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日本のテレビ業界
テレビ放送業界を規制する法制度
日本のテレビ局は、
「放送法」と「電波法」に基づいて事業を行っています。
「放送法」は
国民の共有財産である電波を有効に利用するために制定された法律であり、
「電波法」は、
電波を利用した情報発信の社会的な影響の大きさを考慮して、放送事業者に一定の公共的
な使命を課すことを規定した法律です。テレビ放送事業を営むには、電波や放送を主管する
総務省の許認可を受けた免許が必要であり、新規参入に対しては制限が設けられています。
さらに、テレビ局は、特定の者による複数の放送局支配を規制し、放送による表現の自由
を確保するための「マスメディア集中排除原則」や、外国人等およびその日本法人の議決
権を20%以内にとどめるよう定めた「外資規制」などによって規制されています。
日本のテレビ局の特長
■地上波テレビ放送ネットワーク
民間の地上波放送局は、それぞれ放送対象地域が定められています。このため、全国の
民間放送局は、東京に拠点を置くキー局5社の下に、系列ごとにローカル局が枝分かれする
形で全国ネットワークを構築しています。キー局とローカル局はネットワーク協定を結び、
ニュース、番組、事業等で協力関係にありますが、
マスメディア集中排除原則にのっとり、それ
ぞれの局は資本も独立した放送免許事業者です。
こうしたネットワークが確立されていること、さらに日本では電波放送のための設備が
整っていることから、アンテナを立てれば日本全国どこにいても無料で優良な民放テレビ
番組を見ることが可能な環境が整備されています。日本全国の1億台の受像機を介して4千
数百万世帯に同時刻に同じ情報を流すことができる地上波テレビ放送は、スポンサー企業
にとって最も効果的な広告媒体となっており、衛星放送やCATVに比べて高い優位性を持っ
ています。
■日本テレビの国内ネットワーク
札幌
STV
秋田
ABS
新潟
TeNY
NKT
松江 鳥取
福岡
FBS
長崎
NIB
熊本
KKT
鹿児島
KYT
Annual Report 2007
周南
KRY
大分
TOS
宮崎
UMK
広島
HTV
岡山
RNC
高松
松山
徳島
RNB 高知
JRT
RKC
福井
FBC
大阪
YTV
金沢
KTK
青森
RAB
盛岡
TVI
山形 仙台
YBC MMT
長野
TSB
富山
甲府 東京
KNB
YBS NTV
名古屋
CTV
静岡
SDT
郡山
FCT
■民間放送局の収益源
民間放送局は、主に放送収入、すなわちスポンサー企業のテレビCMの放送によって収益
を得ています。テレビCMは、特定の番組内に放送されるタイム広告と、番組と番組の間に
放送されるスポット広告に大別されます。放送業界の自主規制により、CMの放送時間は
1週間の総放送時間の18%以内と定められ、さらに番組の長さに応じても時間規制が設けら
れています。また、CMの最短時間単位は、タイム広告が30秒、スポット広告が15秒となって
います。
それぞれセールス方法も異なっており、タイム広告は、通常、スポンサーと6カ月契約を
結び、4月と10月に継続確認や料金改定の交渉を行います。希望する番組があっても、空き
枠がないと入れません。スポット広告では、CMの希望放送期間と時間帯、広告料金が広告
代理店を通じて提示され、それに沿ったCM放送のスケジュール案を作成して販売します。
■テレビ局の番組制作
日本では、米国のように番組制作と版権の保有を制限する規制がないため、テレビ局自
らが番組を制作・編成・放送し、版権の管理を行います。したがって、日本のテレビ局はコン
テンツを生み出し、版権をコントロールすることでマルチユース展開を主導することができ
ます。最近では、映画やアニメなどを地上波放送だけでなくDVD化や海外販売により、収益
の機会を拡大しています。
テレビ広告費の推移
日本の2006年の総広告費は、前年比100.6%の5兆9,954億円となり、3年連続で増加し
ました。2006年前半は、前年の愛知万博の反動があったものの、トリノオリンピックや
2006FIFAワールドカップTMなどの大型イベントが開催されたこともあり、広告費は堅調に
推移しました。また、2006年の後半は、ワンセグサービスの開始やナンバーポータビリ
■日本の総広告費および
テレビ広告費の推移(暦年)
(億円)
(%)
80,000
100
60,000
75
40,000
50
20,000
25
ティー制導入に伴って携帯電話の広告が積極的に展開されましたが、広告費を削減した業種
が増加したことや、前年の衆院選、東京モーターショー関連の反動減もあり、総広告費は
3年連続で増加した一方、伸び率は前年に比べ低下しました。
テレビ広告費は2兆161億円となり、前年比98.8%となりました。在京キー局を中心に
トリノオリンピック、2006ワールドベースボールクラシックTM、2006FIFAワールドカッ
プ 、2006世界バレーなど大型スポーツイベントが豊富であったため、タイム広告費は前年
TM
比100.8%となりました。一方、スポット広告費は、レギュラー番組の単価の低下や、単発番
組によるレギュラー番組の休止分も影響し、前年比97.1%となりました。
広告費を業種別に見ると、
「エネルギー・素材・機械」「不動産・住宅設備」「交通・
レジャー」
「趣味・スポーツ用品」
「外食・各種サービス」が好調に推移し、
「金融・保険」
「化粧品・トイレタリー」
「食品」
「飲料・嗜好品」などが減少しました。
※データ出典:「日本の広告費」
(電通発行)
0
2002 2003 2004 2005 2006
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■ 総広告費
■ テレビ広告費
総広告費に占めるテレビ広告費の割合
Annual Report 2007