メールニュース No.14

-------------------------------------------------------------------------------------------------■ さろん哲学|Mail News 2012/7/1|# 14 ■
(*Bccでお送りしています)
これまで「さろん哲学」にお申込・ご参加された方にご案内しています。
ご案内不要の方はお手数ですがこのメールにそのままご返信ください。
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--------------------------------------------------------------さ┃ろ┃ん┃哲┃学┃
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M┃ a┃ i┃ l┃ N┃e┃ w┃ s┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ 2012.7.1 http://salon-tetsugaku.g.hatena.ne.jp/
(バックナンバーはHPからご覧いただけます)
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哲学カフェ及び関連イベント情報をお送りします。
みなさんの興味・関心の一助としていただくとともに、
今後ともさろん哲学を応援いただければ幸いです。
なお、このメールニュース掲載のコラムは運営者側の個人的な考えを表したものです。
会の、また哲学の専門領域における統一見解や事象を扱っているものではありません。
予めご了承ください。
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┃―INDEX―
┃【1】議事録公開:6/3 さろん哲学 第22回「人間の器について考える」
┃【2】予約受付中:7/8 さろん哲学 第23回「理性と感情∼ 分かる とはどういうことか?」
┃【3】予約受付中:7/12 朝さろん〈13〉〈本棚拝見(リクエスト特集)(1)〉
┃【4】予約受付中:7/1 さろん工房 お題「役割の服」 ┃【5】ご 報 告:6/2-3 さろん哲学 presents 京都ツアー
┃【6】コラム/エッセイ
┃ ◇『京都にて思う∼信じることと疑うこと』
┃ ◇『〈旅〉を編集する。オープンに。』
┃【7】読者から
┃【8】関連イベント情報
┃*編集後記
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┃CONTENTS ───────────────────────────────────
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【1】さろん哲学 第22回「理性と感情∼ 分かる とはどういうことか?」
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第22回さろん哲学が「理性と感情∼ 分かる とはどういうことか?」をテーマに開催されました。
日 時:2012年6月3日(日)14:00∼16:00
テーマ:「理性と感情∼ 分かる とはどういうことか?」
進 行:堀越
場 所:京町家さいりん館室町二条
参加者:16名
HPに議事録を公開しました。
詳細はこちらをご覧ください。
http://kono-lamp.com/salontetsugaku/giji/salon_giji_21.pdf
以下、司会・堀越からのコメントです
▽地元の参加者4名も加え、総勢16名で考え、議論しました。
「分かる」ということは一体どういうことなのか。
「分かる」を「分かる」ということはとても難しい。
そういうことが少し「分かった」2時間でした。
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【2】さろん哲学 第23回「真面目について考える」
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第23回さろん哲学を「真面目について考える」のお題で開催します。
日 時:2012年7月8日(日)15:00∼17:00
テーマ:「真面目について考える」
進 行:野田
場 所:リリオ(品川)
定 員:16名程度
参加費:ご飲食代(実費のみ)
現在ご予約受付け中です。
詳細はこちらをご覧ください。
http://salon-tetsugaku.g.hatena.ne.jp/
以下、司会・野田からのコメントです
▽ごく当たり前に見える「真面目」について、
肩肘張らずに考えます。
今回は新しい会場です。お間違いのないようにご確認ください。
《品川のスペイン料理バル リリオ》
http://r.gnavi.co.jp/ga9y100/
JR品川駅 港南口 徒歩5分
京急本線品川駅 港南口 徒歩5分
