エッセイコンテスト 2008 徹底研究

エッセイコンテスト 2008 徹底研究
∼JICA エッセイコンテストを通じて世界の問題を考えるきっかけを与えよう∼
都立新宿山吹高等学校
(全国国際教育研究協議会常務理事)斉藤宏
移住促進から国際協力へ、46 年間続いてきた歴史の中で、国際協力に対す
る生徒達の考え方を記録してきた貴重なコンテスト
今は「移住」といっても若い生徒達にとってはほとんどイメージがつかめないでし
ょう。エッセイコンテストは当時の国策であった移住促進としての「海外移住懸賞作
文」から始まったのです。
後にあげる、テーマの歴史(年度別テーマ表)を見てみると、その流れと当時の時
代背景をとてもよく表していることが分かります。
JICA 高校生エッセイコンテストに対する国際研の協力の歴史は古く、
「エッセイコン
テスト」と改称されたのは最近ともいえる 1990(平成2)年で、最初は前にも述べた
ように「海外移住懸賞作文」として 1962(昭和 37)年中学の部「私の南米観」高校の
部「我が国の海外移住はどうあるべきか」という、今ではなじみの薄くなった海外移
住をテーマに行われたのでした。その頃、国際研は「全国高等学校海外教育研究協議
会」(以後 全海協)として、戦後の移住の再開と共に農業青年の移住が盛んになり、
その対象となる青少年に対し、海外移住の正しい理解と発展を促すための教育の必要
性から、農業高校生の卒業後の移住に方向性を向けたものでした。当時、移住事業団
だった JICA と全海協は強い協力関係を持っていました。その協力関係で生まれた冊子
「海外への道」の巻頭には当時の全海協副会長中島圭之助氏の「居心地の良い確かな
現在よりも不確かな可能性の未来に挑む」という、今でも勇気を奮い起こさせる一文
が書かれています。いかに夢と希望を抱いて南米への移住を考えたか、当時の人々の
熱い想いがこめられた文章だと思います。この冊子は今も JICA 横浜・海外移住資料館
の資料室に保管されています。
しかし、その後日本の経済は飛躍的な発展を遂げ、国際社会における日本の地位が
向上し、国際人としての日本人の育成が論議されるようになり、全国の研究集会にお
いても、しばしば、国際理解、国際協力に関する学校教育のあり方とその方法が検討
され、より実践的な国際活動を基盤とした「国際社会で活躍できる人材育成のための
教育活動」に流れが拡大していったのです。
この流れは、JICA が「海外移住事業団」から「海外技術協力事業団」を経て 1974(昭
和 49)年「国際協力事業団」に変わって行く流れと呼応したものでした。その流れを
受け、1983(昭和 58)年テーマは移住から「国際協力−21 世紀の友づくり」に大きく
変化を遂げました。この年以降、1985 年「地球社会にいきる」1986 年「途上国とのふ
れあい」などの国際協力に関連したテーマが続き、今年の「地球と生きる∼地球に暮
らす一員としてできること、考えること∼」に至りました。これも、地球環境変動に
伴う地球温暖化などの問題で起こっている世界の環境問題への関心の高まりの世相を
現したテーマであります。生徒達にその時代時代でのテーマに基づき考え方をエッセ
イとして書いてもらい、それが記録として蓄積していくことは大きな価値を持ってい
ると考えています。
年度
エッセイコンテスト(懸賞作文)年度別テーマ
1962
【海外移住懸賞作文】わが国の海外移住はどうあるべきか
1963
【海外移住懸賞作文】海外に目を向けよう
1964
【海外移住懸賞作文】民族の発展と海外移住
1965
【海外移住懸賞作文】国際協力と海外移住
1966
【海外移住懸賞作文】フロンティアにいどもう
1967
【海外移住懸賞作文】世界の中の日本人
1968
【海外移住懸賞作文】移住 100 年を迎えて(日本の移住は 1868 年に始まった)
1969
【海外移住懸賞作文】私の将来と海外移住
1970
【海外移住懸賞作文】若人の海外発展への道
1971
【海外移住懸賞作文】国際社会に生きる若人
1972
【海外発展懸賞作文】国際化時代と日本人の役割
1973
【海外発展懸賞作文】日本の将来と海外移住
1974
【海外発展懸賞作文】海外に求める私の生きがい、世界資源と日本の将来
1975
【海外発展懸賞作文】これからの日本人と国際感覚
1976
【海外発展懸賞作文】海外に生きる若者
1977
【海外発展懸賞作文】私が考える南米
1978
【海外発展懸賞作文】ブラジル移住 70 年に思う
1979
【海外発展懸賞作文】国際化時代とこれからの海外移住
1980
【海外発展懸賞作文】これからの海外移住に思う
1981
【国際協力懸賞作文】日本人の海外発展と国際協力 、世界の中の日本
1982
【国際協力懸賞作文】なぜ国際協力もし私が途上国に生まれていたら、海外移住に可能性を求めて
1983
【国際協力懸賞作文】国際協力−21 世紀の友づくり自由題
1984
【高校生懸賞作文】私の中の途上国
1985
【高校生懸賞作文】地球社会に生きる
1986
【高校生懸賞作文】途上国とのふれあい
1987
【高校生懸賞作文】開発途上国とのふれあい
1988-1989
①技術協力②青年海外協力隊③移住
【高校生懸賞作文】21 世紀を生きるー途上国とのふれあいの中で
1990
【高校生エッセイコンテスト】えがお・で・あい
1991
【高校生エッセイコンテスト】(自由)
1992
【高校生エッセイコンテスト】心の地球儀回ってますか?
