ネットワーク構築班 中村 遼 Kang Joon-Suk 佐々木 良 有田 一史 川又 成夫 施設の名称について 美郷町役場 西郷支所 ⇒ 『美郷町役場』 と表記 仮想災害対策現地本部 (西郷NHC) ⇒ 『対策本部』 と表記 仮想災害現場 (毛布工場跡地) ⇒ 『仮想災害現場』 と表記 1 情報インフラ網構成図 宮崎情報 宮崎情報 ハイウェイ21 ハイウェイ21 (MJH21) (MJH21) 美郷町役場 対策本部 無線ネットワーク 有線ネットワーク 仮想災害現場 無線LAN エリア 無線LANエリア 2 実験概要 美郷町役場∼対策本部間のネットワークを構築 メディアコンバータ (M/C) の設置と設定 (美郷町役場・対策本部) 対策本部でのインターネット回線速度(下り)の計測 外部とのNW疎通確認 対策本部∼仮想災害現場間の有線ネットワークを構築 ルーターの設置と設定 (対策本部) 対策本部∼仮想災害現場間のバルーン無線を介した 通信速度及び伝送遅延測定 仮想災害現場での衛星通信を使ったインターネット 回線速度(上り)の計測 3 美郷町役場∼対策本部間の ネットワーク構成 メディアコンバータ(M/C)を使用し対策本部と 美郷町役場を光ファイバで接続 美郷町役場のネットワークは 宮崎情報ハイウェイ21(MJH21)に接続されてい る 宮崎情報ハイウェイ21からインターネットに 接続可能 美郷町役場∼対策本部間の ネットワーク構成図 宮崎情報 宮崎情報 ハイウェイ21 ハイウェイ21 (MJH21) (MJH21) インターネット インターネット 【MJH21NOC】 【美郷町役場】 仮想災害現場側バルーンへ 133.54.128.70 【対策本部】 (NW疎通確認点) 10.0.0.0 / 22 MJH21設備 ネットワーク班 設定ルータ 133.54.128.67/25 133.54.128.68/25 SB5000 10.0.0.191 M/C 美郷町 光ファイバー 10.0.0.254 M/C 10.0.0.1 5 ネットワーク構築班担当箇所 対策本部∼仮想災害現場間の ネットワーク構成 美郷町役場∼対策本部間をルータで有線接続 ルータはネットワーク班が設定 対策本部∼仮想災害現場間をバルーンに 乗せた無線機器(SB-5000)で無線接続 無線・バルーン班が設置 対策本部に衛星通信設備を設置 衛星通信からインターネットに接続 6 対策本部∼仮想災害現場間の ネットワーク構成図 IPSTAR(宇宙局) インターネット インターネット 衛星 インターネット GW 【仮想災害現場】 IPSTAR(地球局) 【対策本部】 10.0.0.0 / 22 ネットワーク班 設定ルータ 133.54.128.67/25 133.54.128.68/25 IEEE802.11b/g SB5000 10.0.0.191 Ch.01,L2Bridge 無線LAN情報 Ch.11 SSID:misat 10.0.2.0 / 24 SB-5000 10.0.0.190 M/C 無線LAN 無線LAN エリア DHCP 10.0.0.1 10.0.0.2 7 【仮想災害現場】 ルータ設定表 対策本部のルータを以下のように設定 用途 IPアドレス/機能 備考 利用可能アドレス 133.54.128.67/25 133.54.128.68/25 (NW引き出しポイント) デフォルトゲートウェイ 133.54.128.82 DNSサーバ 133.54.128.80 確認ポイント 133.54.128.70 NAT NHC内のBBルータにて ポート制御 なし 美郷町役場内MJH21機器 【機器情報】 機器名:Cisco Catalyst2924XL 利用可能ポート:11番ポート (auto) MJH21-NOC内 8 実験内容 実験1: 対策本部からのインターネット接続確認 及び 下り回線速度測定 対策本部から美里町役場経由で外部へのping応答確認, Webブラウジングにより.