グランパサージュB1(グランドセントラルタワー内)
03-5783-1201
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【3】朝さろん〈13〉 〈本棚拝見(リクエスト特集)(1)〉 福永武彦『忘却の河』
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先シーズンの朝さろんでは「旅」をテーマにした〈現代世界の旅地図〉と題してお送りしました。
またシーズンの完結に併せて開催した夜さろんもテーマを〈いま、旅をする〉とし、
いつも以上にみなさんと濃密に時間を過ごすことができました。
たくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました。
7月から9月は新テーマです。
今回からの三回は参加者のみなさんからのリクエスト本で開催します。
7月の本棚提供者は堀越さんです。
日本近代文学の名作、福永武彦『忘却の河』(新潮文庫)でお送りします。
また下記の要領でリクエストを募集してます。
*日本人作家による小説
*推薦のコメント
アナタの"推し本"をおしえてください。
読書に興味のある方、朝が大好きな方、ご参加をお待ちしています。
ぜひお気軽にお越しください。
◎13th morning
日 時:2012年7月12日(木)am6:50∼8:00頃
テーマ:〈本棚拝見 (リクエスト特集)(1)〉
本 :福永武彦『忘却の河』(新潮文庫)
場 所:新宿駅近く(ご予約頂いた方にご連絡します)
定 員:8名程度(要予約)
バリスタ(進行):芹澤
◎14th morning
日 時:2012年8月9日(木)am6:50∼8:00頃
テーマ:〈本棚拝見 (リクエスト特集)(2)〉
本 :堀江敏幸『河岸忘日抄』(新潮文庫)
場 所:新宿駅近く(ご予約頂いた方にご連絡します)
定 員:8名程度(要予約)
バリスタ(進行):芹澤
◎15th morning
日 時:2012年9月13日(木)am6:50∼8:00頃
テーマ:〈本棚拝見 (リクエスト特集)(3)完〉
本 : 選定中
場 所:新宿駅近く(ご予約頂いた方にご連絡します)
定 員:8名程度(要予約)
バリスタ(進行):芹澤
ご予約受付け中です。
詳細はこちらをご覧ください。
http://kono-lamp.com/asa-salon/
(《朝さろんの本棚》に池澤夏樹『すばらしい新世界』を公開しました)
(《夜さろんの本棚》に【第3夜】テーマ「いま、旅をする」を公開しました)
【開催概要】
《朝さろん》原則、開催月の第2木曜日(但し1月は第3木曜日)
《夜さろん》原則、開催月の第3金曜日(但し12月は第2金曜日)
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【4】さろん工房 お題:「役割の服」
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工房ではいつも何かしらのお題(レシピ)を用意しています。
みんなと一緒に、何かを作ってみたい方。
作ることを通じて、じっくりと考えてみたい方。
お申し込み・お問い合わせ、お待ちしております。
現在次のお題で参加募集中です。 さろん工房、お題「役割の服」を開催します。
日 時:7月1日(日)18:00∼20:30
テーマ:「役割の服」
進 行:志村
場 所:珈琲 庵(秋葉原)
定 員:12名程度(要予約)
お題について:
日ごろ、モノやコトの役割について、じっくり観察することはありますか?
例えば震災のような、モノに困窮する場面に出くわすと、
ヒトはモノやコト、そしてヒトの役割について改めて見直し、
また新しい役割を見出すのではないでしょうか。
モノやコト、ヒトの役割についてじっくり観察し、
またその役割を果たせそうな服を仕立ててみます。
さろん工房は、いつでも参加募集中です。
参加申し込みがあったお題から随時日時を決めて、催していきます。
予約後のキャンセルは可能です。
専門的な知識や技術は必要ありません。どなたでもご参加いただけます。
ご予約、お待ちしてます。
※6月22日に開催した、
お題「磯野家と野比家が、共同生活する家」の詳細をサイトに掲載しました。
http://kono-lamp.com/salonkoubou/
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【5】ご報告
6/2-3 【さろん哲学 presents 京都ツアー】
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◎さろん哲学 presents 京都ツアー
日 時:2012年6月2日(土)∼3日(日) 1泊2日
参加者:15名(懇親会時)
スタッフより:
いってきました!今月号では参加者によるツアー・レポートも掲載しています!
どうぞご覧ください。
参加者はもちろん、都合で参加できなかった方、応援してくれた方、
どうもありがとうございました!
