決算概要のご説明 - 東京海上ホールディングス

2008年度決算IR電話会議
2009年5月20日
本日、発表させていただきました東京海上ホールディングス2008年度決算に就きまして、ご説明をさせていただきま
すので、弊社ホームページのトピックス欄に掲載しておりますリンクを使って、各種資料をお手許に揃えていただき、
ご参加ください。
では、記者会見資料の5ページの「連結決算の概況」をご覧ください。
東京海上ホールディングス連結決算の概要
「経常収益」は3兆5,031億円と、前期対比で5.6%、2,069億円の減収になっております。
経常収益のうち、国内外の損害保険事業に係る「正味収入保険料」は、2008年度より損益を連結いたしました英国のキル
ングループの新規連結効果はあったものの、自動車保険の契約件数の伸び悩みなどによる減収や、自賠責保険の大幅な
料率改訂による減収、円高による外貨建保険料の減収などによる国内損害保険子会社2社の減収の影響が大きく、前期
対比で4.9%、1,108億円減収の、正味収入保険料2兆1,342億円となりました。
また、「生命保険料」は、あんしん生命の保有契約規模の拡大や、アジア生保における販売拡大はあったものの、変額年
金の新契約の減少などの影響で、前期対比で5.4%、423億円減収の、生命保険料7,460億円となりました。
「経常損益」は、前期対比で1,941億円減益の、151億円の経常損失となりました。この減益の主な要因は、3つございます。
第一に、金融市場の混乱による損失が挙げられます。このうち、「有価証券評価損」は、東京海上日動の661億円をはじめ
として連結会社の個社合計で988億円を計上いたしました。なお、連結ベースでは、これに、連結決算上発生する評価損で
ある「パーチェス差額」633億円が加わります。このほか、資産担保証券ABSの評価損が384億円、クレジット・デフォルト・ス
ワップCDSの評価損が142億円、金融保証再保険の発生保険金が179億円発生いたしました。第二の要因は、金融事業
子会社であるトウキョウマリン・フィナンシャルソリューションズが扱う通貨デリバティブについて、為替変動率の急激な上昇
によって損失が発生し、76億円減益して、経常損益が134億円の赤字となったことです。以上2つの要因の影響額は2,462
億円と、前期対比で1,860億円増加しており、経常減益の主な要因と言えます。減益の第三の要因は、海外保険事業にお
いて、再保険子会社が大口事故の多発や米国ハリケーンの影響で減益したこと、また、ブラジルやアジアの子会社がマー
ケットの競争激化と金融市場の混乱により赤字に陥るなど、合計で287億円減益し、経常利益が141億円に止まったことで
す。
東京海上日動や日新火災において多額の評価損が計上されたのに対して「価格変動準備金の取崩」が発生したことから、
「当期純利益」は856億円減益したものの、231億円の黒字となりました。
決算短信の14ページおよび15ページの「連結貸借対照表」をご覧ください。
「資産の部」は、あんしん生命の保有資産の拡大による約6千億円の拡大や、昨年12月に買収を完了いたしました米国フィ
ラデルフィア・コンソリデイティッド社のB/Sの新規連結効果の約5千億円など、増加要因はあったものの、東京海上日動
などの損保子会社の保有国内株式の株価下落の影響による減少要因が大きく、表の中段に記載いたしております「連結
ベースの総資産」は、約2兆円減少し、15兆2,472億円となりました。
一方、「負債の部」は、あんしん生命の保有契約の増加に伴う責任準備金の拡大により約2千億円増加しましたが、東京海
上日動の短期資金運用のために取り入れていた「債券貸借取引担保金」を短期資金運用を圧縮したことから、約1兆円減
少し、13兆6,077億円となりました。
この結果、決算短信15ページ下から二段目の「純資産の部」は、約9千億円減少し、1兆6,395億円となりました。
決算短信の1ページをご覧ください。
下から2番目の表に、配当の状況をお示しいたしておりますが、2009年3月期の配当金は、一株48円の水準を維持する方
