第1節 第5章 広島中央二次保健医療圏 第 1節 概 第 2節 二次保健医療圏の現況 況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 108 1 人口構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 109 2 人口動態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 110 3 患者数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 110 4 保健・医療資源の現状・・・・・・・・・・・・・・・・ 112 第 3節 保健体制の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第 4節 医療提供体制 Ⅰ 113 疾病対策 1 がん対策・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 114 2 糖尿病対策・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 115 3 脳卒中対策・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 115 4 急性心筋梗塞対策・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 116 Ⅱ 危機管理対策 概 況 当二次保健医療圏は,竹原市,東広島市,大崎上島町の 2市1町で,本県ほぼ中央に位 置する賀茂台地,瀬戸内海沿岸,島しょ部から構成されており,面積は 796.89k㎡で, 県内の 9.4%を占めています。 地形的には,安芸津町を除いた東広島市からなる賀茂台地は,標高 200m∼400mの盆 地と丘陵により形成され,比較的平坦地に恵まれています。竹原市と東広島市安芸津町か らなる沿岸部及び大崎上島町からなる島しょ部は,標高 300m∼500mの山々が海岸線 近くまで迫っており,河川沿い及び沿岸部に小規模な平坦地が分布しています。また,一 級河川として,太田川水系,芦田川水系,江の川水系の3水系,二級河川として,黒瀬川 水系,瀬野川水系,沼田川水系,賀茂川水系など12水系があります。 人口は 224,323 人(平成 17(2005)年国勢調査)で人口密度は 281 人/k㎡です。 人口は,平成 12 年と平成 17 年の比較によると,3.2%増加していますが,これを市町 別にみると,東広島市が増加しているのに対し,他の1市1町は漸減しています。 気候条件は,台地部では内陸的気候で,夏冬の気温格差が大きいのに対し,沿岸部・島 しょ部は,瀬戸内海気候特有の温暖・小雨となっています。 交通は,JR山陽本線・JR呉線・JR山陽新幹線・国道2号線・山陽自動車道・国道 486 号線・国道 185 号線が東西を貫き,国道 375 号線・国道 432 号線が,南北を貫い ています。更に,高規格幹線道路である東広島呉自動車道・広島中央フライトロード・国 道2号安芸バイパスの整備が進捗しています。また,当地域に隣接する広島空港へは,山 陽自動車道河内インターチェンジから7分程度となっています。航路については,安芸津 港・竹原港・忠海港から,島しょ部や四国へフェリー,高速船などが多数運行されており, 内海航路が発達しています。 産業は,二次産業・三次産業の進展が著しく,昭和 59(1984)年には,竹原市・東広 島市が,呉市とともに「広島中央テクノポリス」に地域指定され,これを契機として,産 業構造のハイテク化が進んでいます。 このほか,当地域には,広島大学・近畿大学・広島国際大学の4年制大学,音楽大学の 分校,高等専門学校が立地し,高等 図 5−1 広島中央保健医療圏 教育が充実しています。また,東広 二次保健医療圏・ 二次救急医療圏 島市には広島中央サイエンスパー ク内に,産業科学技術研究所を始め とする県 の研究 ・産 業支援機 関, (独)酒類総合研究所及び民間企業 の研究所 などの 試験研究施 設や, (独)国際協力機構(JICA)中国 国際センターなどの国際交流施設 の集積が進んでいます。さらに,竹 原市,東広島市安芸津町には(独) 農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所など農業,漁業,生物分 野の試験研究機関が設置されてい ます。 ※(独)は,独立行政法人の略。 ( 1 7 .4 . 25 現在) 1 小児救急医療対策・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 116 2 周産期医療対策・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 117 3 救急医療対策・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 117 4 災害医療対策・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 123 5 へき地医療対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 126 二 次 保 健 医療 圏 名 備 北 二 次 保 健 医 療圏 境 界 Ⅲ その他の対策 広 島 三次地区 府 中地 区 安 佐 ・ 山 県・ 高 田 地 区 御 調 ・ 世羅 地 区 福山・ 府中 1 医薬品等の適正使用の推進(医薬分業の推進) ・・・・・ 128 2 医療従事者の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 129 東 広島 地 区 佐 伯・ 大 竹地 区 広 島 地区 三原地区 広 島中央 広島 西 3 その他の医療提供体制 庄原地区 ・・・・・・・・・・・・・・ 131 福 山 地区 尾道 地 区 尾 三 竹原地区 呉地 区 因 島地 区 第 5節 第 6節 計画の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 地域の先進的な取組み・・・・・・・・・・・・・・・ 133 133 呉 音 倉 108 東広 島地 区二 次 救急医 療 圏(安 芸津 町を 除く東 広島 市 竹原 地区 二次 救 急医療 圏 (竹 原市, 東広 島市 安芸 津町 大崎 上島 町) 資料:厚生労働省「人口動態統計年報」 (旧大和町を除く) 第2節 2 人 口動態 二次保健医療圏の現況 図5−5 1 人口構成 1 ,980 資料: 「国勢調査」平成 17(2005)年 10 月 1 日現在 人 出生 図5−6 出生児数 1 ,970 図5−2 9.2 9.2 1 ,960 年次別総人口の推移 率 出生率 9.2 9.2 1 ,950 1 ,940 250 ,00 0人 200 ,00 0人 1 ,930 1,966 1,955 1 ,910 8 .6 1,952 1,940 1,780 9 1,760 8.9 1,740 8.4 5 8.4 8.3 5 8.3 8.3 8.2 5 1,800 8.1 1,700 8.4 1,660 1 ,870 8.3 1,640 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 (2003) (2004) ( 2005) 1, 777 1,772 8.1 5 1, 778 8.1 8.1 1,680 1 ,880 平成 13 年 平成 14 年 (2001) (2002) 8.4 8.2 8.5 1, 905 死亡率 8.4 1,720 8.6 1 ,890 100 ,00 0人 9.1 8.7 1 ,900 150 ,00 0人 9.2 1,800 8.8 1 ,920 197,047 人 189 ,85 9人 181 ,560 人 224 ,323 人 2 25,015人 2 17,2 84人 死亡者数 1,820 9.3 死亡 8.0 5 1,706 8 7.9 5 平成 13 年 (2001) 平成 14 年 ( 2002) 平成 15 年 平成 16 年 (2003) (2004) 平成 17 年 (2005) 50 ,00 0人 表5−3 0人 昭和 55 年 (1980) 昭 和 60 年 (1985) 平成2 年 ( 1990) 平成 7 年 (1995) 平 成 12 年 ( 2000) 平成 17 年 (2005) 平成13 年 平成14 年 (2001) (2002) 区分 表5−1 年齢3区分別人口 年齢区分 人口 0∼14 歳 32,159 15∼64歳 1 49,277 65 歳以上 42,773 年齢不詳 114 合 計 2 24,323 構成比 14.3% 66.5% 19.1% 0.1% 100% 図5−3 0% 2 0% 年齢3区分別人口割合 4 0% 60% 80% 10 0% 広島中央圏域 14.3% 66.5% 19.1 % 広島県 14.0% 6 4.6 % 20 .9% 全国 13.7% 6 5.8 % 20.1% 0 ∼1 4歳 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 肺炎 不慮の事故 自殺 その他 481 319 186 171 81 46 422 市町村名 竹 総人口 原 市 30,657 東 広 島 市 184,430 大崎上島町 9,236 計 224,323 図5−4 17,970 8,872 33 28.9% 27,5 81 126,533 30,2 35 81 16.4% 4,774 3,666 0 39.7% 32,1 59 149,277 42,7 73 114 7 96 527 315 193 195 70 53 425 504 283 219 190 68 46 490 0% 40% 60% 80% 100% 悪性新生物 心疾患 平成14年 脳血管疾患 (2002) 平成15年 (2003) 肺炎 不慮の事故 平成16年 (2004) 自殺 平成17年 その他 資料:広島県「患者調査」平成 17(2005)年 10 月 (旧大和町を除く) 性別,年齢別患者数 図5−8 平成7( 19 95)年 広島 県患者調査 区分 患者総 数 15 ,0 20 (100 .0 %) 平成17( 200 5)年 広島 県患者調査 1 2,482 (100 .0 %) 男 6,688 (44.5% ) 5,461 (43.8% ) 女 8,332 (55.5% ) 7,021 (56.2% ) 0∼14歳 1,194 (7.9% ) 920 (7.4% ) 年齢 別 15∼64歳 6,674 (44.4% ) 4,735 (37.9% ) 65歳以 上 7,152 (47.6% ) 6,827 (54.7% ) 性別 以上 未満 市町数 40∼ % (0) 30∼40% (1) 20∼30% (1) ∼20% (1) 20% 平成13年 (2001) 市町別高齢化率 19.1% 109 514 296 213 165 70 41 478 平成17年 ( 2005) 患者数 0- 14 15- 64 65歳以 年齢 高齢化率 人口 人口 上人口 不詳 3,782 498 312 189 184 76 48 465 平成16年 ( 2004) 年次別主要死因の状況 (2005) 表5−4 市町別高齢化率 平成15年 ( 2003) 図5−7 1 5∼64歳 6 5歳以上 3 表5−2 主要死因 注:回答率に差(前回 99%,今回 79%)があり, 実数による前回との比較はできません。 110 年齢3区分別人口割合 0∼14歳 平成7年 7.9% (1995) 65歳以上 44.4% 平成17年 7.4% (2005) 0% 15∼64歳 47.6% 54. 7% 37.9% 20% 40% 60% 80% 100% 資料:広島県「患者調査」平成 17(2005)年 10 月 図 5−9 疾病大分類別に見た受療率(入院) (人口 1 0 万人対) 図 5−10 疾病大分類別に見た受療率(外来) (人口 10 万人対) 100 200 300 精神 消化 器系 筋骨 格系 尿 路性 器系 感 染症 皮膚 眼 400 500 表5−5 病院,一般診療所,歯科診療所,薬局数 平成 17(2005)年 10 月1日現在 600 70 0 8 00 781 685 5 90 内分 泌 系 309 277 253 損 傷, 中毒 消化 器 系 感染症 203 198 175 1 64 眼 尿 路性 器 系 42 27 20 13 12 内分 泌系 300 呼吸 器 系 79 76 71 呼吸 器系 200 循環 器 系 134 120 107 神 経系 100 筋骨 格 系 292 新 生物 耳 0 400 316 循環 器系 損 傷, 中毒 保健・医療資源の現状 外来 入院 0 4 精神 皮膚 神経系 耳 図 5−11 主要4疾病の受療率(入院) (人口 10 万人対) (薬局のみ平成 18(2006)年3月 3 1 日現在) 二次保健 病 院 医療圏 施設数 10万 人当 床数 1 0 万人 当 広島中央 20 8.9 3,421 1,525 広島県 261 9.1 42,194 1,467 全 国 9,026 7.1 1,631,473 1,277 一般診療所 施設数 169 2,602 97,442 図 5−12 歯科診療所 1 0 万 人 当 施設数 薬局 1 0 万 人 当 施設数 75.3 94 90.5 1,511 