ つ れ な さ の か た き 紐 あ る 。 こ こ に は ﹁ 明 和 七 年 四 月 十 三 日 ﹂ の 日 付 が あ り 、 前 の ﹁ 為 村 ・ し! は し た ゝ と け し や 契 り あ り し 夜 に て 得 ら れ た 人 麻 呂 像 三 座 、 そ の 人 麻 呂 尊 像 へ の 御 法 楽 が こ の 作 品 で う! き 名 な か さ ぬ し か ら み も か な 三 度 に 三! 座! お も は す 感! 得! す! る! 事! あ! り! ﹂ と 書 か れ て い る が 、 願 が 叶 っ ・ せ! け は な を 涙 そ て こ す 思 河 や! ︵ ま 中 略 ほ ︶ と ゝ き す を ち か へ り な く 覚 の 歌 な の で 、 澄 覚 す な わ ち 為 村 の 主 催 で あ 頓 っ 阿 た 法 師 ろ 作 う 去 。 年 の 冬 よ り 前 ﹁ 為 村 十 八 首 和 歌 ﹂ の 序 に も ﹁ 柿! 本! 尊! 像! で 、 澄 覚 が 二 首 、 他 は 一 首 の 計 十 首 を 詠 ん で い る 。 最 初 と 最 後 が 澄 ・ し! の ひ 音 の こ ろ す き ぬ れ は 夏 ふ か き 詠 者 は 、 冷 泉 家 の 澄 覚 ︵ 為 村 の 法 名 ︶ ・ 為 泰 ・ 為 章 を は じ め 九 人 む! ら く み え て さ け る 卯 花 柿 本 神 象マ マ 尊 前 法 楽 和 歌 ・ し! け か ら ぬ 言 葉 の 木 か け こ ゝ か し こ 明 和 七 年 四 月 十 三 日 於 冷 十 泉 首 家 の! と か な る 世 の は る を か さ ね む 柿 本 神 像 法 楽 和 歌 ﹂ で 、 内 題 に は 左 の ご と く 記 す 。 ・ と! し こ と の や よ ひ の ま つ り い く か へ り 関 連 あ る と 思 わ れ る 和 歌 が 、 月 照 寺 に 残 っ て い る 。 そ れ は ﹁ 冷 泉 家 も! る か け 霞 む は る の 夜 の 月 右 に 述 べ た ﹁ 為 村 十 八 首 和 歌 ︵ 冷 泉 為 村 柿 本 尊 像 寄 進 状 ︶ ﹂ に ・ の! と か な る 花 の ゆ ふ は へ く れ そ ひ て 2 、 冷 泉 家 柿 本 神 像 法 楽 和 歌 き! ゝ の 雪 消 の は し め な る ら む ・ か! た え ま つ さ き て 春 し る 梅 か ゝ や と も 上 句 と 下 句 の 二 つ に 分 け て 挙 げ て お く 。 る を 。 安 ち 置 な す み る に た 、 め こ に の 為 時 村 に が 奉 作 納 ら さ せ れ た た 頓 御 阿 厨 作 子 の は 柿 、 本 月 人 照 麻 寺 呂 に 尊 現 像 存 と し 、 て 尊 い 像 と で あ る 。 次 に 、 ﹁ 為 村 十 八 首 和 歌 ﹂ の 最 初 と 最 後 の 数 首 を 、 各 歌 の こ と 。 ﹁ く は つ │ せ う │ し ﹂ は グ ワ ツ セ ウ ジ 、 す な わ ち 月 照 寺 の こ む! か ふ ひ か り そ 道 に あ ま ね き ・ さ! ち あ れ と め く む も し る き 神 慮 奉納和歌に見る言語遊戯 ・ の! き ち か く 松 ふ く 風 も う つ も れ て け さ し ろ た へ に 雪 そ つ も れ る 雪の 深 善 行 佐 々 木 典 膳 巻 軸 の 御 歌 を か し ら に を き 法 楽 の 和 歌 三 十 一 沙 首 弥 澄 覚 上 名 、 つ ま り 十 首 の 各 頭 を つ な ぐ と ﹁ し む し や う の そ む せ む ︵ 神 像 の の 右 肩 に 、 そ の 歌 を ど の 仮 名 で 詠 み 出 す か が 記 さ れ て い る 。 そ の 仮 霞 ﹂ ﹁ 見 花 ﹂ ﹁ 郭 公 ﹂ 以 下 の 各 歌 題 の も と に 詠 ま れ る が 、 こ の 各 歌 題 な お 、 本 作 品 に も 冠 歌 の 言 葉 遊 び が 見 ら れ る 。 こ の 十 首 は ﹁ 浦 為 村 詠 三 十 一 首 和 歌 の 最 初 と 最 後 を 少 し 引 用 し て み よ う 。 御 十 と 為 は ・ ・ ・ ・ 歌 一 そ 村 、 明 い け せ! む! 袖! む! う も さ ﹂ 首 れ 詠 本 和 は の し と ゝ と ﹂ は 三 文 七 3 か 一 玉 露 浪 は と 、 十 に 年 、 ひ 首 か せ む そ や 、 言 為 一 続 ︵ 為 あ 祝む ︵ け 眺 の 顕 か 契 ﹁ う ﹁ し 柿 村 首 き 一 村 ふ 言 て 望 よ 恋 け 恋 玉 る し か 本 ご が が 月 七 書 く み 葉 の ち の 講 と 跋 付 照 七 写 神 る 和 影 衣 き 〇 く ﹁ お さ に 寺 め 式 歌 か に り ︶ 、 柿 ほ れ ﹁ 僧 は ﹂ 集 し も よ の 冠 巻! 