『平和安全法制』の要点を整理 【今、なぜ法整備が必要なのか】 ・中国は尖閣諸島等へ挑発的行動を繰り返しており、北朝鮮の数百発もの弾道ミサイルは日本の大半を射程に入れ、そ のミサイルに搭載できる核兵器の開発も深刻さを増しております。また、我が国に近づいてくる国籍不明の航空機に対す る自衛隊機の緊急発進は10年前と比べ実に7倍に増えています。国際的には、テロの脅威は深刻であり、この2年間で アルジェリア、シリア、そしてチュニジアで日本人がテロの犠牲となりました。日本を取り巻く安全保障環境は、かつての 東西冷戦時代から大きく様変わりしているのです。公明党の外交方針はどこまでも粘り強い対話により平和的に解決す る道を目指すことが基本ですが、テロ組織や北朝鮮は話し合いのできる相手ではありません。故に、どのような状況に なっても対応できる隙間のない安全保障体制を構築すると同時に、抑止力を強化する必要があります。また、テロ組織 に対しては、世界の国々が力を合わせて断固立ち向かうべきであると考えます。食料自給率の極めて低い我が国は国 際社会が不安定になり食料の輸入が止まれば存続することすらできません。また人口減少が加速し内需拡大が期待で きない中、経済活性化のためには、訪日観光客を増やして観光分野を伸ばすことや、輸出を拡大していくことが重要で あります。そのためには国際社会の平和と安定が不可欠であることは言うまでもありません。グローバル社会の中で、海 外への経済的依存度の極めて高い我が国だからこそ、より積極的に国際平和に貢献していくべきではないでしょうか ・現在の日本の防衛は、自衛隊と日米安保条約で対日防衛義務を負う米軍で行っています ※その実例として、民主党政権時代に日米関係が悪化したとき、周辺国がどのような対応をしてきたか皆様がご承知の とおりであります。 【憲法との適合性】 《原理》 ・日本国憲法の前文には、『われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてい る国際社会の中において名誉ある地位を占めたいと思ふ。』に続いて、『われらは、自国のことのみに専念して、他国を 無視してはならない』とあります。 ・日本国憲法の3原則の一つである『基本的人権の尊重』は、日本人のみならず、世界の人々の個人の尊厳に結び付い ていかなければなりません。その実現には、テロ、自然災害、感染症、気候変動にも立ち向かう取り組みが重要でありま す。世界の国々が国連憲章の精神に基づき、力を合わせて『人間の安全保障』を実現していく。これこそ憲法の理念に かなうものではないでしょうか ・憲法第9条 日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇、又は武 力の行使は国際紛争を解決する手段としては、これを永久に放棄する。 2 前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない ・憲法第13条 すべての国民は、個人として尊重され、生命、事由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共 の福祉に反しない限り、立法そのたの国政の上で最大の尊重を必要とする 【法制整備のポイント】 《原則》 ①≪日本の平和と安全の確保≫ ⇒隙間のない体制を構築 ステージ1 【グレーゾーン】 電話による閣議決定で可能 『武装集団の離島への不法上陸、日本の民間船舶に対する攻撃など、警察では対応できないケースに自衛 隊が迅速に対応できるようにする』 ステージ2 【重要影響事態】 後方支援(地理的要件削除)←近年の国際情勢の変化に対応 『そのまま放置すれば、我が国が直接の武力攻撃を受けるおそれのある事態等』 日米安保条約に基づき活動する米軍、国連憲章の目的達成に寄与する外国軍隊への後方支援を行う ステージ3 【存立危機事態】 ⇒武力行使が可能 ←新3要件で厳格な歯止 ⇒北朝鮮対策 『我が国と密接な関係にある他国 に対する武力攻撃が発生し、これにより国民の生命及び幸福追求の権利 が根底から覆される明白な危険がある 事態』 ↓ 『国民にわが国が武力攻撃を受けた場合と 同様な 深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況』 ステージ4 【武力攻撃事態】 武力行使 『日本が直接武力攻撃を受けた』 《ホルムズ海峡における停戦前の機雷掃海活動の事例》 ①ホルムズ海峡は、オマーンの領海域である ②国際法上、停戦前の機雷掃海は敷設した国への武力行使になる。 従って、専守防衛を堅持する現憲法では、機雷敷設により、“存立危機事態” ならない限り、武力行使はできない ③日本の石油の備蓄は200日程度である。 具体的な‘存立危機事態’例としては、①敷設した国が日本を敵視している、②敷設された機雷によって、米 軍の軍艦が爆破された、②日本向けのタンカーが200日以上止まった ②≪国際社会の平和と安全の確保≫ ⇒武力行使でなく、後方支援 【国際平和のために共同で対処する事態】に対応するための法律を制定⇒『国際平和支援法』 ⅰ)国際社会の平和と安全を脅かす事態が発生している ⅱ)その脅威を除去するため、国連憲章の目的に従って共同して対処している ⅲ)日本が国際社会の一員として寄与する必要がある 〔条文に明記された自衛隊の活動内容〕 ・武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならない ・物品の提供には、武器の提供は含まない ・協力支援活動及び捜索活動は、現に戦闘行為が行われている現場では行わない ☆更に公明党は政府の恣意的な自衛隊派遣に歯止めをかけるために次の派遣の3要件を定めました☆ ①国連決議を派遣の絶対条件にしました(国際法上の正当性) ②例外なき国会事前承認(国民の理解と民主的統制) ※これによって、自衛隊の後方支援の必要性や活動の内容を明記した基本計画を国会に提出させ、派遣の是非を議論 することで、国際法上の正当性や隊員の安全確保が明確にされ、国民の理解も広がり、政府の恣意的な派遣に対する 厳しい歯止めになります ③自衛隊員の安全確保 【政治判断の3つの視点】 《視点》 ① 我が国の主体的判断 ※国益、国際情勢、国内世論など ② 自衛隊にふさわしい役割 ※自衛隊の能力、装備、経験など ③ 平和外交努力 ※外交交渉、非軍事分野での貢献など 終わりに ※この度の法整備を『戦争法案である』との批判がありますが、以上ご説明させていただきましたとおり、日米同盟の隙 間のない法制を整えることで抑止力が高まり、それが“戦争を起こさない働き”を高めるところが重要であります。また、日 米防衛新指針でも、前提条件として、『各国の憲法及び国内法に従うこと』、また自衛隊発動に関しても、『新3要件を満 たす場合に限ること』が明記されています。 PKO協力法の時も同様の批判がありましたが、皆様がご承知のとおり、その ような現実は起こっていないし、むしろ国際社会から高い評価を得ています。日本が世界で最も軍事力に抑制的な法律 を持つ国であることは何ら変わりません。侵略戦争や、世界中に自衛隊が海外派遣される想定事態が、オーバーな話 で、そもそも、自衛隊にそのような能力はないことをよくご理解していただきたいのでございます。
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