交通死亡事故の抑止

(様式1)
政 策 評 価 調 書
平成28年度における政策評価
秋田県公安委員会 秋田県警察本部長
政
策
名
交通死亡事故の抑止
評価実施者
秋田県公安委員会 秋田県警察本部長
評 価 対 象
交通死亡事故の抑止
評 価 時 期
平成28年7月
Ⅰ 政策を取り巻く治安情勢
平成27年中の交通事故は前年に比べ発生件数、負傷者数ともに減少したが、死者数は38人
と1人増加した。特に高齢死者については、平成14年以降連続して全死者の5割を超えてい
る状況にある。
当県の高齢化率は33.7%(平成27年11月「秋田県企画振興部調査統計課」)で今後も更な
る高齢化が予想される。
また、県内の自動車運転免許人口が減少している中で、全人口に占める高齢運転者の割合
は24.9%(平成27年12月末現在)と年々増加(前年比1.5ポイント増)しており、今後、更
に高齢者が当事者となる交通事故の増加が懸念されるなど、高齢者の交通死亡事故抑止対策
がますます重要な課題となっている。
Ⅱ 政策の目的
高齢化が進む当県においては、高齢者対策を最重点とする総合的な交通事故防止対策を推
進するとともに交通安全意識を確立するための交通安全教育や広報啓発活動、交通事故抑止
に資する交通指導取締り、交通安全施設等の整備・拡充による安全で快適な交通環境の整備
等の施策を推進することにより、交通事故のない「安全で安心な秋田県」の実現を図る。
Ⅲ 政策を構成する施策の推進状況及び評価結果
1 施策推進の基本及び取組
(1) 施策の基本
高齢者の交通事故防止対策を推進するほか、重大交通事故に直結する飲酒運転等悪質
性、危険性及び迷惑性が高い違反の指導取締りを推進する。また、道路事情や交通事情
の変化に応じ、信号機や道路標識・道路標示等の交通安全施設の整備を充実させること
によって安全で円滑な道路交通環境を構築し、交通事故のない「安全で安心な秋田県」
を実現させる。
(2) 取組
ア 高齢者を最重点とする総合的な交通事故防止対策の推進
イ 交通事故抑止に資する交通指導取締りの推進
ウ 安全で快適な交通環境の整備
2 施策の推進状況及び評価結果
(1) 高齢者対策を最重点とする総合的な交通事故防止対策の推進
ア 推進状況
高齢者対策を最重点とする総合的な交通事故防止対策として、「高齢者安全・安心アドバイザー」の高齢者
宅を直接訪問しての交通安全指導活動や交通安全教室等の開催による交通安全教育活動を推進した。
イ 評価結果
A:着実に推進
高齢者の交通安全意識の高揚が図られ、高齢運転者による交通事故や高齢死傷者数が減少するなど交通死亡
事故を抑止するために有効な施策であり、着実に推進されている。
(2) 交通事故抑止に資する交通指導取締りの推進
ア 推進状況
県民の安全・安心を脅かす重大交通事故に直結する悪質性、危険性及び迷惑性の高い違反に重点を置いた指
導取締りを推進した。飲酒運転や速度超過等の取締りは、恒常的な取締りのほか、全県規模の一斉取締日を設
定するなど、計画的かつ強力な指導取締りを実施した。交通事故発生実態等を分析し、分析結果を踏まえた効
果的な指導取締りを推進したほか、高齢者対策、シートベルト・チャイルドシートの着用の啓発、夕暮れ時に
おける交通事故抑止対策の強化等各種施策を展開し、総合的な交通死亡事故抑止対策を推進した。
イ 評価結果 A:着実に推進
悪質性、危険性及び迷惑性の高い違反に重点を置いた交通指導取締りを推進することにより、運転マナーの
向上等交通の安全に対する運転者の意識の高揚につながっているほか、シートベルト・チャイルドシートの確
実な着用により交通事故発生時の被害の軽減が図られるなど、県民生活の安全を確保するため有効な施策と認
められる。
平成27年中の交通事故は、死者数が2年連続で40人以下に抑制され、発生件数及び負傷者数が12年連続で減
少するなど、交通安全教育や交通施設の改善等の施策と併せて交通指導取締りの効果が認められ、本施策は着
実に推進されている。
(3) 安全で快適な道路交通環境の整備
ア 推進状況
・ 道路管理者及び教育関係者等と連携し、通学路の点検を実施するなど、交通危険箇所の交通規制の見直し、
「ゾーン30」区域の設定及び交通安全施設の整備を推進した。