、 孝 に 本 し て ﹂ ! こ 道 、 講 こ 澄 為 貞 軸 め け 蕙 歌 と な 人 に ! こ の 為 式 み 覚 の 章 雄 し ふ □畝 の よ カ き 麻 言 ! に 跋 村 ﹂ 三 御 よ よ 手 と 明 呂 う 冷 り 松 り 三 む 歌 法 歌! 言 文 が 中 度 人 石 泉 し 永 は 品 を え と の と 語 書 と 十 麻 潟 少 ら 鴻 か 仁 も 二 な か 遊 為 写 三 て 呂 浦 将 れ 之 は 兵 し 千 っ 十 む 戯 さ ︵ 村 首 歌 な 注 一 世 ら 初 進 ら 衛 て か が の せ! 中 ︶ み に も ぬ ぬ い 首 し 見 ︶ 跋 奉 、 の は と る 中 る を ら 文 納 の こ □ き れ が し こ 人 と 。 ひ と ︵ む の た 傍 と る 虫 あ た で る う の 点 法 。 る ﹁ に 損 あ ︶ 瑞 つ む 部 楽 又 。 柿 る 風 の 籬 り ゆ ﹁ あ さ 本 。 も の 香 く 巻 和 は ら 講 次 し う 末 軸 歌 め に 式 に つ 三 ち の や 、 、 ﹂ 光 昌 竹 内 松 月 郭し 公 祐 之 杉 本 相 模 守 ・ む! か し に も か は ら ぬ よ そ め 雲 ふ か く さ か り の 花 を み よ し の ゝ 山 尊 前 ︶ ﹂ と な る 。 ・ ぬ や! ち く 沖う さ 月 の 花 な る の へ 為 の 泰 に し 冷 き 泉 に 左 も 衛 真 門 萩 督 は は な の た ち も ま さ れ 野や 萩 ・ 忍! ひ か ね 山 ほ と ゝ き す す む 月 の あ か し の 岡 へ あ か す な く ら し は 書 か れ て い な い 。 ・ う! ら 波 の 名 に た つ 影 は さ や け し な 明 石 の 沖 の あ き の 夜 の 月 見む 花 源 証 自 性 院 権 僧 正 ・ し! ま く の 雪 も 消 ぬ ら し 朝 日 影 あ か し の 沖 に か す む う ら 波 柿 明 浦し 本 和 霞 神 七 象 年 尊 四 前 月 法 十 楽 三 澄 和 日 覚 歌 於 冷 冷 十 泉 泉 首 家 入 道 前 大 納 言 左 に 全 文 を 載 せ て お く 。 筆 跡 は 為 村 の 自 筆 、 つ ま り 冷 泉 流 書 体 で 一六 奉納和歌に見る言語遊戯 な お 月 照 寺 に は 、 本 作 品 の 載 る ﹁ 柿 本 講 式 ﹂ と は 別 の ﹁ 柿 本 講 ▼ 古 今 集 仮 名 題 百 首 一七 神 前 に 奉 納 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ の や! か み! な! く さ! か さ! も! か や! た め! ら は! た あ! ︵ と き く さ く ぬ り へ か 中 ゝ ま け ね ひ ひ と ゝ く あ も し み ま て し 略 花 ふ と き す な は り た し 路 か ︶ を あ れ な か し つ る や た き ふ ぬ は く た み あ あ よ か か ほ あ い め ち ま か す す け と ま ら し の の し る み よ も き は つ ま し に た の り ま る い た も わ て ま う 水 か 雪 く ふ り さ ら も ち の き に も る に の す は に は に ま と 一 よ も 玉 い い る う か ふ 巻 ろ し か に て み つ ひ も の つ を き し ぬ え る て と む 世 く の へ ら て 音 も た か の さ も の し こ や は に し さ あ と ひ の ほ は る 木 を か か の か と り ね か 々 神 へ し ひ り け な な せ う も を の か を さ か ら し ち く こ な り い そ る は る か り め み そ ま へ ゝ し く す か て を 代 に て き の に む へ あ か 々 う に し え ほ み さ ふ け に つ ほ の た ふ よ な く て く し ふ 青 の む し む 神 く も つ 月 柳 う め ﹁ 後 撰 集 仮 名 題 百 首 ﹂ ﹁ 拾 遺 集 仮 名 題 百 首 ﹂ と い う 題 が 付 い て い る 。 る 。 