中畑・磯崎・小坂・坂田・平田 - 宇宙地球部会

地学雑誌
Journal of Geography
(Chigaku Zasshi)
124
(4)633–656 2015
doi:10.5026/jgeography.124.633
関東山地北縁,上部白亜系跡倉層・栃谷層の
砕屑性ジルコン年代パタン
―
飛騨帯と中央構造線南縁との弧横断方向の関連 ―
中
畑 浩 基* 磯 﨑 行 雄* 小 坂 和
坂 田 周 平*** 平 田 岳 史***
夫**
Detrital Zircon Age Spectra of the Upper Cretaceous Atogura and
Tochiya Formations in the Northern Kanto Mountains, SW Japan :
Evidence of Across-arc Link to the Hida Belt
Hiroki NAKAHATA*, Yukio ISOZAKI*, Kazuo KOSAKA**,
Shuhei SAKATA*** and Takafumi HIRATA***
[Received 2 July, 2015; Accepted July 14, 2015]
Abstract
The overall configuration of the Cretaceous subduction-related arc-trench system in Japan is
preserved in the current distribution of the relevant orogenic components; i.e., the coeval set of
accretionary complexes formed at the trench(Sanbosan and North Shimanto belts), high-P/T
meta-ACs along the Wadati–Benioff zone(Sanbagawa and Shimanto metamorphic belts), arc
batholiths(Ryoke–Sanyo and San-in belts), and fore-arc basin strata(Ryoseki–Monobegawa
and Izumi groups). To document the sediment distributary pattern within the Cretaceous arctrench system and the composition of relevant provenance, detrital zircon dating was conducted
for the Upper Cretaceous sandstones(Atogura and Tochiya formations)from the northern
Kanto Mountains. These strata occur immediately to the south of Median Tectonic Line of SW
Japan, and as klippe with unknown origin. The results of U-Pb dating by LA-ICPMS show that
three sandstones have common age spectra with four major age groups; i.e., 120–150 Ma(Early
Cretaceous)
, 170–200 Ma(Jurassic), 250–300 Ma(Permian), and 1600–2200 Ma(Paleoproterozoic)
, with minor amounts of much older grains up to 2900 Ma(Archean)
. These age spectra are
unique, when compared to other coeval Cretaceous fore-arc and/or intra-arc sandstones in Japan.
The Early Cretaceous grains were obviously derived from a proximal source to the depositional
site, probably the Cretaceous volcanic arc of the Ryoke–Sanyo belt in SW Japan. The dominant
grains of the Jurassic and Permian ages were probably derived from coeval plutonic belts in
the provenance, whereas the Paleoproterozoic grains were probably derived from continental
blocks in East Asia with crusts of corresponding ages, such as the North and South China blocks.
Except for the Cretaceous arc source, Jurassic and Permian granitoids are extremely rare in
*
**
***
*
**
***
東京大学大学院総合文化研究科宇宙地球科学教室
日本大学文理学部地球システム科学科
京都大学理学部地質学鉱物学教室
Department of Earth Science and Astronomy, The University of Tokyo, Tokyo, 153-8902, Japan
Department of Geosystem Sciences, College of Humanities and Sciences, Nihon University, Tokyo, 156-8550, Japan
Department of Geology and Mineralogy, Kyoto University, Kyoto, 606-8502, Japan
633
— —
major parts of Japan, and the Paleoproterozoic crust is totally absent. The only exception to the
occurrence of Jurassic and Permian granitoids exists in the Hida belt of SW Japan. The age
spectra of the analyzed Upper Cretaceous sandstones differ remarkably from those of other
coeval fore-arc sandstones, whereas they clearly show similarities to Cretaceous sandstones in
the Hida belt. This suggests that the analyzed Upper Cretaceous sandstones were primarily
deposited in a domain far from the present position but with a close link to the Hida belt, which
is located more than 100 km away to the northwest. Tectonic emplacement onto the present
position immediately above the Cretaceous high-P/T meta-ACs probably took place during the
Paleogene and Neogene, likely in relation to Miocene rifting of the Japan Sea. This study provides the first evidence of the across-arc geotectonic link between back-arc and fore-arc domains
of Cretaceous Japan.
Key words:Cretaceous, detrital zircon, U-Pb age, arc, Japan, provenance
キーワード:白亜紀,砕屑性ジルコン,ウラン–鉛年代,弧,日本,後背地
盆,海溝斜面上の海段盆地など)の非–弱変成白
I.は じ め に
亜系が日本各地に産し,伝統的に詳しい生層序お
日本列島のような海洋プレート沈み込みに関連
よび堆積相が解明されている。それらのなかに
する太平洋型(コルディエラ型あるいは都城型)
は,海溝陸側斜面の深海相や陸棚浅海相のほか
造山帯には,弧–海溝で形成された特徴的な地質
に,恐竜化石を産する陸成相など多様な堆積相が
体の組み合わせ(例えば付加体,低温高圧型変
識別されている。
成岩,弧花崗岩・火山岩,前弧盆堆積体など)
しかし,白亜紀日本全体の古地理図復元,とく
が産する(例えば, Maruyama, 1997; 丸山ほか,
に多様な白亜系の初生的堆積場の位置復元をめぐ
2011)。しかし中生代以前の造山帯に,それらの
り研究者間の合意が得られていない。多くの研究
要素のすべてがフルセットで,かつもとの空間配
者は,それらの多様な白亜系が初生堆積場から二
列のまま保存されている例は少ない。日本海形成
次的に移動したと想定している。ただし,その解
以前の日本についても,古生代–中生代の上記各
釈は,中央構造線(MTL)などの日本弧の伸び
構成要素の断片が識別されているものの,それら
に平行な 1000 km を越える大規模な白亜紀横ずれ
の要素の大部分はすでに失われており,過去に起
変位を仮定する見解(例えば, Taira et al., 1983;
きた造山帯地殻の断片化および二次的消失の激し
田代, 1985; 田沢, 1993; 松岡ほか, 1998; 山北・
さを物語っている(Isozaki et al., 2010; 鈴木ほか,
大藤, 2000; 小野, 2002)と,弧の伸びに直交す
2010; 磯﨑ほか, 2011)。
る方向での大規模な短縮を推定する見解(磯﨑・
約 7 億年に及ぶ日本列島史のなかでは比較的
丸山, 1991; Isozaki, 1996; Maruyama, 1997; Iso-
若い白亜紀については,それらの造山帯構成要素
zaki et al., 2010; Aoki et al., 2014; Sato et al.,
がよく保存されている(Aoki et al., 2012, 2014)。
2015)とに大別される。いずれの見解でも,MTL
とくに「対の変成帯」(Miyashiro, 1961)として
をはさんだ西南日本内帯と外帯の白亜系の初生的
知られる三波川帯と領家帯は,おのおの沈み込み
堆積場の認定と現在の相対的位置の比較が重要で
帯深部の低温高圧条件下の変成場と火山フロント
ある。
直下の弧地殻形成場を代表しており,それらの分
最近になって,砂岩中の砕屑性ジルコンの放射
布や配列は白亜紀日本の造構場を復元する際に大
性年代測定が世界中でさかんになり,本邦でも各
きな制約を与える。一方,当時の弧–海溝系表層
地の多様な堆積岩についての検討がはじまった
での多様な堆積場(例えば,弧内盆地,前弧海
(中間ほか, 2010; 下條ほか, 2010 など)。日本の
634
— —
Atogura klippe
granitoids
Paleogene rocks
Fig. 2
TL
Cretaceous strata
Tokyo
M
Tertiary
Shimonita
M.T.L.
Ryoke belt
Sanbagawa belt
36
139
Chichibu belt
Sa
nch
ug
rab
10 km
en
(Ku
ros
eg
aw
N
Ogawa
Fig. 3
ab
elt
Chichibu basin
)
図 1 関 東 山 地 北 縁 の 下 仁 田・小 川 地 域 の 位 置 図(佐 藤 ほ か, 2015 を 改 変).
M.T.L.: 中 央 構 造 線.
Fig. 1 Index map of Shimonita and Ogawa areas in the northern Kanto
Mountains, SW Japan(modified from Sato et al., 2015).
M.T.L.: Median Tectonic Line.