・ 通学路における児童の絶対安全確保のため、危険箇所への信号機の新設、高輝度道路標示等の整備を推進
した。
・ 老朽化した信号機の視認性悪化等が原因となる交通事故を防止するため、LED型信号機への更新を推進
した。
・ 高齢運転者にも分かりやすく見えやすいよう、視認性に富んだ自発光式道路標識や高輝度道路標示の整備
を推進した。
・ 冬期間における信号機の視認性を確保するため、着雪防止型信号機の整備を推進した。
イ 評価結果 A:着実に推進
交通情勢の変化及び県民のニーズを踏まえた交通安全施設の整備・拡充が計画的に推進されており、県民が
求める安全・安心な道路交通環境を整備し、交通死亡事故をはじめ各種交通事故を抑止する上で有効な施策で
ある。引き続き、必要な予算の獲得を図り、交通安全施設の整備を推進していくことが必要である。
施 策 名
1
2
3
推進状況
施策評価の結果
事業数 事業費 (千円) 必要性 有効性 緊急性 総合評価
高齢者対策を最重点とする総合的な交
通事故防止対策の推進
1
36,794
A
A
A
A
交通事故抑止に資する交通指導取締り
の推進
1
61,371
A
A
A
A
安全で快適な交通環境の整備
2
1,255,777
A
A
A
A
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
Ⅳ 政策の推進状況に関する県民意識
安全・安心な生活環境を求める県民意識の中で、交通事故は日常生活において身近に発生
する最も関心の高い問題であり、高齢者世帯に対する戸別訪問等を実施したところ、交通安
全教室を受講したいとの声があるほか、施設面では高齢者、子供及び障害者等の交通弱者に
も分かりやすく安全に利用できる信号機や道路標識等の整備が求められている。
県内における交通事故は、平成16年以降連続して減少しているが、死者数の半数以上を高
齢者が占めている現状にあり、引き続き
・ 交通事故抑止のための高齢者等に対するきめ細かな交通安全教育の推進
・ 飲酒運転等の悪質・危険な違反の取締り
・ 交通の安全と円滑化を図るための信号機、道路標識等交通安全施設の整備と適正な
交通規制の実施
・ 道路交通情報の提供
が求められている。
Ⅴ 政策の評価
総合評価
A 順調
B 概ね順調
C 遅れている
1 政策の推進状況
高齢者安全・安心アドバイザー、警察官及び関係機関・団体等の職員が高齢者宅を戸別訪
問して行う交通安全指導や、参加・体験・実践型の交通安全教育を開催して、高齢者に対す
るきめ細かな交通安全教育活動を推進したほか、各種交通事故防止対策や街頭キャンペーン
等を推進した。
取締りにあっては、県民の安全・安心を脅かす重大交通事故に直結する悪質性、危険性及
び迷惑性の高い違反に重点を置いて実施した。
また、道路管理者等と連携した通学路の点検結果による「ゾーン30」の設定、危険箇所
への信号機の新設や高輝度道路標示等の整備、バリアフリー対応信号機の設置による交通弱
者対策、信号機のLED化や道路標識の自発光化による高齢運転者対策、その他の交通安全
施設の整備・拡充による総合的な交通安全対策を推進した。
その結果、平成27年中の交通事故は、死者数は前年比で1人増加したものの、発生件数、
負傷者数は12年連続で減少したほか、第9次秋田県交通安全計画の目標を2年連続で達成し
ており、本政策は順調に推進されている。
2 課題と今後の推進方向
平成27年中における交通事故は、発生件数、負傷者数が減少した反面、高齢死者について
は、平成14年以降14年連続して全死者の5割を超えている。
また、飲酒運転による交通事故も散発的に発生しており、これらの交通情勢を踏まえ、引
き続き、高齢者対策を最重点とした交通事故防止対策を推進するため、地域住民、行政及び
警察が一体となり、「人優先」の交通安全思想の普及・啓発に努め、重大事故に直結する飲
酒運転等悪質性、危険性及び迷惑性の高い違反の指導交通取締りや、交通事故発生状況の分
析等に基づいた交通事故抑止に資する取締りを実施するとともに、交通信号機、道路標識等
の交通安全施設の整備・拡充及び効果的な交通規制を実施するなど、総合的な交通事故防止
対策を推進する。
Ⅵ 政策評価委員会の意見
(政策評価委員会に対して諮問する政策のみ記載)