内 容 は 三 部 構 成 に な っ て い て 、 そ れ ぞ れ ﹁ 古 今 集 仮 名 題 百 首 ﹂ す は 志 り 願 ま は の 雑 く の に う あ た か に し の の ふ 月 照 寺 孝 明 道 和 に 七 よ 年 せ 冬 て 欠 字 合 計 三 百 首 を 詠 ん で い る が 、 各 冒 頭 を 二 首 ず つ 見 て み よ う 。 百 首 和 歌 桑 門 慈 延 ﹂ と あ る も の の 、 跋 は な く 奉 納 年 月 も 不 詳 で あ 木 箱 に 入 れ て 保 管 さ れ て い る 。 表 紙 に は 外 題 が な く 、 内 題 に ﹁ 詠 三 桑 門 慈 延 の 作 品 は 和 綴 本 で 、 ﹁ 奉 納 三 百 首 和 歌 慈 延 ﹂ と 書 い た ア 、 桑 門 慈 延 の 言 語 遊 戯 以 下 に 、 彼 ら の 言 葉 遊 び を 用 い た 奉 納 和 歌 を 紹 介 し よ う 。 ・ 冷 泉 為 村 ⋮ 二 点 ・ 越 智 盛 之 ⋮ 二 点 ・ 桑 門 慈 延 ⋮ 一 点 そ の 内 の 五 点 の 奉 納 和 歌 に 、 左 三 名 に よ る 言 語 遊 戯 が 見 ら れ る 。 た 。 現 在 は 、 高 津 柿 本 神 社 に 九 十 点 の 和 歌 関 係 資 料 が 残 っ て い る 。 初 年 の 廃 仏 毀 釈 に よ り 、 真 福 寺 が 廃 寺 に な っ た 時 に 神 社 側 に 移 さ れ 別 当 真 福 寺 を 通 じ 、 高 津 柿 本 社 に 奉 納 さ れ た 和 歌 や 文 書 は 、 明 治 六 、 高 津 柿 本 社 奉 納 和 歌 の 場 合 三 余 の 言 語 遊 戯 に 見 る 人 麻 呂 歌 十 二 首 と は 、 三 首 が 異 な っ て い る 。 の と 歌 も 配 置 順 も 同 じ で あ る 。 し か し 、 ︿ 本 節 エ 項 ﹀ で 論 じ た 桑 門 式 ﹂ が あ る 。 中 に 引 か れ る 人 麻 呂 歌 十 二 首 は 、 為 村 が 書 写 さ せ た も 奉納和歌に見る言語遊戯 の 八 十 八 歳 時 、 高 津 柿 本 社 へ 奉 納 し た ﹁ 奉 納 和 歌 本 理 院 競 ﹂ に 冠 源 ま さ ず み 越 智 盛 之 ︵ 本 理 院 競 ︶ は 、 津 和 野 藩 に 仕 え た 藩 臣 で あ る 。 辞 職 後 ・ 袖 ひ ち て む す び し 水 の こ ほ れ る を 春! 立! つ! け! ふ! の! 風 や と く ら む ▼ 古 今 和 歌 集 る ︵ ﹃ 新 編 国 歌 大 観 ﹄ ︿ CD-ROM ・ 谷 風 に と! く! る! こ! ほ! り! の! ひ ま ご と に う ち い づ る 浪 や 春 の は つ 花 版 角 紀 川 貫 書 之 店 ﹀ ︶ 。 イ 、 越 智 盛 之 の 言 語 遊 戯 呼 ば れ た 。 手 法 を と っ て い る 。 右 に 引 用 し た 仮 名 題 の 本 歌 は 、 次 の と お り で あ 古 歌 か ら 、 七 文 字 句 を 借 り た も の で 、 そ れ を 自 歌 に 折 り 込 む と い う 宗 僧 で あ っ た が 、 隠 遁 し 冷 泉 為 村 の 門 弟 と な り 、 為 村 門 下 四 天 王 と え 面 ま の の ・ ・ ▼ ・ ・ ▼ な る で 引 各 、 こ あ 拾 山 あ 後 お 。 見 用 句 桑 の ん は る ら 遺 高 ら 撰 れ し を 門 慈 、 た た 和 み た 和 ば て 借 三 延 桑 つ ま 歌 霞! ま 歌 、 自 り 余 の 門 と の 集 を! の 集 慈 歌 て の 手 慈 わ! い 年! 年! 延 を 五 言 法 延 立! け! も! ふ の 詠 首 語 は は 帰! て! こ! ば 方 む を 遊 、 、 る! ち え! か 法 と 詠 戯 前 信 朝 ぬ! る り に い む に ︿ 濃 る! よ 花 に 比 う と よ 五 国 松 り を や べ 点 い く 節 の 山 ま 雪 三 三 は う 似 エ 出 の た と 吉 余 共 も て 項 身 浪 る や 野 の 通 の い ﹀ で の 壬 る 素 よ よ の 元 方 し で る で 俗 山! 生 物 性 そ み 心 平 が て あ 。 見 姓 も! 忠 は 法 の 人 は の 工 い っ 三 た は か! 岑 う 師 人 し い み 夫 る た 余 塚 す! ぐ は ら か こ を が 。 の 明 田 み! ひ 見 ず が の 凝 、 古 場 石 。 て! な む す る ら 言 歌 合 柿 京 け る す の ら し 葉 の は 本 都 さ ら め こ ん て 遊 句 、 社 に は む ゑ い び を 人 奉 住 見 る と そ 麻 納 む ゆ と い の 呂 和 天 ら 考 う ま 歌 歌 台 各 々 の 仮 名 題 は 、 ﹁ 古 今 和 歌 集 ﹂ ﹁ 後 撰 和 歌 集 ﹂ ﹁ 拾 遺 和 歌 集 ﹂ の ・ 春 の た つ い つ こ は あ れ と 九 重 の 都 は 四 方 の 山! も! 