平成 22 年 8 月 1 日実施 ビジネスコンプライアンス検定 上級試験問題

平成 22 年 8 月 1 日実施 ビジネスコンプライアンス検定 上級試験問題
【問題 7】 株式会社の役員の責任について、講師が社内で研修をしている。次のうち、講師の
質問に対して、適切な回答をしている者は誰か。
講 師: 会社の役員が会社に対して損害賠償責任を負うのはどのような場合ですか。
社員A: 会社法では、取締役が任務を怠って会社に損害を与えた場合に、会社に対して損害
賠償責任を負うという一般的な規定があります。監査役については、この規定は適
用されません。
講 師: 取締役の損害賠償責任を免除することはできますか。
社員B: 原則として、すべての株主の同意があれば可能です。また、取締役が故意に会社に
損害を与えたのでなければ、株主総会の特別決議で全額を免除することもできます。
講 師: あらかじめ取締役の損害賠償責任を限定する方法はありますか。
社員C: すべての機関構成の会社にあてはまるわけではないですが、定款でその旨を定めて
おけば、対象となる取締役を除く取締役の過半数の同意または取締役会の決議で、
一定の額を超える部分の責任を免除することができます。ただし、どんな場合でも
免除ができるわけではありません。
講 師: 他にも方法はありますか。
社員D: 代表取締役以外の取締役については、賠償責任を負う額に上限を設ける旨の契約を
会社と取締役の間で締結しておくことが可能です。ただし、定款で限度額を定めて
おく必要があり、またどんな場合でも責任が限定されるわけではありません。
ア. 社員A
社員A
イ. 社員B
社員B
ウ. 社員C
社員C
エ. 社員D
社員D
平成 22 年 8 月 1 日実施 ビジネスコンプライアンス検定 上級試験問題
【問題 12】 独占禁止法の適用について、講師が事例を用いて、社内で研修をしている。次のう
ち、講師の質問に対して、不適切な回答をしている者は何人か。
病院向けベッドの製造を行うP社は、この分野で国内トップシェアを誇っている。P社は、
都立病院向けのベッドの入札に際し、都の入札係の職員に対し働きかけ、同社の製造する
ベッドのみが有している性能を条件とする入札を行わせた。また、P社はその影響力を背景
に入札に参加する販売業者間に指示して受注予定者を決めさせ、それ以外の業者に協力を要
請する等して予定通りの落札を実現させた。
講 師:この事例で問題となる独占禁止法上の規定は何だと思いますか。
社員A:入札を行わせた点と予定通りの落札を実現させた点を全体的に見れば、私的独占が
問題になり得ると思います。
講 師:なるほど。では、P社が販売業者と一緒に受注予定者を決めていた場合はどうでしょ
う。
社員B:販売業者との共同があるといえますから、不当な取引制限の成否が問題になってく
ると思います。
講
師:では、P社が同業の製造業者であるQ社と合併を計画している場合、独占禁止法上
どのような問題があるでしょうか。
社員C:企業結合規制に違反する可能性があります。両社が合併を行った結果、都立病院向
けのベッドの製造販売分野での競争を実質的に制限することとなる場合、合併は許
されません。この要件の判断には、両社の市場シェアの程度や企業集中度等の諸要
素が考慮されるので、本事例でP社のシェアが非常に大きくP社とQ社の他に有力
な同業者がほぼいないような場合は、合併規制に違反する可能性があります。
講
師:最後に、独占禁止法が守ろうとする「競争」につき、留意すべき点を本事例と関連
させて述べてください。
社員D:競争概念の多様性に留意すべきです。例えば、本事例では、P社が自社商品の価格
ではなく、受注予定者を決定させています。このような場合、受注予定者の決定は
入札に参加する事業者間での能率競争を阻害するものといえますから、独占禁止法
の保護する競争を害し得る行為といえます。
ア. 3人
イ. 2人
ウ. 1人
エ. 0人
平成 22 年 8 月 1 日実施 ビジネスコンプライアンス検定 上級試験問題
【問題 31~35】次の事例を読み、設問 1~5 に答えよ。
A社は主に調味料の製造販売を行う株式会社であり、生産本部という部署を設置している。
この部署担当の常務取締役である甲は、A社を代表して他社との取引に係る交渉・取引相手
の企業の選定を行っている。ある日、甲は本来ならば同社の取締役会で承認を得なければな
らない金額の製造機器βの購入契約を、承認を経ずにB社との間で締結した。製造機器βは
優れた製造機能を有しており、当初はA社の生産ラインの効率化に寄与していたが、1年も
経たない間に商品の清潔さを確保するための部位に不具合をきたし、A社の工場を操業停止
にさせる事態を引き起こした。これによりA社は大きな損失を被った。なお、操業停止を招
いた製造機器βの状況については、実は半年程前からその予兆があり、品質管理部門の責任
者である取締役乙は、その事実を認識しながらも取締役会に報告する等の行動を一切とって
いなかった。
[設問 3] A社は調味料に含まれる栄養素を効率的に体内に吸収できる独自の技術αを有し
ている。この場合に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。解答番号3
3に記入せよ。