76.3 66,732 41.9 113 52.5 1,585 52.2 51,233 10 万 人当 50.4 55.1 40.1 資料:厚生労働省「医療施設調査」 「保健・衛生行政業務報告」 135 124 105 83 新生物 2 9 00 主要4疾病の受療率(外来) (人口 10 万人対) 表5−6 医師,歯科医師,薬剤師数 平成 16(2004)年 12 月 31 日現在 広島中央 230 224 250 600 202 二次保健 医師数 歯科医師数 薬剤師数 医療圏 実数(人) 10 万人 当 実数(人) 10 万人 当 実数(人) 10 万人 当 ※広島中央 393 177.3 126 56.8 349 157.4 広島県 6,821 237.0 2,299 79.9 5,610 194.9 全 国 270,371 211.7 95,197 74.6 241,369 189.0 全県 503 500 179 200 150 広島中央 全県 415 400 120 127 ※旧大和町を除く 300 100 200 16 50 0 がん 糖尿病 脳卒中 20 133 149 124 138 資料:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」 71 85 100 0 心筋梗塞 表5−7 がん 糖尿病 脳卒中 就業保健師,就業看護師,就業准看護師,就業歯科衛生士数 心筋梗塞 平成16(2004)年12 月31日現在 図 5−1 3 主要4疾病の受療率(男性) (人口 10 万人対) 図 5−14 主要4疾病の受療率(女性) (人口 1 0 万人対) 広島中央 全県 広島中央 ※旧大和町を除く 全県 400 500 247 304 327 306 300 300 242 225 105 111 200 200 69 99 100 0 421 417 500 600 400 579 600 610 700 資料: 「保健・衛生行政業務報告」 667 700 745 800 二次保健 就業保健師 就業看護師 就業准看護師 就業歯科衛生士 医療圏 実数(人) 10 万人 当 実数(人) 10 万人 当 実数(人) 10 万人 当 実数(人) 10 万人 当 ※広島中央 69 31.1 1,340 604.5 974 439.4 151 68.1 広島県 959 33.3 19,217 667.7 13,795 479.3 2,440 84.8 全 国 39,195 30.7 760,221 595.4 385,960 302.3 79,695 62.4 100 0 がん 糖尿病 脳卒中 心筋梗塞 111 がん 糖尿病 脳卒中 心筋梗塞 112 第3節 第4節 保健体制の充実 現状 医療提供体制 Ⅰ 疾病対策 1 がん対策 (1)人口と健康指標 ア 平成 17(2005)年の国勢調査では,224,323 人で,平成 12(2000)年と比 較すると 3.2%増加していますが,市町別では東広島市が急激に増加しているのに対 し,他の1市1町は漸減しています。 イ 高齢化率は 19.1%で東広島市の 16.4%から大崎上島町 39.7% まで格差がありま ○ 当圏域のがんによる死亡者数は,人口動態統計年報(平成 17(2005)年)に よれば,504 人,死亡率(人口 10 万対) 227.7 となっており,年々増加してい す。 ウ (1)現状 平成 17( 2005)年広島県人口動態統計年報による死因別死亡割合は,悪性新生 物 28.0%,心疾患 15.7%,脳血管疾患 12.2%で生活習慣病による死因が 55.9% ますが,死亡率は,全県平均 265.0 を下回っています。また,総死亡者に対する がん死亡者の割合は 28.0%で死因の第1位となっています。 ○ 当圏域のがん患者の受療率は,広島県患者調査(平成 17(2005)年 10 月実 を占めています。 施)によれば,244(人口 10 万対)であり,全県平均 263 を下回っています。 (2)保健活動 市町では,地域の特性を踏まえながら,ライフステージに応じた保健事業が展開さ れています。平成 17(2005)年度の老人保健事業報告によると,基本健康診査, がん検診及び C 型肝炎ウイルス抗体検査が全市町で実施され,生活習慣病の予防や進 行防止を図るため,食生活改善推進員等の地区組織を活用し成果を上げている市町及 び個別健康教育事業等保健事業の充実に努めている市もあります。母子保健事業では, 平成17年度に策定された各市町の次世代育成支援地域行動計画に基づき,乳幼児期 ○ 平成 17(2005)年度の当圏域のがん検診受診率は,地域保健・老人保健事業 報告によれば,胃がん検診 19.0%,子宮がん検診 17.1%,乳がん検診 20.4%, 肺がん検診 22.0%,大腸がん検診 21.6%と総じて低率に留まっています。 ○ 圏域の医療機関と連携して質の高い専門的ながん治療を実施する地域がん診療連 携拠点病院として,独立行政法人国立病院機構東広島医療センターが,国から指定 (平成 18(2006)年 8 月)されました。 の教室の開催,相談,健診,訪問等が実施されています。また,歯周疾患検診を実施 (2)課題 している市町もあります。 ○ がん検診受診率の向上につながるよう,住民へのがん検診に対する理解をきめ細 (3)保健活動従事者,保健活動のための施設・設備 かく推進していく必要があります。 市町の行政部門に配置されている 保健活動従事者は表のとおりです。 保健事業の充実を図るために,地 域活動栄養士及び歯科衛生士の雇い 上げが行われています。 表5−8 市町名 竹原市 東広島市 大崎上島町 ( 市町村保健センターは3市町とも 保健活動従事者,施設設備状況 保健 師(人 ) 栄養士 ( 人) 主な活動拠点 7 1(1) 保健センター 43(8) 4(3) 保健センター 5 3(2) 保健福祉センタ− )内は非常勤の再掲 (H1 8.4.1 ) ○ がん患者が早期段階で適正な治療を開始するよう,がんとその治療に関する最新 の情報を住民に提供していく必要があります。 ○ がん患者の療養生活の質の維持向上を図るため,医療従事者への研修等を推進す る必要があります。 ○ 地域がん診療連携拠点病院である独立行政法人国立病院機構東広島医療センター では,これからも専門的な知識・技能をもつ医師その他医療従事者の育成を推進し に設置されており,様々な保健事業 ていく必要があります。 活動の拠点となっています。 ○ がん患者が安全・安心して質の高い医療が受けられるためには,独立行政法人国 立病院機構東広島医療センターと圏域の医療機関が連携した切れ目のない医療の提 供が重要であり,今後,当圏域内の医療機能を明らかにした上で,効果的な医療連 携体制の構築等を推進する必要があります。 