電子レンジ事故のケース スクリプト1 1 (相):はい、日本ADRの山田です

資料 5
電子レンジ事故のケース
スクリプト1
1 (相):はい、日本ADRの山田です。どうなさいましたか(開かれた質問)?
2 (消)
:あの、家の電子レンジが火を噴いたんです。前々から普通に使っていて何も悪い
使い方はしていないのに。あの、欠陥品だから、PL 法でメーカーが賠償するの
が当たりまえでしょ?なのに、のらりくらりいいわけばっかり。おたくで何と
かしてもらえません。
3 (相):火が出たわけですね(いいかえ)。あの、そうしますと電子レンジ以外に、燃え
たものが何かありますか(閉ざされた質問)?それと、あと、やけどはなさっ
ていますでしょうか(閉じられた質問)?えーと、ついでにですね、あのメー
カー名と型式の方もですね、教えてください(指示)。
4 (消)
:近くの消費者センターに言って、メーカーと交渉させているんですけど、消費者
センターも頼りないんですよ。店に言ったら、サービスマンが来たけど、ちら
っと見ただけで修理代を要求するんですよね。らちがあかないので店を叱った
ら、メーカーや店長や6人来たんです。やっと責任者が来てくれたと喜んでる
んですけど、ちょっと・・・
5 (相)
:すみません。あの、他にどんな物が燃えたんですか(閉じられた質問)?えーと、
やけどはなかったんですか(閉じられた質問)?
6 (消)
:えーと、煙が出ているのを娘が見たんです。火のないところに煙は立たないとい
うでしょ。えー、責任をとれる人が来たはずなのに、製品には問題がないと責
任逃ればっかりするんです。
7 (相)
:ちょっと待ってください。あの、拡大損害はあるんですか、ないんですか(閉じ
られた質問)?あの、ないとですね、あのPL問題にならないんですよ(情報)。
8 (消)
:えーとですね。拡大損害と言われても、そばにいた娘が消火器で消したから良か
ったんですよ。娘がメーカーを助けたみたいなもんでしょ。でも、消火器の粉
で台所中が真白で、もう食器やらフライパンやら一晩中かかって、みんな洗い
なおしているんです。もう、私なんか体中が痛くなってしまって。それを自分
達は悪くないと言い張ってんですけど・・
9 (相)
:わかりました、わかりました。それであのメーカーが調査に来て、調査の結果な
んと言っているんですか(開かれた質問)?
10(消)
:ゴキブリのせいにするんですよ。ゴキブリがレンジの中にいたからショートした
んだって言って。
11(相):ゴキブリですか(いいかえ)。そうするとゴキブリはどこにいました(閉ざされ
た質問)。何匹くらいでしたか(閉じられた質問)?
12(消):基板というとこがあるんですってね。そこの上に、2 ミリくらいの焦げたゴキブ
リが 1 匹いただけです。
13(相)
:火が出たというのは、そのスパークの煙のことを言っているわけですね(解釈)。
結局火は出ていないということですかね。それだとちょっと補償要求は難しいで
すね・・・(対決)
14(消)
:ちょっと待って下さいよ。おかしいと思いません?どこの家にもゴキブリはいる
でしょう?ゴキブリが入ると煙が出るなら、いっそ入らないように設計すべきじ
ゃないですか。欠陥品ですよ!それじゃあ、私の台所が汚いせいって言うんです
か。まるで私が掃除していないみたいに聞こえるじゃないですか。えーとね、娘
は欠陥品のせいで、必死になって消火器で消したのよ。精神的損害をどうしてく
れるんです。私は食器を洗いなおしたあと、体の調子が悪くて困っていて、もう
消火器の粉を吸ったせいで、私、将来ガンになったらどうしようと心配なんです。
ちょっと!あなた聞いてんです?
15(相)
:ちゃんと聞いていますよ!私も何もあなたが掃除していないって言っているわけ
じゃないですよ。あの、お体の具合が悪いんだったらですね、医師の診断を受け
たんでしょうか?健康被害を訴えようというだったら、そこの辺をちゃんと・・・
(意見/アドバイス)。
16(消):ちょっと、あなたも店長と同じことをいうのね。欠陥品でしょうが!