針であり、配当金総額は380億円となる予定です。
以上が、連結決算に関するご説明です。引き続き、個社の単体決算に就きまして、記者会見資料に沿って、ご説明いたし
ます。まず、損保子会社東京海上日動の決算状況に就いて、ご説明いたしますので、記者会見資料の目次の後の1ページ
目をご覧ください。
東京海上日動単体決算の状況
【正味収入保険料】
表の右端に と記載いたしております当期の「正味収入保険料」は1兆8,134億円と、前期対比で5.2%、987億円の減収と
なりました。ちなみに、昨年4月の自賠責保険の大幅な料率改訂の影響を除けば1.6%の減収と試算いたしております。
主な増減要因をご説明いたしますので、記者会見資料の11ページの中段の表の右半分に記載いたしております当事業年
度の保険種目別「正味収入保険料」の状況をご覧ください。
賠償責任保険や費用利益保険などの増収により、下から二段目の「その他新種保険」は前期対比で0.8%の増収であった
ものの、他の種目は減収しております。火災保険は、急激な円高により外貨建て契約の円換算ベースでの減収が生じたこ
とや、海外マーケットにおける保険料率低下の影響を受けて、海外源泉の契約に大幅な減収が生じたことなどにより2.7%
の減収。海上保険も、急激な円高や大口契約の減少などに加えて11月以降の世界的な景気後退の影響を受けて11.7%の
減収。傷害保険は、2007年8月の商品簡素化や料率改訂の影響により、1.1%の減収。自動車保険は、ご契約件数の減少
を主な要因として1.7%の減収。自賠責保険は、大幅な料率改訂の影響で22.1%の減収などとなっております。
記者会見資料の1ページにお戻りください。
【正味支払保険金および正味損害率】
と記載しております「正味支払保険金」は1兆1,448億円と、前期対比で438億円増加いたしました。これによって、
全種目合計の「正味損害率」は5.9ポイント上昇し、67.4%となりました。
の
種目別の「正味損害率」の状況に就きまして、記者会見資料の11ページ下段の表の右半分をご覧ください。火災保険は、
国内外における大口事故の支払保険金など、保険金が131億円増加する中で、損害率の分母となる保険料が減収した結
果、損害率は前年度の39.6%から6.4ポイント上昇して、46.1%となりました。海上保険は、大口事故を主な要因として保険
金が41億円増加する一方、保険料の減収により、損害率は12.8ポイント上昇し、65.6%となりました。傷害保険は、死亡後
遺障害保険金や入院保険金などが増加したほか、海外における契約移管に伴う支払の影響などもあり、保険金が59億円
増加し、損害率も4.8ポイント上昇し、59.8%となりました。自動車保険は、昨年8月の集中豪雨による車両保険金の増加
や、2007年度末に積増していた対人賠償や人身傷害などの担保種目の支払備金が実際に支払われたことなどにより107
億円増加し、損害率も2.7ポイント上昇し、68.3%となりました。自賠責保険は、保険金が8億円の減少いたしましたが、大幅
な料率改訂による減収の影響で、損害率は21.3ポイント上昇し、99.4%となっております。ただし、公的な保険である自賠責
保険の損益は、民間保険会社の損益に基本的に影響を与えないように運営されております。その他新種保険は、賠償責
任保険や組立保険の大口事故の保険金支払や、金融保証特約再保険の支払保険金の増加の影響で保険金が105億円
増加し、損害率も3.8ポイント上昇し、59.8%となりました。
【事業費および事業費率】
記者会見資料の1ページにお戻りください。
の「諸手数料及び集金費」は、自賠責保険料の改定に伴い発生した所謂「つなぎ契約」の影響で、2008年4月の契約件
数が増加したことなどにより4億円増加の、3,140億円となりました。
の「保険引受に係る営業費および一般管理費」は、247億円増加し、3,136億円となりましたが、その主な増加要因は、