1993
【高校生エッセイコンテスト】自由(開発途上国について)
1994
【高校生エッセイコンテスト】自由(開発途上国について)
地球環境を守るため日本は何をすべきだと思いますか
1995
【中学生・高校生エッセイコンテスト】自由(開発途上国について)
1996
【中学生・高校生エッセイコンテスト】自由(開発途上国や国際協力について)
1997-2004
2005
2006-2007
2008
【中学生・高校生エッセイコンテスト】途上国や国際協力について考えていること
【中学生・高校生エッセイコンテスト】開発途上国や国際協力、国際理解について考えていること
【中学生・高校生エッセイコンテスト】
世界のみんなが幸せになるために ∼私が考えること、できること∼
【中学生・高校生エッセイコンテスト】
地球と生きる∼地球に暮らす一員としてできること、考えること∼
グローバルイシューが顕在化する今だからこそ、生徒達に未来の地球のこ
とを考えてもらいたい
国際研としては、この事業に対して後援をし、毎年全国の大会でとりあげ参加を勧
奨し、各地区で予選審査員に協力し、最終審査員には会長が参加し、総力をあげて取
り組んでいる行事です。
その理由は、グローバルイシュー解決のためには、問題解決に取り組む若い世代を
育てることが最も効果的で、世界の中でともに生きなければならない日本の未来のた
めに欠かせないでしょう。
資源のない日本にとって、世界の人々から尊敬され、共生できる関係を未来に向け
て築くためには、
「国際協力を日本の文化」として世界に発信していく必要があるから
です。
生徒にとっては、エッセイを書くことは自分の考えをその成長段階で整理しまと
めることであり、次ぎへの行動へつなげる準備にもなります。同時に教師たちにして
みると国際理解教育及び開発教育の実践活動が本当に高校生達の心に伝わっているの
かどうかが検証できる行事と考えられます。
つまり、教師が国際理解教育、開発教育にたずさわり、地域や学校現場で様々な取
り組みを行った、その反応、フイードバックがこのエッセイに生きてくるのです。い
ま生徒達が、何を感じ、どのように行動し、どのような未来を生きようと考えている
のか、その一端を読み取ることができるからです。それは、時代とともに変化してい
く生徒達の偽らざる感覚で、その内容の深さこそが、そのまま私達の教育への評価で
もあると考えられるからなのです。
エッセイを出すことは目的でなく始まりに過ぎない、ファシリテーターと
しての教師の役目は欠かせない
教師の立場はエッセイ勧奨を通じて生徒達の人生の進路へのファシリテーターの役
目と考えましょう。つまり、エッセイを書くきっかけを作る関わりだけでなく、エッ
セイが作品としてのエッセイに終わる事がないように関わることです。高校生が自分
の体験に基づいたエッセイを書くことで、自分自身のアイデンティテイに気づき、そ
れが自分や人を動かす力になるような方向に導けたらすばらしい事でしょう。
年々応募者が拡大傾向にあるのは、国際協力という分野が社会に広く認知されてき
たことと、学校現場において、私達研究会の活動が広がってきた証拠でもあると考え
ています。
学校全体で課題として応募という学校も増えてきました。文章を書くのを嫌う生徒
も含めて、一度書いたものは自分の考えに気付くチャンスになるので、よい経験には
なると思います。重要なことは自発的な応募が広がる流れをつくっていく事ですが、
やはり生徒達は何かのきっかけがなければ自分から書いてくることは、ほとんど期待
できません。
例えば、授業や行事の中で日本の国際協力にふれたり、海外で経験をつんだ講師を
呼んで話してもらったり、留学生との交流会を企画したり、生徒達が書きたくなる体
験をさせることです。エッセイを書き、コンテストに出すことが、これからの人生の
進路を探すきっかけになるようにかかわることです。なぜなら自分の考えや感じを文
字に表すことは、その瞬間での自分の思考の記録を写真のように残すことと同じで、
その文章を後から読むとき客観的に自分の成長の過程を知り、その自分を知った上で
次のステップへの成長につながるからです。
昨年比 51.8%の急増となった 2008 エッセイ応募の傾向を分析する
今年のテーマは昨年までの 2 年間続いた「世界のみんなが幸せになるために私が考
えること、できること」から変更され、地球と生きる∼地球に暮らす一員としてでき
ること、考えること∼でした。昨年のテーマが「幸せ」という漠然とした言葉を使っ
ているのに対して、
「地球」という具体的な単語が入ったおかげで、いま最も危惧され
る地球環境を意識した内容に絞りやすくなったため、書きやすくなったといえるので
はないでしょうか。それも応募増につながった原因の一つとも考えられます。
2008 年の応募傾向をグラフにしてみると、
(図1参照)中学は 59.0%増の 51493 作
品、高校 38.2%増の 23517 作品の大幅増で合計で 75010 作品という中高で 51.8%増と