インターネット接続を確認 その後,通信速度測定サイト「BNR(Broadband Networking Report)スピードテスト」において,下り回線速度の測定を行った 実験2:バルーン無線を介した通信速度・伝送遅延測定 iperf を使用して,対策本部から仮想災害現場へUDPパケットを 送り,通信速度及び伝送遅延の測定を行った 実験3:衛星通信における上り回線速度測定 仮想災害現場から衛星通信を使って,通信速度測定サイト 「BNRスピードテスト」で上り回線速度の測定を行った 9 実験1: 対策本部からのインターネット 接続確認 及び 下り回線速度測定 対策本部からyahoo.comにping応答,Webブラウジングの 確認により,インターネット接続を確認した 通信速度測定サイト「BNRスピードテスト」での測定結果 ------ BNRスピードテスト (ダウンロード速度) -----測定サイト: http://www.musen-lan.com/speed/ Ver3.5001 測定日時: 2009/11/19 12:45:48 回線/ISP/地域: -------------------------------------------------1.NTTPC(WebARENA)1: 5375.49kbps(5.375Mbps) 671.79kB/sec 2.NTTPC(WebARENA)2: 8168.468kbps(8.168Mbps) 1020.68kB/sec 推定転送速度: 8168.468kbps(8.168Mbps) 1020.68kB/sec 10 実験2:バルーン無線を介した 通信速度及び伝送遅延測定 iperf を使用して,対策本部から仮想災害現場へ UDPパケット(1470byte datagram)を30秒間送信し, 1秒ごとに通信速度及び伝送遅延の記録を行った 通信速度及び伝送遅延の変化を記録した 11 実験3:衛星通信における上り回線速度測定 仮想災害現場から衛星通信経由でインターネット接続確認 通信速度測定サイト「BNRスピードテスト」での測定結果 ------------ Broadband Networking Report -----------<アップロード速度> データ転送速度: 329.28kbps (41.16kB/sec) 転送データ容量: 200kB 転送時間: 4.859秒 ----------------------------------------------------測定日時: 2009年11月19日(木) 15時18分 測定サイト: http://www.musen-lan.com/speed/ 利用ブラウザ: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; en-US) AppleWebKit/532.0 (KHTML, like Gecko) Chrome/3.0.195.33 Safari/532.0 ----------------------------------------------------12 結果の考察1 実験1について 下り回線速度の測定結果は8.168Mbpsとなった ブラウジングやファイルのダウンロード等を 行える程度のスループットは出ているといえる Skype等を用いた音声通話,ビデオ通話も問題無く 行える通信速度だと言える. 13 結果の考察2 実験2について 結果として,バルーン無線経由での通信速度,伝送遅延は それぞれ平均して約1.05Mbps,約8msecであった IPSTAR衛星通信では理論上最低でも240msec(36000[km]*2/30万 [km/sec])の遅延が生じるので, バルーン無線は遥かに遅延が小さいの が分かる もちろん,ビデオ通信等も問題ない遅延である 通信速度は,送信開始11~21秒後において,最大で0.2Mbps程 の揺らぎが見られた 通信速度は上下しているのは,バルーンが風により多少揺れた結果, バルーンに吊るしたブリッジAP(Access Point)の出力の向きが 上下左右に動いたためだと思われる そのため,最適なブリッジAPのアンテナ角度を見つけることにより, 更なるスループットの向上が期待できそうである 伝送遅延は,送信開始8~19,28~30秒後に大きく変動している 14 結果の考察3 実験3について 衛星通信利用による上り回線速度の測定結果は329.28kbpsとな った チャット通信や音声通話は問題なさそうであるが,高品質のビデオ通 