また次の旅でお会いしましょう。
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【6】コラム/エッセイ
▽【京都にて思う∼信じることと疑うこと】 聖理
▽【〈旅〉を編集する。オープンに。】
芹澤 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▽【京都にて思う∼信じることと疑うこと】 聖理
街の書店にある哲学書コーナーに立ち寄った際に気付いて以来、個人的には不可解で納得
がいかなかったことがある。書店での書籍分類についてである。小さな書店では「哲学」
コーナーが「宗教」コーナーと隣接していることが多く、極端な場合では「宗教・哲学」
と一括りにされている。個人的な見解かもしれないが、宗教が何らかの教義を「信じる」
ことであるとするなら、哲学は宇宙や世界をなす物事の前提や真理を「疑う」ことである
はずと考えていた。「信じる」ことと「疑う」こととが同じ分類であるとはいったいどう
いうことか。先月初めに京都へ行った際にこの相反する2つのことについて改めて考えた
ので、紹介してみたい。
先号に続いて、パスカルの言葉。「人間はつまらない存在であるから、たとえば台の上で
玉突きするだけで(ビリヤードのこと)十分に気を紛らわせることができる。なんの目的
でそんなことをするのかと言えば、翌日友人たちにうまくプレーできたことを自慢したい
からだ」。そう言って、私達の行いをおろかと断じる。それではパスカルはいったいどう
しろと言うのか。気晴らしを巡る考察の末に現れる解決策とは何なのか。「人間が退屈と
いう病に陥ることは避けがたい。にもかかわらず人間はつまらぬ気晴らしによってそれを
避けることができる。そしてその結果、不幸を招き寄せる。この構造から脱却するための
道が神への信仰なのである」。そう言って「神とともにある人間の至福」を挙げる*1。
京都ツアーの2日目を思い出す。古来より「洛中随一絶景の霊地」として文人墨客にその
景勝を愛でられたとされる長楽寺。そこで行われた早朝の勤行では、日常からかけ離れた
静かな緊張感と、そこに没頭することで得られる独特の至福感を体験ができた。朝の光が
幾筋か後光のように差し込む薄暗い本堂の中で、和尚の一挙手一投足に固唾を飲み、その
説明に注意深く耳を傾けて、読経を一心に行う。千数百年以上もの長い年月を綿々と受け
継がれてきた一つの型に没頭することによって、少なくともそのときは心を洗い、煩悩を
払えたような心持ちになれた。私は無神論者であるため、それが「神(仏)とともにある
人間の至福」とは考えないが、「没頭による至福」の一種ではないかと思っている。
人間が退屈から逃れる方法は、何かに没頭、熱中することにしかない。だが、そのことが
不幸を招かないためには、その対象がおろかと断じられることなく、何らかの意味を見い
だせることが必要である。その限りにおいては「信じる」も「疑う」もどこかでつながる
のかもしれない。そうだ。哲学は知ることを愛し、善いと信じているのではないか。
さて。読者が現在熱中していることは何だろうか。私はどうか?と訊かれたら、迷わずに
「さろん」を挙げる。少なからぬ参加者にとって意味があると信じるからである。勤行が
終わって緊張の解けた薄暗い本堂の正面左では、鎌倉初期禅界の巨匠、東福寺を開山した
聖一国師が作った布袋像*2が「腹を据えよ」と何とも言えぬ微笑みを向けていた。
*1:パスカル著;パンセ / 國分功一郎著;暇と退屈の倫理学
*2:長楽寺布袋像;http://kyo-seiyu.up.seesaa.net/image/P1430104.JPG
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▽【〈旅〉を編集する。オープンに。】 芹澤
さろんの京都ツアー。まさしくツアーだった。ツアー参加者は最大で15名。学校を卒業し
ている人なら、会社の慰安旅行クラスでないとお目にかかれない。京都での企画の参加者
を含めればさらに多い参加者との交流。なによりこのツアーが新鮮だったのは、申込みの
〆切が来るまで誰と一緒に旅をするのかも決まらない点だろう(当たり前だが)。初見の
参加者と旅をする可能性がある。今回の旅の独特さ、旅の心地よさや満足度にもつながる
だろうこういう開放指向が、今回のツアーの大きな特徴だった。
さろんのレギュラープログラムでは各プログラムの大枠は既に用意されているものだが、
ツアーでは、プログラムの雰囲気を醸成する各人の個性や(プログラムの)ブリッジでの
何気ない会話や振る舞いなど、個人の存在がより際立ってくる。内部調達に片寄りすぎず
現場での体験を重視し外へ開く。だからこそツアーの興趣を先見することは難しいし、醍
醐味でもある。
いったい旅に求めるものとはなんだろう。
距離を移動すること、ボーダーを越えること、観ること、食べること、予め思い定めた
そこ に立つこと、その経験をあらゆる角度から反芻すること。たくさんの未知に出会う
こと、旅情に浸ること、流れに身を委ねること。学ぶこと、話すこと、汗をかきしっかり
歩くこと、空気を感じること。視点を変えること、誰も通らないフットパスを進むこと。
そして生活に帰る。
パスポートの取得率がこれだけ高いこの國で、旅の話が日常会話の主要トピックのひとつ