白亜系についても一部から砕屑性ジルコンの年代
するため,これらの白亜系は前弧盆の地層の一つ
データが報告されるようになり(例えば, 中間ほ
とみなされてきた。
か, 2010; Aoki et al., 2012, 2014; Kawagoe et al.,
本研究では,群馬県下仁田地域と埼玉県小川地
2012; 竹内ほか, 2015)
,新しい年代データに基づ
域に産する白亜系砂岩について砕屑性ジルコンの
く後背地についての議論が可能となったため,古
LA-ICPMS による詳細な U-Pb 年代測定を試み
典的な古地理復元を大幅に描き直すべき時期にき
た。その結果,白亜紀日本の古地理を復元する上
ている。
できわめて興味深いデータを得たので,新たに得
関東山地北縁を走る MTL の南縁に沿って,き
られた年代データを報告し,その地質学的意義を
わめて小規模ながら先白亜紀の花崗岩類や厚い礫
議論する。
岩を伴う特異な白亜系が小規模に分布している。
II.地 質 概 略
とくに近縁に隣接する多様な地質体とともに複雑
な地質構造を呈することから,古くからその意義
関東山地には,西南日本から連続して先新生代
が注目されてきた(例えば, 藤本ほか, 1953; 内田,
地質体がほぼ西北西–東南東方向に帯状配列し,
1961; 新井ほか, 1963; 小坂, 1979; 小野, 1983; 平島,
北から領家帯,三波川変成帯 / 四万十変成帯,秩
1984; ウォーリスほか, 1990; 牧本・竹内, 1992;
父帯,そして四万十帯が産する(図 1)。関東山
新井・高木, 1998; 高木・柴田, 2000)。この白亜
地北縁でも領家帯の南縁は MTL によって断た
系の砕屑粒子については,砂岩の鉱物組成の解析
れ,その南側には三波川変成帯の低温高圧型結晶
(武井, 1992; 新井ほか, 2000)がなされ,さらに
片岩および秩父帯のジュラ紀付加体が産する。そ
は砕屑性モナザイトの年代測定が予察的に試みら
れらの構造的上位には,ほぼ水平な断層に介され
れている(Yokoyama and Saito, 2001)。白亜紀
て,先中新世の異地性岩類がクリッペとして産す
の火山弧の底部とみなされる領家帯の海洋側に産
る。クリッペの主要な構成岩は,ペルム紀石英閃
635
— —
緑岩とそれに貫かれた泥質岩起源のホルンフェル
的文献を含めた詳細な研究史については,牧本・
ス,白亜紀石英閃緑岩,顕著な礫岩を伴う上部白
竹内(1992)
,高木(2008)および佐藤ほか(2015)
亜系および古第三系であり,構造的下位の三波川
による丁寧なまとめを参照されたい。
変成帯や秩父帯の構成岩石や地層とは大きく異な
1)下仁田地域
ることから,1930 年代中頃にその特異性が指摘
群馬県南西部下仁田町周辺には,MTL に相当
された(藤本, 1935)後,その地質学的意義がさ
する大北野–岩山線(断層)/ 牛伏山断層をはさん
まざまに議論されてきた。
で北側に領家帯の岩石,南側に三波川変成帯の結
これまでになされた多様な研究成果(藤本ほか,
晶片岩および秩父帯のジュラ紀付加体が分布する
1953; 内田, 1961; 新井ほか, 1963; 小坂, 1979;
(図 1,図 2)。本地域の地質の基礎記載は,藤本
小野, 1983; 平島, 1984; 高木ほか, 1989; 竹内・
(1935)にはじまり,その後,藤本ほか(1953)
,
牧本, 1991; 牧本・竹内, 1992 など)により,ク
,新井ほか(1963)
,高木・藤森(1989)
,
内田(1962)
リッペの構成要素として,年代の古い順に,270–
武井(1992)
,新井・高木(1998)らに引き継が
250 Ma 金勝山 / 川井山石英閃緑岩およびホルンフェ
れた。幅の狭いクリッペ中に多様な岩石・地層が
ルス,110–105 Ma 四又山石英閃緑岩類,100 Ma
含まれる様子が解明され,とくに 1980 年代以降
角閃岩類,上部白亜系跡 倉層 1) および栃 谷 層,
に放射性年代測定によって,それまで年代未詳
65.4 Ma(古第三系暁新統)寄居層,59.6–57.6 Ma
であった石英閃緑岩類が約 250–280 Ma と 105–
(古第三系暁新統)寄居酸性岩類などが識別され
110 Ma という異なる年代の 2 種の岩体があるこ
あとぐら
とち や
ている。これらの地質体は,いずれも構造的下位
とが明らかにされた(高木ほか, 1989)
。
の三波川変成岩やジュラ紀付加体の内部構造を切
上述の特異な先中新世地質体群,すなわちペル
る低角度断層を介して累重し,周囲の地質体から
ム紀川井山石英閃緑岩およびホルンフェルス,白
独立したクリッペとして産するため,すべて異地
亜紀四又山石英閃緑岩,白亜系跡倉層などの特異
性の地質体とみなされてきた。暁新統がこのク
な岩石・地層群は,クリッペとして南側の三波川
リッペに参加していること,それらが基盤の三波
高圧変成岩および秩父帯のジュラ紀付加体の上位
川変成岩とともに中新統によって不整合に覆われ
に産する(図 2)。それらの下底を限る低角度断
ることから,それらの移動時期は 55 Ma と 16 Ma
層に加えて,複数の低角度断層がつくる累重ク
の間に限定される(例えば, 竹内ほか, 1990)
。変
リッペが発達し,さらにそれらを切る二次的な高
形構造などに基づき,南方から移動したとみなす
角度断層によって,地質図・断面図はモザイク状
見解(例えば, ウォーリスほか, 1990; Kobayashi,
の複雑な様相を呈する。MTL 相当断層の北側も
1996; 近重, 2000)あるいは岩質などに基づき,
複雑な地質分布を呈し,そのため,この北側地域
MTL の北側から移動したとみなす見解(例えば,
は,かつて「下仁田構造帯」と呼ばれ,南側のク
藤本ほか, 1953; 小坂, 1979)がある。しかし,ク
リッペのハイマートと考えられたこともあった
(新井ほか, 1966)
。
リッペ構成岩の初生的形成場はいまだ特定されて
本地域のクリッペの一部をなす上部白亜系は,
いない。解釈のなかには,実体は未確認のまま,
中生代末の領家帯の南側に“古領家帯”という地
藤本ほか(1953)によって跡倉層と命名された。
帯の存在を仮定し,これらの先中新世地質体の起
おもに礫岩やよく成層した砂岩および泥岩から構
源をそこに求める見解(高木・柴田, 2000)も含
成され,その全層厚は 1000 m 以上に及ぶ(図 2)
。
まれる。
一見水平な地層面をもつものの,一部には逆転層
以下に,本稿で検討した群馬県の下仁田地域と
が含まれる(内田, 1961)こと,側方への岩相変
埼玉県の小川地域の地質と白亜系の概要を略述す
化が著しい礫岩が卓越すること,さらに産出化
る。これらの地域の地質の複雑さを反映して,各
石の少ないことなどが災いして,層序の解明が
種構成ユニットの名称も複雑な経緯をもつ。古典
遅れた。本稿では最新のまとめである新井ほか
636
— —
A
Ogitano-Iwayama Line
Tertiary
138
Kawaiyama Qtz diorite
36
Lower sandstone Mb
N
hornfels
Mt. Kawai
Ya
m
an Middle alternation Mb
ok
am
is
aw
a
Atogura
conglom. Mb
○
SHM
Mt. Yotsumata
Yotsumatayama Qtz diorite
uro
am
Miy
Atogura Fm
hornfels
Upper mudstone Mb
○
Lower sandstone Mb
A
ok
m
an
N
500 m
B
R.
Jurassic AC (Chichibu belt)
u
Nakanokaya
conglom. Mb
high-P/T schists
(Sanbagawa belt)
R.
ra
gu
Ao
Kawaiyama Qtz diorite
B
600 m
Ogitano-Iwayama Line
Atogura Fm
++
500 m
high P/T schists (Sanbagawa belt)
400
Jurassic AC
(Chichibu belt)
200
図 2 下 仁 田 地 域 の 地 質 図 と 地 質 断 面 図(新 井 ほ か, 2000 を 改 変).
Fm:(累)層,Mb:部 層,AC:付 加 体.
Fig. 2 Geologic sketch map and profile of the Shimonita area in the northern Kanto Mtns.(modified from Arai et al., 2000)
.
Fm: Formation, Mb: Member, AC: accretionary complex.
(2000)の層序に従う。跡倉層は,下位から順に,
Coniacian;93.9–86.3 Ma) と み な さ れ て い る
跡倉礫岩 / 下部砂岩層(350 m 厚以上 /460 m 厚
(新井ほか, 1963)
。また,植物化石の破片も報告
以上),中部砂岩泥岩互層(270 m 厚),中ノ萱
されており,海成層および非海成層を含む。
礫岩(110 m 厚)そして上部泥岩層(460 m 厚以
武井(1992)と新井ほか(2000)は,砂岩の
上)からなる。きわめてまれながら,年代決定に
鉱物組成の解析からその多くが長石質アレナイト
有効な二枚貝化石 Inoceramus や Acanthotrigo-
に分類されることを示し,その後背地に花崗岩や
nia が上部泥岩部層から報告されており,跡倉層
中・酸性火山岩などが広範に露出していたこと,
の年代は白亜紀後期ギリアーク世(Turonian–
そして Dickinson et al.(1983)による basement
637
— —
high P/T schists
(Sanbagawa belt)
gre
en
sto
ne
mé
139
N
Kinshozan Qtz diorite
C
36
Mt. Kinshozan
lan
ge
Kiroko
Tochiya Fm
Ogawa
○
KRK
gree
OGW
nsto
ne m
élan
ge
Jurassic AC (Chichibu belt)
500 m
D
C
Tochiya Fm
Kinshozan Qtz diorite
500 m
D
200
0m
high P/T schists (Sanbagawa belt)
Jurassic AC (Chichibu belt)
図 3 小 川 地 域 の 地 質 図 と 地 質 断 面 図(小 坂, 1979; 牧 本・竹 内, 1992; 近 重, 2000 を 改 変).
Fig. 3 Geologic sketch map and profile of the Ogawa area in the northern Kanto Mtns.(modified from Kosaka, 1979;
Makimoto and Takeuchi, 1992; Chikashige, 2000).
