英国雑感 No.9

英国雑感
2012年
No.9
6月
山中燁子(AKIKO)
英国に着いた翌日にスウェーデンに飛び、ISDP で「Security: Two Handed Policy」を講演し、帰英の翌日英
国国会議事堂の下院で「Human Right and Human Security」を講演しました。英国の下院で話すのは 2 度
目ですが、英国の国会議員に比しても恥ずかしくない内容と英語のスピーチをするのは、結構神経を使います。
1 ギリシャ選挙
17 日の再選挙の結果、接戦で、新民主主義党が勝利した。5 月の選挙の 108 議席から 129 議席に増やしたが、
第 2 番目の急進連合も 5 月の 52 議席から 71 議席に増えており、第 3 番目の全ギリシャ社会民主主義党は 41
議席から 33 議席減だ。元々連立していた第一党と第三党合わせて 162 議席で、過半数の150を超え、政権
樹立は可能になった。サマラス首相は救国内閣樹立を呼びかけたが、結局第 2 党は野党としての立場を貫き、
民主左派の 17 議席を加えて、新たな形の連立となった。ギリシャのユーロ圏残留が決まり、取り敢えず、ユ
ーロ圏諸国は安堵の表情であるが、緊縮財政を実現できるかどうか、本当の試練はまだまだこれからだ。
2.スペインの経済見通し
ユーロ圏諸国はスペインに約 10 兆円に上る融資を決めたが、銀行等への融資であり、実体経済までには及ば
ないとの見方が大勢だ。すなわち、ユーロ圏 17 ヶ国の 4 番目の経済規模のスペインの経済状態が回復しなけ
れば、ギリシャをはるかに越える波及的影響がユーロ圏を越えて、国際社会に広がりかねないとの懸念が強い。
3.英国女王在位 60 年+公式誕生日の経済効果
経済効果が期待されていなかったにも拘らず、オリンピックの警備の費用が生み出されたとのニュース。更に、
これまで不人気であったチャールズ皇太子をエリザベス女王の後継者として支持する調査結果がでて、早速、
三軍の長に就任した。タイム紙には「何故、女王は再び微笑んだのか?」という見出しが躍った。女王は、今
年中は、英国各地とカナダやオーストラリアのように女王を君主とする 14 カ国をも訪問する予定である。86
歳の女王と 91 歳のフィリップ殿下の意志力と体力に、英国民は脱帽。この高揚感を何とかオリンピックへ繋
げたいとの思いがにじむ。
4.カザフスタンの興隆
上海協力機構が一堂に会した中央アジアのカザフスタンが注目されている。ニューヨークタイムズ紙は 8 ペー
ジに亘る特集記事を組んだ。ナザルバエフ大統領が首都アスタナに世界各国から 7000 人を招いて、21 世紀に
有効なのは、G20 を超える大規模なグローバルグループを構築する事だという論調のスピーチを行ったとい
う。2011 年には、一人当たりの GDP は 10820 ドル、失業率は5.7%で、人口は 1600 万人余。採掘量が
世界 10 位以内の鉱物資源が 9 種類もあるにも拘らず、ポスト鉱物資源の国家像を求めて、世界中からの知恵
を集め始めている。日本の建築家故黒川紀章氏が首都をデザインしており、親日的な筈であるが、今は中国と
の積極的な交流が顕著だ。
5.日本が原発再開
野田首相が説明し、責任を取るという形で、大飯原発 3 号と 4 号が再稼動することになったと BBC が伝えた。
しかし、科学的根拠、周辺住民の安全避難の手順等が示されていないまま、取り敢えず、例外的に承認という
のは、日本では苦肉の策と言えるが、海外のメディアには場当たり的な政治決断と見えているようだ。 以上