になるほど身近なものとなった現在、旅の中心にあるものがより純度を増してきたりしな
いんだろうか。
あるいはより複雑に、多様さを増しているのか。
旅のいちばん奥底に潜むもの、多くのひとが旅の奥に垣間見ているもの、それを〈旅〉とする。
〈旅〉の正体を掴むために旅に出るのだろう。
〈旅〉は希望の別の顔かもしれない。
そうでなければなぜ〈いま、旅をする〉だろうか。
この〈旅〉を味わうことが旅の、ツアーの肝。
哲学枕投げ という新奇なイベントがシンボリックなように、幸いなことにツアーは個
性が混じりあい、たくさんの声が響き合う顔の見えるものとなった。リラックスした、
質のいい時間を共有する。オープンであることがそれに寄与し、ひとりひとりの参加が
それを実現させた。この経験を次の〈旅〉に、そしてもう少しダウンサイズして自身の
〈旅〉にもつなげていきたい。
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【7】読者から
◎くらちさん「わかるとわからないの間の」(京都ツアー・レポート)
◎Kさん「京都ツアーの感想」(京都ツアー・レポート)
◎KYさん「前略 バリスタさま」
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「わかるとわからないの間の」 くらちさん
自分の足でちゃんとまちを味わいたいので、京都ではまず西陣の路地を歩きました。
私のわからない文化でできているまちだ、と思いながら歩き、
でも、そのわからない中でもいいなあと思うものや惹かれるものを探していました。
その後も、
ツアーのみなさんと一緒に過ごして、わからないことに気付いたり、
何年かぶりに京都の同級生と会って、わからないことに気付いたりしました。
でも、そのわからない中でもいいなあと思う瞬間がたくさんありました。
今思えば、私の今回の旅のテーマは「わからない」だったのであり、
「わかるとはどういうことなのか」というお題も、とても自然でした。
まちあるきツアーのサプライズで「わからないまちだ」と思っていた私は
少しだけわかったをもらい、こういう「わかった」のもらいかたも、とても自然でした。
とてもいい旅でした、ありがとうございました。 --------------------------------------------------------------「京都ツアーの感想」 Kさん
壬生寺で結団式。しかも、なぜか円陣。もう開始の時点からこの旅は普通じゃない
な、と覚悟していました。これまで何度か味わってきた 京都でほっこり の旅とは確実
に違うと。実際、分刻みのスケジュールで行われたイベントには、さろんならではの
「特別」がたくさん詰まっていたように思います。
カフェ・サンナミジで開催された京都哲学カフェと、さいりん館で行われたさろん哲学
では、風情ある町屋風の建物の中で、現地の方々とお話しする機会に恵まれました。今
回は「親孝行について(京都哲学カフェ)」「理性と感情− 分かる とはどういうことか
(さろん哲学)」というテーマでしたが、特に前者では、様々な世代の人間が集まり、議
論できるという哲学カフェの醍醐味を改めて感じることができました。もう何年か後、例
えば自分が親になったとき、もしくは親を支えなければならない状態になったとき、今と
「親孝行」についての考えが異なることは十分に有り得ることです。だからこそ、「今」
思っていることを意識し、表に出すことには意味があるのだと思いました。
初日の夜に「まくら投げ」をするという情報は事前に得ていたのですが、それは「哲学
まくら投げ」になるとのこと。哲学とまくら投げが一体どう繋がるのか全く分からなか
ったのですが、「まくら投げ」というただそのノスタルジック、かつアグレッシブな響き
に惹かれ、非常に楽しみにしていました。当日ルールが明らかになったのですが、確かに
「哲学+まくら投げ」だな、と。今振り返ると、深夜にかなりシュールな光景だったと思
います。ちなみに、熟語が出てこなくて悶絶するOさんと、使用した被り物が異常に似合
うSさんを思い出すと、今でも頬が緩みます。
朝の勤行もとても貴重な体験でした。前日初めてお会いした人もいるのに、翌朝には一
緒に寺で修行をしている、この不思議な事実に何かの 縁 を感じずにはいられません。和
気あいあいとした川床での夕食と同様、ずっと記憶に残ることでしょう。
細やかなご手配をして下さったスタッフのみなさん、そして今回の旅の参加者の皆様に
心よりお礼申し上げます。参加者の中には、私もそうですが、元々集団行動が得意ではな
いという方も何人かいらっしゃったのではないでしょうか。そのようなひとり上手に
「ぜひ参加したい!一緒に旅したい!!」と思わせ、京都まで向かわせたさろんの吸引力
(二字熟語で言い換えるなら、 魅力 )は本当にすごいと思います。楽しい旅を、どうも
ありがとうございました。
--------------------------------------------------------------「前略 バリスタさま」 KYさん
〈現代世界の旅地図〉3回シリーズのすてきな朝をありがとうございました。
感想を込めて、個人的なリフレクションを記したいと思います。
バリスタさんは、池澤夏樹の『未来圏からの風』(パルコ出版,1996)をご存知ですか?