113 114 2 糖尿病対策 ○ 今後,当圏域内の医療機能を明らかにした上で,効果的な医療連携体制の構築等 を推進していく必要があります。 (1)現状 ○ 当圏域の糖尿病を主要死因とする死亡者数は,人口動態統計年報(平成 17 4 急性心筋梗塞対策 (2005)年)によれば,22 人,死亡率(人口 10 万対)は 9.9 となっています。 また,全県では,死亡者数 307 人,死亡率(人口 10 万対)10.8 となっていま (1)現状 す。 ○ 当圏域の急性心筋梗塞による死亡者数は,人口動態統計年報(平成 17(2005) ○ 当圏域の糖尿病患者の受療率は,広島県患者調査(平成 17(2005)年 10 月 年)によれば 67 人,その他の虚血性心疾患による死亡者数 43 人,死亡率(人口 実施)によれば, 594(人口 10 万対)であり,全県平均の 704 を下回っていま 10 万対)は 49.7 となっており,全県平均の死亡率 53.0 を下回っています。 す。 ○ 当圏域の虚血性心疾患患者の受療率は,広島県患者調査(平成 17(2005)年 ○ 市町の行う平成 17(2005)年度地域保健・老人保健事業(基本健康診査)に 10 月実施)によれば,87(人口 10 万対)であり,全県平均 105 を下回ってい おいて,糖尿病の検査受診者は 9,067 人,その結果,要指導と要医療に該当した ます。 人の計は, 986 人( 10.9%)となっています。 (2)課題 (2)課題 ○ 患者が安全・安心して質の高い医療を受けるためには,切れ目のない医療の提供 ○ 糖尿病などの早期発見のため,老人保健法に基づく健康診査の受診率の向上を図 が重要であり,今後,当圏域内の医療機能を明らかにした上で,効果的な医療連携 る必要があります。 体制の構築等を推進していく必要があります。 ○ 糖尿病は,放置すれば様々な合併症を引き起こす疾病であり,病気への正しい理 ○ 虚血性心疾患の起因となる高血圧症などの早期発見のため,老人保健法に基づく 解と健康管理のための環境整備,健診後のフォロー体制の充実などが必要です。 健康診査の受診率の向上を図る必要があります。 ○ 治療が必要な糖尿病患者や合併症を併発した患者の病状の悪化を防ぐためには, 切れ目のない医療の提供が重要であり,今後,当圏域内の医療機能を明らかにした 上で,効果的な医療連携体制の構築等を推進していく必要があります。 3 脳卒中対策 (1)現状 ○ 当圏域の脳血管疾患による死亡者数は,人口動態統計年報(平成 17(2005) 年)によれば,219 人,死亡率(人口 10 万対)は 99.0 となっており,全県平均 の死亡率 105.1 を下回っています。 ○ また,当圏域の脳卒中患者の受療率は,広島県患者調査(平成 17(2005)年 Ⅱ 危機管理対策 1 小児救急医療対策 (1) 現状と課題 ○ 小児科救急医療については、東広島市休日診療所・竹原市休日診療所(初期救急) 及び病院群輪番制病院(二次救急)などによる一般の救急医療体制のなかで対応さ れていますが,更なる充実が求められています。 10 月実施)によれば,363(人口 10 万対)であり,全県平均の 373 を僅かな がら下回っています。 (2)施策 ○ 小児の救急医療の充実 (2)課題 ○ 脳血管疾患は,発症後の迅速な対応を要し,適切な治療を受けられる医療連携が 重要です。 ○ また,麻痺等の後遺症を残すことが多いため,早期のリハビリテーションが受け られる医療 体制の整備・促進が必要です。 115 (3)施策の内容 ○ 小児科初期救急体制の更なる充実を図るとともに,電話等による相談体制への充 実を図ります。 116 2 周産期医療対策 制整備が行われています。賀茂 郡東部医師会の在宅当番医制は内科中心であり,竹 原地区医師会の在宅当番医制(馬場病院・安田病院)は内科・外科中心です。 (1) 現状と課題 ○ また,豊田郡医師会においては, ○ 現在,当圏域には,低出生体重児に代表される,集中治療を必要とするハイリス 豊田郡大崎上島町,呉市豊浜町, クの妊娠・分娩に対処するための周産期母子医療センターが設置されていません。 豊 町 で 日 曜 祝 祭 日 の 9:00 ∼ ○ 出産可能な医療機関数が少ない点等を踏まえ,産科医療機能の向上,医療事故防 17:00 まで交代で各診療所で対 止,ハイリスクな妊娠出産に対応する周産期医療の安全性を図る必要があります。 図5−17 広島中央保健医療圏救急医療体制 応しています。 ○ (2)施策 休日診療所は圏域内に2か所有 り,それぞれ「東広島市 休日診療 ○ 周産期医療体制の整備 所」は内科,小児科,歯科に対応 ○ 周産期医療システムの確立 し,「竹原市休日診療所」は内科・ ○ 隣接医療圏に立地する地域周産期母子医療センターとの連携強化 小児科に対応しています。 ○ 診療時間については,東広島地 (3)施策の内容 区医師会では平日夜間について在 宅当番医制が,休祝日については, ○ 安全で安心な産科医療体制の整備及び周産期医療システムの確立のため,地域周 東 広島 市休 日 診療所が 9:00 ∼ 産期母子医療センター等とネットワーク化を図ります。 ○ 安心して出産ができ,ハイリスク新生児がすこやかに育つことができるよう,迅 16:00(冬季は 20:00 まで)に 速な搬送・受入体制を充分なものとするため,将来的には地域周産期母子医療セン ついて対応し,さらに病院群輪番 ターの設置が必要です。 制病院が二次救急とあわせて対応 図 5−15 竹原市保健センター(竹原市休日診療所) 3 しています。竹原地区医師会では, 救急医療対策 休祝日について竹原市休日診療所 と在宅当番医制がそれぞれ 9:00 (1)初期救急医療体制 ∼16:00 と 9:00∼ 18:00 まで 対応しています。 ア 現状と課題 ○ 賀茂郡東部医師会及び豊田郡医師会においては,主に休祝日に対応した在宅当番 医制が行われています。 ○ 現在,初期救急については, ○ このほか,消防法に基づく救急告示医療機関が病院群輪番制参加病院を除いて2 (ア)東広島地区医師会,竹原地区医師会,賀 機関あり,これらにより,休日や夜間の救急医療体制は整備されています。 茂郡東部医師会 及び豊田郡医師会による 「在宅当番医制」 図 5−16 東広島保健医療センター(東広島市休日診療所) (イ)休日急患センター「東広島市休日診療所」, イ 施策 ○ 休日・夜間の救急診療体制を一層強化 「竹原市休日診療所」 により体制が構築されています。 ○ 診療科目については,東広島地区医師会の在 ウ 施策の内容 宅当番医制は内科・外科中心でしたが,平成 ○ 休日・夜間の救急診療体制を一層強化するために, 13(2001)年度半ばより小児科も含めた体 (ア)東広島地区(東広島市安芸津町を除く東広島市)については,新たな在宅当番 117 118 医制参加医療機関の確保を進めていくとともに,より一層の内科・外科・小児科 図5 −18 のバランスのとれた体制を構築します。 