昨年5月にプロジェクトの第一弾を「サービスイン」した、業務革新プロジェクトに係る費用が前期対比で248億円増加したこ
とです。
「諸手数料及び集金費」と「保険引受に係る営業費および一般管理費」を合計した「事業費」は、251億円増加し、6,276億円
となりました。
また、表の にお示ししております通り、これを「正味収入保険料」で割った「正味事業費率」は、3.1ポイント上昇して、
34.6%となりました。
【支払備金繰入額】
表の にお示しした通り、支払備金積増額は、前期対比で691億円減少し、269億円の戻入となっております。自動車保険
の支払完了までの期間の長期化を反映したことや、火災保険などの大口事故が発生したことにより、2007年度末には支払
備金を多く積増しましたが、2008年度は、これらが実施に支払われたことや、新規発生事故の減少などにより、支払備金は
269億円の戻入となりました。
【責任準備金繰入額】
表の の責任準備金繰入額は、前期対比1,511億円減少し、1,158億円の戻入となりました。
2008年度の責任準備金の主な内訳ですが、未経過期間に対応して引当てられている「普通責任準備金」は、民間保険の
保険料が減収したことに伴い、前期対比で165億円減少して、137億円の戻入となりました。
また、「異常危険準備金」に就きましては、期中の支払保険金が増加して取崩しの事由に合致したことにより取崩額が348
億円増加したことや、「自然災害責任準備金制度」に定められた、「異常危険準備金」の「火災積立目標」を達成したことな
どから、火災の繰入負担が前期対比で123億円減少したことにより、積増負担が合計で471億円減少いたしております。
【保険引受利益】
以上の通り、保険会社にとっての売上に相当する表 の「正味収入保険料」から、保険取引に係る費用項目である ~
の項目を控除した「保険引受利益」は、保険料の減収や、支払保険金の増加、事業費の増加などはあったものの、支
払備金や異常危険準備金の繰入負担の大幅な減少の影響で、表 の通り、前期対比で344億円と大幅に増加し、738億
円となりました。
【資産運用】
表の から までは、資産運用に係る項目です。
まず、 の「利息及び配当金収入」は、オルタナティブ投資が好調であった前期の反動や、ファンドの解約に伴う損失が発
生したこと、更に海外子会社の配当が減少したことなどから、前期対比で450億円の減少となりました。
の有価証券売却損益は、あおぞら銀行株式の売却益約300億円はあったものの、株価下落に伴う保有株式売却益の
減少、ETFの売却損などの影響で、前期対比で56億円の増加に止まりました。
の有価証券評価損は、2007年夏のサブプライムローン問題の発覚以降に、金融市況が大きく悪化したことにより、前期
対比で524億円悪化し、単体として661億円の評価損を計上しました。
また、 の金融派生商品損益は、クレジットデリバティブに関する43億円の損失悪化などにより、前期対比で46億円減少
し、129億円を計上いたしました。
のその他運用費用は、買入金銭債権に区分されるABSの評価損359億円の計上を主な要因として、345億円減少の、
366億円の損失を計上いたしました。
記者会見資料の9ページに記載いたしております東京海上日動単体の損益計算書の資産運用収益1,757億円から資産運
用費用1,458億円を控除した「資産運用損益」は299億円と、前期対比で、1,462億円減少いたしました。
【経常利益】
以上の「保険引受利益」738億円と「資産運用損益」299億円の合計から保険引受以外の「営業費および一般管理費」や「そ
の他経常損益」を加減したものが記者会見資料の1ページの 経常利益ですが、前期対比で1,143億円減益の、696億円
となりました。
【特別損益】
の「特別利益」と の「特別損失」をネットした「特別損益」は、多額の評価損の発生により「価格変動準備金」をネットで
621億円取崩したことを主たる要因として、571億円の利益と、680億円の増益となりました。
【当期純利益】
の「経常利益」に、 および