この本は、わたしの好きな龍村仁監督の映画「地球交響曲第二番」(1995)
http://gaiasymphony.com/gaiasymphony/no02 の制作と並行して作られたテレビ
番組『未来からの贈りもの』の撮影に同行した池澤夏樹さんと写真家・垂見健吾さんが共
同で出版された紀行本です。アラスカからバリを巡り、ダライ・ラマや星野道夫、最先端
の科学者へのインタヴューが掲載されています。たまたま今回その本の存在を知り、探し
て読んでびっくりしました。なぜなら、朝さろんで取り上げられた池澤三作品の創作の裏
側が具体的に垣間見える1冊だったからです。
痺れる文言やわたしがずっと探していた「答え」もずばっと書いてあり、なんだか、この
3カ月は、この本に出会うためのプロセスの旅、未来へ歩き出すための時間旅行だったのか
な、とすら思ってしまいました。
池澤夏樹作品を読む機会はこれまでも何十回とあったはずなのに、「今」出会ったこと、
朝さろんでだったことの不思議さを喜びたいと思います。
この3カ月は、シンクロが凄くて日常からアートまで、触れる世界すべてから「時間」や
「記憶」「ものがたり」などについて、繰り返し問いかけられるような日々でした。
池澤夏樹は『すばらしい新世界』の中でシンクロについて語っていますが、わたしにとっ
て今が彼の言う「主観の目を開く」「信じるべき時」なのかもしれません。そして、池澤
夏樹がそのトリガーになったのは確かです。
朝さろんで取り上げられた本は、コンテンツだけじゃない、みんなと話したことや、その
時期のわたしが経験したこと、考えたことも吸いこませて、本棚で保存していきます。今
後の記憶のインデックスにもなる本たちだと思います。
「歩むことの意味を疑いはしない。到着すべき目的地はないが、歩むべき方位は与えられ
ている。よき旅とはすべてそういうものである」(池澤夏樹『未来圏からの風』より)
3カ月、とてもいい旅でした。大事な3カ月となりそうです。キッカケ(旅券)をありがとう
ございました。
シンクロがスイッチとなり、わたしの「記憶」は起動し、こんなことを思い出してしまい
ました。最後にシェアできたらと思いますので記します。
ダムタイプというアート集団のメンバー、故・古橋俤二さんの「おびえている子供を癒す
のに最良の方法は、抱きしめてやり彼に輪郭を与えてやること」という話から、じゃあ心
は、どうやって輪郭を得るものなのか、とかつてよく考えていました。
わたしは「第3の居場所・サードプレイス」や玄田有史さん(「希望学」東大教授)の提唱
している「ウィークタイズ」の中で、それは可能であるかもしれないし、今の時代必要だ
ろう、と考えていました。いい距離感での他者との出会いにより、見えないものに形を与
えることができるのではないか。勿論、ほかにも方法はあるのだけれど、社会実験的に、
トライしたいと思っていました。
しかし、実際、ひととのつながりは、なかなかうまくいかない、続かないケースも多いも
のです。だから、うまく持続している、さろんの存在は、大切なことを証明してくれてい
るようでとても嬉しい。そして、気づけばわたし、そこに参加できていて、夢が少し叶っ
てたんだぁ∼と思い、また嬉しくなりました。
赤ちゃんは、1歳から2歳にかけて飛躍的に成長していくそうです。飛んだり跳ねたり、
しゃべりだしたり。親としては目がはなせなくなるけど、可愛いいんだろうな、と思いま
す。2周年にむけて、2歳に向けて、愛情たっぷりに育つといいですね。
これからも、さろんを楽しみにしています!