広島中央二次医療圏病院群輪番制病院並びに救命救急センター及び 広島大学病院高度救急救命センター・集中治療部配置関係図 (イ)東広島市休日診療所の診療機能の充実を図ります。 (ウ)竹原地区(竹原市・豊田郡大崎上島町・東広島市安芸津町)では,耳鼻咽喉科, 眼科及び歯科などの診療科目について,救急医療にも対応できる支援体制の協議 検討を行います。 (2)二次救急医療体制 ア 現状と課題 ○ 二次救急については,東広島地区(東広島市安芸津町を除く東広島市)と竹原地 区(竹原市・豊田郡大崎上島町・東広島市安芸津町)の体制が敷かれていますが, 休日又は夜間における入院医療を必要とする重症救急患者のための医療確保を目的 として,東広島地区では4つの病院(東広島医療センター・西条中央病院・本永病 院・井野口病院)が,竹原地区では平成 18(2006)年4月から3つの病院(安 田病院・馬場病院・県立安芸津病院)が,連携して輪番制方式により対応していま (3)三次救急医療体制 す。 ○ これら病院群輪番制参加病院では,平成 11(1999)年度に本永病院が救急医 療に対応した施設の強化を行い,平成 14(2002)年度には西条中央病院が設備 の強化を行いました。 ア 現状と課題 ○ 現在,当圏域には,三次救急医療を担う救命救急センターが設置されていません。 また,平成 15(2003)年 度には,東広島医療センターの機能強化が行われて います。 従って,重篤救急患者については,管外対応となっています。 ○ 当圏域外の三次救急医療施設については,県立広島病院・国立病院呉医療センタ ー・広島市民病院・広大附属病院があり,これら4 医療施設とも隣接医療圏に立地 イ 施策 しています。 ○ 病院群輪番制のさらなる体制強化と相互の連携体制の強化 イ ウ 施策の内容 施策 ○ 隣接医療圏に立地する救命救急センターなどとの連携強化 ○ 東広島地区では,現在の病院群輪番制のさらなる体制強化のために,病院群輪番 ○ 東広島医療センターの三次救急へ対応可能な機能強化 制参加病院の 4 病院で今後も,診療機能情報の共有や分担といった病院間の相互の ウ 連携体制の強化を図っていきます。 ○ 竹原地区においても3病院体制となった病院群輪番制参加病院間の相互の連携体 制の強化を図るとともに,県立安芸津病院について は,地域と連携した病院運営や 医療従事者の人材確保ができるよう努力します。 ○ 病院群輪番制参加病院の機能拡充のため病院群輪番制病院施設整備事業補助制 度・病院群輪番制病院設備整備事業補助制度といった制度の活用を図ります。 119 施策の内容 ○ 当圏域の人口増加の傾向に鑑み,将来的には救命救急センターの設置が必要です。 また,このことについては,東広島医療センターへの設置に対する東広島地域か らの強い要望があります。 ○ 三次救急医療として,広島二次保健医療圏及び呉二次保健医療圏に立地する救命 救急センターである「広島市民病院」 「県立広島病院」「呉医療センター」及び「広 120 島大学病院」との連携を積極的に図ります。 ○ 東広島医療センターの救命救急医療の充実を図ります。 実し,救急隊員の技能の維持・向上を図ります。 図 5−19 ○ 救急救命士による気管挿管や薬剤 平成 12(2000)年度救急搬送 先割合 投与の実習について,圏域内病院で実 (4)搬送体制 ア 4% 施できるよう検討します。 ○ 現在ある広島県救急医療情報システ 三次救急医療機関 ムをより積極的に活用し,医療機関と 圏域内輪番制病院 現状と課題 ○ 救急患者の搬送は,東広島市消防局及び竹原広域消防本部が担っており,搬送件 搬送機関との連携を密にするとともに, 救急車と二次救急医療施設,三次救急 ・平成 17(2005)年現在で,心電図電送システム等を備えた高規格救急が 11 台, 医療施設との心電図電送システムの導 2B 型救急車(高規格救急車ではないが心電図電送システムを備えている)が 2 台 入などの整備を今後とも 進めていきます。 は,移送に時間を要することから,大 ています。 崎上島町に整備されたヘリポートを中 19% その他 図 5−20 救急出動件数(年別) ○ 交通の困難な島しょ部などにおいて ・救急救命士も着実に増加し,平成 17(2005)年現在で 53 名が業務に従事し 60% 圏域内救急告示医療機関 (輪番制病院を除く ) 数の増加などに対応して,充実が図られています。 稼働しています。 17% 4,500 3,981 3,500 4,1 24 4,181 3,606 4,000 3,282 「竹原広域消防本部消防年報」「賀茂広域消防署年報」 3,000 ・山間部等救急車搬送が困難な地域における航空救急活動体制として,県内に 2 機 心とした,高次救急医療機関へ搬送可 の消防/防災ヘリがあり,また受け入れ先の県立広島病院などに屋上ヘリポートが整 能なヘリコプター移送体制について検 備されています。 討します。 ・東広島市消防局は,平成 17(2005)年現在 1 署 4 分署体制で救急業務を実施 1,873 1,939 1,9 37 平成9年 (1997) 平成10年 (1998) 平成11年 (1999) 2,086 1,500 0 平成8年 (1996) 賀茂広域消防組合 平成12年 (2000) 竹原広域消防組合 ター内または周辺へのヘリポート設置 ○ また,離島である豊田郡大崎上島町については,役場東側にヘリポートが整備さ れており,島外の救急医療機関へのヘリコプター搬送が可能となっています。その 1,656 500 の搬入・搬出のため,東広島医療セン また,竹原広域消防本部は3署1分署体制で救急業務を実施しています。 2,000 1,000 また,周辺環境に配慮しながら患者 しています。 2,500 について検討します。 ○ 圏域地域保健対策協議会内の救急医療部会などにおける医療機関と搬送機関との 他にも,患者を救急車で主に白水港まで運び,そこから患者輸送艇により竹原港や 定期的な意見交換を今後とも推進し,相互の連携強化を図ります。 安芸津港の桟橋まで搬送しています。 (5)県民への情報提供 イ 施策 ア ○ 救急搬送体制の充実 ○ 救急隊員の資質の向上 現状と課題 ○ 保健医療関係者相互又は消防機関との間で関連情報を共有・交換することにより ○ ヘリコプター移送体制の検討 救急搬送を側面的に支援するほか、地域住民に休日夜間当番医や医療機関情報など の日常生活に必要な医療情報を提供することを目的に,広島県救急医療情報ネット ウ 施策の内容 ワークが運営されています。 ○ 救急隊の出動件数は,疾病構造の変化等を受けて増加の一途をたどっており,救 ○ このシステムでは,医療機関,消防署,保健所等がインターネットで接続され, 急搬送体制の整備のため、現在 11 台配備されている高規格救急車のさらなる増強 これにより各種の医療情報が利用可能であり,また,一般県民も基本的な医療情報 配備を推進します。 を利用できるシステムとなっています。 ○ 救命率向上のため,救急救命士の養成・定期教育(資格取得前の広島県消防学校 や資格取得後の県立広島病院・東広島医療センター内実習指導など)を今後とも充 121 イ 施策 122 ○ 積極的な広報活動の推進 ら,平成 5(1993)年度以降順次,航空機事故等の大規模な集団災害に備え,医 師会と各市町の間において「災害時の医療救護活動に関する協定」が締結され体制 ウ 施策の内容 整備が行われています。 その他,市町の地域防災計画においても,災害時の応急医 ○ 応急救護の知識・技術等について一層の普及啓発を図るため,「救急の日」事業な 療・救護計画が策定され助産や後方医療施設への搬送を含めた医療救護体制の整理 どの機会を通じ,応急救護知識・技術の普及,救急医療の役割や制度等について普 及啓発事業を積極的に推進します。 が行われています。 ○ なお,「医療機能調査」(病院)によれば,各病院における院内医療救護活動マニ 平成 16(2004)年 7 月から一般住民も AED(自動体外式除細動器)の使用が ュアルの整備状況について,圏内全 22 病院中3病院が策定済みであり,さらに 可能になったことにより,住民を対象とした使用方法の講習機会を増やします。 12 病院が策定中又は検討中となっています。これは,全県に比べ,若干高い数字 ○ 夜間や休日に身近な地域で適切な診療を受けることができるよう、救急医療機関 等についての情報を的確に地域住民に提供していく ため,広島県救急医療情報ネッ となっていますが,全病院での策定が望まれます。 ○ 災害時における医療救護所の設置については,各市町地域防災計画などでおおむ トワーク以外にも在宅当番医表などの各家庭への配 付などの広報活動を推進します。 ね整理されており,避難所などを中心に医療救護所が設置される予定となっていま ○ 管内に広島大学があり留学生も多いことなどから外国人に対する救急医療の対応 策として、外国語版救急医療ハンドブックを作成しました。 す。 ○ 医療救護班の編成状況については,編成している病院は,圏域内の病院中2病院 であり,地区医師会から要請があれば編成することにしている病院が6病院ありま 表 5−9 初 期救急 医療機 関 二 次医療 圏名 市 町名 人口 休日 夜間 診 療所 す。これは,全県とほぼ同様の割合です。 広島中央二次医療圏救急医療体制 在 宅当 番 医制 二 次救急 医療機 関 救急 告示 病 院 病院群 輪 番制参 ( 病院群 輪 番制 加病 院 病院を 除く ) 三次 救急 医療 機 関 東広島市休 日 診療所 賀 茂 郡東 部医 師 会 ・東 広島 医療 セ ン ター ・西 条中 央病 院 ・本 永病 院 ・井 野口 病院 広島 中央 竹 原市 東広島市 安 芸津 町 大崎 上島 町 4 竹原市休日 診 療所 竹 原地区 医 師会 豊 田郡医 師 会 救急 医療 情報 等 関を中心に備蓄されるとともに,東広島薬剤師会では,医薬品等の備蓄センター(市 川薬局[東広島市西条町]内)を設置し,各事業所(薬局)をネットワークで結ぶ 東 広 島地 区医 師 会 東広 島市 ○ さらに,医薬品や救急セットなどについては,東広島医療センターなどの医療機 ・安 田病 院 ・馬 場病 院 ・県 立安 芸津 病 院 ・ 土肥 整 形外科 病院 ・ 木阪 病 院 ( 隣接医 療 圏) ・ 県立広 島 病院 ・ 広島市 民 病院 ・ 広島大 学 病院 ・ 呉医療セ ンタ ー ○広島県救急医療情 報 シス テム( イン ター ネッ ト対 応) ・応 需情 報 入力 端末 の設 置 ・地 域住 民 への休 日 夜間 当番医や医療機関情 報 の提 供 ○東広島地域保健対 策 協議 会救 急医 療 部会 ○医師会と各市町間 に おい て締 結さ れ た 「災害 時の医療救護活動に 関 する 協定」 ことにより,センターと各事業所(薬局)の備蓄情報が把握可能となっています。 イ 広域災害時指揮系統樹 ○ 平成 13(2001)年度において,次のように広域災害時における指揮系統の整 理が行われています。 災害医療対策 (1) 現状と課題 ア 医療救護体制 ○ 災害時における救急医療については,現在,東広島医療センターが災害協力病院 に指定されています。また,当圏域内に隣接して,広島空港が所在することなどか 123 124 ○ その他,各病院へ院内医療救護活動マニュアルの作成を呼びかけるとともに,医 図 5−2 1 「広島中央」災害医療圏広域災害時指揮系統樹 療救護班の編成を促進していきます。 イ 広域災害時指揮系統樹 ○ 指揮系統樹についての周知徹底を図るとともに,常に緊急時に対応できるよう机 上訓練などを継続的に行っていきます。また,指揮系統樹内に位置付けられている 機関相互の日頃からの連絡を密にしていきます。 ウ 搬送体制 ○ 後方医療施設への迅速な搬送を確保するため,救急車・市町所有車あるいはヘリ コプターなどによる搬送を行います。 エ 住民への周知 ○ 災害時の医療救護体制について,地域住民へのより一層の啓発と訓練を推進しま す。 5 へき地医療対策 (1) 現状と課題 ○ 無医地区は,以前東広島市に1地区,無医地区に準ずる地区は東広島市に2地区, 豊田郡大崎先上島町に1地区の合計4地区ありました。 ウ 訓練計画 平成 16(2004)年度の県の調査で,交通事情改善等で無医地区・無医地区に準 ○ 広島空港周辺市町,医療関係者及び消防関係者などによる飛行機事故を想定した 訓練も実施されており,竹原地区では,林野火災を想定した訓練が行われています。 ずる地区は無くなりました。 しかし,これらの地区に限らず高 齢化が著しくなり老人世帯が多く,東広島市全 域では 70 歳以上の通院支援のためのタクシー券支給事業を,東広島市豊栄町地区 (2)施策 では福祉バス巡回を,東広島市河内町地区でも福祉バス事業を行い,受療機会の確 ○ 災害時医療救護実働体制の構築 保を図っています。 ○ 地域住民への災害時対策の積極的な広報 また,豊田郡大崎上島町の生野島については,社会福祉法人恩賜財団済生会の検 診船「済生丸」による巡回検診が,へき地検診を補完しています。 (3)施策の内容 ア ○ その他,東広島市には,国民健康保険法に基づく,東広島市国民健康保険小田診 医療救護体制 療所・戸野診療所が設置されています。 ○ 「災害時の医療救護活動に関する協定」について,阪神・淡路大震災を受けた見 ○ 豊田郡大崎上島町では町内になかった耳鼻咽喉科を解消するため,平成 18 直しを検討するとともに,この協定に基づき災害協力病院である東広島医療センタ (2006)年4月に町立の耳鼻咽喉科診療所が開設されましたが,眼科についても ーを中心とした体制整備に向けて,各市町等関係機関の連携強化を図ります。