話にはやや難がある. これは仮想災害現場から対策本部に衛星経由で通信を 行うときの大きなボトルネックとなっている 実験1で,対策本部の外部からの下り回線速度は約8Mbpsの為 例え対策本部の外部への通信速度が向上しても,バルーン無線経由の方 が依然情報伝達に優れている 追記:他端末による通信速度測定サイト「rbbtoday.com」での結果 上り:1回目650kbps,2回目912kbps,3回目887kbps 下り:1回目2.05Mbps ,2回目1.97Mbps ,3回目2.01Mbps サイトや端末によって違いがあるが,下りに限って言えば, ビデオ通信にも問題ない通信速度である. しかし,衛星通信は遅延が大きいためリアルタイム通信は難しい 15 まとめ 今回の実験では,バルーン無線と衛星通信の両方とも通 信を行うことができた バルーン無線に関して UDPだけでなくTCPを使用した通信速度・伝送遅延計測など 他のデータの取得や,TCPdumpを使用した詳細な計測を行うとい いかもしれない マルチホップ環境下での検証実験を行うと面白いかもしれない 基地局間に電波の障壁となるビルや山などがある場合, ノードをマルチホップさせて迂回経路を構築しなければならない 衛星通信に関して 衛星アンテナはバルーンほど広い場所をとらないが, バルーン無線に比べてスループットが小さい アンテナの設置時には専門の知識が必要となる 通信速度の高速化のために,簡単に出力を増幅できない 人体への影響が未知数のため:無線LANのISMバンド(2,4GHz)に 対して,衛星通信のKuバンド(12~18GHz)は周波数が高い 16 地理的条件不利地域について 災害対応策 災害発生時に最も必要とされるものの一つに外部との早急な情報伝達が 挙げられる 災害現場の情報がわかればそれに合わせた適切な対応を迅速に行うことができる 医療品、食料など支援物資の準備 医師や救助隊の適切な場所への派遣 場所によっては通信を確立することが困難な場合がある(地理的条件不利地域) 通信環境が整っていない地域 山間部や海上などはLANケーブルを設置する事が困難 災害で通信が断絶してしまった地域 地理的条件不利地域での通信手段 今回の実験結果から、バルーンを使用した無線通信は災害地との通信の確立に, 大きな効果をもたらすことがわかった 容易に基地局の設置が可能 軽いサイトのブラウジングや音声通信を実行するのに十分なスループットを確保可能 またバルーンでの無線通信が不可能な地域(山間部や海上など無線が届かない場所) でも、衛星通信を用いることで低スループットながらも通信環境の整備が可能となる ことがわかった 17 バルーンNWにおける利点と今後の課題 バルーンNWを利用することで、通信環境が整っていない場所でも 通信が可能となる 利点 有線が通っていない山奥や災害でネットワークが断線した際に 代替ネットワークとして使用できる バルーンは比較的容易に短時間で上げることができる システムの構築費用が比較的安価 広域無線通信(WiMAXや3G等)の基地局構築の際の検証にも利用できそう イベントで使用するなど他にも利用できる可能性がある 欠点や課題 バルーン固定のためある程度開けた場所が必要となる 強風時や雨天など天候によっては使用することができない 天候の予測精度をあげる,ある程度電波が減衰しても届くように 一時的に電波レベルを上昇させる 間に遮蔽物(山やビル)が無い環境でしか使用できない 3台使用してマルチホップさせれば回避できる可能性がある 18 反省点 ルータ設定時経路設定に一部間違いがあり 通信ができない問題が発生 問題発生時ネットワーク班の人員は他の部署の 手伝いで誰もいなかった 1人は確認のため残しておくべきだった 実験結果が不十分 それぞれ最低限の実験しかできず,十分な結果を 得られなかった 実験方法,取得したいデータなど事前検討を十分にすべきだった 実験PCに必要な環境をあらかじめ整えておくべきだった 役割分担がうまくいかなかった 誰が何をやるのかちゃんと把握していれば,もっとスムーズに 実験が進められたかもしれない 19
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