益の、711億円となりました。
の「特別損益」、および税金関係項目を加減した、
の「当期純利益」は、518億円減
【貸借対照表】
なお、記者会見資料の7ページおよび8ページには、単体の貸借対照表を掲載いたしております。
「資産の部」は、株価などの下落による保有有価証券の減少や、債券貸借取引を圧縮したことに伴うコマーシャルペーパー
の減少により、前期対比で2兆4,760億円減少し、8兆4,134億円となりました。
「負債の部」は、昨年12月に完了した米国フィラデルフィア・コンソリデイティッド社の買収に伴う借入金2,500億円が増加し
た一方で、短期資金運用のために取入れていた「債券貸借取引担保金」が約1兆2,000億円減少したことなどにより、前期
対比で1兆5,849億円減少し、6兆9,779億円となりました。
これによって、「純資産の部」は、8,910億円減少し、1兆4,355億円となっております。
記者会見資料の1ページにお戻りください。
のソルベンシー・マージン比率は、保有有価証券時価の減少などを主な要因として、261.0ポイント低下し、696.8%とな
りました。
以上が、東京海上日動の決算状況でございます。続きまして、日新火災の決算状況に就きまして、簡単にご説明申し上げ
ます。記者会見資料の2ページをご覧ください。
日新火災単体決算の状況
まず、保険引受に関しましては、自動車保険における、契約台数の減少及び単価の低下に伴う減収や自賠責保険の料率
改訂による減収などにより、表の の「正味収入保険料」が、1,359億円と、前期対比で4.1%の減収となりました。
一方、表の の「正味保険金」は、自動車保険の事故発生件数の減少や、新種での大口事故減少等を受け、18億円減少
して、778億円となっております。また、「異常危険準備金」に関して、傷害保険で損害率が上昇したことから、取崩しが増加
したほか、自動車保険で繰入率変更に伴い、繰入額が減少し、「異常危険準備金」の繰入負担が減少しました。以上によ
り、 の「保険引受利益」は、前期対比で38億円改善し、32億円となりました。
また、「資産運用損益」に就きましては、有価証券評価損が129億円となるなど、大変厳しい結果となり、前期対比で213億
円減少し、167億円の損失となりました。
以上などにより、 の「経常利益」は、前期対比で188億円減益の、161億円の損失となりました。
「特別損益」は、資産運用におけるキャピタル損益の悪化を受け、「価格変動準備金」をネットで38億円取崩したことから、
40億円のネットの「特別利益」を計上しました。
以上から、
の「当期純利益」は、前期対比で122億円減益の、103億円の損失という結果となりました。
次に、生保子会社のあんしん生命に就いて、ご説明いたしますので、記者会見資料の25ページをご覧ください。
東京海上日動あんしん生命単体決算の状況
保有契約および新契約の状況をお示ししておりますが、各表の一段目に記載している主力の個人保険に就いて、ご覧くだ
さい。
表の上の方から、個人保険の保有契約の件数が前期対比で11.7%、契約高で8.4%増加しています。これは主として、長割
り終身保険やがん治療支援保険の販売増加などにより、2番目の表の通り、新契約が、件数で30.4%、契約高で16.7%と
高い伸びを示しているためです。年換算保険料も、3番目の表の通り、保有契約で5.6%、4番目の表の通り、新契約で
21.3%と、新契約の伸びにより、保有契約も成長を持続しています。
記者会見資料の23ページをご覧ください。
あんしん生命の「損益計算書」をご覧いただきますと、ただ今ご説明申し上げました営業概況を受けて、表の二段目にある
「保険料など収入」は保有規模の拡大に応じて前期対比で7.4%、299億円増加いたしました。
しかしながら、記者会見資料に掲載はありませんが、「標準責任準備金追加積立」前の「税引前当期純利益」は115億円
と、前期対比で85億円の減少となっております。これは、2006年度下半期を中心に販売が好調だった「低解約返戻金型 逓増定期保険」の増益効果が2007年度と比較して減少したことや、システム開発費などの事業基盤拡充に向けた支出が
