日本放送協会 (NHK)会 長 柳井勝人 2014年 殿 (平 成 26年 )3月 3日 「NHKの あ り方 を考 える弁護 士 。研 究者 の会」 阪 口徳雄 (大 阪弁護 士会)上 脇博 之 (神 戸学院大学教授) (別 紙受信契約者 氏名 の弁護 ± 15名 ・研究者 5名 合計 20名 ) 共同代表 第 1要 求 の趣 旨 l NHKの 会長を直ちに辞任するよう求めます。 2 辞任 しない場合順次 NHKの 受信料の支払の停止に踏みきります。 第2 要求 の理 由 1 貴殿 の発言 とその問題点 (1)貴 殿は、 1月 25日 、NHK新 会長就任 の記者会見で、次の とお り述べた と報道 されて い る。 ①従軍慰安婦問題 を取 り上げた過 去のNHK番 組 に関連 し、この問題 に関す る見解 を問わ 「戦 「今 のモ ラルでは悪 いことだが、当時の戦争 地域には大体つ きものだつた と思 う。」 れ、 「 争 をしてい るどこの国にもあつた」 としてフランス、 ドイ ツの名 を挙げた。又 なぜオラ ンダにまだ飾 り窓があるんですか」とい う従軍慰安婦問題 と無 関係 の問題 についても言及 した。 ② 日本 に補償 を求める韓国についても「日本 だけが強制連行 したみたいな ことを言 つてい るか ら話 がやや こしい。お金 をよこせ 、補償 しろと言 つてい る。 しか しすべ て 日韓条約 で 解決 してい る。 なぜ蒸 し返 され るんです か。 おか しいで しよ う」 と述べた。 ③尖閣諸 島・竹島な ど領 土問題について、国際放送で 「明確 に 日本 の立場 を主張す るのは 当然。政府 が右 とい うことを左 とい うわけにはいかない」 と述べた。 ④秘密保護法 について質問があ り 「通 つちやたんで言 つてもしょうがない。・・・ あま リカ ッカす ることはないだろ う。昔のよ うな変 な ことが起 こるとも考 えにくい」と述 べ た。 「 ⑤会長 の編集権 の行使 につ き、現場 の意見 と食 い違 うときどうす るかの質問に 最終的に は会長 が決める。その了解な しに現場 で勝手に編集 した ときは責任 を問 う」とい う趣 旨の 発言 を した。 以上の発言 のなかには 「会長 の職は さておき」と して発言 されたもの もあるよ うである が、 この記者会見 は、あ くまで もNHKの 新会長就任会見であつた。 「就任 の記者会見 とい う場 で私的な考えを発言 したのは間違 いだった。 同月 27日 には、 私 の不徳 の致す ところです。不適 当だつた と思 う」 と述べたよ うである。そ して、その後 の国会 において、最終的 には全て発言を 「撤回」 し 「謝罪」まで した。 さらには、その舌の根 も乾かぬ 2月 12日 の経営委員会 において「それ で もなお かつ私 は大変な失言を したので しょうか」と発言 した。それまでの反省 と陳謝、謝罪 の姿勢 が殆 ど認 め られない内容であつた。それ故に、 2月 25日 の経営委員会 において貴殿 が 「皆 さ んの誤解 を生む結果になって しまいま した。深 く反省 し、お詫び します」 と謝罪 したにも かかわ らず、委員長 が貴殿 に対 して「就任会見以降、NHKと して事態 の収拾にあた つて い る状況において、経営委員会 で再度、誤解 を招 く発言を された ことについては、ご 自身 の置かれた立場 に対する理解 が不十分であると言 わざるを得ません。一彦1も 早 い事態 の収 拾 に向けて、役職員一九 とな り、誠心誠意、取 り組 んでいただくよう経営委員長 として重 ねて要請 いた しますJと い う旨の 申 し入れを行 つたことがNHKの 公表資料 において明 ら かにされた。 httpヽ薇 ww nhと orjp/1ceieⅢ nka1/new/keiei140225 html (2)1月 25日 の理事会において、「あなた方は前の会長 が選んだ。今後 の人事 は私 のや り 方でや る」 とい う趣 旨の発言 を し、理事 10名 全員に 日付 のない辞表を提出 させた。 貴殿 は、上記辞表提出問題 が浮上 した 当初 は 「人事のことであるので コメン トは差 し控 える」 として この問題 を隠ぺ い しよ うとした。 しか し、 10名 の理事が国会で辞表を提出 したことを認 めたことにより、上記辞表提出の事実が明 らかになった。なお貴殿は 「この よ うな ことは民間ではよくあることである」な どとして弁明 してい る。 公共放送 であるNHKの 会長 としては、上記 の 1(1)の 発言 は個人的発言 であつて も 取 り返 しのつかない異常で不適切な発言 であ り、NHKの 会長 としての資質、能力、資格 はない と言わざるを得ない。 (1)放 送法は、「放送 の不偏不党、真実及び 自律 を保障す ることによつて、放送による表 現 の 自由を確保す ること」を原則 の一つ に掲げ、放送 の 「健全な発達を図ることを 目的」 とし (第 1条 )、 放送事業者 が国内放送及び内外放送 の放送番組 の編集 に当た つて 「政治 的に公 平であること」「報道 は事実をまげないです ること」「意見が対立 してい る問題 につ いては、で きるだけ多 くの角度 か ら論点を明 らかにす ること」によらなければな らない と 2 定 めてい る (第 4条 )。 NHKの 会長は、NHKの 役員 であ り (第 49条 )、 理事会 の構成員であ り (第 50条 )、 経営委員会 の同意を得 るとは言え、副会長 と理事を任命す る権限もある (第 52条 第 3項 ) し、中央放送番組審議会 と国際放送番組審議会 の各委員 を委嘱す る権限もある (第 82条 第 1項 。第 4項 )。 また、 NHKを 代表 し、経営委員会 の定めるところに従 うとはい え、 業務 を総理す る権限が ある (第 51条 第 1項 )し 、経営委員会に出席 し、意見 を述べ るこ とができる (第 40条 第 3項 )強 大な権限を有 してい る。 (2)NHKの 新会長 が就任会見で 「個人的見解」 「放送 の指示をしない」 と断 つた として も前述 の発言 を行 うことによつて、NHKの 今後 の放送 が政治的に公平、中立に報道 され ない不信 を生 じさせ 、又 「意見が対立 してい る問題」において会長 の意向に沿 つて報道 さ れ る危険性や疑いを生 じさせた。理事全員 か らの 「白紙 の辞任届」も、貴殿 が任命権限を 「 利用 して会長 の意向に 「服従Jす るこ とを要求 したと思われ る。前記⑤ の 最終的 には会 長 が決める。その了解な しに現場 で勝手に編集 したときは責任 を問 う」旨の発言 も、貴殿 の真意、姿勢、意 向が明 らかになった ものであると、NHKの 役職員 には理解 され る。仮 に貴殿 が直接 その よ うな報道 を指示 しなくても、役職者 が委縮す る可能性 もある し又会長 の意向を‖度 して報道す る危険性 が十分 あると言わざるを得ない。 「 現 に、 1月 25日 の NHKの 電子放送は、会長 の意向を 尊重」 して発言内容 を客観 的 に報道 していない。 の 『 新 しい会長 に就任 した桝井勝人会長 が記者会見 し、不偏不党や公 平 を うた つた放送法 順 守に努 めるとともに、国際放送 の充実に取 り組 む考えを示 しま した。靱井会長 は 70歳 。三 井物産 の副社長 などを経 て、ITサ ー ビス会社 の 日本ユニ シスで社長や特別顧問な どを務 め ま した。記者会見で、柳井会長 は 「私がまず第一 に挙 げてい るのは放送法 の順守 で、放送法 に沿 つた経営 をや つてい くことが、われわれ に課 された重大な任務 だ。職員一 同が放送法 を も う一度身近 に考えるよう徹底 してい きたい」と述べ 、不偏不党や公平を うたつた放送法の 順守 に努 める考えを示 しま した。また、籾井会長は 「国際放送 の充実など、さま ざまな課題 を しつか り実行に移 してい きたいJと 述べま した』 この内容 は、民放>レ ビや新聞等 で報道 され てい る内容 とも大幅に異なる。その後 の経 営委員会 での貴殿 の発言や理事 の辞職願 などの件 も、NHKの ニ ュース番組 で何 ら報道 さ 「 れ ていない。かかるNHKの 報道姿勢 は、放送は 「政治的に公平であること」 報道 は事 実をまげないです るこ と」 「意見が対 立 してい る問題 については、できるだけ多 くの角度 か ら論点を明 らかにす ること」とす る前記放送法第 4条 とも矛盾す る。 これは、貴殿 が ど のよ うに主張 しよ うとも、NHKの 役職員達が貴殿 のお よそ放送法を理解 しない言動 を付 度 して又は萎縮 して現実の放送を歪 めてい ると思わざるを得 ない。 (3)NHKの 報道は客観的 に公正、公 平、中立でなけれ ばな らないが、同時にNHKが 公平、 公 平、中立な報道を してい ると国民が信頼す るか らこそ、国民が 自主的に契約 し受信料 を 支払い公共放送が存立できるのである。放送法 64条 において、テ レビを設置 した者 に対 して NHKと の受信契約締結義務 を負 わせただけであ り、契約 の締結 の有無 に関わ らず受 信料 の支払義務を規定 していないのは この為である。NHKの 報道が放送法 によ り客観的 に公正、公 平、中立に報道 させ ることにより国民の信頼 を得て、初 めて国民が受信料を払 う関係 に立つ法的スキームになつてい る。 