スタビリティ・コントロール・システムの効果についての調査結果 1.調査

別添資料
スタビリティ・コントロール・システムの効果についての調査結果
1.調査分析方法
調査にあたっては、スタビリティ・コントロール・システム以外の車両特性や
ユーザー層の影響を極力小さくするため、同一車種でモデルチェンジ等を境
に、標準装備・非装備を車両型式により特定できる10車種を調査対象にし
た。
分析にあたっては、(財)交通事故総合分析センターの事故データから、ス
タビリティ・コントロール・システムが有効と思われる事故形態として、平成4
年~平成15年(標準装備、非装備の期間は同じ)の飲酒や居眠り等を原因
とする事故を除く第1当事者の車両単独事故及び正面衝突事故等(1471件)
を抽出し、スタビリティ・コントロール・システムの有無による事故率(1万台当
たりの事故件数)の違いを分析した。
調査分析対象10車種の事故における、スタビリティ・
コントロール・システムの装備・非装備別の事故件数
調査分析対象
の事故
1105件
1471件
6.1%
調査分析対象
10車種の非装備
の全事故件数
17,994件
93.9%
非装備
3.1%
調査分析対象
10車種の装備
の全事故件数
11,668件
96.9%
装備
366件
事故類型のうち、車両単独事故及び正面衝突事故等注について、道路種類、車
両損壊程度、路面状況、道路形状を一般道路と高速道路に分けて分析した。
スタビリティ・コントロール・システムの差を分析するにあたっては、走行台数1万
台当たりの事故件数で差を分析した。
なお、この調査は、限られた普及台数の中で、限られた車種を対象にした試行的
分析であり、今後の普及拡大とともに、より精度の高い調査が必要である。
注:正面衝突事故等は、一般道路においては「正面衝突事故」を、高速道路においては追突等の衝突事故を除く「衝
突・接触事故」を対象に行ったものである。
2.分析結果
1) 一般道路及び高速道路別事故率 25
20.4
事故率(件/万台)
20
36%
15
13.0
10
5
n=1,105
n=366
非装備
装備
0
一般道路及び高速道路
20
5
16.1
4.3
32%
4
11.0
10
5
事故率(件/万台)
事故率(件/万台)
15
53%
3
2.0
2
1
n=873
n=309
0
n=232
n=57
非装備
装備
0
非装備
装備
一般道路
高速道路
2) 事故類型別事故率
非装備
12
10.7
9.7
44%
10
事故率(件/万台)
装備
24%
8
7.3
5.9
6
4
2
n=579 n=167
n=526 n=199
0
車両単独
正面衝突等
一般道路及び高速道路
装備
非装備
10
事故率(件/万台)
8
7.6
8.5
40%
3.1
6.4
6
4.6
4
装備
4
24%
事故率(件/万台)
非装備
55%
3
47%
2
1.4
1.2
1
0.6
2
n=412 n=128
n=461 n=181
1当車両単独
車両単独
1当正面衝突
正面衝突
0
一般道路
0
n=167
n=39
1当車両単独
車両単独
n=65
n=18
1当衝突・接触
衝突・接触
高速道路
車両単独、正面衝突等ともに一般道路、高速道路で事故率が減っている。
3) 車両損壊程度別事故率
非装備
装備
10
8.6
46%
8
事故率(件/万台)
6.8
62%
6
5.8
5.0
4.7
4
2.6
2
n=369 n=72
n=467 n=132
n=269 n=162
大破
中破
小破
0
一般道路及び高速道路
非装備
装備
非装備
8
2
6.7
5
4
5.2
5.0
64%
4.0
4.4
3
2
1.9
1.8
40%
6
1.8
事故率(件/万台)
事故率(件/万台)
7
装備
58%
65%
1
0.7
0.7
0.6
0.6
n=31
n=17
1
0
n=272 n=51
n=363 n=113
n=238 n=145
大破
中破
小破
一般道路
0
n=97
n=21
大破
n=104 n=19
中破
小破
高速道路
車両損壊程度から見ると、スタビリティ・コントロール・システムを装備した車両の
大破、中破事故が大幅に減少した。小破事故が若干増加していることについては、
大破、中破事故が中破、小破、無傷に軽減されたこと、また、小破事故は横滑りが
発生しない低速域での事故も含まれるため、スタビリティ・コントロール・システムの
効果が現れにくいためと推測される。
4) 路面状態別事故率
非装備
装備
14
12.4
20%
事故率(件/万台)
12
9.9
10
8
6.2
58%
6
4
77%
2.6
2
1.2
57%
0.6 0.2
n=670 n=278
n=338 n=73
n=66 0.3
n=8
n=31 n=7
乾燥
湿潤
凍結
積雪
0
一般道路及び高速道路
事故率(件/万台)
10
非装備
装備
装備
3
10.7
2.4
27%
8.7
8
52%
6
3.8
4
76%
1.8
2
n=580 n=244
n=208 n=52
0
乾燥
湿潤
56%
事故率(件/万台)
12
非装備
19%
2
1.7
69%
1.2
1
57%
0.7
1.2
0.4 0.2
n=63 0.3
n=8
n=22 n=5
凍結
積雪
一般道路
0
n=90 n=34
n=130 n=21
0.1 0.0
n=3
乾燥
湿潤
凍結
0.2
n=9
0.1
n=2
積雪
高速道路
事故当時の路面状況から見ると、乾燥路より湿潤路の方が事故率が減っている。
5) 道路形状別事故率
非装備
12
装備
10.8
42%
事故率(件/万台)
10
8
36%
6.3
6
4
5.9
26%
3.8
3.5
2.6
2
n=190
n=73
n=587 n=176
n=318 n=106
直線
カーブ
0
交差点
一般道路及び高速道路
非装備
8
7.3
3.5
35%
5
26%
4.8
3.5
3
装備
4
35%
6
4
非装備
5.1
3.3
2.6
2
事故率(件/万台)
事故率(件/万台)
7
装備
3
57%
2
1.5
1
39%
0.8
0.5
1
0
n=190
n=72
交差点
n=397 n=134
直線
n=277 n=93
カーブ
一般道路
0
0.0
0.0
n=190
n=42
n=41
n=13
n=1
交差点
直線
高速道路
注:その他分類できないもの21件を除く。
道路形状から見ると、交差点より、直線路、カーブでの事故率が減っている。
カーブ
参考資料
調査対象10車種の内訳
・アウディA4
・アリスト
・ウィンダム
・クラウンセダン
・クラウンハードトップ
・クラウンマジェスタ
・スカイラインセダン
・セルシオ
・センチュリー
・マークⅡ(チェイサー、クレスタ含む)