増加したことなどによるものです。営業概況が比較的堅調であるにも拘わらず減益となっているのは、主にこのためです。
最後に「当期純利益」ですが、従来からの決算方針の通り、その期の利益の範囲内で、「標準責任準備金」達成に向けた
追加積立を行ったことから、例年同様、当期純利益は、ほぼゼロとなりました。
今期末の「標準責任準備金」の未達額は約150億円であり、現中期経営計画期間の2011年までの達成を目指しておりま
す。
なお、記者会見資料の28ページにお示ししております通り、ソルベンシー・マージン比率は、前年度末比で170.0ポイント低
下の、2,596.7%となり、引き続き高い水準を維持しております。
続いて、変額年金商品を扱っております、東京海上日動フィナンシャル生命の決算状況をご説明いたしますので、記者会
見資料の33ページをご覧ください。
東京海上日動フィナンシャル生命単体決算の状況
各表の2段目に記載された主力の個人年金保険の状況をご覧ください。保有契約高は増えているものの、上から2番目の
表でお分かりの通り、金融市場の混乱の影響で、新契約高は件数が、前期対比で1.6%、金額で12.5%の減少となりまし
た。
記者会見資料の31ページの「損益計算書」をご覧ください。
上から3段目に記載している「保険料」も4,509億円と、前期対比で13.1%、678億円の減収になりました。運用環境の悪化や
それに伴う保険料収入の減収といった厳しい事業環境ではあったものの、2007年度末において出再していなかった契約に
ついて、2008年度に入って、再保険によるリスクコントロールを進めたことなどにより、最低保証に係る責任準備金の戻入
が17億円発生したこと。そして、危険準備金について積立限度額を超過したため、戻入が43億円発生したことなどの理由
から、当期純利益は100億円と、前期対比で165億円の増益となり、1996年の開業以来、初めて黒字化いたしました。なお、
最低保証リスクの大半は再保険を活用したリスクコントロールを行っており、一部はオプションを使用したヘッジを行っており
ます。
また、記者会見資料の35ページにお示しした通り、ソルベンシー・マージン比率に就きましては、当期純利益100億円を計
上した一方で、危険準備金において限度超過分の戻入が発生したことや、運用実績の悪化によりソルベンシーに算入でき
る金額が減少したことにより、ソルベンシー・マージンの総額は109億円の減少となりました。また、再保険による最低保証
リスクの移転を進め、最低保証リスクが減少した一方で、運用環境悪化の影響により、資産運用リスクが増加したため、リ
スクの合計額は5億円の減少に止まりました。ちなみに、出再先の信用リスクに相当するものとして、再保険により積立が
不要となった責任準備金の一定割合を資産運用リスクの中で認識していますが、運用環境の悪化に伴い、積立不要となっ
た責任準備金の額が増加したため、資産運用リスクも増加しております。これらの結果、2008年度末のソルベンシー・マー
ジン比率は、前期対比で100.0%減少し、1,057.5%となりました。
証券化商品等に対する投資の状況に就いてご説明申し上げます。記者会見資料の6ページか、弊社ホームページに掲載
しております追加資料をご覧ください。
証券化商品等への投資の状況
証券化商品等への投資に係る損益などの状況のうち、資産運用に係る「P/L損失」額は、CDS 142億円、ABS 361億円、
SIV 12億円で、合計516億円となりました。12月末対比で94億円損失が拡大しておりますが、これはABSにおいて、一部の
銘柄が減損基準まで時価下落した影響です。
なお、「P/L損失」と「含み損」を合わせた影響額は、22億円の損失拡大となっています。また、金融保証特約再保険では、
第4四半期に新たに32億円の発生保険金を計上しておりますが、これは主に米国住宅市場低迷の長期化が続く中で、サブ