17(相)
:欠陥品と言えるかどうか、ちょっと難しいですね。電子レンジっていうのは熱が
出るわけですからね、それを放熱する口を作っておかなきゃいけないわけで、実
際出回っているものでゴキブリが入れない設計の製品というのは一つもないんで
す(対決)。
18(消)
:ちょっと、もう本当、何言っているんです。メーカーの人と同じじゃない。あな
たはメーカーの味方なんですか?消費者の味方なんですか?
19(相)
:中立ですよ。公正な立場でやっています。ただですね、製造物責任法に基いて補
償要求ということをするんだったらですね、ちゃんと要件があるわけで、そこの
所を今説明しているわけなんですね(対決)。
20(消):ちょっと、もう本当にそんなこと聞いていませんよ。えらそうに!私だってね、
法律には詳しいんです。さっきから聞いていれば、人のいうこと否定してばっか
りじゃないですか!失礼ですよ!
21(相)
:否定しているわけじゃないですよ。中立な立場でアドバイスするために、そのた
めに・・・(対決)。
22(消)
:何が中立ですよ。おたく、どこの役所の管轄です。役所にいいつけてやるわ、も
う本当に。
23(相)
:私達はどこからも干渉は受けません(対決)!だいたいこの件はですね、あの消
費者センターの方に御相談になっているわけでしょ。二股かけて相談するってい
うのは、そのセンターの方にも失礼になるんじゃないですかね(解釈)。
24(消):もういいです!おたくなんかにもう相談しません。
ガチャン
スクリプト2
1(相):はい、日本ADRの山田です。今日は、どういうご相談でお電話を頂きましたで
しょうか(開かれた質問)。
2(消):家の電子レンジが火を噴いたんですけど。えーと、前々から普通に使っていて何
も悪い使い方はしていなかったんですよね。で、欠陥品だから、PL 法でメーカ
ーが賠償するのがあたりまでしょ?。あの、なのに、のらりくらりいいわけば
っかりで。おたくで何とかしてもらえませんでしょうか。
3(相):うん、家の電子レンジが火を噴いたということですね(いいかえ)。
4(消)えー。
5(相)家の事故の状況をですね、もう少し詳しく教えていただけますか(はげまし)。
6(消)普通に使っていたんです。そうしたら、突然煙があがったんですけど。あの、そば
にいた娘が、見ていて、消火器で消したんです。
7(相)突然、煙が上がったのですね(はげまし)。
8(消)えー。
9(相)煙はどんな具合でしたか(開かれた質問)、火は出たのでしょうか(閉じられた質
問)。
10(消)火は出てません。あの、たまたま、そばにいた娘が消火器で消したから良かった
んです。娘が、消してなかったら、もう火は出ていたと思うんですけど。娘がメ
ーカーを助けたみたいなもんでしょ。でも、消火器の粉で台所中が真白なんです
よ。食器やらフライパンやら、もう一晩中かかって、みんな洗い直しして、もう
私なんか、体中が痛くなってしまって。もう、本当に、自分達は悪くないと言う
んですよね、メーカーの人は・・
11(相)火は出ていないけれども、消火器で台所が真白になって大変な思いをされたとい
うことですね(感情の反映)。
12(消)そうなんです。
13(相)それなのにメーカーは、自分達は悪くないと言い張っているということですね(い
いかえ)。
14(消)えー。
15(相)それでは、メーカーは、調査の結果なんと言っているんでしょうか?(開かれた
質問)。
16(消)ゴキブリのせいにするんですよ。ゴキブリがレンジの中にいたからショートした
って。
17(相)ゴキブリがレンジの中にいたからショートをしたと言っているわけですね(いい
かえ)。
18(消)えー。
19(相)ゴキブリが、どこにいたかは確認していらっしゃいますか?(閉じられた質問)。
20(消)えー、基板とかいうものの上に、2 ミリくらいの焦げたゴキブリが 1 匹いただけす。
21(相)うーん、ゴキブリは確認していらっしゃる。そのスパークの煙をご覧になって消
火をしたということですね(いいかえ)。