いう驚異的な増加を示しました。1997 年から 2005 年まで続いた中高合計で 25000 作品
60000
50000
40000
中学
高校
30000
20000
10000
0
2008
2005
2002
1999
1996
1993
1990
1987
1984
1981
1978
1975
1972
1969
を前後する高原状態が続いていたものがあらたな増加傾向に入ったといえるでしょう。
2006 年からの増加傾向はますます勢いを増しているという方向性が明確になりまし
た。
中学では最優秀賞 7 名、審査員特別賞 4 名、入選 11 名 支部関係の賞 38 名、佳作
74 名、JOCA 賞 28 名、特別学校賞 15 校を含め、学校賞 428 校で合計個人 162 名学校 428
校
高校では最優秀賞 7 名、審査員特別賞 4 名、入選 11 名 支部関係の賞 34 名佳作 27
名、JOCA 賞 24 名、特別学校賞 19 校を含め学校賞 143 校で合計すると個人で 107 名、
学校単位では 143 校という数の賞をいただいているわけですが、この中で海外研修に
いけるのは中学 11 名、高校 11 名で、高校では 0.05 パーセント、中学 0.02 パーセン
トにも満たない激戦です。その他の賞を入れても中学では 0.3 パーセント、高校でも
0.45 パーセントで 1000 人に 4 人前後という極めて少ない確立です。
一方学校賞となると、高校 343 校の応募に対して 43 パーセント、中学では 1395 校
の応募に対して 28 パーセントとなり、学校賞の受賞率は高いことが示されています。
中学
高校
最優秀
賞
7
7
審査員
特別賞
4
4
入選
支部賞
佳作
JOCA 賞
11
11
38
34
74
27
28
24
学校賞
応募総数
428/1395
143/343
51493
23517
応募急増の理由を考えてみましょう。国際協力や国際貢献に関してマスコミでも
日々取り上げることが多くなってきたことが生徒達の関心を集めていることは間違い
ないですが、先にも述べたテーマが国際協力だけでなく環境問題にも広がったことが
理由の一つといえます。昨年に比べて地球環境にかかわる作品が多く見られました。
また、この種のコンテストは個人応募というよりも学校単位での応募が多数ですか
ら、先生方の関心が応募数にそのまま跳ね返るとかんがえるの方が無理がないでしょ
う。
応募動機(中学)
無回答
5%
その他
38%
学校の先
生にすすめ
られて
16% JICA訪問
夏休みの
課題
34%
特別活動
の一環とし
て
2%
やJICA出
前講座
3%
応募動機(高校)
その他
22%
特別活動の
一環として
1%
夏休みの課
題
57%
授業の一
環として
2%
学校の先生
にすすめら
れて
13%
JICA訪問や
JICA出前講
座
6%
授業の一環
として
1%
つまり、先生方の国際協力への関心が高まっていることが生徒の関心を広げているこ
とになるのです。生徒の応募動機のアンケートを見てみると、中学の「その他」は個
別な理由の集まりであるとすると、中学、高校とも「夏休みの課題」が最も多く、次
が「先生にすすめられて」、
「JICA 訪問や出前講座」、
「授業の一環として」、と続き学校
での先生方の関心が国際協力に向いていることを明確に示しているのがわかる。学校
現場でいかに先生方の努力により、国際協力に関心がむけられているかが読み取れま
す。
学校応募のアンケートでは、提出をまとめた先生がたの指導教科が読み取れるので
すが、
国語
社会
英語
理科
総合
数学
その他
中学
1053
63
44
6
4
12
21
高校
119
51
78
6
4
2
33
この表を見てみると、やはりエッセイだけに、国語は群を抜いて多いのですが、社
会も英語も理科も数学も含めてほとんどの教科で指導されていることがわかります。
その他の中には、農業や、工業などの教科も含まれていることが予想されます。この
教科の広がりこそが国際協力という内容の多様性と奥深さを示していることの証でし
ょう。切り口によりどのような教科のテーマにもなることこそが学校全体で取り組め
るコンテストであるわけです。
だからといって、学校現場では学校に来る、様々なコンテストの案内やポスターは
すべてが貼られるわけではありません。それを取捨選択して校内に掲示するのも、関
心のある先生方がどれだけいるのかにより決まってきます。取捨選択する判断基準と
して、実施機関が公的な省庁ではないものの、国際協力機構という独立行政法人が実
施しているということにおいては、企業が行っているコンテストに比べ浸透しやすい
環境であることは間違いありません。しかし、学年全体でエッセイを出すことになる
と、他の学年担任の先生方の了承が必要になってきます。学年で生徒に宿題としてだ
し、夏休み明けに生徒から集めることも一人の先生の力で出来ることではなく、他の
先生方にも動いてもらわなければならず、学年での了承を得るために大変な努力をし