ては,角閃石の K-Ar 年代として 251±8 Ma が
uplift ないし dissected arc の堆積盆に比較できる
ことを指摘した。また高木ほか(1992)は跡倉礫
報告され,特異な古期花崗岩の産出が注目された
岩中の花崗岩(トーナル岩)礫の年代測定を行い,
(小野, 1983)
。
隣接する川井山石英閃緑岩とほぼ同じ約 250 Ma
下仁田地域と同様の特異な先新第三系地質体群
の年代の礫が含まれることを確認した。
(おもにペルム紀花崗岩と上部白亜系からなり,
本研究で年代測定を試みたのは中部砂岩泥岩互
小規模な白亜紀片麻岩および古第三紀酸性火山岩
層の砂岩である(図 2 の地点 SHM)
。
類を伴う)は,三波川変成岩の上位に低角度断層
2)小川地域
を介してクリッペとして産する。さらに,白亜系
埼玉県西部小川地域には,三波川変成帯の結晶
の南側に狭小な“緑色岩メランジュ”が伴われ,
片岩およびその南側に秩父帯のジュラ紀付加体
約 400 Ma の角閃岩が報告されている。クリッペ
の岩石・地層が分布する(図 1,図 3)。本地域
下底の低角度断層に加えて,それを切る二次的な
の地質に関する基礎記載は,渡部ほか(1950),
高角度断層によって複雑なモザイク状の地質体配
前 田(1954)
, 小 勝 ほ か(1970), 小 坂(1979,
列がつくられている(図 3)。
1987)
,小野(1983)
,平島(1984)
,高木・藤森
金勝山石英閃緑岩の年代は下仁田地域の川井山
(1989)
,牧本・竹内(1992)
,竹内・牧本(1995)
,
石英閃緑岩のものにきわめて近く,岩相もよく一
近重(2000)らによってなされてきた。小川町北
致する。本地域北部に産する寄居酸性岩類は,
部にまとまって露出する金勝山石英閃緑岩につい
59.6 Ma(暁新世)のフィッショントラック年代
638
— —
の溶結凝灰岩をもつ(竹内・牧本, 1991)。また
け,そして磁力選別および重液分離を行なった
寄居酸性岩類と金勝山石英閃緑岩にはさまれて,
後,鏡下での肉眼判別によって砕屑性ジルコン粒
砂岩および礫岩からなる地層が分布し,寄居層と
子を分離した。分離したジルコン粒子をアクリル
呼ばれている(藤本・渡部, 1947)
。本層中の凝灰
樹 脂 に マ ウ ン ト し, カ ソ ー ド ル ミ ネ ッ セ ン ス
岩は 65.4 Ma(ほぼ白亜紀 / 古第三紀境界)とい
(CL)像により結晶内の累帯組織の有無を検査し
うフィッショントラック年代をもつ(牧本・竹内,
た。年代測定に際しては,CL 像観察によって,
1992)。
火成起源であることを示すオシラトリー累帯組織
上部白亜系の主体は,寄居町から小川町にかけ
をもつ部分のみを分析スポットとして選定した。
て西北西–東南東方向に狭く帯状に分布し,前田
鉱物分離および CL 像の観察は東京工業大学地球
(1954)によって栃谷層と命名された。砂岩,泥
惑星科学教室の設備を利用した。
岩,および礫岩からなるが,一部は逆転しており
年代測定は京都大学理学研究科地質学鉱物学教
(近重, 2000)
,見かけの厚さは 800 m 以上に及
室(平田研究室)に設置された NWR femto レー
ぶ(図 3)。地層の変形は激しく,また連続性の
ザーアブレーション装置(ESI, Portland, US)
よい露出に恵まれないため,詳細な層序は未解明
とAttoM 二 重 収 束 型 ICP 質 量 分 析 計(Nu In-
である。栃谷層は下仁田地域の跡倉層と酷似した
struments, Wrexham, U.K.)を組み合わせて用い
岩相をもち,両層が対比されることはほぼ疑いが
た。分析に際しては紫外線波長フェムト秒レー
ザー(λ= 260 nm,パルス幅 230 fs)を用いた。
ないが,本層からはまだ詳細な年代決定に有効な
化石は得られていない。渡辺ほか(1990)は,
なおレーザーエネルギー密度は 2.2–2.3 J/cm2,
アンモナイト,放散虫,そして二枚貝の化石に基
周波数は 8 Hz,レーザースポットサイズは 20 μm,
づき,栃谷層の堆積年代を後期白亜紀と推定し
そして 1 スポット分析あたりの積分時間は 30 s の
た。砂岩は中粒から粗粒のアルコース質で,粒子
条件で測定を行った。測定は未知試料 10 スポット
の円磨度は低い(小坂, 1979)。
につき 91500 標準ジルコン(Wiedenbeck et al.,
本研究で年代測定を試みたのは,分布域南縁お
1995)を 8 スポット測定し U-Pb 同位体比およ
よび中央部の砂岩である(図 3 の地点 OGW お
び Pb 同位体比の標準化を行った。
よび KRK)。
IV.測 定 結 果
III.測定試料および手法
各砂岩中の砕屑性ジルコンの U-Pb 年代の頻度
砕屑性ジルコンの年代測定を試みるために下仁
分布の分析結果を表 1–3 および図 4 に示す。表
田地域の 1 地点(図 2)から,そして小川地域の
1–3のなかで斜字表記した測定値は U-Pb 同位体
2 地点から(図 3)採取した砂岩試料は以下の通
系のコンコルディア線上にプロットされないため
りである。
年代の議論から外す。以下では,相対的に誤差が
・試料 SHM(図 2):跡倉層中部砂岩泥岩互層
少なく,年代算出に用いる同位体をすべて実測し
た 238U/ 206Pb 年代のみを用いる。
の中粒砂岩。下郷沢(北緯 36 度 12 分 4 秒 ;
東経 138 度 45 分 8 秒)の川床露頭で採取。
試料 SHM の砂岩から分離された砕屑性ジルコ
・試料 OGW(図 3):栃谷層の細粒砂岩。小
ンのなかで,明確なオシラトリー累帯組織をもつ
川町西山の丘陵部(北緯 36 度 4 分 27 秒 ; 東
64 粒子について U-Pb 年代を測定した。それら
経 139 度 12 分 57 秒)の山腹露頭で採取。
のなかでコンコルディア線上にプロットされたの
・試料 KRK(図 3):栃谷層の粗粒砂岩。小川
は 47 粒であり,それらの U-Pb 年代は 119 Ma
町木呂子西部丘陵部(北緯 36 度 4 分 29 秒 ;
から 2643 Ma の範囲に及ぶ(表 1)
。大きく,4 つ
東経 139 度 12 分 15 秒)山腹露頭で採取。
の年代グループ,すなわち約 120–135 Ma(白亜
紀前期)
,約 170–200 Ma( ジュラ紀 )
,約 250–
これらの砂岩試料を粉砕し,鉱物粒子の椀か
639
— —
表 1 LA-ICPMS による白亜系跡倉層砂岩(試料 SHM)中の砕屑性ジルコンの U-Pb 年代.
Table 1 U-Pb ages of detrital zircons from Upper Cretaceous sandstone of the Atogura
Formation(Sample SHM)by LA-ICPMS.
Grain number
206
Pb/ 238U
207
Pb/ 235U
Age(Ma)
207
Pb/ 206Pb
206
Pb/ 238U
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
0.0411
0.03095
0.0311
0.0291
0.2291
0.329
0.0203
0.335
0.0423
0.0436
0.508
0.387
0.0264
0.0293
0.0355
0.0302
0.289
0.0309
0.211
0.03972
0.3294
0.02641
0.0192
0.02954
0.02135
0.0426
0.028
0.03526
0.031
0.0304
0.02743
0.354
0.0294
0.0271
0.01934
0.03
0.0186
0.03984
0.02692
0.0334
0.03572
0.357
0.02412
0.03121
0.3358
0.02412
0.03056
0.0276
0.02689
0.0361
0.01798
0.3499
0.0264
0.0443
0.0235
0.0379
0.0289
0.02772
0.369
0.0394
0.0259
0.0394
0.03074
0.0477
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
0.0018
0.0011
0.0029
0.0037
0.0098
0.028
0.0013
0.012
0.0017
0.0025
0.021
0.019
0.0013
0.0013
0.0013
0.0017
0.012
0.0013
0.017
0.0012
0.011
0.00091
0.0011
0.001
0.00082
0.0037
0.0015
0.001
0.0013
0.0017
0.0012
0.015
0.0031
0.0015
0.00069
0.0028
0.0018
0.0012
0.00098
0.0038
0.0013
0.021
0.00078
0.0011
0.012
0.0011
0.00089
0.0027
0.00094
0.0015
0.00071
0.011
0.0043
0.0062
0.0016
0.0029
0.0018
0.0011
0.032
0.0015
0.00097
0.0018
0.0011
0.0055
0.318
0.219
0.2
0.34
3.47
5.21
0.153
5.31
0.311
0.289
13.09
6.48
0.16
0.201
0.247
0.229
4.71
0.215
3.26
0.2809
5.32
0.1814
0.229
0.2078
0.147
0.352
0.209
0.24
0.237
0.174
0.251
6.06
0.207
0.261
0.1472
0.253
0.135
0.312
0.195
1.68
0.251
6.08
0.166
0.215
5.18
0.205
0.2162
0.239
0.212
0.363
0.149
5.63
0.19
0.38
0.31
0.264
0.334
0.211
6.15
0.288
0.183
0.265
0.306
0.42
± 0.025
± 0.022
± 0.035
0.18
±
0.18
±
0.44
±
0.03
±
0.16
±
± 0.034
± 0.026
0.5
±
0.29
±
± 0.032
± 0.015
± 0.014
± 0.038
0.22
±
± 0.035
0.28
±
0.01
±
0.23
±
± 0.0099
± 0.034
0.01
±
± 0.011
± 0.075
± 0.023
± 0.012
± 0.025
± 0.034
± 0.029
0.48
±
± 0.034
± 0.038
0.01
±
± 0.044
0.02
±
± 0.015
± 0.016
0.36
±
± 0.014
0.39
±
± 0.015
± 0.011
0.16
±
± 0.025
± 0.011
± 0.064
0.02
±
± 0.043
0.026
±
0.19
±
± 0.052
0.13
±
0.11
±
± 0.044
± 0.073
± 0.044
0.65
±
± 0.019
± 0.041
± 0.024
± 0.033
0.12
±
0.0541
0.0516
0.058
0.0547
0.1115
0.1179
0.057
0.1146
0.0524
0.0501
0.1816
0.1218
0.0446
0.0504
0.0508
0.0524
0.1134
0.0476
0.1102
0.0515
0.1156
0.0495
0.08
0.0508
0.0504
0.077
0.052
0.0492
0.0562
0.0486
0.064
0.1255
0.0546
0.0656
0.0545
0.0589
0.0509
0.0567
0.0516
0.326
0.0521
0.1196
0.0498
0.0524
0.1122
0.0613
0.051
0.075
0.0583
0.0708
0.061
0.1184
0.0551
0.0512
0.0742
0.0524
0.083
0.0514
0.1205
0.0515
0.0517
0.0503
0.0761
0.062
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
0.0028
0.0044
0.012
0.0076
0.0028
0.0049
0.012
0.0028
0.0054
0.0032
0.0058
0.0044
0.0073
0.0038
0.0027
0.007
0.0027
0.0073
0.0048
0.0025
0.0058
0.0032
0.014
0.0028
0.0042
0.023
0.006
0.0031
0.0061
0.0035
0.0069
0.01
0.0059
0.0078
0.0048
0.0093
0.0039
0.0034
0.0042
0.06
0.0034
0.0068
0.0046
0.0029
0.005
0.0078
0.0032
0.016
0.0058
0.0076
0.011
0.0053
0.0085
0.0035
0.01
0.0051
0.019
0.0086
0.011
0.0035
0.0089
0.0034
0.0097
0.011
259
196.5
197
184
1327
1810
129.8
1870
266.8
275
2643
2102
168.1
185.8
224.6
191.5
1641
196.2
1226
251.1
1835
168.1
122.3
187.6
136.2
269
178.1
223.4
196.6
192.7
174.4
1949
186
172.6
123.5
190
119
251.8
171.2
211
226.2
1979
153.6
198.1
1855
153.6
194
176
171.1
228.7
114.9
1934
159
278
149.7
239
184
176.2
2040
249.2
164.8
249
195.1
299
All errors are quoted at 2σ.