霞! み! て! 山! も! 霞! み! て! ・ 花 鳥 の 色 音 の 外 の 春 な れ や 年! 立! か! へ! る! 今 朝 の 心 は 年! 立! か! へ! る! ▼ 拾 遺 集 仮 名 題 百 首 ・ 暮 ふ か き 霞! を! わ! け! て! 山 の は に ほ の め く 影 や 春 の 三 か 月 霞! を! わ! け! て! ・ 春 と 吹 す 磨 の 浦 風 あ く る よ の 関 路 霞 て 歳! も! こ! え! ぬ! る! 歳! も! こ! え! ぬ! る! ▼ 後 撰 集 仮 名 題 百 首 ・ な か れ て や 四 方 に み つ ら む 谷 陰 に と! く! る! 氷! の! 末 の 深 水 と! く! る! 氷! の! ・ 雪 の う ち も 春! た! つ! け! ふ! の! 峯 の 松 ま つ ひ と し ほ の 色 や 見 す 覧 春! た! つ! け! ふ! の! 一八 奉納和歌に見る言語遊戯 傍 点 部 を ﹁ い わ み の く に た か つ の と た の さ と か き の も と し = ・ 正 月 な ら へ て 、 和 歌 三 十 六 首 を つ ゝ り ぬ 。 桃 ︹ し ︺ 一九 ︺ 内 は 、 歌 の 最 初 の 文 字 で 、 つ な ぐ と 各 々 の 題 と 歌 の 頭 の 文 字 は 、 次 の ご と く で あ る 。 右 の 説 明 の 許 、 十 二 ケ 月 に 各 歌 題 を 設 け て 十 二 首 を 詠 む 。 傍 点 部 を ﹁ い わ て お ち ほ む り い む き ほ ふ は ち し う は ち の か 四 季 に わ か ち て つ ゝ り ぬ 。 人 を 祝 ひ 身 を も 祝 ひ 、 折 に 触 れ こ と に よ せ つ ゝ 、 老 の 心 は せ を の! 数! と し て 謝 し た て ま つ る 。 年 賀 に よ せ て 、 十 二 ケ 月 の 和 歌 に 跋 ︵ 同 ② の 三 六 首 ︶ の 和 歌 六 十 四 首 に 加 て 、 八! 十! 八! 首! を! 年! 賀! ④ 右 二 十 四 首 ︵ 筆 者 注 ③ の 二 四 首 ︶ を 、 序 ︵ 同 = = ・ 三 月 な お 、 歌 題 の 下 ︹ わ か ひ や く し ゆ ﹂ と い う 文 字 に 置 き 換 え 、 そ れ を 各 歌 の 頭 仮 名 字 二 十 八 字 に や は ら け 、 歌 の 上 句 毎 一 字 つ ゝ な ら へ 、 和 歌 = = 桜 ︹ ち ︺ ﹁ は ち し う は ち と し の い わ い ︵ 八! 十! 八! 歳! の! 祝! ︶ ﹂ と な り 、 こ に 据 え て 二 十 八 首 の 冠 歌 を 詠 む 。 二 十 八 首 を つ ゝ り ぬ 。 = れ も 冠 歌 で あ る ・ 。 二 月 立 春 ︹ は ︺ 字 を 、 仮 名 字 三 十 六 字 に や は ら け 、 歌 の 上 句 の 頭 毎 に 一 字 つ ゝ ② 石! 見! 之! 国! 高! 角! 戸! 田! 之! 里! 柿! 本! 正! 一! 位! 大! 明! 神! 奉! 納! 、 と 云 真 名 字 二 十 編 そ て ① ︶ 。 れ 各 岩! は 編 手! 、 の 越! 次 初 智! の め 本! ご に 理! と 、 院! く 題 競! で と 八! あ 、 十! る ど 八! ︵ の 之! ① よ 賀! は う 和! 第 に 歌! 一 詠 百! 編 む 首! 、 か 、 ② の と は 説 云 第 明 真 二 が 名 施 編 字 、 さ 十 ③ れ 七 は て 字 第 い を 三 る 、 。 ① の 二 八 首 ︶ ら に 十 二 首 を 添 え る 。 そ し て 、 第 三 例 ③ ︵ 第 三 編 ︶ の 和 歌 に 続 い て 左 の よ う に 記 し 、 さ こ の 巻 子 の 中 に は 、 三 編 の 自 詠 和 歌 、 合 計 百 首 が 見 ら れ る 。 そ し 九 歳 の 時 に 奉 納 し た も の で あ る 。 ︵ 一 七 四 一 ︶ 八 月 、 八 十 八 歳 の 年 に こ れ を 成 し 、 翌 二 年 六 月 、 八 十 ﹁ 歌 奉 の こ 納 手 和 の 1 法 和 歌 歌 、 に 奉 よ 本 作 納 っ 品 理 和 た 院 は 歌 和 競 巻 ︵ 歌 ﹂ 子 本 を と で 理 確 書 、 院 認 か 木 競 す れ 箱 ︶ る て に こ い 入 と る れ が 。 て で 奉 跋 き 文 納 る に さ 。 