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【8】関連イベント情報
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哲学カフェ関連イベントやおもしろスポット、その他おすすめ情報などをご紹介します。
--------------------------------------------------------------【dialogue / symposium】
▽書評カフェ「カント『永遠平和のために』」
日 時:2012年07月14日(土) 19:00∼21:00
書 籍:イマヌエル・カント『永遠平和のために』(岩波文庫)
進 行:寺田俊郎(カフェフィロ/上智大学)
場 所:カフェ・クライン・ブルー(神保町) 対 象:どなたでも(定員40名)
参加費:1500円(1ドリンク込み)
http://www.cafephilo.jp/news/news_2.html
▽哲学/倫理学セミナー
皆様ご自由にご参加下さい。
日 時:2012年7月28日(土)13:30∼16:40
発 表:「ルソーにおける有限性の自我論」 中野裕考
:「レヴィナスにおける受肉の観念の捉え直し」村上暁子 参加費:参加無料
会 場:文京区民センター 3-B会議室
問合せ:[email protected]
http://peseminar.web.fc2.com/84.html
▽UTCPセミナー「バートルビーと現代哲学」
メルヴィルの『代書人バートルビー』を読解する現代の思想家ブランショ、
ドゥルーズ、デリダ、アガンベン、バディウ。「せずにすめばありがたいのですが」
という消極的抵抗は彼らをいかに魅了し、いかなる生の考察をうながしたのか。
バートルビーの形象への参照から文学と哲学の交差を描き出すベルクマンの最新著
『バートルビー効果』に基づくセミナー。
講 演:ジゼル・ベルクマン(国際哲学コレージュ)
司 会:小林康夫(UTCP)、コメント:郷原佳以(関東学院大学)
日 時:2012年7月20日(金)17:00-19:00
場 所:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3
参加費:入場無料、事前登録不要
*講演原稿(フランス語)を配布予定
http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/2012/07/bartleby_and_contemporary_phil/
▽第9回認知哲学研究会
2009年に導入された裁判員制度では、有権者の中から抽選によって裁判員を選び出し、
殺人や傷害致死など重大な犯罪に対する裁判に直接関与させている。裁判員は公判に立ち会い、
裁判官とともに評議を行い、有罪か無罪か、および有罪の場合にはさらにどの程度の量刑が
適切かを決定する役割を担う。一般人は法の専門知を持たず、良識に基づいて判断を下すこ
とになるが、一般人の法的判断の中には、感情による直観的な道徳的判断が含まれていると
考えられる。しかし、このような感情による直観的な道徳的判断が妥当かどうかについては、
疑問の余地がある。そこで、感情による直観的な法的判断を正当化することができるかどう
かを論じることにしたい。この発表では、特に嫌悪感情に基づく法的判断に焦点をあてる。
嫌悪感情に基づく法的判断が妥当性をもつと主張する法学者であるパトリック・デヴリン、
ダン・カハンによる議論を取り上げ、嫌悪感情に関する心理学・脳神経科学研究を参照しな
がら、彼らの議論の妥当性を検討する。
講 演:「刑法における嫌悪感情の役割と神経科学」
講演者:原塑(東北大学大学院文学研究科) 日 時:2012年7月28日(土)14:00-18:00
場 所:東京大学駒場キャンパス16号館1階107号室
参加費:入場無料、事前登録不要
http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/2012/07/9/
▽「哲学カフェ」唯識塾
司 会:横山紘一氏
日 時:2012年7月17日(火)18:30-21:00
毎月1回、第3火曜日
場 所:名曲喫茶「らんぶる」
住 所:新宿区新宿3−31−3
電 話:03-3352-3361
参加費:大人(1000円), 学生(500円) (いずれも飲物代を含む)
http://www.idotservices.info/page.cgi?kouitsu+board+section+1
▽アルフォンス・デーケン氏特別講演『幸せになるための道』