ているだろうことが伺われます。ただ、学校では行事として一度了承が取れれば、次
の年も続くことが多く、応募の動向を見ると一回、1 年限りではなく毎年続けるという
リピーターが多いこともうなずけます。驚くことに 3 回以上が 29%もあることがそれを
裏付けています。
結果、昨年まで参加した学校に加え新しい参
入校が増えるごとに大きく増加し ていくとい
それ以
今回が
傾向になることが理解できます。
う
上
初めて
29%
そこで、エッセイ勧奨を行う先生方の興味は
30%
何により動かされているのかをメニュー別開
発教育事業利用履歴を見てみると理由が見え
過去1
てきます。多数を占めるのは JICA が行ってい
∼3回
応募回数
る国際協力出前講座や JICA 国内センターへの
程度
訪問が多いことが示されています。これは、学
41%
校行事や総合などの時間に帰国青年海外協力
隊の人たちに、現地のリアルな話を学校で聞ける便利さや、国内センター訪問すると
丁寧に説明してくれるなど、JICA 国内機関の便利な受け入れ体制が利用されている理
由でしょう。
メニュー別開発教育支援事業利用履歴
39
37
総数
25
25
中学
19
13
1
12
10
2
5 6
11
10
8
1
10
3
0
高校
4 6
そ の他
0
7
青年海外協力隊な
ど
教師海外研修
開発教育研修
J I C A国 内 セ ン
タ ー への 訪 問
国際協力出前講座
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
0
中高一貫校
驚かされるのは、教師海外研修や青年海外協力隊等に参加した履歴が多いことです。
教師海外研修にせよ、青年海外協力隊への参加にせよ、これは全く少数の教員の経験
のはずです。その少数の教員たちが、メニュー履歴の中で、半数までになるというこ
とは、海外の途上国での経験が、参加教員を動かすほどに強い影響を与えていると考
えられるのです。
このように教員側から見ると生徒たちに世界の問題を考えてもらうことは、教育的
価値があると考えて参加勧奨しているわけですが、生徒達に作文を書かせるというの
は生徒指導としては大変苦労のいる作業で、よほどのインセンティブがないと生徒が
自発的に書くことはほとんどないのです。
さらに、生徒にとって見ると夏休みの宿題で必ず書かなくてはならないといわれる
と、無理やりや強制的に参加させられたと感じるものも少なからずいるということも
認識しなければならないでしょう。それだけに、参加にあたっての説明は、生徒の自
発性を高める丁寧な説明と、書くために考えることが世界の問題解決への参加の一歩
であることを知らせることが重要でしょう。
ただ、参加する生徒達にとって見ると、入賞者の中から中学・高校各々最優秀賞 3
名、優秀賞 4 名、審査員特別賞 4 名が、副賞として、私的なツアー旅行では行くこと
が極めて難しい開発途上国の ODA 現場への研修旅行にいけるというのは他の政府系の
コンテストの賞品とくらべても応募へのモチベーションを高めることになっています。
その上、優秀賞に選ばれた生徒達に、研修旅行に行ってもらうということはとても
効果的で、現地で更なるリアリティに接することになり、この後の成長に大きな影響
を与えます。以前も、大学で国際協力分野を選び、国際協力の道での活躍を目指して
している方も育っています。国際協力を日本の文化として育てるためにも、優秀な作
品を書いた生徒を現地で研修させるのは、人材作りであり日本の将来にとって利益に
なる先行投資でしょう。
もう一つ先生方が応募リピーターになる大きな理由があります。それは学校賞です。
学校賞はその学校から多くの応募者をまとめて出すことにより認定されます。個人賞
が極めて低い確立である一方、多くの生徒が作品を出せば必ずもらえる賞なのです。
先生達にとっても、個人受賞は厳しいことは分かっていますが、生徒たちに作品を
書いてもらっても、誰も個人賞がもらえない場合、努力に対しての教育的フォローが
難しいのです。先生方は努力が報われなかったときのフォローをいつも考えながら応
募勧奨を行っているのです。しかし、学校賞がもらえれば、学校としての努力は報わ
れることになり、生徒たちへの説明も充分出来ることになるのです。それが、一つの
学校で多数の応募をしてくる理由でもあります。
学校現場で唯一「開発教育」を実践する国際研としても、毎年の全国大会において
エッセイコンテスト勧奨をひとつのテーマとして取り上げ、JICA と協力して 2006 年度
から機関紙「インフォメーション」を募集ポスターと一緒に全高校と多くの中学校に
配布しました、インフォメーションではエッセイコンテストについて開発教育のフイ
ードバックとして最重要課題として取り上げて広報しておりそれに呼応した教師の勧
奨も応募増から見て大きな効果があったと考えています。
高校部門の最優秀賞や優秀賞はどんな作品が選ばれているのか紹介しまし
ょう
青森県の松風塾高校の石井くんの「父が僕にくれた夢」は僕には夢がなかったとい
