鉱石ラジオのメカニズムと利用

鉱石ラジオのメカニズムと利用
物理1班
石坂 守
中村 裕介
阿部 愛梨
北村晴奈
<研究の動機>
現代ではスマートフォン、携帯電話などを利用する機会が増え、電波が飛び交っている中、私たちはそ
の電波を利用するものを作りたいと思った。
また、東高校の近くに電波塔があったので、ラジオの製作及びラジオに関する研究を行うことにした。
<研究内容>
(1)ラジオづくり
下記の材料を使用して、鉱石ラジオを製作した
・ペットボトル (円周 20.2cm)
・電解コンデンサ
・アルミホイル (縦 31cm×横 22cm 2枚)
・コンデンサ
・エナメル線
・抵抗
・クリスタルイヤホン
・基盤
・ゲルマニウムダイオード
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(2)ラジオを実際に聞く
どのような条件のときにどんな音が聞こえるのか調べた。
また、コイルの巻き数、アルミホイルの接地面積を変化させ、規則性を求めた。
① アンテナの長さ 7.8m(1F 物理室)
コイルの巻き数を、20 回、30 回…と変えていき、アルミホイルの接地面積でどのように聞こえ方が変わ
るのか実験した。
② アンテナの長さ 19.8m(3F 会議室)
結果・考察
・条件を変えても、周波数はほとんど変化しなかった。
・アンテナの長さが長いと、少ない巻き数でもラジオを聞くことができた。
・巻き数を増やすと、アルミホイルの面積が小さくなった。
<問題点>
音の聞こえ方には個人差があるので、条件の変化が適用されているか確かめるために、具体的な音の大
きさの数値を出す必要がある。
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(3)出力の振幅を測定
問題点を解決するために、実際に音の波形を見ることのできるオシロスコープを利用した。
また、最初に制作したラジオだと、オシロスコープと接続するには電圧が小さいので、より大きな電圧
を作り出すことができる増幅回路を作った。
今回制作したのはエミッタ増幅回路というもので、電池1つで、簡単に音声などの低周波信号を増幅す
ることができる。
増幅回路の回路図
結果
考察
・電圧が大きくなると、音の大きさも大きくなった。
・コイルの巻き数(長さ)を増やすと、アルミホイルの接地面積が小さくなり、周波数を一定に保つこと
が分かった。
・コイルの巻き数が74回の時もっともアルミホイルの面積が小さく
なった。
⇒さらにコイルの巻き数を増やし続けると、アルミホイル(コンデンサ)の接地面積に限りがあるので、
同調にも限界がある。
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今回の実験を通して、周波数を一定にすると、コイルの巻き数が増加し、アルミホイルの接地面積が小
さくなるという関係性を見つけ出すことができた。
この関係は、次の公式で説明することが出来る。
コイルの巻き数は Lοに、アルミホイル(コンデンサ)の接地面積は Cυに関係している。
L を増やすと C は減少する。これにより、fοを一定に保つことができる。
つまり、fοを一定に保つために、L と C は反比例の関係にあることが分かった。
<波形の写真>
15 回巻き
74 回巻き(左の波形に対して縦軸 10 倍)
<終わりに>
アンテナが電波を受け取ると、アンテナに交流電圧が発生する。
この交流電圧を利用して受信した電波から音声を取りだすので、電池が必要ない。
周波数を一定にするには、コイルの巻き数を増やしたとき、アルミホイルの接地面積が小さくなるとい
う関係を見つけ出すことができた。
今後の発展、展望として、
・アンテナの長さ・種類を変えたら、音の大きさの変化が見られたり、他県や他国のラジオを聴くこと
ができたりしたかもしれない。
・増幅回路を強化することで、スピーカーを使って音が聞こえるようにできるかもしれない。
・増幅回路の仕組みについて、もっと詳しく勉強する必要がある。
・70回巻き以降も挑戦したい。
<参考文献>
今井 栄 著「作りながら理解する ラジオと電子回路」
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