いのちを最後まで大切に生き抜くために、死を見つめることは決して暗いことでは
ありません。 自分の生き方を絶えず問い直し、行動していくことが必要なのでは
ないでしょうか。
デーケンは、日本において「死」がタブー視されていた1982年から「死生学」
(タナトロジー)の先駆者として全国各地で広く活躍されてこられました。
今回は、人生において誰もが抱く「幸せになりたい」という願いについてお話いただきます。
幸せになるための道はあるのでしょうか。幸せとは何でしょうか。
よりよい人生を送るためには、自分では気づかなかった殻から飛び出す必要がありそうです。
日 時:2012年7月19日(木)14:00∼15:30
講 演:アルフォンス・デーケン(上智大学名誉教授)
定 員:40人
会 費:無料 会 場:amu(恵比寿)
http://www.a-m-u.jp/event/2012/07/alfonsdeeken.html
▽知の航海2012「ぐるぐるエネルゴロジー Vol.1 中沢新一講演会」
連続セミナー「知の航海」は、 エネルギー をより根底的に考えます。
2012年現在、都市で暮らす私たちにとって、この課題はきわめて重大です。
電気やガスはもとより、水、下水、食べること、経済、生命の誕生や死、
人が集まることでうまれるエネルギーなど、身の回りのあらゆるモノ・コト・ココロを
広い意味での エネルギー という視点から考え直すプログラムを全5回にわたり行います。
第1回目は思想家・人類学者の中沢新一氏を講師にお迎えし、中沢氏が提唱する「エネルゴロジー」
(=エネルギーの存在論)という思想が導く、
未来社会における自然と人間のつながりについてお話し頂きます。
講 師:中沢新一
日 時:2012年7月1日(日)14:00∼15:30
場 所:生活工房ワークショップB(4F)(三軒茶屋)
参加費:1000円
定 員:80名
http://www.setagaya-ldc.net/modules/events/event_detail.php?num=0&id=392
--------------------------------------------------------------【art / sound】
▽『NO NUKES 2012』
「脱原発」をテーマにした音楽イベントを行いたい、という坂本龍一の呼びかけに賛同した
アーティストや音楽関係者によって実現が決まったもの。坂本龍一の説明によると、
福島第一原発事故以降、脱原発を訴える活動をしていく中で、
社会に対してミュージシャンとしてきちんと意見を述べよう、そういう機会を持とうと考えていた
今年1月中旬に、自身も呼びかけ人を務める「『さようなら原発』一千万人署名市民の会」から
「音楽のイベントができないか」という相談を受け、それに背中を押された形で開催を決心した、
という経緯。このイベントの収益は「さようなら原発1000万人アクション」の中心である、
「『さようなら原発』一千万人署名市民の会」に全額寄付される。 日 時:2012年7月7日(土)・8日(日)
開場10:30、開演12:00、終演21:30
会 場:幕張メッセ国際展示場 4・5ホール
料 金:1日券各¥6,800 2日通し券¥13,000 出 演:KRAFTWERK、YMO、難波章浩、9mm Parabellum Bulletほか
http://www.institut.jp/ja/evenements/11976
▽トークイベント「諏訪敦:問題解決不能の世界へ」
今、世界的に注目されている気鋭の画家・諏訪敦さんをお招きします。
昨年は、NHK「日曜美術館」で特集が組まれ、また『AERA』でも彼の
肖像がその表紙を飾ったのは記憶に新しいです。
なぜ、今、諏訪敦なのか。
彼のまなざしの彼方に何があるのでしょうか。 日 時:2012年7月6日(金)19:30∼21:00
出 演:諏訪敦(画家)
会 場:amu(恵比寿)
定 員:40名
入 場:1000円
http://www.a-m-u.jp/event/2012/07/atsushisuwa.html
▽講演会「イーネオヤを訪ねて」
15年にわたり、トルコ各地の村々を訪ね歩いてその土地ならではの
オヤと出合ってきた野中氏。現地の写真を多数交えながら、
イーネオヤの歴史と現状について解説していただきます。
日 時:7月16日(月・祝)14:00-15:30
講 師:野中幾美(「ミフリ」代表)
会 場:生活工房 4階ワークショップA(三軒茶屋)
参加費:500円
定 員:70名
http://www.setagaya-ldc.net/modules/events/event_detail.php?num=0&id=391
