第 75 回応用物理学会秋季学術講演会 講演予稿集(2014 秋 北海道大学) 17a-PB4-11 太陽電池のテクスチャ構造の形状による電流漏れの変化の評価 Evaluation of change of the current leak by the form of the texture structure of a solar cell 岐阜大学院工, ○ 兼松 雅斗, 西田 哲, 牟田 浩司, 栗林 志頭眞 E.R.E.S Graduate School of Eng., Gifu Univ. ○ Masato Kanematsu, Satoshi Nishida, Hiroshi Muta, Sizuma Kuribayashi E-mail:[email protected] 【背景】 結晶シリコン太陽電池の 1 つである HIT 太陽電池では、シリコン基板表面に凹凸のテクスチャを形成すること で光閉じ込め効果により短絡電流密度を向上させ発電効率を上げている。しかし、これまでの本研究グループの 研究からテクスチャの凹凸が原因でアモルファス膜において電流漏れが局所的に確認されることが分かった。[1] 【目的】 本研究では、電流漏れの原因であるテクスチャの形状を変化させ電流漏れを少なくすることを目的とする。 なお、電流漏れの評価はテクスチャの形状を変化させた結晶シリコン基板上にアモルファスシリコン膜を堆積し たサンプルを対象に SPM(走査プローブ顕微鏡)を使用し電気特性を測定し行った。 【実験方法】 テクスチャ形状を変化させるため p 型の平板結晶シリコン基板に対して SUN-X(和光純薬製アルカリエッチング 液)を使用しテクスチャを作成した基板に TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)を用いたエッチング を行った。エッチング後の基板の形状評価は SEM4300 により行った。次に電気特性の評価は、作成した基板上 に厚さ 10 nm 程度の i 型アモルファスシリコンを堆積したサンプルで行った。SPM での測定には Nano NaviⅡ /SPA-400(日立ハイテクサイエンス)を用い形状像と電流像の同時測定を行った。 【結果と考察】 テクスチャの形状変化の一例を図 1 に示す。図 2 は SUN-X だけで作成したテクスチャの形状を示している。 図 1 と図 2 を比較すると、エッチングにより丸みを帯びたテクスチャ形状への変化に成功したといえる。 次に、図 3 は形状変化による効果を見るために SPM で 10 µm×10 µm の測定範囲を 256 点×256 点に分割して 電流測定した結果を度数で表したものである。これは、右端に近いほど電流漏れが多いことを示し、左端に近い ほど電流漏れが少ないことを示した図である。これより、エッチング後で電流漏れが少なくなっており、電流漏 れを抑える形状変化ができたといえる。今後は他の形状変化についても評価を行い、その結果を報告予定である。 図 1 SUN-X+TMAH SEM 画像 図 2 SUN-X のみ SEM 画像 図 3 TMAH エッチングの有無による度数グラフ [1] 第 74 回応用物理学会秋季学術講演会「SPM を用いた c-Si/a-Si:H ヘテロ接合部での電流測定」西田哲 Ⓒ 2014 年 応用物理学会 16-042
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