案件名 国 名 - JICAナレッジサイト

案件概要表
1.案件名
国 名: エルサルバドル国
案件名:
和名 中小零細企業の経営・品質・生産性向上支援人材能力強化プロジェクト
英名 Project for the Capacity Strengthening of Support Personnel for Micro, Small and
Medium Enterprises focusing on the Improvement of Enterprise Administration,
Quality and Productivity
2.事業の背景と必要性
(1)当該国における民間セクターの開発実績(現状)と課題
エルサルバドルの中小零細企業数は、同国の全企業の内、99%以上を占め、従業員総数
も 65.5%を占めるなど、中小零細企業の雇用創出効果は高い。
他方、貧困削減の観点から、零細中小企業の能力向上が緊急の課題である。零細中小生
産セクターの育成・能力開発・輸出振興政策に係る中央政府の能力向上、また品質改善、
生産性向上などを通じた零細中小企業の競争力強化の双方が必要である。
(2)当該国における民間セクターと本事業の位置づけ
5 か年開発計画 2011-2014(PDQ: Plan Quinquenal de Desarrollo)において、6 つの
開発戦略(重点分野)が示されている。その中の、「生産的開発戦略」において、「支援
制度と投資基金を再構成して調和させる」「金融や品質向上、技術へのアクセスと可能
にする新しい方法に取り組む。中小企業を重視し、地域に密着した施策を実施する。」
等の方向性が盛り込まれている。なお、現在国家開発 5 か年計画(2014‐2019)の策
定に向けた政府内での検討が進められている。
(3)民間セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績
国別援助方針において、重点分野「経済の活性化と雇用拡大」に対応するとともに、同
援助重点分野をささえる開発プログラム「東部地域開発プログラム」の主要協力事業で
ある。平成 21 年 7 月から平成 25 年 3 月までの間に実施された「中小企業の生産性品質
向上に係るファシリテーターの能力向上プロジェクト」では、コスタリカ中米域内産業
技術育成センター(CEFOF)において、中小企業向けの組織強化や日本の品質・生産性
向上の指導手法を構築し、中米・カリブ地域各国の中小企業支援機関等に技術移転を行
う目的で活動が展開された。当該プロジェクトにおいては、中米の対象 8 カ国毎に、6
~8 名のファシリテーターが選定され、ファシリテーターのネットワーク化と、中小企
業コンサルテーション能力の強化に必要な日本式品質・生産性向上の手法習得を支援し
た。なお、エルサルバドルでは 8 名のファシリテーターが養成された。
(4)他の援助機関の対応
IDB:当該セクターに対して、借款を通じた資金支援を開始した。
3.事業概要
(1)事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む)
本事業は、エルサルバドルにおいて、シニア・ファシリテーターの養成を通じて、小
零細企業の経営基盤強化や品質・生産性向上支援を行うファシリテーターを継続的に
育成する仕組みの構築に寄与するものである。
(2)プロジェクトサイト/対象地域名
エルサルバドル全域
(3)本事業の受益者(ターゲットグループ)
直接受益者:CONAMYPE(国家小零細企業委員会)
間接受益者:国内の小零細企業
(4)事業スケジュール(協力期間)
3年間
(5)総事業費(日本側)
未定
(6)相手国側実施機関
CONAMYPE
(7)投入(インプット)
1)日本側
専門家派遣(業務監理/地域協力推進)、研修員の受入(カウンターパート研修)、機
材投与等
2)エルサルバドル側
カウンターパートの配置、執務スペース等
(8)環境社会配慮・貧困削減・社会開発
1)環境に対する影響/用地取得・住民移転
① カテゴリ分類(A,B,C を記載):C
② カテゴリ分類の根拠:
「JICA 環境社会配慮ガイドライン」に掲げる影響を及ぼ
しやすい特性や影響を受けやすい地域に該当しないため。
2)ジェンダー平等推進・平和構築・貧困削減:特になし
(9)関連する援助活動
1)我が国の援助活動
コスタリカ「中小企業の生産性品質向上に係るファシリテーターの能力向上プロ
ジェクト」(平成 21 年~25 年)
2)他ドナー等の援助活動
①IDB:雇用、労働および社会保障政策に関する有効性及び適用範囲を向上・拡大
することによって労働者の生産性を改善するため、中米統合機構(SICA)の小零
細企業振興センター(CENPROMYPE)を対象とした 3,000 万ドル規模の借款支援
「Comprehensive Support for Effective Labor and Social Security Policies」
を実施中。この他に、技術協力プロジェクトとして、1)中小零細企業の官公需促
進、2)女性起業支援に係る協力も実施中。
②USAID:エルサルバドル支援における重点は、「経済開発」であり、ビジネス環境改善、
生産性向上、品質向上に注力。現在、「労働力の能力向上プロジェクト」を実施中であ
り、対象セクターは、化学、プラスティック、機会、農産物加工、航空、ツーリズム、サー
ビス業である。また、CONAMYPE に対して、CDMYPE 設置支援を行なっている。具体