斜字体のものはコンコルディア線上にプロットされなかった測定値(以下の表も同様).
Measurements with italic letters are plotted off the Concordia line(the same for the following tables)
.
640
— —
± 11
± 7.1
± 18
± 22
± 52
± 140
± 8.1
± 54
± 11
± 15
± 88
± 88
± 8.4
± 8.1
8
±
± 10
± 58
8
±
± 90
± 7.4
± 52
± 5.7
± 7.1
± 6.3
± 5.2
± 23
± 9.2
± 6.5
8
±
± 10
± 7.2
± 72
± 19
± 9.5
± 4.4
± 17
± 11
± 7.4
± 6.2
± 24
8
±
± 90
± 4.9
7
±
± 47
7
±
± 5.6
± 17
± 5.9
± 9.4
± 4.5
± 51
± 20
± 36
± 9.8
± 18
± 11
7
±
± 140
± 9.4
± 6.1
± 11
± 6.7
± 33
207
Pb/ 235U
272
197
192
190
1530
1877
147
1864
284
261
2684
2034
153
185
227
194
1759
196
1448
251.2
1868
168.9
207
191.3
138.4
313
194
218.4
214
182
223
1965
185
228
139
214
126
274.8
179
920
228
1987
155
199.3
1848
187
198.3
230
194
310
138
1930
173
258
207
233
276
193
1962
256
171
246
268
310
± 14
± 32
± 25
± 63
± 33
± 66
± 22
± 28
± 20
± 24
± 36
± 39
± 26
± 13
± 12
± 20
± 35
± 11
± 63
± 7.9
± 34
± 8.5
± 28
± 8.7
± 9.9
± 46
± 17
± 10
± 19
± 16
± 22
± 60
± 28
± 28
± 8.9
± 28
± 18
± 11
± 13
± 150
± 12
± 47
± 13
± 8.6
± 25
± 21
± 9.1
± 92
± 16
± 31
± 21
± 37
± 36
± 29
± 30
± 20
± 45
± 23
± 70
± 15
± 24
± 14
± 25
± 57
表 2 LA-ICPMS による白亜系栃谷層砂岩(試料 OGW)中の砕屑性ジルコンの U-Pb 年代.
Table 2 U-Pb ages of detrital zircons from Upper Cretaceous sandstone of the Tochiya
Formation(Sample OGW)by LA-ICPMS.
Grain number
206
Pb/ 238U
207
Pb/ 235U
Age(Ma)
207
Pb/ 206Pb
206
Pb/ 238U
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
0.392
0.0419
0.359
0.03159
0.03146
0.5742
0.343
0.0359
0.3474
0.04187
0.099
0.4102
0.03542
0.0447
0.442
0.03067
0.3526
0.02819
0.04325
0.417
0.04566
0.457
0.03077
0.397
0.04259
0.3202
0.0242
0.444
0.361
0.3477
0.212
0.3296
0.3489
0.4107
0.0451
0.0438
0.03311
0.0366
0.04207
0.2736
0.3424
0.354
0.444
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
0.025
0.0024
0.023
0.0018
0.0018
0.032
0.021
0.002
0.02
0.0024
0.03
0.023
0.0021
0.0026
0.029
0.0018
0.02
0.0017
0.0024
0.025
0.0026
0.035
0.0018
0.025
0.0025
0.019
0.0015
0.026
0.022
0.021
0.021
0.019
0.02
0.024
0.0028
0.0027
0.002
0.0021
0.0025
0.015
0.02
0.022
0.028
7.53
0.293
6.02
0.214
0.2185
14.56
5.54
0.2464
5.39
0.307
1.34
7.79
0.257
0.311
8.92
0.21
5.42
0.196
0.313
7.56
0.322
9.25
0.2204
6.8
0.2936
4.88
0.1629
9.51
5.61
5.32
3.23
5.12
5.336
6.94
0.313
0.302
0.2292
0.2544
0.297
4.205
5.42
5.93
9.12
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
0.49
0.017
0.39
0.016
0.013
0.7
0.31
0.014
0.25
0.019
0.54
0.36
0.015
0.02
0.67
0.015
0.27
0.011
0.02
0.39
0.019
0.88
0.012
0.36
0.016
0.23
0.011
0.49
0.28
0.26
0.34
0.25
0.25
0.35
0.021
0.024
0.014
0.015
0.019
0.19
0.3
0.35
0.61
0.1412
0.0518
0.1203
0.0487
0.0507
0.1868
0.1194
0.0509
0.1133
0.055
0.072
0.1401
0.0532
0.0515
0.1444
0.0515
0.1135
0.0507
0.0531
0.1316
0.0511
0.1451
0.0517
0.1245
0.0505
0.1131
0.0489
0.1572
0.1143
0.1116
0.1091
0.1137
0.1121
0.1242
0.051
0.0519
0.0503
0.0503
0.0524
0.112
0.1139
0.1235
0.1468
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
0.0053
0.0025
0.0042
0.0032
0.0025
0.0062
0.004
0.0024
0.0038
0.0029
0.01
0.0047
0.0027
0.0033
0.0065
0.0035
0.004
0.0022
0.0028
0.0044
0.0027
0.0073
0.0024
0.0043
0.0022
0.0039
0.0027
0.0057
0.004
0.0038
0.0048
0.0039
0.0038
0.0043
0.0028
0.0034
0.0027
0.0023
0.0026
0.0038
0.004
0.0044
0.0058
2130
264.6
1977
200.5
199.7
2924
1900
227.3
1921
264.4
580
2215
224.3
281.8
2356
194.7
1946
179.2
272.9
2246
287.8
2430
195.4
2151
268.9
1790
154.1
2366
1985
1923
1234
1836
1928
2217
284.5
276.2
210
231.7
265.6
1559
1897
1953
2364
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
120
15
110
11
11
130
100
13
95
15
160
110
13
17
130
11
95
11
15
110
16
150
11
110
15
91
9.2
120
110
98
110
94
97
110
17
17
13
13
15
78
94
110
120
207
Pb/ 235U
2171
260.3
1969
196
200.4
2789
1902
223.4
1885
271
690
2209
231.9
277
2313
193
1888
181.5
276
2176
283
2328
202
2082
261.1
1801
152.9
2393
1916
1873
1463
1840
1874
2106
278
267
209.2
229.8
264
1674
1884
1970
2338
± 61
± 13
± 54
± 13
± 11
± 43
± 49
± 11
± 42
± 14
± 200
± 44
± 12
± 17
± 71
± 12
± 44
± 9.1
± 15
± 47
± 15
± 94
± 10
± 46
± 12
± 39
± 9.6
± 49
± 44
± 44
± 83
± 40
± 40
± 46
± 16
± 18
± 12
± 12
± 14
± 38
± 46
± 54
± 63
All errors are quoted at 2σ.
300 Ma(ペルム紀)
,そして約 1600–2200 Ma(原
から 2924 Ma の範囲に及ぶ(表 2)。大きく,4
生代前期–太古代最末期)に分けられる。もっと
つの年代グループ,すなわち約 150 Ma(ジュラ
も粒子数が多いのはジュラ紀の年代グループであ
紀最末期)
,約 180–200 Ma(ジュラ紀)
,約 265–
る。
290 Ma(ペルム紀)
,そして約 1550–2900 Ma(原
試料 OGW の砂岩から分離された砕屑性ジルコ
生代中期–太古代)に分けられる。もっとも粒子
ンのなかで,明確なオシラトリー累帯組織をもつ
数が多いのは過半数を占める原生代中期–太古代
43 粒子について U-Pb 年代を測定した。それら
の年代グループである。
のなかでコンコルディア線上にプロットされたの
試料 KRK の砂岩から分離された砕屑性ジルコ
は 41 粒であり,それらの U-Pb 年代は 154 Ma
ンのなかで,明確なオシラトリー累帯組織をもつ
641
— —
表 3 LA-ICPMS による白亜系栃谷層砂岩(試料 KRK)中の砕屑性ジルコンの U-Pb 年代.
Table 3 U-Pb ages of detrital zircons from Upper Cretaceous sandstone of the Tochiya Formation
(Sample KRK)by LA-ICPMS.