れ よ れ た ば 。 、 箱 寛 蓋 保 の 元 表 年 に 日! 誕! て 誕の 傍 生! 二 生お 点 之! 十 の 部 人! 四 人ひ と を 首 ﹂ ﹁ の と せ 冠 い う 歌 う を を 文 う 詠 字 さ む に む 。 置 ね き む 換 甲き え 午む 、 に そ れ く を わ 各 つ 歌 に の し 頭 う に に 据 に え ち 字 つ ゝ な ら へ て 二 十 四 首 を 綴 り ぬ 。 承! 応! 三! 年! 甲! 午! 二! 月! 二! 十! 二! と 云 四 つ の 文 字 を 、 真 名 字 仮 名 字 取 更 て 、 歌 の 上 句 の 頭 毎 に 一 ③ 恐 れ あ り と 云 へ と も 、 愚 老 か 出 生 の 年 号 支 幹 月 日 、 并 誕 生 之 人 ﹁ 奉 納 和 歌 二 百 首 ﹂ 中 に 、 盛 之 九 十 歳 の 詠 百 首 が あ り 、 そ こ に も 冠 え 、 そ れ を 各 歌 の 頭 に 据 え て 三 十 六 首 の 冠 歌 を 詠 む 。 歌 の 手 法 が 見 え る 。 ま た 盛 之 の 没 後 、 子 之 通 に よ っ て 奉 納 さ れ た や う い ち い た い め う し む ほ う の う ﹂ と い う 文 字 に 置 き 換 奉納和歌に見る言語遊戯 民 部 卿 単 な 紹 介 に 止 ど め る 。 言 葉 遊 び が 見 ら れ る 作 品 は 、 第 二 例 ② ﹁ 柿 本 あ る 。 そ れ は 、 春 七 首 ・ 夏 三 首 ・ 秋 七 首 ・ 冬 三 首 ・ 恋 四 首 ・ 雑 七 首 を 、 三 十 一 文 字 の 仮 名 に 直 し 、 各 首 の 頭 に 据 え て 詠 む と い う も の で 為 村 の 言 語 遊 戯 に 関 し て は 、 既 に 詳 述 し て い る の で 、 こ こ で は 簡 ④ ﹁ 詠 五 首 和 歌 ﹂ ⋮ 年 月 不 記 ︿ 安 永 二 年 ︵ 一 七 七 三 ︶ 奉 納 ﹀ ⋮ 62 歳 桜 さ く と を 山 鳥 の し た り 尾 の な か ! " し 日 も あ か ぬ 色 か な ③ ﹁ 春 日 詠 五 十 首 和 歌 ﹂ ⋮ 明 和 五 年 ︵ 一 七 六 八 ︶ 二 月 奉 納 ⋮ ⋮ 57 歳 び が 見 ら れ る 。 そ れ は 、 後 鳥 羽 院 の 御 製 、 ② ﹁ 柿 本 社 奉 納 十 五 首 和 歌 ﹂ ⋮ 明 和 四 年 ︵ 一 七 六 七 ︶ 七 月 奉 納 ⋮ 56 歳 賀 を 冠 歌 の 手 法 で 詠 ん で い る 。 百 首 の 詠 で あ る が 、 こ の 中 に 言 葉 遊 ① ﹁ 秋 日 詠 百 首 和 歌 ﹂ ⋮ 元 文 元 年 ︵ 一 七 三 六 ︶ 十 一 月 奉 納 ⋮ ⋮ 25 歳 越 智 盛 之 は 、 前 和 歌 作 品 の 二 年 後 ︵ 寛 保 三 年 春 ︶ に も 、 九 十 歳 の そ の 時 に 彼 は 十 二 歳 で あ っ た か ら 、 十 三 年 後 の 奉 納 再 開 と な る 。 2 、 奉 納 和 歌 二 百 首 ︵ 越 智 盛 之 ・ 之 通 父 子 ︶ ﹁ 五 十 首 和 歌 短 冊 ﹂ 中 の 、 ﹁ 紅 葉 ﹂ 短 冊 が 為 村 の 最 初 の 奉 納 短 冊 で 、 で あ る 。 大 変 に 手 の 込 ん だ 言 語 遊 戯 と 言 え る 。 八 年 ︵ 一 七 二 三 ︶ 二 月 、 人 麻 呂 千 年 忌 の 折 に 霊 元 法 皇 の 奉 納 し た と に な る 。 こ れ が 、 ﹁ 越 智 盛 之 ︵ 本 理 院 競 ︶ 奉 納 和 歌 ﹂ の あ ら ま し 冷 泉 為 村 は 、 高 津 柿 本 社 へ 四 点 の 和 歌 懐 紙 を 奉 納 し て い る 。 享 保 右 の ① ② ③ が 八 十 八 首 、 ④ が 十 二 首 な の で 、 合 計 百 首 を 詠 ん だ こ ・ ・ ・ 十 七 四 月 月 月 神 無 月 ︹ い ︺ ・ 十 一 月 七 夕 ︹ と ︺ 衾 ︹ わ ︺ ・ 十 二 月 名 月 ︹ し ︺ ・ 九 月 菖 蒲 ︹ は ︺ ・ 六 月 歳 暮 ︹ い ︺ ウ 、 冷 泉 為 村 の 言 語 遊 戯 う の 花 ︹ う ︺ ・ ・ 八 五 月 月 = 置毎 一哥 字首 1 、 柿 本 社 奉 納 十 五 首 和 歌 社 奉 納 十 五 首 和 歌 ﹂ と 、 第 四 例 ④ ﹁ 詠 五 首 和 歌 ﹂ の 二 点 で あ る 。 の 三 十 一 首 。 = 第 二 例 ② 番 和 歌 は 、 冒 頭 に ﹁ 柿 本 社 奉 納 十 五 首 和 歌 次 い で 、 ︿ 年 中 行 事 十 二 カ 月 の 和 歌 ﹀ と し て 、 正 月 か ら 十 二 月 ま = 藤 原 為 村 ﹂ と あ る 。 