的には、SME Development Program として、テキサス大学オースチン校での経験や手
法・コンセプト(SBDC コンセプト)を移転しており、CDMYPE の機能強化や CDMYPE の
活動に関するモニタリング方法の開発・導入に力を入れ、2015 年 10 月に終了予定。
4.協力の枠組み
(1)協力概要
1)上位目標と指標
エルサルバドルにおいて、小零細企業の品質・生産性向上及び経営改善に関する支
援が継続的に提供される。
(指標)小零細企業の品質・生産性向上及び経営改善に関するサービスを提供できる
能力を有するファシリテーターが毎年 XXX 人以上育成される
2)プロジェクト目標と指標
小零細企業の品質・生産性向上及び経営改善に関するサービスを提供するファ
シリテーターの育成者となる、シニア・ファシリテーターの育成・活用についての
全国的な計画が作成される
(指標) アクション・プランが作成される。
3)成果
成果 1. 研修カリキュラム、研修スケジュール、研修材料を含むシニア・ファシリ
テーター育成のための研修プログラムが作成される。
(指標)
作成された研修プログラムが効果的なプログラムであると見なされる。
成果 2. 新規のファシリテーター育成研修を実施できるシニア・ファシリテーター
が育成される。
(指標) シニア・ファシリテーター研修受講者のうち、XXX 人以上が能力評価認
を受ける。
4)活動
1-1
JICA 専門家が、CONAMYPE と相談しつつ、シニア・ファシリテーター研修の
受講候補の選定のための基準を設定し、設定された基準に基づきシニア・ファ
シリテーター候補を選定する。
1-2
JICA 専門家が、CONAMYPE と相談しつつ、(シニア・ファシリテーター研修
の)OJT の一環として支援サービスを提供する対象企業を選定するための基準
1-3
1-4
1-5
1-6
2-1
を設定する。
JICA 専門家が、CONAMYPE と相談しつつ、品質・生産性向上にかかるシニア・
ファシリテーター研修用研修カリキュラムを作成する。
JICA 専門家が、シニア・ファシリテーター研修用教材を作成する。
JICA 専門家が、シニア・ファシリテーター研修の受講者の能力基準を作成する。
CONAMYPE が、JICA 専門家と相談しつつ、育成されたシニア・ファシリテー
ターの育成/活用のためのアクション・プランを先導する研修プログラムを作
成する(新しいシニア・ファシリテーター育成のための将来の研修プログラムの
作成、研修プログラム実施体制、研修プログラム用の予算計画、関係機関間の
協働体制)。
JICA 専門家が、シニア・ファシリテーター研修を実施する。
5.前提条件・外部条件
1) 上位目標達成のための外部条件
・ 育成されたシニア・ファシリテーターやファシリテーター(シニア・ファシリ
テーター候補者)が転職しない。
・ エルサルバドル政府における小零細企業の品質・生産性向上に関する政策が抜
本的に変更されない。
2) プロジェクト目標達成のための外部条件
・ シニア・ファシリテーター候補者の多くが職を変更したり、また所属機関内に
おける役割が変更しない。
3)アウトプット達成のための外部条件
・ 研修期間中、研修受講者が脱落しない。
・
OJT 企業における経営幹部が品質・生産性向上サービスを受けることの興味
を失わない。
6.評価結果
資料③参照
7.過去の類似案件の教訓と本事業への活用
(1)類似案件の評価結果
技術協力プロジェクト「中小企業の生産性品質向上にかかるファシリテーターの能力向
上プロジェクト」の教訓の内、本プロジェクトには以下の 2 点につき活用可能と考えら
れる。
① 認定ファシリテーターの能力向上促進メカニズムの検討(認定ファシリテーターの持
続的な能力向上を促進するために、インセンティブなどの仕組みと、獲得したスキ
ルを日常業務で活用する制度)
② モデル企業の経営へのインパクト調査(導入が推進された日本式品質・生産性向上手
法が、モデル企業の経営にどのようなインパクトを与えたか調査を実施すること。)
(2)本事業への教訓
上記①の関連で、本プロジェクトの研修を通じて養成されるファシリテーターの活用計
画(アクション・プラン)を作成することにより、養成された人材の活用とさらなるシニ
ア・ファシリテーター育成及び新規のファシリテーターの育成が継続されることを確実
にする。
上記②の関連では、OJTの一環として実施される活動に組み入れることが期待される。
8.今後の評価計画
(1)今後の評価に用いる主な指標
4.(1)のとおり。
(2)今後の評価計画
事業終了3年度
事後評価
(3)実施中モニタリング計画
・プロジェクト開始半年毎に、JICA 専門家及び CONAMYPE が共同でモニタリング
シートを作成し、JICA エルサルバドル事務所に提出予定。
・プロジェクト終了 1 か月前に、JICA 専門家及び CONAMYPE が共同で事業完了報
告書を作成し、JICA エルサルバドル事務所に提出予定。
9.広報計画
(1)当該案件の広報上の特徴
1)相手国にとっての特徴
中米・カリブ地域の各国にまたがる広域案件
コスタリカ人の専門家を活用した技術協力
2)日本にとっての特徴
これまで 20 年以上にわたり日本が技術協力を行ってきた機関(CEFOF)
を、中米・カリブ地域内の他の国々の技術協力のリソースとして活用す
るもの。この取り組み自体が日本の技術協力の成果として位置づけられる。
(2)広報計画
・現時点では未定。
以上