うショッキングな書き出しで始まる、それは生まれたときに父がいなかったことに起
因する。しかし、中学 3 年のときに母の再婚で新しい父と出会ったことから、彼は夢
を持つことができたのである。新しい家は一面が畑で、風が吹けば海の匂いがして、
夜には満天の星が輝く農家だった。初めて父の手伝いをしたとき小麦の香りが漂い、
心地良い気持ちになり、大地のありがたさを感じた。今は農家への道を踏み出そうと
父がくれた夢を大切に実現したいと考えている。現在の日本の低い食糧自給率を考え
ると、日本を支えられる責任のある仕事であることに気づいた。農業は地球そして世
界の繋がりであるから、野菜作りを通して日本を支える人間になりたいと結んでいま
す。
読むほどに小麦の香りや、海の匂いが漂ってくるような牧歌的な文章で、今年の、
地球と生きる∼地球に暮らすというテーマを捉えた心温まる作品でした。都市に人口
が集中し、不況の中で失業者が増えている今こそ、真剣に考える問題提起であると感
じました。
沖縄尚学高校の饒平名さんの「真の国際交流と平和」ではベルギー留学のときに、
同じクラスのフイリッピン人から「俺は日本人が嫌いだ、お前たちは世界一残酷な民
族で、俺たちフイリッピン人はひどい目にあったんだ」といわれた言葉に唖然とした
後に心は怒りに満ち溢れた。「私が生まれる前のことに私は何の関係もないじゃない
か」と思ったからである。そこで日本の学校の先生にメールで聞いた。返事は意外な
ものだった、先生も中国で2年間働いたときに中国人から同じように罵声を浴びつら
い思いをしたと書いてあった。さらに、先生は続け、子供がしたことに親が責任を取
るのは当然でしょ、それと全く逆のことを考えればいいと書いてあった。これで彼女
は気付いた、歴史は変えることができないが、これからの日本を築いていくのは紛れ
もなく彼女たちであることに。そして、次の日から彼とコミュニケーションをとる努
力を重ねた。正面から向き合った1年間の後に彼は、一緒にお昼をたべ、将来のこと
を語りあえる親友になれた。この留学体験を通して真の国際交流とは人と人のコミュ
ニケーションなのだと感じたと結んでいます。
日本にいても、マスコミなどで中国や韓国の人たちの日本人に対する言動を見て、
腹を立てる人は多いと思いますが、その問題をこれだけ分かりやすく書き、対決でな
く解決への道を実践した彼女の理解と行動に拍手を送りたい。開発教育の進むべき道
を見事に示している文章だと感じました。
岩手県立盛岡第四高校の千葉さんの「生きる幸せ」では幼い頃に自殺で父親をなく
したコンプレックスに悩み、生きることにとてつもない恐怖を抱きながら育ってきた
彼女に、前を向くきっかけを与えてくれたのがアフガ二スタン難民募金活動だった、
自分と同じ年の子が兵士として銃を手にし、道路で寄り集まって寝て寒さをしのぎ、
食べ物も得られず栄養失調になっているなどの写真を見て、今まで自分を不幸だと思
ってきたことが甘えだと気がついた。たった半年間のボランティアが、生きることが
恐怖でなく幸福へと変え、今では自然に笑えるようになったと書いています。途上国
の子供たちに教えてもらった、幸せのお返しに、彼女は将来途上国について知っても
らうツアープランナーになり、もっと多くの人たちに幸せを気づいてもらい、いつか
現地に行き「ありがとう」と伝えたいと結んでいます。
この作品で感じるのは、途上国のリアリィティーが、人の考え方や生き方を根底か
ら変える力を持っていることです。つまり、ボランティアがその対象者に対して援助
するだけでなく、ボランティアを行う自分自身も変わることを示している文章で、開
発教育が途上国のためではなく、途上国と先進国の人たちの共生のためであることを
再認識させました。
神奈川県の湘南白百合学園高校の影嶋さんの「不平等な命」は海外ボランティアの
団員として、ベトナム社会主義共和国に派遣されたときのことを書いている。現在の
ベトナムは IT 産業が発達し、一見豊かになってきたように思える、しかし、ベトナム
戦争のときアメリカが撒いた枯葉剤の影響は今なおベトナムの人たちを苦しめている。
ツーズー病院を訪れたときに、平和村という施設のなかで、様々な奇形障害者の人々
とあった。その中で、か細い体に不釣合いな大きく平たい頭を持つ子が動けずにいた、
この子にどう接してよいのかわからず、ただ傍らに座って細い手を握った。そのとき、
思いがけず強い力で握り返してくれた。生身の人間であることに気づいたとき、かわ
いそうだと他人ごとのように思っていた自分を恥じた。そして、人間の命が不平等で
あることにも気づいた。今は、自分ができることは、ここで見て感じたことを人に伝
えることだけど、将来は医師になり、不平等でありながらも尊い命を救って生きたい
と結んでいます。
この作品も途上国と先進国の不平等な格差の中で、障害者と触れ合ったことで衝撃
を受け、生身人間としての平等を感じ、せめて自分が医師になって命を平等に救いた
いという将来の進路にまで踏み込む強い意志を感じさせる作品でした。
