「私が体験した疾患とその病理」レポート 接 触 皮 膚 炎 ステロイド外用薬の副作用について 診 断 名:接触皮膚炎 診療機関名:皮膚科 罹 患 時 期:22年9月頃~23年5月頃 症候/一般症状、特徴的症状 環境物質が、外から皮膚について 起こる皮膚炎(湿疹反応) a.一次性刺激 接触皮膚炎 b.アレルギー性 接触皮膚炎 検査の種類と目的 パッチテスト 化粧品などのかぶれ や 薬剤や金属のアレルギー の検査 専用のパッチテストユ ニット に物質をのせて 36時間~ 48時間、背部にはる 陽性反応:洗顔、入浴剤 初診時の予後判定 免疫低下によるアレルギー 手当て、治療など 外用塗布:ステロイド外用薬 保湿剤 内 服:抗ヒスタミン薬 抗アレルギー薬 疫学的背景(統計など) ・皮膚科外来患者の4~30%を占める。 ・アレルギー性接触皮膚炎<刺激性接触皮膚炎 ・昭和35年~45年 ・昭和45年~ 1位 外用品 2位 化粧品 1位 化粧品 外用品は減少傾向 日本皮膚科学会ガイドラインより(2009年) 疾患の病理学的考察 湿疹三角 炎症のメカニズムと悪化サイクル 病因の病理学的考察 ・Ⅳ型アレルギー ・急性皮膚疾患のひとつ。日常でいう”かぶれ” ・刺激性接触皮膚炎 原因物質の毒性の強さによって症状の強さ が決まる。 ・アレルギー性接触皮膚炎 原因物質の毒性の強さと症状は相関しない アレルギーのある人のみ生じる。 肌の損害状況 <急性湿疹>表皮細胞間に浮腫、海綿状態が みられる。リンパ球浸潤を伴う。 <慢性湿疹>角質肥厚と表皮突起の延長 わずかに海綿状態を認める ステロイド薬の作用機序 血中に移行したステロイド薬の一部は タンパクと結合して運ばれ、細胞内に 入るのはタンパクと結合していないス テロイドだけ。細胞内に入ったステロイ ド薬は、細胞質内にある特異的な受容 体(グルココルチコイドレセプター:GR )と結合。このGRは体の中の全ての 有核細胞に発現されており、ステロイ ド薬が細胞内に入ってくると複合体が ある遺伝子の特定部位(グルココルチ コイド・レスポンス・エレメント:GRE)と 結合すると、下流に有る特定遺伝子 発現が増えたり減ったりすることにな る。その結果、ステロイド薬の作用が 発揮される。 ステロイド薬の作用 ステロイド薬に対するレセプターはすべ て有核細胞にあるので、ステロイド薬は 様々な細胞に働くことができる。その中 でも特に注目されているのが、非常に 強い抗炎症作用と免疫抑制作用である 。炎症反応が起きると、細胞膜のリン脂 質に結合しているアラキドン酸という物 質から、酵素を介してロイコトリエン、プ ロスタグランジンという生理活性物質が 作られ、それらの作用で痛みや炎症な どの症状がおきる。非ステロイド性抗炎 症薬はプロスタグランジンを作る過程を 、ステロイド薬はその前のアラキドン酸 の働きを抑えるので、ステロイドの方が 非ステロイド性抗炎症薬よりも強力な抗 炎症作用があります。アレルギーなどの 過剰な免疫反応を抑えるには優れた効 果が期待できるが、長期に使用すると 皮膚が委縮して固くなるなど副作用もあ る。 ステロイド外用薬の種類 ・・・ 首、体 ・・・ ステブロン軟膏(最強) ・・・ 手 ・・・・ マイザー軟膏(最強) リンデロンVG軟膏(とても強い) アンテベート軟膏(かなり強い) ・・・ 顔 ・・・・ キンダベート軟膏(普通) ・・・ 眼 ・・・ ブレドニン眼軟膏(弱い) 部位別吸収比 • 吸収率が良いということは ステロイドの効果がでやすい • 副作用もでやすい ステロイド外用剤によって炎症が抑 えられる 短期間の使用なら効果的 皮膚表面はきれいに見えても皮 膚の深い部分に滞っている炎症 ステロイド剤を塗るのを止める と噴き出す(リバウンド) 長期間使用すると、皮下に抑え込 まれた炎症が溜まり、体の中の浄 化作用が追いつかなくなる ステロイドの副作用 その糖代謝、脂質代謝、骨代謝などに も作用するために、糖尿病、高脂血症、 骨粗鬆症などの副作用が起こることに なる。