vol.48 今月の 顔 ココロ カ ラ ダ 仁保の郷には心と身体の 元気を出す源がある! みなもと 有限会社仁保の郷 タ 代表取締役駅長 ナ カ ヨ シ ハ ル 田中 義治 山口商工会議所 1号議員 昭和 26 年生まれ。山口市仁保出身。防府商業高校卒業後、京都の 宝酒造本社に入社。4年間を京都で過ごし、その後帰山して、現在 の㈱エースカードに入社し、クレジットのコンピューター化や営業 企画などを行う。㈱エースカードには 35 年間勤務し、定年を目前 に退職、 「おいでませ!山口国体」のコーディネーターとして花いっ ぱい推進などで活躍。コーディネーターの任期終了後、 「 道の駅仁 保の郷 」に入社、翌年駅長に就任し3年が経過。道の駅のイベント はもちろん、地域活動や山口市子ども会連合会会長を務めている。 「 仁保への恩返し。今でも子どものころの気持ちを忘れず、子ども 会でも仕事でも楽しくなければ続けられない」と語る。 [企業概要] 住 所:山口市仁保中郷 1034 T E L: 083- 929- 0480 H P: http://www. nihonosato.com/ 創 業:平成 12 年 従業員数:8人 まず、田中駅長について教えてください。 仁保上郷で農家の長男として生まれ、防商を 卒業後、京都の宝酒造本社で当時最先端の計算 部でコンピュータに携わりました。その後父の 他界を期に帰山して、㈱エースカードに35年務 めました。その間は、毎日が勉強の日々で、商 店街の方々には2世代に渡り本当に良くしてい ただき、お世話になりました。色々なイベント を企画したり、毎日が勉強でした。営業に出て 経営者の方々とお話をさせていただくのは、そ れだけで刺激になりました。 道の駅に入社後、最近では、山口県内の道の 駅の駅長連絡交流会を立ち上げました。中国道 の駅連絡会は、平成5年に立ち上がっていまし たが、これだけ道の駅が話題になって、全国の 道の駅が1,040を超え、山口県内にも20ヶ所以上 あるのに、連絡会のような組織はありませんで した。全国道の駅連絡会が平成24年に立ち上が りましたので、山口県でも立ち上げようと、今 年6月にやっと山口県道の駅交流会(駅長の 会)を立ち上げました。言い出しっぺと言うこ とで、私が現在会長を務めています。 以前から、仁保の郷に立ち寄られるお客様か ら、 「ここに来る前に寄った道の駅は、応対が悪 く、トイレも汚かった」というようなことを言 われることもありました。 「道の駅」のマークが あると、お客様の中には「全国のどこの道の駅 も同じでつながっている」と思われる方も少な くありませんので、やはりお互いがお互いを刺 激しつつ、話し合いを持ちながら、よりよい「道 の駅」を目指したいと考えています。 「道の駅 仁保の郷」について 教えてください。 平成12年、仁保自治会が主体とな り JA 山口中央、山口中央森林組合 の出資で設立されました。地域の中 心として様々な交流の拠点になり、 道路利用者に快適な休憩場所を提 供できるような場所にすることを 目標に、運営を続けています。地域 「道の駅 仁保の郷」山口情報芸術センターと同じ建築家が デザインした、近代的な造りです 12 Monthly Magazine 2014.12 月号 山口商工会議所月報 の自治会が設立するというのは、全国的にも大 変珍しいケースです。 また、仁保地域の中心にあり、周辺にスー パーや郵便局、地域交流センターもありますの で、設立当初から「ここに来れば買い物や行政 手続など1ヶ所で全ての用事が済むこと(ワン ストップサービス)」を目標にしてきました。 「仁保の郷」のこだわりなどを教えてく ださい。 仁保地域で育てた物や収穫された物はもちろ ん、県内の特産品なども取り扱っています。 「仁 保の郷」は、山口県のちょうど中央に位置して いるので、ここで県内の様々な特産品を販売し たり、県内の道の駅情報を提供するようにして います。 また、レストランを併設していますし、パン、 餅、お菓子工房のテナントも入っています。最 近ではレストラン特製のお弁当も販売します。 道路利用者は、仁保の郷に寄って、また別の 場所に移動される方もいらっしゃいますので、 以前から「お弁当はないか」とお問い合わせい ただくこともありました。ここで購入して、別 の場所で食べて頂けるように、仁保で収穫され た野菜を中心に作った「おもいやり弁当」や、日 曜日には、隣のスーパーからもお弁当を入荷し 販売します。また、潮彩市場ほうふからもハー トアンドハート特製の海鮮丼を入荷しています が、大変好評です。 「おもいやり弁当」 仁保産食材がたっぷり詰まっています 「いろどり市」をリニューアルオープンさ れましたね。 今年の10月2 日にオープンし たばかりです。 これまでは、大 屋根だけがあっ て、外気にさら される状態の施 設でしたので、 夏は大変暑く、 店頭にはたくさんの 出荷していただ 旬の野菜がズラリ いた野菜など が傷みやすくなっていましたし、冬はとても寒 く、雪が降り込むような日もありました。生産 者の方々のためにも、レジに立つ従業員のため にも、いろどり市の屋内化は、私の駅長就任当 初からの願望でしたので、完成して大変嬉しく 思っています。 また、仁保の お 米、通 称「 か じか米」 (品種は コシヒカリ、ヒ ノヒカリ、もち 米)の販売所を 新設しました。 必要な分だけ計 り売り、その場 駅長イチオシ、お米の販売所 で精米してお渡 量り売りで、欲しい分だけ買っ て、その場で精米してくれます しできる施設で す。