大阪府立園芸高校の藤原さんの「タラン・ポコ!明日のために、木を植える」はマ
レーシア・サバ州での植林ボランティアに参加したときに感じたことをまとめたもの
です。森を作ると思っていたのに、アカシアやゴムノキのようなもともここにあった
木じゃないものを植えることに疑問を感じた。その疑問をぶつけると、現地のリーダ
ーから、昔は森だったが、住民が焼畑や燃料として利用した結果だ、しかしもともと
ここで暮らしている人々を責めることはできない。だから植林するのだ、アカシアは
荒地でもすぐ育つので燃料用、ゴムノキはゴムを採取して現金収入のためで、これで
機能すれば残っている森を助けることになる。ホームスティ先でローソクの明かりで
勉強する少女の真剣な横顔に心を打たれた。
今は大阪葛城山のブナを守る運動に参加している、それは地球温暖化の解決策でもあ
る、
「タラン・ポコ」とはマレー語で木を植えるという意味で、明日のために活動に参
加しつつ自分の進路を模索中ですと結んでいます。
今年のテーマにそった園芸高校生らしい作品で、植林ボランティア活動の中で園芸
にかかわる専門性からの素直な疑問点をぶつけながら、自分が考えていた自然の森を
復元するという、他人の立場からの植林ではなく現地での人々にとっての生きていく
ための植林の意味を理解していくとても若者らしい文章です。
高知商業高校の和田さんの「協力=笑顔」では、学校で取り組んでいるラオスに学
校を建設する活動が15年目を向かえた、主な活動はラオスで生産された民芸品や銀
製品の仕入れや建設された学校での交流を中心に行ってきた。しかし、この活動によ
りラオスの子供たちは本当に満足しているのだろうかという疑問がわいてきた。そこ
で、今年は子供たちに調査を行うことにした。その結果、ラオスの人たちが本当に協
力してほしいことは、お金の問題ではなく、学校の環境整備など教育に関することば
かりだった。この研修の結果、夢が二つできた。一つ目は自分が高校の教師になるこ
と、もう一つは青年海外協力隊に入りラオスに派遣されることで、ラオスと自分が繋
がり続け、協力を続けラオスの子供たちの笑顔を絶やさないようにしたいと結んでい
ます。
ボランティアを一回限りでなく長年続けてきたからこそ、援助にとって重要なこと
は、現地のニーズをしっかり認識することだと分かり、その調査を行ったことをわか
りやすく書いている。継続してボランティア活動を行う学校にとって、この視点はと
ても重要で参考になる作品でした。
福岡県立城南高校の佐藤さんの「気付き」から始まる一歩では、21 世紀中に海に沈
んでしまうかも知れない、美しい国モルディブから、家にアッスマがホームスティに
やってきた。そのときの衝撃が大きく自分の言葉で彼女と話したいという思いから英
語の勉強を始めた。
その後、今度は自分がアジア太平洋子ども会議からモルディブにホームスティに行
くことになった。ますますこの美しいモルディブが海面上昇で沈んでしまうという問
題が身近に感じられ、この国のために何かしたいという思いを抱いた。そのあとも、
機会あるごとに国際交流活動に参加し環境問題を討論した。バイオエネルギーの開発
が食料品の値上げに繋がることを考えると、自国の利益だけを考えずに世界全体で連
携をとる必要があるということだ。これらの体験を通して感じたのは「気付く」こと
の大切さだ。一人ひとりが考えやライフスタイルを見直し、多くの気付きを続けてい
くことができれば、環境は改善されていくのだと結んでいます。
地球環境問題は富みが集中する先進国の人にとっては、他人事に映り、本気で考え
る人は少ないが、自分はモルディブの友達との交流から美しい国モルディブが海に沈
む危機を気付いた。他の人たちも、人との交流などの体験を通して、自分のこととし
て考えることが出来れば環境は改善されていくという提案です。
昨年の「世界のみんなが幸せになるために、私が考えること、できること」という
テーマに対して「地球と生きる∼地球に暮らす一員としてできること、考えること∼」
というテーマに変わり、「幸せ」という抽象的な言葉ではなく、「地球」という具体的
な言葉がテーマに入った分、地球環境を意識した作品が多く出てきたのは、昨年とは
傾向が違う作品がでてきてアプローチの広がりを感じました
海外体験に関しては、今までは親の仕事などでの現地滞在からの作品がおもな海外
体験でしたが、最近の傾向は NPO や学校での修学旅行や研修旅行、自治体の海外や国
内での研修プログラムなどが、各県で実施され多くの生徒が海外体験を持てる環境が
整ってきたことが作品に大きな影響をあたえて来ていることがわかりました。
いずれにしても、毎年若者らしいユニークな発想のものが多く、この生徒たちが将
来どう成長していくかとても楽しみです。
今後のエッセイコンテスト発展のために、いくつかの課題
応募動機のアンケート分析でも取り上げたように、夏休み明けの課題として提出す
る学校が多いことは数字の上からも明らかです。しかし、JICA 提出が 9 月 10 日前後で