Grain number
206
Pb/ 238U
207
Pb/ 235U
Age(Ma)
207
Pb/ 206Pb
206
Pb/ 238U
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
0.034
0.344
0.0316
0.02209
0.3366
0.0377
0.339
0.389
0.3375
0.0444
0.172
0.3418
0.02936
0.02066
0.3477
0.0428
0.02212
0.0425
0.02146
0.02259
0.375
0.0417
0.0269
0.02689
0.045
0.02152
0.3144
0.347
0.03121
0.03001
0.02937
0.3396
0.3012
0.3777
0.3463
0.15
0.3669
0.358
0.3353
0.02122
0.02837
0.02852
0.3316
0.3302
0.0385
0.0392
0.0319
0.4437
0.03597
0.386
0.356
0.3268
0.3366
0.3406
0.0379
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
0.0014
0.014
0.0016
0.001
0.014
0.0024
0.015
0.024
0.014
0.0024
0.031
0.016
0.0013
0.0012
0.016
0.0018
0.00091
0.0017
0.00096
0.0011
0.021
0.0019
0.0019
0.0014
0.002
0.00097
0.014
0.017
0.0014
0.0014
0.0015
0.015
0.014
0.017
0.015
0.014
0.016
0.015
0.014
0.00091
0.0012
0.0012
0.014
0.015
0.0027
0.0021
0.0026
0.019
0.0016
0.019
0.022
0.014
0.014
0.015
0.0018
0.248
5.523
0.224
0.165
5.254
0.344
5.39
7.57
5.48
0.31
2.53
5.42
0.206
0.163
5.46
0.324
0.1536
0.326
0.165
0.1451
7.02
0.372
0.32
0.197
0.344
0.1437
4.88
5.48
0.251
0.2078
0.206
5.19
4.64
6.12
5.42
1.81
6.09
6.05
5.35
0.171
0.1987
0.2011
5.52
5.5
0.44
0.379
0.54
10.16
0.285
6.83
5.9
5.35
5.3
5.38
0.273
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
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±
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±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
0.015
0.28
0.014
0.014
0.26
0.062
0.29
0.65
0.29
0.022
0.52
0.3
0.014
0.016
0.3
0.022
0.011
0.019
0.016
0.01
0.59
0.073
0.11
0.019
0.023
0.01
0.26
0.3
0.017
0.014
0.017
0.28
0.26
0.32
0.29
0.22
0.31
0.32
0.27
0.021
0.013
0.013
0.29
0.34
0.12
0.067
0.26
0.55
0.02
0.38
0.42
0.3
0.28
0.29
0.018
0.0519
0.1143
0.0502
0.0534
0.1113
0.0626
0.113
0.1369
0.1155
0.0514
0.0915
0.1129
0.0503
0.055
0.1124
0.0536
0.05
0.055
0.0553
0.0476
0.1334
0.066
0.072
0.0522
0.0549
0.0487
0.1128
0.1146
0.0582
0.0511
0.0504
0.1113
0.1108
0.1164
0.1142
0.0842
0.1215
0.1249
0.1137
0.0563
0.0503
0.0505
0.1171
0.1137
0.077
0.0656
0.086
0.1582
0.055
0.1239
0.1187
0.1142
0.1112
0.1118
0.051
All errors are quoted at 2σ.
642
— —
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
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±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
0.0033
0.006
0.0034
0.0043
0.0059
0.0096
0.006
0.008
0.0063
0.0042
0.0093
0.006
0.0036
0.0059
0.006
0.0036
0.0038
0.0036
0.0052
0.0034
0.0083
0.013
0.017
0.0045
0.0038
0.004
0.006
0.0062
0.0042
0.0033
0.0038
0.006
0.0059
0.0062
0.0061
0.005
0.0065
0.007
0.006
0.0059
0.0034
0.0035
0.0063
0.007
0.015
0.01
0.031
0.0087
0.0037
0.0065
0.0063
0.0067
0.0059
0.006
0.0032
215.5
1905
200.3
140.8
1870
239
1881
2114
1874
280
1000
1894
186.5
131.8
1922
270.1
141
268.3
136.9
144
2049
263.2
171
171
284.7
137.3
1761
1920
198.1
190.6
186.6
1884
1703
2072
1916
894
2014
1972
1863
135.3
180.4
181.2
1845
1838
243
247.8
202
2365
227.8
2102
1968
1822
1869
1888
239.7
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
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±
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±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
8.7
68
9.9
6.3
67
15
72
110
68
15
170
78
8.4
7.5
77
11
5.8
11
6.1
6.9
98
12
12
8.5
12
6.1
71
80
8.5
8.8
9.2
72
66
85
74
78
75
70
68
5.8
7.6
7.5
67
71
16
13
16
87
9.8
90
110
66
69
73
11
207
Pb/ 235U
224.6
1903
204.6
155
1860
280
1884
2158
1895
276
1120
1884
190.1
153
1891
284
144.8
285.9
156
138.6
2094
330
219
181
299
136.1
1800
1899
227
191.3
189
1848
1753
1991
1893
1014
1987
1984
1877
159
183.7
185.8
1905
1892
346
313
291
2452
254
2085
1954
1865
1870
1879
244.6
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
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±
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±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
±
12
43
12
12
42
35
47
78
45
18
190
48
12
14
45
17
9.6
15
13
8.5
77
54
47
16
17
9.1
44
49
14
11
15
45
47
45
46
72
45
47
42
17
11
11
46
47
70
44
78
55
16
49
66
38
41
45
14
SHM
10
14
12
5
10
8
100
180
260
340
6
4
2
0
500
1000
1500
2000
3000
2500
10
KRK
4
8
2
6
100
180
260
340
4
2
Number (grains)
6
500
1000
1500
2000
2500
OGW
4
2
4
100
3000
Relative probability
0
180
260
340
2
age
(Ma) 0
500
1000
1500
2000
2500
643
— —
3000
図 4 白 亜 系 跡 倉 層 お よ び 栃 谷 層 の 砂 岩
に含まれる砕屑性ジルコンの年代
ス ペ ク ト ル.
跡倉層および栃谷層の砕屑性ジルコン
は, 共 通 し て 大 き く 4 つ の 年 代 グ ル ー
プ, す な わ ち 約 120–150 Ma( お も に 白
亜 紀 前 期 ), 約 170–200 Ma( ジ ュ ラ 紀 ),
約 250–300 Ma( ペ ル ム 紀 ), そ し て 約
1600–2900 Ma(原 生 代 前 期–太 古 代 後 期)
に 大 別 さ れ る.
Fig. 4 Age spectra of detrital zircons from
Upper Cretaceous sandstones of
Atogura and Tochiya formations.
Detrital zircons from the Atogura and
Tochiya formations are composed of 4 major
age groups, i.e., ca. 120–150 Ma(mostly Early
Cretaceous)
, ca. 170–200 Ma(Jurassic)
, ca.
250–300 Ma(Permian), and ca. 1600–2900
Ma(Paleoproterozoic to Neoarchean).
55 粒子について U-Pb 年代を測定した。それら
年代より有意に古く,したがって年代の前後関係
のなかでコンコルディア線上にプロットされたの
に矛盾はない。
は 42 粒であり,それらの U-Pb 年代は 137 Ma
一方,栃谷層の砂岩については,砕屑性ジルコ
から 2365 Ma の範囲に及ぶ(表 3)
。大きく,4 つ
ンのなかでもっとも若い粒子の年代が試料 KRK
の年代グループ,すなわち約 140 Ma(白亜紀前
中の 137 Ma(同 Valanginian)であった(図 4,
期)
,約 170–200 Ma(ジュラ紀)
,約 270–280 Ma
表 2–3)
。栃谷層の堆積年代は,渡辺ほか(1990)
(ペルム紀)
,そして約 1700–2400 Ma(原生代前
が報告したアンモナイト,二枚貝,および放散虫
期)に分けられる。もっとも粒子数が多いのは半
化石に基づき,白亜紀後期と推定されている。今
数以上を占める原生代中期の年代グループである。
回得られたもっとも若い砕屑性ジルコンの年代は
このように,下仁田地域の跡倉層砂岩と小川地
化石年代より明らかに古く,年代の前後関係に矛
域の栃谷層砂岩は,ほぼ共通した砕屑性ジルコン
盾はない。
の年代スペクトルをもつことが判明した(図 4)。
以上のように,関東山地北縁の白亜系砂岩に含
これらの結果は,先に跡倉層砂岩中の砕屑性モナ
まれるもっとも若い砕屑性ジルコンは,跡倉層か
ザイトについてなされた予察的な CHIME 年代
ら検出された白亜紀前期の粒子である。このジル
測定の結果(Yokoyama and Saito, 2001)とも
コン粒子はオシラトリー累帯組織をもつ火成鉱物
調和的である。ただし,跡倉層と栃谷層の間に
であることから,その供給源は白亜紀前期の珪長
は,先カンブリア時代粒子の多寡において明瞭な
質火成岩類であり,跡倉層堆積場の後背地に白亜
差があり,後者の方が圧倒的に多数の古いジルコ
紀前期の珪長質火成岩が露出していたことを意味
ン粒子を含むことがわかった。
している。約 120 Ma というジルコン年代は,西
V.考
南日本の領家帯の花崗岩類,北部九州の花崗岩
察
類,また東北日本の阿武隈山地や北上山地の白亜
本研究で得られた砂岩中の砕屑性ジルコン年代
紀 花 崗 岩 の 年 代(Takahashi, 1983; Nakajima,
に基づき,関東山地北縁の上部白亜系堆積時の後
1996; 大和田ほか, 1999)に近い。おそらく当時の
背地について考察する。図 4 に明示されるよう
日本を含むアジア東縁で活動した弧の火成岩由来
に,跡倉層および栃谷層砂岩の砕屑性ジルコン
と考えられる。ただし,他の年代のジルコン粒子
は,共通して 4 つの年代グループ,すなわち約
に比べて白亜紀前期の粒子は極端に少数である
120–150 Ma(おもに白亜紀前期)
,約 170–200 Ma
(図 4)ことから,当時のアジア東縁に形成されて
(ジュラ紀),約 250–300 Ma(ペルム紀),そし
いた弧–海溝系の花崗岩(バソリス)自体はまだ
て約 1600–2900 Ma(原生代前期–太古代後期)
地殻深所に潜在していて,地表には広大に露出し
に大別される。以下に,各年代グループについて
ていなかったと推定される。おそらく当該ジルコ
考察を行う。地質年代の対比はすべて Gradstein
ンは同源マグマが地表に噴出した火山岩から由来
et al.(2012)に従う。
したと推定される。また,花崗岩帯の一部がすで
1)白亜紀火山弧
に露出していた可能性もあるが,その場合でもそ
下仁田地域の跡倉層中部の砂岩泥岩互層の砂岩
の露出域は狭かったか,あるいは跡倉層の堆積場
(試料 SHM)については,砕屑性ジルコンのな
から地理的に大きく隔離されていたと考えられる。
かでもっとも若い年代が 119 Ma(白亜紀前期
2)ジュラ紀とペルム紀花崗岩バソリス帯
Aptian)であった(図 4,表 1)
。跡倉層の堆積年
跡倉層および栃谷層の砂岩 3 試料は,共通し
代は,新井ほか(1963)が最上部の泥岩から報告
て約 160–200 Ma(ジュラ紀)と約 250–300 Ma
した二枚貝化石が示す白亜紀後期の Turonian–
(ペルム紀)という年代グループの砕屑性ジルコ
Coniacian(94–86 Ma) と さ れて い る。今 回 得
ンを含み,それらが砕屑性ジルコンの全粒子中の
られたもっとも若い砕屑性ジルコンの年代は化石
ほぼ半数を占める(図 4)
。いずれもオシラトリー
644
— —
Hida belt (back-arc)
Inotani Fm
(Albian)
Uchiyama Fm
Izumi Gr
(Nakama et al., 2010)
(Albian)
(Barremian)
0
500
1000
1500
2000
(Campanian)
(Aoki et al., 2012)
(Takeuchi et al., 2015)
Low. Wakamiya Fm
(Kawagoe et al., 2012)
Ryoseki Fm
Relative probability
Itsuki Fm
SW Japan (intra- & fore-arc)
2500
3000
age
3500 (Ma) 0
500
(Barremian)
(Barremian)
1000
1500
(Aoki et al., 2012)
(Aoki et al., 2012)
2000
2500
2500
3000
3500
図 5 西 南 日 本 の 白 亜 系 砂 岩 の 砕 屑 性 ジ ル コ ン 年 代 ス ペ ク ト ル(中 間 ほ か, 2010; Aoki et al., 2012, 2014; Kawagoe
et al., 2012; 竹 内 ほ か, 2015)と の 比 較.