内 題 に は ﹁ 毎 哥 首 置 一 字 ﹂ と 添 え ら れ て い る の で の 各 月 の 歌 の 頭 に 、 九 十 歳 の こ の 年 ﹁ 寛 保 三 癸 亥 ︵ く わ む ほ う さ = で 、 冠 歌 の 手 法 を 用 い て い る こ と が わ か る 。 む み づ の と い ︶ ﹂ を 、 十 二 の 仮 名 文 字 に 置 き 換 え 据 え て 冠 歌 十 二 首 。 = 懐 紙 に し た た め ら れ た 十 五 首 の 、 各 頭 の 文 字 を つ な ぐ と 、 ﹁ い は 右 の 冠 歌 計 四 十 三 首 に 、 七 首 を 添 え て 五 十 首 。 さ ら に 、 人 麻 呂 千 = み の く に し む ふ く し に お さ む ︵ 石 見 国 真 福 寺 に 納 む ︶ ﹂ と な る 。 為 年 忌 の 折 、 霊 元 法 皇 が 高 津 柿 本 社 に 奉 納 し た 堂 上 方 の ﹁ 御 法 楽 五 十 = 首 和 歌 短 冊 ﹂ の 歌 題 を 借 り な が ら 五 十 首 。 つ ご う 百 首 と し て い る 。 = 村 は 、 こ の よ う な 意 を 込 め て 十 五 首 を 詠 ん だ の で あ る 。 こ の 百 首 は 十 三 年 の 後 、 盛 之 の 没 後 に 、 子 越 智 之 通 に よ っ て 奉 納 = さ れ た 。 之 通 は 自 ら の 百 首 を ﹁ 堀 河 百 首 ﹂ の 歌 題 を 基 に し て 詠 み 、 き く 酒 ︹ の ︺ 祓 ︹ ち ︺ 年 ︵ 一 七 五 六 ︶ 三 月 十 八 日 に 奉 納 し て い る 。 父 盛 之 の 百 首 と 共 に 巻 子 ﹁ 奉 納 和 歌 二 百 首 ﹂ と し て ま と め 、 宝 暦 六 二〇 奉納和歌に見る言語遊戯 村 六 十 二 歳 の 時 の こ と で 、 死 去 前 年 の も の で あ る 。 ・ 木 綿 襷 と い っ た 複 雑 な 言 語 遊 戯 を 駆 使 し て 切 な る 思 い を 綴 り 、 神 二一 つ 詠 じ て 、 こ の 和 歌 作 品 を 別 当 真 福 寺 を 通 じ 奉 納 し た の で あ る 。 為 冷 泉 為 村 は 、 人 麻 呂 千 五 十 年 忌 に 際 し 、 人 麻 呂 へ の 思 い を 込 め つ 日 の 奉 納 で あ っ た こ と が わ か る 。 村 は 卿 卅 ま 奉 、 一 た 納 冷 首 、 和 泉 和沓 第 歌 為 歌冠 并 三 の 村 折 節 特 の 句 ﹂ で 徴 独 に 堺 の 擅 つ 田 一 場 い 通 つ に 節 が 終 て の あ 始 も 木 る し 触 綿 。 て れ 襷 い た を る 。 見 と 彼 た 言 の 時 え 作 に よ 品 、 う は 京 。 、 極 こ 沓 為 こ 冠 兼 に ・ の こ 文 ﹁ そ 字 為 、 鎖 兼 為 呂 千! 五! 十! 年! 忌 の 折 の 奉 納 、 つ ま り 、 安 永 二 年 ︵ 一 七 七 三 ︶ 三 月 十 八 す な わ ち ﹁ 千 五 十 年 ﹂ の 語 を 折 り 込 ん で い る こ と に よ り 、 柿 本 人 麻 語 句 に な る 。 本 作 品 の 奉 納 年 月 日 は 不 記 で あ る が 、 ﹁ 千ち い そ と し ﹂ 各 五 首 の 頭 に 置 い た 文 字 を 拾 っ て み る と 、 ﹁ 千ち い そ と し ﹂ と い う 意 と す る と こ ろ で あ っ た と 認 め ざ る を 得 な い 。 言 語 遊 戯 で の 奉 納 た り 、 そ の 場 に 適 し た 和 歌 を 用 い た り す る 点 か ら 見 て も 、 為 村 の 得 る 作 品 の 数 か ら 見 て も 、 折 々 の 気 持 や 事 情 を 的 確 に 表 す 言 葉 を 用 い さ れ る 。 だ が 、 や は り 言 語 遊 戯 を 以 て の 奉 納 和 歌 は 、 各 社 に 現 存 す 十 五 首 和 歌 ﹂ と 同 じ 冠 歌 に な っ て い る の だ 。 れ た 越 智 盛 之 の 冠 歌 な ど は 、 大 変 に 根 気 の い る も の で あ っ た と 推 察 は 、 恐 ら く ﹁ 和 歌 置毎 字首 ﹂ と 記 し て あ る 。 つ ま り 、 前 の ﹁ 柿 本 社 奉 納 玉 津 島 社 に 奉 納 さ れ た 堺 田 通 節 の 木 綿 襷 や 、 高 津 柿 本 社 に 奉 納 さ い る 。 