は、生徒の作品を集め、指導点検して、まとめて発送するには無理があります。
高校の応募数をみてみると、今年は北海道、東北ブロックの応募が大幅に増加してい
ますが、これは、今年の国際教育研究協議会の全国大会が青森で開催されることによ
り各県の事務局の勧奨行動が強く影響していることは勿論ですが、それだけでなく、
北海道、東北などの冬季休業が長い地域は夏休みが 8 月 25 日前後までのところが多く、
9 月 10 日前後の提出でも 2 週間以上の余裕が取れるのです。全国レベルで考えると 9
月 1 日以降 9 月一杯か最低でも 2 週間の余裕が欲しいという要望は多くの先生から届
いています。
参加作品数からもメジャーなコンテストに育ってきたと感慨ひとしおですが、それ
だけにこれまで以上に公共性、透明性が必要になってくるでしょう。
これだけ多くの作品が参加するように育ってきた背景には、審査を含めて各地方の
現場の先生を外部審査員として参加するシステムを築いてきたことが大きな理由でし
ょう。参加型コンテストとして育ってきていると言えます。今後さらにこの方向を拡
大し、すべての審査段階においても、外部からの審査員を参加させ、一層の透明性を
確保することが課題でしょう
毎年、課題となる応募の男子の比率の件ですが高校では、表に示すように毎年減少
していることです。この傾向は高校ほどではありませんが中学でも同じです。
男
2006 高校
36.4%
2007 高校
28%
2008 高校
27%
2008 中学
33%
女
63.6%
72%
73%
67%
このコンテストは男女を問わず中学、高校生に広く国際協力について考えてもらう
ためのコンテストであり、男女比が偏るコンテストでは、生徒たちが考えている心の
すべてを知るにいたらないだけでなく広範な市民への国際協力への意識を養うために
は望むところではないでしょう。
「エッセイコンテスト」というタイトルが随筆的なも
のだけを想像させてしまうとすれば、テーマを具体的にいくつか提示し、論文的なも
のも、研究発表的なものも書きやすいようにするのも一つの方法かも知れません。例
えば 1983 年の例をあげると国際協力−21 世紀の友づくり自由題 ①技術協力②青年
海外協力隊③移住というように提示するのも一つの方法かもしれません。
前にもエッセイとは言いがたい研究発表に近い文章で入賞した 2004 年の 2 例を紹介
しましょう。
兵庫県播磨農業高校の宮永幸則君が書いた「現代の青木昆陽をめざして」という作
品で見てみると自分が行ったサツマイモとヒヨコマメの混植栽培の研究から、ヒヨコ
マメの根に共生する根粒菌が土壌にたくさんの窒素分を残すため、混植したサツマイ
モの肥料なり、サツマイモの収量もあげることができる。これを利用して飢餓から人々
を救えると考えたのでした。宮永君はいずれこの技術を持って青年協力隊に入り、現
代の青木昆陽になりたいと夢見て努力していると結んでいます。
もう一例紹介すると、千葉県立君津青葉高校の伊井久人君が書いた「真っ赤な大地
を夢見て」という作品ですが、高校でバイテク部に属し植物の組織培養に関する研究
を行うなかで、優良な形質を持つ植物を大量増殖させることで、アフリカなどの食料
問題解決の糸口になると考えたのです。しかし、組織培養は無菌の環境下で行わない
と成功しないため、実験設備にコストがかかり、開発途上国では使えないのです。そ
こで、考えたのが食品添加物を使うアイディアです。無菌ではないが食品添加物が雑
菌の繁殖をおさえ、低コストでの組織培養が可能であることを確認したのです。伊井
君は今後この方法での研究を積み重ね、技術を磨きアフリカの真っ赤な大地に乗りこ
んで生きたいと結んでいます。
この 2 例に共通するのは「エッセイ」というよりも「研究発表」に近い内容で
すが、立派に特選として評価されています。
この例に代表される開発途上国を舞台にした技術支援をテーマにした論文的な作品
も十分チャンスがあると考えてもらい、国際協力に対して様々なアプローチの作品が
集まるようテーマも考えてもらいたいのです。
それだけでなく、昨年 10 月から JICA と JBIC が一つとなり新 JICA となり「すべて
の人々が恩恵を受ける、ダイナミックな開発」を唱え技術協力、有償資金協力、無償
資金協力を一体的に運用する組織となりました。ところが、いままでの作品には、JICA
を意識し技術協力などの作品は多かったのですが、経済や政治ガバナンスに関する作
品は多くはありませんでした。こうした問題も考える作品が出やすいような具体的な
テーマを考えていくことも、男女比の是正ばかりでなく、応募増につながり、
「国際協
力」の「国民への啓蒙」という大きな目的にもつながるでしょう。
教師として生徒への参加勧奨はどのようにしたら良いのか
募集は 5 月から始まり、作品提出期限は 9 月の夏休み明けです。募集の案内とポス
ターは 5 月に全国の高校に送付されます。まず、最初にやることは学校に送付された
ポスターを校内に掲示して、生徒たちに早めに声をかけていただけると良いでしょう。