Gr:層 群,Fm:(累)層.飛 騨 帯 の 白 亜 紀 前 期 Barremian の 手 取 層 群 伊 月 層(Kawagoe et al., 2012),白 亜 紀 前 期
末 Albian の 神 通 層 群 猪 谷 層(中 間 ほ か, 2010; Isozaki et al., 2010),お よ び 前 期 末-後 期 初 頭 Albian–Cenomanian の
尻 高 山 層・内 山 層(竹 内 ほ か, 2015) の 砂 岩 が も つ 砕 屑 性 ジ ル コ ン の 年 代 ス ペ ク ト ル は, 跡 倉 層 や 栃 谷 層 の 砂
岩 の も の と よ く 一 致 す る.一 方,九 州 北 部 の 関 門 層 群 下 部 若 宮 層(Hauterivian–Albian)や 四 国 中 央 部 の 領 石 層
(Hauterivian–Barremian)(Aoki et al., 2012, 2014), そ し て 四 国 西 部 の 和 泉 層 群 最 下 部(Campanian 前 期)(Aoki
et al., 2014)の 砂 岩 の も の は まっ た く 異 な る.
Fig. 5 Comparison of age spectra of detrital zircons with those of other coeval Cretaceous sandstones in SW Japan
(Nakama et al., 2010; Aoki et al., 2012, 2014; Kawagoe et al., 2012; Takeuchi et al., 2015).
Gr: Group, Fm: Formation. The age spectra of detrital zircons from sandstones of the Atogura and Tochiya Fm are
almost identical to those of the Barremian Itsuki Fm of the Tetori Gr(Kawagoe et al., 2012), Albian Inotani Fm(Nakama
et al., 2010; Isozaki et al., 2010), and Albian–Cenomanian Shiritakayama/Uchiyama Fm of the Jinzu Gr(Takeuchi et
al., 2015)in the Hida belt, whereas they are clearly distinct from those of other Cretaceous sandstones in SW Japan, e.g.,
the Hauterivian–Albian Lower Wakamiya Fm of the Kanmon Gr in N. Kyushu, Hauterivian–Barremian Ryoseki Fm in
central Shikoku, and the Campanian lowermost Izumi Gr in western Shikoku(Aoki et al., 2012, 2014).
累帯組織をもつ火成ジルコンであり,後背地に
帯に限られる。飛騨帯では,伝統的に「船津花崗
ジュラ紀およびペルム紀の珪長質火成岩類,とく
岩」と記載されたもの(加納, 1990)のほとんど
に粗粒な深成岩類(広義の花崗岩類)が広く露出
がジュラ紀の年代をもつことが確認されている
していたことを物語っている。
( 相 馬・ 椚 座, 1993; Horie et al., 2010; Zhao et
まずジュラ紀の年代をもつ砕屑性ジルコンの起
al., 2013)
。一方,関東山地を含む西南日本の他
源について議論する。現在の日本列島において
所には,その年代の花崗岩類はまったく分布して
ジュラ紀の花崗岩が分布するのは西南日本の飛騨
おらず,跡倉層・栃谷層に砕屑物を供給した可能
645
— —
性をもつ後背地の候補がみつからない。これは,
は,飛騨帯に限られる。
両層の初生的堆積場が,現在の分布域である三波
砕屑性ジルコンを供給したジュラ紀花崗岩およ
川帯など MTL 周辺域からは大きく隔離していた
びペルム紀花崗岩は,ともに古太平洋(あるいは
ことを暗示している。
超海洋パンサラサ)の西縁での海洋プレート沈み
一方,ペルム紀の砕屑性ジルコン年代は,両地
込みによって形成された弧バソリスであった可能
域で上部白亜系に隣接して産する石英閃緑岩の年
性が高い。弧–海溝系が本質的につくる造山帯産
代とよく一致する。下仁田地域の川井山石英閃緑
物の非対称配列を考慮すると,ジュラ紀花崗岩帯
岩(図 2)および小川地域の金勝山石英閃緑岩
はジュラ紀付加体が形成された海溝に対して,そ
(図 3)については,おのおの角閃石の K-Ar 年
してペルム紀花崗岩帯はペルム紀の海溝に対し
代として 280–250 Ma および 250 Ma という年代
て,それぞれ大陸側約 200 km に位置していた火
が得られており(小野, 1983; 高木ほか, 1989),
山フロントないしその大陸側 100 km 幅の領域の
跡倉・栃谷層の砕屑性ジルコンの年代とオーバー
直下で形成されたはずである。換言すると,現在
ラップする。さらに高木ほか(1992)は,跡倉礫
の西南日本の表層地殻の主体をなす古生代末ペル
岩中の花崗岩礫について K-Ar 年代測定を行い,
ム紀から中生代白亜紀の付加体群(西南日本の秋
280–250 Ma という同様の年代を得ている。した
吉帯,美濃・丹波・秩父帯,東北日本の北部北上
がって,両地域の石英閃緑岩と白亜系とは,現
帯や渡島帯)の分布域に重なって同時代の花崗岩
在,低角断層で画されているものの,もともとは
類が原地性岩体として産しないことは必然であ
近接していた可能性が高く,白亜系の後背地には
り,花崗岩帯は同時期の付加体よりも大陸側で形
川井山・金勝山石英閃緑岩に代表されるペルム紀
成されたはずである。一方で,西南日本でもっと
珪長質深成岩(以下,花崗岩類と略記)帯が広く
も大陸側に位置する飛騨帯のみに,ペルム紀およ
露出していたと推定される。
びジュラ紀花崗岩の共産が限られること(加納,
しかし,下仁田地域および小川地域における現
1990; 相馬・椚座, 1993; Horie et al., 2010; Zhao
在のペルム紀花崗岩類の分布範囲はきわめて狭い
et al., 2013)は,弧–海溝系に本質的な造山帯要
(図 1–3)。また,280–250 Ma の年代の花崗岩類
素の非対称配列という上述の地体構造の大枠と調
の産出は日本列島ではきわめてまれで,礫を除く
和的である。
と,これまでに報告された例は西南日本の飛騨帯
ジュラ紀およびペルム紀の花崗岩類に加えて,
と舞鶴帯に限られる。飛騨帯では,伝統的に「眼
日本列島にはカンブリア紀以降の古生代花崗岩
球片麻岩」
「灰色花崗岩」あるいは古期花崗岩と
が少量ながら産する(例えば, Hada et al., 2000;
されていたもの(加納, 1990; 相馬・椚座, 1993)
Sakashima et al., 2003; Tagiri et al., 2011; Aoki
がペルム紀に形成されたことがジルコンの U-
et al., 2015; Isozaki et al., 2015)が,その分布
Pb 年代測定によって確認されている(Horie et
はきわめて限られている。本邦の古生代・中生代
al., 2010; Zhao et al., 2013)。また舞鶴帯の 249–
砂岩の砕屑性ジルコン年代の検討で,下部白亜系
243 Ma 花崗岩(Fujii et al., 2008)の例は,飛
およびそれ以前の古い砂岩に豊富であったジュラ
騨帯と比べると分布面積がはるかに小さい(延長
紀以前の砕屑性ジルコンが,上部白亜系およびそ
10 km 以下,幅数 5 km 以下)。また,最近,東
れ以降の若い砂岩中にはほとんど含まれないこと
北日本の阿武隈山地東縁の常磐地域の掘削試料か
が確認され(中間ほか, 2010; Isozaki et al., 2010;
ら 304–293 Ma 花崗岩の産出が報告され,地下
Aoki et al., 2012)
,先白亜紀花崗岩類がかつて広
に同岩体の潜在的分布が推定される(Tsutsumi
大に露出したこと,また白亜紀の中頃を境にその
et al., 2010)が,その規模は不明である。このよ
分布が縮小・消滅したことが指摘された。これら
うに,現在の日本列島でペルム紀花崗岩とジュラ
の古期花崗岩類のほとんどが通常の表層浸食に
紀花崗岩が比較的広範囲に,かつともに産するの
よって削剝されつくしたと考えても,それらの花
646
— —
崗岩帯の総量に相当する膨大な石英・長石質の砕
代粒子が占める事実は,供給源と堆積場との間の
屑物を蓄えた堆積盆地は残されていない。これら
距離の短さを物語っている。
の観察事実を考慮して,ジュラ紀およびペルム紀
しかし,現在の日本列島では,比較的古い年代
の弧花崗岩帯はおそらく大規模な構造浸食によっ
の花崗岩類が残存している飛騨帯においてさえ先
て白亜紀中頃までに消失したと説明されている