また, 町内にないため早期の整備が望まれています。 その際には,航空機事故や地震等の大規模災害に対する備えのみでなく,高速道路 上での大事故などの対応も含めて検討していきます。さらに,市町地域防災計画で (2)施策 の災害時応急医療・救護計画や災害時救急医療の実効性確保のため,体制や協定に ○ 医療機能の充実 ついてのより一層の啓発と訓練を推進していきます。 ○ 受療機会の確保 125 126 (3)施策の内容 ア Ⅲ その他の対策 1 医薬品等の適正使用の推進(医薬分業の推進) 医療機能の充実 ○ 医療の確保を図るため、保健所と市町の連携のもとに健康教育、健康相談、保健 指導などの保健事業を実施し、包括的な保健医療サービスの提供を推進します。 イ (1) 現状と課題 受療機会の確保 ○ 現在,東広島市で行われている,福祉バス・タクシー券支給事業等のこれまでの ○ 高齢化社会の進展や疾病構造の変化に伴い医薬品の多剤併用や長期連用が増加し, 事業は当分の間継続する等今後も受療機会の確保に努めます。 複数受診等による重複投薬や相互作用のリスク等が高まっています。 ○ 豊田郡大崎上島町については,島内での交通手段の確保だけでなく,竹原市,東 ○ 医薬分業とは「かかりつけ薬局」が患者の薬歴管理・服薬指導を行い,複数の診 広島市安芸津町方面へのフェリーや高速艇などによる搬送体制の充実を検討してい 療機関から処方される医薬品の重複投薬・相互作用・副作用等の発生を防止しよう きます。 とするものです。 ○ 圏域の状況は,平成 16( 2004)年 10 月の処方せん受取率(国民健康保険(国 民保険及び老人保健分))をみると県平均の 52.9%に比べ 66.6%と分業は進んで いますが,個々の病院,診療所と近隣の薬局との「マンツーマン分業」が主体とな っています。 ○ 患者によりメリットのある医薬分業を推進するには,患者が自由に選択できる「か かりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」を主体とした分業への移行と,このための処方 せん受け入れ体制づくりを圏域ぐるみで推進することが必要です。 (2)施策 ○ 地域住民への啓発 ○ 処方せん受け入れ体制の整備 ○ 医師会,歯科医師会及び薬剤師会との連携 (3)施策の内容 ア 地域住民への啓発 ○ 地域住民の理解を得るために,医薬分業に関する正しい知識の普及に努めます。 イ 処方せん受け入れ体制の整備 ○ 医薬分業推進支援センター(調剤・医薬品の備蓄・情報収集及び提供の機能を有 する基幹薬局),休日・夜間の処方せん受け入れ体制の整備を推進します。 ウ 医師会,歯科医師会及び薬剤師会との連携 ○ 医師会,歯科医師会及び薬剤師会との連携を図りつつ地域の実情を考慮した医薬 分業を進めます。 127 128 2 医療従事者の確保 また,生活習慣病や骨粗鬆症の予防など住民の健康増進の推進を担う栄養士は, 住民に最も身近な行政である市町にもれなく設置拡充されることが望まれます。 (1) 現状と課題 図 5−22 ○ 医師・歯科医師・薬剤師 医療従事者 16 00 医師数は,平成 16(2004)年末現在, 393 人で人口 10 万人対 177.3 とな 14 00 12 00 っており,県平均(237.0)を 60 人近く下回っています。内訳は,病院の開設 10 00 者・勤務者が 212 人,診療所の開設者・勤務者が 169 人,その他が 12 人となっ 8 00 ています。 6 00 歯科医師数(平成 16(2004)年末現在)については,126 人(人口 10 万人 4 00 対 56.8)で,県平均(79.9)を下回っています。歯科医師のほとんどは,診療所 2 00 0 開設者・診療所勤務者です。 医師 歯科医師 薬剤師 保健師 平 成10 (19 98)年 看護師 准看護師 歯科衛生士 歯科技工士 平 成1 6(20 04) 年 薬剤師数(平成 16(2004)年末現在)は, 349 人(人口 10 万人対 157.4) で,県平均(194.9)を下回っています。薬剤師の職業をみると,薬局の開設者・ 代表者・勤務者が 235 人(67.0%)と最も多く,次いで病院・診療所の勤務者が 厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」・「衛生行政業務報告」 (2)施策 71 人(21.9%)となっており,以下,医薬品販売業の従事者が 22 人( 6.3%), ○ 医療事故等防止マニュアルの見直し及び周知の徹底 衛生行政・保健衛生業務従事者 5 人(1.4%)のように多方面にわたっています。 ○ 医療知識・技術,医療事故防止などについての研修を開催 ○ 保健師・看護師・准看護師 保健師数(平成 16(2004)年末現在)は 69 人です。少子高齢社会の進展や 疾病構造の変化,県民の健康に対する関心の高まりなどから,地域保健活動の一層 の充実が求められるなか,保健師の確保と充実は,重要な課題となっています。 看護師数(平成 16(2004)年末現在)は 1,340 人,准看護師数は 974 人と なっています。 (3)施策の内容 ア 医療事故等防止マニュアルの見直し及び周知の徹底 ○ 医師・歯科医師は,ともに県平均を下回っていますが,他の医療従事者も含めて 医師・歯科医師数は順次増加しているところであり,今後とも増加が見込まれます。 ○ 介護保険制度施行に伴う訪問看護等在宅ケアのニーズの高まり等に対応するため ○ 歯科衛生士・歯科技工士 に,未就業看護師の就労促進等を図ります。 歯科衛生士数(平成 16(2004)年末現在)は 151 人です。1診療所あたりの ○ 圏域地域保健対策協議会では,成人・老人保健対策専門部会や救急医療対策専門 人数は約 1.6名で,県とほぼ同様の水準にあります。在宅歯科衛生士の就労促進を 部会などの設置,介護支援専門員研修会等を通じて保健医療福祉関係者の連携を図 含めた歯科衛生士の確保が必要です。 る取組みを行っています。また,医師会などもケアカンファレンスや勉強会を通じ 歯科技工士数(平成 16(2004)年末現在)は 55 人です。 ○ その他の保健医療従事者 て医療従事者の資質向上に取り組んでいます。 ○ 近年,全国的に医療事故が注目されるとともに,患者の保健医療に対するニーズ 病院に従事しているその他の保健医療従事者数(平成 16(2004)年度医療法 は多様化しています。各医療機関などでも研修が実施されていますが,医療の高度 第 25 条第1項に基づく立入検査資料)は,理学療法士 74 人,作業療法士 45 人, 化,専門化への対応と同時に,医療事故の防止を検討する場も,より重要になって 診療放射線技師 37 人,臨床・衛生検査技師 74 人,管理栄養士・栄養士 45 人と なっています。 