ア. A社が技術α
技術αについて特許権
について特許権を
特許権を有しているとき、A
しているとき、A社
、A社は同業他社が
同業他社が技術α
技術αを用いるお
それがある場合
それがある場合に
場合に差止請求を
止請求を行うことができる。
うことができる。
イ. B社は、技術α
技術αの情報を
情報を不正に
不正に入手し
入手し、A社
、A社より先
より先にこの技術
にこの技術について
技術について特許出願
について特許出願して
特許出願して
特許権を
特許権を取得した
取得した。
した。この場合
この場合、A
場合、A社
、A社がB社からのこの特許権
からのこの特許権に
特許権に基づく差止請求
づく差止請求に
差止請求に対抗
するためには、
するためには、無効審判で
無効審判で当該特許権を
当該特許権を無効にすることは
無効にすることは必須
にすることは必須の
必須の要件ではない
要件ではない。
ではない。
ウ. A社が技術α
技術αについて特許権
について特許権を
特許権を有している場合
している場合、A
場合、A社
、A社は独占的な
独占的な権利を
権利を有しているか
ら、その権利行使
その権利行使の
権利行使の態様に
態様に法的な
法的な限界はない
限界はない。
はない。
エ. A社は技術α
技術αのネーミングにちなんだ
ネーミングにちなんだキャラクター
にちなんだキャラクターを
キャラクターを商標登録している
商標登録している。
している。この場合
この場合、
場合、
当該キャラクター
当該キャラクターと
と
混同するような
混同
するようなマーク
マークを
を
用
いて営業活動
いて
営業活動を
を
行
ったC
った
C
社
は
、
商標法
キャラクター
するようなマーク
営業活動
違反として
違反としてA
としてA社からの損害賠償請求
からの損害賠償請求を
損害賠償請求を受けることがある。
けることがある。
[設問 5] コンプライアンスの意義を「社会的要請への適応」ととらえた場合、次の記述の
うち、不適切なものはどれか。解答番号35に記入せよ。
ア. 甲の独断による
独断による契約締結
による契約締結は
契約締結は、取締役の
取締役の行動を
行動を監視する
監視するシステム
するシステムが
システムが不十分であったこと
不十分であったこと
が原因だった
原因だった。
だった。この場合
この場合、
場合、事態の
事態の再発を
再発を防止するために
防止するために、A
するために、A社
、A社が内部統制委員会を
内部統制委員会を新
設し、監視システム
監視システムを
システムを整備することは
整備することは、
することは、コンプライアンスの
コンプライアンスの見地から
見地から見
から見て適切な
適切な処置
といえる。
といえる。
イ. A社の調味料製造工場に
調味料製造工場においてライン
おいてライン運営業務
ライン運営業務に
運営業務に従事する
従事する従業員
する従業員らは
従業員らは、
らは、製造機器β
製造機器βの
不具合の
不具合の予兆となる
予兆となる稼働状況
となる稼働状況の
稼働状況の異常を
異常を認識し
認識し、中にはこの事実
にはこの事実を
事実を上司に
上司に報告した
報告した者
した者も
いた。
いた。このような現場
このような現場の
現場の声を十分に
十分に反映できなかった
反映できなかったA
できなかったA社が内部通報のための
内部通報のためのヘルプ
のためのヘルプ
ラインを
ラインを新設することは
新設することは、
することは、コンプライアンスの
コンプライアンスの見地から
見地から見
から見て適切な
適切な処置といえる
処置といえる。
といえる。
ウ. A社は環境負荷を
環境負荷を軽減するため
軽減するため、
自社工場に隣接する
隣接する地域
植樹活動を行い、その他
その他
するため、自社工場に
する地域に
地域に植樹活動を
周辺地域で
周辺地域で行われているごみ収集等
われているごみ収集等の
収集等のイベントにも
イベントにも積極的
にも積極的に
積極的に協賛している
協賛している。
している。この活動
この活動
はCSRへの
CSRへの対応
への対応と
対応と評価できるが
評価できるが、
できるが、直接コンプライアンス
直接コンプライアンスの
コンプライアンスの概念と
概念と関係するもの
関係するものでは
するものでは
ない。
ない。
エ. 製造機器β
製造機器βで用いられていた製法
いられていた製法は
製法は、形式的には
形式的には食品衛生法
には食品衛生法や
食品衛生法や水道法等の
水道法等の現行法に
現行法に違
反していた。
していた。しかし、
しかし、これらの規定
これらの規定が
規定が業界の
業界の慣行や
慣行や実態とかい
実態とかい離
とかい離しているような場合
しているような場合、
場合、
そういった規定
そういった規定を
規定を実態に
実態に沿うものにするべく働
うものにするべく働きかける活動
きかける活動は
活動は、コンプライアンスの
コンプライアンスの
見地から
見地から見
から見て適切である
適切である。
である。
試験問題内容に関して、他人にこれを伝え、漏洩することを禁じます。
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