延味 能都(えんみ・よしと) 教育分野(領域) 外国語・外国文学分野(フランス言語文化学) 研究・教育のキーワード フランス語、初級、ロンサール、フランス、16 世紀、ルネサンス 研究者としての私 私はフランス文学が専門です。とくに、16 世紀フランスで活動していたプレイヤード派と いうグループを率いていたロンサールという詩人が専門です。この分野を志すようになった のは、あまり大した理由はありません。現代フランス語を学んだ後、少し読みにくく、文法 も現代文法とは異なり、単語の意味も現代とは微妙に違うルネサンス期のフランス語を、辞 書を引き引き(特別な辞書が必要です)読むことに、パズルを解くような面白さを感じたか らです。ロンサールを選んだのは、作品が多いので、研究することがずっと見つかるだろう と思ったからです。 若いころは、コンピュータが使い物になるかどうかわからない頃でしたが、必死でロンサ ールの詩をデータとして手で入力していました。それから統計的な文体分析をしばらくやっ ていました。しかし、というか、あたりまえ、というか、数字と文学の隙間はやはり簡単に 埋まるものではありません。その隙間にこだわっているうちに、気がついたらやっぱり文学 の世界に戻ってきていました。 ルネサンス文学は、ラテン文学と不可分です。そして当時の文人は古典を実によく読んで いました。そして古典文学に触れるうちに、今度はローマ帝国などの歴史にも興味を持つよ うになりました。本当に、西洋世界はローマ帝国から連綿と続いているのだと感じます。 話を戻しましょう。私が今特に興味をもっているのは、比喩的な使い方をされる単語や言 い回しです。ルネサンス期にすでに比喩的な意味をもっていた語句は、実はラテン文学から 翻訳されて借用された語句であることがあります。そうした語句の長い時間をかけた変遷を 今は少しずつ調べています。そして今年になって少しずつ手を染め始めたのが、堀辰雄とフ ランス文学の関係です。すでにたくさんの研究がありますので、それらを少しずつ調べ始め ています。 教育者としての私 学生に何を伝えたいか:知りたい、と思ったことをやはりきちんと調べて、謎が解けた時 の喜びや嬉しさ、充実感を味わって欲しいと思います。 自分の授業の特徴は何か:ゆっくりと、でも着実に。先は長いですからね、死ぬまでゆっ くり続けられるような地力をつけてもらいたいと思っています。フランス語の授業について は、話すことの楽しさを覚えてほしいと思っています。 指導にあたってはどのようなことを重視しているか:やはり本人の意志ですね。ですから 頭ごなしに指図はせずに、しばらくは待つように心がけています。 研究というものをどのように理解してほしいか:質問が難しすぎて答えられません。自分 としては「死ぬまで続く好奇心」かな。 どのような学生に授業を受けてほしいか:いい加減なことをやって、うまくやってトクを したと考えるような人は、やはりイヤですね。地道に少しずつでも努力を重ねてゆく人が、 やはり一緒に授業(仕事)をしていて楽しいです。 私が書いたもの Ronsard et les expressions puisées dans ľantiquité - Évolution de leur utilisation,ふくろう出版、 2012。
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