も しNHKの 会長や経営委員 が放送法 に定める内容に反する言動 を行 い、受信者 の信頼 を喪失 した時には、 この根本関係 が崩壊す る。 NHKへ の受信料 は、NHKの 放送 がどの よ うな内容 (例 えば時の政権 の広報機 関化 し た時やその危険性 があるとき)で あれ、受信者 が我慢 してNHKを 支 えなけれ ばな らない とい うことにはなつてい ない。 「 東京高等裁判所 の平成 24年 2月 29日 判決はNHKと 受信者 の関係 を、 受信 と対価 性 の ある私法上の契約関係」と述べてい る。す なわち 「NHKは 債権 の法的性質 の特殊性 (対 価性 のない特殊な負担金)を 主張するが、受信料債権 は、現行法上、私人間の契約 に 基づ く債権 と構成 されてお り、特妹公法的権利 として立法 されてい るわけではないか らそ の法的・客観 的根拠 を欠 くとい うほかはない。また、受信料 とは文字 どお り受信 (視 聴可 能性 )の 対価 であ り、受信 と受信料 に対価性 があることは明白であるJと 判示 してい る。 平成 12年 12月 8日 の 旧郵政省 時代 の電波監理審議会 (第 842回 )に おいて、NH Kの 受信規約について、平成 13年 4月 1日 以降は、消費者契約法 は適用があることを確 認 してい るのは このよ うな趣 旨であろ う。 放送 の受信 と受信料 が対価 関係 に立つ とい う前記東京高裁 の判例や、NHKと 受信者 と の間には消費者契約法の適用 があるとい う電波監理審議会 の見解 によれば、受信契約 には NHKが 放送法 に従 つた放送 をす ることが 当然 の前提 にされ 、受信者 がその よ うな放送 を 受ける権利 があると解 され る。そのNHKの 放送 内容が放送法 に従 つた放送 されない危険 性 がある時には、受信契約者 は、その危険性 が解消 され るまでの間、「不安 の抗弁権 (= 民法上 の同時履行 の抗弁権 の一種)」 を理由に受信料 の支払 い を一時保留す ることも認 め tる 。 tる と角 ら才 子さオ 3 私 たちは今まで NHKは 公平、公正 、中立な報道 を行 うもの と信頼 し受信料 を支払 つて きた。貴殿 の発言 は、その前提 となるNHKと 視聴者 との間の信頼 を裏切 つた。そ の存 立 基盤 を貴殿は 自ら破壊 したのである。その後 の貴殿 の国会での対応や NHKの その後 の報 道内容 か ら見て貴殿 が会長 に居座 るこ とは公共放送 として有害である。 もはや 、公共放送 の会長 に貴殿 がこれ以上、座 り続 けることを、視聴者 として認 めるこ とはできない。NHKが 受信者 か ら信頼を確保す る道は、口先だけの謝罪、撤回ではなく、 貴殿 が辞任す ることしか残 され ていない。 視聴者 は、制度上は、NHKの 会長 の 「リコール権」を有 していないが、受信料 を支払 わないこ とによつてNHKに その是正請求をす ることはできる し、そ うせ ざるを得 なくな った。 貴殿 が辞任す ることこそが公共放送 を救 うことになる。直 ちに辞任す ることを求める。 貴殿 が辞任 しないので、順次、私達は受信料 の一時停止に入るつ もりであ り、その 旨の 通知 を本書面 においてNHKに 通知す る次第 である。 NHKが 国家、政府 のための広報機 関でなく、国民、視聴者 のための報道機関になつて ほ しい とい う思いか ら、本意見 を述べ 、私達 の決意を述べ る次第である。 以上。 NHK経 営委員会 委員長濱 田健 一郎御 中 2014年 (平 成 26年 )3月 3日 「NHKの あ り方 を考 え る弁護 士・ 研 究者 の 会 」 共同代表 阪 口徳雄 (大 阪弁護士会)上 脇博之 (神 戸学院大学教授) 靱 井 NHK会 長 の解任 を求 め る申 し入 れ 書 第 1申 し入れの趣旨 籾井 NHK会 長 を直 ちに解任すること 柳井 NHK会 長 を直ちに解任 しないか、会長が 自ら辞任 しない場合は私達 は順次受信料 の一時停上に入る旨通知す る 1 2 第 2申 し入 れ の 理 由 私 達は NHKの 会長 に対 して添付 の通 りの辞任 要求 を行 な つた。 同時 に柳井 氏がNHK会 長 の職 に不適格 な人物である こと、NHKに 対す る視聴者・国民 の信 頼 を著 しく損ねた こ とは添付 の辞任 要求書 にお いて詳細 に主張 した通 りである。 よ つて 貴 委員会 にお いて 直ち に柳井 NHK会 長 を解任 す る こ とを要請す る。 貴委員 会 にお いて解任 し な い場合 は受信料 を一 時停 止 す る 旨通知す る。 添付 資料 NHK会 長辞任等要求書 1通
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