カンブリア時代の地殻自体はみつかっていない。
(中間ほか, 2010; Isozaki et al., 2010; 鈴木ほか,
おそらく,先カンブリア時代ジルコンの起源は隣
2010)。
接する東アジアの地塊,なかでも巨大な南中国
本研究で明らかとなった関東山地北縁の上部白
(揚子)あるいは北中国(中朝)地塊と推定される。
亜系がジュラ紀とペルム紀の砕屑性ジルコンを多
従来,太古代および原生代前期–中期の基盤岩の
く含む事実は,その堆積場が白亜紀後期まで残存
産出は北中国地塊に限られ,南中国では皆無であ
していたペルム紀花崗岩およびジュラ紀花崗岩の
るという相違点が強調されてきた(例えば, 磯﨑・
露出域に近かったことを示している。跡倉層や栃
丸山, 1991)
。しかし,2000 年以降になって,南
谷層の堆積場は,現在もそれらの花崗岩を保存し
中 国 で も 太 古 代 地 殻 の 存 在(Qiu et al., 2000;
ている飛騨帯に近縁な領域であったと推定される。
Guo et al., 2014)が報告され,さらに地塊の南
関東山地北縁の上部白亜系は,ペルム紀花崗岩
東半を占めるカタイシア・ブロックには原生代中
と隣接して,クリッペとして産する。近隣での
期の基盤岩が広範に分布することが明らかにされ
ジュラ紀花崗岩産出は未確認だが,小川地域の
た(Xu et al., 2007; Yu et al., 2009)
。南中国と
クリッペ構成要素の一つとして,59.6 Ma(古第
北中国地塊の衝突はトリアス紀中頃におこり(例
三紀暁新世)のフィッショントラック年代をもつ
えば, Maruyama et al., 1989)
,白亜紀までには
寄 居 酸 性 岩 類( 竹 内・ 牧 本, 1991; 牧 本・ 竹 内,
両者はすでに合体してアジア東縁を形づくってい
1992)が含まれ,下仁田地域にもそれと対比さ
た。跡倉層および栃谷層の後背地には,南中国か
れる骨立山凝灰岩が産する(竹内・牧本, 1991)。
北中国地塊の先カンブリア地殻,あるいはその両
それらの岩相は飛騨帯の濃飛流紋岩と酷似してお
方が露出していた可能性がある。
こったてやま
り(山田ほか, 1982)
,その類似性も上述の飛騨
一方,美濃・丹波帯のジュラ紀礫岩に 1800 Ma
帯との関連についてきわめて示唆的である。
まで遡る先カンブリア時代の花崗岩・片麻岩礫
3)原生代花崗岩類をもつ後背地
が含まれることはよく知られている(Shibata et
本研究で分析した跡倉層および栃谷層の砂岩 3
al., 1971; Nutman et al., 2006)
。さらにジュラ
試料に共通して,1600–2100 Ma(原生代前期)
紀砂岩中の砕屑性ジルコン・モナザイトの年代測
という先カンブリア時代の砕屑性ジルコンが多
定によって,原生代中期の砕屑粒子がかなりの量
数含まれる(図 4)。なかでも栃谷層の 2 試料か
含まれていることが判明している(Suzuki et al.,
らは,より古い年代の粒子が卓越して産し,試料
1991; Yokoyama and Saito, 2001; Fujisaki et al.,
OGW からは 2924 Ma という太古代後期の粒子
2014)
。したがって,これらのジュラ紀砂岩が,
が得られた。いずれもオシラトリー累帯組織をも
白亜紀後期に地表で削剝され,リサイクルされ
つ火成ジルコンの年代であり,それらの起源は太
た古期ジルコン粒子が跡倉層や栃谷層に再堆積
古代から原生代中期に形成された火成岩,とくに
し た 可 能 性 も 一 応 は 否 定 で き な い。 ち な み に
ジルコンを多産する広義の花崗岩類と考えられ
MTL の北側に分布する白亜系上部(Campanian–
る。跡倉層および栃谷層の砕屑性ジルコン年代
Maastrichtian; 84–66 Ma)の和泉層群は,ジュ
は,白亜紀後期のそれらの後背地には,先カンブ
ラ紀付加体に貫入した 100–80 Ma 領家花崗岩を
リア時代のジルコンを多く含む岩石が広範囲に露
不整合に覆うこと,また飛騨帯の手取層群から
出していたことを記録している。とくに小川地域
トリアス紀・ジュラ紀チャート礫が産すること
の砂岩に含まれる砕屑性ジルコンの過半数を原生
(斎田, 1987; 竹内ほか, 1991)から,白亜紀末に
647
— —
はジュラ紀付加体も一部は地表で削剝されてい
一方で,本邦産の他の白亜系,例えば九州北部
たと考えられる。しかし,跡倉層(Turonian–
の 関 門 層 群 下 部 若 宮 層(Hauterivian–Albian)
Coniacian; 94–86 Ma)や栃谷層の後背地に,ジュ
や四国中央部の領石層(Hauterivian–Barremian)
ラ紀付加体がどの程度地表に露出していたのか,
(Aoki et al., 2012, 2014)
,そして四国西部の和
あるいはその堆積場にどのように運ばれたのかに
泉層群最下部(Campanian 前期)(Aoki et al.,
ついては,詳しい実態は不明である。跡倉層中に
2014)などは,先カンブリア時代の砕屑性ジル
は付加体起源と考えられる砕屑物が少ないこと
コン粒子をほとんど含んでおらず,きわめて対照
(新井ほか, 2000)
,また砂岩の熟成度が低いこと
的である。これらの白亜系は,おのおの,蓮華変
を考慮すると,リサイクルした古期ジルコン粒子
,下位
成帯,秩父帯,および領家帯に産し(図 6)
が大量に再堆積した可能性は低いと判断される。
の地層・岩石を不整合に覆っており,当時の西南
4)飛騨帯から MTL 付近まで
日本に発達した弧内盆地および前弧盆地の堆積物
本研究で関東山地北縁に産する白亜系跡倉層お
にあたる。とくに MTL のすぐ北側の領家帯南縁
よび栃谷層の砂岩の砕屑性ジルコンの年代スペク
に産する和泉層群(Campanian–Maastrichtian)
トルが明らかになった(図 4)。その結果,跡倉
は,白亜紀以前の粒子をほとんど含んでおらず
層および栃谷層に砕屑物を供給した後背地には,
(図 5)
,跡倉層・栃谷層との違いは明瞭である。
白亜紀後期にジュラ紀およびペルム紀花崗岩に加
跡倉層・栃谷層と和泉層群との間のジルコン年代
えて原生代ジルコンを大量に含む岩石・地質体が
の明瞭な違いは,それらの白亜系が現在 MTL の
広範に露出していたことが示された。この事実
両側に産するにも関わらず,もともと両者は互い
は,跡倉層および栃谷層の堆積場そしてクリッペ
に大きく離れた,まったく異なる堆積場,少なく
構成岩類の起源が,従来想定されていた場,例え
とも当時の弧内盆地あるいは前弧盆地以外で形成
ば MTL の近傍域,よりもはるかに大陸側であっ
されたことを示している。逆に,このコントラス
たことを示している。
トは,上述の跡倉層・栃谷層と飛騨帯の神通層群
先カンブリア時代の基盤岩は未確認であるもの
との類似性をさらに際立たせる。跡倉層と栃谷層
の,飛騨帯(図 6)にはジュラ紀およびペルム紀
は手取・神通層群と同様に白亜紀後期の背弧側で
花崗岩が産することから,跡倉層と栃谷層の堆積
堆積したと判断される(図 7)。
場と飛騨帯との近縁性が示唆される。近年公表さ
跡倉層および栃谷層が分布する関東山地北縁
れた飛騨帯に産する白亜系砂岩の砕屑性ジルコン
は,飛騨帯あるいは飛騨外縁帯の東端から,現在
年代の測定結果(中間ほか, 2010; Isozaki et al.,
少なくとも約 100 km 海溝側に位置する(図 6)。
2010; Kawagoe et al., 2012; 竹 内 ほ か, 2015)
一方で,跡倉層や栃谷層が現在の位置(白亜紀の
はそれを強く支持する。すなわち,白亜紀前期
前弧域で形成された付加体や高圧変成岩の上)に
Barremian(130.8–126.3 Ma) の 手 取 層 群 伊 月
クリッペとして産することは,その独自のジルコン
層(Kawagoe et al., 2012)
,白亜紀前期末 Albian
年代組成をきわめて整合的に説明する。跡倉層お
(113.0–100.5 Ma)の神通層群(松川ほか, 2014)
よび栃谷層は,低角度の断層を介して移動し,二
猪 谷 層( 中 間 ほ か, 2010; Isozaki et al., 2010),
次的に三波川変成帯や秩父帯の上に定置されたと
お よ び 前 期 末–後 期 初 頭 Albian–Cenomanian
従来から考えられていた。しかし,その起源は従
(113.0–93.9 Ma)の尻高山層・内山層(竹内ほか,
来想定された MTL のすぐ北側の領家帯や美濃・
2015)がもつ砕屑性ジルコンの年代スペクトル
丹波帯の上ではなく,上述のように,より大陸に
は,跡倉層や栃谷層のそれとよく一致する
(図 5)
。
近かった場,おそらく飛騨帯およびその周辺域と
とくに年代の近い内山層と栃谷層のスペクトルは
密接な関係があった場と推定される。
互いに酷似する。飛騨帯の白亜系は基本的に火山
跡倉クリッペ群(藤本ほか, 1953)に含まれる
弧の大陸側(背弧側)で堆積したと考えられる。
上部白亜系およびそれに関連するペルム紀花崗岩
648
— —
N
Permian AC
?