また、電解質代謝にも関係するた め、体内へのナトリウムの貯留を介して 高血圧を引きおこしたりもする。 ステロイドの副作用と思われる症状 ★皮膚萎縮・皮膚が薄くなる ◎血管が浮き出て見えたり、皮膚が赤みをおびるようになる。 ◎皮膚が刺激に弱くなり、簡単に出血しやすくなる。 ◎皮膚刺激が伝わりやすくなり、かゆみやヒリヒリ感が増強され る。 ★毛細血管拡張 ★ステロイドニキビ(ステロイドざそう) ステロイドのホルモン作用や免疫抑制作用によって、ニキビ、吹き出物、ブツブツが できやすくなります ★ステロイド紫斑 ちょっとした刺激で内出血や黒アザ(皮下出血)ができやす くなる ★ステロイド潮紅(酒さ様皮膚炎) ステロイド外用薬を中止した段階に皮膚が赤くなった りブツブツができたりする症状 ステロイドの副作用と思われる症状 ★ 多毛(毛が多くなる、濃くなる) ステロイドのホルモン作用によって毛が周囲に比べてやや多くはえてく ることがあります ★ 感染症(細菌感染、真菌感染) ステロイドの持つ免疫抑制作用により、細菌・ウイルス・真菌に感染しや すくなり、ニキビ、吹き出物ができやすくなる。 感染症などに対して誤用した場合には増悪を まねきます。ステロイド外用剤は、薬剤塗布部 位の免疫力を低下させるので、擦り傷や切り 傷がある部分には、通常使用しない ★ 口囲皮膚炎 口の周りが赤くなり、ブツブツができます。 ステロイドの副作用と思われる症状 ★緑内障 ステロイド外用薬が眼に影響を及ぼすと、ごくまれに緑内障(眼圧が上昇 する症状)を引き起こすことがあります。ストロングクラスのステロイドを使 用した場合や、ステロイド外用薬が手についた状態で目を掻いたりこすっ たりすると緑内障を引き起ここす可能性があります。 また、アトピー性皮膚炎における白内障や網膜剥離もステロイド外用薬が 原因となっている可能性が指摘されていましたが、ステロイド外用薬の副 作用というより、目を掻いたり、こすったり、周囲の皮膚を叩いたりする物理 的な刺激が主な原因となっていると考えられていると考えれている。 • ムーンフェイス (原因)糖新生の促進→アミノ酸から糖へ →糖から脂肪へ • 皮膚の萎縮(うすくなる) (原因)アミノ酸の不足→タンパク合成能 ↓ • 色素脱失・色素沈着 (原因)副腎皮質ホルモンはフィードバッ クによりメラニン合成を抑制する。色 素沈着は掻いたり、炎症が起きたり しなければならない。掻くことで表皮 基底層のメラノサイトが壊れ、メラニ ンが分散することによる。皮膚のター ンオーバーは若い人では約1ヶ月な ので、ステロイドを使用していたとし ても、掻かなければ自然とうすくなっ ていく。・・・・・が、非常に強いかゆみ がある。 ステロイドの副作用を予防するポイント ★患者側がステロイドの知識をもつ 医師が十分に説明しない場合がある。 使用方法を守る。 ★非ステロイド剤へ治療を切り替える しかし、医師でも、皮膚炎の症状なのか、副作用によるも のなのか、見分けるのも困難なケースもある。。。 東洋医学的考察 • 全身にくまなく分布し、体表面を覆っている 外邪に対する防衛を行う衛気の不足や皮毛 を意味する肺の病症に関わると考える。 • 衛気の元となる”水穀の精微(食べ物の栄 養分)”は脾の運化機能で制御されるため、 病症の根源は、脾と考える。 参考文献 • あたらしい皮膚科学 北海道大学医学部皮膚科 清水宏教授・著 • ステロイドがわかる本 東京医科歯科大学 宮坂信之教授・著 • 社団法人 日本皮膚科学会 ホームページ • アトピー性皮膚炎を自分で治すためのマニュアル ホームページ • アトピー研究所 ホームページ • アトピー治療.com
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