くると思われます。 ○ 医療事故防止に関する取組みは圏域内20病院ではすべて医療事故等防止マニュ 各種検査機器が急速に進歩してきており,診療放射線技師,臨床検査技師等検査 部門の従事者の業務が増大するものと考えられ, その確保とともに質的向上を図る アルを作成していますが,定期的な内容の見直し及び職員への周知徹底が図られる よう推進します。 必要があります。 129 130 イ 医療知識・技術,医療事故防止などについての研修を開催 ウ 緩和ケアの推進 ○ 医師については,医師会等主催の勉強会やオープンカンファレンスが実施されて ○ 人口動態統計によると,悪性新生物は死亡原因の第1位を占めており,しかも年々 おり,参加者に対して,医療知識・技術の拡充が図られていますが,医療事故につ 増加傾向にあります。この状況の中でがん末期患者への医療のあり方や対応が見直 いても,事例報告会の開催等により,発生要因情報の共有化を推進します。歯科医 されてきました。当圏域内には,緩和ケア病棟(床)はありませんが,竹原・東広 師については,歯科医療技術の進歩や在宅歯科診療のニーズに対応できるよう,歯 島地区とも地域の様々な保健・福祉・医療の関係機関が連携を図り,在宅での緩和 科医師会等関係機関の協力のもと研修機会の確保に努めます。 ケアの支援体制ができつつあります。 ○ 薬剤師については,医薬分業の進展により,服薬管理や患者への説明等が必要と また,緩和ケア地域連絡協議会を中心として,地域資源情報の把握・研修会・事 されます。医学・薬学の発展や医薬品の開発に対応した最新の知識・技術を得られ 例検討会等の事業を展開 し人材の育成やネットワ−クの構築等を行っています。 るような研修の開催を検討します。 ○ 看護師については,患者と接する機会が多く,医療ミスを防いだり,訪問看護の 心構えや技術を習得したりする研修の開催を検討します。 ○ その他の保健医療従事者についても,医療,医療機器の発展に対応できるよう研 修の開催を検討するとともに積極的な参加を推進します。 3 その他の医療提供体制 (2)施策 ○ 保健・医療・福祉関係者が必要とする情報の共有 ○ 地域住民への保健医療福祉の情報提供 ○ 緩和ケアの推進 (3)施策の内容 ア (1)現状と課題 ア ○ 現状では,連絡帳,電話,ファクシミリ等を活用して,様々に関係者間で連携を 保健・医療・福祉関係者が必要とする情報の共有 とっていますが,今後は,インタ−ネット等を活用して,それぞれの施設,機関の ○ 保健・医療・福祉の連携を進めていくためには保健・医療・福祉それぞれの施設, 情報の一元管理を行い,必要に応じて,医療従事者等がその情報を活用できる体制 機関についての情報の共有化が必要です。保健・医療・福祉サ−ビスの実施者がそ れらの情報などを共有できれば,効果的なサ−ビスが提供できます。 イ 保健・医療・福祉関係者が必要とする情報の共有 地域住民への保健医療福祉の情報提供 の整備を検討します。 イ ○ 地域住民への医療関係情報の提供手段の一環として,現在広島県では,インター 図るとともに,高齢者や障害者にも考慮し,救急医療情報ネットワークといったイ ネットに対応した救急医療情報ネットワークが稼働しています。このシステムでは, ンターネット上だけではなくさまざまな媒体を利用した情報提供を推進していきま 保健医療関係者相互又は消防機関との間で関連情報を共有・交換することにより救 急搬送を側面的に支援するほか、地域住民に休日夜間当番医や医療機関情報などの 日常生活に必要な医療情報を提供しています。 地域住民への保健医療福祉の情報提供 ○ 今後は,住民の立場に立った利便性を実感できるようさらなる情報内容の充実を す。 ウ 緩和ケアの推進 ○ 患者や家族の思いを尊重した在宅緩和ケアを推進するために,疼痛や諸症状の緩 ○ 具体的には,端末設置医療機関による応需情報入力・消防機関による救急ホーム 和・症状変化に対する緊急時の対応及び,患者を全人的に捉えた多面的な対応等在 ページへのアクセス,医療機関データベース利用,休日夜間当番医照会及び応需状 宅医療の提供,患者や家族の精神的ケアを重視した訪問看護等の医療提供を図って 況照会・県民による休日夜間当番医照会,医療機関データベース利用などの利用が いきます。 行われています。 また,施設内緩和ケアを推進するために,緩和ケア病棟(床)の確保を視点に後 ○ さらに,平成 13(2001)年 10 月にシステムの改善が行われ,利用者の利便 性の向上が図られています。なお,このほかに医師会などにおいてもインターネッ 方支援病院の充実や一般病棟における緩和ケアの実施に向けての体制の整備を検討 します。 ト上の情報提供が行われています。 131 132 第5節 計画の推進 広島中央圏域保健医療計画検討部会委員名簿 ○ 計画の推進体制 圏域地域保健対策協議会などの既存の組織を活用しながら,計画の推進,進行管理を 区 行っていきます。 第6節 ○ 地域の先進的な取組み ACLS 教育プログラムの立ち上げと研修の推進 東広島医療センターが中心となって ACLS(二次救命処置)の教育プログラムを立ち 上げ,救急体制従事者等の研修の充実を図ります。 ○ ホスピスボランティアの活動 10 名(準スタッフ4名を含む)で結成している「広島ホスピスをすすめる会竹原支部」 は, 「街全体をホスピスに」の実現をめざして,平成 15(2003)年に設立,地域の在 分 氏 名 所 属 職 委員長 佐々木 正 博 東広島地区医師会会長 委 山 下 通 隆 竹原地区医師会会長 長谷川 賴 彦 賀茂郡東部医師会会長 円 山 忠 信 豊田郡医師会会長 兒 玉 安 紀 東広島医療センター院長 井 上 正 規 県立安芸津病院長 藤 井 春 男 東広島市歯科医師会会長 三 好 秀 樹 竹原・豊田歯科医師会会長 員 金 好 康 隆 東広島薬剤師会会長 井 上 俊 則 広島県薬剤師会竹原支部支部長 山 下 龍 男 東広島市社会福祉協議会会長 日 浦 盛 登 竹原市社会福祉協議会会長 小 林 弘 大崎上島町社会福祉協議会会長 門 晃 義 明 東広島市消防局長 明 竹原広域消防本部 名 宅医療患者や家族の精神的なサポ−トとして,ボランティア活動を積極的に行っていま 大 川 す。 垣 内 昭 子 福富町保健推進委員会代表 川 本 洋 子 大崎上島町食生活改善連絡協議会会長 小 坂 政 司 竹原市長 藏 田 義 東広島市長 特に,ホスピスボランティアに寄せる地域での信頼は厚く,関係機関と連携を図り, 竹原市を中心に地域に根付いた活動を推進しています。 133 雄 藤 原 正 孝 大崎上島町長 吉 岡 明 広島県東広島地域保健所長 彦 134
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