虫 損 で 正 確 に は わ か ら な い も の の 、 内 題 ﹁ 詠 五 首 ﹂ の 下 に ・ 高 津 柿 本 社 奉 納 ⋮ 桑 門 慈 延 1 ・ 越 智 盛 之 2 ・ 冷 泉 為 村 2 第 四 例 ④ 番 和 歌 は 、 冒 頭 に ﹁ 詠 五 首 □ □ 2 、 詠 五 首 和 歌 首 和 歌 ﹂ を 真 福 寺 へ 奉 納 し た の で あ る 。 □□ □□ 澄 覚 ﹂ と 書 か れ て ・ 藤 原 良 徳 1 ・ 冷 泉 為 村 3 遂 川 名 部 光 慶 横 谷 恒 幸 ︶ 1 ・ 桑 門 三 余 1 ・ 明 石 柿 本 社 奉 納 ⋮ 岸 部 延 1 ・ 秦 正 珍 1 ・ 川 井 立 斎 他 四 人 ︵ 杉 本 そ し て 、 良 栄 の 訪 問 を 機 に 、 彼 を 通 じ て 本 作 品 ﹁ 柿 本 社 奉 納 十 五 ・ 住 吉 社 奉 納 ⋮ 冷 泉 為 村 2 十 一 日 、 彼! 僧! 歌! 道! 入! 門! 面! 謁! 之 次 、 附 之 捧 幣 代 。 ・ 玉 津 島 社 奉 納 ⋮ 堺 田 通 節 1 明 和 四 年 七 月 十 日 、 真! 福! 寺! 良! 栄! 来 入 朝 、 幸 時 之 故 即 吟 清 書 。 翌 と お り で あ っ た ︵ 氏 名 の 下 の 数 字 は 作 品 数 ︶ 。 門 を 乞 い 面 謁 し て い た こ と が わ か る 。 か ら 、 言 語 遊 戯 の 施 さ れ た 作 品 十 六 点 を 見 て き た 。 そ れ 等 は 、 次 の 跋 に は 次 の よ う に 記 さ れ て い て 、 明 和 四 年 七 月 、 僧 良 栄 が 為 村 に 入 近 世 期 に 、 和 歌 三 神 四 社 へ 奉 納 さ れ た 百 七 十 五 点 の 和 歌 資 料 の 中 僧 良 栄 と も 関 係 が 深 か っ た よ う だ 。 本 ﹁ 柿 本 社 奉 納 十 五 首 和 歌 ﹂ の 冷 泉 為 村 は 門 弟 を 各 地 に 有 し て い る が 、 高 津 柿 本 社 の 別 当 真 福 寺 お わ り に 奉納和歌に見る言語遊戯 注 4 ⋮ 近 世 期 の 歌 人 た ち は 、 享 保 八 年 三 月 十 八 日 を 柿 本 人 麻 呂 の 千 年 忌 で あ え た も の 。 平 安 末 期 の 歌 人 俊 恵 法 師 の 作 と も 、 鎌 倉 初 期 の 歌 人 藤 原 家 隆 月 一 朝 日 膳 に 之 お 後 け 於 る 柿! 自 本! 宅 影! の 前! 恒 詠 例 二 行 首 事 和 と 歌 し 矣 て ︵ 、 明 例 応 え 六 ば 年 、 正 月 一 日 条 ︶ 十 七 点 ﹂ と し た の は 月 照 寺 所 蔵 の 意 で あ る 。 資 料 や 関 連 文 書 の ほ と ん ど が 同 寺 に 現 存 す る 。 ﹁ 明 石 柿 本 社 ︵ 月 照 寺 ︶ 三 本 神 社 に 移 さ れ た 。 月 照 寺 の 場 合 は 廃 寺 を 免 れ た の で 、 奉 納 さ れ た 和 歌 廃 仏 毀 釈 に よ り 廃 寺 と な り 、 そ の 折 に 和 歌 関 係 資 料 の ほ と ん ど が 高 津 柿 照 寺 と 真 福 寺 を 通 じ て 行 わ れ た 。 と こ ろ が 、 高 津 の 真 福 寺 は 明 治 初 年 の 注 注 注 注 6 9 8 7 歌句 ⋮ ⋮ る ⋮ の ⋮ 和 国 柿 。 冷 成 久 ﹂ 文 本 泉 熟 保 ︵ 学 人 貴 ﹄ 田 研 麻 実 中 啓 究 呂 子 央 一 の ﹁ 公 ﹁ 資 十 冷 論 堂 料 泉 社 上 二 館 ︶ 家 首 の 和 に の を 公 歌 よ 筆 例 開 の る 道 に し 伝 。 │ 挙 て 統 定 げ い と 家 て る 文 よ 様う 、 電 化 │ 和 子 圏 ﹂ 歌 資 ﹂ ︵ ︵ ﹃ が 料 ﹃ ︶ 定 人 日 │ に 家 々 本 平 よ 様 に の 成 る ﹄ 及 。 近 27 ﹁ ぼ 世 年 五 為 す 1 2 島 5 兼 功 美 月 卿 文 徳 術 5 卅 学 な 館 日 一 と ど ︶ │ 首 美 を に 并沓 讃 よ 術 折冠 http : //base 1.nijl.ac.jp/iview/Frame.jsp?DB_ID=G 0003917KTM&C_ の 作 と も い う 。 な ど と 、 人 麻 呂 の 肖 像 画 の 前 で 和 歌 の 上 達 を 願 い つ つ 歌 を 詠 ん だ 旨 の 記 CODE=0020−04312&IMG_SIZE=&IMG_NO=3 注 10 ⋮ こ の ﹁ 柿 本 講 式 ﹂ は 、 冷 泉 為 村 が 門 弟 の 杉 本 祐 之 ︵ 御 室 御 所 諸 大 夫 ︶ 事 が よ く 見 ら れ る 。 