過去の作品集もありますので、それを読むのもヒントになるでしょう。作品集が手に
入らなくても、一番簡単なのは、JICA(国際協力機構)のホームページの中のクラス
ルームというところに入賞作品が掲載されていますので、それを印刷するのが良いで
しょう。
生徒がエッセイを書くきっかけを作るのは、国際協力に関心を持っている先生方の
協力が必要です。ポスターを見て自主的に書き始める生徒はほんのわずかです。いい
体験を持ちながら、それを表現することを気づいていない生徒たちを発掘するのも先
生の役目です。
生徒から書く意欲を引き出すためには、授業や特別活動のなかで、国際協力に関わ
る単元で世界の今を考えさせる指導を行うといいでしょう。私は、いろいろなアプロ
ーチを考えますが、例えば教科情報の中で、情報の発信として、プレゼンテーション
を作らせるのですが、そのテーマの一つに、世界の子供たちの現実を考えさせるため、
ストリートチルドレンをテーマに設定します。図書館やインターネットで調べていく
と、数千万人以上のストリートチルドレンが世界で生きていることに気づくのです。
豊かな日本の現実からは考えられない現実をしり、それが国際協力への生徒の考え方
に変化をあたえます。
また、出前講座で海外途上国経験豊富な帰国、青年海外協力隊員やシニアボランテ
ィアの方を学校に呼んで話していただくのはとても効果があります。ビデオや写真を
見るよりも現場で活動した人の言葉にはリアリィティと迫力があります。現地の人た
ちの気持ちを知っていますので日本人的にみた考え方でなく、現地の考え方に即した
考え方を聞くことができます。これはステレオタイプの考え方に陥らないために是非
必要なことなのです。
といっても、どんな方を呼んだらよいのかわからない場合でも、JICA では「国際協
力出前講座」を実施してくれます。講師料が払えない場合でも相談にのっていただけ
ますので、地元の JICA 国内機関に連絡してください。
エッセイ勧奨に活躍してくれた先生方にもっとステップアップしていただ
くために教師海外派遣研修があります
国際研では、教師海外派遣研修、青年海外協力隊、シニア海外ボランティアへの参
加を勧めています。
なんといっても、教師自身が開発途上国の現実を知り、国際協力活動に参加するこ
と。帰国後には、現地で養った問題解決能力をリアリティを持って授業に生かすこと
ができるようになり、生徒達にとってもとても良いフィードバックができることにな
ります。
教師海外派遣研修は、JICA が進める ODA の啓発事業の一つとして 12 日間程度 全国
から 30 名程度をアジア、アフリカ、中南米などの開発途上国の国際協力活動の現場に
派遣して研修を行ってもらう制度です。12 日間ですが、ツアーでは絶対にいけない開
発協力活動中の奥地の村や、住民とのコミュニケーションがとれ、自分で行く旅行と
はまったく違った素晴らしい経験を得ることができます。勿論、全国から 30 名の狭き
門ですが、国際研ではエッセイ勧奨に特に努力してくれた先生や事務局活動に協力し
てくれた方を特に応援してJICAに推薦します。(募集は 4 月、5 月)
青年海外協力隊は 20 歳から 39 歳まで、シニア海外ボランティアは 40 歳から 69 歳
までの方が応募できます。基本的には 2 年間、
(シニアボランティアでは 1 年間の派遣
もあります)派遣された国の人々と共に生活し、地域住民と一体となって活動し、そ
の国の経済的社会的発展に草の根レベルで寄与することが目的です。
文部科学省では青年海外協力隊に関しては自由参加のシステムの他、学校の年度と
同じ 4 月から出発する隊員に関して、各地の教育委員会を通じての参加システムもで
きました。2 年間、開発途上国の現場で自分が今までに蓄積してきた技術を使い人のた
めに尽くす活動への参加は、今まで養われた自分の知識、技術が本当に人のために役
立つかの検証でもあります。また、日本人がほとんどいない現地で長期にわたる活動
は自分の意思を鍛えなおす期間にもなります。途上国へのボランティア活動ではあり
ますが、帰国後の教育活動への考えられないほど大きな力を得ることになるでしょう。
(募集は春・秋 2 回 春は 5 月)
最後に、国際研、全国国際教育研究協議会は国際教育、開発教育を現場で研究、実
践する研究会です。全国 47 都道府県 2500 項のネットワークを持ち、各県において、
様々な国際教育に関わるイベントを実施しています。教師研修会と生徒研修会もバラ
ンスよく行っていますので、まずはイベントに参加することが早道です。また、毎年 8
月の夏休み中に、全国の国際教育をすすめる先生が全国研究大会で一同に集まり、そ
の年の教育実践を発表します。全国の研究を学ぶには良い機会になりますので参加さ
れることをおすすめいたします。今年は青森で開催されます。国際研の情報はすべて
ホームページで公表しています。是非ご覧ください。
国際研ホームページ http://www.kokusaiken.org