プライムローン以外の米国RMBS分野で貸倒れ発生状況のシナリオの見直しを行い支払備金の積み増しを行ったことなど
によるものです。
CDSやABSの当社の投資部分の損失は、世界的な金融市場の混乱の影響によるものですが、これまで同様、評価損は計
上されていても、裏付資産にデフォルトが発生したものはなく、満期償還に向けて一定の損益回復が見込まれることから、
経営に大きな影響を与えるような大きな損失ではないことがお分かりいただけるかと存じます。
続きまして、2009年度の連結通期業績予想に就いて、ご説明申し上げますので、記者会見資料の5ページの「平成21年度
の業績予想」をご覧ください。
2009年度通期業績予想
はじめに、東京海上日動単体の通期業績予想ですが、「正味収入保険料」については前期対比で0.5%の減収の見込とい
たしました。なお、自賠責保険の料率改定の影響を除いたベースでは、0.8%の増収見込みです。
一方、「自然災害発生保険金」の予想額を250億円としたうえ、責任準備金の積増額の増加などを勘案した結果、「保険引
受利益」は前期対比で、減益と見込んでおります。
「資産運用損益」については、あおぞら銀行株式売却益の反動はあるものの、市場環境は3月末と同水準とし、金融市場混
乱の影響はなくなると見込んでおり、「経常利益」を1,200億円に、「当期純利益」を800億円と予想しております。
次に、東京海上ホールディングス連結ですが、東京海上日動の減収に加えてフィナンシャル生命で変額年金保険の販売
量減少を見込み、「経常収益」を3兆3,200億円とします。
一方、「経常利益」および「当期純利益」につきましては、国内損保の資産運用など損益の改善、海外保険子会社の収益改
善などを見込み、経常利益を1,250億円、当期純利益を800億円といたしました。
東京海上ホールディングスの配当は、当期と同様、年間で一株あたり48円を予定しております。
なお、補足資料に要因の詳細を記載しておりますので、ご参照ください。
最後に、本日、発表いたしました、弊社独自の利益指標である「修正利益」の状況に就いてご説明いたしますので、リリー
ス・ペーパーをご覧ください。
修正利益の状況
「修正利益」の定義は、リリース・ペーパーの添付資料に記載いたしております通りですが、日本の会計基準や保険会計の
特殊性などを修正した利益指標であり、米国会計基準などに近いことから、国際的な他企業との業績比較が容易になりま
す。
2008年度実績の変動要因などに関しましては、金融市場の混乱の影響を受けたことを主因として、2008年11月公表の修
正予想242億円を大きく下回る525億円の損失となりました。
この主な要因は、日新火災で外国投信の償還損が発生したことなどにより、107億円の損失が発生したことこと。あんしん
生命で、保険事故発生率、解約率の前提を見直したことや、超長期金利の低下による金利変動の影響が発生したことなど
により、エンベディッド・バリューが60億円減少したこと。フィナンシャル生命で、金融危機により市場環境が急激に悪化した
当年度下半期において、当年度の新契約に係る最低保証リスクのヘッジコストが上昇したことや、特別勘定の運用成果が
想定を下回ったことにより、将来、特別勘定の純資産総額に比例して収入する保険関係費用が減少すると見込んだため、
エンベディッド・バリューが512億円減少したこと、などです。
2009年度に就きましては、金融市場の混乱等による影響の反動やフィラデルフィア・コンソリデイティッド社の新規連結の影
響などにより、グループ合計で1,060億円の修正利益を目指しております。
2008年度決算の概要と、2009年度の業績予想に就いて、ご説明申し上げました。
本資料は、現在当社が入手している情報に基づいて、当社が本資料の作成時点において行った予測等を基に記載されて
います。これらの記述は将来の業績を保証するものではなく、一定のリスクや不確実性を内包しております。従って、将来
の実績が本資料に記載された見通しや予測と大きく異なることになる可能性があることをご承知おきください。