▽「生誕120年 福田平八郎と日本画モダン」
今年は斬新な色と形を追求したカラリスト・福田平八郎(1892-1974)の生誕120年にあたります。
この節目の年に、平八郎の画業を振り返るとともに、大正から昭和にかけて活躍した作家たちの
「モダン」な作品を紹介いたします。明治以降、日本画は日本の伝統絵画としての一面を持ちつつ、
西洋画の影響を受けながら革新と変容をくり返してきました。特に1920年代前後、
経済の繁栄と海外との交流により、大正デモクラシーと呼ばれる自由闊達な雰囲気の中、
おおらかな民衆文化が花開きました。そして昭和に入ると、新しい時代感覚を取り入れた、
単純化されたフォルムと明快な色調の作品が見られるようになります。
会 期:2012年5月26日(土)∼7月22日(日)
会 場:山種美術館
時 間:午前10時から午後5時(入館は4時30分まで)
入館料:一般1200円(1000円)・大高生900円(800円)・中学生以下無料
http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html
▽「Future Beauty 日本ファッションの未来性」
日本ファッションが持つ創造性と、その力強いデザインに潜む文化的背景に焦点を当てた
「Future Beauty: 30 Years of Japanese Fashion」展。2010年にバービカン・
アート・ギャラリー(ロンドン)、2011年にハウス・デア・クンスト(ミュンヘン)で
開催され、高い評価を得ました。新たな作品を加え、ヴァージョンアップした「Future
Beauty 日本ファッションの未来性」展を2012年、東京で開催します。この度の東京都
現代美術館での展示は、海外巡回の内容に加えて「日常にひそむ物語」というセクション
を新たに設け、今後の方向性を示唆する若手のファッションデザイナーの作品も併せて紹
介します。
会 期:2012年7月28日(土) ∼ 10月8日(月・祝)
時 間:10:00 ∼ 18:00(入場は閉館の30分前まで)
入場料:一般1,000円、大学生・65歳以上800円、中高生500円、小学生以下無料
会 場:東京都現代美術館 企画展示室3F
企 画:京都服飾文化研究財団チーフ・キュレーター深井晃子、東京都現代美術館
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/136/2
▽cinema「ワン・デイ∼23年のラブストーリー∼」
『17歳の肖像』のロネ・シェルフィグ監督が、デイヴィッド・ニコルズの同名ベスト
セラー小説を映画化。正反対ともいうべき性格の男女が過ごした23年間を、23回の7
月15日だけを描くことで映し出す異色のラブストーリー。時代の変化と共にキュート
に変身する主演アン・ハサウェイの姿は必見。
共演のジム・スタージェスの繊細な演技も見逃せない。
監 督: ロネ・シェルフィグ
出 演: ロモーラ・ガライ, レイフ・スポール, ジョージア・キング, ジム・スタージェス,
トム・マイソン, アン・ハサウェイ, ジョディ・ウィテカー, ケン・ストット
会 期:公開中
時 間:107分
http://oneday.asmik-ace.co.jp/contents.html
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編 集 後 記 ┠──────────────────────────────┤
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ご機嫌いかがでしょうか。
メールニュース第14号をお届けします。
7月です。今年も下半期に突入です。
ほんとに早いですね。
これから夏に向けてグーっと暑くなります。
夏バテには注意しながら(食べれる方はウナギを食べて)、
じっくり力をつけていきたいと思います(受験生みたいに)。
さて。
先月の「京都ツアー」への旅行記をいただきました。
またそれ以外にも感想や激励のメールをいただいています。
みなさんどうもありがとうございました。
この後もスペシャルな催しは企画中です。
次号をお楽しみに。
それでは次号でお会いしましょう。
(編集:芹澤)
さろん哲学|Mail News 2012/7/1
次号(8月上旬発行予定)
*Mail NewsのバックナンバーはHPからご覧いただけます。
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