Sn+Shm
Sn
Ak
Ak
Mz
ous
tace
Cre
Ng-H
mTL
UT
MTL
Maana
Ry
NR
Sn
Ry
Hg
TTL
Jurassic AC
Oki
Ng-HmTL
NR
Ak
+
Mz
Mino-Tanba
MTL
Kr
Sb+Shm
AC
ger
oun
+y
Hida b.
Ry
Sh
Sh
M
TL
Gs
(Ry)
M-T
HT
Ryoke
Sanbagawa + Shm
Chichibu (M-T)
N. Kanto Mtns.
図 6 西 南 日 本 の 地 体 構 造 区 分 と 関 東 山 地 北 縁 と
飛 騨 帯 と の 相 対 位 置(磯 﨑 ほ か, 2010 か ら 改
変).
Hida b.:飛 騨 帯,Ng-HmTL:長 門–飛 騨 外 縁 構 造 線,
Maana:真 穴,Sb-Shm:三 波 川–四 万 十 変 成 帯.
trench
fore-arc
Fig. 6 Geotectonic subdivision of SW Japan and
location of northern Kanto Mountains with
respect to the Hida belt(modified from Isozaki
et al., 2010).
Ng-HmTL: Nagato–Hida marginal Tectonic Line, SbShm: Sanbagawa–Shimanto metamorphic belt.
Te
to
ri-
Jin
zu
volcan
nt
ic fro
back-arc
300 km
Atogura-Tochiya
rc
formations
図 7 白 亜 紀 の 日 本 周 辺 の 古 地 理 図 と 主 要 堆 積 盆
地 の 位 置(磯 﨑 ほ か, 2011 か ら 改 変).
跡 倉 層 お よ び 栃 谷 層 の も と も と の 堆 積 場 は, 飛
騨 帯 の 同 時 代 の 堆 積 盆 地 の 近 く に あ っ た. そ の 後
55–16 Ma の間に 100 km 以上海溝側へ移動し,クリッ
ペ と し て 定 置 さ れ た こ と に 注 目.
fo
um
i
os
e
ki
-S
o
O
to
iz
no
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w
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Ka
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rc
ba
ck
-a
a
am
ay
s
Sa
h
trenc
nto
ima
Sh
volca
nic fr
ont
Ry
Fig. 7 Paleogeographic map of Cretaceous Japan
and its vicinity, showing distribution of major
sedimentary basins(modified from Isozaki et
al., 2011).
Note that the primary depositional site of the Atogura
and Tochiya formations was located near to the coeval
sedimentary basin of the Hida belt. The over-100 km
trench-ward transportation and emplacement of the
Atogura klippe occurred between 55 Ma and 16 Ma.
Cretaceous East Asia
649
— —
類,さらには古第三紀の溶結凝灰岩(寄居酸性岩
と判断される。
類)や緑色岩メランジュなどのクリッペ構成岩類
以上のように,水平な断層で下底を画される関
は,現在の位置よりはるかに大陸側に起源をも
東山地北縁の跡倉クリッペ群および四国西部の
ち,白亜紀の弧を横断する方向に海溝側に長距離
相当地質体は,現在の西南日本でもっとも大陸側
移動した可能性が示唆される(図 7)。その移動
の飛騨帯と近縁な関係にあり,二次的に現在の
時期は,竹内ほか(1990)が指摘した通り 55 Ma
MTL 付近に定置されたと考えられる(図 6,図
(暁新世)から 16 Ma(中新世)の間に限定される。
7)。一般に水平な断層を介する表層地殻の移動
この構造事変の実態解明は,今後に残される課題
はナップと表現され,そのなかに圧縮応力場での
である。しかし少なくとも 20–15 Ma 頃に新たな
変形が含意されている場合も多い。しかし,跡倉
背弧海盆として日本海が形成された時期の広域テ
クリッペ群の場合は,背弧で起きたリフティング
クトニクスとの関連を考慮する必要がある。中新
の影響で地殻内の水平な断層(detachment)の上
世の背弧側で起きた展張テクトニクス(リフティ
盤として前弧方向に移動(滑動)した地質体であ
ング)(柳井ほか, 2010)の影響は,前弧側まで
る可能性が考えられる。この場合,基本的に逆断
及んだと推定されている(磯﨑・丸山, 1991; Iso-
層で画される付加体や高圧変成岩からなるナップ
zaki, 1996; Isozaki et al., 2010; 柳井ほか, 2010)
。
とは,主応力のセンスが大きく異なることにな
飛騨帯自体は,構造的に下位の秋吉帯,周防変
る。したがって,現時点では「跡倉ナップ」とい
成帯,舞鶴帯,超丹波帯,そして美濃・丹波帯の
う用語はあえて使わないこととする。いずれにし
ユニットがつくる帯状配列とは明瞭に斜交する巨
ても,飛騨クリッペ自体も海洋側へ二次的に移動
大なクリッペ状の産状をもつ(Komatsu, 1990;
したこと,また展張応力場で上盤自体のなかでの
図 6)。跡倉クリッペ群とそれに関連する上述の
地殻の伸張があったことを考慮しても,跡倉ク
クリッペ構成岩類はおそらく飛騨クリッペの先端
リッペ群の起源は,現在の位置よりもかなり大陸
部に相当したのであろう(図 7)
。飛騨帯の下底に
側を想定する必要がある。
は大きな構造的ギャップ(長門–飛騨外縁構造線;
VI.ま と め
図 6 中の Ng-HmTL;磯﨑・板谷, 1991; 磯﨑ほか,
関東山地北縁に分布する上部白亜系跡倉層およ
2010)が存在する。飛騨帯の外側に配列する飛
騨外縁帯や長門構造帯には,多様な年代の多様
び栃谷層の砂岩 3 試料の砕屑性ジルコンの U-Pb
な岩石・地質体が混在し,顕著な蛇紋岩メラン
年代を測定した結果,以下の結果が得られた。
ジ ュ 帯 が 産 す る(Komatsu, 1990; 中 間 ほ か,
1.3 試料から分離した砕屑性ジルコンの U-Pb 年
2010)。その成因については,複数回,同じ場で
代は,共通して 120–150 Ma,170–200 Ma,
重複して起きた構造浸食による大量の地質体の消
250–300 Ma,および 1600–2200 Ma という
滅と混在化の結果と説明されている(磯﨑ほか,
4 つのグループに大別され,さらに 2200 Ma
より古いものも若干含まれる。
2011; 鈴木ほか, 2010)。小川地域の緑色岩メラン
2.120–150 Ma のジルコン粒子は,前期白亜
ジュ(平島, 1984;図 3)は,約 4 億年前の高圧
変成岩の岩塊を含んでおり(竹内・牧本, 1995),
紀の火山弧から由来した。日本列島では領家帯
飛騨外縁帯および長門構造帯のメランジュの名残
の火成活動が近い年代をもつ。
である可能性が高い。ちなみに四国西部の地域
3.170–200Ma および 250–300Ma のジルコン
(図 6)には,跡倉層に酷似した岩相をもち,三
粒子は,ジュラ紀およびペルム紀の花崗岩
波川変成岩の上のクリッペとして産する白亜系
帯から由来した。日本で両年代の花崗岩類
真穴層が産する(平山・神戸, 1956; 鹿島, 1992;
が共産するのは飛騨帯に限られる。
武田ほか, 1993)
。この白亜系も跡倉層や栃谷層
4.1600–2200Ma のジルコン粒子は,原生代大
と同様に大陸側に起源をもつ異地性地質体である
陸地殻から由来した。日本には分布しない
650
— —
が,アジア東端では北中国および南中国地
注
塊に相当する地殻が広く分布する。
1)跡倉という地名は,地質学者の間でよく知られて
おり,伝統的に「あとくら」と読まれてきた。しかし,
正しい読みは「あとぐら」である(佐藤ほか, 2015)
ため,本稿ではローマ字表記を含めすべて後者の読
みを用いる。
5.これらの年代分布パタンは飛騨帯の白亜系
のものとよく一致する一方,本邦の他の白
亜系とは大きく異なる。跡倉層および栃谷
層は,飛騨帯およびその周辺域に近縁な場
文
で堆積した。
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6.跡倉層および栃谷層を含む跡倉クリッペ
群の岩石・地層の多くは,日本海形成時
の展張テクトニクスによって,低角度断層
を介して白亜紀の火山弧を横断する方向に
100 km 以上海溝側へ移動し,三波川帯お
よび秩父帯の上に定置された。
本稿では,白亜系砂岩中の砕屑性ジルコン年代
データに基づいて,跡倉クリッペ群の異地性およ
びその起源についての新たな解釈を提案した。
フォッサマグナや本州中部の大屈曲(対曲)など
の目を引く地体構造形態は,日本海の拡大と伊
豆・小笠原弧の衝突という中新世に起きたテクト
ニクスが形づくった。しかし,その際にもっとも
日本海側に位置する飛騨帯および日本海のさらに
北西側の地殻でおきたと動きを記述するための具
体的な地質学的証拠はこれまで得られていなかっ
た。本研究で,もともと現在の日本海沿岸域より
北西方に存在した地質体が,55 Ma から 16 Ma
の間に現在の関東山地まで移動した可能性が示唆
され,より明確に運動像が描けるようになった。
これに付随する利点の一つとして,MTL のすぐ
北側に“古領家帯”などの仮想衝突地塊を想定す
る必要がなくなり,より自然な形で過去の弧–海
溝系の復元が可能となったことが挙げられる。
謝 辞
研究地域の地質について小野 晃博士ならびに佐藤
興平博士から,また粗稿について鳥海光弘博士ならび
に青木一勝博士から貴重な助言を賜った。駒場・地球
科学セミナーのメンバーからは本研究に関する有益な
コメントを得た。ジルコンの CL 像観察に際して,東
京工業大学理学部の澤木佑介博士にお世話になった。
これらの方々に感謝する。本研究には日本学術振興会
の科学研究補助金(no. 26106005)を用いた。
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