お米は、売り場に併設された冷蔵庫で保管 しておりますので、いつでも新鮮、精米したて のお米を買っていただけます。近くの方など は、週に1回、その週に食べる分だけを買って 帰られる方もいらっしゃいます。 オープン1ヶ月で、約7万5,000人の方に訪れ ていただいています。 いろどり市は、仁保地域内で農業を営む高齢 の方を中心に、採れたての野菜や地域特産品を 販売しています。高齢の方にとっては、車を何 十キロも運転して 市中の青果市場に 出荷するのは大変 仁保産の商品の他に、市内・県内の 開店と同時にこの賑わい な労力です。です お土産品も取りそろえています 商品も飛ぶように売れていきます が、生産者として る生活用品をお届けできるような「買い物支援」 は長年経験を積んだプロ。 「売りに行けないか のシステムを作ることが、今後の目標です。独 ら、生産を止めた」というのは、あまりにももっ 居老人の方も多いですし、体を悪くして、運転 たいないでしょう?生産者としては、年金プラ が難しくなっている方もいらっしゃいますの スアルファの収入を得ることができ、消費者 で、地域の中でこの問題を解決できる仕組み作 も、採れたての新鮮な野菜を安価で買うことが りができたら良いと考えています。 できるのが直売所だと思います。 また、次の世代に今の地域活動を引き継いで また、今はスーパーに行けば、季節に関わらず もらうことも目標です。私自身、仁保という地 どんな野菜も販売していますが、いろどり市で 域に育ててもらいました。仁保はこんなに良い は、季節に合わせて、その時期に採れる野菜、 ところで、それを知らない方に足を運んでいた 山菜、果物などが出荷されますので、季節を感じ だきたい。そのために私自身ができることは何 る上でも、子ども達の食育にも役立つとても良 かを考え、今後も行動したいと思います。また、 い場所だと思います。 若い世代の方が、農業をするために仁保に移り 駅長として以外に、地域活動にも取り組 住んで来ています。勿論、仁保の中にも農業で まれていると伺いましたが。 頑張っている人もいます。彼らに、これからの 仁保子ども会の会長を25年務め、仁保地域は 仁保という地域を任せていけるよう、引き継ぎ 3年前若手にバトンタッチ、現在山口市全体の ができればと思います。 育成会長を引き受けております。私自身子ども 「仁保の郷」が、世代間の橋渡しができ、人と が大好きですし、何より、私自身を育て、私の 人とをつなぐ交流の場になるよう、普通の商業 3人の子ども達も育ててくれた「仁保」という 施設とは違う取組を今後も続けて行きます。 地域への恩返しと思っています。 おすすめの情報などを教えてください。 仁保では、暮らす人も子ども達も減る一方 いろどり市では、かずらで作ったクリスマス で、路線バスが廃止された地域もあり、その地 リースや竹で作るミニツリーなどの販売も行っ 域では、自治会が運営するスクールバスを走ら ています。手作りのリースは、とても可愛いで せています。夏の仁保っ子キャンプや地域のク すよ。また、これからしめ縄や正月飾り・松・ リスマス会には、仁保全体から100名を超える 竹・梅・南天の木などの販売も行います。し 子ども達が集合し、みんなでイベントを楽しみ め縄は、農家の方が心を込めて手作りしたもの ます。子どもが減っているので、家の近くに同 で、スーパーなどでは売っていない、昔ながら 年代の友達がおらず、群れて遊ぶ事が少なく の素朴な造りが魅力です。 なっていますので、そういう機会を作ることが 道の駅には大きなツリーでイルミネーション 目的で現在も続いています。 が夜11時まで点灯しておりますので、楽しんで その他にも、毎年4月から5月にかけて、仁 頂きたいと思います。 保川に100匹のこいのぼりを揚げていますが、 また、12月下旬には「年越し蕎麦」の提供も これも仁保地区青少協の会長として私が始め 行います。実はこの蕎麦粉、私が自分の手で、 た取組です。 家の隣の田んぼを耕して収穫したものです。 20年以上前から仁保川に鮎の放流をおこ 他の色々なものは仁保地域の物なのに、蕎麦 なっていましたが、その時に「川の上空に、何 粉が仁保産でないというのでは意味がないと かあるといいなぁ」と思いつき、1匹から始め 思い、自分で作ることにしました。これがなか ました。今では、仁保地域の方や、域外の方か なか粉にするまで大変ですが、食べていただ らも「使わなくなった鯉のぼりをあげてやって くと大変好評でやめられません。 ほしい」とお預かりして、100匹にもなりました。 四季毎に行う「元気フェスタ」、GW イベン 春の晴れた空に、勇壮に泳ぐ鯉のぼりを見て、 ト、誕生祭、仁保大農業まつり他、毎月第4日 たくさんの人に元気を与えられたらと願って 曜日は「マルシェ食堂」と言って、仁保の食材 います。 で試食会とフリーマーケットを開催して、来て 頂いた方々に楽しんでいただけるようにしてい 今後の目標などを教えてください。 いろどり市の出荷者が、ご高齢で運転のでき ますので、皆さん是非「道の駅仁保の郷」に足 ない方のお宅に集荷に伺い、その方が必要とす を運んでください。お待ちしています。 山口商工会議所月報 Monthly Magazine 2014.12 月号 13
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