22(消)えー、そうです。
23(相)それで、大変な思いをされたということはよく分かります(感情の反映)。
24(消)えー。
25(相)そうすると、どうやら、ゴキブリが原因ということのようですね(対決:消費者
から見ると欠陥品だから煙が出たと言いたいのに対して、メーカー側はゴキブリ
が入ったために煙が出たと言っていることの不一致を指摘している)
。
26(消)えっ、チョッと、待ってください。台所が汚れているって言いたいんです。どこ
だってゴキブリはいるじゃないですか?ゴキブリが入ると煙が出るなら、入らな
いように設計すべきじゃないですか。
27(相)そんな風に聞こえましたでしょうか(閉じられた質問)。メーカーからそのように
言われたんでしょうかね(閉じられた質問)?私が言いたかったのは、ご一緒に
この電子レンジの問題を考えて見ましょうということだったんですね。まず、あ
の、ゴキブリが、電子レンジに入ってしまったということについてはどうでしょ
うか(焦点化)。
28(消)あっ、それは否定しません。でも、あの私は、入らないような形というか、構造
にすべきではないかなって考えているんですけど。
29(相)うーん、消費者側からすれば、たとえ小さなゴキブリでも、入り込んで煙が入っ
てしまったら困ってしまうということですね(いいかえ)
。
30(消)そうなんです。
31(相)そのような設計をして欲しいというとこですよね(いいかえ)。
32(消)そうです。
33(相)ただ、一方で作る側に立ってみると、あの電子レンジというのはですね、必ず熱
が出るもんですから、それを逃がしてやる口を作らなければいけないようで、実
際小さな虫まで入らないようにしてある製品は実際出ていないようなんですよ
(対決:消費者の要望とメーカーの設計上の要件が一致しないことを指摘してい
る。)
34(消)えー、でも、実際に煙が出てびっくりすることだってあるじゃないですか。それ
に、気がつかないで、消火せずにそのままにしていたら、もっと大きな火災にな
っていたかもしれないじゃないですか。そういう場合はどうなるんです?
35(相)うーん、あの、こういう事故の場合はですね。あの、製造物責任法の方はですね、
あの商品に設計上の欠陥があって、その商品以外の財産とか身体にですね、損害
が発生しまして、それが証明されたときに、あの発生した損害の賠償請求ができ
る、そういう仕組みになっているんですね(情報)。で、本件の場合ですと、設計
上の欠陥があったのか、あの製造物責任の損害にあたるのかというところが、ど
うやら争いになりそうですね(意見)。で、具体的にどのような被害が生じたわけ
なんでしょうか?(開かれた質問)
36(消)まあ、電子レンジはですね、掃除して使っているんです、今でも。洗い直したり、
体が痛くなったほかは特にはないんですけど。でも、納得がいかないんですよね。
あの、煙が出たわけですから。メーカーに、そちらから話しをして、使い方が悪
いなんていったことを謝らせて欲しいんです。あの、それから、欠陥についても
メーカーとしての、まあ、考え方というか見解を聞きたいんですよね。
37(相)うーん、使い方が悪いと、メーカーに言われたことが心外であるということ(感
情の反映)と、欠陥についてのメーカーの意見を聞きたいと、こういういうこと
ですかね(いいかえ)。
38(消)そうです。別に大きな被害が生じたわけじゃありませんし、私たちも別に、あの
事を荒立てたいわけじゃないんですけど、気持というか何か釈然としてないんで
すよね。少なくともですね、私の使い方のせいではないということだけは認めて
欲しいと思っています。
39(相)わかりました。その点は、あのメーカーに確認して、必ずご連絡をするようにい
たします。では、ですね、お名前とご連絡先、メーカーの担当者の名前を聞かせ
ていただけますか(閉じられた質問)。
40(消)えーと、メーカーはですね、X 社のお客様相談センターの稲村さんという人に相
談しています。よろしくお願いします。