注 3 ⋮ 三 条 西 実 隆 の 日 記 ﹁ 実 隆 公 記 ﹂ ︵ ﹃ 続 群 書 類 従 ﹄ ︿ 同 完 成 会 ﹀ ︶ に は 、 正 注 2 ⋮ 和 歌 の 奉 納 な ど は 、 明 石 柿 本 社 と 高 津 柿 本 社 の 場 合 、 別 当 寺 で あ る 月 つ ち の 詞 ﹂ が 手 習 詞 と し て 用 い ら れ た 。 人 ・ 衣 通 姫 と す る 説 な ど も あ る 。 中 期 頃 の 成 立 と 考 え ら る 。 こ の ﹁ い ろ は 歌 ﹂ が 一 般 化 す る ま で は ﹁ あ め 指 す 。 た だ し 、 玉 津 島 明 神 ・ 住 吉 明 神 ・ 天 満 天 神 、 柿 本 人 麻 呂 ・ 山 部 赤 る 。 つ い で な が ら 、 両 者 の 区 別 を し て い な い ﹁ い ろ は 歌 ﹂ は 、 平 安 時 代 挙 げ た も の 。 近 世 期 、 一 般 的 に は 玉 津 島 明 神 ・ 住 吉 明 神 ・ 柿 本 人 麻 呂 を つ ま り 、 ﹁ あ め つ ち の 詞 ﹂ は 平 安 時 代 の 初 期 に 作 ら れ た も の と 推 察 さ れ 注 注 1 ⋮ 和 歌 を 守 護 す る 三 柱 の 神 の こ と で 、 和 歌 と 関 連 あ る 神 や 秀 れ た 歌 人 を の で あ る 。 行 の エ ︵ e │ 榎 │ ︶ と ヤ 行 の エ ︵ ye │ 枝 │ ︶ と の 書 き 分 け を 反 映 し た も こ と を も 確 認 し 考 察 を 終 え る 。 初 頭 頃 に 大 部 分 は 混 同 し て 一 音 に な っ て ゆ く 中 、 依 然 と し て 存 在 し た ア こ れ は 、 奈 良 時 代 に は あ っ た イ エ オ 各 段 の 甲 乙 の 書 き 分 け が 、 平 安 時 代 る 、 そ う い っ た 意 図 が 奉 納 和 歌 に お け る 言 語 遊 戯 に は あ っ た 。 こ の 注 5 ⋮ 奉 こ 納 の さ 語 れ 句 る に よ は う ﹁ に え! な の る え! 。 を ︵ 榎 の 枝 を ︶ ﹂ と 、 ﹁ え ﹂ が 二 つ 入 っ て い る 。 こ の よ う に 、 苦 心 し 一 所 懸 命 に 詠 ん だ 和 歌 を 神 仏 に 謹 み 献 上 す ま た 、 こ れ 以 降 、 古 今 伝 授 後 御 法 楽 和 歌 が 高 津 と 明 石 の 両 柿 本 社 に も の 時 間 と 機 知 と 根 気 が 必 要 と な ろ う 。 れ て い る 。 る 。 さ ら に 、 こ の 時 に 霊 元 法 皇 よ り ﹁ 五 十 首 和 歌 短 冊 ﹂ が 両 者 に 授 け ら な い 。 こ れ 等 の 手 法 を 用 い た 和 歌 は 、 普 通 に 詠 む 場 合 に 比 べ 、 数 倍 ﹁ 太 政 官 符 ﹂ が 、 明 石 柿 本 社 別 当 月 照 寺 に は ﹁ 女 房 奉 書 ﹂ が 各 々 現 存 す ら 察 す る に 、 奉 納 和 歌 に お け る 言 語 遊 戯 は 、 単 な る 言 葉 の 遊 び で は 神 社 に は ︿ 正 一 位 柿 本 大 明 神 ﹀ の ﹁ 位 記 ﹂ ﹁ 宣 命 ﹂ お よ び 命 令 を 下 達 す る 仏 に 祈 願 し 捧 げ ら れ た も の で あ っ た 。 同 作 品 の 跋 に よ れ ば 、 こ の 和 歌 に よ っ て 彼 は 許 さ れ 、 上 洛 が 叶 っ た の だ と い う 。 為 兼 の 例 な ど か の 神 位 と ︿ 柿 本 大 明 神 ﹀ の 神 号 を 与 え る 旨 の 宣 旨 が 下 さ れ た 。 高 津 柿 本 石 見 国 高 津 と 播 磨 国 明 石 の 両 柿 本 社 に 祀 ら れ る 柿 本 人 麻 呂 に 、 ︿ 正 一 位 ﹀ る と 考 え て い た 。 そ れ に 合 わ せ 、 霊 元 法 皇 の 御 意 向 の も と 禁 裏 御 所 よ り 、 二二 奉納和歌に見る言語遊戯 て 、 加 筆 し た も の で あ る 。 二三 な お 、 本 稿 は 拙 著 ﹃ 和 歌 三 神 奉 納 和 歌 の 研 究 ﹄ ︵ 和 泉 書 院 ︶ を 基 に ま と め 書 写 し た 。 │ │ 平 成 二 十 七 年 十 月 一 日 │ │ に 依 頼 し 書 写 さ せ た 。 杉 本 は ﹁ 柿 本 講 式 ﹂ の 本 文 か ら 為 村 の 跋 文 ま で を
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