トヨタ神話崩壊は危機意識の欠如 トヨタやホンダなど、日本の製造業の代表ともいえる企業の車が、相次いで リコールされている。特にトヨタは「安全と信頼」というブランドイメージを 大きく傷つけた。国内だけでなく、米国でも揺るぎない成功神話を築いたトヨ タだが、相次ぐトラブルの背景には、技術面よりも「危機意識の欠如」が見え 隠れしている。 リスクマネジメントの専門家である小川真人氏(ACE コンサルティング代表取 締役)によると、トヨタはアメリカの政治や世論が、どちらの方向に向かって いるのかを的確に認識できなかったと指摘する。それはその国や国民性によっ て、何に対して敏感なのかが、違うということに起因している。 例えば、日本は食品に対しては、非常に神経質で、それはBSE(牛海綿状 脳症・狂牛病)や中国の農薬入り餃子への反応に見て取れる。日本では、食品 に対して海外からみれば合理的とは思えないレベルにまで、検査の精度を求め、 果ては中国製食品は日本から出て行けというような議論まで出た。 これと同じように、車の安全性に対しては、アメリカは非常に神経質だった。 さらに、オバマ政権が消費者重視の路線を掲げているということもある。この ことはプリウスのブレーキ問題における「0.6 秒」発言に、端的に表れている。 トヨタサイドが当初、 「0.6 秒程度で、フィーリングの問題」と言ってしまった が、アメリカでは「0.6 秒も」と受け止められて、アメリカ人の怒りにヒットし てしまった。つまり、同じような問題でも、国によって、それに対する感度が 大きく異なるということを認識しなくてはいけない。 とはいえ、次々と出てくる調査捕鯨 VS 過激反対活動、アカデミー受賞の反イ ルカ漁映画「ザ・コーヴ」 、クロマグロ規制等々、世界の日本叩きとも思いたく もなるが、問題は、そう単純ではない。日本政府の危機管理能力が問われてい る。鳩山首相にいたっては危機管理能力以前に「危機意識の欠如」である。 静岡県議会議員 天の一
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